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2018年4月15日日曜日

トランプの娘イヴァンカの夫であるクシュナーの肩書は「通商問題および中東問題に関する上級顧問」で、中東に関する政策の重大な決定権を握っている。
クシュナーは正統派のユダヤ教徒であり、イヴァンカも結婚後、キリスト教プロテスタント長老派からユダヤ教へ改宗している。
なぜ改宗の必要があるかと言えば、自分の子どもの事を考えているからである。
現在のイスラエルの法律では、父親がユダヤ人であればイスラエル国籍は取れるが、ユダヤ教の伝統では、母親がユダヤ人でなと子供はユダヤ人と見なされない。
ユダヤ人というのは母親て決まるので、イヴァンカがユダヤ教に改宗したのは、子供をユダヤ人にするためなのである。
トランプの人物像を語るうえでは、キリスト教プロテスタントの長老派を理解しておく必要がある。
長老派はカルヴァン派ともいい、スイス、スコットランド、オランダで有力で、ドイツにもそこそこいる。
アメリカでは、どちらかというとマイナーな存在である。
長老派の特徴を最もよく示す教義は、予定説と呼ばれる思想で、神はあらかじめ選ばれる人と滅びる人を定めていると考える。
長老派に属する人は、神から選ばれた人間であるので成功は既に決まっていると考える。
人間は生まれる前から2つの種類に分かれていて、神から選ばれて勝利し天国に行く運命を持っている人間と、そうてはない人間がいる。
この世での努力は全く関係なく、長老派の人間の成功は、生まれる前から予め決まっているのだという考えである。
ゆえに長老派は、精神面がタフだとされる。
少々のことがあっても「これは神から与えられた試練に過ぎず、最後には自分が必ず勝つ」と信じている。
勝つと確信してるので恐れがない。
それどころか、勝つことは自明の理で、どうやって圧倒的に勝つかを常に考えている、というのが長老派の特徴である。
トランプの思想には、長老派の影響が相当あると思われる。
1973年にトランプは、司法省から人種差別の疑いで訴えられている。
当時27歳だったトランプは、すでに父親とともに不動産会社を経営していたが、黒人には決して貸さなかった。
これが司法当局の目に触れ、連邦政府から提訴された。
対処に苦慮したトランプは、ニューョークの一流とされる弁護士に相談したところ、その弁護士からは司法省に全面的に従うようにと助言を受ける。
釈然としないままトランプは、その夜にマンハッタンのナイトクラブで、ロイ・コーンと出会う。
ロイ・コーンは、「赤狩り」て名を上げてからマンハッタンで法律事務所を構え、弁護士として様々な訴訟に対応していた。
トランプが司法省からの提訴を説明すると、ロイ・コーンは「楽勝だ」と答えたという。
政府が民間のビジネスに介入する余地などない、逆に政府を訴えてやれ、営業妨害だとして損害賠償を請求しろというアドバイスをする。
この強気の戦略にトランプは魅了された。
このロイ・コーンから「やられたら、容赦なくやり返す」という交渉術を学んだトランプは、長年にわたって彼を顧問弁護士以上の存在、自分のビジネスのアドバイザーとしていた。
若き日のトランプはロイ・コーンという強烈な人物から、実利的な考え方を徹底的に叩き込まれたのである。
ロイ・コーンについては、ジェームズ・ウッズという俳優が演じた『虚構/シチズン・コーン』という作品がある。