Amazon

2015年9月13日日曜日

「儲ける」という時は、「信」頼される「者」と書く。
儲けられる人は、常に相手のメリットを最優先する形で考え、行動しているので、自分を信用してくれる支援者が多くなり、その結果として、商売が儲かるのである。
日本の個人金融資産1700兆円のうち、その6割は60歳以上の高齢者が持っている。
現在60歳以上の人口は、全人口の3割弱で、この3割弱の高齢者が日本の個人金融資産の6割を持っているのである。
しかも高齢者の殆どが不動産を持っている事を考えると、日本の富の大半を高齢者が握っているのである。
個人番号であるマイナンバーと同時に、法人に対しても13桁の法人番号が通知される。
日本年金機構によると、現在、厚生年金が適用されている事業所数は、全国で180万社あるとされている。
一方で、厚生労働省によると源泉徴収している法人数は250万社とされ、その差は70万社となっている。
また、年末調整を行った人のの数から厚生年金の被保険者の数を引くと、690万人もの差が出るという。
この差から、相当数の法人が社会保険に未加盟の可能性があるという事が分かる。
本来、社会保険は法人、あるいは従業員5名以上の個人事業所には、原則加入の義務がある。
そこで、法人番号を使って、給与から所得税を源泉徴収しているのにもかかわらず、社会保険に加入していない法人を検索すれば、不正を行っている会社をリストアップできるようになる。
社会保険の支払いの時効は2年間なので、社会保険逃れが発覚した場合、その法人は2年分の社会保険の支払請求を受けることになる。
マイナンバー制度の正式名称は「社会保障・税番号制度」という。
この制度は、あたかも現在の安倍政権が設計し、導入したと思っている人が多いが、実際には50年近く前から何度も構想として議論され、復活しては潰されたという歴史を繰り返してきた。
発端は1968年で、同時の佐藤栄作内閣が検討した「国民総背番号制」で、個人の所得を把握し、高所得者から税金を徴収する事を目的としたものであった為、市民生活への国家権力の過度の介入が反対理由となり立ち消えてしまった。
その後1980年に、大平正芳内閣時に、「グリーンカード制度(少額貯蓄等利用者カード)」が導入されることとなった。
当時あった「マル優」という元本300万円までの預貯金に付く利子は非課税となる貯蓄制度を悪用して、複数の口座を開いて脱税する不正が横行し、グリーンカードで口座を管理することで不正口座の把握を使用とした。
政府の思惑通り1980年3月に、このグリーンカード制度を盛り込んだ所得税法改正案が可決されたが、仮名口座に預けられた預貯金が引き出され、金や海外企業が発行する債券に流出したしまった。
その結果、金融業界と郵政からの反発を受けた最大派閥の田中派が野党も巻き込んで政局化し、大平内閣の後継となる鈴木内閣に圧力をかけ、1982年8月に制度の3年間先送りを決定し、中曽根内閣の1985年3月に制度の廃止が決定された。
それから30年後の安倍内閣において、今回のマイナンバー制度が可決されたのである。
しかし、このマイナンバー制度を設計したのは、結党以来一貫してこの制度の導入を掲げていた民主党である。
2009年に政権を取った直後に法整備に着手し、2011年の菅内閣で「社会保障・税背番号要綱」を決定し、2012年2月に野田内閣で「マイナンバー関連3
法案」を閣議決定し、国会に提出している。
ところが法案成立の2週間前に衆院解散により、廃案となってしまった。
その後、政権に返り咲いた安倍内閣で、民主党案をほぼ丸のみで、2013年3月に公開に提出し、5月に成立に至ったのである。
マイナンバー制度は「住基ネット(住民基本台帳ネットワーク)」をベースにした世界最低・最悪の行政システムである。
住基ネットはシステムを市町村単位で造っているため、同じ都道府県内の市町村でもシステムが別々になっており、各市町村に設置されている住基事務用コンピューターと都道府県・全国の住基ネットシステムとの橋渡しをするコミュニケーション・サーバーを市町村毎に新たに設置する必要がある。
その為の構築コストは365億円、年間の維持・管理コストは130億円かかっているが、住基ネットのデータベースは氏名・性別・住所・生年月日の4情報とその変更履歴を管理しているだけである。
しかも住基カードは、2014年3月末時点で、まだ全国で834万枚(有効交付枚数は666万枚)しか発行されいない。
このような住基ネットシステムをベースに開発するという発想そのものが、基本的に間違っている。
マイナンバーシステムの導入コストは、初期費用が2700億円、運用開始後の維持・管理コストが年間300億円円と報じられている。
またこの制度に対応する為、大企業は1社当り5000万円ものIT投資が必要とされ、官民合わせたシステム開発費は3兆円に上るという。
そもそも立案する官庁とそれを決定する国会議員にシステム設計の基本を理解している人が存在しない上に、ITゼネコンの談合と山分け論理で、これらのシステムが構築されているから、こうなってしまうのである。
ドイツと日本は同じ第二次大戦の敗戦国でありながら、中央集権の日本とは180度異なる地方分権の統治機構がドイツにはできているが、これは敗戦後の占領軍の統治政策の違いが原因である。
ドイツでは占領軍がナチスを再興させないように中央集権を徹底的に解体し、州が強い力を持つ地方分権の憲法を作った。
その後時代の変化に合わせて58回も憲法を改正しているが、地方分権の根幹は全く変更していない。
一方、日本の場合はGHQが、日本の本質的な問題点に対する洞察力が欠けていた為、憲法には「二度と武力を紛争解決の手段として使わない」といった表面的な表現しかせずに、統治機構に関しては「地方政府」という概念が不在になってしまった。
しかもドイツの占領軍にはアメリカに亡命したユダヤ系ドイツ人が多く、健忘をドイツ語ですんなり起草できたが、日本のGHQは日本人通訳を介して起草された。
結果、日本においては江戸時代から続いている中央集権が全体主義に至ったという洞察が無いまま、憲法に何となくアメリカ的な民主主義の匂いを散りばめて、中央集権システムが維持されたのである。