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2015年1月3日土曜日

日本の所得税制には、重大な不公平がある。
日本の所得税負担率は、合計所得金額が200万円で2.6%、1000万円で10.6%と次第に上昇し、1億円の段階で28.3%とピークになる。
しかし、2億円、5億円、10億円と合計所得金額が高くなるに従い、所得税負担率は下がり、100億円になると13.5%まで低下するのである。
日本の所得税制は、所得金額が増えるにしたがって、次第に税率が高くなる累進課税制度をさいようしているが、合計所得金額が1億円を超えると所得税の負担率は「逆進的」なものに変わるのである。
日本の高額所得者の多くは、株式の売却による譲渡所得や株式の配当所得であり、総合課税ではなく分離課税となっているので、不労所得である資産性所得に対して世界一安い異常な税制度となっている。
合計所得金額のうち株式譲渡の占める割合は、合計所得金額が1億円辺りから順次上昇し、5億円になると20%、10億円になると35%、50億円になると70%、100億円になると90%を占めている。
避税の原因の一つに、「二重課税の排除」がある。
これは企業が利益を得た国で課せられる法人税と、その企業が法的に存在する国で課せられる法人税を、二重に課せられることがないようにとの目的で、各国が独自にどちらかを選択してきたものである。
先進国を中心とするOECDは、企業が法的に所在する国で課税される居住地国課税を重視し、源泉地国課税をできるだけ抑制して二重課税の配乗を図ってきた。
一方、途上国や新興国と、それら国々の主張を反映している国連は、企業が利益を得ている国で課税される源泉地国課税を重視している。
問題なのは、このように先進国重視(居住地国課税)と発展途上国重視(源泉地国課税)とで二重課税を排除しようとしているうちに、源泉地でも居住地でも課税されない「二重非課税」という驚くべき事態が生じてしまっているのである。
しかも、このような異常事態に対して、世界各国が制定している税制システムでは、殆ど対処できないという状況になっている。
アマゾン・ジャパンは日本に法人税を支払っていない。
日本で生産されている商品が日本のアマゾンの流通センターから直接日本国内に発送されているにもかかわらず、その理由を、アマゾン・ドット・コム(米ワシントン州の法人)は、日本国内に支店等を置いていないからだと説明し続けている。
2009年に東京国税局は、日本国内の流通センターに置かれているアマゾンの機能は、「実質的な恒久的施設」と判断し、2003年~2005年分について140億円の追徴課税を行っている。
ところが、日米当局間で協議が行われ、日本の国税局の請求は退けられてしまった。
同社の法人税については、欧州各国でも問題になっている。
ITバブルが崩壊した2000年から2001年と、リーマンシヨックが起きた2008年から2009年は、法人税率を引き下げた国も、据え置いたままの国も、どちらも税収は落ちている。
法人税の引き下げが、どれだけ経済成長に寄与したのかは、わかっていない。
法人税の減税により、大企業以外の税収も減少し、国民の消費活動も更に悪化すれば、日本の財政は一層厳しくなる。
2014年4月に、日本公認会計士協会は、公認会計士の48.8%が、担当している企業が業績や資産状況をごまかそうとする「不正」を一度は発見したと発表した。
つまり、利益額が大きな大企業が無国籍化し、日本の税制は空洞化しており、消費税増税により国民生活にその穴埋めを、強いねばならなくなっている。
国民にマイナンバー制度を導入して所得の把握に努めるよりも先に、2006年に高額納税者番付と合わせて廃止となった「申告所得金額の公示制度」(企業長者番付)を復活させ、巨大企業の納税状況の実態を開示し、透明化すべきである。
受取配当金は「受取配当金益金不算入制度」によって、企業が国内にある他者の株式を保有している場合に、その受取配当金を課税益金に算入しなくても良いという制度である。
その受取配当金不算入の割合は、子会社や関係会社の株式等にかかわる配当については、100%の法人間配当無税が認められている。
また、子会社や関連会社以外の企業の株式についても、50%が益金不算入になっている。
さらに、一定の要件を満たす海外子会社についても、「海外子会社配当益金不算入制度」によって、受取配当金の一律95%を益金に算入しなくても良いと定められている。
このようにして、企業グルーブ内の各企業が、株式を保有し合えば、各企業の利益による配当をグルーブ内の企業で、税金を払わずに内部留保することも可能になっている。
この受取配当金の規模だが、2003年度から9年間の合計額は65兆円に達し、このうち資本金10億円以上の企業だけで、9割を占める。
〇資本金階級別法人税平均実効負担率(2012年度)
資本金階級       税負担率   (外国税額相当分)
~1000万円以下     20.15%     20.17%
~5000万円以下     22.97%     23.02%
~1億円以下        23.45%     23.62%
~5億円以下        25.29%     25.44%
~10億円以下        23.11%      23.22%
~100億円以下        18.34%      19.43%
100億円超~         9.67%     11.54%
日本では、中小企業とは「資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社」と、中小企業基本法(第2条1項)で定められている。
その意味では、中小企業と大企業の境界線にある資本金「1億円~5億円以下」の中堅企業が、法定基本税率(25.5%)と同率の25.44%を負担しており、法人税負担率が最も高くなっている。
資本金1億円以下の法人には、中小企業に対する軽減税率(所得800万円以下の部分は15%に軽減)が適用されるため、法定基本税率(25.5%)より低くなる。
ところが、100億円超の巨大企業の法人税実効負担率は9.67%と、1000万円以下の零細企業の半分以下の税負担率になっている。
日本の税制では、企業規模に対して「逆累進課税」の構造になっている。