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2016年3月26日土曜日

PKO(Peacekeeping Operations)は「平和維持活動」と訳される。
しかし、通常はOperationdは「作戦」と訳すべきであり、本当は「平和維持作戦」と訳すのが正しい。
だが、「作戦」という言葉が入っていると、軍事作戦でもやるのかと受け取られて自衛隊が海外で戦闘をするイメージを与えるので、外務省は「作戦」とは訳さずに「活動」と訳したのである。
安倍政権は、内閣法制局長官に集団的的自衛権を容認する小松一郎氏を据えるに当てって、山本庸幸という長官を追い出している。
集団的自衛権の行使は違憲だと言っている人を追い出す形になるとまずいので、最高裁判所の裁判官が1人、定年で辞めるのに合わせて、その後任に置くという人事を行っている。
その結果、集団的自衛権を認めるのは憲法違反だと考える人が、最高裁判所の裁判官に入ってしまったのである。
最高裁判所の裁判官は、長官以外は内閣が任命する。
長官は仲居くの指名に基づいて天皇が任命する。
定年は70歳で、15名いる裁判官のうち定年を迎えるたびに、集団的自衛権の行使を合意だと考える人を、最高裁判所に送り込んでおけば、違憲訴訟が起きても回避できる。
憲法学者の圧倒的多数が安保関連法案は、憲法違反と考えており、違憲訴訟を起こす動きがある。
憲法裁判所がある国では、憲法違反の疑いがある法律ができると直ちに憲法裁判所に訴えることができ、違憲・合憲の判断が下される。
しかし、日本には憲法裁判所はない。
その為、誰かが「これは憲法違反の法律だから廃止してほしい」と裁判所に訴えても、訴えの利益がないとして却下されてしまう。
訴える人が法律によって具体的な損害を受けたときに、初めて訴訟として受理される仕組みになっているのである。
可能性として有り得るのは、南スーダンに派遣されている自衛隊員が負傷したり死亡した場合、その家族や遺族が訴訟を起こした場合、裁判所として審理に入る可能性がある。
2016年夏の参議院選挙より、18歳と19歳の有権者が投票できるようになり、新たに240万人の有権者が誕生する。
投票日までに18歳になっていれば、投票が可能となる。
安保関連法案には、ネタ本があって『日米同盟-アジアの安定をつなぎとめる』という報告書、通称『アーミテージ・ナイ報告書』と呼ばれている。
安保関連法案の主要部分の殆どが、この『アーミテージ・ナイ報告書』の対日要求に沿ったものなのである。
息子ブッシュ政権時代に国務副長官を務めたリチャード・アーミテージ、民主党のカーター政権時代に国務副次官、クリントン政権時代に国防次官補を務めたジョセフ・ナイの二人が超党派で、2000年、2007年、2012年と3回に渡って対日政策提言書である。
二人はあくまでも民間人として、この報告書を発表しているので、その内容が直接的に、安倍政権を拘束することはないはずだが、今回の安保関連法案の施行で、全部その通りとなっている。
安倍政権がやっている事は、全てアメリカから出された宿題に応えているだけである。
2012年の時点で、この報告書の中には、安全保障に限らないテーマが他にも盛り込まれており、「エネルギー安全保障」では日本の原子力発電所の稼働再開を求め、「経済と貿易」ではTPP締結を迫っている。
さらに「近隣諸国との関係」では韓国との歴史問題の解決に努力するように求めている。



2015年9月19日に成立した安保関連法案は、9月30日に公布され、2016年3月29日に施行が決定した。
安保関連法案は、大きく2種類からなっており、1つは既にある法律を改正したり名称を変えたりした10本の法律と、もう1つは新法として制定された国際平和支援法である。
それぞれの法律はかなり性格が異なるにも関わらず、政府与党は計11本もの法律をひとまとめにして国会に提出し、強行に成立させてしまった。
<改正または名称変更>
1.自衛隊法
→米軍の部隊の武器等の防護、在外邦人の警護・救出が可能に
2.国際平和協力法
→武器使用基準を緩和し、安全確保業務(治安維持)や駆けつけ警護が可能に。国連以外の期間の要請でも参加可能に
3.重要影響事態法
→周辺事態法を名称変更。「我が国周辺の地域における」という地理的限定を撤廃。後方支援で弾薬の提供、戦闘のため発信準備中の他国軍機に給油・整備ができる
4.船舶検査法
→外国領域における活動の実施も可能に
5.武力攻撃事態法
→日本が直接攻撃を受けた時の武力攻撃事態に加えて、存立危機事態でも武力行使ができる(集団的自衛権の行使を容認)
6.米軍等行動円滑化法
→「米軍」を「米軍等」に変更。存立危機事態における外国軍隊への支援を追加
7.特定公共施設利用法
→米軍以外の軍隊も港湾、飛行機などを利用できる。
8.開錠総規制法
→存立危機事態にも適用
9.捕虜取扱い法
→存立危機事態にも適用
10.国家安全保障会議(NSC)設置法
→審議事項に存立危機事態を加える
<新法制定>
11.国際平和支援法
→国連決議の下、国際社会の平和・安全のため共同して対処する諸外国軍隊への後方支援を行う
法制局には衆議院法制局、参議院法制局、そして内閣法制局の3つがある。
国会議員が法律を作る時に、両議院の法制局が相談に乗ってくれ、細かなルールや決まりを教えてもらえる。
内閣法制局は、内閣が提案する法律案に関して、健忘に違反していないかどうか、他の法律と矛盾することがないかどうかを、事前に徹底的にチェックする組織である。
内閣法制局には、生え抜きのキャリア官僚は存在せず、財務省、法務省、経済産業省などの省庁のキャリア官僚が出向してキャリアを積んでいく。
トップ人事に関しては、他省庁から移ってきたキャリア官僚を内部昇格させて法制局長にするというのがこれまでの慣例だったが、安倍政権は2013年8月にこの慣例を破って、外務省出身で集団的自衛権の行使を容認する小松一郎氏を突然、内閣法制局長官に任命した。
そして、集団的自衛権の行使は認められるという方針に変えさせたのである。
憲法9条改正論者の安倍総理は、憲法改正には衆議院と参議院の両方で3分の2以上の賛成が必要であって初めて憲法改正の発議ができ、国民投票で過半数の賛成を得られたら改正ができる仕組みになっているので、まずは96条を改正すると言っていた。
国民投票に関しては、憲法に規定はあるものの、それをどのような手段で実施するかについては、長い間に渡り法律がなかった。
そもそも、これまで憲法改正について現実味が無かったので、法律を作る動きが無かった。
そこで、第一次安倍政権で、国民投票法を2007年に成立させた。
憲法には「過半数の賛成を必要とする」としかなく、この過半数とは有権者全体の過半数なのか、投票をした人の過半数なのか、それとも有効投票の過半数なのかはっきりしていなかった。
国民投票法により、有効投票総数の過半数にすることが決定した。
第二ステップとして、憲法改正を進めようとしところ、憲法96条で、衆議院と参議院共に3分の2以上の賛成でと決まっているので、これを過半数の賛成で発議できるようにしようと考えたのである。
安倍政権が「集団的自衛権を行使できるケース」として例にしてきたものは、限りなく個別的自衛権で対応できるケースであり、あえて集団的自衛権を行使する必要はないのではないか、という疑問が出てくるが、政府の説明があいまいなので、多くの国民はよく分からないままであろう。
日本国憲法をめぐる国民的議論が遠ざかっていしまったのは、憲法9条の条文を変えなくても、憲法解釈を変えたことで目的を達してしまったのである。
解釈変更によって実質的に憲法を変えたのと同じ効果が得られてしまった。
この解釈改憲によって、憲法改正の動きはむしろ遠ざかるのではないか、という指摘もある。
2015年11月の秋の叙勲名簿に、外国人で旭日大綬章を受けた人物にリチャード・リー・アーミテージの名前があった。
アメリカの息子ブッシュ政権時代の国務副長官で、安倍政権の安保関連法の改正を前に、その内容について、早くから提言、というよりは命令をしていた人物である。
彼らの提言に基づいて、集団的自衛権の容認に動いたことは明白である。
他にドナルド・ラムズフェルドの名前もあり、同じく息子ブッシュ政権時代の国防長官で、イラク攻撃を推進した責任者の一人で、フセイン政権を打倒した後、イラク国内は内戦状態となってしまった。
ラムズフェルドは、イラク攻撃の計画立案に当たり、多数の兵士が必要だと進言した陸軍長官を更迭し、精鋭部隊だけで攻撃するという戦法を採用し、戦後の治安維持ができなくなった結果、本人までもが更迭されてしまった。
このような人物に与えられるのが、日本の勲章である。
歴史を遡ると、太平洋戦争の東京大空襲で一晩に10万人の一般市民を殺害する計画を立てたアメリカ空軍のカーチス・ルメイは、戦後に航空自衛隊の育成に尽力したという理由で、1964年に旭日大綬章を授与されている。
財務省の諮問機関である財政制度等審議会の財政制度分科会が試算した「我が国の財政に関する長期推計」(2014年4月28日)のポイントは次の2点となっている。
・2020年度の日本国政府・地方の借金総額は1500兆円
・2060年度の日本国政府・地方の借金総額は1京1400兆円
この楽観的な試算によると、2020年の東京オリンピックの時に、国の財政を持たせるためには消費税を30%にするか、社会保障費を大幅に削るしかないという事のようである。
そして半世紀後の2060年の日本の借金は、名目GDP2053兆円に対して、対GDP比5.5倍の1京1400兆円になるという。
報告書の試算では、名目成長率を3.0%(実質2.0%)としており、日本は半世紀にわたって3.0%の成長を続け、長期金利が3.7%とい前提になっている。
単純に現在の国の借金1000兆円に金利3.7%を掛けると、国債の利払い費は年間で37兆円になり、これに国債の元本償却費20兆円を足すと57兆円となる。
つまり税収の全てを借金返済に回すという事になり、この長期金利が今、実現してしまえば日本は破綻してしまう。
一般的に、長期金利を成長率より高く設定するば、借金国家は必ず破綻する運命となる。

日本のタクシー運転手やバス運転手の高齢化率は高く、厚生労働者の調べによると、2013年の全国のタクシー運転手(男性)の平均年齢は58.4歳で、全産業の42.8歳を大きく上回っている。
その結果、東京でタクシーが起こした事故件数の全自動車の事故件数に占める割合が、1989年の5.8%から2013年には9.9%へ増加している。
アベノミクスの第2ステージで、日本は「GDP600兆円」を目指すことになったが、これは物価を1.2倍にすれば、現在のGDPが500兆円なので、簡単に達成が可能となる。
量的緩和を続け、株価も地価も物価も上げ続ければ、目標は達成できる。
しかし、生産や消費で使われた金額が20%増加しても、物価が20%増加してしまえば、消費者が買えるモノの総量は変わらないので、実質的には経済は成長せず、実質値のGDP成長率は0%になる。
日本のバブル経済が真っ盛りの頃、全世界の僅か0.3%の面積しかない日本の土地価格の合計は、全世界の土地価格の6割をしめていた。
そして計算上では、東京23区内のと地価価格だけで、アメリカ全土が買えた。
1988年の日本の土地資産総額は1842兆円に達し、当時のGDPの5倍になっていた。
そして日本企業の株価は、この土地の値段を企業価値として算出されていたので、日本企業の時価総額は、全世界の企業の時価総額の4割に達していた。
2014年頃から日本において、「人手不足」が深刻化しており、飲食店や工事現場では働き手が集まらなくなっている。
メディアの多くが「景気がいいから」と報道しているが、本当は真逆で、景気が悪いから人手不足が起こったのである。
給料はコストであり、中小零細企業の経営状況を考えると人件費を上げられないので、「低賃金労働者」がいなくなってしまった結果、人手不足が起こったのである。
その結果、多くの小売業が店舗の縮小・閉店に追い込まれた。
ヤマダ電機は2015年5月に46店舗を閉店したが、その後も11店舗の追加閉店に追い込まれた。
マクドナルドは2015年4月に全国で131店舗を閉鎖、ワタミも2016年3月までに85店舗を閉鎖すると発表した。
日本の失業率の定義は、次のようになっている。
失業率=完全失業率÷(就業者数+完全失業者数)×100
この「完全失業率」とは、次の3つの条件を満たす者とされている。
1.仕事がなくて調査期間中に少しも仕事をしなかった(就業者ではない)
2.仕事があればすぐに就くことができる(選り好みは許されない)
3.調査期間中に、仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた(過去の求職活動の結果を待っている場合を含む)
つまり、日本における完全失業率とは、働く能力と意思があり、しかも本人がハローワークに通い求職活動をしているにもかかわらず、就業の機会が社会的に与えられていない失業者という事になる。
仕事探しを諦めてハローワークに行かない人はカウントされない。
さらて、下記の項目に該当する事は厚生労働省が定義する失業者にはならない。
・1週間のうち1日でも働いて賃金を得た者
・家事手伝いを行っている者
・求職意欲を失い、仕事に就くのを諦めた者(ニートなど)
・雇用調整助成金で企業内失業となっている者
・不労所得が充分にあっては働く意志・必要がない者
日本企業は2000年代に入ってからは生産拠点を海外に移すようになり、2013年度時点で海外現地法人は2万3000社を超えた。
しかし、海外現地法人と日本国内の企業との取引は殆ど増えておらず、現地で調達・生産・販売が完結している。
その結果、国内では空洞化が進み法人税収入が減り、日経企業は海外で550万人を雇用しているが、彼らの所得税は日本の税収にはならない。
しかも、2009年より始まった海外現子会社配当益金不算入制度によって5%課税されるだけになっている。
これは進出国の税制に従って納税されるので、二重課税を避けるために設けられた。
そのうえ、日本から輸出している企業には消費税がかからない制度がある。
例えばトヨタは日本国内で14兆円の売上があるが、このうち6兆円が輸出となっており、この6兆円分の輸出自動車の原材料購入時の消費税は還付される。
トヨタがある名古屋国税局豊田税務署では、毎年、消費税の還付金が納税額を超えている。