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2017年11月26日日曜日

朝鮮戦争は、休戦について合意したのみで、国際法的には戦争状態が続いている。
1953年7月27日に、北緯38度線近くの板門店で、北朝鮮、中国両軍と国連軍(実質的には米軍)との間で休戦協定が締結され、3年間にわたる朝鮮戦争は戦闘行為を停止することになった。
韓国の李承晩大統領は、この休戦協定を不服として調印式に参加せず、この協定に署名していない。
従って、国際法的に韓国は休戦協定の当事国ではない。
カトリック教会の最高責任者は、ローマ教皇である。
日本の報道では、ローマ教皇とローマ法王という表記が混在している。
これに関して、日本のカトリック中央協議会は、日本の司教団は1981年2月のヨハネ・パウロ2世の来日を機会に、「ローマ教皇」に統一することになった。
そもそも法王とは、仏法の王や宗主を示す仏教用語なので、ローマ教皇を表す言葉として不適切である。
日本の一部の保守派が持っている中国脅威論が沖縄では希薄であるという。
日本と米国は沖縄で戦闘行為を行い、沖縄人を殺害した事実がある。
太平洋戦争だけではなく、1609年の薩摩・島津軍の琉球入りを沖縄では「琉日戦争」と表現する有識者もいるという。
これまで島津軍侵攻は、「琉球征伐」「琉球入り」と称され、日本の全国統一の一環だという意見まであるが、この事件は軍事力によって強制的に他の独立国家を征服した「侵略」「侵攻」であることは明白であり、現在の研究ではそのように認知されている。
日本と比較して、中国は沖縄を侵攻したことが一度もない。
沖縄の領域で、中国の国家行為によって殺害されたり、傷つけられたりした沖縄人は一人もいないのである。
この歴史の記憶は重要であり、今も残っている。

2017年11月25日土曜日

2013年のノーベル平和賞は、外交、安全保障、軍事、インテリジェンスの専門家以外には、あまり知られていない「OPCW(科学兵器禁止機構)」が受賞した。
1997年に発効した化学兵器禁止条約に基づいてOPWCは発足している。
この条約は、サリンなど化学兵器の開発、使用を禁止し、現在保有する化学兵器については段階的に全廃することを定めている。
本部はオランダの首都ハーグに置かれ、国連加盟国190ヵ国の殆どが加盟している。
ちなみに、イスラエル、ミャンマー、南スーダン、アンゴラ、エジプト、北朝鮮がOPCWに加盟していない。
イスラエルとミャンマーは科学兵器禁止条約には署名している。
科学兵器を保有する加盟国は、貯蔵場所、数などを申告しなければならず、OPWCは化学兵器関連施設の視察や、兵器の破壊などを行う。
職員数約520人の比較的小規模な国際機関である。
国連安全保障理事会は、拒否権を持つ5大国(米露英仏中)と地域別のバランス(アジア2、アフリカ3、中南米2、西欧2、東欧1)を考慮した拒否権を持たない10ヵ国の非常任理事国によって構成されている。
非常任理事国は2年毎に5ヵ国ずつ改選される。
拒否権を持たない非常任理事国であっても、安保理の会議で発言し、影響力を行使することが可能である。
従って、どの国も安保理非常任理事国になりたがるのが常識だが、その常識に反する事件がおきた。
2013年10月17日に、国連総会で非常任理事国5ヵ国の改選が行われた。
任期満了を迎えたのは、モロッコ(アフリカ)、トーゴ(アフリカ)、パキスタン(アジア)、グアテマラ(中南米)、アゼルバイジャン(東欧)であり、新たに選出されたのが、サウジアラビア(アジア)、チャド(アフリカ)、ナイジェリア(アフリカ)、チリ(中南米)、リトアニア(東欧)だった。
ちなみに、サウジアラビア、チャド、リトアニアが安保理のポストを得たのは初めてだった。
しかし、翌18日に、サウジアラビア外務省は、安保理非常任理事国のポストを辞退すると声明を出した。
声明は、安保理について「皇道の仕組みや二重基準の存在でその責務を果たせず、平和と安全保障の崩壊ほもたらし続けている」と批判し、シリアのアサド政権に対して化学兵器使用を理由として制裁を科せなかったことやバレスチナ問題が反面できない証拠であり、改革されて機能するようになるまで理事国を受諾しないと宣言した。
ロシアは原子力砕氷船により、北極海航路を商用化するという国家戦略を持っている。
世界に存在する原子力砕氷船10隻のうち9隻はロシアに所属している。
2012年から2020年にかけて、さらに3隻以上の新世代原子力砕氷船が建造される計画となっている。
北極航路は北極海の天然資源開発にも大きな役割を果たすと見られている。
ロシアの大陸棚にある資源は、石油換算で1000億トンに上ると見られており、石油や天然ガスとしてアジア太平洋諸国への輸出が検討されている。
エネルギー会社は、2020年までに北極海ルートを経由する輸送を6400万トン、2030年までには8500万トンにまで増加させる計画を打ち出している。
第二次世界大戦で、ソ連軍の中にはウクライナ人200万人が含まれており、ドイツ軍の中にも30万人のウクライナ人が含まれていた。
同一民族が互いに敵味方になって戦ったのである。
そして、ナチス・ドイツ軍に加わったウクライナ人はユダヤ人虐殺に積極的に加担している。
ロシアが、ウクライナの権力を奪取した中に、「バンデラ主義者」、すなわち一時期、ナチス・ドイツと提携し、第二次世界大戦後に西ドイツに亡命してウクライナ独立運動を展開したステパン・パンデラの崇拝者がいるのは事実である。
米国やEUは、ウクライナ現政権の危険性を過小評価している。
2016年10月3日の衆議院予算委員会で、前原誠司衆議院議員と安倍晋三首相との間で、北方領土交渉の落としどころについて重要な質疑が行われた。
北方領土交渉を巡り、前原氏から「ご自身の中に2島先行返還論はあり得るのか」と尋ねられると、安倍首相は「交渉は一貫した交渉姿勢、4島の帰属問題を明らかにして平和条約を締結するということに変わりはない」と述べた。
この答弁で、安倍首相が「2島先行返還」を否定していないことが明らかとなった。
なぜならば、「4島の帰属問題を明らかに」することについては、5通りの可能性(日4露0、日3露1、日2露2、日1露3、日0露4)があり、この中に「2島先行返還」も含まれるからである。
1956年の日ソ共同宣言では、平和条約締結後にソ連が歯舞群島と色丹島の2島を日本に引き渡すことが約束されている。
この条約を満たすことで平和条約を締結しても、「4島の帰属問題を明らかに」することになる。
政府は従来、「4島の日本への帰属の確認」を平和条約の条件としていたのを、なし崩し的に「4島の帰属問題の解決」にすり替えてたのである。
ロシア人は、誕生日に友人に電話をするという習慣がある。
2014年9月21日、プーチン大統領は安倍総理と電話会談を行った。
プーチン大統領は安倍総理を「個人的友人」と考えているというシグナルをこの電話会談で送ったのである。
完全な独裁国家を除き、どの国てせもマスメディアの論調が国民世論から極端に乖離することはない。
新聞や雑誌は商業出版物なので、国民からそっぽを向かれるような内容だと売れないからである。
テレビも視聴率が確保できないと、広告が集まらない。
ロシア人は善良だ。
ただし、その善良さは子どもと動物に対してしか発揮されない。
by スターリン
日本老年学会と日本老年医学会が、65歳以上とされていた高齢者の定義を75歳以上に引き上げるべきだとする提言をまとめている。
提言によると、65歳から74歳までを准高齢者、75歳から89歳までを高齢者、90歳以上を超高齢者と呼ぶように、定義を変えるべきとされている。
その理由として、75歳未満の高齢者は、まだまだ若く、10年~20年前と比べて、加齢に伴う身体的機能変化の出現が、5~10年遅延しており、若返り現象がみられるからだという。
一方で、健康寿命という指標を、2000年にWHOが提唱している。介護の必要がなく、健康に生活できる間を健康寿命とする概念である。
日本の健康寿命は、2013年時点で男性が71.19歳、女性が74.21歳となっている。
ちなみに2001年時点の健康寿命は、男性が69.4歳、女性が72.65歳だった。
確かに健康寿命は延びているが、12年間の伸びは男性が1.8歳、女性が1.6歳しか伸びておらず、老年学会の「加齢に伴う身体的機能変化の出現が5~10年遅延している」という主張と大きく異なる。
2014年の財政検証で、厚生労働省は公的年金の支給開始年齢を65歳から70歳へと繰り延べる画策をしている。
実際に、一番の基本となるシミュレーションは、男性高齢者の7割が70歳まで働く前提で計算されている。
厚生労働省の「出生動向基本調査」によると2010年の夫婦の完結出生児数は1.96と、結婚したカップルは2人の子供を産んでいる。
少子化の大部分の原因は、生涯未婚化なのである。
結婚できない最大の理由は、所得格差の拡大である。
2012年度の「国土交通白書」によると、20代から30代の男性の場合、年収が600万円までの区分では、年収が上がれば上がるほど、結婚している率が高くなっている。
非正規社員に該当する年収100万円~200万円の階層では、94.2%が未婚である。
同時に、その層全体の73.1%が恋人もいないとしている。
ちなみに年収800万円~1000万円の階層では、未婚率は56%、恋人がいないのは28%に過ぎない。
今の日本は、勝ち組以外は結婚どころか、恋人も持てない社会になっている。
現在、保育園では0歳児保育に、一人当たり年間400万円以上の税金が注ぎ込まれているが、結婚して子供を産めるのは、大部分が勝ち組なのである。
レオパレス21が2016年11月に実施した調査によると、ひとり暮らしをしている20代・30代の若者の52%が、「クリスマスをひとりで過ごす」と答えており、「彼氏・彼女と過ごす」人の26%に対して、2倍になっているという。
5年程前からネットの世界では、「クリスマス」と「独りぼっち」の合成語である「クリぼっち」という言葉が使われ始めている。
シングル化は、中高年層にも拡大している。
2015年の国勢調査によると、30歳台前半男性の非混率は51%と過半数に達している。
そして非混率が大きく上昇したのは、その上の世代で40歳台後半男性の非混率は5年前と比べて4.1ポイントも上昇し、34.2%に達している。
50歳を目前に、3人に1人の男性が非婚というのが、今の日本の実態なのである。
人口学では、50歳時点で結婚していないと生涯未婚として扱われる。
つまり、もはや3人に1人の男性が生涯未婚に追い込まれる時代が来てしまったのである。
ふるさと納税の活況に、一部の自治体が制度への不満を高めているという。
ワンストップ特例制度を利用した場合、減税額は全額、寄付をした住民を抱える自治体の負担となったからである。
住民がふるさと納税をすると、その分、納税者に住民サービスをする自治体の税収が減ってしまうのである。
経済産業省が2016年に発表した「平成27年度電子商取引に関する市場調査」によると、日本の消費者向けEC市場の規模は、13兆7746億円で、5年前と比べると77%も伸びている。
取引の中でEC取引が占める割合である「EC化率」は5年前の2.84%から4.75%へ大きく増えている。
また、2015年の日本から中国の消費者向けのEC市場は7956億円で、前年比31.2%も増加している。
戦後、日本の木造住宅は20年、長くても30年しかもたないと言われてきた。
戦後の木造受託の耐久年数が短いのは、木材を石膏ボードで挟んで、木に息をさないからである。
法隆寺の五重塔が建立されたのは、今から1410年前のことであり、質のよい木材をキチンと管理すれば、木材は1000年以上の命を保てるのである。
ビジネス成功のカギは、顧客のニーズに合わせてビジネスを変えていくことである。
USJは、経営破綻の瀬戸際の際に、反転攻勢のきっかけとなったのは、園内に従業員が演ずるゾンビを投じようさせ、顧客を追いかけ回したイベントだった。
その後、ハローキティ、モンスターハンター、エバァンゲリオンなど、ハリウッド映画の世界とは全く異なるキャラクターのアトラクションを導入することで、入場者数を増やしV字回復に成功した。
ハウステンボスも、オランダの街並みの再現にこだわって、経営破綻した。
その再生を支えたのは、オランダの街並みとは全く関係のないワンピースの海賊船の導入だった。
流通業界が、高齢層を優遇し始めている。
イオンは65歳以上を対象に、ゆうゆうワオンという電子マネーを発行しており、毎月15日にイオン直営売り場で買い物をすると5%引きになり、3000円以上の買い物で100ワオンのポイントがつく。
イオンは公式には認めていないが、公的年金が偶数月の15日に支給されるからである。
スーパーのライフは、60歳以上の高齢者を対象に毎月1日と15日に5%割引をしている。
ツルハドラッグは、60歳以上を対象に、毎月15日から17日は5%割引をしている。
トイザらスは、60歳条のポイントカード会員に、毎月15日は5000円以上の買い物で1割引をしている。
その他にも、マルエツ、東武百貨店池袋店、ユニディなどで高齢者向けサービスが行われている。
こうした現象は、公的年金の支給が、流通業にとって、大きな存在感となっていることが背景にあり、60歳以上の世帯消費は、既に全消費の半分近くまで高まっているからである。
2016年度上期の関東地区のテレビ視聴率で、NHKがトップを獲得した。
NHKがトップとなるのは、異例の事態だという。
NHKは高齢層の視聴率が高いため、高齢者パワーがテレビ業界を変え始めたとも言われている。
地震保険は、法律に基づいて損害保険会社と国が共同で運営しており、その保険料は地震調査研究推進本部の地震被害予測シミュレーションに基づいて算定されている。
そのため、保険料は建物が立地する都道府県によって大きく異なっている。
例えばコンクリート造りの建物に1000万円の地震保険をかけた場合、年間保険料は10段階に分かれ、最も安い地域(岩手・長野・福岡など)の6800円に対し、最も高い地域(東京・神奈川・静岡など)では2万500円と、3倍以上の差がついている。
近年の大地震を振り返ると、中越地震のあった新潟県と阪神・淡路大震災のあった兵庫県は、保険料が下から3番目の8100円、東日本大震災で大きな被害を受けた福島県は7400円、熊本地震にあった熊本県は6800円だった。
今回の熊本大地震で明らかになったことは、地震は日本中どこで発生するか分からず、発生率の予測などできない、という事である。
だとすると、現在の地震保険料は不当な料金差別をしていることになる。
こうした問題点を解消するため、地震保険ほ補完する保険を民間が発売している。
SBIリスタ少額短期保険が、地震補償保険を出しており、最大900万円まで加入できる。
900万円の保険に加入した場合の非木造住宅の年間保険料は、東京都3万5780円、岩手県2万5820円と、保険料の地域間格差は1.4倍にすぎない。
日本は地震の活性期に入っていると言われているが、現在の地震保険の普及率は3割程度である。
1982年に、高失業率と経済低迷に苦しんでいたオランダは、政労使で「ワッセナー合意」を結んだ。
労働側は無理な賃上げを要求せず、使用者側はリストラをしない、そして政府は雇用形態による賃金や社会保障の差別を一切禁じる規制をする事となった。
それ以降、オランダの働き方は急速に多様化し、特に男性のパートタイマーが大きく増加し、副業も大きく増えた。
それも週5日を、複数の会社で働く「複業」する労働者が増えていった。
低迷していたオランダ経済は、ワッセナー合意の後、奇跡の復活を遂げることになる。
企業はリストラをしなくても、労働力の流動化によって雇用調整や人材確保がしやすくなり、複業により労働者の視野が広がった為とみられている。
2014年時点でもオランダの年間労働時間は1425時間と、フランスよりも短い。
オランダの一人当たりGDPは、4万4300ドルと、日本の3万2500ドルを大きく上回っている。
2004年に日本政府は、それまで積立方式だと主張してきた年金を、こっそりと賦課方式に変更した。
それまでは、年金は保険料を支払った本人に返るものだと言ってきたのを、支払った保険料がストレートに、その年の高齢者に支払われる事にしたのである。
つまり、年金積立金の大部分を使い込んでしまったのを認めたのである。
毎年の年金給付水準は、集めた保険料の総額で自動的に決まるという、政府にとって「100年安心」な年金制度に進化させたのである。
日本政府は、この事について一度も謝罪をしていない。
ノーベル賞の賞金や運営費は、ダイナマイトの発明で巨万の富を築いたアルフレッド・ノーベルの遺産を運用することで賄われている。
ノーベル財団が公開している資産運用をみると、運用資金の半分を内外の株式に投じているのはGPIFと同じである。
GPIFの2014年度の運用利回りは12.3%増、ノーベル財団は16.5%増となっている。
しかし、2015年度は、GPIFが4%の損失を出しているのに対して、ノーベル財団は7.3%増の利回りを確保している。
株式市場が低迷したにも関わらず、高いパフォーマンスを出しているノーベル財団は、株価が下落する前に売り抜けて、それをヘッジファンドに変更したからである。
ノーベル財団が2015年末でヘッジファンドに振り向けた資金は、資産額の3割に及んでいる。
政府が公的資金の積立金を本気で増やそうとするならば、ヘッジファンドに資金を回して、下落相場でも利回りを確保する覚悟が必要である。
2016年12月14日に、改正国民年金法が成立し、2018年度から物価下落時には適用されないマクロ経済スライドが繰越され、物価上昇時にまとめて適用されることになった。
マクロ経済スライドとは、現役世代が減り年金受給者が増えることによる年金財政の悪化を、年金給付水準を引き下げることで調整しようとするもので、2004年の年金制度改正で導入された。
年金水準の削減は、毎年1%程度だが、これまでマクロ経済スライドが発動されたのは、2015年度に一度だけであり、他の年はデフレが続いたため、見送られてきた。
しかし、この法案の成立により、デフレ下で見送られてきたマクロ経済スライドは累積され、物価上昇率がプラスになった時に、一気に発動されることとなる。
例えば3年間マクロ経済スライドが見送られたとして、その次の年に物価・賃金が3%上昇したとすると、マクロ経済スライドが3%分発動され、本来3%年金が改善されるはずが、年金の改善はゼロとなり、実質3%の削減となる。
この制度の導入により、今後は平均すると毎年1%ずつ確実に実質年金は下がっていく。
厚生労働省は、2014年6月に、年金制度の財政検証の結果を発表している。
そこでは、経済成長率の前提が異なる8パターンの将来推計が占められているが、うち5つのケースで将来的に厚生年金の書拓代替率50%が維持できるとされている。
つまり、厚生年金の保険料をしっかりと納めていれば、現役世代の手取り収入の50%の年金を保証できるとしたのである。
さらに、この5つのパターンに共通する前提は、「労働市場への参加が進む」という事である。
例えば65歳~69歳男性の労働力率は、現状49%だが、参加が進むケースでは67%と、3分の2の高齢者が働く前提となっている。
一方で、高齢者の労働力率が現状と変わらないケースでは、所得代替率は現状の62.3%から最悪35~37%まで低下し、年金が実質的に44%もカットされる事を意味する。
現在の年金制度を続けていれば、確実に年金は半額に向かって減っていく。
もしそれがイヤならば70歳まで働いて、年金保険料を払い続けねばならない社会が目の前に来ている。

2017年11月24日金曜日

「全国消費実態調査」は国民が保有する資産を調査している。
この調査では消費者自らが不動産を含む資産額を回答しているが、2014年の調査結果は、単身世帯の平均資産額が2652万円、二人以上世帯が3491万円となっている。
これに国勢調査の世帯数を乗ずると、国民全体の資産額は1707兆円ということになる。
一方、内閣府が発表している「国民経済計算」によると、家計が保有する資産は2727兆円となっている。
つまり、国全体で家計が持っている資産と、国民が深刻している資産の間には、1000兆円もの差があることになる。
ちなみに米経済誌「フォーブス」の2016年米長者番付トップ10をみると、上位8人が保有する資産額は日本円で50兆円であり、いかに1000兆円の誤差が大きいかが理解できる。
国際決済銀行の統計によると、既に日本が英米を抜いて世界最大のタックスヘイブン利用国になっている。
資産調査に表れない1000兆円は、富裕層がひっそりと資産を抱え込んでいると思われる。

2017年11月23日木曜日

2017年3月27日に、配偶者控除の適用上限を配偶者の年収103万円から150万円に引き上げる税制改正法案が成立した。
これによって、妻の年収が150万円までは夫の配偶者控除を受けられるようになった。
今回の配偶者控除の上限引き上げは、配偶者特別控除の拡充によって行われ、変更点はそこだけである。
つまり、夫の所得税に関しては変化はあるが、妻の所得税に関しては変化はない。
これまでは配偶者控除を受けようとするならば、妻に所得税がかからない年収103万円以下に抑えねばならなかったが、配偶者控除の上限が150万円に引き上げられても妻の年収が103万円を超えると、今まで通り妻には所得税がかかってくる。
しかも、妻の年収が130万円を超えると、厚生年金や健康保険の保険料も支払わねばならなくなる。
つまり、配偶者控除の適用上限が拡大したからといって、余分に働くと妻の税金や社会保険料が増えてしまう可能性が高い。
例えば、今回の制度改正に合わせて、妻が余分に働き、年収が103万円から150万円に増えたとすると、年収は47万円増えるが、同時に税金が3万7000円、社会保険料が22万5000円増えるので、手取りは20万8000円しか増えない。
余分に稼いだ金額の実に56%が税金と社会保険料で引かれてしまう。
政府が「150万円まで配偶者控除の適用が拡大される」と広報すれば、真に受けて働く時間を増やす女性は増え、税収と社会保険料が増えることになる。
仮に労働時間を増やす女性がいなくても、配偶者控除拡大の財源は、世帯主の年収が1120万円を超える専業主婦世帯への増税で確保されている。
だから、政府にとって配偶者控除拡大は、女性が労働時間を延ばせば延ばすほど収入が増えるという、政府が仕掛けた罠なのである。
超高齢社会が進む中、今後益々、医師不足は深刻になるのは明らかである。
国際医療福祉大学は、成田市が23億円相当の土地を無償貸与している他、建設費用の半分に相当する80億円を成田市と千葉県が負担している。
その大きな目的は、地域医療への貢献、すなわち医師不足への対応のためである。
獣医師不足の問題よりも、医師不足の問題の方が、国民にとってより大きな課題である。
ヤマト運輸は、2017年4月18日にサービス残業をしていた社員4万7000人に対して、総額190億円の未払い賃金を支給すると発表した。
この支払で、ヤマト運輸の営業利益が前期比で半減してしまった。
こうした事態を受けて、ヤマト運輸は、長時間労働の一員となっていた「20時~21時」配達時間帯を「19時~21時」の2時間枠に各隊するとともに、昼休みを取れるように「12~14時」の枠を6月中に廃止すると発表した。
また再配達受付の締切時間を20時から19時に1時間繰り上げた。
残業代を全額支払うようにすれば、おのずと働き方は変わるのである。
働き方改革を進めるために必要な事は、労働時間を規制するのではなく、残業代を全額支払い、もともと違法であるサービス残業を禁止すれば良いのである。
2016年7月の参院選で当選した議員121人の「資産等報告書」が公開され、1人あたりの平均資産額は2990万円と、3年前の選挙より780万円少なくなっている。
国会議員の資産額が少ないのには、カラクリがある。
今回の資産公開は、国会議員資産公開法に基づいて行われているが、法律上、資産公開に含めなくてもよい資産がいくつもある。
一つは「株式」である。
資産家の多くが、創業した会社がIPOしたり、親族から相続した株式が値上がりする事で資産を増やして行く。
国債などの債券は、資産公開の対象になっているのに、株式だけを公開しない理屈は通らない。
もう一つは「普通預金」である。
定期預金は公開対象だが、普通預金は公開しなくてもよい。
定期預金でも利息は殆ど付かないのだから、定期預金を解約すれば、資産を隠すことができる。
2011年にニコラス・ジャクソンの『タックスヘイブンの闇』という本が英国でベストセラーとなった。
この本によると、タックスヘイブンが保有する資産は、全ての銀行資産の半分、対外投資の3分の1にも達するとされている。
2016年4月14日に熊本地方を襲った地震は、甚大な被害をもたらした。
熊本には100年以上大きな地震が無かったし、政府の地震調査委員会もこの地域の30年以内の大地震発生率を「不明」と評価していた。
不幸中の幸いは、この地域に原子力発電所が立地していなかったことである。
ところが、2016年4月18日に、臨時会合を開いた原子力規制委員会は、鹿児島県の川内厳罰を運転停止する考えのない事を発表する。
しかし、今回の熊本地震は中央構造線として日本最大の活断層の一部で起きている。
断層のズレは3メートルに及び、その延長上に川内原発と伊方原発が立地している。
政府は2015年に2030年度の望ましい電源構成(ベストミックス)の中で、原発比率を20~22%にすることを決定している。
この水準は、いま生き残っている全ての原発を再稼働させるという事である。
第二次安倍政権が発足する直前の2011年度の法人税(地方税を含む)の実効税率は40.69%だった。
それが毎年引き下げられ、2017年度からの予定を1年前倒しし、2016年度から29.97%へ引き下げられた。
この5年間で10.72%も引き下げられたのである。
法人税率の度重なる引き下げで、法人は4兆2880億円もの減税となっている。
政府予算案で、基礎的財政収支の赤字が10.8兆円もある事を考えると、法人税減税を補う新たな税収が必要となる。
安倍政権発足後、労働市場で非常に興味深い現象が起きている。
労働市場に関わりのある15歳以上の人口を「労働力調査」でみると、安倍政権が発足した2012年から2016年までの4年間で1万人増とほぼ横ばいなのに、労働力人口は108万人も増えている。
労働市場には、労働力率(労働力人口÷人口)の上昇余地を残している層が3つあると言われてきた。
若年層、女性、高齢層である。
それぞれの層の4年間の労働力人口の増減をみると、若年層(15~24歳)は27万人増、女性(25~59歳)は60万人増、高齢層は90万人増となっている。
つまり近年の労働力人口増加の主役は高齢層だったのである。
高齢層の労働力率の4年間の増加ポイントをみると、60~64歳がプラス5.3%、65~69.歳がプラス5.8%、と60歳後半の労働力率が大きく上昇しているこが分かる。
政府は年金支給開始年齢の繰延に合わせて65歳までの継続就業を推進しているが、実態は既に70歳まで働く方向へ変化が起きているのである。
高齢者の労働力率上昇は、バブル期にも起きている。
つまり、人手不足が高齢者の働き口を開拓したのが理由である。
日本が高齢就業シナリオを採るためには、今後も人手不足の状態が続くように好景気を保ち続ける必要がある。
太陽光発電は、電力使用量が最も増える夏場の日中に大きな出力を発揮するため、福島原発事故以後、日本の原発が全停止するなかで、夏場の電力ピークを乗り切る事ができている。
しかし原発無しでも電力を賄えるという事態は、原発村の住人たちを慌てさせてしまった。
そこで、2012年度に全量買い取り制度が導入された際には単価40円から、毎年買取価格が切り下げられ、2017年度には21円と5年で半額となってしまい、支払っている電気代の単価よりも安くなった。
さらに2015年から無制限無補償の出力制限が導入され、電力会社の電気が余ったら太陽光発電を買取らなくなった。
政府がエネルギーは本計画で示した再生可能エネルギーの電源割合22~24%という水準に達していない現状で、太陽光発電への新規参入は失速してしまった。
2017年度の税制改正で、発泡酒、第三のビールの酒税を10年かけて一本化することが決まった。
現在、ビール類は350ml缶あたり、ビールは77円、発泡酒は47円、第三のビールは28円の酒税がかかっている。
これを2018年から三段階に分けて変更し、2026年には55円で統一するというのである。
現在の日本のビール類の税率は国際的に見て異常な高さとなっており、海外のビールの税金は、日本の第三のビールの税金よりもずっと安い。
また、発泡酒や第三のビールは、メーカーの努力により、プリン体ゼロ、糖質ゼロという機能を持つようになっており、世界的に健康志向が強まる中、日本のビールメーカーの国際競争力を高めるためには、ビールよりも機能性の優れた発泡酒や第三のビールの開発を強化すべきという面もある。
産業革新機構は資本金2800億円のうち95%を政府が出資している。
その他に1兆8000億円の政府保証枠が与えられているので、実質は政府そのものである。
投資決定は7人の産業革新委員が行う事になっているが、委員長だった吉川弘介氏は東大工学部長から東大総長まで務めた学者で、機構がシャープとの出資交渉から撤退を決めた当時82歳だった。
その他の委員は財界や医師などの有識者で構成され、その平均年齢は67歳だった。
業界の内情を理解している経済産業省の官僚が投資決定をした方がマシである可能性もある。
2兆円以上の税金を投入する意思決定をする現在の機構の体制を見直す必要がある。
2016年8月12日、台湾の鴻海精密工業は3888億円の出資金を支払いシャープを買収した。
シャープの経営再建のスポンサーは、鴻海と官民ファンドの産業革新機構が争っていた。
産業革新機構は3000億円出資に加え、2000億円の融資枠を設定し、主力取引銀行にも最大3500億円の金融支援を求めるというものだった。
一方、鴻海は7000億円規模の出資を行い、太陽電池事業を除いてシャープを分社せず、40歳以下の従業員の雇用を維持、役員交代を求めず、銀行にも追加融資を求めないというものだった。
圧倒的に好条件の鴻海の提案をシャープは選んだが、契約直後にシャープが提出した、今後3500億円もの債務が発生する可能性があるという「偶発債務リスト」でが原因で、支援条件を大幅に引き下げられてしまった。
しかし、偶発債務リストの中には「地震による津波で工場が被災する」といった発生確率の少ないものも含まれていた。
最終的に、鴻海の出資額は産業革新機構と大差のないレベルに大幅減額となり、高橋社長は退任、銀行も新たな融資枠を求められることとなった。
偶発債務リストの提出経緯については、今後徹底追及されねばならない。
2016年4月から電力小売りが自由化された。1995年から大型ビル群を対象に始まった日本の電力自由化が最終段階を迎えたことになった。
全面自由化がスタートした時点で250社超が新規参入し、1年後には400社以上に増えている。
新電力会社が乱立することで心配されるのが、電力供給の安定性であり、自由化で先行しているアメリカでは、カリフォルニアで大規模停電が起きてしまった。
日本では同様の事故が起きない仕組みになっている。
新しい電力会社と契約しても、実際に電気が流れてくるのは現在使っている送電網であり、万が一、新電力会社の設備が故障して送電がストップしても、他の電力会社がその分を供給する仕組みになっている。
また、新電力会社が経営破綻しても、一時的には割高な電気料金を払う必要はあるが、別の電力会社と契約するまでの短期間であり、電気が止まるという事はない。
しかし、携帯電話の自由化ほどの大幅な割引をする新会社が存在しない。
携帯電話が最初に登場した1979年には基本料金が月額3万円、通話料は6.5秒で10円だったが、最近ではかけ放題の通話料込みで月額1000円を切るプランまで登場している。
理由は、携帯電話と違い電気を作るのに大きなコストがかかるからである。
携帯電話は、アンテナ網のインフラ整備が一度できれば、加入者を増やしても変動費は大きくない点が、電力供給と決定的に異なる。
今後、原発か゜再稼働していくと、既存電力会社の発電コストが大きく下がっていく。
福島第一原発の事故以来、既存電力会社は厳罰の停止によって、3割ほど電気料金を引き上げている。
原発が再稼働した場合、新規参入組の電力会社は料金面で対抗が厳しくなる可能性もある。
競争の結果、生き残れる新電力会社の数が少ないことは十分予想できる。
2017年2月10日に行われた日米首脳会談で、通商関係に関して、麻生財務大臣とペンス副大統領の下に置かれる「日米経済対話」の枠組みで行われることになった。
通常、通商関係の交渉は経済産業大臣の所管であり、この枠組みの異常さを感じる。
今回の首脳会談には当初同行予定だった世耕経産大臣は同行させず、アメリカ側は麻生財務大臣の同行を強く求めたのである。
麻生大臣の下で通商交渉を行うことで、アメリカ側には2つのメリットがある。
一つは通商交渉に手慣れた経済産業省の官僚を遠ざけることができ、もう一つは通商交渉の場面で為替を人質に取ることができる事である。
為替介入の実行者ゆ日本銀行だが、指示をしているのは財務省であり、第二のプラザ合意という脅しをかけてくる可能性がある。
米韓FTAの締結によって、畜産や医療の分野で大きな被害が出ていることを考慮すると、今後の二国間交渉の中で、TPPよりも更に踏み込んだ譲歩を迫られる恐れもある。

2017年11月18日土曜日

内閣参与の浜田宏一氏が、2016年8月に発表されたプランストン大学のクリストファー・シムズ教授の論文を読んで、自分の考え方の誤りに気付いた事で一躍有名になった「シムズ理論」というのがある。
シムズ理論の骨子は「実質政府債務が将来のプライマリーバランスの割引現在価値と一致するよう物価が調整される」というものである。
この理論に基づいてシムズ教授は、「アベノミクスの金融緩和でデフレが脱却できない理由は、物価目標を達成する前に消費増税をしたからだ。今後は物価目標を達成するまでは、少なくとも消費税増税を凍結すべき」と主張している。
学者の間では、シムズ理論の評価は大きく分かれているという。
政策の方向性は正しいが、この理論に関して疑問があるのが、国民はプライマリーバランスの割引現在価値などという難しいことを考えて行動していないからである。
消費税率を2019年10月から10%に引き上げたら、デフレ脱却が更に遠のくのは間違いないが、消費税増税凍結でデフレ脱却ができるかは疑わしいと言わざるを得ない。
なぜならば消費税増税凍結では、消費者の実質所得が増えないからである。
実質所得を増やし、デフレ脱却を確実にするためには、消費税率を5%に戻し、将来の再引き上げを明確に否定するしかない。
日銀が保有した国債は、日銀が保有し続けている限り、元本返済の必要がない。
そして、日銀に支払った国債金利は、日銀剰余金の国庫納付という形で政府に戻ってくる。
Airbnbは、2008年にアメリカで創業され、世界192ヵ国で80万以上の民泊情報を提供しており、非公開企業ながら時価総額は3兆円と、トヨタ自動車を上回っている。
しかし、Airbnbの従業員は500人余りであり、その程度の人数しか食わせることができない。
一方、トヨタ自動車の従業員は連結で35万人もいる。
雇用を生み出すという社会貢献の面では、Airbnbはトヨタ自動車の1000分の1に過ぎない。
デフレ傾向は、2017年に入ってからも続いている。
セブン-イレブンは2017年4月19日から洗剤や歯磨き粉など61品目を平均5%値下げしている。
インオも4月17日からプライベートブランド商品のうち15品目を値下げしており、またナショナルブランド商品の239品目を順次値下げし、平均で1割の値下げとなっている。
アベノミクスによって経済全体は潤っているが、消費税増税による物価上昇もあり、実質賃金は安倍政権発足当初より3.5%も減っている。
2016年の企業の内部留保の総額は、418兆円にも達している。
2015年度のGDPが532兆円だから、日本企業はGDPの8割の資金を貯めこんでいることになる。
法人企業統計では、内部留保を「利益剰余金」と表示しており、「現預金」の額も181兆円と3年前より21%も増えている。
企業のCEO達に対する市民の信頼は、ほぼ最低レベルにまで落ち込んでいる。
ある調査によれば、小売店の店主を信用する一般市民は75%あるのに対し、軍人を信用する人は73%、医者を信用する人は60%、そして企業の経営者を信用する人は25%にすぎない。
これは中古車ディーラーを信用する人の23%をわずかに上回る数字だ。
by ジョン・C・ボーグル
  (バンガード・ミューチャルフンド・グループ創始者)
世界には二つの種類の人間がいる。
安全を求める人間と自由を求める人間である。
安全と自由は正反対のものである。
一番警備が厳しく、「安全な」場所は重罪人を収容する刑務所であり、そこにいる人達が、一番自由がないのはそのためである。
フォーブス誌は、「ビッグビジネスオーナー」、つまりロバート・キヨサキが提唱する「Bクラドラント」のビジネスオーナーの定義を、「500人以上の従業員ほ抱えるビジルスをコントロールする人」だとしている。
この定義こそが、Bクワドラントでの成功には、リーダーシップのスキルが不可欠な理由である。
プロの投資家は、「値段」ではなく、「価値」に投資する。
そして平均的な投資家はたった一つの金儲けしか知らない。
それは安く買って高く売る方法である。
一方、プロの投資家は安く買い、他からの助けも借りて、そこから収入を得て、資産を末永く成長させる方法を好む。
本質的価値とは何かが理解できると、投資家の中に他の投資家よりもずっと多くのお金を儲ける人がいる理由が理解できるようになる。
資産の価格は確かに大事だが、多くの投資家がそうしているように、毎日チェックするものではない。
ウォーレン・バフェットは、ビジネスを買う時に、その値段に充分な注意を払うが、その後は株価が上がろうが下がろうが、彼は全く気にしない。
バフェットは大抵の投資家のように株の上り下がりで儲ける投機をしてるわけではないからである。
バフェットは、ただ株式を所有するだけでなく、ビジネスを所有する。
そして、バフェットがビジネスを買う時に注目するのは、経営陣がしっかりしているかどうか、そして会社の価値が長期的に見て上がるかどうかという点であり、ビジネスの価値が加速度的に複利で上がっていくかどうかで、投資を判断しているのである。
「不動産」を意味する英語「real estate」の「real」は「王の」を意味するスペイン語から来ている。
つまり、real estateを文字通り解釈すると「王の資産」ということになる。
農耕時代に、事実上、王族と小作農民の2つしか階級が無かったことから生まれた言葉である。
この時代、王族が土地を所有し、小作農民はその土地に住み、そこを耕した。
そして、王の土地に住ませてもらう「家賃」として、収穫の一部をいわば税金として王に払っていた。
今でも、私たちは不動産を所有している訳ではない。
私たちの土地を持っているのは政府であり、固定資産税という税金を政府に支払っている。
この税金を払わずにいれば、その不動産を本当に所有しているのが誰かが、ずくに分かる。
投資対象である資産をコントロールする力を持っていないために、「投資は危険だ」と感じている人は多い。
確かに、貯金、株式、債券、投資信託などの金融資産の場合、自分でコントロールできる部分は、ごく僅かである。
リスクとは「コントロールする力を自分で持てないこと」である。
自分でコントロールできる投資をしていれば、結果的に、人生そのものをコントロールする力を自分の手で握っていられる。
安定した仕事を失うことを人が心配するのは、雇い主から与えられた自分の仕事をコントロールする力を持っていないからである。
従業員の殆どは、どんなに高給を取っていようと、勤めている会社の所有権を持っていない限り、会社をコントロールする力も、自分の仕事が将来どうなるかをコントロールする力も持っていない。

2017年11月14日火曜日

みんな天国に行きたいと思っている。
でも、誰も死にたいとは思っていない。

2017年11月11日土曜日

自分で考えることは何の役にも立たないと教えられた何万人もの学生がビジネススクールから吐き出されていることが、私には大いに役立っている。
ウォール街は、ロールスロイスに乗った人が、地下鉄で通勤する人にアドバイスをもらいに行く唯一の場所だ。
by ウォーレン・バフェット
最高、最良の勝利は己を克服することである。
by プラトン
人間は、繰り返し何かを行えばそういう人間になる。
従って、優秀さは行動ではなく、習慣である。
by アリストテレス
狂気とは、同じことを何度も繰り返しながら、異なる結果を期待することだ。
by アインシュタイン
私は、昨日よりも賢くなっていない人は評価しない。
by アブラハム・リンカーン
金や銀の価値が上昇するだろうということは、私には分かっていた。
それは、この国を治めている政治家たちが、お金を使うのも借金をするのも、またお金を印刷するのも辞めないということを知っていたからだ。
つまり予測可能だったのは金や銀そのものについてではなく、この国の政治的指導者たちの財政能力の無さだった。
彼らは問題を解決しない。ただ先送りし、問題を大きくしているだけだ。
彼らの行動は予測可能だ。そして共和党だろうと民主党だろうと変わりがない。
by ロバート・キヨサキ
ベートーベンは革新的なことをやっている。
彼はその壮大な交響曲第九番に人間の声、つまり合唱部分を付け加え、聴衆をびっくりさせた。
「歓喜の声」は今では万人に知られていて、その歌のない第九など想像できないが、当時は革新的なことだと考えられて、一大センセーションだった。
彼がこの交響曲の草案を書いたのは1811年のことで、初演は1824年であり、実に13年間に渡ってじっくり時間かをかけてアイデアが練られていったということである。
ポーカーをやっていて20分たっても誰がカモか分からなかったら、カモはあなただ。
by ウォーレン・バフェット
世界で最も裕福な投資家であるウォーレン・バフェットは、分散投資について次のように言っている。
「分散投資は無知に対する防衛策だ。自分のやっている事が分かっている人には殆ど意味がない」
「分散する」という言葉にも多くの意味があるが、一般的には1つのカゴに全部を入れないことを意味する。
しかし、バフェットは全部入れており、「卵を1つのカゴに全て入れておきなさい。ただし、カゴをよく見張っていることだ」と言う。
大抵の人にとって分散投資が、いい戦略となる理由は、無知な投資家自身や無能なアドバイザーから守ってくれるからである。
「頑固者であること」も勝者であるためには大事なことであり、あきらめるのが速すぎて失敗した人は多い。
ソーダ―水が好きな男が、スリー・アップと名付けた商品を作ってビジネスを始めた話がある。
スリー・アップは失敗だった。
そこで、今度はフォー・アップと名付けたソーダ水でビジネスを始めた。
それも失敗すると、彼は商品名をファイブ・アップに変えて、また一生懸命に売り込んだ。
でも、また失敗だった。
それでもソーダ水に対する自分の愛情が変わらないことに気付いた男は、シックス・アップと名付けた商品でまた商売を始めた。
それが失敗した時、ついに男はすっかり諦めてしまった。
ところが、数年後、他の人が新しい清涼飲料水を作り、それを「セブン・アップ」と名付けたところ大当たりした。
米財務省によるとワシントン(1789年)からクリントン(2000年)までの42人の大統領が外国政府や金融機関から借りたお金の総額は1兆100億円だという。
そして、2000年から2005年の間に、ブッシュ政権下のホワイトハウスは、1兆500億円の借金をした。
これまでの全ての政権の合計をも上回る額だった。

2017年11月7日火曜日

社会保障制度の原点は、16世紀の貧困法であり、ビスマルクにある。
しかし、貧困法は最下層の人間を放っておくと疫病を広げてしまうとか、暴動を起こすかもしれないとか、そういう状況を抑え込むために、一定の生活を保障せねばまずいという発想で、施しという形でできた。
ビスマルクの社会政策は、鉄血宰相が考え出した社会保障制度だから、要するに革命を起こさせないためのものだった。
今の世の中の社会保障や人権の擁護は、それを超える必要がある。
IMFが最近、グローバル社会は格差の拡大に目を向けねばならないと言い出しているが、それは社会的に危うい現象だと言える。
同一価値労働同一賃金は、国際労働機関(ILO)も打ち立てている概念であり、労働者側に立った概念であるため、その概念自体には問題はない。
しかし、経団連が言っている同一価値労働は異なり、企業にとって同じ付加価値を生み出す労働が同一価値労働であり、それに同一賃金を払うと言っている。
企業にとってどういう役に立つかという発想から、同一労働の価値を決めようというのである。
労働者の権利をどう守っていくかという観点を持つのがガバナンスだが、その認識は全くない。
企業は、労働「者」を労働「力」としてしか見ておらず、人間か不在なのである。
勤務評定的足論を持ち、企業側がその労働が有益かどうかを判断するのである。
かつて日本の財界には、経済同友会と日本経済団体連合(経団連)、日本経営者団体連盟(日経連)があった。
日経連はアカ対策で、会社の中の共産党潰しを役目とするので、財界労務屋と言われた。
同友会は、好意的に言えば、社会的責任を強調した若手経営者でスタートした団体だった。
経団連は政財界の緊張関係を保っているところもあったが、現在は日経連を吸収して、労務屋の発想しかなくなった。
かつては、財界総理や財界四天王などと呼ばれ、総理大臣でも頭が上がらない財界人が存在した。
彼らが市民的な監視人の役割を多少なりとも果たしていた面があったが、現在は完全に消え去ってしまった。
大平正芳総理の娘婿は森田一で、その娘の渡邊満子が一時期、民進党の玉木雄一郎の公設秘書をしていた。
彼女が書いた『祖父 大平正芳』を読むと、もはら民進党に期待をせざるを得ないほどに、宏池会は自民党の中で居場所がなくなった事が理解できる。
それを象徴しているのが、大平正芳の孫である。
加藤紘一が言った「観念保守」と「生活保守」の区分けで言えば、現在の自民党は観念保守だけになってしまったということである。
キリスト教圏の中でもイギリスはどこかいい加減なところがある。
ヘンリー8世がいい加減の技を編み出した。
イギリス国教会のやっていることや中身や主張、守るべき儀式や秘蹟はカトリックと殆ど同じたが、唯一違うのは協会の上に王室があることと、司祭の結婚が認められていることである。
だからイギリス国教会には、魂が抜けたカトリックのような一面がるある。
カトリックの肝心なところを崩して、王様がやりたいようにできるという、良いとこ取りの世界をヘンリー8世が作ってしまった。
カトリックというのは面白い言葉で、Catholicと書くと「カトリック教会」や「カトリック信者」を意味するが、catholicと書くと、「多面的な」「多様な」という意味になる。
悪く言えば「いいかげんな」という意味である。
「アルコールの趣味はcatholicです」と言うと、どの種類の酒でも構わずに飲む、多品種大量飲酒だという意味になる。
だから、「寛容な」「寛大な」と言う意味にも通じる。
そういった意味では、カトリック信者はいいかげさが特徴だとも言えなくもないという。
鎌田慧氏の『自動車絶望工場』は、今で言う非正規労働の現場をルポルタージュした世界てせも先駆的な名著である。
この本の原題は『トヨタ絶望工場』だったが、出版直前に横槍が入り、土壇場でトヨタの名前が消されたという。
その英訳版が出版されるに当り、イギリスの社会学者のロナルド・ドーアへ序文が依頼された。
するとドーアは、トヨタのヨーロッパ支社に電話して、『自動車絶望工場』に書かれている悲惨な状況が今どうなっているのかと質問したという。
そうしたら、ヨーロッパ支社の上層部が飛んできて、そんなどこの馬の骨か分からない人が書いた本に、ドーアさんのような碩学が本当に序文を書くのかと言ったという。
ドーアの面白いところは、そのいきさつを全て序文に記載してしまい、英訳版は序文だけで、凄い厚みになったという。
欧州の知識人は、巨大な相手に怯まない面がある。
マルクスは革命家ではない。
本当の意味での革命家は、レーニンである。
本質的にマルクスは研究者であり、『資本論』は、資本の運行メカニズムを解明するために書いたのであり、革命運動のプロパガンダのために書いたのではなく、革命マニュアルでもない。
マルクス自身が、自分はマルクス主義者ではない、と言っている。
イギリスを発祥とする「シャドー・キャビネット(影の内閣)」は、政府が出した政策を吟味して批判し、状況によっては提案の問題性を炙り出すために対案を示してもいいが、その本意は批判であり徹底吟味である。
そのために一対一の対応として影の大臣を置く。
政府のやることを調べ上げ、揚げ足を取り、悪口を言い、問題点を掘り起こす。
それをやる担当が「影の内閣」の意味である。
だから与党が野党に対して、「対案を出せ」というのは、議会民主主義上のルール違反である。
与党と野党が対等な位置づけで対案合戦をするのが議会ではない。
提案をしなければならないのは与党であって、野党はそれを精査・審査・評価する側であり、批判的審査員に徹すべきである。
ところが、民進党はかつては「影の内閣」と言っていたのを、ある時から「次の内閣」と言い換えた。
「影」と「次」では全く姿勢が異なってくる。
自ら「次」などと言ってしまうから、相手から「対案を出せ」という土俵に必死での労としてしまったのである。
野党は反対するためにいるのであり、それが我々の仕事だと、堂々としているべきである。
経済学が、大恐慌を予見することができなかった事への反省として、自然科学へのコンプレックスから、計量経済学や理論経済学が生まれたという一面がある。
実験できないものは科学ではない、唯一の解答が出ないものは科学ではない、再現性がないと科学ではない、といった言い方に経済学が、社会科学というものはそういうものではない、経済学は人間の営みであるから自然科学とは異なるのだと、力強く逆襲できなかったのである。
だから自然科学と同様の客観性や再現性や実験性があると仕立てようとして、どんどん数学にのめり込んでいったという経緯が一つの問題としてある。
更にコンピューターが出現して、それを使うことができない学問は現代の学問ではない、という発想がビックデータコンプレックスを生んでいる。
経済学の祖であるアダム・スミスは、むしろ文学的な表現を使って、人間の営みとしての経済学を語っている。
ケインズも同様である。
そうした経済学の流れから、近代経済学がどんどん遠ざかってしまった。
ジョン・F・ケネディ大統領の就任演説だった「祖国があなたのために何をしてくれるかを問うなかれ。あなたが祖国のために何ができるかを問うべし」で、当時のアメリカ国民は盛り上がった。
これは猛烈に全体主義的なメッセージである。
面白いのが、ここでケネディは「カントリー」という言葉を用いている点である。
「ネーション」を使えば、民族主義的になり、「ステート」を使えば国家主義的となり、どちらもひんしゅくを買っただろう。
だからケネディは、あえて「カントリー」を使ったのである。
これは、なかなかの策略に満ちた発想である。
都会を意味するタウンと違い、「マイ・カントリー」と言えば、出身国を意味する上に、故郷、郷里、田舎のニュアンスがあるからこそ、カントリーという言葉が、アメリカ人の心を掴んだのである。
国家ではなく祖国というニュアンスを出すために、カントリーを意図して選んだのである。
昭和2年の金融恐慌の際に、最初に東京渡辺銀行が破綻した。
破綻によって取り付け騒ぎが起きるのに備えて、大蔵省が緊急措置として200円札を発行した。
しかし、緊急性を優先したため、表面だけ印刷して裏面は真っ白だった。
これがいわゆる裏白紙幣である。
そして、この紙幣を使った人が逮捕されてしまう。
大蔵省から警察への連絡が行き渡っておらず、警察は裏白紙幣の存在を把握できていなかったのである。
本物とニセモノは、全く違うものではなく、すごく近いものなのである。
裏白紙幣のエピソードで理解すべき事は、裏が白いから信用されないというわけでは無く、発行主体に対する信頼が無くなってきたからいかがわしく思われたという点である。
政府や中央銀行が信頼性を持っている限り、表だけ印刷されている紙幣でも問題はない。
突き詰めていくと、信用されているかどうかが、通貨が通貨であるかないかの核心である。
その意味では、全ての通貨は基本的には仮装通貨と言える。
金貨と銀貨では金貨の方が価値が高いと決めているのは、人間であって、それを人間がお互いに約束し合っているから価値を認められているだけである。
ポーランド人のルドヴィコ・ザメンホフが考案したエスペラント語は、世界共通語を目指してつくられた言語である。
1905年に第1回世界エスペラント大会が開催されるが、第一次大戦後、国際連盟創設への流れの中で、世界平和と言う理念の一環として注目され、エスペラント語は更に広がっていった。
一方でエスペラント語は厳しく弾圧された。
スターリン体制に抵抗したユーゴ―のチトー大統領は優れたエスペラント語使いだったが、チトーも権力を持つようになると弾圧する側に回ってしまった。
スターリン体制下では、文化領域では切手収集家とエスペランティストが顕著に弾圧された。
切手収集は海外との文通という国際性を持つ趣味であり、エスペラント語もまた世界につながるものだったからである。
エスペラント語は、あくまで国際性に向かう手段に留まるものという意味では、通貨に似た面がある。
ちなみに、石原莞爾は満州国にエスペラント語を採用しようとしていた。
そこには、英語への強い反発があり、英語ができる、できないで人間を測るなんてとんでもないと、書き残している。
エスペラント語を共通語にして、満州に五族協和の右翼ユートピアをつくろうという高層は、大日本帝国の命運とともに消え去り、現地の人々に日本語を押し付けた負の歴史が残った。
徳島に『あわわ』というタウン誌を発行していた住友達也という人がいる。
2015年に『ガイアの夜明け』で紹介されたが、彼は買い物がままならない「買い物難民」の問題ほ解決すべく、小型の移動販売車「とくし丸」を過疎の地域に走らせた。
「とくし丸」は週2回、400品目を載せて、民家の軒先まで出張販売にいく。
自身の高齢の母親が買い物難民化していたのが動機だという。
住友氏はこの事業を始める前に、カタログハウスの創業者・斎藤駿氏に相談したところ、絶対に失敗すると言われたという。
しかし、「とくし丸」は大変好評を博し、現在では全国の過疎地域を走っている。
意外な事に、都会のど真ん中の四谷でも走っている。
小型移動者を走らせる人達は事業パートナーで、それぞれは個人営業で、商品は地元のスーパーから販売代行を委託される形になっている。
しかし、それだけでは採算がとれないので、1品目の買い物につき、購入者に10円を負担してもらう事で利益が出るという。
こうやって地道に始まった「とくし丸」は、現在では大手メーカーから競って新商品を積んで欲しいと頼まれる存在となっているという。
「とくし丸」での売れ行きが、高齢者のマーケットリサーチになるからだという。
住友氏が決めたことの一つに、地元スーパーや小売店が残っている地域には進出しない、という共存共栄の理念がある。
加藤紘一は、保守には「観念保守」と「生活保守」があると言っていた。
観念保守とは、国を第一と考える国権派で、それに対して生活保守とは民権派につながる。
今や生活保守は存在しなくなった。
生活は地域に根差すものなのに、生活を忘れた観念保守派が日本社会を席巻している。
加藤はそれを深く認識し、強い危機感を抱いていたという。
卓球の国際試合を主催するのは、以前はずっと国際卓球連盟だった。
多くのスポーツ競技と異なり、卓球の選手は国家単位ではなく、地域の協会単位で出場していた。
だから、退会に各国の国旗や国歌が用いられることは無かった。
その特性があったからこそ、ピンポン外交が生まれた。
有名なのは、1971年に愛知県で開催された第31回世界卓球選手権に、中国が6年ぶりに出場し、大会終了後に中国が米国の選手を自国に招待したことが、米中・日中の国交回復の伏線となった。
つまり、国際卓球連盟は国家を超えていた。
残念ながら1988年のソウルオリンピックから、オリンピックで卓球競技を実施するために規約が変更され、卓球も国家単位での出場となってしまった。
だから、それ以降、ピンポン外交が生まれる余地は無くなってしまった。