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2016年2月18日木曜日

経済学には「教育の収益率」という概念があり、「1年間追加で教育を受けたことによって、その子供の将来収入がどれくらい高くなるか」を数字で表す。
そして、教育投資への収益率は、株や債券などの金融資産への投資などと比べても高いことが、多くの研究で示されている。
文部科学省の調査によると、親の学歴や所得が高い方が、子供の学力が高いことが示されている。
また、「学生生活実態調査」(2012年)によると、東京大学では親世帯の平均年収は約1000万円となっており、世帯収入が950万円以上の学生の割合が57%を占めている。
「民間給与実態調査」(2012年)における給与所得者1人あたりの平均年収が408万円、「家計調査」(2012年)の2人以上勤労者世帯の平均年収が623万円だから、東大生の親の年収がいかに突出しているかが理解できる
著名な行動経済学者であるダン・アリエリーの著書『ずる』の中の「祖母たちの訃報」という章で、次のように述べられている。
「わたしは長年の教職経験から、いつも学期の終わりごになると、学生の親戚の訃報が相次ぐことに気づいた。しかもその殆どが、期末試験の1週間前と論文締め切り直前に集中する。
1学期あたりの平均では、私の学生の1割ほどが、だれかが-たいていは祖母が-亡くなったと言って、締め切りの延長を求めてくる」
そして、生物学の教授が「試験と祖母の急死の間の因果関係」を明らかにするための研究を行ったことも紹介されている。
その教授が過去の自分の授業で収集したデータを分析した結果、祖母が無くなる確率は中間試験の前で通常の10倍、期末試験の前には19倍になり、さらに成績が芳しくない学生の祖母が無くなる確率は50倍にも上ることが示されている。

ずる――噓とごまかしの行動経済学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)