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2017年10月9日月曜日

トランプ大統領の凄さは、「理論がないこと」である。
かつてマルクス経済学者の宇野弘蔵は「ファシズムの強みは無理論なことだ」と言ったが、これと同じである。
トランプにもグローバル化を進める部分がある。
トランプ現象で面白いのは、選挙中にウォール街のアナリストたちは「トランプなんてとんでもない」と言っていたのに、現場のディーラーたちはトランプを歓迎していた事である。
金融バブルが2008年9月のリーマン・ショックという大激震を招いたので、オバマ政権が株式市場や債券市場の規制を厳しくした。
日本からみると、アメリカで規制が緩和されてグローバル化が極端に進んでいるように見えるが、金融の現場では規制でがんじがらめになっている。
だからトランプ政権による規制撤廃を期待したのである。
実際にロス商務長官は、ウォール街で再建王として知られた投資家であり、コーン国家経済会議議長はゴールドマンサックス全社長兼COO、ムニューチン財務長官も同社元幹部という布陣であり、規制緩和は進むと思われる。
トランプ大統領が、金融規制をはずす所だけに注目すると、これは政策的にグローバル化になる。
その一方で、中国や日本が輸出してきたら関税をかけると言っており、こちらは保護主義政策になる。
だから、保護主義的な側面とグローバル化の側面が、ムチャクチャな形で同時並行で進められていく。