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2016年5月27日金曜日

田中角栄内閣が発足する1ヶ月前の1972年6月に出版された『日本列島改造論』は、一部地域に集中した工業の再配置、都市改造と「新25万人都市」の整備、これらの地域を結ぶ全国的なネットワーク整備により、経済の活力を日本列島全域に展開するという内容だった。
この本の出版は、田中角栄が通産大臣に就任して半年後に、通産省出身秘書官だった小長啓一氏に、国土開発・都市問題に関する自分なりの政策案の集大成を論文にしたいという相談がきっかけだったという。
この相談を受け、堺屋太一氏を含めた若手通産官僚、日刊工業新聞社の記者十数人が参加して、6~7時間のレクチャーを4回開き、全体の骨子を小長啓一氏がまとめ、執筆は各章ごとに担当分けをして、最終的に小長氏が文体を統一してまとめたという。
4回のレクチャーを全て聞いたのは小坂氏と早坂茂三氏だけだった。
はしがきと結びは田中角栄自身が書いたという。
執筆作業時は、総裁選は意識しておらず、田中角栄からも「1年ぐらいかけて仕上げてくればいい」と言われていたのが、総裁選挙の3、4ヶ月前に田中派幹部の二階堂進氏から突然呼び出され、「田中さん、今度の総裁選挙で総裁候補になるだろうから、間に合う良いに用意してくれ」と言われ、慌てて休日返上で仕上げた結果、総裁選出馬のマニフェストとなった。
この本がベストセラーになって、田中角栄が「じゃあ、俺も読んでみようかな」と言ったという笑い話もあるが、小長氏から本の構成や趣旨は田中に逐一説明していたので、細目を読んでみようという事だったようである。

ユーロ成立の前提には、第二次大戦の反省から、ドイツとフランスが手打ちをして、政治はフランスに任せ、ドイツはヨーロッパをそのまま強い経済力で陰から支えるというのが、暗黙の了解だった。
ところが、ギリシャの財政問題で経済力の強さを背景にしたドイツが、政治にも前面に出てきてしまった。
つまりドイツが反発を招いているのは、この暗黙の了解を破ったからなのである。
ユーロは裏にかつて米ドルに次ぐ強い国際通貨だったドイツマルクがあるので価値がある。
その強いマルクを捨てて、ドイツがユーロを支えているという背景を信頼しているのである。
ちなみにドイツは1990年の東西ドイツ統一によって、経済がガタガタになり「欧州の病人」と言われたが、1999年にマルクより信頼度の低い、安いユーロの導入により、事実上の通貨安政策を取る事で輸出力が大幅に伸び、急激に経済を回復させた。
日本は世界の中でも長寿企業が他の国に比べて、桁一つ多い。
百年企業は2万社あり、江戸時代から続く二百年企業では3千社あるという。
ちなみにドイツでは百年企業は1500社しかない。
日本の企業は、欧米の利益追求とは別の目標の下で発展したきたので、長寿企業には心得や遺訓が存在し、組織を存続させることを目標に置いた考え方が定着している。
近江商人の心得「三方よし」、つまり「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」で、みんなが満足できる商売を心がけるべし、というのは貴重な知恵である。
2010年以降、日本でも1億円を超える取締役の年間報酬を開示するようになったが、日産のカルロス・ゴーン氏の10億円をトップに、従業員と経営者の年収格差は、ドンドン開いてきている。
アメリカでは1970年代くらいまでは、従業員とトップの年収比率は1対20くらいだったが、現在は平均で1対500まで差が開いている。
役員報酬の公開が、報酬額ほ上げるほうに作用していったようである。
同規模の会社でもっと貰っている経営者がいる事を理由に、競うように経営者自らが自分の報酬を上げていったのである。
日本でも役員年収公開が、きっかけでアメリカと同様になる可能性がある。
2001年のエンロン事件後、アメリカではSOX法ができ、財務の専門知識を持った社外取締役が経営を監視することが求められるようになった。
それ以来、社外取締役が会社経営にプラスの効果を持つという研究報告が出ているが、本当に社外取締役の効果なのか、法的規制の効果なのか、景気が回復して会社の業績が好転したのか、よく分かっていない。
逆に、社外取締役の数を増やすと経営が悪くなるという研究結果も多く存在する。
委員会等設置会社とは、経営者自身の倫理ではなく、社外取締役に監視を任せる仕組みである。
自分を任命してくれた社長に悪い事は言えず、経営者は忠実義務違反で訴えられても、社外取締役に責任を転嫁では、社外取締役の方は、社内事情を知らなかったという言い逃れができる仕組みなのである。
結局は、お手盛りで役員報酬をいくらでも上げられる構造になってしまう。
この事を証明する例として、ソニーはずっと収益が上がらず赤字を続けていたのに、2005年に社長に就任したストリンガー氏の報酬は上がり続け、2012年期では4500億円の赤字にもかかわらず、役員報酬は8億円を貰っていた。
また、かつてアメリカン航空の経営陣が、業績悪化を理由に従業員の給与を340億円カットして、それを実績に200億円分をボーナスにしようとした事もある。
2011年に発覚したオリンパス事件では、バブル時の損失を歴代の社長が20年近くにわたって隠し続けていた。
この事件は日本的経営の象徴で、組織を守る為の不正だった。
興味深いのは、告発したイギリス人社長のマイケル・ウッドフォードは、前経営者たちが当然私服を肥やしていたと思って告発したのだが、そうではなかった事に驚いていたという。
アメリカのエンロン事件のように経営者が自分だけ得をするスキャンダルとは違い、日本の場合はカネボウ、東芝のように、組織防衛のために不正を働く事が多く、スキャンダルの中身がだいぶ異なる。
資本主義経済は基本的に「信用」によって成り立っている。
身近な「信用」ではクレジットカードがあり、日本もカード社会になりつつある。
しかしまだ中国ではクレジットカードは普及しておらず、中国人が日本で爆買いで使っている「銀聯(ギンレン)カード」は、デビットカードである。
日本で銀聯カードを使った瞬間に、その人の中国の銀行口座から現金が引き落とされている。
つまり銀行口座に現金が無い人は、銀聯カードは使用できない。
中国では「信用」で成り立つ資本主義経済が、まだ十分に育っていないのである。