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2015年2月27日金曜日

中間層以下のサラリーマンに対して、2004年に配偶者特別控除の廃止により増税をした後、2007年にも住民税改正のドサクサに紛れて、低所得者層への増税が行われている。
2007年の住民税改正では、「実質的な税金は変わらない」と国は説明していたが、結果は増税になっている。
それまでの住民税は、所得の多寡に応じて、5%、10%、13%の3段階に税率が分かれていたが、2007年の改正で所得の多寡にかかわらず、税率は一律10%となった。
その代わり所得税の税率で調整し、所得税と住民税を併せた税率はプラスマイナス「ゼロ」になるように設定された。
しかし、住民税の方が所得税よりも課税範囲が広いので、同じ所得だったとしても、住民税の方が高くなるのである。
そして、2007年改正では、高額所得者は所得税の割合が増えて、住民税が減り、低所得者は所得税の割合が減り、住民税が増えることになった。
その結果、住民税の割合が減った高額所得者は減税となり、住民税の割合が増えて低所得者は増税となったのである。
住民税は課税最低限が所得税よりも低く設定されており、それまで税金を払わなくても良かった低所得者層に税金を課すことになったのである。
文部科学省の発表では、小中学生一人に教育費が100万円使われていることになっている。
給食費は特に、予算の横流しをしているシステムの代表的なものとなっている。
文科省によると、給食費1食あたり約900円かかっており、異常に高額な食事を提供している事になっている。
保護者が負担する給食費は月額4000円程度で、1食あたり2百数十円であり、これは食材のみの金額とされ、その他の調理費等は税金650円で賄われている。
更に、給食を作る施設には税金がかかっていない。
この高額給食費は、全国の小中学校で共通となっており、給食関連費が各地域の教育関係者の利権になっている。
日本の税制では、「間違いだ」という証拠が無ければ、納税者側の言い分が認められることになっている。
税務調査で、始末書を要求するケースは、実は「不正かどうか明確な物証に乏しい場合」となる。
納税者が始末書を提出してしまったら、重加算税を課せられる羽目になる。
税務署の「強制調査」とは、国税局査察部(通称マルサ)が行う調査のことで、脱税額が1億円以上見込まれ、非常に悪質な方法で課税逃れをしているケースが対象となり、年間200件程度しかない。
マルサ以外の税務調査は、全て納税者の同意のもとで行われる「任意調査」となる。
企業に増税すれば、企業が海外に出ていく、というのは根拠のないデタラメである。
法人税は、企業支出の中で、僅か1%にも満たないので、企業の法人税負担を10%程度増減させたとしても、企業活動の中では影響が余りなく、企業の支出全体からすると、0.1%程度しかない。
僅か0.1%の経費削減のために、リスクを取って海外に進出する企業はない。
日本では2004年に低所得者に対して大増税が行われた。
当時、財務省は「増税」という言葉を使わずに「配偶者特別控除の削減」と表現したので、マスメディアは大きく取り上げなかった。
配偶者特別控除とは、妻に収入がない夫婦の場合、税金を割り引く制度で、最低でも5万円は税金が安くなっていた。
現在も「配偶者特別控除」という所得控除の名称は残っているが、節税効果は全くなく、表向きは「削減」となっているが、事実上は「廃止」になっている。
この配偶者特別控除は、年収1000万円以下の家庭にしか適用されていなかったので、この控除が廃止されたことで、「所得が低く、夫だけしか働いていない家庭」に対して増税が行われたことになる。

2015年2月25日水曜日

一般社団法人不動産流通経営協会の「不動産流通業に関する消費者動向調査」
<第19回(2014 年度)> によると、自己所有住宅から住み替えた世帯の 68.5%が従前住宅を売却している。
このうち売却損が発生している世帯は 85.2%(対前年度比 1.8 ポイント増)、さらに 1 千万円以上の損が発生している世帯は41.8%(対前年度比 1.1 ポイント増)となっており、2011 年度から年々増加傾向にある。
なお、「3千万円以上損」の高額な売却損が発生した世帯は 8.5%(対前年度比 1.6 ポイント増)となっている。
売却損発生世帯は従前住宅を平均 3858.3 万円(前年度 3836.5 万円)で購入し、平均 2595.7 万円(前年度 2585.7 万円)で売却しており、その差額は前年度から微増し 1262.6 万円(前年度 1250.7 万円)だった。

国土交通省がまとめた「RC造(コンクリート)の寿命に係る既往の研究例」で、マンションの物理的な寿命が紹介されている。
「鉄筋コンクリート造建物の物理的寿命を117年と推定」
(飯塚裕(1979)「建築の維持管理」鹿島出版会)
「鉄筋コンクリート部材の効用持続年数として、一般建物(住宅も含まれる)の耐用年数は120年、外装仕上により延命し耐用年数は150年」
(大蔵省主税局(1951)「固定資産の耐用年数の算定方式」)
と、十分に100年は超える耐久性があるものと考えられる。
しかし、
「固定資産台帳の滅失データを基に平均寿命を推計した結果、RC系住宅は68年」
(小松幸夫(2013)「建物の平均寿命実態調査」)
との指摘もあり、耐用年数の限度まで使われることは少ない。

2008年の日本の中古住宅の流通率は13.5%、フランスでは64.0%、イギリスでは85.8%、アメリカでは90.3%となっている。
中古住宅の流通が大居宇部井では、中古住宅でも資産価値が長く維持されているということである。
国土交通省の「住宅・土地調査統計」によると、日本の住宅の平均寿命は約30年。
アメリカの55年、イギリスの77年に比べると極端に短い。
しかし、20年に渡り住宅・建築物の寿命を計算している早稲田大学理学部の小松幸夫教授の最新の研究成果(2011年10~11月)によると、木造家屋について専用住宅の平均寿命は65.03年という。

2015年2月24日火曜日

住宅支援機構の住宅ローン「フラット35」の返済期間21年以上の金利が7ヶ月連続下がり、2015年2月は過去最低の1.37%となっている。
更に、2014年12月に閣議決定された「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」で、2014年度補正予算が組まれ、一定の基準を満たす住宅向け「フラット35S」は、当初金利引き下げ0.3%から0.6%に下げ幅が拡大されている。
つまり、2015年2月の固定金利1.37%で借りて「フラット35S」が適用されると10年間が0.77%の固定金利となり、都市銀行が提供する変動金利型と同じ水準となる。
税金投入の恩恵を受け、金利上昇リスクがない固定金利0.77%で借りられるのは、ローン申込の早い者勝ちで、2014年度補正予算を使い切った時点で申込締切となる。

2014年にマンションを購入した人のうち、親から贈与を受けた人は25%、贈与額の平均は772万円だった。
<贈与額の内訳>
300万円未満       22%
300万円~500万円未満  13%
500万円~600万円未満   20%
600万円~1000万円未満  13%
1000万円~1500万円未満 21%
1500万円以上       11%
「2004年首都圏新築マンション契約者同行調査」
(リクルート住まいーカンパニー調べ)
2014年7月1日に集団的自衛権行使の容認が、閣議決定され、これから関連法案が続々と出てくる。
それと共に、秘密保護法が具体的に適用される事例が出てくるだろう。
これからの日本は普通に戦争ができる普通の国になるのである。
戦後精神の根本には、日本国憲法自体が交戦権、参戦権、緊急事態権、宣戦布告権を認めていないという事にある。
日本は戦争に負けて、今後一切、戦争に関わることを辞めるという決意のもとに日本の戦後は成り立ってきた。
九条は凄まじい状況の中で、この70年持ちこたえてきた。
絶望をくぐり抜けた結果、日本人が手に入れたものである。
日本人にないのは希望ではなく絶望だ
by むのたけじ
1900年代初頭に生まれて、第一次世界大戦と第二次世界大戦を経験したレヴィナスというユダヤ人思想家がいる。
彼は「人間の知性とは、戦争の可能性が永続することに気づくことだ」という。
人間はずっと戦争をしている生物であり、20世紀は戦争の連続だった。
アメリカは建国以来、戦争と名の付くものを50回以上やっており、対外侵攻は200回以上やっている。
中国は、かつで人類が経験したことのない程の世界最強の監視社会になっている。
末端の監視行政体制として居民委員会という隣組組織があり、すぐに密告されてしまう。
しかし、そこから逃げるのは不可能なはずなのに、天安門事件の時には、それをかいくぐって、民主化運動の指導者は国外逃亡をしている。
そこには、国家と関わりのない秘密組織が地下水脈のように存在するのである。
今や完全に新聞社は財界の一角に組み込まれてしまい、体制の構成予想になっており、本当の批判精神など期待できない。
日本の新聞は、一都道府県に一紙か二紙しかなく、幕藩体制のような統治と収奪の社会システムができている。
ローカル紙とローカルテレビは読売や朝日の系列か傘下にあり、資本のネットワークに全てのメディアは収まっている。

2015年2月23日月曜日

特定秘密保護法に反対する声明に、名前を挙げたキャスターと挙げなかったキャスターがいる。
田原総一郎、鳥越俊太郎は名前を出した。
古舘伊知郎、後藤謙次、池上彰は名前を出さなかった。
この事実は、きっちりと残しておく必要がある。
三島由紀夫と親交の深かった美輪明宏の三島論が興味深い。
美輪が自分で衣装を作ったり化粧をするのを見て、三島は大変羨ましがったという。
美輪は三島をアメ横に連れていき、服を自分で選ばせたりしていた。
三島には威圧的な父親がいて、徴兵逃れのような真似をして父親と共に喜んで、全てがお仕着せの人生だった。
三島が自分で決めた人生は、最後の自決だけだったという。
日本のファシズムは文芸が先導するという面がある。
軍歌の作詞者にアララギ派の作家たちが名を連ねている。
日本国憲法の前文と九条には、国家が宿命的に持つ暴力性を否定しているというだけでなく、国家そのものを否定している一面がある。
そして、この憲法をじっくりと読むと、徹底するのがいかに大変かという事が理解できる。
武力を持たないということは、丸腰だということだからである。
戦争を生み出す最大のエネルギーはナショナリズムである。
戦争に反対することは、ナショナリズムに反対することである。
その意味で、今の日本共産党にその資格があるとは思えない。
連合東京もしかりである。
猪瀬直樹、舛添要一を支持したのが、自民党、公明党、連合東京だった。
連合東京は、かつての大日本産業報国会になっていく恐れを抱えている。
つまり、日本共産党と連合東京が「反戦」「非戦」ではなく、愛国・救国戦線の形で、ナショナリズムと二人三脚になっていく可能性がある。
麻生太郎・副総理と籾井勝人・NHK会長は福岡の出身で、籾井炭鉱と麻生炭鉱と共に炭鉱経営者の末裔である。
つまり、二人とも戦前戦中から日本帝国主義と密接に絡んでいる一族なのである。
事実というものは存在しない。
存在するのは解釈だけだ。
by ニーチェ

2015年2月22日日曜日

人は弱いから群れるんじゃなくて、群れるから弱いんだ。
by 竹中労 (よろず評判家)
分譲マンションの値引き広告キーワード
「家具付きモデルルーム販売」
→モデルルームとして使用した住居は他の物件と同額では悪いので家具を付ける、と言うのがディベロッパーの実質値引きの言い分である。
「◯◯万円相当のオプションプレゼントキャンペーン」
→売り側にとっては、オプションを付けるのも物件価格を値引きするのも同じなので、実質的に値引きに応じる。
「新価格発表」
→二重価格は禁止されているが、新価格の方が相場とマーケットは認識する。
「新価格発表」は完全に値引きの言い換えである。
分譲マンション購入の際に大幅な値引きを勝ち取るのに、1年で一番いい時期がある。
それは2月の最終日曜日と3月期の第一日曜日。
理由は、売買契約の住宅ローン契約を同時並行で進めるため、住宅ローン手続きを考慮すると、この日程が、3月末に引き渡しが可能となるギリギリのタイミングになるからである。
分譲マンションの3月入居開始物件はリスクが高い。
マンションディベロッパーの決算は3月期が多いので、分譲マンションの引き渡し開始時期は3月が圧倒的に多い、
3月入居開始物件だけで4割を占める年もある。
3月入居開始のマンションが多いということは、その前の同時期に竣工する現場が多いということになる。
その結果、3月引き渡しで売上計上できるように事業計画を立て、工期が本来必要な期間より短い物件が出てくる事になる。
つまり、公共工事増加による職人不足等が無くても3入居開始物件は、突貫工事にならざるを得ない現場が必然的に発生する。
JPX400の登場で、株式市場で自己資本利益率(ROE)が脚光を浴びている。
ROEとは、1株あたりの利益を1株あたりの株主資本(自己資本)で割った数字のことで、企業の収益性を示す指標である。
しかし、ROEは借入を増やすことで、意図的に高めることができる。
つまり、ROEは「財務レバレッジを高めることを正当化する指標」と言える。

2015年2月20日金曜日

ギャンブルの胴元の取り分
競馬       25%
競輪       25%
競艇       25%
宝くじ      50~60%
ロト6       50~60%
ルーレット    5%
ブラックジャック 4~▲2%
スロットマシン  3~8%
バチンコ     3~8%
消費者ローンを利用している人の7割が、誰にも相談せずに借金をしており、家族も知らない可能性が高い。
「保証人になって欲しい」と頼まれたら、その人に「ご家族は、何とと言っているの?」と聞くべきである。
本当に必要で本当に返済ができるお金ならば、親族に借金を申し込む際に、それ程負い目を感じることは無いハズである。
連帯保証人は、借金をした本人と同じ責任が伴う。
借金をした本人が返済できなくなり、逃げてしまったら、連帯保証人に返済義務が発生する。
自己破産する人の10人に1人は、連帯保証人になったことが原因であるという。
また、連帯保証人が死亡した場合は、連帯保証人の家族がそれぞれ法定相続分に応じて、連帯保証債務を負うことになる。
クレジット会社の収入内訳

キャッシング      48.4%
加盟店手数料      31.6%
ショッピング収入    12.9%
入会金・会員からの収入  7.1%
金融広報中央委員会の調べによると、日本では4世帯に1世帯が「貯金なし」の状態で、単身世帯に限ると33.8%が「貯金なし」となっている。
複数の金融機関から消費者ローンを借りている多重債務者は、日本では107万人いる。
また、借金返済が3ヶ月以上滞っており、ブラックリストに登録されている人が、日本には420万人いる。
日本信用情報機構の調べによると、日本で消費者ローンの利用経験者は1500万人。
借金ができる20歳以上人口の14.3%と、全人口の8人に1人が利用経験者。

2015年2月14日土曜日

顧客名簿の歴史を遡ると、2つの業態にたどり着く。
1つは、江戸時代の呉服屋で、店が火事になったら、大福帳を井戸に投げ込んで逃げ、まずは大福帳を守る。
大福帳は特殊なコンニャクで作った紙を使っており、墨で書かれた文字が水につけてもにじまない。
火事がおさまったら、大福帳に記載された取引先に挨拶回りをすることで、商売を再開できる。
呉服が燃える損失よりも、顧客データベースの焼失の損害の方が計り知れないことを商家は知っていた。
もう1つは、富山の薬売りで、薬を売った先の名簿「懸場帳(かけばちょう)」を持っている。懸とは配置を意味する。
懸場帳は、薬売りが引退する時に売買されるが、その売買金額は次の計算方法となっている。
まず過去の売上から推定される年間売上額に、既に置き薬として置いている薬代を加算して、そこから1年以上訪問していない不廻りを減算して、集金可能額を出し、それに2割から最大5割の暖簾代を計上した金額を売買代金とし、その金額は現在の数千万円に当たる。
懸場帳を新たに項にゆうした薬売りは、顧客名簿を引き継いで、すぐに商売が始められる。
財閥系、鉄道系を除く、全てのディベロッパーは、10年でランキング10から消え去り、20年で全て倒産している。
一昔前の「先物取引」の恐ろしさは、カネを巻き上げられて1円も無くなって困り果てた客に、親族、知人などから返済の目処の立たない借金をさせて回らせ、更に深見に突き落とされる点である。
つまり、「被害者が気づいてみれば加害者に仕立て上げられてしまう」構造によって、単に金銭的な被害の拡大だけでなく、人間関係の荒廃が同時に進行していくところにある。
無知は罪なり、知は空虚なり
By ソクラテス
学校で生徒全員に同じ制服を着させることの意味は、家庭の経済状態を感じさせないための配慮である。
私服だと、いつも同じ服を着て学校に行くわけにはいかず、自然とその家の経済状態が明らかになってしまう。
制服を着ることは没個性という人があるが、制服着用によって、世の中の価値基準を学校に持ち込まないで、裕福な家庭の子も貧乏人の子も平等に勉強に集中でき、学校生活を過ごすことができる。
1961年4月から1982年3月までNHK教育テレビで放送されていた、小学校2年生向けに「働くおじさん」という社会科番組があった。
タンちゃんとペロくんという犬のコンビが、気球に乗って望遠鏡で街を覗いて、そこで発見した製造業系の工場現場を毎週見学する。
この社会見学は、「働かされるおじさん」は教えるが、「働かせるおじさん」の側について解説されることはない。
世の中は「働されるおじさん」と「働かせるおじさん」がいて成り立っているが、この番組で取り上げられるのは、いつも「働かされるおじさん」であった。
子供に労働者になることの素晴らしさを教える番組だった。

はたらくおじさん

2015年2月8日日曜日

日本にいると感覚が鈍るが、今、世界の住宅価格は軒並みバブル状態になっている。
2014年6月11日に、国際通貨基金(IMF)は「世界の住宅価格はバブル崩壊直前である」と重要な警告を発表している。
IMFが新たに作った経済指標となる「世界住宅観測」の研究責任者であり、IMFの朱民・副専務理事によると、2000年の世界全体の住宅値を100とすると、2013年10月から12月の値は123.1に達しているとし、バブルが弾ける直前だった2008年と似たような水準だと指摘している。
また、過去の統計上、金融危機が起きる際には、2/3以上の確立で不動産価格の暴騰・暴落が起きるとしている。
2014年3月18日に公表された公示価格(2014年1月1日時点)では、「五輪特需」が明らかとなり、東京の湾岸エリアが全国の住宅地の中で最も大きく上昇している。
中央区勝どき3丁目、中央区佃3丁目、中央区月島は、10%強上昇し、江東区豊洲4丁目は8%以上も上昇している。
湾岸エリアでは人口も大きく増える見込みで、東京都と豪マッコーリー証券の推計によると、選手村が建設される臨海副都心の人口は2010年の1万1030人から2016年には4万7000人になり、労働人口も2016年までに9万人に倍増する。
関東大震災は、死者・行方不明者10万5000人余に及んだが、実はこの時に亡くなった人の殆どの9万1000人が、火災で亡くなっている。
東京都墨田区にある横綱町公園では、関東大震災の時、火災旋風による最悪の舞台となった。
周辺の下町から避難所として集まってきた4万人を火災旋風が遅い、横綱町公園に避難していた人だけで、3万8000人が犠牲となった。
日本経済新聞社と日経産業地域研究所が、2008年に全国783の市と東京23区を対象に実施した「第6回行政サービス調査」によると、総合評価の1位は三鷹市、2位が千代田区、3位が清瀬市、4位が荒川区、5位が北区、6位が武蔵野市となっており、1位から6位までを東京都の市区が独占している。
東京23区の中でも千代田区は、大企業が多く、財政基盤がしっかりしている。
しかし一方、人口は23区で最も少なく、出産、育児も住み替えなどに関する助成金などの行政サービスが充実している。

「日本創成会議」が2014年5月にまとめた通称「増田リスト」で、「消滅可能性都市」に、豊島区が23区で唯一指定されている。
東京都心部は地方に比べ、不動産市況についても問題が無いように思われているが、増田寛也氏は「人口減少や少子高齢化が最も厳しいのは東京」指摘している。
高齢化問題が最も深刻なのは東京で、75歳以上は30年後には2倍となり、20代と30代は4割減少し、介護の担い手すらいなくなるのである。
「日本の地域別将来推計人口」(2013年3月推計)によると、東京都の65歳以上の人口は2010年で267万9000人だったが、2025年には332万2000人となると推計されている。
この間の増加率は24%で、全国平均と変わらないが、増加数は64万3000人と東京が全国1位となっている。
群馬県の南牧村は、日本の市町村の中で、14歳以下の人口割合が最も少なく、15から64歳以下の人口割合も最も少なく、65歳以上の人口割合が最も多い村である。
2010年の国勢調査によると、総人口2423人のうち、65歳以上が1387人なのに対し、14歳以下は103人という人口構成で、高齢化率は57.2%に達する、正に日本一の少子高齢化が進んだ村である。
国立社会保障・人口問題研究所がまとめた「日本の地域別将来推計人口」(2013年3月推計)によると、2040年の南牧村の推計人口は702人となっている。
2010年に比べ71%もの人口減少となる。
この702人のうち、65歳以上が488人を占め、高齢化率は69.5%に達する。
村民の7割が高齢者となり、14歳以下は20人になってしまう。
人口減少率が全国ワーストと村であり、「日本創成会議」が2014年5月にまとめた通称「増田リスト」では、「消滅可能性都市」の筆頭に位置づけられている。
バブルはいつも同じサイクルをたどる。
相場が安い時は、割安をねらって一部の人が買いにくる。
相場が上がり始めると、ファンダメンタル的に良いとか
チャート的に良いとかいって更に多くの人が買いにくる。
次の段階になると、上がるから買うということになる。
そして最後に魔法の段階に到達する。
人々はヒステリーのように買いたがる。
相場は永遠に上がり続けると思うからだ。
by ジム・ロジャース

2015年2月3日火曜日

我々が歴史から学ぶべきなのは、
人々が歴史から学ばないという事実だ。
by ウォーレン•バフェット
戦後14回あった景気回復局面の平均は36ヶ月。

2015年2月2日月曜日

梶山 季之のルポ『彼らが成功する瞬間』(1963年発表)に、後に企業家として成功した経営者達が関東大震災の直後に、どのように行動したかが書かれている。
本田技研を創業した本田宗一郎は、震災の時は17歳で、アート商会という本郷の自動車修理工場に小僧として住み込みで働いていた。
震災後、彼はハンドルを握る嬉しさも手伝い、オンボロのサイドカーに板橋方面に避難する人を集めて料金を取り、その金で農家から米や野菜を買って都心に運ぶアルバイトを始めた。
そして10ヶ月後には芝浦の工場で焼け残った30台の車をスクラップ同様の値段で買い取り、更生車を作ることに乗り出した。
焼けてナマになった車でもバラバラに分解して、使えそうな部品を選んで組み立てると立派な自動車になる。
何と更生車のフォードが震災前の2倍の値段で売れたという。
味の素の創業者、鈴木三郎助は震災当時、伊香保で療養していた。
東京が大地震で壊滅したと知ると、すぐに汽車に乗って東京を目指した。
普通列車に乗り、高輪の自宅にたどり着いたのは東京が朱く燃え上がっている夜中だった。
川崎の工場も京橋の店も燃えて消えていた。
あるだけの現金を用意すると、彼はすぐに大阪へ社員を派遣し、鴻池組と交渉し、船を1隻チャーターさせ、材木、セメント等の資材と大工、左官を大阪で調達して、急きょ東京へ運ばせた。
この震災の時に、焼け残った原料の小麦粉を大量に放出したことによって、「味の素の原料はヘビの粉」というデマ説を一掃し、震災後の物価高の中、味の素という便利な調味料があることを市民に知らせれたのである。
他にも、帝国ホテルの犬丸徹三社長は、震災直後に厳重な防火体制をとって火災を防ぎ、日比谷周辺の主要な建物がほぼ消失した中で営業を継続し、建物の一部を新聞社、通信社、外国大使館に提供してブランドイメージを更に高めた。
講談社の創始者である野間清治は、「大正大震災大火災」と名付けた画報を10日間で編集し、校正を済ませて10月1日に出版した。
これが大当たりとなり、娯楽雑誌「キング」の創刊資金を作り、出版界の雄として基礎を築いた。
ホテルニューオータニの創立者である大谷米太郎は、震災直後に50銭て均一の廉価な食堂をつくり大繁盛させて、消失してしまった本業の鉄工所(のちの大谷重工業)の再建資金に充てた。
相場の神様的な存在となった山種証券の創業者の山崎種二は、震災時、深川の米問屋の番頭だった。
火の海になった近辺を見て、店が焼けることを予測し、蔵にあった米の一部を店の前の堀に係留していた傳馬船に乗せて当面の食糧を確保した。
そして、小切手、現金、帳簿を信頼できる船頭に預け、店員とともに月島へ逃げた。
結果、店は全焼したが、人的な被害はゼロで、速やかに営業を再開することができた。
その後、震災のショックで商売への意欲を失った主人から、暖簾を受け継いだ。
2008年9月15日のリーマンショックから、6年が経つのにヘッジファンドの情報開示は進まず、各ファンドがどのような金融商品を保有しているしか分からない。
更に、ヘッジファンドの資金量は、リーマンショック以前より大きくなっている。
2014年5月時点で、ヘッジファンドの運用資金は日本円に換算して210兆円あり、200兆円程度だったリーマンシヨック前の水準を上回っている。
仕手(して)、あるいは仕手筋(してすじ)とは、人為的に作った相場で短期間に大きな利益を得ることを目的に、公開市場(株式、商品先物、外国為替等)で大量に投機的売買を行う者のことをいうが、この仕手とは、能で主役を演じるシテ方が由来になっている。

2015年2月1日日曜日

利子率が長い期間に渡って低下した16世紀の資本主義最大の産業は出版業だった。
出版業界は、当初、ラテン語陣営に属していたが、ラテン語の聖書は既に飽和状態だった。
つまり、特権階級はラテン語の聖書をみんな持っていた。
そこで、出版業界はプロテスタント陣営側について、ルターの教えを大量に印刷してヨーロッパ中に売ったため、ドイツ語や英語はラテン語との勢力争いに勝利した。
したがって、長い16世紀の宗教改革は、ドイツ語、フランス語、英語で話す人達が、ラテン語を使う特権階級の人達から、情報わ奪い取る情報戦争だったと位置づけることができる。
現在、日本の利子率は世界で最も低く、人類史上、例を見ないほど長期にわたって超低金利の時代が続いている。
利子率が最も低いということは、資本が最も家事用にあることと同義である。
もはや投資をしても、それに見合うだけのリターンを得ることができないという意味では、資本主義の成熟した姿が、現在の日本だと言える。
そして、その日本で、3割の世帯が金融資産を全く持たない無産階級であるという事実が出現している。
現在の日本には、ストックとして1000兆円の借金があり、フローでは毎年40兆円の財政赤字を作っている。
GDPに対する債務残高が2倍を超えるほどの赤字国家であるが、破綻しないし、逆に日本の長期国債の金利は人類史上最低金利となっている。
そのカラクリは、フローの資金繰りに関しては、現在の金融機関ではマネー•ストックとしてある800兆円の預金が年3%、24兆円ずつ増加しており、その多くは年金である。
高齢者に支給された年金が消費に向かわず、預金として銀行に流れているのである。
さらに本来ならは資金不足セクターである企業では、1999年以降、恒常的に資金余剰の状態が定着しており、2013年第3四半期で、1年間の資金余剰は23.3兆円に達している。
この家計部門と企業部門を合わせた資本余剰は48兆円と、対GDP比で10%と高水準を維持しているのである。
これが金融機関を通して、日本国債の購入費に充てられ、毎年40兆円発行される国債が消化できているのである。
しかし、こうした状況は永遠に続くことはなく、日銀の試算では、2017年には預金の増加が終わると予測されており、そうなると日本国債は国内で消化できなくなり、外国人に買ってもらわねばならなくなる。
しかし、外国人は他国の国債金利と比較するので、日本国債の金利は不安定化し、現実的には金利上昇することになる。
日本国債の金利が上昇すると利払いが膨らみ、日本の財政は破綻をしてしまうことになる。
残された時間は、あと3年程度しかなく、その間に、基礎的財政収支を均衡させることが日本にとって喫緊の課題なのである。
12世紀から13世紀のイタリア・フィレンツェに資本主義の始まりを象徴する2つの出来事があった。
1つ目は「利子」が事実上、容認されるようになったこと。
本来キリスト教では金利を受け取ることは禁止されており、正確には、中世後期から「高利貸し」が禁止されていた。
しかし、12世紀を通じて貨幣経済が社会生活に浸透するようになると、フィレンツェに資本家が登場し、金融が発達し始め、メディチ家のような銀行は、為替レートを利用して、こっそりと利子を取っていた。
利子とは、時間に値段をつけることであり、利子を取るという行為は、神の所有物である「時間」を人間が奪い取ることである。
そして、1215年のラテラノ公会議で、「利子が支配いの遅延に対する代償、両替商の労働に対する賃金、貸付資本の損失リスクの対価とみなされるときには、貨幣貸付に報酬がなされてもよい。そして33%が貨幣の正当な価格の認可ぎりぎりの線」と認められ、利子が事実上、容認された。
2つ目は、12世紀にイタリアのボローニャ大学が、神聖ローマ皇帝から、大学として認められたこと。
13世紀にはローマ法王からの認可も受けた。
中世も「知」も神の所有物だったが、ポローニャ大学の公認は、広く知識を普及することを意味し、いわば「知」を神から人間に移転させるきっかけが、ボローニャ大学の公認だったのである。
社会学者のウルリッヒ・ベックは、『ユーロ消滅?』の中で、鋭い指摘をしている。
、「富者と銀行には、国家社会主義で臨むが、中間層と貧者には新自由主義で臨む」
バブルが崩壊すると、国家は資本の後始末をさせられる。
資産価格の上昇で巨額の富を得た企業や富裕層が、バブルが弾けると公的資金で救われる。
その公的資金は税という形で、国民にしわ寄せが行く事になり、今や資本が主人で国家が使用人という関係になっている。

ユーロ消滅?――ドイツ化するヨーロッパへの警告

日本の二極化も凄まじい状況になっている。
非正規雇用者が雇用全体の3割を超え、年収200万円未満で働く人が給与所得者の23.9%(1090万人)を占め(2012年)、2人以上世帯の金融資産非保有者が31.0%(2013年)に達している。
金融資産非保有世帯比率は、1987年には3.3%と低かったのが、2013年の31%というのは、1963年の調査開始以来、最も高い数値となっている。
1972年から1987年にかけての16年間の平均は5.1%だった。
2013年の31%の世帯は、おそらく家も持っていないので、無産階級と言える。
ゼロ金利に近づくということは、次のような解釈ができる。
もともと利子は、神に帰属していた「時間」を人間が所有することを意味していた。
その結果、たどり着くゼロ金利というのは、先進国12億人が神になることを意味するのである。
これは、時間に縛られる必要から解放されたという事であり、「タイム・イズ・マネー」の時代が終焉を迎えるということなのである。
同様に、「知」についても、中世までは神の独占物だった。
近代になって、国家と大手マスメディアが「知」(情報)を独占していたが、インターネットとスマホの普及により、先進国の人は、世界で何が起きているかを瞬時に知ることができるようになった。
これもまた、ある意味では、12億人が神になったという解釈ができる。
そういう意味で、資本主義とは、神の所有物を人間のものにしていくプロセスであり、それが完成しつつあるという解釈もできる。
1995年に国際資本が国境を越えてグローバル化するようになってから、アメリカは電子・金融空間を築き、僅か十数年で140兆ドルを超えるマネーを創出した。
リーマンショックと欧州危機により、この余剰マネーは新興国に手中することになったが、全てを吸収できていない。
2013年の新興国の経済規模は総額で28兆ドルであり、経済成長に必要な固定資本形成はピークでも経済規模の3割程度である。
この3割という数字は、日本が1973年に民間設備投資と住宅投資と公共投資を合わせて、33%だった事からも妥当である。
したがって、28兆ドルの経済規模の新興国にとっって、経済成長に必要な資本は、仮に国内貯蓄がゼロだとしても、3割の9.3兆ドルあれば十分なのである。
この3.9兆ドルというのは、ピーク時の数字であり、新興国自身の貯蓄が増えれば、海外からの資金調達は少なくで済む。
先進国では1970年半ばを境に、中間層の没落が始まっている。
アメリカでは、所得上位1%の富裕層が全所得に占める割合が、1976年の8.9%から、2007年の23.5%まで高まっている。
ちなみに、大恐慌直前1928年は23.9%だった。
16世紀に近代が幕を開けて以来、500年かけて、2010年時点の先進国12.4億人(世界人口の18%)は豊かになった。
この近代資本主義の特徴は、全人口の2割にあたる先進国が、独占的に地球上の資源を安く手に入れられる事を前提としていた。
ところが、21世紀のグローバリゼーション時代には、BRICsの29.6億人、さらに残りの27.2億人に対して、かつての先進国と同様に豊かになるだろうと期待をもたらし、先進国の12.4億人が500年かけて達成した生活水準を、56.8億人が20~30年で達成して豊かな生活を手に入れようとしている。
しかし、新興国の近代化は、これまでの先進国の近代化とは大きく異なり、新興国の全員が豊かになれる訳ではないのである。
新興国の場合、経済成長と国内での二極化、格差拡大が同時に進行していくことになる。
中国の一人当たりGDPが、先進国に追いついた時点で、21世紀の価格革命が収束すると予測される。
日本の一人当たり実質GDPに、中国が追いつくのは20年後となる。
2012年時点での日本と中国の一人当たり実質GDPには4倍の開きがあるが、将来の成長率を日本1%、中国8%とすると、20年後に日中の一人当たり実質GDPは同水準となる。
つまり、2030年代前半に、中国の一人当たり実質GDPが日米に追いつくまで、資源価格の上昇と新興国のインフレ、つまり価格革命は収束しない。
日本の実質賃金の推移は、2010年を100とすると、1997年第1四半期の111.3をピークに、下がり続けている。
2001年第1四半期には106.1、2013年第4四半期には97.7となっている。
こうした傾向は、データが存在する130年間の歴史において初めてのことで、総付加価値がプラスの伸びを示している時に、雇用者報酬の伸び率がマイナスになったのは、1990年以前には無かった。
1990年以前までは、労働と資本の分配比率が1世紀にわたって、その比率が変わらなかったということである。
ところが、20世紀末にグローバリゼーションの時代となり、資本側がこの分配比率を変えたのである。
社会学者イマニュエル・ウォーラースティンは『近代社会システムⅡ』で、「封建社会の危機を脱する道こそが、余剰収奪の新たな形態である資本主義的世界システムを創造することにほかならなかった」と述べている。
そして、資本主義・主権国家システムへの過渡期において、旧来の固定的な地代収入に頼っていた荘園領主は没落すると同時に、労働者の実質賃金も低迷をたどる。
1477年のピーク時を100とすると、実質賃金は1597年には24まで下がってしまうのである。
そして、1477年と同じ水準にまで実質賃金が回復するのは、1886年まで待たねばならない。

近代世界システムII―重商主義と「ヨーロッパ世界経済」の凝集 1600-1750

グローバリゼーションとは、その本質は「中心」と「周辺」の組換え作業であり、ヒト・モノ・カネが国境を自由に越えて世界全体を繁栄に導くといったものではない。
20世紀までの「中心」は「北」(先進国)であり、「周辺」は「南」(途上国)だった。
21世紀に入り、「中心」はウォール街となり、「周辺」は自国民、具体的にはサブプライム層になるという組み替えが行われた。
中間層が没落した先進国で、消費ブームが戻ってくることはない。
現在の課題は、先進国の過剰マネーと新興国の過剰設備をどう解消するかである。
この2つの過剰を是正すると、信用収縮と大量失業を生み出すことになるので、時間をかけるしかない。
その間、先進国では、ゼロ金利、ゼロ成長、ゼロインフレが続くことになる。
現在、金融経済の規模は実物経済よりも遥かに膨らんでおり、電子・金融空間には余剰マネーが、マネー・ストック・ベースで140兆ドルある。
レバレッジを高めれば、この数十倍のマネーが電子・金融空間を徘徊することになる。
これに対して、IMFの改訂によると、実物経済の規模は2013年で74.2兆ドルしかない。
金融技術でればレバレッジを掛ければ、瞬時にして実物投資10年間分の利益が得られる。
この状況では、量的緩和政策によってベース・マネーを増やせば、金融・資本市場で吸収され、物価ではなく資産物価の上昇、すなわち資産バブルを加速させる事になる。
そして、バブルが崩壊すれば、巨大な信用収縮が起こり、そのしわ寄せは中間層の雇用に集中する。
グローバリゼーションによって、金融経済が全面化してしまった1995年以降の世界では、マネー・スットックを増やしても国内の物価上昇につながらず、マネタリスト的な金融政策の有効性は1995年で切れてしまっている。
金融緩和の有効性を主張するマネタリストは、貨幣数量説(インフレは貨幣現象である)に基づいている。
貨幣数量説とは、貨幣の流通速度がたょうき的には一定のもと、「貨幣の数量が物価水準を決定する」という理論であり、数式で表現するとMv=PTとなる。
Mは貨幣数量、vは貨幣流通速度、Pは物価水準、Tは取引量。
つまり、貨幣数量(M)を増やせば、取引量(T)が増えるか、物価水準(P)が上昇するというのである。
しかし、貨幣流通速度(v)が一定であるという前提が、低金利下では崩れており、アメリカ国内の貨幣流通速度は落ちている。
つまり、貨幣数量(M)を増やしても、数式の右側に大きな変化は起きない。
貨幣数量説は、国民国家という閉じた経済の枠組みでしか成立しない。
さらには、取引量(T)の中には、実物経済での取引高だけではなく、金融市場での株や不動産の売買取引が含まれている。
実際に、実物経済の需要が縮小しているアメリカでは、株価の上昇があっただけで、ガソリン代、電気代、食糧費を除く物価水準には目立った変化はない。
皮肉なことに、マルタリストが金融のグローバル化を進めて来た結果、自ら「インフレは貨幣現象である」というテーゼを成り立たなくしてしまった。
アメリカの全産業利益に占める金融業の割合は、1929年から1984年まで平均して12.3%に過ぎなかった。
しかし1985年から2013年では20.2%に上昇し、住宅バブルが生じていた2001年から2007年には25.4%を占めるようになっていた。
歴史的に、マネーは銀行の信用創造によって作られてきた。
それには家計の所得が増加して、ある程度、貯蓄率が高くなければならないが、1970年代半ば以降、利潤率が低下し、所得の増加率が鈍化してしまい、銀行を通じて創造されるマネーは増えなくなってしまった。
そこで、アメリカ政府は、1933年銀行法(グラス・スティーガル法。商業銀行は自己資本の12倍までしか投資ができない制約)以来、原則禁止とされていた銀行業務と証券業務の兼業を認める、金融サービス近代法(1999年)に成立させ、金融・資本市場を自由化し、資産価格の値上がりによって利潤を極大化する政策をとった。
マネーが銀行の信用創造機能によって作られる時の主役は、労働者であり、商業銀行である。
金融・資本市場でマネーを作ろうとすれば、主役はレバレッジを大きくかけれる投資銀行となる。
その結果、1995年からリーマン・ショック前の2008年にかけての13年間で、世界の電子・金融空間には、100兆ドルのマネーが創出され、これに回転率を掛ければ、実物経済を遥かに凌駕する額のマネーが地球上を駆け巡ることになる。
日米英の10年国債の金利推移をみると、そのピークは、日本が1974年の11.7%、英国が1974年の14.2%、米国が1981年の13.9%で、それ以降、先進国の利子率は下がり続けている。
1973年にオイル・ショックによりエネルギーコストが上がり、1975年にベトナム戦争終結により、地理的空間を拡大することが不可能となり、1974年以降、利潤率の低下が始まり、それまで世界を規定してきた資本主義のシステムに歪みが生じてきた。
世界的な利子率の低下は、利潤を得られる投資機会が無くなったことを意味している。
なぜならば、利子率とは長期的に見れば実物投資の利潤率を表すからである。
資本利潤率とは、ROA(使用総資本利益率)として把握され、これは借入コスト(社債利回り、借入金利)とROE(株主資本利益率)の加重平均である。
総資本に占める割合は負債の方が大きいので、結局ROAは国債利回りに連動することになる。
10年国債の利子率が2%を下回るということは、資本家が資本投資をして工場を建てても、資本家や投資家が満足できるリターンが得られにくまったことを意味する。
つまり、利潤率の低下は、設備投資をしても利潤を生み出せない設備、つまり過剰設備になってしまう事を意味する。
シドニー・ホーマーとリチャード・シラによる『金利の歴史』には、紀元前3000年のシュメール王国から現在に至るまで、5000年の世界主要国の金利が掲載されている。
1997年までの人類の歴史の中で、最も国債利回りが低かったのは、17世紀初頭のイタリアのジェノバで、金利2%を下回る時代が11年間続いている。
日本の10年国債利回りは、400年ぶりに、そのジェノバの記録を更新し、2%以下という超低金利が20年続いており、人類歴史上、極めて異常な状態となっている。
経済的に見れば、近代とは成長と同義語である。
資本主義は「成長」を最も効率的に行いシステムであり、その環境や基盤を近代国家が整えていった。
資本主義は「中心」と「周辺」から構成され、「周辺」つまりフロンティアを広げることによって「中心」が利潤率を高め、資本の自己増殖を推進していくシステムである。
利潤を挙げれるフロンティアが無くなった現在において、無理やり利潤を追求すれば、そのしわ寄せは格差や貧困という形で弱者に集中する。
そして、現代の弱者は、圧倒的多数の中間層が没落する形となるのである。