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2017年8月30日水曜日

月末の金曜日は午後3時に退社して余暇を楽しむという「プレミアムフライデー」の初回だった2017年2月24日に、この制度を実施した企業・団体の割合は日本全体のわずか0.1%に過ぎなかった。
日本の年次有給休暇の平均日数は2週間程度と、欧州の20~30日に比べると恵まれているとは言えないが、更に日本の有給消化率は世界最低レベルとなっている。
エクスペディア・ジャパンの国際比較調査(2016年)によると、日本の有給消化率は50%で、調査対象の28ヵ国中最下位だった。
ちなみにフランス、スペイン、オーストラリア、香港の有給消化率は100%、アメリカが80%と多くの国が70%を超えている。
ワースト2位の勧告は53%だった。
驚くべきことに、自分に支給されている有給休暇の日数を知らない日本人が47%もいるという。
マッキンゼーの社内制度で素晴らしいのは、世界中どこでも使える保険があるという事である。
世界中でこの国で病気になっても「マッキンゼー保険」がカバーしてくれるという。
しかも「75歳定年」まで勤務した本人と奥さんは終身で、この保険の恩恵を受けることができるという。
グローバル化というのは、ブランドの世界化のことであり、非常に難しい。
松下電器が何度も煮え湯を飲まされている。
日本で使っていた「ナショナル」ブランドをアメリカで登録しようとしたら、「ナショナル」は名詞ではなく形容詞だからダメと言われた。
そこで、当時、競争相手のソニーが急速に台頭してきたので、それを遥かに上回るという意味の「パナソニック」というブランドを新たに作った。
しかし、欧州とアジアでは「ナショナル」のままブランド展開をしていた為、世界的に大混乱が起きてしまった。
現在は、「パナソニック」に統一している。
松下は以前にも、モトローラのテレビ部門を買収した際に、モトローラから使用許可が出たブランドは「クエーザー」と言うモデル名であり、誰も知らないという大失敗をしている。
必死でパナソニックのブランドを育てて、最終的にクエーザーは工場も閉めてしまい、ドブに捨てた形になった。
日経新聞が全上場企業の配当実績と計画を集計したところ、2017年度の配当総額は17兆4000億円と、5年連続で過去最高を更新するという。
一方で、稼いだ利益から配当に回した割合を示す配当性向は、2年連続で減少する見通しである。
時価総額が601兆円ということなので、その2.06%が配当の総額となる。
企業が魅力ある経営戦略を打ち出しても反応はなく、配当性向にも興味がなく、時価総額に対して何%なのかという数字に機関投資家が反応するようになった。
金融機関が利息を殆ど払わなくなったので、仕方ないという話だという。
日本銀行のETF保有残高が推定17兆円を突破し、上場企業の4社に1社で安定大株主になった計算になるという。
年間6兆円から7兆円をインデックスで買い、3年目で保有残高が17兆円になっているという。
世界中にこんなことをやっている国は他になく、インデックス買いをやっている中央銀行などというのは、奇異な存在である。
スウェーデンの「swish」のようなモバイル決済システムは、ユーザー側は手数料がかからず、加盟店が支払う手数料で儲ける仕組みになっている。
クレジットカードも同じ仕組みだが、手数料が3.4%程度と高い。
理由としては、利用者が代金を支払わなかった場合の回収コストが含まれているからである。
一方、モバイル決済は、電子的に利用者本人の信用が判定でき、即時に銀行口座から引き落とせるので、コストは通信費とコンピューターの処理費用程度と低コストとなる。

2017年8月27日日曜日

新興国でキャッシュレス化に積極的に取り組んでいる国にインドがある。
2016年11月8日にインドのモディ首相は、「明日0時をもって1000ルピ―(日本円で1700円)と500ルピ―は使えなくなる」とテレビの緊急演説で宣言した。
国内流通量の8割以上を占める高額紙幣がいきなり使えなくなり、旧札を新札に代えるために銀行に殺到し、インド経済は一時的に大混乱となった。
既に公共サービスの電子決済化を進めていたインドは、現金不足を機会に一気にキャッシュレス社会に舵を切った。
キャッシュレス社会を実現した北欧のスウェーデン、ノルウェー、デンマークでは、いずれもGDPに対する現金の使用比率が5%を下回っている。
スウェーデンに至っては現金使用率2%と、決済現場では殆ど現金は使われていない。
「現金お断り」の店舗が増え、交通機関はほぼカードオンリーとなっており、現金では電車やバスにも乗れない。
銀行はもはや現金を置かないキャシュレス店舗が大半を占めている。
スウェーデンでは、クレジットカードと、6行の主要銀行が共同開発したモバイル決済アプリ「swish(スウィッシュ)」により、携帯電話番号と個人認証だけで自分の銀行口座から店舗での支払いができ、銀行口座間の送金ができる。
2012年のサービス開始から5年で、今や国民の半数以上が「swish」を利用している。

2017年8月24日木曜日

東海大学医学部の逢坂文夫・講師が、1990年代に、当時の厚生省の支援により、横浜で棲んでいる階数によって妊婦にどういう影響があるのかねという調査を行っている。
その結果、階数が高くなればなるほど流産率が高まるという衝撃な事実が明らかになっている。
逢坂氏が調査結果を公表した当時はセンセーショナルな反応が起きたが、その後はほぼ黙殺されており、厚生省の研究補助も打ち切られている。
タワーマンションの高層階を購入して住み始めた後、体調が悪くなって短期間で引っ越していく人がいるという。
タワーマンションは風によって、常に揺れている状態なので、体質によっては体調不良となる事もあるようだ。
カナダの医師会誌『CMAJ』電子版によると、2007年~2012年にトロント市などで心停止で病院に運ばれた8216人を対象に調査した結果、生きて退院できた人の割合は1~2階の住民で4.2%(5998人中252人)だったのに対し、3階以上の住民では2.6%(1844人中48人)、16階以上では0.9%(216人中2人)と大幅に低下し、25階以上の住民30人には生存者がいなかったという。
理由としては、高層階ほど救急隊の到着が遅れる事であると思われる。
殆どのタワーマンションには救急車のストレッチが載せられる非常用の大型エレベーターが1基だけ備えられている。
しかし非常用ということもあり、場所が分かりにくかったり、普段は稼働していなかったりする事も多い。
都市圏の生産緑地が大量に不動産市場に出回るかもしれない「2022年問題」がクローズアップされている。
土地の利用は地域によってさまざまに規制されており、大きな都市の中心に近いエリアでは「市街化区域」に指定されているエリアが多い。
市街化区域とは建物を建てるなど「市街化」することを促すために指定される。
市街化区域に指定されると、行政から「その土地は有効活用して税金を払ってね」と迫られ、固定資産税が高くなる。
しかし、市街化区域内に農地がある場合、農業は生産性が低いので固定資産税を高くできず、基本的には所有者がその土地で農業を続けることを条件に、30年間は例外的に農地として軽い課税を続けることを認められたのが「改正生産緑地法」である。
生産緑地に指定されると税金負担は軽いが、売却には厳しい制限が課されてしまう。
この改正生産緑地法は例外的措置であり期限がある。
多くの生産緑地で、その期限が切れるのが2022年となる。
2022年が過ぎると生産緑地の所有者は指定を解除して、農地を売却することが可能となる。
2014年3月末時点で、生産緑地として登録されている面積は1万2653区タールで、首都圏ではそのうち57%の7747ヘクタールが登録されている。
この面積は東京ドーム(4.6ヘクタール)の1657個分となり、これが売り出されると不動産価格を暴落に導く強力な要因になってしまう。
ただ、これを避けるべく制度の延長が見当されているが、生産緑地で農業をしている農家は高齢化しており、期限切れにならなくても相続で指定の解除が進むことになる。
5年毎に行われる総務省の「在宅・土地統計調査」で、前回2013年調査の全国平均空き家率は13.5%だった。
次回の調査は2018年に行われ、2019年の夏ごろに速報値が発表される予定である。
2018年に行われる調査結果については、野村総研が16.9%という予測数字を公表している。
     総住宅数     空き家数    空き家率
2013年  6063万戸     820万戸    13.5%
2018年  6367万戸     1078万戸    16.9%
2023年  6646万戸     1404万戸    21.1%
2028年  6900万戸     1773万戸    25.7%
2033年  7126万戸     2167万戸    30.4%
10年後には日本中で4戸に1戸は空き家になるという。
税務調査には3つある。
1.税務署の税務調査
2.国税局課税部・資料調査課の税務調査
3.国税局査察部の強制調査
1と2は国税通則法を根拠にした任意調査であり、適正な申告ができているかどうかを経営者の同意のもとに行う確認のための税務調査である。
3は国税犯則取締法を根拠にした強制調査であり、裁判所により発行される令状を持っている。
有罪になると「前科」がつくことになり、調査も「取り調べ」という扱いになる。
法人税の税務調査は、平成27年事業年度に全国で9万4000件実施され、国税局査察部が担当する強制調査は全国で189件実施されている。
また、税務調査による追徴税額は1592億円、強制調査で告発された脱税額は138億円だった。
風営法(風俗営業等の規則及び業務の適正化等に関する法律)で定められた風俗業には様々な業態がある。
風営法によると、風俗営業は大きく「風俗営業」と「性風俗関連特殊営業」に分かれる。
「風俗営業」はさらに「接待飲食営業」と「遊技場営業」に枝分かれする。
「性風俗関連特殊営業」はその営業形態によって、「店舗型性風俗特殊営業」や「無店舗型性風俗特殊営業」「映像送信型性風俗特殊営業」「店舗型電話異性紹介営業」「無店舗型電話異性紹介営業」「特定遊興飲食店営業」「深夜酒類提供飲食店営業」などに分かれる。

2017年8月22日火曜日

少子化と経済成長には相関関係はない。
つまり、人口が減ったから経済成長は望めないという事は有り得ない。
少子化と経済成長の関係を裏付ける実証データは一つも存在せず、データ上で根拠がない。
一方、デフレについてはマネーの量が少ないことが原因である。
これは世界中のデータからマネーの量とインフレ率は関係があることが証明されているからである。
スウェーデンのような人口1000万人の国でも成長しているし、人口が多ければ多いほど経済成長が凄くなるというのならば、中国が1位で、インドが2位にならないと説明がつかない。
2017年3月にノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ米コロンビア大学教授が来日し、経済財政諮問会議に出席した。
そこでのスティグリッツの発言のポイントは、「消費増税を行うと景気が悪くなる」「日本は財政危機ではない」ということだった。
日本銀行は法的にも政府の子会社だから、民間のグループ企業が連結決算で考えるのとお無゛概念で、政府と日銀を一体のもの(統合政府)として考えることにより、国債残高と日銀保有国債が相殺され、その結果、国債残高は大幅に減少するという理解である。
つまり、日本のメディアが騒いでいるような「国の借金1000兆円超え」という報道に惑わされてはならないと、スティグリッツ教授は警告している。
経済成長を否定したら幸福の実現は難しくなる。
経済成長をしないと、失業が増えることが、経済法則から証明されているからである。
経済成長は失業と密接な関係があ、日本の場合は成長率が1%下がると失業率が0.2%上る。
つまり、経済成長をしないと失業が増え、経済成長をすると失業が減るのである。
この経済法則を「オークンの法則」という。
経済成長は国民所得を増やす事になるから、全体のパイが大きくなることで弱者救済にも手が回るようになる。
数学の世界に、望月新一(京都大学数理解析研究所・教授)という天才がいる。
16歳で米プリンストン大学に飛び級入学し、23歳で博士号を取得した望月教授は、それまで誰も解けなかった「ABC予想」という難題を解き明かした。
ところが、レベルが高すぎて未だに誰も検証ができないという。
世界中の数学者が力を合わせても、この先50年ほど経ってようやく「彼は正しい」ということが証明できると、度を超えた業績だという。
天皇の退位を認めるには、皇室典範の改正か、特例法で対処するしかない。
当初、与野党の意見が分かれ、与党は退位は陛下一代に限るため特例法で対処すべしとの立場で、野党側は皇室典範の改正による退位にこだわった。
実は皇室典範が過去に改正されたことは一度しかなく、戦後に宮内府(宮内省の後身)から宮内庁への名称変更に伴ったもので、実質的には改正された事がない法律である。
戦前までは明治憲法と同格の法律で、戦後になって昭和憲法と並ぶ位置に置くのは無理だということで、形式的に格下げしたが、法律の名称までは変更できなかった。
その結果、「〇〇法」と命名されていない唯一の法律として残った。
このように過去に全く手をつけた事のない法律を、短期間で改正するのは非現実的だったため、2017年5月19日に閣議決定で天皇陛下の退位を実現する特例法案を決定した。
これに与野党間で合意形成がされているので、法案成立は確実となり、2018年をもって「平成」の時代は終わることになる。
年金の議論の中で必ず出てくるのが「現役世代何人で1人の高齢者を支えるか」という例え話がある。
今後も少子高齢化は止まらないが、問題にしなければならないのは、現役世代の人数ではなく、所得である。
「高齢者1人を支える現役世代が少なくなる」という論理には、「所得」の概念が抜けている。
現役世代がいくら増えても、所得が低ければ改善できない。
人口が減ってもそれを上回る経済成長があり、所得が伸びれば、人数は問題にはならない。
過去に現役世代6人で高齢者1人を支えていた時代があったが、それは単に現在よりも所得水準が低かったからに過ぎない。
年金制度の維持は、人口政策の問題ではなく、経済政策の問題なのである。
2015年度にGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が5兆円の運用損失を出したことがニュースとなり、年金が破綻すると多くのメディアが報じた。
ちなみにGPIFの積立金は年金財政のうち5%に過ぎないので、仮にGPIFの運用資金が全損したとしても、単純に国民の年金給付金が5%減るだけのことである。
経済成長が全く無かったり、よほど酷い制度改悪をしない限り、年金制度は破綻しない。
年金とは「掛け捨ての保険」であり、長生きほすれば受け取れるが、受給開始年齢前に無くなれば受け取れない。
年金が保険である以上、保障額の大小は掛け捨てになる人がどれくらいの割合いるかによって決まり、掛け捨てになる人が少なければ保障額は小さくなる。
現在の日本の年金制度は現役世代が引退した世代を支える「賦課方式」であり、自分が払った保険料を積立て老後に受け取る仕組みではない。
年金の保険料と給付額については、掛け捨ての人と給付を受ける人の割合から計算すると「40年間支払った額を20年間で受け取る」という制度設計となっている。
こうした制度が破綻するというのであれば、バランスシート上で債務超過であることを証明せねばならない。
しかし、実際の保険料と給付額は厳密な計算の上で算出され、保険料=給付額になるよう設定されているので、保険料をきちんと徴収している維持用は債務超過になり得ない。
保険料の徴収についても、「国民年金は未納率が4割」と言われるが、これは学生など支払を免除されている被保険者も入れているからであり、公的年金対象者6721万人のうち実際に保険料を払っていないのは、たった3%に過ぎない。
制度上、保険金支払いを免除されている人の分も、あらかじめ保険数理の計算に組み込まれている。
インフレ目標を設定するのは、失業率を下げるためである。
失業率とインフレ率は逆相関の関係になっている事が知られており、2%のインフレが3%の失業率に対応する。
つまり、失業率を下げようとして金融緩和ほしたことにより、インフレ率が上がりすぎるのを防ぐために、インフレ目標を設定してるのである。
雇用のミスマッチなど構造的失業率を考慮すると失業率はゼロにはならないが、構造的失業率までは金融緩和をする余地がある。
失業率は構造的失業率の2.7%まで下げられるので、そこまで金融緩和をすれば、やがて賃金が上昇し、物価も上昇していく。
日銀がインフレ目標を掲げる一方で、雇用の創出について何も言わないかというと、法律上、失業率を下げることは日銀の仕事とされていなからである。
日銀としては、法律で担保されていないことを言う訳にはいかない。
一方、アメリカのFRBは「物価の安定」と「雇用の創出」を制作目標に掲げている。
インフレ目標というのは、プラスマイナス1%が許容範囲と言われており、先進国の実績てせはその許容範囲に7割程度収まっている。
この許容範囲から外れた場合に説明責任が発生するという程度でしかない。
失業率が下がって雇用が確保できていれば、インフレ率2%の達成は大した問題ではない。
むしろ失業率が下がっているのにインフレ率が上がらないという幸運な状態だと言える。
日本において受験戦争を勝ち抜けるのは、頭が良いからというよりも、過酷な長時間労働に耐えられる力があったから、という要素の方が大きい。
つまり、学歴を見て分かるのは、その人が従順かどうか、尻を叩かれて頑張れるかどうかという事になるので、企業としては是非知りたい情報となる。
そういう意味で、18歳までどんな学生生活をしてきたのかについての、証明書になるので、学歴はスクリーニングの手段として有用と判断される。
しかし、学歴は頭の良し悪しと直接の関連性はない。
ただし高等教育を受けることで、知識と論理的思考が身につく可能性が高まるのは事実であり、高学歴ほど「頭がいい人になる確率」は高くなる。
国際政治の有名な理論の一つに、民主国家同士が戦争をすることは基本的にないという「デモクラティック・ピース論」というのがある。
だから日本が近隣諸国と戦争をしないためには、民主化の支援をするのが一つの方法である。
豊洲で問題になっているのは、環境基準を満たしていないという点である。
環境基準とは「井戸水が飲めるかどうか」の基準であり、これを安全の基準にしてしまうと、東京の大部分の土地がアウトになる。
東京都の環境局が作成した調査結果によると、東京の血かにはかなりの汚染物質が埋まっていることが分かる。
建物を建てる際に調査した場所が掲載されているが、それだけでも膨大な数になっている。
その中には豊洲もあるが、豊洲よりももっと汚染がひどそうな場所もある。
ちなみにリストには無いが、築地市場の下には、ビキニ環礁における水爆実験で被爆した第五福竜丸が廃棄したマグロが埋められているのは周知の事実である。
この環境基準を理由にすると、東京には住んではならないという議論になってしまう。
土壌汚染対策法に基づいて、安全基準を作り、豊洲の有害物質の対策をすればよい。
土壌汚染対策法では、環境基準を満たしていない場所のたいしょについて定められており、有害物質が気化して上がってくる場合でも換気を十分に行えば良いことになっている。
小泉進次郎ら自民党の若手議員が提唱した「こども保険」が話題になったが、これは子育てが終わった人達にとっては、保険料を取られるだけで見返りは全く無いため、そもそも保険として成立しない。
子供の教育は将来投資だからその財源は国債で賄うべきである。
子供に投資すれば学歴が上がり失業率が減り、失業率が減ると失業給付が減る。
また学歴が高ければ収入も増え、それに応じて納税額も多くなる。
教育国債は、最初の投資額の2.5倍になるという試算もある
カジノ法案は珍しく議員立法である事もあり、一部の霞が関、特にパチンコ利権にかかわる警察官僚が渋い顔をしているという。
この法案を作る際に「パチンコの扱い」について議論になり、警察管官僚が大騒ぎしたという。
パチンコは建前上では「賭博」ではなく「遊戯」とされている。
客がパチンコ店から出玉相当分の景品を受取り、バチンコ店のすぐそばにある景品交換所で換金する「三店方式」と呼ばれるシステムになっていて、ギャンブルではないという屁理屈で説明される。
そのためパチンコは法的には風営法で規制されており、犯罪の予防という名目によって、警察の所管になっていて、全国管区警察局ごとに天下の縄張りが決まっており、警察官僚の天下り利権となっている。
ギャンブル依存症を減らすには、賭博場を郊外に隔離して気軽に行けないようにするのが有効であり、海外ではそのようにしてコントロールをしている。
既に日本では駅前にパチンコ店があり街中に賭博場がある。
厚労省の調査によると、現在、日本人の成人の4.8%がギャンブル依存症とされている。
これは米国1.6%、香港1.8%、韓国0.8%と比較して高い数値となっている。
カジノが存在しない日本で、既にギャンブル依存症が多いのは、賭博でないとされているパチンコの影響が大きい。
日本のギャンブル規制は、そもそも底が抜けている。
他の寄附金では所得控除しか受けられないため還付額が少ないのに対して、「ふるさと納税」は税額控除であるため、還付額が多いというメリットがある。
この制度は2007年の第一次安倍政権当時の菅義偉総務大臣のはつあんによるもので、「国民が自分で好きな地方にお金を回す仕組みができないか」と高橋洋一氏に相談し、寄付金制度と税額控除を組み合わせれば実現可能と回答した事から実現したという。
その後、この制度の検討の過程で財務省から「地方税は巨自由地の地域サービスを受ける対価なので、住んでいない地域に税金を送る制度はおかしい」「寄附は自己犠牲という崇高な理念なので、税額控除を認めるのはおかしい」と激しい抵抗にあったという。
この制度の趣旨は税金を「官僚による差配」から「納税者による差配」に変更することにあった。
財務省が文句をいう制度はね納税者にとって悪くない制度なのである。
ふるさと納税は、少なくとも役人は絡んでいないし、お金の流れも明瞭である。
「自由貿易」について、先進国が考えている自由貿易と中国が言っている自由貿易には明らかな違いがある。
中国が「自由貿易の旗手として」というのは、モノだけのフリートレードでしかなく「自由貿易協定」(FTA)となる。
一方、先進国ではモノの話は既に終わっていて、モノに加えて金融、資本取引の話も全部自由化をさらに進めるという話であり、「経済連携協定」(EPA)となる。
つまり、EPAというのは、FTAに投資、人の移動、知的財産の保護などを加えた「包括的FTA」ということになる。
中国には知的財産の概念がなく、資本取引も許されていない。
資本取引の最たるものは土地の所有権の有無である。
中国は国家が土地を所有しているので、不動産取引ができない。
さらに中国が資本取引ほ自由にできないのは、為替管理ができなくなるからである。
だから中国はEPAではなく、FTAしか受け入れられないのである。
ちなみに中国はOECDに加盟していない。
OECDには、資本取引が許されていないと加盟できないからである。
先進国は対中経済交渉で、わざと為替や資本取引の話を持ち出し、中国はずしをするので、中国がAIIB(アジアインフラ投資銀行)を通じて、自国ルールでの自由貿易圏確立にこだわるのである。
「ヘリコプターマネー」という言葉の定義をあいまいにしたまま、「ヘリコプターからマネーがばら撒かれるような政策で、市中にマネーが溢れた結果、貨幣の価値が暴落する」というイメージで話される事が多い。
ヘリコプターマネーの定義とは、国債発行の財政支出と国債を購入する金融緩和を同時に行うことである。
政策効果としては、景気を刺激する効果があり、過度に行うと需要が増し、供給側の生産量が追いつかなくなり、結果的にインフレになる。
程度によってはハイパーインフレにもなり得るが、日本に置いては現実的ではない。
ハイパーインフレとは、米経済学者フィリップ・ケーガンによって「月率50%(年率1万3000%)を超える物価上昇」と学術上定期゛されている。
10兆円規模でも、さほどインフレにならない事は計算からハッキリしている。
100兆円規模だと3~5%、1000兆円規模だと2ケタのインフレになる計算となる。
つまり、日本でハイパーインフレを引き起こすには、天文学的な量のマネーを投入する必要がある。
インフレ目標を設定していれば、その範囲内で政策するので、決してハイパーインフレにはならない。
一定のインフレ率を達成したら、ヘリコプターマネーを辞めれば良いのである。
日銀のマイナス金利政策とは、民間の金融機関が持つ日銀当座預金のうち「政策金利残高」と呼ばれる部分の金利をマイナスにする事である。
銀行にすれば、日銀に預金している野に手数料を払わされることになるから、それなら安い金利でも融資に回した方が得になるので、市中にカネが出回り、経済が活性化するという好循環が期待できる。
民間銀行には、預金総額の一定割合(準備金)を日銀に預ける法的義務があり、それが法定準備金である。
この主な目的は銀行間の資金決済、取り付け騒ぎなど万が一の事態への対応、準備率を変えることによる金融調節となっている。
法定準備金は、本来無利息であったが、2008年に当時の白川日銀総裁が法定準備金を超えた超過準備に0.1%の金利を付ける決定をした事で、銀行は「濡れ手で粟」の既得権を手に入れた。
現在、当座預金残高260兆円のうち、マイナス金利になっている政策金利残高は10兆円に過ぎない。
また法定準備金を含む「マクロ加算残高」と呼ばれるゼロ金利部分も僅か40兆円である。
つまり、残りの210兆円には相変わらず0.1%の金利が付いている。
これを全体でならすと、金利は0.07%程度となり、例え当座預金残高全額の金利を法定準備金の金利であるゼロにすると言ったところで、大した話にはならなのである。
一般人の民間金融機関に持っている預金口座の金利は、既にゼロなので、これに合わせてゼロ金利にするのが当然である。
しかし、0.07%といえども、銀行業界全体で2000億円もの収入になっているので、この既得権を手放したくないのである。

2017年8月20日日曜日

2015年 アメリカ個人寄付額ランキング(1ドル=110円換算)
1位 ウォーレン・バフェット           3124億円
2位 ビル&メリンダ・ゲイツ夫婦         1540億円
3位 ジョージ・ソロス              719億円
4位 ステファン・エドリス&ゲール・ニーソン夫婦  564億円
5位 マイケル・ブルームバーグ          561億円
6位 ピエール・オミダイア            474億円
7位 チャック・フィーニー            470億円
8位 ウォルトンファミリー            413億円
9位 ハンスユルグ・ヴィース           363億円
10位 ジェームズ&マリリン・シモンズ夫婦     328億円
2015年の1年間でアメリカ人個人の寄付総額は29兆円だった。
ちなみに、その年のロシアの国家予算が28兆円である。
内部保留の上位10社(2016年12月8日時点)
                        
           利益剰余金
1位 トヨタ自動車   17.4兆円
2位 ホンダ      6.5兆円
3位 NTT       5.4兆円
4位 NTTドコモ    4.7兆円
5位 日産自動車    4.1兆円
6位 日本郵政     3.6兆円
7位 キャノン     3.4兆円
8位 KDDI       3.2兆円
9位 ソフトバンク   2.9兆円
10位 JR東海     2.4兆円
親の収入が子供に影響を与えている事が分かるデータを、2014年に文部科学省が発表している。
世帯年収と子供の算数・数学の正答率の関係を表したグラフである。
応用力を問う小学校6年生の「算数B」では、1500万円以上の世帯年収の子供の正答率は72%、年収200万円未満の子供の正答率は46%となっている。
応用力を問う中学校3年生の「数学B」でも、1500万円以上の世帯年収の子供の正答率は53%、年収200万円未満の子供での正答率は30%となっている。
こども食堂は、2009年頃から都内で始まったとされ、2016年5月末の時点では、全国に少なくとも319ヶ所あるという。
2016年11月に西日本新聞が発表した調査によると、九州のこども食堂は、2015年時点では10ヶ所程度だったのが、1年間で117ヶ所と10倍に増えているという。
日本から一番お金が流れているタックスヘイブンは、イギリス領ケイマン諸島である。
財務省が2016年5月に発表した調査によると、74兆円に上るという。
日本の2015年度の税収が56兆円だから、それよりも18兆円も多い額である。
富裕層に優しいシンガポールには世界中から大勢の金持ちが移住してきている。
永住権を取るには経営者の場合、直近の売上高が40億円以上であることや、シンガポールに2億円の投資をするなどの条件がある。
しかし、日本人のシンガポール永住者の数は、2015年には2413人となっている。
<シンガポールの日本人永住者数の推移>
(外務省「海外在留邦人数調査統計」より)
2011年  1578人
2012年  1692人
2013年  1852人
2014年  2250人
2015年  2413人
アメリカの国勢調査局の報告によると、貧困者数は4310万人と、人口の13.5%が貧困層にあたるという。
金融情報会社のブルームバーグ社では、世界の金融の動きを見ながら、億万長者の資産の動きをチェックしている。
Bloomberg Billionaires』といい、毎日ニューヨーク市場が終了した後に、株、不動産、現金、さらに独自の情報網を使って億万長者トップ500人の資産情報を日々分析し、更新・公開している。
ブルームバーグの使命の一つは、資本主義のありのままを記録するこどであり、冨のビラミッドの頂点にいる裕福な成功者の人々のことを詳細に報じる必要があるので、億万長者ランキングを作っているという。
トランプ氏の節税法について、「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙(電子版、2016年4月20日付)で、「トランプ氏の税金をヤギが食べている」という見出しでニュースになっている。
トランプ氏は、アメリカ・ニュージャージー州でゴルフ場を経営しているが、「ゴルフ場」だと年間の税金は8万ドル(900万円)かかるが、トランプはゴルフ場でヤギ8頭を飼い、「牧場」として申請した。
牧場だと税金が優遇され、年間1000ドル(11万円)で済んでしまい、ヤギに節税してもらったというのである。
トランプは、大統領選挙期間中に「ニューヨーク・タイムズ紙」(電子版2016年10月1日付)に、「ドナルド・トランプ氏の納税記録を見ると、20年近く税金を逃れていた可能性がある」と報じられている。
過去に900億円以上の大損失を計上したので、その分、18年間所得税を払わなくてもいい、つまり合法的に税金を納めていなかったという内容である。
大統領候補が納税をしなくても良いのか、という批判が出た際のトランプ氏の言い訳は「賢いから税金を納めていない」という突拍子もないものだった。
つまり、納税しないで済む方法を知っている自分は、経営者として優れている証拠だと、自慢したのである。
マイクロソフトの創業者で世界一の金持ち(8兆9100億円)であるビル・ゲイツの自宅は、アメリカ・ワシントン州シアトルの郊外にある。
総工費は推定で107億円、部屋数は45、バスルームは24部屋あるという。
さらに200人が入るレセプションルームがある。
2014年に休暇でイタリアへ家族旅行に行った時にレンタルした全長137メートルのクルーザーは、世界最大級でヘリコプターの簡易発着場がついていて、レンタル料は1週間で5.5億円だったという。
クルーザーからヘリコプターに乗って観光に行って楽しんだそうで、家族旅行にかかった費用の総額は51億円だったと伝えられている。
貧困には「絶対的貧国」と「相対的貧国」の2つの概念がある。
「絶対的貧困」とは、最低限の生活も営むことができない状態で、食料や生活必需品を購入するためのお金もなく、衣食住さえままならない人達となる。
アフリカで飢餓に瀕している人々が絶対的貧国となる。
「相対的貧困」とは、年間の可処分所得が中央値の半分を下回っている状態である。
可処分所得とは、手取りのお金で、働いて得た収入から社会保険料や税金を差し引いたものである。
中央値は平均値とは異なる。
所得の平均値は、全ての世帯の所得を足してその数で割った金額であり、厚労省の2015年の調査によると、1世帯あたりの所得の平均額は541万9000円となっている。
高所得者の世帯が平均値を引き上げているので、高めの金額となってしまう。
一方の中央値は、全世帯を所得順に並べて、真ん中を指す数値であり、厚労省の2015年の調査によると427万円となっている。
相対的貧困とし、この中央値のとなる427万円の半分、つまり可処分所得が年間214万円をと下回る人達というで、相対的貧困率は2012年に16.1%になっている。
非混率の調査は3年おきに大規模調査年に実施され、2016年に実施された大規模調査は、2017年7月に15.6%と改善した発表された。
2017年1月に、貧困問題に取り組むNGO団体「オックスファム」が公表したデータによると、世界人口73億5千万人をピラミッドで表すと、世界中にいる富裕層の上位8人の財産が、世界人口の半分に当たる下位36億7500万人の資産とほぼ同じだという。
この8人が所有する資産は4260億ドル(日本円で約48兆円)。
またオックスファムは、1988年から2011年にかけて、下位10%の収入は年平均3ドルも増えていないのに、上位1%の収入の増加幅は182倍だったとしている。
事業承継で問題となるのは、代表者が会社に資金を貸し付けているケースである。
特に、代表者が役員報酬を多額に取って、会社の業績が傾いた時に、代表が個人の預金から会社に貸し付けることがよくある。
仮にその状態のまま代表者が亡くなると、代表者貸付金は100%財産となり、遺族に対して相続税が課されてしまう。
会社に納税資金があれば良いが、なければ遺族が工面しなければならない。
だから、役員報酬を抑えて、個人と法人のトータルで節税し、内部留保という形で会社にキャッシュと資産を残して沖、会社の株式を長期にわたって後継者に贈与していくのが、相続税対策の効果的な進め方となる。
中小企業庁の調べによると、年間廃業社数29万社のうち、7万社は「後継者がいない」ことを理由とする廃業であると推測している。
これだけの数の企業が廃業すると、経営者やその一族だけの問題ではなく、失われる従業員の雇用は毎年20万~35万人に上ることになる。
帝国データバンクによると、企業の生存率は「設立5年で80%、10年で70%、20年で50%」となっている。
また同じく帝国データバンクの資料によると、日本は創業100年以上の会社が2万社以上もあり、「世界一の老舗大国」と言われている。
国税局は、「重点調査業種」と呼び、毎年、調査に重点的に入る業種を定め、該当する企業は税務調査の対称となる可能性が高くなる。
具体的な業種が公表されている訳ではないが、国税庁が発表している「不正発見割合の高い業種順位」「1件当たりの不正所得金額の多い業種順位」をみると、ある程度把握が可能となる。
<平成26年度の不正発見割合の高い業種順位(東京)>
   業種     不正発見割合 1件当たり不正脱漏所得額
1位 ソープランド   79.7%      1439万円
2位 バー、クラブ   56.4%      1046万円
3位 ホテル、普通旅館 50.0%      1979万円
4位 その他の飲食良品 38.1%      840万円
5位 外国料理     38.1%      283万円
6位 貴金属製品製造  32.1%      458万円
7位 生鮮魚介そう卸売 29.4%      1287万円
8位 大衆酒場、小料理 27.8%      482万円
9位 廃棄物処理    26.0%      1005万円
10位 医療保険     25.8%      1900万円
<平成26年度の1件当たりの不正所得金額の多い業種順位(東京)>
   業種     不正発見割合 1件当たり不正脱漏所得額
1位 その他の不動産  14.4%    1億9186万円
2位 バチンコ     22.7%    1億7149万円
3位 通信機器器具   13.0%    1億5198万円
4位 医薬品      17.5%      8781万円
5位 新聞、出版     4.8%     4780万円
6位 その他の飲食料品 17.5%     3672万円
7位 保険、保険サービス 10.2%    2733万円
8位 産業用電気機械器具 7.1%     2683万円
9位 物品賃貸     10.5%     2533万円
10位 自動車、同部品  14,.9%    2401万円
マルサの強制調査ではなく、税務署による任意調査で脱税となり、税務署への修正申告で完了した場合は、刑事告発されることはない。
マルサの強制調査が入るか、税務署の任意調査となるかの判断は、脱税規模が関係する。
ただし税務署による任意調査であっても、脱税による金銭的なぺナルィはマルサによる強制調査と全く同じであり、起訴は免れたとしても、追加の納税はせねばならない。
脱税による追徴税額は、仮装隠ぺいされた資金(脱税資金)が「認定賞与」として処理されるかどうかによって大きく異なってくる。
賞与であれば給与所得となるため源泉徴収税の支払いが必要となる。
一方で、脱税資金が認定賞与ではなく「代表者貸付金」としてしょるされることがある。
脱税資金の行方が分からない時は、その資金を「会社から代表者に貸し付けた」みなして処理し、経理上、「代表者の責任として振り替えた」とも言える。
この代表者貸付金については、認定賞与のように源泉徴収税が課税されることはないが、代表者貸付金とみなされた場合、代表者には会社への返済義務が発生し、資金が残っていなければ、どうにかして用立てる必要が出てくる。
認定賞与か代表者貸付金かの判断は、管井的な基準があるわけではなく、マルサや司法の判断にゆだねられている。
脱税の手口や動機、悪質性、使途など様々な条件を加味して決断される。
脱税資産を「代表者貸付金」で処理した事案の場合、10年程前まではマルサは、刑事告発を見送っていたケースが多かった。
代表者貸付金とみなした事案は、現預金や株式、不動産といった脱税した資金の行き先(たまり)が判明していないことを意味すので、証拠不十分で告発までは至らなかった。
しかし、現在は脱税資金が消失し、代表者貸付金という名目で処理したケースであっても、摘発実績のノルマが果たすため、マルサは刑事告発するようになっている。
従来は脱税所得3億円で強制捜査に入り検察庁に告発するのが目安だったが、現在はその基準が1億円程度にまで下がっている。
国税庁によると、平成26年度に告発した事案1件当たりの脱税額は1億1000万円となっている。
仮に売上除外で1億円を脱税した場合、追徴課税は以下のように決定される。
まず法人税名地に対する追徴課税の計算では、本来の4400万円が納税額(本税)に対して、重加算税(1540万円)と延滞税(249万円)がそれぞれ加算され、6189万円となる。
さらに、脱税資金が役員に対する賞与とみなされる認定賞与とされる課税が、脱税所得1億円の46%(4600万円)がプラスされる可能性もある。
そのうえ、丸さに刑事告発されて有罪判決が下ると「罰金(刑事罰)」が課せられる。
罰金の額は裁判官の判断で左右されるが、本税の20~30%が相場となっている。
仮に30%とすると、4400万円×30%で1320万円となる。(延滞税の計算は省いている)
総額にして1億2109万円となり、正しく申告した際の本来の納税額である4400万円に対て、7700万円以上もの出費となる。
脱税で有罪判決が下ると、銀行から追徴融資は受けられないので、経営者個人の自宅や資産を売り払って、納税資金を用立てる必要が生じることになる。
追徴課税は、税務署に申告した法人税、もしくは所得税が実際よりも少ないことが発覚した場合などに追加で支払う税金である。
具体的には、4つの加算税(過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税)と延滞税がある。
この4つの加算税では「重加算税」が最も懲罰の重い税金で、脱税とみなされると、この追徴課税を支払う義務が生じる。
しかし、計上項目の認識違いや計算ミスなど、故意的でない場合は脱税ではなく、「申告ミス」とされ、重加算税と比べると負担が小さい「過少申告加算税」などにとどまる。
脱税とは、現行の税法においては、違法な手段を用いて、故意に納税を免れる「仮装隠ぺい」にあたる行為と定義されている。
例えば、ありもしないタクシー代の領収書を発行し、経費を水増しする行為は「ないもの」を捏造するので「仮装」に当たる。
また、売上の一部を銀行から引き出して自宅の金庫などに隠す行為は「あるもの」を隠しているので「隠ぺい」に当たる。
これらの行為が意図的であることが証拠によって明らかになった場合に、脱税となる。
つまり、その行為の目的が課税逃れだったかどうかではなく、仮装隠ぺい行為があったかどうかがポイントとなる。
税金の申告漏れなどを税務署に指摘されて、追徴課税や加算税、延滞税を課される中小企業が増えているという。
国税庁の「法人税の調査事績(平成26年事務年度)」によると、申告漏れなどを税務署に指摘された法人は7万件に及び、追徴税額は層がく1707億円と、前年比で107.3%に増えている。
また国税庁の発表によると、平成16年度に脱税で摘発された金額は年間150億円に上るが、これはマルサによる「強制調査」によって摘発された事案のみであり、税務署による「任意調査」を含めると脱税額は国税庁が発表した額の10倍以上に上ると推定される。

2017年8月16日水曜日

2006年に調印された日比経済連携協定により、両国は経済的結びつきを強めている。
協定では、日本からフィリピンへり輸出に関して、ほぼ全ての鉱工業品の関税を10年以内に撤廃することが合意された。
同時にフィリピンの日本史上へのアクセスも大幅改善され、ほぼ全ての鉱工業品の関税撤廃だけではなく、バナナなどの一部の農林水産品の将来的な関税の撤廃も合意された。
また、協定では日本の労働市場を一部開放することも合意され、看護師や介護福祉士について、日本語や現場研修を経た後に、日本の国家資格の受験を前提に就労が可能となった。
2009年~2016年9月までの累計ベースで看護師候補者472名、介護福祉士候補者1124名が受け入れられている。
2013年~14年にかけて実施されたビザ規制の緩和措置も、フィリピン人観光客の増加に貢献している。
一連のビザ規制の緩和措置はASEAN諸国を対象に実施されたものであるが、フィリピンの場合、2013年に15日を超えない短期滞在を念頭に、有効期間中に何回でも使える「数次ビザ」の発給が開始された。
その後、2014年には滞在期間を30日とし、有効期間を最長5年とするなど、数次ビザの発給要件が大幅に緩和された。
また、指定旅行会社のパッケージツアーの参加者用に、一次観光ビザの申請手続きが簡素化された。
こうしたビザ規制の緩和措置に加えて、フィリピンの中間所得層の増加と2012年以降の円安の進行により、フィリピン人のインバウンドが大幅に増えている。
政府観光局の統計によると、2015年のフィリピンからの訪日客数は26.8万人と、前年比45%の大幅増加となっている。
ちなみに2010年のフィリピンからの訪日客数は7.7万人だったので、5年間で4倍に増えている。
政府開発援助(ODA)の実施状況をみると、フィリピンにとって日本は最大の援助供与国となっている。
2014年度分までのフィリピンに対する援助実績を累計すると、有償資金協力が2.4兆円、無償資金協力が0.3兆円、技術協力が0.2兆円となっている。
2010年以降でみると、年間の有償資金協力は300億円前後、無償資金協力は50億円前後で推移している。
2014年のOECDの統計によると、フィリピンに対する主要国の援助実績の34%を日本が占め、第1位となっており、米国が20%、フランスが10%と続いている。
日本の二国間ODAの累計金額(1960~2014年のコミットメントベース)では、フィリピンはインドネシア、中国、インドに次いで第4位となっている。
フィリピンにとって日本は最大の貿易相手国である。
2015年のフィリピンの輸出額600億ドルのシェアをみると、日本が第1位の21.1%、米国15.0%、中国10.9%と続いている。
輸入額700億ドルのシェアでも、中国16.2%、米国10.8%に次いで、日本は第3位の9.6%となっている。
つまり、輸出額と輸入額の合計では、フィリピンにとって日本は最大の貿易相手国となっている。

2017年8月15日火曜日

日本とフィリピンの関係は、近年は非常に良好だが、歴史を振り返ると戦後しばらくは、フィリピン国民の反日感情は非常に強かった。
1931年満州事変から1945年の終戦までの期間に、日本が近隣諸国に与えた戦争被害の大きさをみると、犠牲者が一番多かったのは中国だが、フィリピンにおいても100万人以上に上っている。
日本は1942年当時、米国の植民地だったフィリピンの首都マニラを占領し、フィリピン全土に軍政を布告した。
1943年には新日政権が樹立され、日本の占領下でフィリピン共和国の独立が一旦宣言された。
しかし1944年に米国がレイテ島に上陸後は、フィリピン各地において日米両軍の間で本格的な地上戦が繰り広げられ、フィリピンの民間人も戦闘に巻き込まれた。
とりわけ、マニラを巡る日米の攻防「マニラ市街戦」で「東洋の真珠」と呼ばれるほど美しい町だったマニラは廃墟となり、10万人のフィリピン市民が犠牲になった。
厚生労働省の資料のよると、フィリピンでの日本人戦没者は50万人を超えており、日中戦争以降の日本人戦没者310万人の6分の1を占めている。
フィリピン政府は大戦後、自国の戦争被害を算定し、フィリピン全土の犠牲者数を111万人と報告している。
当時の総人口が2000万人程度であったことを考えると、実に多くのフィリピン国民が犠牲になったかが分かる。
フィリピンは中国を脅威として認識し、安全保障の面で米国と連繋強化を図るにしても、経済への影響を考えると、中国との関係を無視する事はできない。
近年のフィリピンの貿易構造をみると、中国からの輸入は輸入総額の15%程度を占めており、相手国ではトップとなっている。
また中国向け輸出は、輸出総額の10%程度を占めており、日本向け米国向けに次ぐ規模となっている。
フィリピンにとって中国は、重要な貿易パートナーであり、インフラ不足に悩むフィリピンは、AIIBへの参加に関して当初、南シナ海の問題を考慮して設立協定への署名を留保していたが、最終的には署名を決定している。
英国のシンクタンク国際戦略研究所の報告書『ミリタリー・パランス2016』によると、フィリピンの軍事予算は215年時点で20億ドル強と規模は非常に小さく、自衛力に乏しい。
ちなみに同報告書によると中国の軍事予算は1500億ドルとなっている。
フィリピンのドゥテルテ政権は、選挙公約通り、麻薬犯罪の容疑者を大量に殺害するなど強権的手法に訴えている。
2016年12月時点で、ドゥテルテ政権が掲げる麻薬撲滅戦争における死者は6000人と、毎月1000人以上の死者が出ている計算となる。
なお6000人の死者のうち、警察の捜査時に殺害されたものが2000名、警察の捜査とは関係なく殺害されたものが4000人としている。
後者には見薬犯罪組織による口封じ目的の殺害が含まれている。
半ば固定化された格差が厳然と存在するフィリピンにおいて、国民を結び付けるアイデンティティは脆弱であり、階層を超えた国民的連帯を難しくし、民主主義の深化を阻んでいる。
フィリピンの最近の国勢調査でも、100種類以上の民族の分類が報告されており、全人口に占める比率が2%以上の民族だけでも9民族に上り、いかに多民族国家であるかが分かる。
フィリピンはタガログ族が過半を占めるというイメージがあが、最大勢力のタガログ族ですら、人口の25%程度を占めるに過ぎない。
その意味では、民族はフィリピン国民の共通のアイデンティティとはなりにくい。
フィリピンではフィリピノ語(実質的にタガログ語)が国語、英語が公用語となっているが、国勢調査で家庭内の使用言語をみると、タガログ語は全体の4割弱を占めているに過ぎない。
タガログ語以外をみると、各民族が別々の言語を持っている状況であり、タガログ語はあくまでも地方言語の一つであるし、英語は外来語であることから、国民を結び付けるアイデンティの源泉とはなりにくい。
一方、フィリピン人の8割がカトリック教徒で、これにプロテスタントを加えると広義のキリスト教信者は人口の9割を占めている。
経済発展のプロセスにおいて、農地改革が重要となる。
東アジアの中で、農地改革の成功例として引き合いに出されることが多いのは、第二次大戦後の日本、韓国、台湾の経験である。
日本は、戦後の米国占領下において、農地改革が財閥解体と並んで重要な改革として位置づけられ、短期間で農村の生活が劇的に変化した。
農地改革実施前の1946年時点では、農家のうち自作農は3割を占めるに過ぎなかったが、1950年には6割以上を占め、自作を主とする自小作農も含めると1950年時点で実に85%の農家が自作農になっている。
一方、小作農および小作を主体とする小自作農は、1946年時点では5割を占めていたが、1950年には1割にまで激減している。
スペインとフィリピンとの出会いは、探検家のマゼランがセブ島に到着した1521年を起源としている。
マゼランはポルトガル人だったが、すべてン国王の信任が強く、スペイン艦隊を率いていた。
マゼランはセブ島到着後、島民との戦闘で戦死したが、スペインはその後、メキシコ総督府のレガスピ率いる遠征隊を派遣し、1565年にセブ島の領有を開始した。
この領有によって、スペインによるフィリピンの植民地化がスタートする。
世界史の教科書では、スペインによる333年のフィリピン支配と説明されている事が多いが、この起算時点は1565年が正しい。
セブ島の領有に成功すたレガスピは、北上し、ルソン島のマニラを陥落させ、1571年にマニラで市政を開始するとフィリピンの植民地化を確立していった。
そもそもフィリピンという国名は、当時のスペインの皇太子で後のフェリペ2世の名前が由来となっている。
世界銀行の定義によると、中所得国は1人当りGNI(国民所得)が1026ドルから1万2475ドルの国を指し、このうち1026ドル~4035ドルの国は低位中所得国、4036ドル~1万2475ドルの国は高位中所得国とされる。
一方で高所得国は、1人当りGNIが1万2475ドル以上の国を指す。
歴史を振り返っても多くの国は、低所得国の段階を抜け出すことができても、中所得国の段階を脱するのは難しい。
東アジアの主要国でついても、「中所得国の罠」を克服したのは、日本とNIEsくらいであり、ASEAN主要4か国はいずれも未だ中所得国のままであり、マレーシアとタイは高位中所得国、インドネシアとフィリピンは低位中所得国に位置づけられる。
フィリピンでは株式の時価総額の大半を財閥系の企業が占めており、財閥の存在はこの国の経済そのものと言える。
スペイン系の代表的な財閥としては、アヤラ財閥とアボイティス財閥、中華系の代表的な財閥としては、シー財閥、ゴコンウェイ財閥、コファンコ財閥などがある。
大半の財閥は広大な土地を所有しているほか、金融業、小売業、蜀今暁、不動産業などの幅広い事業を手掛ける巨大グループとなっている。
多くの国では、政治分野のエリートと経済分野のエリートは別々であるケースが多いが、フィリピンは両者が重なっており、一族の中から国会議員・地方議員を排出している。
時の政権からすると財閥を敵に回す方向での改革を実現することは簡単な事ではない。
〇アヤラ財閥
不動産(アヤラ・ランド)、通信(グローバル・デレコム)、銀行(フィリピン・アイランズ)、水道(マニラウォーター)
〇アボイティス財閥
発電(アボイティス・パワー)、食品(ビルミコ・フーズ)、銀行(ユニオン・バンク)、不動産(アボイティス・ランド)
〇シー財閥
銀行(BDOユニバンク)、小売(SMリテール)、不動産(SMブライム・ホールディングス)
〇ゴコンウェイ財閥
食品(ユニバーサル・ロビナ)、航空(セブ・パシフィック)、不動産(ロビンソン・ランド)、銀行(ロビンソンズ・バンク)
〇コファンコ財閥
飲料(サンミゲル・ブリュワリー)、飲料(ヒネプラ・サンミゲル)、食品(サンミゲル・ピュア・フーズ)、石油(ペトロン)

2017年8月14日月曜日

フィリピンに進出する外国企業の参入障壁は高い。
フィリピン国内に土地を保有する現地法人の資本所有は40%までしか認められていない。
また、小売業では外史に対する規制が厳しく、払込資本金額が250万ドル未満の場合は、外資の参入は認められていない。
従って小売業の場合、外資の参入が可能なのは、規模の大きい企業のみというのが実情である。
これら法律で明記された参入障壁に加えて、実際にビジネスを展開する上では、政治・経済・社会に根を張っている財閥との関係をどうやって築くかという点が重要なポイントとなる。
税収増加を通じた公共投資の拡大と、借入を通じた公共投資の拡大とでは、経済効果は異なるという。
IMFは、前者の場合、当初は税負担の増加に伴う家計の可処分所得の減少から、消費が抑制されるものの、こうした影響は時間の経過とともに緩和されるため、借入れコストの負担が時間の経過とともに拡大する後者と比べて、最終的には経済効果が大きくなるとの分析結果を報告している。
フィリピンは十分な雇用が生み出されていない結果、多くの貧困層を抱えるという構造的な問題を抱えている。
フィリピン政府が定めた貧困水準に満たない人口の割合である貧困率は、実に25%程度に上る。
所得格差も大きな問題となっており、ジニ係数は40%を上回っている。(一般的にジニ係数が40%を超えると、その国では貧富の差が相当大きいとみなされる)
フィリピンでは地域間の所得格差も深刻な問題となっており、地域別の1人当りGDP(2014年時点)では、マニラ首都圏が8000ドルを超える一方で、最低のムスリム・ミンダナオ自治区では700ドル以下となっており、10倍以上の開きがあり、国土の均衡ある発展の実現できていない。
フィリピンの海外労働者からの送金やBPO産業の発展は、フィリピンの経済成長に繋がっているだけでなく、国債収支上、重要な外貨獲得手段となっている。
2003年には経常収支が黒字化し、それ以降は安定的に黒字を維持している。
2015年時点では貿易収支は赤字ではあるものの、経常収支はGDP日3%程度の黒字となっている。
外貨準備高も増加傾向にあり、近年てば800億ドル以上となっており、これは15ヶ月分の輸入金額に相当する。
フィリピンは海外発の経済・金融ショックに対して耐性が強くなっている事を意味する。
海外発の経済ショックを起点として、投資家のリスク回避姿勢が高まり、新興国から資金流出が生じる際には、経済のファンダメンタルズが脆弱な国、特に海外から借り入れに依存しているという意味で経済収支の赤字国が狙い撃ちにされる事が多い。
フィリピンは、相対的にその可能性が低い国と言える。
フィリピン中央銀行は、金融政策以外にも銀行の規制・監督、外貨準備の管理、為替政策など、幅広い機能を有し、支店も含めると総勢5000人程度を擁する巨大な機関である。
日本で言えば、日本銀行、金融庁の大部分、財務省の国際局を足したような機能を持っており、まさに経済政策の司令塔としての役割を果たしている。
フィリピン中央銀行は、金融政策運営面では安定的なインフレ率と高度成長を両立させている。
また、銀行監督面では銀行部門の不良債権比率は2%程度と低位安定するなど、金融システムの安定も実現しており、テタンコ総裁(2005~2017年)の功績は大きい。
米系金融誌「グローバル・ファイナンス」は、2011年から6年連続でテタンコ相殺を世界最優秀の中央銀行総裁の1人に選出し、その実績を高く評価している。
2016年に、フィリピン政府は最新の国勢調査(2015年実施)の結果を発表し、総人口が2015年8月時点で1億98万人に達した。
既にフィリピン政府の人口委員会が、1分当り3人の子供が生まれているという推計に基づき、2014年夏の時点で1億人を突破したとみられることを発表していたが、2015年の国勢調査で正式に1億人達成が確認された。
過去の国勢調査の結果を見ると、総人口は2000年時点では7651万人、2010年時点では9234万人となっており、過去15年間で3割以上も人口が増加している。
フィリピンの人口増加は、今後もかなり長い期間に渡って続くとみられており、国際連合の人口推計によると、当面はルン間1.5%のペースで増加し、2025~2030年の間には日本の人口を超えると予想されている。
2050年には総人口は1億4826万人に達し、実に2090~2095年まで人口増加が続くと見込まれている。
2095年の総人口は1億6814万人に達すると予想されている。
人口動態にも極めて恵まれており、国民の平均年齢は25歳と極めて若く、生産年齢人口(15~64歳の人口)の総人口に占める比率が増える時期となる人口ボーナス期が2050年頃まで続くと見込まれている。
高齢人口の比率は一貫して低く、2050年頃になってようやく10%程度に達するとみられており、その結果、生産年齢人口の比率は2050年頃まで上昇し、2050年時点では総人口の3分の2を生産年齢人口が占めると予想されている。
21世紀はアジア全体で高齢化が進む中、フィリピンは例外的な存在で少なくとも見通せる将来に老いることを心配する必要はない。
海外フィリピン人労働者の地域別の2015年の送金額をみると、米国からの送金が全体の30%強と最も多く、次いで中東諸国がの送金が25%、アジアからの送金が20%弱、欧州からの送金が15%と続いており、地域は適度に分散されている。
仕事内容では、商船の乗組員など海上労働者の比率が高いのも海外フィリピン人労働者の特徴であり、実に2割が開城労働者からの送金となっている。
商船の乗組員は船員の給与水準が相対的に高い事もあり、フィリピンでは憧れの職業となっている。
日本郵船は2007年に自前で商船大学をマニラ近郊に開咬し、フィリピン人の船員教育に力を入れており、その結果、日本郵船グループ全体で船員の過半をフィリピン人が占めている。
フィリピン中央銀行によると、送金は食費や生活必需品の購入費、教育費、医療費、耐久消費財の購入費、住宅購入費に使われており、フィリピン人の個人消費の原資となっている。
また、海外からの送金は国際収支の観点からみると、外貨獲得の重要な手段となっており、貿易収支は恒常的な赤字構造となっているものの、所得収支は多額の送金に支えられ、黒字となっており、この結果、経常収支の黒字が続いている。

2017年8月13日日曜日

フィリピンが世界有数の労働力の輸出国となっている背景には、雇用の受け皿が国内に不足している中で、フィリピン政府が海外での就労を奨励してきた事情がある。
フィリピンには海外における雇用の促進を目的として専属の機関である海外雇用庁(Philippine Overseas Employment Administration)が存在しており、その創設は1982年まで遡る。
海外雇用庁は海外就労を希望する労働者に対して仕事の斡旋をするほか、海外のフィリピン人労働者の権利保護にも責任を持っており、就労促進のために様々なサポートを提供している。
他に、海外労働福祉庁では、一定の金額を支払えば、海外における就労中に事故があった場合に給付を認めるなど、保険のようなサービスも提供されている。
フィリピンは世界有数の労働力を輸出する国であり、海外で暮らすフィリピン人は1000万人を超えている。
最新の政府の発表では、2013年時点で1024万人となっている。このうち永住者は487万人。
これはフィリピンの総人口の実に1割に相当する人が海外で暮らしていることを意味する。
海外出稼ぎフィリピン人による海外送金は、国内に残された家族の生活を支えるためになくてはならない存在となっている。
フィリピン中央銀行によると、送金額は2005年に年間100億ドルを超え、2015年には年間260億ドルに達し、フィリピンの名目GDPの1割の規模に相当する。
世界的にもフィリピンの送金額は経済規模対比で際立っており、労働力の輸出はフィリピン独自の成長モデルとなっている。
<送金額の国債比較>(世界銀行)
      送金額(億ドル)   名目GDP対比
インド     689        3.3%
中国      639        0.6%
フィリピン   285        9.8%
メキシコ    262        2.3%
フランス    233        1.0%
ナイジェリア  205        4.3%
パキスタン   193        7.2%
エジプト    183        5.5%
バングラデシュ 154        7.9%
ドイツ     154        0.5%