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2015年11月25日水曜日

所得税は累進課税ではなく、一律10%のフラットにすることで大幅な税収アップが期待できるというが、そもそも現在の日本の平均所得税率は10%より遥かに低いという事実がある。
国税庁による平成21年分民間給与実態統計調査によると、平成21年末での給与所得者数は5400万人。
民間の事業会社が払った給与総額は192兆円で、そこから支払われた民間が納税した所得税は7.5兆円だった。
つまり、平均所得税率は、わずか3.9%でしかない。
所得税率を10%のフラットに引き上げれば、12兆円の税収増が簡単に実現できるのである。
日本は低・中所得層の税負担がかなり低く、大多数の給与所得者が所得税を殆ど払っておらず、累進課税により懲罰的な税が課される高所得者層は極めて少ないので、平均した所得税率が驚くほどの低率となっている。
これが高所得者層の海外移住を加速させ、結局はそのツケが低・所得者層に返ってくるのである。
現金を持つコストは金利である。
国債を買えば金利を得られるのに、現金をタンス預金していると金利を稼げない。
つまり、現金を持っていると金利の分だけいつも損をすることになる。
しかしゼロ金利になると、現金を持っている機会コストがゼロになるという現象が起こる。
タンス預金で現金を積み上げていても金利の損失が出ないので、世の中にお金が回らず、物価を上げなくなり、景気が悪くなる。
つまり、中央銀行がいくら金融緩和をしてお金の流通量(マネタリーベース)を増やしても、民間銀行の日銀当座預金口座に積み上っていくだけで、融資に回らない現象が起こる。
これを「流動性の罠」と言い、中央銀行の金融政策が無効化するのである。
スペインは世界で最も解雇規制が厳しい国の一つで、社員をクビにすることができない。
しかし2008年のリーマンショックの際に、あるスペインの銀行でもリストラせざるを得なくなり、行員に対して次のような提案をしたという。
「あなたの夢を実現するために5年間休暇を取りませんか?その間、今の給料の3割を保障しますし、休暇から戻ってきた時のポジションも保証します。」
この募集に応募した行員は、5年間の世界旅行に出かけても良いし、他の会社でアルバイトしても、その間ずっと銀行から給料を貰えたという。
その為、スペインでは、多くの中小企業は社会保険料の負担も重く、正式に社員を雇わず、結果的にスペインでは統計上では失業者なのに、証拠が残らない形で裏で給料をもらっている労働者が多く、闇労働市場が発達している。
人類史上最大の金融詐欺事件は、アメリカのバーナード・マドフ事件で、被害総額650億ドル(6兆円)という、とんでもない規模の詐欺が25年間も続いていた。
その手口は驚くほど単純で、古典的なネズミ講だった。
マドフはNASDAQ市場の創業メンバーで、会長にまで上り詰め、マドフ証券という証券会社も創業していた成功者で、彼が個人的に運用する「マドフ投資の会」を通して、人類史上最大のネズミ講は運営されていた。
マドフは毎年10%の配当を投資家に還元しており、着実にリターンを上げていたように見え、評判を聞きつけ集まってくる投資家の中でも選ばれた富裕層しか投資できないマドフのファンドは増々魅力を増していった。
ネズミ講は、それがネズミ講だと人々が気づくまで、誰もが儲かっていると錯覚できる仕組みで、最初に参加して破綻の前に退出する投資家が、後からやってくる投資家のお金をむしり取るゲームである。
25年間も富裕層から新規投資をかき集め続けたマドフのネズミ講は、リーマンショックを引き金とした世界同時金融危機で、多くの金融機関が資金繰りに困り、一気に資金を引き揚げる事となり、投資資金の返還に応じられなくなって、破綻した。
逮捕された当時72歳だったマドフに懲役150年が言い渡され、ビジネス・パートナーだったティエリは手首を切って自殺し、息子のマークはマドフ逮捕から丁度2年目の日に首を吊り自殺した。
日本にも「マドフ投資の会」とそっくりな仕組みの世界最大の「公的年金」という制度がある。