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2014年12月30日火曜日

オーナー社長が会社から収入を得るルートは3つある。
1.会社の利益が出た時に配当としてもらう
 →会社の利益には法人税がかかり、配当にも社長への所得税がかかる
2.会社の経費として役員報酬をもらう
 →役員報酬にだけ社長に所得税がかかる
3.役員報酬以外の会社の様々な経費を社長が使用する
 →税金は全くかからない
オーナー社長としては、会社に利益を出して配当として収入を得るよりも、役員報酬でもらった方が得だし、それよりも会社の様々な経費を引っ張ってくる方が更に得なのである。
結果、利益を出さずに経費として使ってしまった方が節税になるから、日本企業の7割が赤字決算となって法人税を節約しまうのである。
国税庁の調査によると、全国250万社の資本金1億円以下の中小企業のうち、黒字で法人税をに納税しているのは3割に満たない70万社となっている。
不動産業は個人事業で行う場合、税務上で非常に制約が多い。
個人事業で不動産業を行う場合、一定の規模以上でない限り、家族従業員への給料支払いに制限がある。
個人事業の場合、次のいずれかを満たす規模を「事業的規模」と呼び、事業的規模に達しない場合は青色申告の専従者給与控除が認められず、青色申告特別控除も10万円に限られる。
・貸間、アパート等については、貸与することができる独立した室数がおおむね10室以上であること
・独立家屋の貸付については、おおむぬ5棟以上であること
青色申告の専従者控除というのは、個人事業者の事業わ家族が手伝っている場合に、支払給料を経費として差し引くことができる制度のことである。
現在は廃止されてしまったが、2006年まで「長者番付」という制度があったる
長者番付とは、所得税の額が1000万円以上の高額納税者を税務署が公表するというものだった。
正式名称は「高額納税者公示制度」といい、その年に誰が最も収入が多かったのかが分かるので、長者番付と呼ばれるようになった。
長者番付には「全国版」と「地方版」があった。
長者番付というのは、その年に最も稼いだ人の番付ではなく、最も納税した人の番付であり、しっかりと税金対策をしていた人は載らなかった。

2014年12月28日日曜日

新耐震基準が適用されるようになったのは、1981年6月1日以降で、この日以降に建築確認を受けていれば、新耐震基準が適用されているはずである。
つまり、大規模なマンションの場合、建築確認から竣工までに時間がかかるので、新耐震基準が適用されているのは、早くても1982年の夏以降に完成した物件と考えられる。
しかしながら、法律上は登記簿の建築日付が1982年1月1日以降の建物は、新耐震基準に適用していると見なすことになっている。
実際には適用していない物件もあるかもしれないので、この辺りの時期に建てられた物件については、注意が必要となる。
1981年6月1日以前の物件は、原則として旧耐震基準に則って建築されている。
旧耐震基準は関東大震災の翌年1924年に、世界に先駆けて施行された。(市街地建築法。建築基準法制定は1950年)
ちなみに、1971年にも大規模な改正が実施されているので、1924年の耐震基準は旧々耐震基準、1971年の耐震基準が旧耐震基準と認識しておくべきである。
旧耐震基準をクリアしているだけでは、震度5強程度までの地震にしか耐えられないと言われている。
2012年度の「フラット35利用者調査報告」によると、マイホームを購入する場合、一戸建ての価格の全国平均は3562万円、東京都の平均は5154万円。
マンションの価格の全国平均は3758万円、東京都の平均は4527万円となっている。
2014年度の厚生年金支給額の平均額(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は、月額22万6925円。
これに対し、総務省の「家計調査年報」(2012年度)によると、高齢者世帯の消費支出は、世帯主が60~64歳の夫婦の場合は平均月29万円、65~69歳の夫婦の場合は27万円かかっている。
単純計算で、毎月6万円の赤字となり、年額72万円、30年で2000万円以上の赤字になる。
不動産価格の先行指標として、日銀が発表している「貸出態度指数」という統計がある。
これは、日銀が民間銀行を対象に企業への貸出に対する意識を調べているもので、「緩い」と答えた銀行の割合から「厳しい」と答えた銀行の割合を引いた値である。
この数字がプラスになると貸出態度が「緩い」、すなわち市場に資金が大量に供給されている状態となっている。
この統計は、業種とその規模で区分されて調査が行われているので、特に不動産業の大企業に対する数字が重要となる。
彼らに対する貸出が緩くなっている時期は、不動産市場価格が上昇することになる。
過去のピークはリーマンショック直前の2007年6月で、大企業に対する態度指数は30に達していたが、リーマンショック後の2009年3勝にはマイナス30まで下がった。
その後、これを底に上昇傾向となり、2013年後半には16まで回復している。
この指数と取引不動産価格は非常に高い相関があり、この指数が高止まりすることで、不動産価格が上昇し資産インフレが起こるのである。
日本では賃貸に出しても今後は借り手が見つかりにくいと心配する声を聞く。
国の調査に「住宅・土地統計調査」があり、5年に1度、日本中の不動産について調べる不動産の国勢調査のようなものである。
こ調査によると、東京都の空室率は47都道府県の中で沖縄県に次いで低い。
J-REITが保有する賃貸住宅の稼働率は95%を超えている。
また、日本賃貸住宅管理協会が会員企業を対象に調査した結果でも、空室率は10%程度である。
ちなみにJ-REITが保有するタワーマンションの稼働率を調査した結果によると、2013年下期(6ヶ月)の稼働率は93%となっている。
リーマンショックや東日本大震災後の最低稼働率でも平均87%であり、タワーマンションの空室リスクの最低ラインはここと考えてもよい。
有効求人倍率と人口流入には2年のタイムラグがある。
つまり、現在の有効求人倍率を見れば2年後の人口流入状況がある程度予測できる。
2012年から東京の有効求人倍率は1.0倍を超え徐々に高まっている。
相続税のタワーマンション節税のターゲット層は限られる。
1億円から5億円の資産を持つ資産家は日本には80万世帯以上いるが、彼らの資産だけで160兆円以上あり、平均すると1世帯あたり2億円程度となる。
タワーマンション節税が有効なのは、この層で、それ以下の資産しかない世帯は別の相続対策をとるべきだし、5億円以上の資産がある人はもっと効果的な方法がある。
相続税対策として、タワーマンションの購入が効果的である。
マンションの相続税の評価額は、建物と土地が別々に評価され、建物は居住用の場合は固定資産税評価額と同額になる。
土地は通常、マンションの敷地全体に対して、自分の持ち分が決まっており、登記簿謄本に記載されている「敷地権」で、その持ち分はマンションの専有部分の面積で按分される。
つまり、同じ面積であれば階数や部屋の向きに関係なく、土地の評価額は同じになるので、高層マンションの上層階ほど、マンション価格に対する土地の評価額が小さくなり、これが相続税の算出に有利に働くのである。
日本は大学を大衆化するという点では大成功し、「質の低い教育」を「安く」提供している。
海外の大学では、大教室で1人の教員が200人の生徒に一方的に講義をするという形式は有り得ない。
「安上がりな教育」の典型は大学入試で、大学にとっては年に1回のボロ儲けのチャンスである。
マークシートの答案用紙を機械にかけて採点するだけで、1人3万円の受験料が入り、1日に数億円儲けれる大学もある。
こんなボロい商売は、なかなか無い。
国税庁が把握している日本国内の法人数は273万件なのに対して、年金機構が把握している国内法人数は175万件である。
これは、年金機構が年金保険料を正しく徴収できていないことを意味しており、その未徴収額は年間12兆円と言われている。
日本の岩盤規制に、入国管理法がある。
入国管理法は基準があいまいで、ものすごい裁量行政の典型となっている。
変なルールになっており、「日本にない技術を持った人なら受け入れる」となっている。
つまり、日本に既にある技術を持った人は受け入れない。
日本食の板前を外国から連れてこられない、和食の料理人を目指して修業をしたい外国人を受け入れないのである。
産業競争力会議の答申を見る限り、電力については現時点では何も書かれていない。
理由は簡単で、現在の安倍内閣は、経産官僚内閣であり、経産省がやりたい事が課題に出てきて、それをやりたいような人をメンバーにしているからである。
経産省は原発再稼働を推進しているので、原発廃止という議論になりかねない電力・エネルギーの話はやりたがらないのである。
産業競争力会議では発送電分離についても議論していない。
産業競争力会議では、経産省が力を持っているので、分科会は農業と医療と労働市場の改革となっている。
つまり、他の省庁が管轄していて、経産省が攻めても自分達が痛くない所をやっている。
厚生年金基金は、官の厚生年金と民の企業年金を合体させたもので、世界でも例がない。
なぜ世界に例が無いかというと、永続的な官の年金と有限の民の年金を一緒にすると年金数理上に問題があり、金融環境が悪くなった時に対応ができなくなるからである。
結局、15年後くらいで息詰まった。
金持ちを貧乏人にしたところで、貧乏人が金持ちになれるわけではない。
by サッチャー
成長はすべての矛盾を覆い隠す
by チャーチル
消費統計の数値としては「家計調査」が重要だが、新聞は殆ど取り上げない。
総務省では失業率に関する「労働力調査」、インフレ率に関する「消費者物価指数」、消費動向に関する「家計調査」をほぼ同時期に出すが、マスコミはこれら全ての数字の意味を消化できないので、家計調査が漏れてしまう。
その為、結果的にマスコミは消費の数字がかなり悪くなっていても、理解できていないので、報道されない。
海外の官僚は、省庁間で異動が普通にあり、複数の省庁を行き来している場合も多い。
日本の事務次官は、全員がその省庁の採用だが、先進国ではどこの国でも3分の1から半分は外部から採用されている。
金融庁の場合、元々小さな役所で200人くらいだったのが、外部から弁護士や会計士を採用して、現在は千何百人にもなっている。
しかし、外部採用の士族の人達からすると、どう考えても自分より遥かに能力の劣るキャリア組の人が上司になっていて、財務省出身者しか幹部になれないので、馬鹿らしくで本当に優秀な人は来ない。
また外から採ったとしても、そもそも2年間と決まっているので、「腰掛け」で2年間我慢して、箔を付けて出ていくという感じで割り切ってい。
都道府県にもよるが、知事の退職金は、4年1期やると3000~4000万円もらえる。
ちなみに小泉純一郎氏が総理大臣を5年5ヶ月やった時の退職金は700万円。
竹中平蔵氏が大臣を5年5ヶ月やった時の退職金は400万円。
日本の地方議員の給料は、国際的にも異常なことになっている。
東京都は24~25兆円の資産を持っている。
これは並の省庁よりも遥かに多い。
東京都は新宿のヒルトンホテルの辺りの不動産を多く持っていて、強大な不動産やなのである。
有楽町の駅前にある交通会館は、その半分を東京都が持っていて、そこに前副知事が天下っている。
国や自治体が資産を売却して有効活用できないのは、天下り先が無くなってしまうからである。
本来ならば、経済財政諮問会議で成長戦略まで含めて全部議論すれば済むのだが、経済財政諮問会議は財務省に握られてしまっている。
そこで経済産業省が、産業競争力会議というのを別に設置したのである。
経済財政諮問会議が機能しているのならば、産業競争力会議はそもそも不要なのである。
財務省では「税収弾性値は1.1」に決められている。
これは「GDPが1%成長するときには、税収は1.1%増える」という意味で、でたらめでしかない。
一般的に、景気回復局面だと、税収弾性値は3くらいが適当で、つまり、経済成長が1%だと税収は3%くらい増えるのである。
財務省は、経済成長が税収増の近道だと思われたくないのである。
「景気が回復して税収が増えるんだから、消費税増税しなくても良いだろう」と言われると困るのである。
そして、税収弾性値を1.1で低く見積もることで、税収が見積もりを上回った場合、見積もりを超えた分を「財源だ」と偉そうに、後で追加配分をする事で、「歳出の権限」を見せつけるのである。

2014年12月27日土曜日

減税しないのは日本の特徴である。
リーマン・ショック後に、どの国もGDPの3~4%分の緊急経済対策を打ったが、アメリカは政策のうち半分が減税だった。
OECD加盟各の経済対策で、減税系と支出系の比率を調べると、日本以外は半分以上が減税なのに対して、日本だけが減税の割合が突出して低かった。
減税は、個人・企業の税負担が減って、使えるお金が増えるので、短期的にプラスの影響がでる。
また、補助金は成果を出していない人にもメリットがあるが、減税は頑張って利益を出している人にメリットがある。
ホワイトカラー・エグゼプションの話になると、マスコミは「残業代ゼロ」と騒ぎ出す。
しかし、本来は「労働基準法の適用除外にする」ということで、残業代がゼロになるかどうかとは別の話なのである。
国家公務員は法的には、ホワイトカラー・エグゼプションで、何時間残業しても労働基準監督署が来ることは無い。
なぜならば、国家公務員は労働基準法の適用除外だからである。
しかし、残業代に相当する手当は支給されている。
仕事をした時間で決めるのではなく、仕事の量と質で評価するという先進国で導入されている制度なのである。
規制改革会議の報告書を見ると、目玉は農業ということが理解できる。
日本の農業における規制は象徴的で、東京の大手町には、、経団連と日本経済新聞とJA(全国農業協同組合中央会)の3つの高層ビルが並んで入る中で、一番高いビルがJAビルなのである。
JAが最も立派なビルを建てれるという、日本の産業構造から考えると、不思議な事になっている。
規制改革会議には面白いエピソードがある。
この会議は規制改革を議論する目的で設置され、忙しい委員はネット会議での参加も可能ということなっていた。
しかし、2013年から新しい議長が「ネット参加は認めない」と言いだして、会議のやり方を規制してしまった。
消費税3%を導入した1989年当時は、経済成長もしていたし物品税廃止と引き換えだったので実質的に減税だった。
1997年に消費税を5%に増税した当時も先行所得税減税があったので、税収入的には中立だった。
しかし、今回2014年の消費税8%は実質的な増税であり、各種の統計でも増税の悪影響が明らかになっている。
確かに2014年5月の失業率は3.5%で過去16年で最も良かったが、失業率は「遅行指標」であり、実際の景気の状況との間では、かなりのタイムラグがある。
消費の統計が落ち込み始めると、需要が下がらないように価格を下げる動きが出てきて、物価指数が下がる。
すると企業の業績が落ちるので、失業率が高くなる。
つまり、消費の低下に比べて物価の低下は少し遅れ、失業率の増加は更に遅れる。
最もタイムラグが少ない消費動向である「家計調査」は、2014年5月、6月と2ヶ月連続のマイナスとなっており、過去33年分のデータの中で最も悪い数字となっていた。
経済成長を巡るエピソードとしては、アルゼンチンの話が興味深い。
1950年のアルゼンチンの一人当たりGDPは、フランスよりも高かった。
『母を訪ねて三千里』は、イタリアのジェノバに住んでいるマルコ少年が、母親に会う為に、アルゼンチンのブエノスアイレスを訪ねる物語である。
その頃、アルゼンチンの一人当たりGDPは、フランスやイタリアよりも高かったので、マルコ少年の母親はブエノスアイレスにダ稼ぎに行っていたのである。
ところが、現在、フランスの一人当たりGDPは、アルゼンチンの2.4倍になっている。
これはフランスの方が、アルゼンチンより経済成長率が高かったということになるが、フランスが極端な高成長を続けてきたわけではなく、平均して両国の経済成長率の差は、1.5から1.6%しかなかった。
僅かな成長率の差が、長期に渡ると大きな経済格差となるのである。
日経平均株価が1万円を超えたのは1984年で、30年後の2014年末時点で1.8倍になった。
日経平均は225社で、ダウ平均は競争力が特に高い30社という違いはあるが、この間にアメリカのダウ平均は13倍になっている。
GDPを比較しても、1990年代の日本の名目GDPは450~500兆円で、同時期のアメリカは6~7兆ドルだった。
日本のGDPが横這いに対して、アメリカは16兆ドルと倍以上になっている。
都心のタワーマンションの場合、北向きの住戸の方が値上がりする確率が高い。
2006年から2010年に都区部で分譲されたタワーマンションの北向き住戸の中古売り出し価格を新築分譲時の価格と比較したところ、中央区、港区、江東区では、2割程度上昇していた。
タワーマンションの場合、購入者が最も重視する条件が眺望であり、中央区、港区、江東区は、北方面に丸の内、汐留、東京タワー、スカイツリーが見えるので、人気が高くなる。
北向きという事で、分譲時の割安な価格設定と中古になってからの人気の高さで値上がりしたのである。
一方、墨田区、足立区、葛飾区のタワーマンションの北向き住戸は、北側に見るべき眺望がなく、新築時から15%以上の下落となっている。
新築マンションの平均価格が上がると、新規供給戸数は減っていく、という相関関係がある。
平均価格と供給戸数を掛け合わせたのが新築マンションの市場規模となる。
首都圏の新築マンション市場については、リーマンショック前には3兆円規模だったが、2013年には2.5兆円となっている。
マンションの価格が上がれば、買える人が少なくなり、供給戸数が減るという構造になっている。
1バレル1ドルの原油安がもたらす企業業績への影響
ANA    +28億円(営業利益)
JAL     +23億円(営業利益)
日本郵船 +1億5000万円(経常利益)
商船三井 +4000万円(経常利益)
川崎汽船 +6500万円(経常利益)
JXHD   ▲75億円(経常利益)
出光興産   ▲37億円(営業利益)
OECDによる実質GDP成長率の見通し
         2013年  2014年  2015年   2016年
OECD全体         1.4%   1.8%    2.3%    2.6%
米国       2.2%   2.2%    3.1%    3.0%
ユーロ圏      ▲0.4%   0.8%    1.1%              1.7%
日本       1.5%   0.4%    0.8%    1.0% 
飲食店の開業費用の内訳(日本政策金融公庫)
(不動産を購入した場合を除く)

〇開業費用の内訳 平均883万円
改装費用  41.7%
備品費用  21.1%
運転資金  19.1%
テナント賃貸費用 18.1%

〇開業資金の調達先  平均1,066万円
金融機関融資  55.4%
自己資金    32.8%
親族等     11.8%
アベノミクスの評価
             2012年12月末(政権発足時)   2014年11月末
実質国内総生産       514兆円(6.03兆ドル)    522兆円(4.44兆ドル)
雇用者数            5490万人         5626万人
実質個人消費          307兆円          306兆円
消費者物価指数         ▲0.2%           1.0%
実質賃金            ▲1.6%           ▲3.0%
日銀の長期国債保有残高     89.1兆円         179.8兆円
日経平均株価          1万230円         1万7357円
ドル円              85.3円          117.5円
国の債務残高          997兆円          1038兆円
10都市の百貨店売上高       ▲0.4%           ▲0.2%
地方都市の百貨店売上高      ▲3.0%           ▲1.8%
GDPは円安により、30%縮小してしまった。
自国通貨が弱くなって自慢する国は、韓国と日本だけである。

2014年12月26日金曜日

日銀の黒田総裁が企業に対して円安による経済へのマイナスを認め、「現預金を持って何もしないことのコストが高くなる」と積極的に投資をするよう求めた。(2014年11月25日)
企業に本気で積極投資を促すならば、「我々の異次元緩和政策が失敗したら、ハイパーインフレになり、持っている現金は紙くずになる。だから今のうちに有効に使え!」と言うべきである。
ちなみに民間企業の内部留保は300兆円ある。
日本では女性の結婚平均年齢が30歳を超えている。
ちなみに、今年2014年に生まれた女性が、一生結婚しない確率は35%。
首都圏の分譲マンションは、新築で分譲されて最初の1年で平均8%価格が下がり、その後は中古マンションとして毎年平均2%ずつ値下がりする。
しかし、これは首都圏全体の平均であって、東京23区内の新築マンションに限れば、最初の1年で平均5%下がり、その後は毎年1.9%ずつ下がる。
これに対して、埼玉県や千葉県の新築マンションの場合、最初の1年で平均15%下がり、その後は毎年平均2.7%ずつ下がる。
なお、首都圏全体の平均では70平米に換算すると、2年目以降は立地を問わず毎年100万円ずつ下がる。
つまり、都心と郊外では価格水準が大きく違うので、都心で6000万円の物件が100万円ずつ下がる(▲1.7%)のと、郊外で3000万円の物件が100万円ずつ下がる(▲3.3%)のとでは、下落率が2倍の差となる。
ちなみに、中古マンションは全国に600万戸ほどあり、それに対して、新築マンションは毎年10万戸程度供給されている。
一戸建ては買うのではなく、借りる方が良い。
一戸建ては、中古価格の下落がマンションよりも早く、一戸建ての減価償却期間は木造ならば22年となる。
銀行の査定では、築15年を過ぎると建物評価はゼロとなる。
つまり、平均して一戸建ては20年経つと市場価値は土地代だけとなる。
特に、大手建売業者が分譲する新築一戸建ては、立地代が安い都市近郊エリアが多く、販売価格に占める建物割合が高いため、全体としての値下がりスピートがより早くなってしまう。
「住まいサ~フィン」を運営しているスタイルアクト社が、1993年以降に、首都圏で分譲されたマンション1万件以上のデータを調査したところ、新築時の価格が1年後には平均8%下がっているという。
この8%が新築プレミアムであると言える。
その後は、中古物件として毎年2%ずつ価格が下がっていき、これは建物や設備の経年劣化が反映されている。
つまり、最初から築10年までの中古マンションや中古一戸建てを購入した方が、新築プレミアムの値下がりリスクが回避でき、しかも購入から10年経っても築20年以内となり、売却しやすい。

国土交通省が発表した試算(平成20年度「国土交通白書」)によると、日本の住宅は30年程度で建替えられており、55年のアメリカや77年のイギリスに比べると短く感じる。
しかし、この数字はそれぞれの国にある住宅ストックを年間の新築件数で割ったものである。
住宅ストックが1000万戸の国で年間に新築される住宅が10万戸ならば、住宅の寿命は100年、年間50万戸ならば住宅の寿命は20年となる。
つまり、その国の住宅が物理的に短命かどうかとは直接の関係がない。
日本の場合、第二次世界大戦で都市部の住宅が殆ど失われ、戦後の都市化によって、大量の新築住宅が供給された事が大きく影響している。
今後の少子高齢化時代となり、新築件数が減っていけば、データ上の「住宅の寿命」は延びていくことになる。
7000万円の新築マンションが10年後に7000万円で売れた場合、その間の「実質コスト」は住宅ローンの利息と管理費・修繕積立金、固定資産税だけで済んだことになる。
一方、3500万円の新築マンションが10年後に2000万円でしか売れなかった場合、値下がりした分の1500万円も「実質コスト」として考慮せねばならない。
また、「実質コスト」には賃料を考慮すべきである。
自分が選ぶマイホームを、もし借りて住むとしたらいくら賃料がかかるかを考慮し、「実質コスト」からその想定賃料分を差し引くのである。
所有者の家計にとっては家賃分だけ支出が減り、その分の生活費が減るメリットが生じる。
これを経済学では、「帰属家賃」といい、家計の収入とみなす。
実際に、「帰属家賃」は国内総生産(GDP)の計算にも含まれている。

2014年12月25日木曜日

2010年の国勢調査によると、生まれた土地にそのまま住み続けている人の割合は13%程度と、日本国民の1割弱しかいない。
大多数の人は、進学、就職、転勤、結婚、子供誕生などで、生活スタイルの変化に合わせて、住み替えをしている。
社会資本が過剰になる時代となった中で、需要を水増しし「未来」が操作されている。
道路建設計画は、経済成長率、自動車保有率、ドライバー数、通行料などの前提条件が、現在も右肩上がりの楽観的な仮定をベースに、予測を積み上げられており、採算は見通せる黒字計画が出来上がる。
道路建設では、時間を1時間短縮することで、乗用車の場合は3600円、大型トラックの場合は6000円の時間節約効果が生まれるという前提で「経済効果」が算出されている。
その為、巨額の投資で建設しても、そのバイパスが1時間の時間短縮効果があるならば、道路利用者はその浮いた時間で、それまで必要だった時間分の稼ぎを別に得られると説明されている。
しかし、開通してみれば、交通量は実際の5分の1という事も多く、トンネルの建設費用は当初予算の2倍になる事は珍しくない。
つまり、事業効率の低下分を補えるだけの労働生産性や賃金の上昇は見込めないのである。
総人口に占める65歳以上の人口の割合となる「高齢者比率」が7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」、20%を超えると「超高齢化社会」と呼ばれる。
日本は1950年には高齢者比率は5%だっだのが、1970年には7%を超え高齢化社会となり、1994年には14%ほ超えて高齢社会となった。
高齢者社会から高齢社会になるまで、たった24年しかかかってない。
他の先進国は、フランス115年、アメリカ73年、イタリア61年、ドイツ40年と比べると、日本の特異性が理解できる。
さらに、今後も日本の高齢化率は上昇し、2025年には30.5%、2055年には40.5%と予測されている。
ちなみに、2055年の日本人の平均年齢は55歳と還暦に近づき、この時に日本人の最も多い人口を擁する世代年齢(中位年齢)は57.8歳となる。
これまで、利益団体といえば農業団体、建設業界、医師会、労働組合などの業界団体がイメージされていたが、今後は「世代」が一つのキーワードとなる。
アメリカでは、会員数3千数百万人を有するAARP(全米退職者協会)が高齢者による圧力団体として活発なロビー活動をしている。
日本では本格的な組織化はされていないが、全国の老人クラブの連合体である「全国老人クラブ連合会」(全老連、会員数843万人)が、最大の高齢者団体となる。
(内閣府『高齢者関連団体活動状況調べ』)

高齢者関連団体活動状況調べ

2005年時点の日本政府の純債務残高は421兆円とGDPの85%に相当していた。
しかし、世代会計によると年金債務の現在価値だけで1255兆円、全ての潜在的債務だと2647兆円に達するという。
「世代会計」とは、政府を支える負担をし、政府から受益を受ける国民と政府との関係において、どの世代が得をし、どの世代が損をするのかを金銭的に評価する枠組みで、1991年にアメリカの経済学者のアワーバック、ゴーケール、コトリコフの3人が『Tax Policy and the Economy』という学術雑誌で提唱した比較的新しい概念である。
世代会計は、政策決定の場において、公的部門による世代間の再分配政策を評価する有力なツールとして、認知されている。
日本における社会保障給付90兆円のうち、年金や老人医療など高齢者向けは60兆円に及ぶが、その一方で出産・育児関連予算は4兆円しかない。
また、高齢者向け社会保障支出は、対GDP比で15%以上を占めていのに対して、家族・教育や労働分野でり若者向け支出は、対GDP比で2%程度しかない。
1991年に世代会計の概念を具体化したコトリコフは、将来世代が担わされている政府の公的債務が増え続ける財政民主主義の欠陥について、「財政的幼児虐待体質」と呼んでいる。
現在の民主主義制度の下では、若者の民意が政策決定に届きにくいという構造的な欠陥がある。
日本では有権者の平均年齢は2007年で51.3歳と、有権者の45%が55歳以上の世代で占められている。
40歳未満の世代が全国民に占める割合は44.7%だが、選挙権が与えられているのは20歳以上なので、40歳未満の世代が有権者全体に占める割合は32,1%にまで低下する。
つまり、日本では民意の平均が今後増々「高齢化」していき、「孫の名義のクレジットカード」を使いまくり、将来世代の明るい未来を奪い取る構造が酷くなっていくのである。

『破産する未来 少子高齢化と米国経済』

2014年12月21日日曜日

全国酒販協働組合連合会の調査(2014年11月)によると、使われないまま家庭内で保有されているビール券が、1世帯当たり平均15枚(瓶ビール8.2枚、缶ビール7.5枚)ある。
4世帯に1軒で保有されており、未使用券の総額は679億円(瓶ビール417億円、缶ビール262億円)と推計される。
2005年10月以降に発効されたビール券には、有効期限が設定されているが、49.8%が期限の存在を知らなかった。
宇宙関連予算
アメリカ  6兆5000億円
ヨーロッパ   9439億円
日本      3850億円
2014年のニューヨーク・マンハッタンのマンション価格は平均180万ドル(2億1500万円)と、前年より20%上昇し、過去最高となっている。
最も高額で売れたのは、アッパーイーストサイド、パークアベニューと74丁目の角にある740パークアベニューの1213号室で、7130万ドル(85億2000万円)で、過去最高となった。
マンハッタンは元々面積が小さい上に、世界中から投資が集まる所で、住宅バブルの後2009年に若干下げた以外は、その後も横ばいで推移していた。
ところが、事になった伸びが加速し、このままのペースだと数年後には100億円の大台突破が期待されている。
米国の主要株価指数であるS&P500指数の推移
2009年  23.5%上昇
2010年  12.8%上昇
2011年   0.0%
2012年  13.4%上昇
2013年  29.6%上昇
2014年  12.0%上昇(12/19時点)

2014年12月20日土曜日

ふるさと納税で、地域が活性している自治体がある。
宮崎県綾町は、2013年度の寄付が2億5000万円となり、これは綾町の同年度の固定資産税や住民税等とほぼ同じ額になっている。
地元のブランド肉の「綾肉」が有名で、地域の特産品が地域復興になっている。

2014年12月19日金曜日

住宅ローンで一定のシェアを持っていた年金住宅融資の調査報告(平成12年度)によると、無理のない住宅ローンを組むためには、年間返済額が年収の25%以内であることが望ましいという結果である。
年間返済額が年収の25%以内だと滞納率は1%だが、返済負担率が35~40%になると滞納率が5%に跳ね上がる。

鉄筋コンクリート造のマンションの耐用年数は47年である。
23坪(76平米)のマンションだと、毎年92万円を47年間目減りさせていくと、4300万円の価値が失われる。
この失う価値の4300万円は、新築価格の平均とほぼ同じである。
つまり、坪4万円×耐用年数47年=坪188万円の目減り、23坪(76平米)で分譲価格4300万円の新築マンションは耐用年数がきて資産価値がゼロになるのである。
耐用年数は税法上のもので建物の償却についての話だが、市場原理と整合性が取れているのである。
年間の目減り額が92万円と一定なので、分譲価格÷92万円で計算すると、資産価値が無くなる時期が算出できる。
4000万円のマンションは4000万円÷92万円=43年、3500万円は38年、3000万円は33年、2500万円は27年となる。
4300万円以下のマンションは47年を待たずに価値がゼロになる。
新築マンションは、築1年をもって中古と呼ばれるようになる。
中古マンションは、築浅でも古くなっても、16年間で35%下落するので、どの時期においても平均すると毎年2%下落する。
どのエリアであっても1年で坪単価4万円下がる。
つまり、どこのエリアのマンションであっても、10年で坪単価40万円下がる。
エリア別に10年後の騰落率をみると、
都心の坪単価  300万円-40万円=260万円  13%下落
準都心の坪単価 200万円-40万円=160万円  20%下落
郊外の坪単価  150万円-40万円=110万円  27%下落
このように、都心の坪単価が高いエリアでも郊外でも下落額が同じなので、下落率は都心が小さく郊外では大きくなる。
また、下落幅は23坪(76平米)だと、これに4万円かけた年92万円となる。
1年で92万円ということは、月に8万円弱目減りするので、これ以上に月額で元本返済すると売却した時に、差額がキャッシュで戻ってくることになる。
もし、そこに住んだとした場合、支払う賃料が8万円+金利を上回るならば、購入した方が得になるのである。
つまり、賃料が高いエリアの方が、マンション購入にはメリットが高いのである。
首都圏のマンションでは10年で2割が住み替えており、都心部では3割を超えている。
2014年12月18日に、日本の長期金利は0.345%となり、終値で過去最低となった。
2014年9月末の家計の金融資産は1654兆円の前年比2.7%増と、過去最高を更新した。

2014年12月17日水曜日

世界のクラウド市場規模は1兆6800億円(前年比49%増)
シェア1位はアマゾンの27%、2位はマイクロソフトで10%、3位はIBMで7%。
127兆円の公的年資金金を運用する年金積立管理運用独立行政法人(GPIF)が、ポートフォリオを見直すと2014年10月末に発表した。
        2014年6月末     今後の目安
国内債券    55.36%         35%
国内株式    17.26%         25%
外国債券    10.6%           15%
外国株式    15.98%         25%
短期資産      2.34%          -
今後、中国のシャドーバンキングや不動産バブルが弾けると、中国が米国債を手放す恐れがあるので、その受け皿としての役割をGPIFが期待されている。
ちなみに、国家公務員共済金の運用については、国内債券が74%のポートフォリオのままである。
初代皇帝アウグストゥスが死去した西暦14年から、西暦395年(その後、東西に分裂)までの歴代皇帝の死因を調べた結果が、すさまじい。

暗殺       23人
戦死        9人
暗殺の可能性  8人
処刑        3人
捕虜中の死    1人
自殺         5人
自然死     20人
死因不明     1人

http://labaq.com/archives/51837646.html

2014年12月16日火曜日

主要家電の平均使用年数と平均価格(2013年3月)

       平均使用年数     平均単価
エアコン    11.9年       18.1万円
冷蔵庫     10.4年       10.7万円
洗濯機       7.7年         2.0万円
パソコン      5.8年         7.6万円
携帯電話      3.5年         3.9万円
歴史の教科書で名前が出てくる一族、財閥が根強く生き残っているという点では、米国よりも欧州と中東が凄まじい。
政治的な理由と推測されるが、長者番付から王族を外している「フォーブス誌」を読むだけでは分からないが、英国アィンザー家(エリザベス2世女王が家長)を始めとする欧州の各王家や、サウジアラビア王家(アブドラ・アジズ国王が家長)などの富は、ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットを遥かに凌ぐと推測されている。
教育格差が広がっている。
2014年春の都道府県別の高校生大学進学率で、トップの東京が72.5%に対して、最下位の鹿児島が32.1 %となった。
進学率の差が40ポイント開き、20年間で2倍の格差となった。
住む場所の違いで高校生の進路が狭まっている。
世界中で極めて例外的な立法例として、日本の著作権法では会社が著作者として著作者人格権を持つ事を認めている「職務著作制度」がある。
これは、おそらく日本の会社文化を反映したものである。
著作権法2.条1項には、著作者とは「著作物(思想または感情を創作的に表現したもの)を創作する者」をいうと定義づけている。
思想・感情は生身の人間(自然人)のみの属性であり、この定義からは法人が著作者となることは有り得ない。
しかし、著作権法は15条1項に「職務著作」の規定を置き、「法人その他使用者の発意に基づき、その法人等の業務に従事する者が、職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする」と定めている。
使用者である法人自らが著作者となり、従業員には著作者人格権のみならず著作権も報酬請求権も与えないという、日本特有のこの「職務著作制度」が、マスコミ経営者にとって、現場で働く新聞記者、テレビディレクターなどの知的労働者を完全支配する最善の方法なのである。
ちなみに、近年の日本の判例では、社外業務において職務著作が成立する場合を、使用者と社外の事業者との間に当該事業を共同事業とするような契約関係が存在する事例や、使用者が業務命令で従業員を当該事業の担当者に任命している事例等に限定しており、従業員の企業外での言論・表現の自由を保障しようとしている。
新聞社は特権によって守られている事が多くある。
例えば、テレビ局は株の譲渡制限がないが、新聞社は日刊新聞紙法で、株の譲渡制限が定められている。
日刊新聞紙法は、古い法律だが、世論というのは新聞であり、テレビではないという事なのである。
また、新聞社は独占禁止法でも守られている。
ちなみに他の大手新聞社は有価証券報告書を公表しているが、読売新聞グループは、株式会社として、有価証券報告書を全く開示していないし、決算発表すらしていない。
日本テレビが親会社の決算として、読売新聞グループ本社の単独決算を資料配布しているだけである。
グループ本社は純粋持株会社であり、単独決算では売上が殆どなく、読売新聞東京本社、読売巨人軍などのグループ全体の実態は分からない。
新聞社は株主からのチェックが何も効かず、コーポレートガバナンスとは元々無縁の存在なのである。
悪い言葉として使われる「村八分」の残りの二分とは、火事と葬式。
なぜ村八分にするかというと、一揆の時の相談をした場合に、誰かがその計画を漏らしたら、それで終わりなってしまうので、信用できない人間は仲間に入れない。裏切った人間は許さない。
つまり、簡単にはじくという話ではなく、共同体として生活がかかっているという意味なのである。
『AERA』(2012年7月30日号)で特集した「社員を幸福にする会社」で、トップになったのが日立製作所だった。
日立製作所は修養団の「みそぎ研修」を一番熱心にやっている会社である。
「みそぎ研修」とは、伊勢神宮を流れる五十鈴川に寒い季節にフンドシだけで方までつからせる精神修行である。
また、日立には会社に組織的に組み込まれた自衛消防隊というのがある。
3つの「赤」を消すというが、1つが思想的な「赤(アカ)」、次に経営的な赤字、3番目が本当の消防の赤で火事を消す活動をしている。

2014年12月14日日曜日

田中角栄は、国会議員在任中に議員立法として46の法案を提案し、うち33法案を成立させている。
日本の国会法では、法案を提出できるのは内閣か国会議員と定められているが、法律として成立する9割は官僚が作文する内閣提出法案(閣法)であり、議員立法は圧倒的に少ない。
閣法は政策を実施するという名目で、その多くが「天下り先」への補助金がロジックに忍び込まれているが、議員立法の場合は、そこまで頭が回らず、天下り先を生み出す余地はない。
国会議員には「国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律」に基づき、立法事務費として毎月65万円が支給されている。
英語では議員を「law maker」と言うが、議員立法を提案できない国会議員は、立法事務費を返納すべきである。
中央銀行の人事で、国会の同意を得るのは世界基準で普通となっている。
しかし、日本は他の国と異なり、任命人事だけで終わっており、目標を議会や政府が決め、その目標に向けて中央銀行が機能しているかをチェックする仕組みがない。
霞が関において、「民営化」とは3つの意味を持つ。
1つ目は「民有・民営」の形態をとる「完全民営化」
2つ目は、政府が株式を所有して経営形態のみ民営にする「特殊会社化」
3つ目は、政府が根拠法律だけを持つ「特別民間法人化」
その為、「完全民営化」と「完全に民営化」と、たった1文字の「に」の違いでも、概念が全く異なるのである。
「完全民営化」は民有・民営となり、影響力を失い天下りできなくなるが、「完全に民営化」ならば、「民営化」に「完全」を期すという意味になり、「民営化」の3形態のどれを選択してもよいという解釈になるのである。
「霞が関文学」では、「Aをやる」と言った時は、反対解釈で「A以外はやらない」という意味になる。
2006年12月のろい罪財政諮問会議の資料では、「各省庁による再就職斡旋(を禁止)」と書かれていたのに対し、それを受けて2007年1月の安倍総理の施政方針演説のフレーズには「予算ゆ権限を背景とした押しつけ的な斡旋による再就職を根絶」と、「押しつけ的」という言葉に代わっていた。
つまり、斡旋には「押しつけ的斡旋」と「押しつけ的でない斡旋」が存在し、「押しつけ的斡旋」だけは根絶するが、「押しつけ的でない斡旋」はこれまで通り容認するという解釈になるのである。
国民は、地元の役所の地方公務員から中央の高級官僚まで、役人の給料が自分より高いことを知っている。
地方公務員と国家公務員の人件費を合計すると年間30兆円で、国家公務員だけだと年間5兆円にもなる。
財務省が強力な力は、「予算」については戦前から大蔵省時代に持っていたが、「人事」については、戦後に内務省がGHQに解体されてから手にした。
1945年から1952年にかけて日本の占領政策を担当したGHQは、公務員制度の抜本的改革にも着手し、「職階制」を導入しようとした。
職階制とは、各公務員の仕事内容を厳格に規定すると共に、見合った資格・能力を求め、その仕事内容に応じて俸給を定める制度で、アメリカ的なシステムである。
この職階制は年功序列的な日本の官僚制度に全く馴染まなかったので、大蔵省が交渉窓口となり、「職階制はすべて給与法の中で完結する」説明し、時間切れでGHQによる公務員制度改革を未完に終わられた。
給与法は「等級」と「号俸」を定めた法律で、公務員の仕事内容までは触れておらず、どのような能力がある人が「〇等級〇号俸」なのか決まっていない。
GHQの公務員制度改革で達成されたのは、戦前の「文官高等試験」が「国家公務員採用Ⅰ種試験」に名称変更しただけだった。
大森彌・東京大学名誉教授は、「職階制実施の拒否こそ、戦後改革を生き延びた官のシステムの本質が潜んでいる」と述べている。
各省庁は、それぞれ独立行政法人を所管し、天下り先を確保しているが、「天下る」のは当該省庁の官僚だけではなく、必ず財務省官僚も付いてくる。
なぜならば、特殊法人を設立するには「予算」と「定員管理」が必要となり、財務省に関与してもらわねばならないからである。
特殊法人を設立する度に、見返りとして財務省用に天下りポストが用意されることになり、財務省だけが、唯一、他の省庁の縄張りに足を踏み入れることができるのである。
財務省は国家予算の編成を担うが、国家公務員全体の人事管理も財務省が押さえている。
もちろん、各省庁には人事担当部署があり、人事院は建前上は独立組織である。
国家公務員の人事を国家全体の仕組みとして管理するには、3つの部門が必要となる。
1.財務省主計局給与共済課(旧大蔵省主計局給与課):給与の額を管理
2.人事院給与局給与第二課:各省の人員を管理
3.総務省人事・恩給局:全体の国家公務員数を管理
2の人事院の課長ポストは、代々、財務省からの出向者となっており、理由は級別定数が予算の範囲内で設定されているからだと言われる。
3の総務省人事・恩給局にも、財務省から参事官の肩書で、課長クラスが出向している。
このように、国家公務員人事の3つの主要ポストを全て財務省が抑えているので、「官庁の中の官庁」と言われるのである。
日本の近代官僚制の祖型は1899年に誕生したとされる。
前年に第9代首相に就任し、第2次内閣を発足させた山縣有朋が、それまでの文官任用令を改正したのである。
明治初期から中期にかけて、日本の官僚制度はめまぐるしく変化した。
1869年に古代律令制の流れをくむ太政官制が導入され、1885年の内閣制度発足まで続いた。
その後、1889年の大日本国憲法発布まで、ひっきりなしに制度改革が行われた。
政党員が官職に就くことも当たり前で、黎明期の官僚制は「政」と「官」が渾然一体を成す「政治的即応性」に重心のかかった制度だった。
文官任用令は1893年に交付され、文官高等試験制度を定めている。
公開試験によって官吏を任用する仕組みではあったが、全ての感触に適用されるのではなく、山縣はこの試験制度を活用して政党員が官僚になることを制限し、自らの配下となる官僚機構を作り上げた。
これにより、「政治的即応性」を失った「政治的中立性」のみの官僚組織が生まれ、この120年前の「官のかたち」が、現在も行き続いている。
小泉政権では、8つあった政策金融機関(国際協力銀行、日本政策投資銀行、中小企業金融公庫、国民生活金融公庫、商工組合中央金庫、農林漁業金融公庫、公営企業金融公庫、沖縄振興開発金融公庫)を民業圧迫と天下り廃止を理由に、リストラした。
日本政策投資銀行と商工組合中央金庫は完全民営化し、残りは政策として必要な分野を残し、日本政策金融公庫に一本化・統合化された。
その結果、財務省が管轄する日本政策投資銀行は完全民営化され、国際協力銀行は円借款部門が国際協力機構(JICA)へ、国際金融部門は日本政策金融公庫に移行し、国際協力銀行は事実上、独立組織ではなくなってしまった。
日本政策投資銀行と国際協力銀行は、共に財務省の歴代事務次官経験者が天下る「最高級ポスト」だった。
その為、他省の政策金融機関とは別格という意味で、両方とも「銀行」という名称が付けられていた。
この2つのポストを同時に失った財務省の怒りはすさまじかった。
そして、民主党政権に代わり、日本政策投資銀行と商工組合中央金庫の完全民営化は反故になり、更に一度は日本政策金融公庫の国際金融業務部門となり「銀行」と名が付くものの独立した組織でなくなっていた国際協力銀行を、2011年に日本政策金融公庫から分離・独立させるという、財務省は反撃に成功するのである。

公務員は身分が保証されており、リストラも指名解雇もない。
公務員は労働三権が制限されている代わりに、減給や解雇が無いが、これは「国家公務員法」第75条、いわゆる「身分保障」条文によっている。
面白いことに、事務次官を含む省庁の幹部職員も、この身分保障で守られているのである。
多くの先進国では、官僚は地味な仕事をする職分であり、クリエイティブな分野は民間に任せている。
その為「クリエイティブな仕事に対応できない人が官僚になるのが一般的である。
海外では、官僚が上から天下って、民間に下りてくるという制度も慣行もないので、英語には「天下り」に相当する言葉が存在せず、英訳ができない。
最近は「AMAKUDARI」とローマ字表記で通じるようになったが、かつては「descend from heaven」(天から下りる)と直訳されていた。
例外的にフランス語には、「pantoufle」という「天下り先」を表す単語があり、本来の意味は「スリッパ」だが、「気楽」「心地いい」という意味で使用される。
元々「財金分離」という言葉は、「政府と中央銀行を分離する」という意味で学術的に用いられており、その流れで日銀法改正案が成立した。
しかし、同時期に大蔵省スキャンダルが延々と続き、「財金分離」が「財政と金融政策の分離」を骨子とする新日銀法り制定に留まらず、「財政と金融行政の分離」という金融監督庁の設置まで進んでしまったのである。
日本では1970年代後半から段階的に「金利の自由化」が進められ、最終的に1994年に無利子の当座預金を除いて、預金金利が自由化された。
金利規制が存在した時代は、預金者はどの銀行に預けても同じなので、銀行にとって店舗を開設することが生命線だった。
新規店舗を1つ開設すれば、その分の収益が上がり、店舗数が銀行の収益を決めていた。
その為、大蔵省で銀行を監督する部署の係長クラスでも絶大な権限を持つことになる。
銀行の店舗開設は大蔵省の許認可事項ではあったが、役所的には課長が判を押す手続きだけだった。
しかし、金利自由化に続き、商品も自由化され「商品認可」の権限も失い、大蔵省の権限はどんどん低下している。
産業政策には意味がない。
竹内弘高・教授(一橋大学)の研究によると、日本の20の成功産業について政府の果たした役割は皆無だった。
また、三輪芳朗・教授(東京大学)の一連の研究では、高度成長期でさえ産業政策は有効でなかったとされている。