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2017年6月12日月曜日

メンタルヘルスの世界では「適当」が非常に大事である。
認知療法が挙げるメンタルに悪い考え方のパターン、つまりうつにかかりやすく、治りにくい思考パターンには、この「should思考」や「二分割思考」がある。
「should思考」とは、自分に対して「こうでなくてはいけない」という規制が強すぎる考え方である。
「二分割思考」とは、シロでなければクロ、味方でなければ敵と、両方の間に無限にあるグレーを認めず、二つに分けて考えてしまう考え方である。
味方だと思っていた人が自分の批判を少しでもすると、敵になったと認知してしまう。
この二分割思考わ完全主義がくっついてしまうと、満点でないと0点と同じ、という発想になってしまう。
また思い込みによる決めつけや、一部を見ただけで全てそうだと考える「過度な一般化」もメンタルに悪い思考パターンとなる。
「いいかげん」とは「適当」は、そうした考え方の対極になる。
詐欺師の歴史を調べると、戦後間もない頃の東大生によるヤミ金融の「光クラブ事件」を除くと、「天下一家の下位事件」にしても「豊田商事事件」にしても、一般人を巻き込んで大騒ぎになり、何十億、何百億、それどころか千億単位の金を集めるような事件の犯人は、中卒・高卒で叩き上げてきた人が圧倒的に多い。
詐欺を働こう、他人をだましてやろうと言うとき、インテリだあればあるほど「この程度のことで騙されるんだろうか」と考えて、実行をためらってしまうのかもしれない。
一方で、この種の詐欺師たちは、自分の周囲にいる人々の思考をよく理解していて、「人間はこの程度のもので騙される」ということをよく理解している。
認知的複雑性が高い人は、「これしかない」などと1つだけの答を自慢げに揚げたりはしない。
反対に「これしかない!」と思い込む人は認知的複雑性が低いということになる。
これはうつなどにかかりやすい「心の健康によくない考え方」でもある。
そして、問題なのは認知学的複雑性が低い人は、「これしかない」と誰かに言い切ってもらう事を好み、その方が、あれこれ考えずに済んで楽だからである。
一昔前に「ファジー」という言葉がはやったが、心理学の世界にこの「ファジー」を当てはめるなら、「認知的複雑性」という鍵になる。
「認知的複雑性」とは、物事を「イエス・ノー」「よい・悪い」「好き・嫌い」など単純化して認識するのではなく、中間のグレーの領域をグレートとして、受け入れる能力であり、「ああ、されもあるね」「こういう考え方もできるね」と認識できる能力のことである。
全てのことに可能性はゼロではなく、そのまま複雑な情報を複雑なまま処理しなければならない事が多いわけだから、簡単には白黒はつけられない。
「認知的複雑性」が高い人は、「これもあり」「あれもあり」と受けてれられる人だから、外からみるといいかげんに見えたりするが、実は大変能力が高いのである。
最近流行しているアドラー心理学では、「人は自分に価値があると思える時に勇気が持てる」とする。
ここで言う勇気とは、対人関係に取り組む勇気のことである。
創始者のアルフレッド・アドラーは「人間の悩みは、全て対人関係のみである」というところから出発している。
つまり「人から嫌われても平気だ」と思うことができれば、全く自由になって悩みから解放されることになる。
しかし、誰しも一人では生きていけないので、アドラー心理学では「共同体に貢献していると感じられるときに、自分に価値があると思える」として「共同体感覚」が大きく重視される。
コレステロール値が下がると、動脈硬化のリスクは下がるので、心筋梗塞など虚血性心筋症の死亡率は下がる。
しかし、コレステロール値が高いグループの方が、自殺やがん、事故死は減り、全体の死亡率も低下する。
コレステロールは一定レベルないと、セロトニンが上手く機能せず、コレステロール値の低い人はうつがなかなか治らないし、反対に高い人は回復しやすい。
他にもコレステロールは免疫機能を活性化するので、感染症にかかりにくくかるだけではなく、がん化する細胞もやっつけ、がんになりにくくなるという。
多くの免疫学者が「コレステロール値の高い人の方が長生きする」と言っている。
だまされて喜んでいるような「おめでたい人」のことを、英語で「ナイーブ」という。
ナイーブと言うと、日本人は「繊細」「純粋」という意味に受け取って喜ぶが、本来の英語での意味は全く違う。
ナイーブは、「だまされやすくて幼稚」とか「考え方が甘い」と言う意味で「おバカさん」というニュアンスが強い。
反対に、「いいおめでたさ」は英語では「メリー」とか「ハッピー」といった単語になり、物事を前向きに捉えられるニュアンスがある。
巨人の長嶋茂雄は、後楽園球場での試合に息子の一茂を連れてきたのに忘れて帰ったり、片方のソックスを2枚履いて「ソックスがない」と大騒ぎした、といった様々な伝説がある。
他にも、「失敗は成功のマザー」や、アメリカで「こっちの子は英語がうまいな」「こっちは外車が多いなあ」発言など、名言もある。
統計学的に有効性が確認され、日本でもアメリカでも心理療法として主流になっている認知行動療法は、「人間の心のありようは行動によって変えることができる」という学説に基づいている。
つまり「持って生まれたもの」や、その人の素質や性格で全てが決まる訳ではない、ということである。
人間は経験によって学ぶことができるのだから、「おめでたさ」は後天的にも得ることができる。
自分は運がいいと思っている人は、物事に尻込みせずに挑戦するから、おのずとたくさん場数を踏むことになる。
その中で成功体験があると、自分の運の良さを更に信じることができ、ドンドン良い循環になっていく。
つまり、物事を楽観的に見ることで、チャレンジの数=打数が増え、成功の絶対数は増える。
打数を増やすためには「運が良いはずと思う力」「ずうずうしさ」「あつかましさ」「自分を信じる力」が必要となる。
だから、おめでたく生きて打数を増やしていると、結果的に幸せをつかむ事が多いのである。