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2014年7月13日日曜日

犯罪の性質・特徴から行動科学的に分析し、犯人の特徴を推定するという捜査手法をプロファイリングという。

都道府県各署でプロファイリングを行っているのは、科学捜査研究所の心理学チームである。

日本で本格的にプロファイリング手法が導入される事になったきっかけは、1998年の「東京・埼玉連続幼女誘拐事件(宮崎勉事件)」である。
犯人特定ができず、警察がら科学警察研究所に脅迫文が持ち込まれ、共通点を徹底的に分析した結果、男女すら分からなかった犯人の生別・年齢まで絞り出した。

さらに科警研は、1997年の「神戸連続児童殺傷事件(酒鬼薔薇事件)」でもプロファイリングによって捜査に協力し、近所に住む子供という事が判明し、捜査の手掛かりとなった。

これらの事件対応により、プロファイリングの可能性が注目され、2000年には北海道警が日本初のプロファイリング専門部部隊「特異犯罪情報分析班」を設置した。

そして2009年には、警視庁が刑事部内に「捜査支援分析センター」を新設し、過去の捜査資料の蓄積から類似犯罪の手口に迫るデータベースを作成している。
時効廃止には、「必ず悪を罰する」という強いメッセージや被害者遺族への配慮が受け取れるが、その反面、長い年月が経過した上での逮捕は冤罪を生むリスクが生まれる恐れがある。

そもそも、時効は冤罪事件が起きないように、刑事手続を時間で区切りる制度だという見解もある。

実際に、殺人事件で逮捕されるのは9割以上が1年未満であり、時効が犯人検挙の妨げになる場合は稀である。
警視庁捜査一課に「特命捜査対策室」という未解決事件を担当する部署が設置されている。

発足当初は警視庁のみで38人という少人数でスタートしたが、現在は全国の警察本部に「専従班」か置かれている。

東京では未解決事件が毎年5件のペースで時効を迎えており、1999年から2009年の間で、特別捜査本部が設置された殺人事件などの凶悪犯罪174件のうち、50件が未だに未解決のままである。

全国的にも事件発生から1年以上の長期未解決事件が20~30件あり、2010年4月時点で累計358件となっている。

大きなターニングポイントとなったのが、2010年4月の「時効廃止を含めた法改正案」の可決で、これにより時効が無くなった殺人事件は全国で378件、警察庁が指定する重要指名手配容疑者は11人となっている。
警察以外にも「捜査権」を持つ職業の中で、最も大きな権力を持つのは検事である。

検事とは「検察官」における職階の一つであり、上から「検事総長」「次長検事」「検事長」「検事」「副検事」となっている。

犯人を起訴できる権限は検察官にしかない。

日本の警察官25万人に対して、検察官は3000人で、警察官全員が刑事事件を扱う訳ではないが、その比率は1%弱である。
しかも事件受理件数は160万件(2012年度)あり、単純計算で検事1人が年中無休で1日1件の事案をこなしても処理できない

検事自らが捜査現場に出向く時間的な余裕はなく、日常業務の9割がデスクワークとなる。
警察学校は都道府県各地域にあるが、将来の幹部を養成する警察官にとっての最高学府は「警察大学校」(東京都府中市)である。

警察大学校を卒業した者は、警部からキャリアを始めることになる
ちなみに、キャリア組が警視に昇任する前も、警察大学校で学ぶことになる。
2012年度版の『警察白書』によると、全国の警察官25万人のうち女性は6.8%に当たる1万7700任で、警部以上の幹部が224人いる。

警察庁は角都道府県警に対して、女性警察官の採用を拡大するよう指示しており、10年後には女性の割合を10%にする事を目指している。

現段階で女性警察官の最高位は警視長であり、これは警視総監、警視監に次いで3番目のポストである。

警視庁で初めて女性警察官が採用されたのは、GHQの指導により戦後の1946年だった。
当時は「婦人警察官」と呼ばれ、交通取締り、少年補導が主な任務で、しかも警察官であるにも関わらず逮捕権が与えられていなかった。

2000年の男女雇用機会均等法の改正により、「婦人警察官」から「女性警察官」に名称が変更された。
地方公務員としての警官採用者数は大卒で1000名程度なのに対して、国家公務員としてキャリア採用されるのは10~15名程度である。

地方公務員として警察官になった場合は巡査から始まるのに対して、国家公務員総合職試験(旧国家公務員Ⅰ種試験)合格者は警部補から始まるので、出世スピードは格段に早い。

キャリア組は警察庁で警察組織の管理をする立場になるので、警察権(捜査・逮捕)を執行する都道府県警のような職務はなく、実働捜査に加わることはない。
日本の警察(25万人)は「警察法第62条」により9階級に区分される。

「警視総監」          1人
「警視監」「警視長」「警視正」 3%
「警視」             2.5%
「警部」             5%
「警部補」「巡査部長」「巡査」   90%

巡査と巡査部長の間に「巡査長」という階級もあるが、正式な階級ではない。
勤務成績かせ優秀て実務経験が豊かにもかかわらず、昇任試験を受けない巡査が巡査長となる。

警視総監から警視正までは、定員が決まっているので、ポストに空きが無いと昇任できない。

なお、警視総監の上には「警察庁長官」という階級があるが、これは「警察庁」という行政機関の役職であり、他省庁と照らし合わせると事務次官に相当する。
その為、階級制度が適用されることはなく、厳密には階級ではない
昇任は警視総監からではなく、警視監から就任する。

警察官のややこしい特徴に、階級によって国家公務員と地方公務員に分かれる点である。
巡査から警視までは地方公務員で、警視正以上は都道府県警に勤務していても国家公務員扱いとなり、「地方警務員」という。
同じ職場で働いていても、国家公務員と地方公務員が混在している
科捜研や科警研のOBを中心に組織された民間鑑定機関が「法科学鑑定研究所」(法科研)で、年間100権を超える刑事・民事裁判の鑑定を担当している。

その知識を生かし、映画やドラマの制作スタッフとして、科学捜査のシーンのかんしゅう取材協力にも携わっている。
科学捜査研究所は、各都道府県警の刑事部に設置され、法医、化学、物理、文書、心理学という5つのチームに分かれて、事件の分析を担当している。

最近では特にDNA鑑定技術の進歩は目覚ましく、その精度は5兆人に1人の正確さで個人を特定できる。

鑑識課とは違い、科捜研に所属の研究員の多くは、警察官ではなく技官といい立場なので、捜査権も逮捕権もない。

科捜研でも扱えない大規模な分析が必要な場合は、「科学警察研究所」が担当する。
科警研は警察庁刑事局に所属し、裁判所や検察長から依頼を受けた鑑定や、鑑定技術員の指導・研修も担当している。
鑑識課には「警察犬係」という部署がある。

警視庁と千葉県警には、「警察犬部隊」が編制され、警視庁では「警備部警備第二課警備装備第三係」、千葉県警では「警備部成田国際空港警備隊警備室警備第二課」に所属している。

警察犬には、警察が所有する「直轄犬」とは別に、普段は民間で飼育されている「嘱託犬」がいる。

犬種はシェパードが有名で登録数が最も多いが、その他にドーベルマン、エアデール・テリア、コリー、ボクサー、ラブラトール、レトリバーの6種が日本警察犬教会によって指定されている。
警察には「検視官」という役職がある。

警視庁では鑑識課に所属し、都道府県警では捜査一課に所属している。

その任務は、病死、自殺、他殺といった死亡の種類を見極める業務を担当している。

死亡を判定するのは医師の仕事だが、医師が死亡診断書を書けるのは、24時間以前に医師にかかっていた場合に限られる。

自宅で亡くなった場合、前日に医師の診察を受けていなければ、「変死」扱いとなり、検視が必要となる。
検視官がまず、死亡の種類を判定して事件性の有無を確認し、監察医が死因を認定することになる。
事件性がなければ、早くて半日で遺体は自宅に戻ってくる。
警察組織の中で、鑑識課は刑事部に属し他の課とは独立している。
その為、事件現場で鑑識活動が行われる間、捜査員の立ち入りを禁止する権限を持っている。

鑑識課は「足跡係」「指紋係」「写真係」という専門分野に分かれ、職人のようなプライドを持っている。

鑑識には、初級・中級・上級の資格があり、警察学校の初任教養で全員が初級の取得を義務付けられている。
在職中の早期に上級資格を取れば、鑑識課登用への道が開ける。

現在、警視庁には鑑識員は330名いる。
罪を犯す可能性がある人物に対し、捜査官や協力者が犯罪の実行を働きかけ、現行犯で逮捕するという捜査方法を「おとり捜査」という。

おとり捜査は2つに分けられる。

1つは「犯意誘発型」で、犯罪の意思がない者に犯意を生じさせ、実行に及んだところを検挙する。
例として、メールで違法ポルノ商品の購買意欲を促し、購入した者を逮捕するケース。

もう1つは「機会提供型」で、犯罪の意思を持っている者に対して、実行の機会を与え、犯行に及んだところを検挙する。
例として、違法ポルノ商品をネットに掲載しただけで購入者逮捕に至るケース。

しかし、刑事訴訟法には「おとり捜査」に関する規定はなく、この方法で犯人を検挙した場合、有効無効の判断は裁判官に委ねられることになる。

この判断について、最高裁判所は2004年7月に、おとり捜査の許容について「適法」と基準を示した。
最高裁の判決によれば、「機会提供型は適法であり、犯意誘発型は違法である」という内容になっている。