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2015年3月20日金曜日

今後、アメリカにおいて、イスラム教徒の増加が問題となる可能性がある。
これまでアメリカ国内にいるムスリムは、中東で情勢が険悪化して逃げて来た人達が大半だったが、これからはアメリカで生まれ育った黒人が、差別させる生活の中で、「本当に神のもとで平等なのはイスラム教である」と考えてムスリムに改宗する動きが起きている。
より切実な問題として、モスクに行けば食事にありつけ、食の不安は解消される。
キリスト教のイエス・キリストのような媒介物がなく、イスラム教は神様と直結している。
全てはアッラーと自分の関係なので、例えば約束の時間に遅れても、ムスリムは謝らず、「アッラーを恨むな」と言う。
「私が遅刻したのは、アッラーが遅れるようにしたからで、アッラーを恨むな」という感じになる。
待ち合わせの時間を約束しても、最後に「インシャラー」と挨拶されたら、約束の時間に来るか分からないと理解せねばならない。
インシャラーとは、「アッラーが望むなら」という意味だからである。
アメリカには深刻な「2050年問題」がある。
建国以来、圧倒的に優位だった白人が、人口数として少数派に転ずるという問題である。
ヒスパニック、今は「ラティーノ」と呼ぶことになっているが、ラティーノの人口が増加は、共和党にとって深刻な課題となっている。
ラティーノは、大きな政府主義、民主党支持者が多く、共和党が選挙に勝てなくなるという問題がある。
民主主義を錦の御旗として掲げてきたアメリカでも、民主主義を迂回する方法として、今の日本と同様に正当性が不明確な諮問会議のような仕組みが、影響力を持ってくるようになる。
エマニュエル・トッドというフランスの人口学者が著書『移民の運命』の中で、アメリカにおいて今後、次のような事態が起きるだろうと予言している。
民主主義が成立する国は限られていて、相続が兄弟間で平等な国だけである。
総軸が平等な国は、世界でもフランスのバリ盆地と地中海沿岸のヨーロッパしかありえない。
日本のような長子相続、アングロサクソンのような遺言による相続の社会では、兄弟は差別される。
アメリカの場合は、「黒人の差別の上に白人だけの平等が成り立っている」という構造があって、この構造はいくら公民権運動をやっても変わらない、黒人差別は最後まで残る、というのがトッドの見方である。

移民の運命 〔同化か隔離か〕

尖閣諸島をめぐる中国の最大の弱点は、「台湾省の中に尖閣諸島がある」と認定していることである。
中国は「尖閣諸島は台湾のもの」で、「台湾は中国のもの」で、だから「尖閣諸島は中国のもの」という三段論法で迫ってきている。
つまり、交渉において当事者である台湾を除外することができない。
よって日本として尖閣問題を軟着陸させる方法として、連邦制をとり「琉球州」とし、外交権を一部付与し、地方政府同士に交渉をさせるのである。
台湾省を実効支配しているのは、国民党政権なのか、共産党政権なのかは、中国の国内問題である。
台湾は中国の一部だと言い続けている中国の論法を逆用し、「それでは、われわれは台湾と交渉する」と切り返すのである。
中国人民軍の陸軍は、朝鮮戦争で米軍と戦闘経験があるが、海軍は15世紀の鄭和の大航海以後、日清戦争の黄海海戦くらいで、歴史的に実践経験が殆どない。
中国は航空母艦を所有しているが、歴史上、航空母艦を5隻以上、実戦で運用した経験があるのは、アメリカと日本の連合艦隊だけである。
航空母艦は最低3隻無いと、運用はできない。
中国が所有している「遼寧(旧ワリヤーグ)」は、飛行甲板の前方が上に反っているが、搭載機を発信させるカタパルト技術がないからである。
カタパルト技術は、アメリカが秘密にしており、アメリカとイギリスしか持っていない。
だから甲板を反らせて発進させる「スキージャンプ台式」なのだが、戦闘機が頻繁に墜落してパイロットが何人も死んでいる。
また「遼寧」は試験航海した後、港に戻ってからその後、出てこない。
相当のトラブルが起きたのではないかと言われている。
歴史を振り返ると、日本と朝鮮が単独で戦争をしたことはない。
日本が戦ったのは、いつも中国・朝鮮連合軍であり、歴史上、一時も朝鮮半島の単独政権と戦ったことはないる。
過去2000年の間に、日本と中国は5回戦争をしている。
唐と日本の戦争(白村江または錦江の戦い)、元寇(蒙古の日本進攻)、明軍との戦い(秀吉の朝鮮侵攻と明の介入による戦闘)、19世紀の日清戦争、1930年代以降の日中戦争の5回である。
いずれの戦争も、その始まりは朝鮮半島における勢力争いだった。
このことは、朝鮮問題についての日中対話が、歴史の経験から、いかに重要であるかが分かる。
1965年の日韓基本条約は極めて異例な条約である。
普通は条約締結両国にそれぞれ正式な文書があるが、日韓基本条約の正式な文書は英語版となっている。
日本語版と韓国版は別々にあって、お互いに相手がどのように訳していようと関知しない。
何かもめたら英語の正文でチェックするという事になっている。
だから日韓基本条約締結後に、韓国に日本が官民合わせて11億ドルを出した事について、韓国は「損害賠償をぶんどった」と自国民に説明し、日本は「独立祝い金として、経済協力のお金をあげたんですよ」と自国民に説明したのである。
北朝鮮は、ミイラが国を支配している。
金日正のミイラが「遺訓」という形で政治をやっている。
ミイラは喋らないが、新しい事態が生じた時は、過去に書かれたとされる金日正の著作が新たに見つかるのである。
まず『金日正著作選集』が日本語に訳されたもので8巻まで出てきた。
朝鮮語では10巻まであるというが、9巻以降は存在が確認できない。
その後、『金日正著作集』が44巻出てきた。
更にその後に、『金日正全集』が100巻まで出て来た。
次々と新しい著作が発見されていき、その発見に合わせて国の政策が変わっていくのである。
要するにかつてスターリンがマルクス主義を「マルクス・レーニン主義」と呼び、実質的にはスターリン主義を確立したのと同じ手法を取っている。
つまり「金日成・金日正主義」の名において、「金正恩主義」を訴えているのである。
キリスト教だと、メソジスト派だったら関西学院大学や青山学院大学、バプテスト派だったら西南学院大学、カトリックだったら上智大学、南山大学、長老派(カルヴァン派)だったら、明治学院大学、会衆派だったら同志社大学と分かれており、各派の間の交流は殆どない。
これに対し、イスラムのスンニ派のモスクには神学校が附属しているが、そこには四つの法学派(ハナフィー法学派、シャーフィイー法学派、マーリキ法学派、ハンバリー法学派)を全部教えている。
その為、原理主義そのものであり、最も過激な運動が出てくるハンバリー法学派に関する知識も皆持っている。
普段は法学派間の対立はなく、対ユダヤ教徒やキリスト教徒に対して、ムスリムという事で一致できる。
サウジアラビアというのは、「サウド家のアラビア」という意味であり、家産国家である。
30年前くらいまでは、国家予算というものが無く、国家予算とサウド家の家計が一体となっており、全てサウド家の私的財産で賄っていた。
国会も国政選挙もないが、サウド家が国民の生活の面倒を全部見てくれている。
サウジアラビアは「サウド家の土地だよ」という意味であって、我々が勝手に国家と呼んでいるだけなのである。
ヨーロッパではEUとして結集しようというベクトルと、既存国家から分離しようという「民族自決け的なナショナリズムのベクトルが混在してきている。
「EUの首都」ともいえるベルギーも南北の対立が激化しており、北部のフランドル地方に独立の動きがある。
EU本部が、ベルギーのブリュッセルに置かれた理由は、「ベルギー語」というものが無いからである。
フラマン語(オランダ語の一種)、フランス語、ドイツ語が公用語になっており、一つの国を構成しいる事から、EUの縮図のような国だったからである。
ベルギーは二度の大戦で永世中立国だったが、二度の大戦からベルギー人が学んだ教訓は、永世中立国は大失敗だったという事である。
中立を無視して侵攻したドイツが、第一次体制の時に言い放ったのは「必要は法律を知らない」という言葉だった。
周辺国が守ってくれて初めて、永世中立国は成り立つのである。
戦後、ベルギーは完全に西側の一員として、軍事同盟を組んで生き残る道をとるのである。
2014年9月18日に、スコットランドで独立可否を問う住民投票があった。
そもそもイギリスは、スコットランド、イングランド、ウェールズ、方アイルランドの4地域からなる「連合王国」で、国名自体が「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」と、国の名前にどこにも民族の要素がない。
つまり、帝国として、うまくナショナリズムを、かわして来た国なので、アイルランド独立の際も、北アイルランドの切り離しに成功させている。
スコットランドとイングランドの両者が連合王国になってから、まだ300年しか経っておらず、文化、生活習慣も融合できていない。
ボンド紙幣も、スコットランド以外ではイングランド銀行が発行している紙幣しか使用できないが、スコットランドでは現在も独自の紙幣を発行し、イングランド銀行券とスコットランド銀行券の両方が使われている。
同じく北アイルランドでも、いくつかの商業銀行が紙幣を発行している。
日本人からすると、ウクライナは黒海に面して、ヨーロッパに近いので、ロシアよりも文明的に見える。
しかし、ロシア人の感覚では、モスクワを中心として、西へ行けば行くほど貧しくなる。
そもそも「ウクライナ」とは、ロシアから見て「田舎」とか「地方」という意味で、長年そう呼ばれているうちに、そのまま国名になってしまったとも言われている。
しかも、西ウクライナはナチス協力の過去があるので、戦後もインフラ整備をしなかったから、ますます貧しくなってしまった。
日本が採用する可能性があるイスラエルの先進兵器に無人機がある。
イスラエルの無人機は、アメリカの無人機「プレデター」や「リーパー」の10分の1の値段で買え、小回りが利く。
アメリカ製の無人機は高空から攻撃して皆殺しにするが、イスラエルの無人機は、標的人物の顔写真を認識して、低空を飛んで、標的を発見すると五寸釘を発射し、標的の眉間に当て、顔が綺麗なまま殺せる。
イスラムでは、爆破されてバラバラの肉片になってしまうと、その人間は死んだとい思われず、死体がなければ死んだことにならない。
だから形を残して殺せるような兵器が必要となる。
2014年7月1日に「集団的自衛権の行使を認める」という閣議決定がされた。
今回の集団的自衛権の閣議決定には「戦闘状態の地域には自衛隊は行かない」という縛りがある。
つまり、自民党が得たのは「集団的自衛権」という文言だけで、自衛隊は出動できない体制になっている。
以前から、日本政府は国内法と国際法の立場を使い分けており、かつてインド洋での石油供給、イラクへの自衛隊派遣も、日本政府は個別的自衛権で説明したが、国際法的には集団的自衛権の行使と解釈されるのが通常である。
今回の閣議決定は、その縛りを従来よりも厳しくしてしまった。
集団的自衛権による武力行使の新三要件の一つに、「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆えされる明白な危険がある」場合という規定が加えられた。
「明白な危険」というのは、国際法的にはかなり強い縛りである。
そもそも閣議決定の文書自体を読んでも論理が錯綜していて、複数の解釈が可能になる一種の霞が関文学となっている。
この文言で、「自衛隊の海外出動を止めた」と考えるのが公明党であり、「これで日本は自衛隊を送れるようになった」と考えるのが自民党である。
ところが、社民党も共産党も、朝日新聞も「これで自衛隊が自由に動けるようになった」と自民党と同じ解釈している。