Amazon

2016年8月16日火曜日

歴史をみると貧しい国だからこそ国外に出ていく人が多いという興味深い事実がある。
アイルランドは20年に一度くらいの頻度で飢餓に見舞われており、その都度、生きるために国外に出る人が増えている。
これを歴史上何度も繰り返しているので、アイルランドの人口は460万人程度だが、アイリッシュと呼ばれる人は世界に7000万人以上もいる。
つまり人口の15倍もの人が海外に出て行ってしまっているのである。
ケネディ大統領、クリントン大統領、オーストラリアのポール・キーティング首相はルーツを辿るとアイリッシュである。
島田市と牧之原市にまたがり、2009年に開港した富士山静岡空港は、川勝平太知事が莫大な予算を投入して作った空港だったが、開港当初は、日本で最も無駄な公共工事とまで言われていた。
そこで川勝知事は挽回すべく、中国に行き「私達の空港に降りてくれて、静岡で1泊でもしてくれたら5万円差し上げます」とトップ営業をした。
ちなみに上海から春秋航空行く3泊4日のジャパン旅行は5万9000円ほどである。
この「1泊5万円」が起爆剤となり、2015年には中国との定期便が14路線に拡大し、2015年には20万人もの中国人旅行者が静岡に来た。
国際線利用者数は更に増加し、羽田、成田、大阪などの期間空港を除く地方空港では富士山静岡空港の利用者が1位となり、インバウンドの中心地となっている。
最近は都市部だけではなく、地方でもインバウンドの恩恵を受け始めている。
ニセコ町では外国人宿泊客の数が年々急増しており、2014年時点では2004年の10倍にあたる14万人の外国人が宿泊している。
ニセコ町では250億円の投資が3回行われ、日本を代表するスキーリゾートとして外国人旅行者の間で人気が高まっている。
2019年に大型リゾート「パーク・ハイアット」が、2020年には「リッツ・カールトン」が開業予定となっており、インバウンド向けリゾートとして今後も期待されている。
中国人観光客が爆買いしている日本製品に「日本で買わなければいけない12の神薬」という中国のWebサイトで紹介されたリストがある。
彼らは家族や親戚、知人から日本へ旅行に来る行く前に、餞別をもらって来ている。
お土産にそれほど高いものではない、これらの品物をドラッグストアで買ってお土産にするのである。


ノーベル賞経済学者で、日本経済のアドバイザーでもあるポール・クルーグマンは、これまで日本に対して物価目標政策の採用を強く迫ってきていた。
しかし2015年10月に、ニューヨークタイムスに寄稿したエッセイで、自説を撤回している。
日本はあれだけ市場に爆発的な資金供給をしてゼロ金利にしたのに、これほど需要が起こらないとは思わなかった。
日本に関しては全く分からないことだらけだ、と自分の提言をひっくの返す敗北宣言をしてしまった。
ポール・クルーグマンの懺悔日記「日本再考」という記事で、その要点は次の通りであった。
1.日本の量的緩和策(インフレ目標政策)には効果がない
日本の人口動態は、全く望ましくない状況にある。それが特異なスタグネーションを引き起こしている原因でもある。20年間にもわたりインフレ率が非常に低いということ、また、同じ期間において高水準の財政赤字が続いていたこと、そして、未だにインフレの兆候がないことに留意してほしい。日本は自然利子率のマイナスの状態が永遠に続く国に見える。
2.日本は労働人口1人当りのGDPの伸び率で見れば、良好なパフォーマンスを示している
日本は過去25年間の間に緩やかな成長を遂げて来た。しかし、その原因は人口動態にあった。労働人口1人当りのGDPは2000年以降アメリカよりも伸びている。そして、現時点では過去25年間の成長率は同じ程度に見える。そして、ヨーロッパよりも日本のほうが優れている。
3.インフレ目標値はもっと高くすべきであり、それを実現するために思い切った財政出動が必要
財政問題はこれまでのところ深刻な問題を引き起こしていないし、また日本は、もし財政を均衡させた場合に想定される状態よりも明らかに裕福な状態を保ってきている。しかし、財政アガシのリスクが余りにも誇張されすぎていると考える我々でさえも、対GDP債務比率を安定化させ、一定のレベルまで引き下げることが必要だと思う。(インフレの目標は財政再建のため)
パソコンの世界シェア 
(2015年第1四半期から第3四半期、総出荷数2億887台)

レノボ(中国)    19.6%
HP(米国)     18%
デル(米国)     13.6%
エイスース(台湾) 7.1%
アップル(米国)  7.1%
エイサー(台湾)  7.1%
その他     27.5%

東芝、富士通、VAIOの3社を合わせて4.2%
世界のビール販売量シェア (2014年、総量1.9億キロリットル)

アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー) 20.8%
SABミラー(英国)          9.7%
ハイネケン(オランダ)        9.1%
カールスバーク(デンマーク)     6.1%
華潤雪花ビール(中国)        6.0%
青島ビール(中国)          4.7%
モルソン・クアーズ(米国)      3.2%
その他              40.4%

2015年にアンハイザー・ブッシュ・インベブとSABミラーは合併し、世界シェア30%となった。
時価総額が100億ドル超えの未上場ベンチャー企業(2015年)
ウーバーテクノロジーズ 510億ドル
AIrbnb         255億ドル
パランティール・テクノロジーズ 200億ドル
スナップチャット    160億ドル
スペースX        120億ドル
ビンタレスト      110億ドル
ウィワーク       100億ドル
ドロップボッス     100億ドル
これら時価総額1兆円を超える未上場企業は、上場しなくても資金が集まり、2~3年で収益が出て黒字化が可能なのである。
日本では「民泊」と呼ばれている宿泊施設マッチングサービスのAirbnbは、無国籍のサイバーシステム上のグローバル企業である。
日本の代表者の名前は公開されているが、日本に正式なオフィスはない。
スマートフォンをプラットフォームにしたタクシー配車サービスの「Uber」を運営するウーバー・テクノロジーズは、創業から数年の会社だが、世界58カ国の300都市でサービスを展開する世界企業へと成長している。
2010年にサンフランシスコでサービスを開始し、附わぬ不燃にはアメリカ全土をカバーし、ヨーロッパに進出した。
その後2013年にはアジアに進出し、2014年には全世界に展開し、僅か5年で世界主要都市でのサービスが開始されている。
スマホは、世界中でiPoneかAndroidのシステムとなっているので、世界共通のシステムでサービスを提供でき、これまでのグローバル企業のように各国に販売拠点を作って海外展開を図る必要がない。
Uberを使ってタクシーを呼び、Uberで料金を支払うとオランダの会社との直接決済となる。
オランダの会社は売上の2割を抜いて、オランダの業務会社を通じて、タクシー運転手に8割を支払う。
オランダの会社はクラウドコンピューティングによって、全世界のタクシー運転手に決済処理を行っている。
オランダの会社は経費を抜いて残った利益を、バミューダ種痘にある会社に送金し、利益は全て課税ゼロのバミューダ諸島に蓄積されている。
サンフランシスコの本社は技術開発しているので、技術料として1.45%だけ取っており、アメリカ企業としては1.45%しか収益が発生していないため、米国では税金を支払っていない。
アメリカのグローバル企業が海外で保有する資金額は毎年増えており、課税を逃れるためにアメリカに資金を持っていない。
海外収益に対する課税率をみると上位企業はほぼゼロで、課税率の高いバンク・オブ・アメリカでやっと8.8%である。
主な企業の2014年の海外収益に対する課税率
Amgen        0%
Qualcomm       0%
AMD         0%
Netflix         0%
Biogen        0.1%
Apple       2.3%
Nike       2.5%
Microsoft     3.1%
Oracle      4.0%
AmericanExpress 4.1%
NetApp       4.7%
WellsFargo      6.5%
Symantec     7.2%
Citigroup       8.5%
Bank of America   8,8%
『フォーチュン』(2015年11月1日号)によると、世界企業の72%はタックスヘイブンを使らっており、250兆円がオフショアに備蓄され、意図し20兆円が課税を逃れているとしている。
法人税は純利益に対して課せられるので、税率を下げることで残るのは、内部留保分と株主への配当となる。
設備投資や人件費は経費なので、損益計算書上では法人税率に影響しないし、投資誘発にはつながらない。
ところが安倍総理はこれを理解できていないので、向こう5年間で10兆円の設備投資をすると言い出している。
354兆円の内部留保の中から5年で10兆円の設備投資をするというのだから、榊原経団連会長は本来ならば反対すべきところを、「ぜひお願いします」と同調している。
経済界、政界ともに余りにもレベルの低さに悲しくなる。
法人税を下げて、投資と賃金に回った国はなく、日本は法人税率が50%の時に最も活発に投資をしていた。
海外企業を本気で日本に呼ぶには、法人税を10%前半にする必要がある。
節税効果を狙ったグローバル企業の本社移転が増加している中で、最も法人税が低い12.6%のアイルランドが選ばれている。
米ファイザーはアイルランドのアラガン買収により、ダブリンに本社を移転する事で得られる一時的な節税効果は210億ドルとなる。
ファイザーが2014年に米国で課された実効税率は25.5%だったが、買収後の本社移転で実効税率は17~18%になる。
カナダのバリアントは米ポシュロムを87億ドルで買収したが、新会社がM&A後の10年間で見込める節税効果は36億ドルである。
世界の主要経済圏 (2014年)
   
    人口     GDP
米国  3.2億人    17.3兆ドル
EU  5.1億人    13.5兆ドル
中国 13.7億人   10.4兆ドル
日本  1.3億人    4.6兆ドル
AEC  6.0億人    2.5兆ドル

AECとは、「ASESN経済共同体」
シンガポール、タイ、インドネシア、マレーシア、ブルネイ、フィリピン、ミャンマー、カンボジア、ベトナム、ラオスが加盟。
海外では日本では考えられないような規模の巨大なM&Aが盛んにお行われており、2015年の世界の企業によるM&Aは過去最高のペースで加速している。
2015年のM&Aで最も規模が大きかったのは、米ファイザーによるアイルランドのアラガンの買収で、金額は1600億ドルだった。
アラガンは元々はアメリカの会社で、アイルランドの会社を買収することで、アイルランドに本社を移していた。
そして、ファイザーもこのアラガンを買収することで、アイルランドの会社となった。
理由はアイルランドの税率が非常に低いからであり、アメリカからの逃税目的のM&Aだった。
2位は、ベルギーのアンハイザー・ブッシュ・インベブの英SABミラーの買収で、金額は1207億ドル。
アンハイザー・ブッシュ・インベブは2008年にバドワイザーで知られるアンハイザー・ブッシュを買収し、世界のビル販売量トップシェアとなっていたが、今回、ビール販売量世界シェア2位のSABミラーの買収で、世界のビール生産で3分の1のシェアを占める巨大企業となった。
ヤマハの川上源一は、かつて人口ボーナス期の日本でピアノを作り、世界一のピアノメーカーを目指した。
当時の高度成長前夜の日本では、テレビも無い家も多く、ピアノを売ろうとしても貧しくて、買えるお金は持っていなかった。
そこで川上は、産婦人科で子供が生まれるところに立ち合い、「おめでとうございます。お子さんに将来ピアノなどはいかがてすか」と親に声をかけたという。
母親が「うちにはそんなお金はありません」と答えると、「ご心配なく。ヤマハレディが来月から毎月1000円だけピアノを買うための積立金を集めに伺います。4歳になったらヤマハ音がく教室に通ってください。ピアノが上達した頃、ちょうどお子さんの専用ピアノが手に入るだけのお金が貯まっています。」と言って、ピアノを売りまくったという。
結果、日本の一般家庭のピアノ普及率は20%となり、ドイツ、アメリカを抜き、世界一の国民普及率となった。
日本でも1人当りGDPが3000ドルの頃からピアノを習わせる親が増えたように、インドネシアではヤマハ奥がく教室が大人気になつている。
子供の情操教育、将来のために音楽を習わせたいという親心は世界共通なのである。
内閣府が2014年6月にまとめた報告書「世界経済の潮流 2014年Ⅰ」に、新興国の人口ボーナス期について、分かり易くまとめられている。
多くの新興国で、今後10年~20年の間に生産年齢人口が全人口に占める割合が高まり、ピークを迎えることになる。
〇人口ボーナス期の長さ(非資源国)
中国      45年間 1970年~2015年
ベトナム    45年間 1975年~2020年
タイ      45年間 1975年~2020年
マレーシア   55年間 1970年~2025年
トルコ     55年間 1970年~2025年
メキシコ    60年間 1970年~2030年
バングラデシュ 60年間 1975年~2035年
インド     75年間 1970年~2045年
フィリピン   85年間 1970年~2055年

イスラム国には国境がないが、支配地域では20%の税金を徴収するとともに、占領地域の油田、精製所で精製した石油をシリアやトルコに安く密輸して稼いでいるという。
また、偶像破壊と言って、貴重な遺跡や美術品の破壊を派手にやっているが、実際には金目になるものは闇マーケットで転売し、この収益も数十億円あると言われている。
誘拐によって人質の身代金ビジネスは、年間40~50億円になっているという。
これらを全て足すと、ISの年間予算規模は500~600億円に達する。
中央銀行の総資産の対GDP比を見ると、量的緩和を継続して2%のインフレ目標達成を2016年後半に延長した日本は、日本銀行の総資産の対GDP比が80%となっている。
これに対して、アメリカはリーマンショック後のQE1、QE2、QE3と金融緩和を実施したが、FRB総資産の対GDP比は30%にも達していない。
同じくマイナス金利をいち早く導入したECB総資産の対GDP比も30%に達していない。
日本がいかにGDPの割に突出した金融緩和を実施したか、異常な状況であることが理解できる。
中国は新幹線もどきの高速鉄道を10年間で2万8000キロも作った。
1964年の東京オリンピック以降、日本は新幹線をひたすら作り続けてきたが、それでも1万キロにも達していない。
中国のインフラ整備は飽和状態となっており、国外に事業機会を求めるしかなくなっている。
だから、他国の資金で中国の事業機会を増やそうというのが、アジアインフラ投資銀行の本当の目的なのである。
ちなみに海外の公共事業は基本的には儲からない。
日本の大手ゼネコンなどが手掛けた海外のインフラ事業は全て赤字である。
かつて熊谷組も香港の地下鉄やトルコのポスポラス海峡の架橋などを手掛けたが、結局赤字となっている。
現在、日系企業は日本政府の開発援助(ODA)が付く事業だけ請負うという状況となっており、海外政府の公共事業は儲からない。
「持たず、作らず、持ち込ませず」という「非核三原則」について、これまで外務省は国会答弁で明確には回答していない。
「非核三原則に違反する場合には、アメリカは日本と協議をすることになっている。今まで協議がなかった以上は、持ち込んでいないと考えざるを得ない」と、限りなく嘘に近い詭弁で対応してきた。
人口が減少すると納税能力はどんどん下がっていく。
従って、公的機関は現在よりも増々サービスレベルを落としていかねばならない。
既に日本の年間は、最終勤務年度の所得に比べて、35%程度しか支給されていない。
これは先進国の中では最も低いが、2040年になると30%も貰えなくなる事が既に分かっている。
先進国では最終年度に稼いでいた給料の50%程度を年金で貰えるのが普通で、国によっては70%程度年金をもらえるところもある。
消費税も5%から8%に上げただけで、経済的がダメージを受けたので10%にするのを延期するとしたが、単純計算しても今直ぐに20%まで引き上げないと財政収支がバランスしない状況になっているのは明らかである。
米国や日本などの先進国では、GDPに占める個人消費の割合は6割前後の水準で推移しているのが一般的である。
これに対して急成長を遂げて来た中国では、最近の10年をみる限り、DPに占める個人消費の割合は4割を切った水準のままである。
中国のGDPを占める「家計消費(個人消費)」の金額は、2001年の4.9
兆元から、2014年の24.2兆元へと5倍近く増えている。
しかし、構成比でみると2001年の45%をピークに、36%前後とほぼ横這いが続いている。
絶対額ベースで見れば、個人消費は増えているが、日本の公共投資に相当する「政府消費」と設備投資に相当する「資本形成」の伸びが個人消費を上回っている。
韓国で最大の発行部数を誇る代表的な保守紙『朝鮮日報』のデータベースで、1945年から日本と韓国の両国間の歴史認識問題や領土問題に関する記事の推移を整理すると、議論の頻度は1990年代以降になって急増している。
つまり、現在、我々が直面している日韓関係の現実は、植民地支配終了直後に生まれたものではなく、1980年代から1990年代に生まれたものなのである。
この原因の一つとして、韓国側における日本の経済的重要性の急激な低下が挙げられる。
1970年経生前半までは、韓国の貿易における日本のシェアは4割を占めていたが、現在は1割にまで低下している。
この変化は日本経済が絶頂を極めた1980年度に既に始まっており、この現象が日本経済の衰退によって引き起こされたものではない。
1982年に韓国の公式統計に初めて中国との直接貿易が現れ、中国が重要な経済的パートナーとして登場した結果、冷戦下における韓国の二大パートナーだった米国と日本の存在感が低下したのである。
民主か以降に選ばれた韓国大統領は、その任期を一期5年に限っており、政権末期には深刻なレイムダック化を経験することとなった。
その結果、韓国においては末期に差し掛かった政権が世論に押される形で、歴史認識問題や領土問題で強硬姿勢に転じる、ということが繰り返されるのである。
つまり、韓国の経済構造の変化の産物である限り、今後も韓国では、どれだけ待っても日本に配慮してくれる政権ができる可能性は殆どない。