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2016年12月31日土曜日

選挙では「一区現象」と呼ばれるものがある。
選挙区において一区となる都市部においては、自民党のベテラン政治家でも革新勢力に苦戦、または負けることがある。
浮動票の割合が多い都市部の選挙は、地方よりもその時期の話題の政治問題に流されやすい。
逆に、都市部では地方ほど個々の選挙民の利益が政治によって決定しないので、利益誘導の政治は都市に向かない。
戦後の日本を作った都市政策は集中よりも分散に偏っていたといえる。
都心の分散の中心となる政策は、1950年代末に策定され、1970年代以降に整備されていく「副都心計画」である。
戦前から戦後にかけての新宿、渋谷、池袋は、皇居を中心とした半径5キロに分散している郊外の将棋用集積地でしかなかった。
1960年に決定した「新宿副都心計画事業」では、高層ビル街化の構想が具体的に示され、1970年代後半に新宿は最も集積度の高いビジネス街に生まれ変わる。
東京は都心からではなく、周辺の地域に分散しながら発展を遂げていくことになる。
東京都心への人口集中の受け皿となっているタワーマンションが急速に増えたのは、2000年以降のことである。
規制緩和の一環として「高層住居誘導地区」が1997年に成立し、容積率の上限が600%となり、日影規制が適用除外されたことにより、超高層住宅の建築が可能となった。
タワーマンションは供給数を伸ばし、2006年には全供給戸数に占めるシェアが19.3%まで伸びている。
極めて都心に近い場所に大量の住宅供給が行われているため、東京の地価高騰が押さえられている事は、タワーマンションの功績といえる
かつての「国土の均衡ある発展」という国策を「都心集中」に切り替えた理由の一つに、バブル経済期の都市政策失敗への反省があるという。
バブル期の東京都心部の土地は投機の対象となり、土地価格が異常なまでに高騰した。
当時の安すぎる土地保有税が土地活用の邪魔をし、多くの土地保有者は有効に活用するよりも転売目的で土地を休眠状態にしたのである。
オフィスのための土地を適切に供給することで地価の高騰を抑え、土地保有税を高くすることで土地活用のインセンティブを高めることができれば、このような事態は避けられた。
バブル時代に、都心が床不足になり、郊外の人口が増え、都心のドーナツ化が進んだ。
郊外化が都市経済、都市文化にとってマイナスでしかないことは近年は常識となっている。
このような反省を踏まえて、土地保有税を引き揚げ、都心集中を規制する方針の撤回がバブル後に行われた。
これにより、1990年大以降に急成長した家電量販店やファミリーレストラン、ファーストフード産業などの郊外型ビジネスモデルにとっては逆風の時代となり、都心型店舗へのシフトを余儀なくされている。
現在の都心中心部への人口集中が始まったのは2000年代半ば以降のことに過ぎない。
2000年代前半に、日本は国土政策における大きな転換を行った。
戦後から2000年代に至るまでずっと貫かれてきた「国土の均衡ある発展」という国策を放棄したのである。
都市に集積・集中をさせない法整備として1959年に「工場(等)制限法」が制定され、大都市圏における人口過密化を是正し、経済成長の恩恵を全国に平等に配分することを目的にしていた。
しかし、2002年に同法は廃止され、かつて郊外に移転していた大学が、キャンパスを次々と都心に戻し始めてしまう。
他にも、低成長時代に入ってから施行された「工場再配置促進法」も、都市部で発展するはずの工場に、補助金の支給や優遇金利による融資を行い、地方に移転させようという趣旨の法規制だが、同法も2006年に廃止された。
これらは産業の集積にかかわる規制緩和だが、住宅に関しての都心集中に対する規制緩和として、1997年の「構想自由宅誘導地区」の成立による容積率、日影規制の緩和により、人口の都心部回帰の受け皿としてのタワーマンション建設が急増することになる。

2016年12月30日金曜日

生まれた場所、自分が育った場所から移動できる人と、移動できない人の間に、所得格差が開きつつある。
都市社会学者のリチャード・フロリダは、『クリエティブ都市論』の中で、社会的な階層の移動と地理的流動性は、密接にかかわると指摘している。
そして、それを踏まえた上で「移動する能力の有無によって、人生の可能性が大きく左右される時代が到来している」と指摘している。
アメリカ人は転居の理由に「就職または転職」を挙げるのは6人に1人以下であり、アメリカ人は自発的に移動を行い、新天地で後から仕事を見つけるのだという。
また、これまでの常識では収入格差は職業選択、それにつながる教育格差から生まれると信じられてきたが、『年収は「住むところ」で決まる』の著者でる経済学者のエンリコ・モレッティは、「今日の先進国では、社会階層以上に居住地による格差の方が大きくなっている」という。
個人の技能よりも住む場所の方が、重要になるつつあるという。
つまり、人は職業は何であれ、上手くいっている都市に移住すれば経済的恩恵を享受できるという。
「都市間格差」が広がる時代に、アメリカでは、いかに住む場所を選ぶかが、人生の成功において重要になるというのである。
毎日新聞とNHK、明治大学地域ガバナンス論研究室の小田切徳美教授による共同調査グループが実施した「地方移住」の政策による人口移動に関する実態調査がある。
調査の結果、2009年度に2864人だった「地方移住者」は、4年後の2013年度には8181人に、翌2014年度には1万1735人と、5年の間に4倍以上に増加していた。
ちなみに、2015年の東京から転出数は37万人、転入数が46万人であり、地方移住者増加数はごく僅かでしかない。
地方移住がブームのように感じるのは、メディアが大きく取り上げてるからである。
これは未来の破綻を突き付けられた地方自治体が、住宅支援、子育て支援金制度を導入すると共に、若い世代の誘致競争のPRマネーがメディアを潤しているからである。