右翼と左翼を分けるものは何か。
暴力団対策法の違憲を主張する行政訴訟の弁護に際して、無償で山口組の代理人を務めた故・遠藤誠弁護士は、マルクス主義者で、天皇制打破を掲げていた。
山口組の左傾化を心配する声が出た為、五代目山口組組長・渡辺芳則氏は、遠藤誠弁護士に次のような質問をした。
「遠藤先生は左翼だから、弁護団長を頼んでいると、山口組も左翼にされてしまうのではないかと心配する者がいる。そこでお尋ねするのですが、共産主義諸国が崩壊した現在、左翼と右翼はどこが違うのですか?」
それに対して、遠藤氏は、
「太平洋戦争の見方が一つの分かれ目で、侵略戦争と見るのが左翼で正義の戦争と見るのが右翼となっています」
と、答えた。
渡辺氏は即座に、
「そりゃ、あの戦争は侵略戦争に決まっていますよ。だって、日本の軍隊が、中国や東南アジアというほかの国を攻めこんだわけでしょう。ほかの国の縄張りを荒らしたら、侵略になるのは決まっていますわな」
と言った。
それで遠藤氏は、「そうしたら渡辺さんも左翼だということになりますよ」と続けると渡辺氏は
「それが左翼だというなら、私も左翼ですなあ」
と、応じた。