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2018年2月3日土曜日

日露戦争は第一次世界大戦の前哨戦でもあり、人類が初めて経験した大量殺戮が起き得る戦争だった。
そこでカギになった兵器が機関銃で、イギリスのマキシムという会社が主に供給していた。
弾送りの原理を発明したために、それまでに考えられない速さで連射できる銃として機関銃が生まれた。
この機関銃の技術は、ホチキスやミシンとして、現在の日常生活でも応用されている。
『作戦要務令』は1938年に旧日本陸軍の円熟期に作られたマニュアルで、外国から輸入したものを自分たちで相当に消化して最終的に使えるようにしている。
旧日本陸軍は様々なマニュアルを残したが、その中でも『作戦要務令』は日本の組織文化というものをよく踏まえていて、どのように実際の軍隊の部隊を動かしていくかが書かれているので、現在でも使えるマニュアルである。
旧日本陸軍には陸軍大学を出た後に作戦参謀になるような超エリート養成のためのマニュアルである『統帥綱領』と、中堅将校を養成すためのマニュアル『作戦要務令』があった。
様々な企業の不祥事が相次いでいるが、経営者らが直接改ざんを指示したという文書はまず出てこない。
経営トップは「チャレンジ」「工夫しろ」と、それ自体は違法ではない指示を出すからである。
この「うまくやれ」の組織文化は『作戦要務令』を貫く独断専行の発想に基づいている。
日本企業で出世をしていく人間というのは、この『作戦要務令』に書かれている条件を基本的に満たしている人である。
独断専行を認めている上司だし、ほめることができる上司だし、部下に責任をかぶせても、それが可視化されないようにすることができる上司である。
ゴリゴリやるような人間が案外上にいかないのは、このマニュアルを見るとよく分かる。
まだ中間管理職なのに『統帥綱領』だけ読んでしまっているような人はガッつき過ぎていて、逆に出世できないのである。
『作戦要務令』を読んでおけば、企業の組織論理が分かるし、ブラック企業対策もできる。
また上司をどういうふうにして操るか、あるいは部下にどうやってやる気を出させるか、そういった悪知恵を身につけることもできる。
ちなみに、戦前は『作戦要務令』をきちんと運用できるかどうかが軍の中での出世につながったので、戦前・戦中に参考書や問題集が山ほど出ている。