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2016年10月11日火曜日

厚生労働省が2015年11月に公表した「平成26年就業形態の多様化に関する総合実態調査」によると、全労働者に占める非正規労働者の割合は4割となっている。
また、総務省の労働力調査をベースに厚労省が作成した「非正規雇用の現状と課題」によると、バブル期に2割だった非正規雇用労働者の割合は、バブル崩壊と1996年の派遣法改正を期に急増していることが分かる。
中でも35歳~54歳は働き盛りであるにもかかわらず非正規労働者が年々増加を続け、2015年には780万人となっている。
一方で、非正規労働者は78.2%が月収20万円未満で、10万円未満も36.7%となっている。
社会保障制度の適用割合も、雇用保険67.7%、健康保険54.7%、厚生年金52%、賞与支給31%、退職金9.6%と労働条件は極めて悪い。
2015年12月に日本財団が発表した「子どもの貧困の社会的損失推計」というレポートがある。
レポートでは、今の日本の子どもの貧困を放置した場合と、しかるべき対策をした場合、それぞれ将来的にどういう経済的影響があるかを推計している。
現在、日本では高等教育への進学率が8割(大学50%、専門学校30%)だが、貧困層になると3割しか大学・専門学校に進学できていない。
しかし、貧困層の進学率を全体の進学率並みになるまで、進学支援をすることで、結果的に社会全体の生産性を高め、2.9兆円の経済効果があるという。
さらにその分の社会保障の支出が減るので、国の財政負担が1.1兆円分軽くなり、合計で4兆円が経済的にプラスになるという。
また、これは現在15歳の若年貧困層(120万人)のみを対象にしての試算なので、15歳に限らず18歳までの全ての子供の貧困対策を行えば、もの凄い経済効果があることになる。
つまり、日本には貧困対策をすることで、まだまだ経済のバイを増やす余地があるのである。

日本では、特別会計も含めれば社会保障費のうち100兆円が高齢者福祉に費やされている。
ところが、その同じ日本で、預貯金が毎年30兆円ずつ増加しているという現実もある。
年金を貰っても使わない高齢者が多く存在するという一面も預金増加の理由となっている。
日本では若者を中心にワーキングプアが定着しているが、韓国の若者も状況は酷い。
2010年以降、恋愛・結婚・出産を諦めた「3放世代」という言葉が流行ったが、最近は諦めの対称に、マイホーム・人間関係を加えた「5放世代」、さらに夢・希望まで追加した「7放世代」という言葉まで出てきている。
欧米先進国では生活保護の捕捉率は8割から9割なのに対して、日本では本来だったら生活保護を受けられるはずなのに、役所の「水際作戦」で追い返されるなどもあり、受給できていない人が非常に多く、日本の捕捉率は2割程度となっている。
しかし、2割しか受けていない現在でさえ、国庫で3兆円くらい使っているのに、残りの8割が全員、生活保護を受給したら20兆円必要となり、財政はパンクしてしまう。
「差別はよくない」と主張する人達は、同時に「外国人や弱者を守るべきだ」とも主張するが、弱者を救うにしても多文化共生を進めるにしても、結局はお金がかかる。
リベラルが力を弱めてしまったのは正にそこにあり、リベラル的な政策は大きな予算を要求するが、国家予算のパイは限られてきている。
つまり財源を無視して、弱者にやさしくする主張が顧みられにくくなっている。
団塊ジュニア世代が直面しつつある問題に「2015年問題」がある。
団塊ジュニア世代(1971年~1974年生まれ)の親である団塊世代(1947年~1949年生まれ)が、このタイミングでついて全員が75歳以上の「後期高齢者」になり、「親の介護問題」が発生するのである。
第一次ベビーブーム世代が生まれた時の出生数は毎年260万人を超えており、この世代が全員75歳以上になるのである。
高齢者間の経済格差は非常に大きくが、全体としては高齢者の貧困は改善傾向にある。
一方で30歳~49歳の貧困率、50~64歳の貧困率は悪化している。
つまり、現役世代の方が高齢者よりも経済的に辛い状況になりつつある。
      2000年   2012年
30歳未満  27.8%   27.8%
30~49歳  11.8%   14.4%
50~64歳  12.9%   14.2%
65歳以上  20.9%   18.0%
全体    15.3%   16.1%
厚生労働省「相対的貧困率に関する調査分析結果」(2015年12月)