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2017年9月29日金曜日

Uberはサンフランシスコで生まれながら、本社機能はオランダにある。
世界のどこかでUberが使われると、その瞬間にオランダの本社に取引情報が送信される。
運転手に売上の85%を支払う業務はオランダで行われている。
さらにオランダ本社は、そこから経費を除いた利益を、タックス・ヘイブンであるバミューダに本社登録した別会社に送り、最終的にサンフランシスコの親会社に送られる「技術料」は全体の1.45%のみである。
そのため、Uberが大成功しても米国政府には税収は殆ど入らない。
Uberの実際の本社はサイバースペースにあり、世界中のあらゆるオーダーを同じシステムで決済しているので、国という単位は殆ど意味をなしていない。
この延長線上で考えると、カントリーリスクもない、という事になる。
20世紀には、会社が他国に進出して多国籍企業が生まれ、「企業の多国籍化」と言う言葉がよく使われた。
しかし、21世紀では、企業は多国籍である必要すら無くなっている。
Uberでは3000人以上の社員が働いているが、クラウド・ソーシングで人材を調達しているので、誰がどこにいても関係ない。
場所はどこであろうと、結果的に仕事さえやっていれば良いのである。
オーストラリアのゴールドコーストでは、昔ながらの流しのタクシーは殆ど走っていないという。
Uberを利用する人が多くなり、街を流して走っていても、客を拾えなくなったからだという。
ゴールドコーストからタクシーが消えたのは、ここ1年ほどのことでそれくらい変化のスピードは速い。
テクノロジーが介在すると、世の中は凄いスピードで変化する。
ドイツの航空会社ルフトハンザは、世界の民生用ドローンのシェア7割を占める中国のDJIと契約し、ドローンを使って航空機の機体整備を行っている。
人間が見るのは大変な所にドローンを飛ばして点検し、機体の上側や尾翼、その付け根の部分などを克明に見て、異常がないかどうか検査している。

2017年9月26日火曜日

セーフィー株式会社が提供する「クラウド防犯カメラ」は、170度モニターできるカメラとスマホを連携させるセキュリティーサービスである。
カメラで捉えた映像を自分のPCやスマホで見ることができる。
このカメラを自宅の玄関前に取り付け、月1200円を支払うと、人が着た時にセンサーが感知し、自分のスマホにアラートで通知してくれる。
さらに録画された1週間分の画像データがクラウド上に保存されているので、トラブルがあった際には、それを警察に持ち込めば分析してもらうことも可能である。
高額な機械警備で高収益を上げて来たセコムやALSOKの既存のサービスが魅力を失う可能性がある。

2017年9月25日月曜日

Amazon.comは、単なる書店だと思われていたが、いつの間にか巨大なeコマースの小売業になってしまった。
ジェフ・ベゾス共同創設者は、20年前にアマゾンを創業した時点で「自分は本屋になるのではない。自分は世界一のリテーラー、小売業者になるのだ」と宣言しており、彼は初めからeコマースの広がりを想定して事業を展開してきたのである。
彼が書店からスタートしたのは、当時のインターネットの技術では書籍が一番誤発注が少ない商材だったからである。
その後、ベゾス氏は小売業を目指し、カーテンやソファなどを販売したが、返品の山となり散々だったという。
ある時、ベゾス氏は、米国で靴のeコマースで売上を伸ばすザッポスを運営する台湾出身の経営者と出会った。
ザッポスは、「返品自由」というシステムを取っていた。
ザッポスの顧客は、当初は3足を一度に注文して一番会う靴を残し、残りを返品するが、そのうち何度も繰り返すと、自分に合う商品がハッキリし、返品率が下がっていく事が分かっていた。
多くのビジネスは先手必勝であり、先に仕掛けた方が勝つ。
追随する企業が試行錯誤している間に、ノウハウが蓄積された先行企業は売上を伸ばし、更なる挑戦ができるからである。
ベゾス氏は、世界最大の小売業者になるという目標を実現させるため、ザッポスを900億円で買収した。
安倍総理の「同一労働同一賃金」という発言は、ポイントが相当にずれている。
21世紀のボーダレス経済において、同一労働同一賃金とは、日本の工場で働いている人の賃金は、中国で同じ仕事をしている人と同じ賃金になるべきだ、ということに等しい。
すでに日本企業は、中国やベトナムに数百万人の雇用を日本から移転しており、もし日本に戻したとしても日本で働ける人の多くが65歳以上となる。
日本で唯一豊富な資源は高齢者の人材となっている。
ロシアでは、樺太もシベリアも人口が減り続け、シベリアでは、この20年で800万人だった人口が600万人に激減している。
2016年には、シベリアに住んでいる人達を対象に1万平方メートルの土地を無料で進呈するキャンペーン、2017年にはペテルスブルクやモスクワに住んでいる人達にもシベリアに引っ越したら1万平方メートルを進呈するキャンペーンを行ている。
隣の中国には東北3省で1億5000万人もいるため、人口をなんとか増やす政策を採らざるを得ない状況だという。
アメリカ大統領選挙後に、安倍総理は日本のトップとして最初にトランプタワーを訪問した。
会談を終えた安倍総理は、内容は秘密だと言ったが、IR整備推進法(カジノ解禁法)を速やかに成立させるよう、要請されたと言われている。
大統領選で、トランプに大口の選挙資金を提供した献金者の一人に、ラスベガス・サンズ会長のシェルドン・アデルソンがいる。
トランプの最大のスポンサーで2500万ドルの選挙資金をトランプ陣営に供託している。
つまり、支援者の利益のためにIR法の制定を安倍総理に迫ったという利益相反が疑われる。
安倍総理は、帰国後、5年間進まなかったIR法案を2週間で成立させた。
その後2月に訪米した安倍総理はフロリダの私邸に招かれ、「ゴルフ接待」を受けることができた。
習近平国家主席が、デザート中にシリアにミサイル攻撃をしたサプライズに比べると、おもてなしに雲泥の差があった。
アデルソン会長は、2014年の来日時に、IR法が通れば1兆円程度の投資をしてもよい、と言っており、2017年3月にも再来日し、同じ趣旨のことを述べている。
フランスでは出生率が瞬間的に2.0に伸びたが、これに大きく影響しているのが、40年以上前に実施された「戸籍の撤廃」と「親子関係上の婚外子の差別撤廃法」の成立だった。
フランスでは、屋がく一緒に暮らしてパートナー関係を築いた人達に配偶者と同様の社会的権利を認める事を法律で定めており、出産手当、出産費の無料化、産休所得補償、ベビーシッターや保育ママの費用負担といった子育て・個族支援も差別なく受けることができる。
戸籍制度があるのは、日本と韓国、台湾など限られた国や地域のみである。

2017年9月24日日曜日

イギリスのEU離脱派は「移民に仕事を奪われる」としてEU離脱を選択したが、実際のイギリスの失業率は5%である。
200万人の移民が流れ込んできても失業率は増えていない。
イギリス国内はかなり人手不足の状態である。
難民に仕事を奪われたなどと言う根拠のないポピュリストのレトリックが、イギリスがEU離脱を選択した原因である。
トランプと同じレトリックで国民を騙したのである。
企業の時価総額世界トップ1000をランキングすると、330社はアメリカの企業であり、1位から12位までをアメリカ企業が独占している。
世界的に強いのはアメリカの企業ばかりであり、弱っている企業は米国内での競争に負けたのであり、外国の企業に敗れたという証拠はない。
この史実を理解できないトランプ大統領は、アメリカの中で敗北した人、国内企業との競争に敗れて人達の歪んだ訴えを聞いているからである。
日本車はアメリカで660万台も売れている。
アメリカでの現地生産は500万台近く、日本からの輸出が160万台である。
日系自動車メーカーは、製品に占める付加価値の50%以上がアメリカ製でなければメイド・イン・アメリカとは認めないと言われ、部品会社をアメリカに連れて行った。
それにより、アメリカの自動車メーカーも日本の自動車部品を調達できるようになり、デトロイトのビッグ3が蘇った。
日本の自動車は、アメリカ市場の40%を押さえているが、決して独り勝ちすることなく、アメリカの自動車メーカーと仲良く平和に共存している。
トヨタはアメリカの雇用確保に大きく貢献しており、インディアナやケンタッキーなど、8つの州で10の工場を展開し、年間200万台以上を生産している。
そのため、アメリカの魏かいではデトロイトの自動車メーカーを支持する人よりも、日本の自動車メーカーを支持する議員の方が多いという。
日本の自動車メーカーの工場は多くの州に広がっているため影響力が大きく、議会でも立場が強いという。
アメリカ企業にはおかしな習慣があり、海外からの輸入にかかる船積み費、航空費、保険料などのコストが上がると、その増加率と同じ分だけ最終消費者の小売価格を上げてしまう。
例えば100円のモノを輸入して400円で売る場合、輸入の際に税金が45%(45円)かかるようになれば、45円値上げして販売価格を445円にするのが普通である。
しかし、アメリカでは400円に対して45%値上げをしてしまう。
販売までに関わる全ての企業が45%分を上乗せする、という考え方となり、400円で売っていたモノが580円になってしまう。
コスト増によってモノの値段が上がることをコストプッシュインフレと言うが、このような習慣もあり、トランプ大統領が選挙公約を守るとアメリカは猛烈なインフレとなる。
そうなれば、トランプを支持しているプアホワイト層の生活は苦しくなってしまう。
2016年のアメリカ大統領選挙では、18歳から24歳までの投票行動を見ると「アメリカの未来世代」は圧倒的にヒラリーを支持している。
実は、ヒラリーの得票数は絶対数でトランプを200万票上回っていた。
歴史的にもオバマ大統領の2回目の得票数に次ぎ、大統領選で最も多い得票数だった。
それでも大統領になれないというのは、やはり選挙制度に問題があるという話になる。
成長戦略として規制撤廃に踏み切ると、規制によって守られていた弱い産業がダメージを受け、大量の失業者がでる。
その後しばらくすれば、規制撤廃によって成長した分野に雇用が生まれ、失業者を吸収するが、そこに至るまでに15年ほどの時間が必要となる。
アメリカのレーガン大統領が決断した規制撤廃で失業率が一時的に10%に達し、成長戦略が花開いたのはクリントン政権の時だった。
クリントン大統領は何をしたと言う訳ではないのにアメリカの景気が良くなった。
イギリスではサッチャー首相が解放戦略、規制撤廃を行ったが、花開いたのはトニー・ブレア首相の時で、やはり規制撤廃から15年経過してからである。
その間は、失業率は15%まで悪化した。

2017年9月17日日曜日

経済学者の将来予測は全く当たらないため、経済学も統計学の研究者によってオカルトの一種と批判されている。
例えばアメリカにおいて、1970年~75年の経済が大きく変化した4つの期間(70年の軽度の刑期交代と72年の景気回復、73年の石油ショックとインフレ、74年の深刻な景気後退、75年の景気急回復)を対象に、実質国民総生産(GNP)成長率とインフレ率について、アメリカを代表する官民6つの経済研究所の予測がどれだけ当たっているかを調査した著名な研究がある。
それによると、48件の予測のうち46件が景気の転換点を予測できていなかった。
予測機関で経済モデルの開発に携わってきたウィリアム・シャーディンは経済予測の特徴を次のようにまとめている。
1.経済予測の精度は予測対象期間が先になるほど低い
2.エコノミストの予測能力を平均すると当て推量とほぼ同じである。
3.常に予測成績が上位の予測機関はない
4.常に予測成績が上位の経済学派はない
5.特定の経済指標について、常に高い予測能力を実証している予測機関はない
6.先進技術を取り入れても経済予測の精度は上がらない
7.予測はエコノミスト個人の心理的な性向によって影響される場合がある
8.コンセンサス予測(複数のエコノミストの予測の平均)をしても制度はあまり上がらない
9.経済予測の精度が過去30年間に向上しているという保証はない
要するに景気の動向をエコノミストに聞いても無駄だということである。
現代ポートフォリオ理論の創始者として1990年にノーベル経済学賞を受賞したハリー・マーコウィッツのアイデアは「株価も水の分子運動と同じようにランダムに動いている」というものだった。
そして、この理論の本質は「株価は無意味に変動しており、未来を正確に予測するのは原理的に不可能である」というもので、全ての予測は「この範囲に何パーセントの確率で存在する」という確率論的なものにならざるを得ないというものでる。
こうした運動を物理学では「ランダムウォーク」という。
現代ポートフォリオ理論は「分散投資」の勧めとして知られており、マーコウィッツは一つの株だけを持つよりも複数の株を組み合わせた方が、同じリスクでより高いリターンが期待できることを数学的に証明した。
この理論は証券会社にとって、様々な金融商品を投資家に売りつける理屈に使え、「卵はひとつのカゴに盛るな」と広く宣伝されている。
ところが、マーコウィッツがノーベル賞を受賞した理由は、別の所にあり、同じ統計学の手法を使って「最も効率的なポートフォリオとは市場に投資することである」という発見をしたことだった。
つまり市場全体の動きに連動するインデックスファンドに投資せよというのである。
この効率的ポートフォリオの発見は、投資家は何も考えずにインデックスファンドを買えばよいというものであり、証券会社にとって非常に不都合な発見となった。
アクティブ運用の平均的なパフォーマンスを調べると、パッシブ運用に比べて、手数料コストの分だけ負けているということが、様々な統計調査で明らかになっており、学問的には決着がついている。
経済学者からすると、全ての投資アドバイスはオカルトの類に過ぎない。
アメリカを代表する30社の株価平均である「ニューヨーク・ダウ」のチャートを見ると、1928年の大恐慌を大底に、その後は見事な右肩上がりとなっている。
「長期投資は成功する」という投資理論の原則は、このニューヨーク・ダウから導き出された一種の経験則に過ぎない。
それも株価が大きく上昇し始めた1980年代半ば以降に唱えられたものである。
アメリカでもベトナム戦争に突入した1960年代から1980年代半ばまで、20年にわたる株価の低迷を経験した。
「株式の死」と呼ばれたこの時期には、誰も長期投資など説くことはなく、株式投資はアメリカ゛てもギャンブルの一種と考えられていたという。
しかしその後、アメリカの株式市場には1987年のブラックマンデーはあったものの、2000年のITバブル崩壊までの20年に及ぶ大きな上昇の波が訪れ、これがいわゆるニューエコノミー相場で、長期投万能理論はこの「黄金の20年」に確認した。
これに対して日本の株式市場には、長期投資の成功を理論的に裏付ける適したチャートは存在しない。
そこで日本の資産運用本では、無理やりアメリカ型のノウハウを当てはめざるを得なかった。
人類が貨幣を発明して以来、何度かの停滞はあったものの、経済規模は一貫して拡大してきたから、投資レンジを長くすれば長期投資が確実に富をもたらすことは間違いない。
ただし、これは100年単位の話であり、我々が生きている間に長期投資から富が得られるという保証はどこにもない。

2017年9月13日水曜日

トランプ大統領が「メキシコ国境に壁を作る」と選挙期間中に演説していたが、これにはアメリカが現在抱えている社会問題である不法移民問題が背景にある。
アメリカには現在1100万人の不法移民が住んでいるとされている。
その多くが中南米出身者であり、その殆どがメキシコ国境から入国してくる。
アメリカ税関・国境警備局によると、2015年にアメリカ南西部のメキシコとの国境で逮捕された不法移民は18万6017人だった。
毎年20万人近くが逮捕されており、これはたまたま見つかった人数であり、見つからずに入国に成功した不法移民は、その数倍になるとみられている。
アメリカとメキシコの国境線は3141キロもあり、この長い国境全てを厳重に経費゛することは不可能である。
アメリカには南米出身者やその子孫が4000万人おり、彼らの政治的影響力は無視できない。
1990年にはアメリカの人口の9%だったヒスパニックは2000年には12.5%となっており、黒人の人口比率を超えている。
ちなみに白人は人口の7割である。
アメリカは軍事力によって基軸通貨の地位を守ってきたという事実が、明確に理解できた例として、イラク戦争がある。
1991年の湾岸戦争以来、イラクのフセイン大統領とアメリカは敵対関係にあたが、2000年11月にフセイン大統領が石油取引をドル建てからユーロだとに変更した。
アラブの石油取引がドルで行われる慣習は、ドルの基軸通貨としての地位安定に大きく寄与してきたが、フセインはこのデリケートな部分に触れてしまった。
アメリカとしては基軸通貨ドルを守るために、「大量破壊兵器を隠し持っている」と難癖をつけて、イラク戦争を起こしフセインを殺害した。
そして案の定、アメリカはイラク戦争でフセイン政権が崩壊すると直ぐに、イラクの石油取引をドル建てに戻している。
アメリカが日本の安全保障のために負担しているかを計算すると、在日米軍は3万6000人、東アジア地域に派遣されている米海軍の人員は1万4000人、合計5万人が日本周辺に派遣されている。
アメリカの国防省の予算をみると、米軍の日本への駐留経費は55億ドル、日本円で6000億円とされている。
しかし、このアメリカが算出している経費は、駐留費だけであり、空母や軍用機などの調達費用までは含まれていない。
これらを含めると米軍の日本駐留経費は少なくとも年間1兆円以上はかかっていると想定される。
それに対して、日本政府は米軍に対し、様々な経費項目で毎年5000億円を支出している。
つまり、アメリカは差し引き5000億円の持ち出しになっている。
村上ファンドの資金調達の一翼を担っていたゴールドマン・サックスと村上ファンドとの結びつきは深く、六本木ヒルズでも、それ以前でも事務所は同じビルの中にあった。
村上ファンドが阪神電鉄の買収を仕掛けていた2006年3月末の阪神電鉄の株主の第4位にゴールドマン・サックスが入っていた。
また、ゴールドマン・サックスは、村上ファンドが阪神電鉄買収を仕掛ける1年前に「六甲おろしワラント」という商品を販売していた。
これは阪神電鉄の株が上がるか下がるかを予想するという金融商品だったが、この時からゴールドマン・サックスは阪神タイガースに目を付けていたということである。
村上世彰氏は1998年の通産官僚時代に、コンサルタント企業を訪れた時に「ファンドって、何?」と聞いていたという話は有名だという。
1999年に設立、2000年1月にファンド運用を始めた当初は38億円の資金しかなかった。
その村上ファンドが資金を大幅に増加させたのは、2004年以降で、2005年3月末には1653億円、2006年3月末には4444億円にまで膨れ上がっている。
この莫大な資金の殆どが外国資本と言われているが、どこが金主なのか明らかになっていない。

2017年9月11日月曜日

小泉政権時の郵政民営化にはAIG(Amerian International Group)という保険会社の影があった。
AIGは世界130ヵ国以上で展開する世界企業で、1919年に上海で創業された。
第一次世界大戦後、アイスクリームの行商をしていたユダヤ系アメリカ人のコーネリアス・バンダ―・スターは、一山当てようと上海に渡り、当時誰も思いつかなかった「中国人に保険を売る」という字業を始め、成功させる。
日本の保険業界というのは、アメリカの企業が勢力を持っており、その中で最も強いのはAIGである。
AIGは戦前に上海で創業していたこともあり、戦後すぐに日本に進出している。
しかし、日本市場で業績がなかなか拡大しないため、AIGは日本政府に対して保険業界の市場開放を迫るだけにとどまらず、日本の保険市場でアメリカ企業だけに特別の恩恵を与えるように働きかけた。
その結果、信じがたいことだが、日本の保険事業のある分野において、アメリカ企業が独占的な権益を与えられる。
生命保険、損害保険以外の分野、いわゆる「第三分野」と言われる侵害保険やがん保険が該当する。
この分野では日本の保険会社は参入できないという日米双方の申し合わせがあった。
がん保険から日本企業は締め出されていたのである。
その後、日本企業が第三分野に参入できるようになったのは2001年のことだった。
そして日本の生命保険の中で最大のシェアを持つ郵便局の簡易保険の縮小を狙い、1990年代の日米協議の中で、保険は最優先課題となり、2004年秋という期限をつけて、日本に対する保険市場の改善を要求してきたのである。
このため、小泉政権は大急ぎで郵政民営化を推し進めたともみられる。
1998年に長期信用銀行が破綻したが、その再生の際に多額の税金をアメリカ企業に持ち逃げされてしまった。
長銀は1998年に破綻し一時国有化された。
そして2000年3月にアメリカの企業、外国銀行の集合体である「ニューLTCBパートナーズ」に、わずか1200億円で買収された。
日本政府は不良債権は引き継がないで良い、という条件で長銀をLTCBに売却した。
長銀には4兆円という公的資金が導入されている。
公的資金導入と言うのは、投資家にとってはまたとない儲け話となる。
公的資金が導入される会社はボロボロだからタダ当然だが、多額の公的資金が注ぎ込まれれば。それだけで企業価値は上がる。
新生銀行として2004年に東証一部に上場を果たし、LTCBは1000億円以上の莫大な利益を得ている。
しかも、LTCBには日本の税金が課せられていない。
LTCBというのは法人ではなく投資組合であり、税金は課せられないからである。
これが日本の組合であれば、組合員に課税されるが、LTCBの場合は、組合員が外国企業だったので日本で税金はかからなかった。
日本政府はLTCBに対して、日本の税金を献納したようなものだった。
現在のアメリカはGDPの2割が金融部門が占め、金融立国である。
日本の金融部門はGDPの6%、英吉利10%前後であり、アメリカの金融部門がいかに突出しているかが分かる。
金融と言うのは産業の潤滑油であり、補助的な役割を担うはずだが、アメリカでは主役なってしまっている。
第二次世界大戦までアメリカは、世界の工場であり、世界の農場でもあった。モノづくり大国だったのである。
そのアメリカが金融大国へシフトしたのは1990年代初めで、貿易赤字と財政赤字の双子の赤字に悩まされ、ドル安政策を採っていたが、いくらドルを下げても競争力を失ったアメリカの産業手は輸出が伸びなかった。
そこでアメリカはドル高政策に転換し、金融部門を強化することにした。
多くの金融商品を開発し、高いドルを維持することで、世界中から投資をアメリカに呼び込み、貿易赤字を投資マネーで補うようになるのである。
日本で自動車が本格的に普及したのは戦後だと思われがちだが、日本は戦前から自動車大国だった。
特に日本陸軍は自動車の導入に力を入れており、トラックの生産台数はアメリカに次いで世界2位になっていた。
日本に初めて自動車が入ってきたのは1899年で、皇太子(のちの大正天皇)のご成婚祝いにアメリカの日系移民からプレゼントされた。
ただ、運転できる者がおらず、試運転の時にブレーキの捜査を誤って、三宅坂のお堀に落ちてしまい、日本最初の自動車事故として記録されている。
東京に初めてタクシーが走ったのは1912年で数寄屋橋タクシーという会社が2台で、新橋駅~上野駅間を往復するだけだった。
その後タクシーは増え続け、関東大震災があった1923年頃には東京市内に500台程が足吏、1932年には1万台を超えていた。
これらの日本のタクシーで使われていた車は殆どがアメリカ車だった。
アメリカ商務省の発表によると2016年のアメリカの対日貿易赤字は、689億ドル(7兆7000億円)である。
そのうち自動車関連が526億ドルと、アメリカの対日貿易赤字の8割が自動車関連となっている。
戦後の日本で占領政策を行っていたGHQは、当初、日本をすぐに復興させようとは考えていなかった。
そのためGHQは日本に対して兵器産業を廃止させ、重工業の復興や船舶の保有にも制限を設けた。
日本の重工業の生産能力は、国内需要に応じる範囲に抑えることにされていた。
しかもその基準値は1930年のレベルの3分の1とされていた。
さらにGHQは日本の重工業の施設を東南アジア諸国に戦争賠償として移設するという計画まで立てていた。
日本の鋼材の生産整備は戦災を殆ど受けておらず、敗戦時にも戦前の水準である1100万トンの生産能力があった。
その設備のうち、900万トンを東南アジア諸国に移設し、日本に残されるのは200万トン分にする、という予定だったという。
もしこれが実行されていれば、日本の戦後復興は大幅に遅れていたはずである。
アメリカ軍は終戦後しばらく日本に駐留したが、この駐留経費は日本が負担することになっていた。
1953年の参議院の国会答弁書によると47億ドル(当時の日本円換算で5100億円)にも及んでいる。
1953年時点の日本の゜国家予算が1兆円だったので、年間国家予算の半分が駐留経費ということになる。
しかも47億ドルの駐留経費には朝鮮戦争での国連軍の経費も入っていた。
日本は朝鮮戦争の特需によつて経済が回復したとされるが、朝鮮戦争の特需は直接的なものが10億ドル、間接的なもので36億ドルとされている。
つまり、日本がアメリカに支払った駐留経費の方が、朝鮮戦争の特需で得られた経済的恩恵よりも大きかったのである。
第二次世界大戦後、日本は連合国側に対して、かなり大きな賠償金を払っている。
サンフランシスコ講和条約により、日本が戦争終結前に持っていた対外資産は全て没収され、捕虜などの補償にあてる事が決められた。
この対外資産の没収額が大きく、外務省の試算によると、当時の金額で3800億円となっている。
1945年の日本の国家予算が235億円だったので、16年分強ということになる。
対外資産というと日本が植民地にしていた地域の資産というイメージがあるが、この中には日本が貿易の決済のためにアメリカの銀行に置いていた資産も含まれていた。
また朝鮮にあった資産の多くは、朝鮮戦争の時に国連軍が使用した。つまりアメリカ軍に分捕られたのである。
それ以外にも戦後の日本はアメリカに対して様々な形で賠償金のようなものを支払わされている。

2017年9月10日日曜日

第一次世界大戦以降、日本の最大の輸出相手国はアメリカであり、日本の輸出全体の4割をアメリカが占めていた。
アメリカにとっても日本は、カナダ。イギリスについて3番目の輸出相手国であり、日本への輸出は中国への輸出の22倍もあり、当時アメリカ領だったフィリピンへの輸出と比べても3倍あった。
アメリカにとって日本はアジアで最大の貿易相手国だったのである。
当時から日本経済はアメリカ抜きでは成り立たない状況だっだ。
石油は当時から日本は消費量の9割以上を輸入に頼っていたが、そのうち8割以上はアメリカからだった。
つまり石油の消費量の7割強をアメリカ一国に頼っていたのである。
アメリカは最後の外交カードとして対日石油輸出を全面的に禁止した。
ただしアメリカ側でも簡単に石油輸出禁止に踏み切れた訳では無かった。
当時、アメリカの石油産業の要衝地のカリフォルニアはアメリカの石油生産量の15%を占めており、その生産量の9%を日本に輸出していた。
そこでアメリカ政府は、半日キャンペーンを張ると共に、「いずれ石油が不足し、石油の需要は高まる」とカリフォルニアの石油産業を説得した。
日米関係を悪化させた要因には移民問題もあった。
第二次世界大戦前の日本においては、日本列島だけで暮らしていけない貧しい層が出てきて、ハワイや南米アメリカに移民を多く出していた。
明治以降、日本は人口が急増したが、それに見合うだけの仕事が無かったのである。
移民の渡航先として特に多かったのが、ブラジルとアメリカで、ブラジルには100万人が移民として渡っている。
1920年にはアメリカ全土に12万人の日本人移民が住んでいた。
移民の歴史は古く、明治辰直後の明治元年(1868年)には、最初の移民団がハワイに向けて出発している。
国の斡旋で141人(うち女性6人、子供1人)が3年の労働契約でハワイの農場で働くというものだった。
ハワイはそれ以降も日本人の主要な移民先となり、1941年までに23万人の日本人が移民している。
その後、移民先は南米アメリカ、フィリピン、オーストラリアなどに拡大していったが、日本人移民は勤勉で、母国に送金をするので現地でお金を使わず、生活習慣も言葉も違うため、地域住民より反発を受け、1898年にはオーストラリアで日本人の入国が禁止されている。
アメリカでも日本移民排斥運動が強くなっていき、1913年にはカリフォルニア州で帰化権のない者への土地所有禁止法が可決され、事実上、日本人による農地の売買禁止措置だった。
そして1924年にアメリカで「排日移民法」が制定され、日本からの移民が大幅に制限された。
この排日移民法に対し、日本国内では反米感情が高まり、1924年4月には東京で2万人が参加したデモまで行われている。
第二次世界大戦中、日系移民は移民先で敵国人として苦しい立場に追い込まれ、特にアメリカ、カナダ、キューバ、メキシコでは日系人12万人が強制収容所に入れられた。
日米の対立は、既に日露戦争直後に始まっていた。
日露戦争終結2年後の1907年に日本は日露戦争後の「帝国国防方針」を制定したが、明らかにアメリカが仮想敵国として念頭に置かれていた。
例えば、日本海軍ではアメリカの艦船保有の7割を維持することが目標とされており、「八八艦隊計画」と言われる。
日露戦争の日本海軍の計画では戦艦6、装甲巡洋艦6という六六艦隊だったが、日露戦争後に拡充され八八艦隊となった。
これに対してアメリカも「オレンジ計画」と称された対日軍備計画が練られている。
アメリカは日露戦争前までに戦艦25隻を建造し、既にイギリスに次いで世界2位の海軍国となっていたかが、1907年以降、ほぼ毎年、戦艦2隻の建造を続けている。
またアメリカは、1907年~1909年にかけて、戦艦16隻による世界一周航行を行い、海軍力を世界に誇示するデモンストレーションをしている。
これは特に、日露戦争に勝利した日本に対する牽制の意味が強かったとされている。
日露戦争を経て、日本はロシアから南満州鉄道の運営権利を譲り受けた。
当初、この南満州鉄道の経営は、アメリカ人の実業家エドワード・ヘンリー・ハリマンと日本が共同で行う事になっていた。
ハリマンは、アメリカのパシフィック鉄道で財を成した鉄道王である。
しかし、日露講和条約の全権大使だった小村寿太郎が猛反対し、日本単独経営という事に落ち着き、日米関係を悪くする要因となった。
もし、南満州鉄道の経営を日米共同で行っていれば、後の太平洋戦争は起こらなかったかもしれない。
第二次世界大戦後の西ドイツの急激な復興は目を見張るものがあった。
戦後4年目の1949年には戦前のピークだった1936年の工業生産水準に戻っている。
1950年から1958年の間に、国民所得は2.2倍、工業生産は2倍、輸出は4.4倍、1959年にはGDPでフランスを抜き、1960年にはイギリスを抜いて世界第2位になっている。
西ドイツの急速な復興の要因としては、戦争被害がそれどでも無かったからである。
ドイツは首都ベルリンまで攻め込まれ、ベルリンは瓦礫の山となったが、連合国軍の調査によるとドイツ産業の生産力の戦災によるダメージは2割程度だったという。
日本も同様で、主要都市は大規模空襲で焼け野原となったが、産業の中枢である製鉄の生産能力は殆ど低下していなかったという。
戦争というのは、人的被害は大きいが、産業に対する影響は少ないといえるようである。
東西冷戦時代に、米ソは軍拡競争を繰り広げるだけでなく、世界各国に軍事支援と経済支援を行った。
アメリカは1950年代に国家予算の7割近くが軍事費を占め、冷戦期間を通じても3割を占めていた。
GDP比では1割となり、これほどの軍事費を拠出しているの、常時戦争をしている状態と同じだった。
現在の自衛隊の経費はGDPの1%である事を考慮すると、GDPの10%という規模の大きさが理解できる。
もと日本がGDPの1割を軍事費に支出するとすれば、国家財政の半分を軍事費に費やす必要が出てくる。
ちなみに、現在のアメリカの軍事費はGDP比で3~4%である。
IMFは世界の国々で金融危機や信用不安が起きた時に、緊急の融資をして救済する機関である。
また世界銀行は主に新興国がインフラ投資を行い時に、融資をしてくれる銀行で、日本も東海道新幹線の建設時に世界銀行から融資を受けた。
このIMFと世界銀行は、アメリカの出資比率がIMF17.69%、世界銀行15.85%と最も大きく、実質的にアメリカの支配下にある。
IMF、世界銀行ともに、重要議題を議決する際に85%の賛成が必要であり、アメリカは加盟国の中で唯一15%以上の出資をしており、15%以上の議決権を持っている。
つまり、アメリカは拒否権を持ち、アメリカが反対した事案は絶対に承認されない。
世界恐慌によって世界全体の貿易額は縮小したが、アメリカの輸出力の強さはずば抜けており、第二次世界大戦終結まで相変わらずアメリカま金保有量は増え続け、最終的に世界の金の7割以上を保有してしまった。
第二次世界大戦後に世界経済のイニシアティブを握ったアメリカは、世界に対して自由貿易を強制した。
1945年にイギリスはアメリカに対して38億ドルの融資を求め、見返りとしてアメリカはイギリスのブロック経済の解体を求めた。
同年にフランスもアメリカに対して10億ドルの支援を求め、フランスのブロック経済の解体を求めた。
当時のイギリスとフランスは、植民地保有の1位と2位だったので、両国の植民地を自由市場として開放させることで、自由貿易圏を世界中に広げることに成功した。
アメリカの巨額の貿易黒字が世界経済に与えた悪影響のもう一つは、世界恐慌を引き起こしてしまったことである。
巨額の貿易黒字を続けていたアメリカには、大量の金が入ってきた。
当時の世界経済において主要国の多くが金本位制を採用しており、貿易の最終的な決済は金で行われていた。
そして、アメリカは世界貿易シェア1位だったにもかかわらず、アメリカ自体は農産物も資源も豊富にあり、輸入を必要としていない国だった。
世界恐慌が起きた1929年におけるアメリカのGNPに対する貿易の割合は、輸出が5%、輸入が3.4%に過ぎなかった。
しかもアメリカは集まる一方の金を更に貯めこむ政策を採ってしまう。
本来、金本位制のもとでは、金が流入すれば通貨量を増やさねばならない。金が集まった国が通貨を増やすことでインフレが起こり、物の値段が上がるので国際競争力は落ちる。
そのため、集まった金が流出していき、金本位制の各国の貿易バランスが取れるという仕組みになる。
しかし、アメリカは国内でインフレが起きることを警戒し、金が増えているにも関わらず、通貨量を増やさなかった。
1922年8月以降、流入した金は連邦準備銀行の金準備に含めないようにしたのである。
よって、アメリカに金が大量に入ってくるにも関わらず、アメリカの国際競争力は落ちず、貿易黒字は増え続け、その結果1923年末には、世界の金の4割をアメリカが保有してしまう。
アメリカばかりに金が集まると、当然、他国では金が不足し、他国から物を買えなくなり、貿易も収縮してしまう。
世界の金の4割が集まるアメリカに投資が集中し、アメリカの株式市場が加熱し、そして爆発したのが世界恐慌なのである。
つまり、アメリカの輸出過多により世界貿易の通貨である金を貯め込むんことが、世界恐慌や第二次世界大戦の背景にあった。
アメリカの輸出の最盛期は第一次世界大戦から第二次世界大戦までの戦間期である。
第一次世界大戦までのアメリカはも鉄道建設などでイギリスから巨額の投資を受け入れていたため、世界一の債務国だったが、第一次世界大戦がには、アメリカは一気に世界一の債権国となった。
経済学者のケインズによると、第一次世界大戦終結時のアメリカの国際収支は19億ポンドの黒字だった。
当時のイギリスの税収が3000万ポンド程度だったので、19億ポンドという額がいかに巨大なものであるかが理解できる。
このアメリカの貿易黒字の相手は連合国陣営の国々であり、イギリス、フランス、イタリアは、このような巨額の債務を背負いきれないと、アメリカに借金の減額を養成したが、アメリカはこの債権の減額を拒否した、
そのためイギリス、フランス、イタリアは敗戦国ドイツに対して、巨額の賠償金を求めたのである。
第一次世界大戦の講和条約「ベルサイユ条約」では、第一次世界大戦の責任は、一方的にドイツにあると規定され、ドイツは連合諸国が受けた損害を賠償することとし、その賠償額は1300億マルクと巨額となった。
これはドイツの税収の十数年分であり、ドイツは植民地を全て取り上げられ、人口の1割を失い、領土の13.5%、農耕地の15%、鉄鉱石の鉱床の75%を失っている。
ドイツは戦争で国力を消耗していたので、この賠償金を支払えず、ドイツ経済は大混乱し、インフレ率が1億を超えるというハイパーインフレが生じた。
この荒廃したドイツで「ベルサイユ条約の破棄」を謳って、ヒトラーが登場するのである。
つまり、ヒトラーの独裁政権の誕生も、アメリカの巨額の貿易黒字が遠因ともいえる。
アメリカの経済が危うくなっている最大の原因は貿易赤字である。
アメリカの2015年の輸出入額を見てみると、輸出額が1兆5000億ドルなのに対して、輸入額が2兆2000億ドル以上もあり、輸出額の1.5倍の輸入をしている。
アメリカの対外債務が積み重なっているのも、最大の要因はこの貿易赤字である。
アメリカの経常収支は、1992年以来、赤字を続けており、2015年の赤字額は463億ドルとなっている。
このように多額の対外債務を抱えた国は今だかつてない。
通常は、これほどの対外債務が増えるまでにデフォルトを起こしているからである。
アメリカ政府の純債務残高は2016年時点で15兆ドル(1550兆円)に達している。
また政府の財政赤字とともに、経常収支の赤字も抱えている。
経常収支の赤字とは、貿易や投資など国際取引総計での赤字という事である。
その赤字は、アメリカの借金ということになる。
現在のアメリカは、この借金が積りに積もって、対外債務は7兆5000億ドル(758兆円)となっている。
対外債務とは、外国に対する借金であり、アメリカは世界最大の借金国なのである。

2017年9月8日金曜日

テクニカル分析は、企業の事業内容や財務状況、経営計画などとは全く無関係に、ただチャートの動きのみによって将来の株価を予測する投資手法で、熱烈な信者が存在する。
しかし、アメリカで1920年代から保存さらているニューヨーク市場の株価データを使って、ありとあらゆるテクニカル指標が、コンピュータで解析され、ほぼ全てのケースにおいて、テクニカル分析に従って売買を繰り返すよりも、単に株を買って保有するだけの長期投資な方が有利だという事が、証明されている。
テクニカル売買は、手数料分だけ確実に長期投資に負けてしまうのである。
株式アナリストによるファンダメンタルズ分析のレポートというのは、殆どの場合が、自分に都合のいい株を投資家に買わせるためか、分析対象である企業経営者のご機嫌をとる為の証券会社の営業行為である。
そうでなければ、いったいなぜ株式アナリストに高額の報酬が支払われるのであろう。
未来のことは誰も分からないので、予測の過ちを事前に指摘される恐れはない。
結果として予測が外れたとしても、他のアナリストの予測も外れるのだから、別に大したことでは無いという訳である。
「最大の資産は自分自信の能力だ」という考え方もある。
市中金利が1%だと、資産運用で500万円の利益を得るには5億円の元本が必要となる。
つまり年収500万円の人の価値は、5億円ということになる。
この巨額の資産(人的資本)からすると、数百万円の金融資産を資産運用で増やす努力をするより、今すべき事は、こな5億円の人的資本を、10億円、20億円へと増やしていく事である。
これを経済学の用語では「人的資本への投資」という。
資産運用の初期においては、金融資産に投資するよりも、人的資本に投資した方が合理的である。
2億5000万人のアメリカ人全員が参加する賭け金1ドルのコイン投げを1日1回行い、勝った方が相手の持っているコインを全て受け取るとすると、20日後には勝ち残った238人の手に105万ドル以上が貯まっている計算になる。
敗者が消えていき、残った勝者だけで統計をとると平均値が上がってしまうトリックを、「生き残りバイアス」というが、これはその典型である。
『金持ち父さん貧乏父さん』の著者ロバート・キヨサキは、不動産市況の回復を確信して多額の借金をしてハワイの不動産を買い漁った。
しかし、不動産の値下りで苦境に陥り、1985年には夫婦でホームレス生活を余儀なくされ、一時は古ぼけたトヨタを「家」にしていたという。
見かねた友人が自分の家の地下室を貸してくれるまでの3週間、ホームレス生活は続いた。
その後、キヨサキの予想通り不動産は大きく値上がりし、資産形成に成功する事になるが、不動産価格の下落がさらに続いていれば、借金を返済できずに破産していたかもしれない。
ちなみにハワイの不動産市況が回復し、キヨサキが投資に成功したのは、バブルの最盛期に大量のマネーが日本からハワイに流れ込んだ為である。
こうして金持ちになったキヨサキが、バブル崩壊で苦しむ日本人に成功体験を語るというのも、皮肉な話である。

2017年9月6日水曜日

マイクロソフトの株を、「Windows95」が発売された1995年に買っていれば、2000年までの5年間で資産は14倍になっていた。
サラリーマンの給与体系では、例え実現したとしても、ミリオネアの夢は、退職金を受け取る65才まで待たねばならない。
もっと早く経済的独立を達成するためには、近道を見つける必要がある。
欧米や日本のように豊かな社会では、特別な才能などなくても、勤勉と倹約、共稼ぎだけで、誰でも億万長者になって経済的独立というゴールに達成できる。
これは一見素晴らしいことに思えるが、極めて残酷な事実でもある。
努力だけてお金持ちになれるならば、貧乏は社会制度の矛盾や市場原理主義によってもたらされるのではなく、自己責任になってしまうからである。
FRBの消費金融調査によると、アメリカでは資産100万ドル以上の世帯数が2004年に900万世帯を超えている。
1995年には400万世帯弱だったので、わずか10年でミリオネア世帯の数は2倍以上に増えたことになる。
アメリカの総世帯数1億1000万世帯に対してミリオネア世帯の比率は8%と、およそ12世帯に1世帯が億万長者である。
日本も同様で、クレディ・スイスが2013年10月に発表した世界の富裕層ランキングによると、純資産100万ドル以上を持つ日本の富裕層は270万人、人口比2.1%と、アメリカの1320万人、人口比4.3%に次いで第2位となっている。
ちなみに1ドル80円だった2012年には日本の富裕層は360万人もいた。
日本の世帯数は5200万世帯だから、世帯主がミリオネアだとすると、億万長者世帯の比率は7%となり、14世帯に1世帯とアメリカの比率に似てくる。
人類の歴史を1人あたりの所得から俯瞰すると、1800年当時のヨーロッパの平均的な生活水準は、紀元前1世紀のギリシア・ローマ時代はもちろん、10万年前の旧石器時代と比べても殆ど豊かになっていない。
所得以外の指標でも、1800年当時の平均寿命は30〜35歳で、狩猟採集の時代に比べて長くなっている訳でもない。
栄養状態を示す平均身長は旧石器時代の方が1800年当時よりも高かったという。
つまり、人類の生活は10万年の歴史を経ても向上するどこらか、より過酷になってたのである。
ところが18世紀にイギリスで始まった産業革命によって状況は一変し、技術の進歩が生産性の向上をもたらし、人々の所得を大きく伸ばした。
先進諸国の所得水準は、わずか200年で1800年当時の10〜20倍に達している。
1冊あたりの販売部数が減ってしまった事で、著者の収入も減っていく。
現在では、純文学な専門書だけでなくエンターテイメント系の小説でも初刷3000部は珍しくなく、本体価格1500円で印税率10%とすると、印税額は45万円にしかならない。
年間4冊を出したとしても、年収は180万円にしかならず、居酒屋のアルバイトをした方がマシ、というのが現状となっている。
出版物の販売額は1990年の8660億円から1995年の1兆470億円まで5年間てま20%増えたが、この間に新刊発行点数は4万点から5万8000点へと45%も増加している。
販売額は1996年にピークを迎えた後に右肩下がりになっていくが、新刊発行点数は2001年には7万点を超えている。
それに伴い返品率も90年代半ばまでは35%程度だったのが、1998年には40%まで上昇している。
出版社は以前よりも少部数の本をたくさん出版するが、その6割しか売れていない。
その結果、2016年の出版市場は書籍・雑誌合わせて1兆4700億円まで落ち込み、ピーク時の1996年の2兆6560億円に比べて45%も小さくなり、1980年の市場規模まで縮小している。
出版流通の慣行において、本の返品率が上昇すると問題が起こることになる。
取次にとって1万部の適正な返品率が20%だとすると、結果として返品率が30%になった場合、適正返品率を確保する為に、次回の納品数を8750部に減数されることになる。
これで前回と同じく実売7000部ならば返品率が20%に収まるからである。
同様に返品率40%(実売6000部)なら次回の納品数は7500部(6000部÷実売率80%)、返品率50%(実売5000部)なら6250部(5000部÷実売率80%)になる。
仮に定価1000円の本で、取次への納品数が6000部になると、売上は600万円、仮払金は420万円(6000部×✖️仮払率70%)にしかならない。
もともとは1万部分の仮払金として700万円を受け取っていたので、返品率の上昇によって入金額が4割も減ることとなり、資金繰りに窮してきまう。
出版社がこの苦境を乗り切る為には、6000部の本をもう1冊作ることになる。
価格と部数が同じだとしとも、これだけで取次から受け取れる仮払金は840万円となり資金繰りは改善する。
このようなカラクリの結果、近年、出版点数が増えているのである。
出版流通の取次が出版社に無利子融資をするという商習慣は、出版社の自転車操業という弊害を生み出した。
出版社は定価1000円の本を1万部、取次に納品すると出版社の取り分が70%だと、700万円の仮払金を受け取ることができる。
本の返品率が20%とすると、取次からすると140万円が過払いとなってしまう。
ところが出版社は、この140万円を現金で取次に返済する必要は無い。
翌月も1000円の本を1万部納品すれば、140万円分の無利子融資が受けられるからである。
つまり、新刊本を担保に融資を借り換えていくのである。
出版社にとって、売上を維持できている限り、最初の140万円の過払い金は何もしないで得られる利益「シニョリッジ」(貴族の特権)となる。
出版流通の仕組みを簡単に説明すると、次のようになる。
本体価格1000円の本を1万部出版したとすると、再販制度で本の価格は固定させているので、小売価格の変動を考慮する必要はなく、1000万円の売上を計上できる。
この1000万円を出版社70%、書店25%、取次5%で分け合うことになっていたとする。
本は出版された部数全てが売れる訳ではなく、一部は書店から返品されてくる。
返品率が20%なら800万円となる。
ところが、「大手」「老舗」といわれる一部の出版社は、返品率を考慮せず、本を納品した翌月に仮売上1000万円に対する取り分を一括して受け取とる。
売れなくても出版社の取り分が70%ならば、出版社の銀行口座に700万円が振り込まれてくるのである。
その後、6ヶ月ほどすると書店から本が返品されてき、返品率が20%ならば取次は出版社に仮払い700万円の20%となる140万円を余分に支払っていることになるので、本来ならば返済が必要となる。
この構図を金融取引として考えると、出版社は取次から前払いを受けた上に、140万円を無利子で借りて資金繰りに充てていることになり、銀行融資に比べて法外に有利な取引である。
こうした有利な慣行が続いているのは、取次が非上場企業で、株式の大半を大手出版社が保有しているからである。
この慣行が理不尽なものであっても、取次は株主の意向に逆らって慣行を変更することが許されない。
しかし、こうした取次に不利な取引条件を、全ての出版社に認めていては取次は経営破綻してしまうので、新たに契約を結ぶ出版社は、仮払率が引き下げられ、支払期日も先伸ばされていく。
更に「歩戻し」といって、予想される返品分を仮払いから差し引くという事も始まっている。
このように、出版流通では、老舗出版社と新興出版社で取次の取引条件に大きな格差がある。
これは出版社の業績によって決まるのではなく、当初の契約が既得権となっている。
出版業界は、再販制度によって国家の保護下に競争が制限されている。

2017年9月5日火曜日

退職金という制度は、企業会計の中では無視同然の扱いをされている。
本来、退職金制度を持っている会社は、将来絶対に払わねばならない債務のはずなのに、これを経費として積み立てる事が認められていないからである。
退職金の積立ができないので、会社としては、退職者が出た年に全ての退職金を人件費としと処理せねばならない。
年配の社員を多くかかえる会社は、多額の簿外債務を抱えているのと同じ事になっている。
平成10年の税制改正以前は、退職給与引当金という制度があり、不十分ながらも退職金を積み立てておく事が認められていた。
この税制改正以後、退職金制度を廃止する会社が増えている。

2017年9月4日月曜日

2017年9月3日日曜日

悪魔について論じた本は日本ではオカルト系に分類される事が多く、書店でもスピリチャルのコーナーに置いていたりする。
歴史的な裏付けがきちんとなされていて、日本語で読めるのは、カリフォルニア大学サンタバーバラ校の歴史学教授であり、哲学博士でもあるジェフリー・バートン・ラッセルが書いた一連の著作になる。
『悪魔』『サタン』『ルシファー』『メフィストフェレス』の悪魔四部作は、悪魔論に関してはこれを超える作品は今の所存在しない。
ただ、悪魔についてのきちんとした研究書ではあるが、途中でラッセル自身の考えが変わってきたり、細かなところで実証に用いた文献が変わったりしているので、一般向けでは無い。
そこで、ぜひ参照したいのが、ラッセルが「悪魔四部作」の簡約版として著した『悪魔の系譜』である。
神学をよく理解している人によつまて翻訳さらた四巻本を参照した上で訳されており、悪魔論を考えるならば、この本は必読となる。
聖書は古代の書物だが常に現実に影響を与えている。
ドナルド・トランプ大統領は、就任演説において、旧約聖書詩編133編の一部を引用し、キリスト教徒だけではなく、ユダヤ教徒であるイスラエルと、全世界のユダヤ人たちに向けて、「私はあなた方と価値観を共有している」というメッセージを発している。
金融資産1億円以上の層の完全会員制プレミアム・プライベートクラブ「YUCASEE」にこんなデータがあるという。
東京大学卒業者のうち0.0013%が現金で1億円以上を所有している超富裕層というものである。
ちなみに2015年のグローバル・ウェルス・レポートでは、超富裕層は199万人のうち東京大学卒業者は15万人しかいない。
この東京大学卒業者で、かつ超富裕層の人々に、超富裕層になるなと東京大学に合格するのは、どちらがより困難かという質問をしたところ、58%が「超富裕層になること」と回答し、「東大入学の方が困難」と答えたのは17%だったという調査結果を、開示している。
野村総研の調査によると、2015年に1億円以上の金融資産を所有している世帯数は、2001年に比べて40万世帯も増えているという。

2017年9月2日土曜日

クレジットカードには、コールド、プラチナを超える社会的評価最上級のカードとして、ブラックカードがある。
誰にでも発行してくれる訳ではなく、年収をはじめ、一定の社会的評価が求められる。
さらにその上には、JPモルガン発行のパラジウムカードというのが存在する。
これは米国金融大手のJPモルガンのプライベートバンク会員が条件で、年会費は6000ドル。
ちなみにブラックカードの年会費は3000ドル程度である。
中国の胡潤研究所の発表によると、330億円以上の資産を持つ2千人のうち、半数は高い学力を有していないという。
富裕層という立場を理解するためには、社会的に自分がどの位置にいるかではなく、どれほどの自由を手に入れたのかだけに価値があることを、理解する必要がある。