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2015年11月6日金曜日

ヨーロッパ中世の大学は、教養課程にあたる自由7科目(文法学、修辞学、論理学、算術、幾何学、天文学、音楽)の習得に11年、神学の専門教育に16年かけたと言うので、全部を終えると27年かかった。
中世神学でも現代神学でも、基礎知識の部分は変わらないので、神学を勉強し始めて、全体構図が理解できるまでに25年くらいかかるのである。
マンション所有者は、販売パンフレットに記載されている支持層の深さ、杭の長さを確認する必要がある。
第三者機関による「住宅性能評価書」が付いている場合は、そこに杭長、さらに杭打ちの工法が明記されている。
工法が「現場杭」ではなく、工場から出荷する「既成杭」だったら注意が必要である。
現場杭は、現場で支持層を1メートル以上掘り、そこに鉄筋の網籠を入れ、コンクリートを流し込む。
もし支持層が事前調査の数値より深かったとしても、深く掘れば良いだけである。
しかし、既成杭の場合は、あらかじめ工場で製作した杭を使うので、支持層が深いと杭を発注し直さねばならなくなり、工期が遅れてしまう。
引き渡しが遅れるとディベロッパーは販売価格の20%の違約金を払わなければならなくなるので、その結果、工期を変更せずにデータ改竄をしてしまう事になる。
管理組合には、より詳しい「竣工図書」が保管されているので、杭の本数、長さ、柱状図によって建物の正確な支持深度を確認できる。
首都圏の場合、山手線の西側の地盤が固く支持層が地表に近い。
この辺りは大昔、富士山や箱根山の噴火で放出された火山灰が偏西風に乗って流れ着き、それから1万年以上の長い時間をかけて鉄分が酸化し、赤黒い土の「関東ローム層」が形成されており、支持層を覆っている土も粒子同士が強固にくっつき合い安定した地盤になっている。
武蔵野台地にある立川駅周辺は、わずか2メートル掘るだけで、固い支持層が表れ、杭打ちそのものが不要な建設現場が多い。
今回の杭打ち偽装が発覚した八王子市南大沢地区は、30メートル掘らないと支持層に達しない。
また東京湾岸エリアから千葉にかけては、埋立地が多いため、40〜50メートル掘らないと支持層に到達しない。
豊洲は支持層まで深さ41メートル、新浦安は深さ55メートルという。
意外な事に湾岸から離れた内陸でも埼玉の川口は支持層まで39メートル、大宮は50メートルと意外に支持層が深い場所もある。
マンションの杭を20メール以上深く打ち込まなくてはならない地域に建つマンションは、疑った方が良い。
そもそま杭は、建物の重量で上からかかる力を支えるのには強いが、水平方向から横にかかる力には弱い。
実際に横揺れの地震で、水平方向の力が加わり、液状現象が起き、建物の杭が途中て折れてしまったケースもあるという。
この経験からも、杭の長さは出来るだけ短い方が良い。
ちなみに原子力発電所は、地震による倒壊を避けるために、杭打ちをせずに、支持層まで掘り下げてから、支持層に直接、建屋を建てている。
マンションを支える杭の長さは、道路交通法上の積載制限があり、建設現場に持ち込める長さが、1本15メールまでとなっている。
つまり15メール以上長い杭は、トラックに積んで公道を走る事が出来ない。
支持層まで15メール以上の深さがある場所に建つマンションの場合、杭同士を現場で溶接して繋ぎ、延長する作業が必要となる。
しかも全体で2カ所しか溶接してはならないという決まりがあるので、事実上は45メールまでしか杭は地下に伸ばせない。
それでも支持層に届かない場合はは、マンションに地下空間を大きく取って、マンションの基礎を深くして45メール(ビルの高さで13〜14階に相当)の杭のてっぺんに繋げるという苦肉の策が講じられる。
細菌学を修めた結果、森鴎外は極度の潔癖症となり、生水は一切飲ます、果物を煮て食べていたという。