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2017年2月9日木曜日

人口予測は高い精度での見通しが可能と言われ、海外からの移民が激増しない限り、一国の将来人口は社会移動を無視しても大きな誤差は生じない。
しかし、都道府県や市区町村ではそうはいかない。
国勢調査は5年に一度しか行われないので、その間の人口が分からなければ、地方公共団体の政策は組み立てられない。
そこで東京都では、毎月市区町村ごとの「推計人口」を予測し発表している。
全国一の人材と技術を誇る東京都でも社会移動を予測するのは難しく、時には「推計人口」が大きく外れてしまうこともある。
国勢調査結果が公表された時点に「推計人口」も補正される。
2010年については23区全体の補正率は1%で、東京都の推計の正確さが証明された。
しかし、豊島区に限っては補正率が7%となってしまった。
具体的には豊島区の人口を7%少なく見込んでしまっていた。
その最大の要因は、豊島区で急増した外国人の動向にあったと想定される。
かつて東京一繁華な場所は銀座や赤坂ではなく、浅草だった。
その浅草がある台東区の1960年の人口密度は3万2千人/平方キロメートルと、2位の荒川区の2万8千人弱/平方キロメートルを大きく上回る超過密状態だった。
しかし、さらに1935年の人口密度は4万6千人/平方キロメートルを超え、おそらく世界一の過密都市だったと思われる。
住宅の形態は色々とあるが、一戸建て持ち家、分譲マンション、賃貸マンション、賃貸アパートの4タイプてせ23区の住宅の85%がカバーされる。
賃貸アパートの割合が一番高いのは、若者の街を抱える杉並区、2位は中野区。
賃貸マンションの割合が一番高いのは新宿区、2位が渋谷区。
分譲マンションのトップは港区、2位はタワーマンションが乱立する江東区。
一戸建て持ち家の1位は葛飾区、2位が練馬区。
地価が高い東京では賃貸マンションが28%と一番多く、一戸建て持ち家比率は24%に留まる。
一方で全国平均では、一戸建て持ち家が52%と過半数を占める。
江戸川区は、陸域面積の7割が満潮時の海水位以下の「海抜ゼロメートル地帯」である。
東日本大震災以降、東部3区を敬遠する傾向が一気に表面化した。
しかし江戸川区にとって、リスクが高いのは海から襲ってくる津波よりも、陸から襲いかかる洪水の方である。
荒川あるいは江戸川が氾濫すると、江戸川区の大部分が2~5メートルの水底に沈んでしまう。
その確率は200年に一度の大雨が降ったらと試算されている。
5メートルの浸水だと3階建て以上の建物に逃げ込めば助かる確率は高い。
パラサイトシングル男子特化度(2010年国勢調査)
25~44歳の未婚者のうち親と同居者の割合の男女比(女性÷男性)
目黒区  1.15
杉並区  1.09
文京区  1.06
世田谷区 1.05
品川区  1.03
渋谷区  1.00
港区   0.97
墨田区  0.96
荒川区  0.95
板橋区  0.94
中央区  0.92
練馬区  0.92
大田区  0.91
北区   0.91
葛飾区  0.90
江東区  0.88
豊島区  0.87
中野区  0.87
足立区  0.87
江戸川区 0.86
新宿区  0.85
台東区  0.85
千代田区 0.71
トップの目黒区は一人で暮らす女性が多い「女の街」で、親と同居する未婚女性の割合は低く、その結果、男性の割合が相対的に高くなっていると思われる。
杉並文化を代表するのは音楽である。
音楽教室の数が23区中で一番多いのも象徴的である。
また、浜田山から永福町にかけての一帯は、「日本でポルシェが一番よま売れる街」と言われている。
主婦の就業率が23区で一番低い杉並区は、「奥様文化」も色濃く、まさに一等区としてのプライドを備えた街といえる。
区立図書館の蔵書数が23区で一番多いことからも、「文化の街、杉並」の実力が感じられる。
練馬区は東京の田舎である。
昼夜間人口比率が23区最低、面積あたりの事業所密度・従業員者密度ともに最低、4階建て以上の建物の割合も最低、木造建物の割合が最高と、あらゆるデータで示されており、ビジネスの集積が薄い。
しかし、練馬には日本を代表し、世界に打って出れるビジネスの集積がある。
練馬は日本最大のアニメ関連産業の集積地である。
日本最初のカラー長編アニメ映画『白蛇伝』、日本初の連続長編テレビアニメ『鉄腕アトム』、フルカラーテレビアニメシリーズ第1号の『ジャングル大帝』のいずれもが、練馬で産声を上げている。
松本零士、ちばてつや、高橋留美子など多くの漫画家が練馬で腕を磨いた。
食えない若手漫画家にとって、都心へのアクセスが良いにもかかわらず家賃が安い練馬は大きな魅力だったのだろう。
練馬区がまとめている『練馬の農業2013』によると、2013年1月現在の23区の合計農地面積607ヘクタールのうち、その4割にあたる240ヘクタールを練馬区が占めている。
練馬区の農地面積は1975年には746ヘクタールだった。
ちなみに、23区の農地の95%は練馬区(40%)、世田谷区(20%)、足立区(11%)、江戸川区(9%)、杉並区(7%)、葛飾区(7%)の6区に集中している。
東京都の資料によると、2014年3月末時点で、23区に1万2千区画を超える市民農園があり、そのうち4分の1が練馬区に集中している。
また、農家が農作業の指導や援助をしてくれる「農業体験農園」は23区には2千数百区画しかないが、そのうち8割以上が練馬区にある。