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2017年7月31日月曜日

イギリスは北海油田の発見によって、1980年に油石輸出国となり、その後の10年間で2500億ドルの相当の大金を手に入れた。
その資金を何に使ったのかは諸説あるが、確実なのはお金を使って消費してしまったということである。
一方、イギリスと同様に石油の発見で、大金を入れたノルウェーは、基金を設立して収入の大半を運用に回した。
現在、その価値は7200億ドルにも達し、世界でも最大級の政府系ファンドとなっている。
毎年アカデミー賞の季節になると、世界中で作品賞の予想で盛り上がるが、作品賞の陰に隠れて、目立たない「アカデミー編集賞」というものがある。
1981年以来、作品賞をとった作品はほぼ例外なく編集賞にもノミネートされている。
実際に、編集賞と両方ノミネートされている場合、3分の2は作品賞を獲得している。
アカデミー賞の歴史の中で最も尊敬されている編集技師は、マイケル・カーンという人物である。
彼が手掛けた映画は、『レイダーズ/失われたアーク』『プライベート・ライアン』「シンドラーのリスト』など数々の超有名作品を編集している。
スティーブン・スピルバーグの監督作品は殆ど全てカーンが編集している。
それなのにカーンの名前を知っている人は少ない。
編集の仕事が「目に見えないアート」と呼ばれる所以である。
ノーベル賞を受賞した心理学者のダニエル・カーネマンが、いったん所有してしまうと失うのが怖い「授かり効果」に関する実験をしている。
カーネマンは、ランダムに選んだ被験者の半数にマグカップを与え、残りの半数には与えなかった。
マグカップを貰った所有しているグループには「いくら払えばそのマグカップを手放すか?」と質問し、残りの所有しないグループには「そのマグカップを手に入れるのにいくら払うか」と質問した。
その結果、所有するグループが最低でも5ドル25セントだったのに対して、所有しなかグループの答は2ドル25セント~2ドル75セントに留まった。
所有しているという理由だけで、何の変哲もないマグカップの価値が3ドル分も高く感じられるのである。
人は何の訳に立つ訳でもないのに、所有しているという理由だけで、失うのがもったいないと感じてしまう。

2017年7月29日土曜日

全部やろうととするうちに、私達は知らず知らず何かを失っている。
自分の時間とエネルギーを何処に注ぐかを決められずにいるうちに、誰がが私達のやるべき事を決めてしまう。
そして思考停止に陥り、自分にとって何が大事なのか分からなくなる。
自分で選べない人は、他人の言いなりになるしかない。
自分に正直に生きるというのは、単にわがままになることでは無い。
不要な事を的確に見定め、排除していくことだ。
その為には、無意味な雑用を断るだけでなく、魅力的なチャンスを切り捨てる事も必要になる。
やる事を減らし、人生をシンプルにして、本当に重要な事だけに集中するのである。
ジム・コリンズは、著書『ビジョナリーカンパニー』で、成功した企業がいかにして衰退するかを分析した。
成功した企業が失敗する理由は、多くを求めすぎて規律なき拡大路線に陥ってしまうからだという。
これは個人にも当てはまる。
成功を経験した人は何でもやろうとしすぎて、そもそも何をやっていたかを忘れてしまう。
優秀な人ほど成功のパラドッグスに陥りやすい。
第1段階
目標をしっかり見定め、成功へと一直線に進んで行く。
第2段階
成功した結果、頼れる人という評判を得る。「あの人に任せておけば大丈夫」と言われ、どんどん多様な仕事を振られるようになる。
第3段階
やる事が増えすぎて、時間とエネルギーがどんどん拡散されて行き、疲れるばかりで全てが中途半端になる。
第4段階
本当にやるべき事ができなくなる。
成功したせいで、自分を成功に導いてくれた方向性を見失ってしまう。
何とも奇妙な話で、成功を求める事によって、人は失敗してしまうのである。
書くことは人の仕事だが、編集は神の仕事だ。
by スティーブン・キング
決断(decision)という言葉の語源は、ラテン語で「切る」「殺す」という意味である。
余分な選択肢を断ち切れば、すんなりと決断できるという事だ。
ある調査によると年収800万円を超えると幸福度のカーブは上昇しなくなるという。
大卒サラリーマンの生涯年収は、3億〜4億円と言われている。
共働き世帯の生涯年収が6億円として、その15%を貯蓄していれば、それだけで9千万円になる。
これを年1〜2%で運用できれば、退職までに金融資産運用は1億円を超えることになる。
億万長者は、意外と現実的な目標なのである。
仕事を通じて富と幸福を生み出す手段を「人的資本」、家族な仲間との絆によって幸福がもたらされる関係性を「社会的資本」という。
金融資本、人的資本、社会資本の3つの資本は、幸福な人生を構築する重要なインフラとなる。
首都圏でマンション開発を含む大規模プロジェクトが発表されている。
中でも海浜幕張駅が最寄りの「幕張ベイタワーズプロジェクト」は、開発総面積で1995年以降首都圏で販売された分譲マンションで最大規模となる17万5809平米に、10年かけて4500万戸の住宅を建設し、1万人が暮らすオフィス・商業複合機能を備えた街を開発するという。
首都圏最大規模であり、全米一住みたい街のポートランドをモデルにした、新しい豊かさを実現する街づくりを目標にしているという。

2017年7月28日金曜日

英語のschoolという単語は、ギリシャ語で「楽しみ」を意味する言葉から生まれたという。
それなのに現代の学校は、学びから楽しみを奪ってしまっている。
学校は創造性を殺している。
あらゆる偉業は、創造力から生まれる。

2017年7月27日木曜日

金融情報誌『マネー』によると、1972年にタイムスリップして、S&P500の全社に1ドルずつ投資したとすると、その後の30年間で最も多くの収益をもたらしてくれたのは、格安航空会社のサウスウェスト航空だったという。
教えて下さい、あなたは何をするのですか
その激しくかけがえのない一度きりの人生で
by メアリー・オリバー (アメリカの詩人)

2017年7月26日水曜日

準備というのは、言い訳の材料となり得るものを排除していく、そのために考え得るすべてのことをこなしていく。
by イチロー(プロ野球選手)

2017年7月25日火曜日

現代文はすべての科目に必要な言語処理能力、論理力、記述・論述力を強化するためのものである。
by 出口汪(予備校講師)
人生のすべては、時間の利用の仕方次第で決まる。
by アーノルド・ベネット(作家)

2017年7月24日月曜日

人間を賢くし人間を偉大にするものは、過去の経験ではなく、未来に対する期待である。
なぜならば、期待を持つ人間は、何歳になっても勉強するからである。
by ジョージ・バーナード・ショー(評論家)
真の無知とは、知識の欠如ではない。
学習の拒絶である。
by カール・ポパー(哲学者)
石原慎太郎は、田中角栄・大平正芳ラインが進めた日中平和有効条約に、過去一度だけ賛成をしている。
右翼なのに台湾を無視して共産主義国家の中華人民共和国を認めたのである。
衆議院では、最初に外務委員会で審議するのだが、石原慎太郎は起立して賛成し、本会議では棄権した。
本会議で反対したのはハマコーこと浜田幸一と中山正暉、林大幹という青嵐会のお歴々三人だけだった。
だからハマコーは、慎太郎のその点だけは許せない、といつも怒っていたという。
ミサワホームの創業者である三澤千代治は、学生時代に病弱で、日本大学建築学科4年生の時にも結核で胸をやられて長期入院していたという。
毎日、病室の天井ばかり見上げていたのだが、そのうち梁を使わない家は造れないのか、と考えるようになった。
そうして、木と木をつける木質パネル接着方法を発明し、ミサワホームは「糊づけ家」と言われるようになった。

2017年7月23日日曜日

富裕層の有職女性の消費力は高いが、働いているが故に暇がない。
カルチャースタディーズ研究所の調査(富裕層調査2006)によると、週1回以上、百貨店で買い物をする人は有職女性では18.2%なのに対して、有閑マダムは26.2%だという。
昼間から銀座でブラブラしている人は、無職の有閑マダムである。
よく利用する百貨店は、有閑マダムは年齢が高いこともあり三越となるが、有職女性は伊勢丹が多い。
伊勢丹の好調要因は消費力の高い有職女性を引き付けたことにあるのかもしれない。
六本木ヒルズや表参道ヒルズは、話題性はあるが、実際に富裕層女性に使われておらず、特に表参道ヒルズはダメである。

2017年7月21日金曜日

様々な調査によると富裕層は、忙しく働いているので、頻繁には余暇を取れてないようである。
落語の小噺にこんなのがある。
ぐうたら毎日寝て暮らしている男に、金持ちが言う。
お金持ち「お前さん、もっとちゃんと働きなさい」
ぐうたら男「働くと、どんな良いことがあるんですか?」
お金持ち「働けばお金が貯まる」
ぐうたら男「お金が貯まると、どんな良いことがあるんです?」
お金持ち「毎日寝て暮らせる」
ぐうたら男「じゃあ今と同じです」
まさに現代の上流富裕層と下流層にぴったり当てはまる。
そんなにガツガツ働かなくても、そこそこ豊かな暮らしができる時代に、私生活を犠牲にしてまで働くインセンティブを若者に与えることは難しい。
現代に笑いが少ないのは、失敗してはいけないんだということを、子供の時から教えられているからじゃないでしょうか。
失敗して当たり前というふうに育っていかないと笑えないですよ。
by 杉浦日向子 (江戸風俗研究家)

2017年7月20日木曜日

戦時中に満州に行った青年たちの中に、小澤開作がいる。
満州青年聯盟や満州国協和会の血清に関わる人物である。
1935年に満州の奉天市で生まれた開作の三男が指揮者の小澤征爾である。
開作が親交のあった板垣征四郎の「征」と石原莞爾の「爾」の字を取って「征爾」と名付けられたのである。
2011年3月11日に東日本大震災が起こった後、6月28日に東京電力の株主総会が行われた。
午前10時から始まって、午後4時まで休みなく、6時間ぶっ続けで行われた。
議長を務めたのが71歳だった勝俣恒久会長だった。
株主からは休憩動議が出たが却下された。
株主総会が伸びると大変なことになるからだった。
一日延びたら議案書を再度刷り直して、再招集しなければならない。
東京電力の檀上の役員全員が紙おむつを穿いていたという。
それだけの覚悟で、全役員が臨んだのいうわけである。
紙おむつを強制されることに疑問を持って、「途中で退席したい」と言おうものなら、東京電力の役員は務まらないのである。
日立グループには、百年近い歴史を有する「自衛消防隊」があり、3つのアカを消すという。
1つ目は思想的アカを消し、2つ目は赤字を消し、3つ目は本当の火を消すのだという。
日本全国で村がかなり残っているのは福島県と長野県である。
佐藤栄佐久が福島県知事であり、田中康夫が長野県知事だった時に、国は目の前に合併特例債というニンジンをぶら下げた。
この「合併したら優遇する」という合併特例債に地方自治体の首長は群がっていった。
東日本大震災では、合併して行政区画が大きくなった自治体ほど、被災状況の把握が遅れたという。
平成の大合併によって、大きくなったために住民の状況把握が遅れたのである。
把握できない以上、当然、救援物資が届くのも遅れた。
中江兆民の本名は中江篤介という。
兆民は号であり、「億兆の民」という意味であり、「平民」であるという意味だった。
つまり「民に寄り添う」という人だった。
田中正造は、足尾銅山鉱毒事件で政府要人と結託した古河財閥を攻撃し続けた。
古河財閥の領袖、古河市兵衛の義理の息子は陸奥宗光だった。
田中正造が天皇に直訴した1901年に、古河市兵衛の妻であるタメは、田中の演説を聞いて、自分の旦那がこんな酷い事ことをしていたのかとショックを受けて、東京神田橋から入水自殺している。
古河財閥系の企業で、現在も残っているは、古河鉱業、富士電機、富士通、日本軽金属、横浜ゴム、朝日生命などがある。
ちなみに、富士電機や富士通の「富士」の名称の由来は、古河がドイツのジーメンスと技術提携した際に、古河の「フ」とジーメンスの「ジ」を組み合わせた商標である。
「国家の言いなりにならない」という意思を表すのに、手っ取り早いのは「勲章の拒否」である。
勲章は、例えば銀行の経営者は財務省に申請し、電力会社の経営者は経済産業省に申請する。
学校の先生は文部科学省に申請する。
そこで霞が関が審査して、勲章をランク付けが決められるのである。
その結果、勲章を貰いたいエライ人達は、霞が関にモノが言えなくなるのである。
松永安左エ門とその弟子、木川田一隆は叙勲を拒否した。
木川田の弟子、平岩外四は経団連会長に就任し、勲一等旭日大綬章を貰らってしまった。
ちなみに、それより上の勲一等旭日桐花大綬章を受賞したのが、「三本指の首相」で有名になった宇野宗佑である。
東海大学を創立した松前重義は、戦前、逓信省公務局長だったが、アメリカに技術力で遠く及ばないと悟り、中野正剛とともに東條内閣打倒を画策し、その結果、二等兵として南方戦線に送られた経歴を持つ。
親ソ派の社会党衆議院議員でもあり、江田三郎の離党をバックアップしたとも言われている。
田中角栄が凄いのは、心配りである。
角栄が先方に呼ばれて運転手付きの車が迎えに来た時に、角栄は必ずその運転手に心付けを渡したという。
早坂茂三に対し、角栄から問いかけがあった。
「お前なら、どう渡す? いつ渡す?」
早坂が、「乗った時に後ろから渡せばよいでしょう」と答えると、角栄は「バカ!」と即答し、「それじゃあ俺が見てるたろう。そうじゃないんだ」と言った。
車が先方に着くと、まず角栄が降りて視線は角栄に集まる。
運転手がドアを開けて、角栄が下りる。
角栄が歩いて行ったら視線は、みんなそっちに行く。
残されたのは早坂と運転手だけになる。
「その時にスッと手元に渡すんだ、受け取る方もお金だと、屈折するものがある。その屈折をなるべく少なくする形で渡すんだ」
心付けを渡す際の、この過剰とも思える気遣いに対して、感心するほかない。
こういった心付けを拒否する人がいる。
そういった人に角栄はこう続けたという。
「君にやるんじゃないんだ。君が部下と飲む時にな」
これで、受け取り易くなるという。
これは塾や学校で教わることはできない一つの知恵である。
徳間康快が映画『敦煌』を日中合作で制作したのは1988年だったが、部下からカネがかかりすぎて元が取れないと止められたという。
その時に徳間は
「中国から儲けちゃいかん。日本人はさんざん悪い事をとんだから」
「心配するな。カネは銀行にいくらでもある」
「借金取りは墓場までは来ない」
という名ゼリフを吐くという、実に人間のスケールが大きい人だった。
徳間書店の創業者・徳間康快は破天荒な人だった。
凄まじいエビソードがある。
戦後の音楽プロデ―サーとして代表的人物の一人に長田暁二という人がいた。
キングレコードの童謡担当ディレクターを振り出しに、流行歌から民謡、クラシックまで何でも手掛け、その後ポリドールの学芸部長を経て、徳間音楽工業の常務へ徳間からヘッドハンティングされた。
1981年の夏のある日、長田は徳間に呼ばれたところ、喪服が用意されており、「これを着て神戸まで新幹線で行ってこい」と言われた。
山口組三代目組長の田岡一雄の葬儀に代理出席してこい、という話だった。
さすがにヤクザのイベントに徳間本人は行けないが、徳間は田岡への思いがあった。
そして「これを持っていけ」と徳間から封筒を渡され、新幹線で新姫路駅から車で葬儀場まで行き、受付で封筒を差し出した。
中には1億円の小切手が入っていたという。
香典1億円のお陰で、長田の席は最上席となった。
隣が美空ひばりで、その隣が鶴田浩二、田端義夫、高倉健と並んでいた。
徳間書店から「アサヒ芸能」という週刊誌が出ているが、ヤクザの業界内雑誌のような性格も有している。
ヤクザから、「アサヒ芸能」編集部に電話で「今度、俺は若頭取補佐になれるだろうか」という情報確認もあり、編集部の方が組の事情に詳しかったりするという。
だから徳間としては、「儲けさせてもらいました」という、ある種のお返しの1億円だったのであろう。
政権交代が容易であり、二大政党制にとって都合のよい「小選挙区制」は1つの選挙区から1人の議員を選出する一人区制である。
51%の票を取った人が当選し、49%では落選してしまう。
つまり、49%の票は切り捨てされてしまう制度なのである。
さらに問題なのは、60%を取った人が当選し、40%を取った人が落選した場合、その時の投票率が50%だったら、全体の30%しか票を取っていない人が、全体の100%の支持を得たような顔をするというのが、小選挙区制度なのである。
昔からファシズム元区だといわれてきた選挙スタイルなのである。
1991年1月から2月にかけて、青森県知事選挙が行われた。
青森には六ケ所村があるから、原発推進派と反対派、そしていつの時代にも一時凍結派がいる。
一時凍結派が、当時はまだ現役のプロレスラーであり参議院議員だったアントニオ猪木に、150万円を出して応援演説に来てもらおうとした。
それを聞いた原発推進派は焦り、支援団体で電力会社の集まりである「電気事業連合会(電事連)」に相談し、アントニオ猪木に「推進派の応援に来てくれ」と依頼した。
するとアントニオ猪木は、「分かった」と言って、慌てて150万円を一時凍結派に返し、推進派の応援に駆け付けたという。
推進派から貰った金額は150万円より高いのは想像できる。
驚くのが、猪木が推進派から実際に貰ったのは1億円だったという。
アントニオ猪木の公設第一秘書をしていた佐藤久美子が著書『議員秘書、捨身の告白』(講談社)に、このエビソードについてしっかりと書いている。
ジャーナリストだった石橋湛山は、「東洋経済」(1922年2月11日号)に、『山形有朋という巨悪-生ける老害が死んだ時、「死もまた社会奉仕」』という記事を書いている。
保利茂は、官房長官や自民党幹事長を務め、大番頭として佐藤栄作の長期政権を支えた。
ニクソン大統領時代に、日本はアメリカと中国は敵対していると思い込んでいたが、アメリカが日本の頭越しに中後区と友好関係を築いてしまった。
日本はシヨックを受けたが、巻き返しを図ったのが保利茂だった。
保利茂は佐藤栄作の大番頭だったが、本当の大番頭は親分の言う通りに動くわけではない。
保利は中国の周恩来首相に「保利書簡」を送ろうと考えたが、中国は「佐藤反動政権」と批判している状況なので、正規ルートで手紙が届く訳がなかった。
そこで保利は、当時の東京都知事でった美濃部亮吉が中国を公式訪問するという話を聞きつけ、ツテをたどって書簡を美濃部に托したという。(1971年11月10日のことだった)
周恩来に届いた「保利書簡」には、「北京政府が中国の合法的政府であり、台湾は中国国民の領土だとの認識に立って、政府間交渉の道を開きたい」と書かれていた。
つまり、日本は中国を正統な政権だと認め、台湾を切り捨てる方向に舵を切る事を認めたのである。
表向きには、周恩来は非公式なものであると、この「保利書簡」をはじいた素振りをするが、この書簡は後に田中角栄がアメリカの先手を打って日中国交正常化(1972年9月29日)を果たす布石となる。
このエピソードが凄いのは、保利が美濃部に手紙を渡し、「保守反動政権」の保利の手紙を持って、美濃部が中国に渡ったという、両者の知恵である。
1971年に二期目の都知事選挙で、美濃部は「ストップ・ザ・佐藤」というスローガンを掲げて当選しているが、その佐藤の大番頭の保利の手紙を仲介しているのである。
保利は「私の手紙を持って行くことによって、あなたが困った立場になりませんか」と美濃部本人に確認したという。
すると美濃部は、「自分は非難されるかもしれませんが、日本が中国と国交を結ぶということは、立場の違いを超えて大事だと思います」と答えたという。
この二人の政治家は、ともに二枚腰、三枚腰の懐の深さを持っていた。

2017年7月18日火曜日

事業の進歩発展にもっとも害をなすものは、青年の過失ではなくて老人の跋扈である。
by 伊庭貞剛 (住友財閥二代目総理事)
ここ5年くらい前の2012年頃から不動産の郊外マーケットは崩壊しつつある。
まず、供給される物件数が減っており、首都圏において、市場が最も脆弱な千葉県では、東京からみて千葉市より以遠で、新築マンションはほぼ供給されていない。
埼玉県だと大宮より以遠で、極端に供給が減っている。
大阪高検の公安部長だった三井環氏が、告発した検察の裏金作りのカラクリは、①地検の場合なら検事正の指示で事務局長が「潜伏中の過激派に関する情報収集」などの名目をでって上げ、架空の「情報提供者」に対する領収書を作成する(1回につき3万円から5万円程度)、②架空の情報提供者に支払ったことにしてプールし、その殆どは検事長、検事正の飲食やゴルフ代、最高検や法務省の幹部に対する接待費に充てられていた。
この裏金作りは、起源は不明だが、少なくとも内部告発文書が出回る1999年までは行われており、年間で約6億円に上っていたとされる。
検察統計年報によると、第一審の無罪判決が覆されて有座右となった者は、検察官が無罪判決を不服として控訴して40人のうち32人だった。
検察官が控訴した事件の逆転有罪率は、ものすごく高い。
2009年にスタートした裁判員制度について、裁判員が量刑判断を行うことに危機感を感じる。
アメリカの陪審員制度は有罪か無罪かの判断だけだが、日本の裁判員裁判は量刑判断にも関与する。
証人に対する評価を「市民感覚」で判断するところまでは良いとして、量刑を「市民感覚」で判断して良いのかという点は微妙である。
前提として、最近の刑事裁判全般の傾向として、罪名は軽くして量刑を増やしていることが問題となっている。
例えば、殺人罪(死刑又は無期若しくは5年以上の懲役)ではなく、障害致死罪(3年以上の有期懲役)を適用するけれども、懲役は殺人罪並みにするなどのケースが実際に起こっている。
有罪であれば、誰もが被害者に同情する。
裁判長から量刑について説明を受けたとしても、相場は分からない。
分からなければ、どうしても「被害者感情を考えるとできるだけ思い方がよい」となってしまう。
被告人にとっては、罪名よりも量刑の方が重要であり、罪名は軽くても懲役の期間が長ければ意味はない。
裁判員裁判で、適正な量刑を決めるのは難しい。
橋本徹・大阪市長の沖縄の基地をめぐり、海兵隊員たちの性欲を解消させるために風俗の活用を提案した発言は衝撃だった。
そもそも慰安婦問題への言及から始まった発だが、これは基本的に歴史認識の話だった。
これに対して、沖縄に関する橋本氏の発言は、普天間基地をめぐる現在進行形の問題を扱っている。
要するに、性犯罪を防止するためには、風俗を使えという話であり、沖縄の住民が性犯罪の被害に遭いたくなければ、風俗、つまり現代版の「慰安所」をつくれ、という論理である。
これは沖縄における米軍基地の過重負担の解消とは真逆の発想であり、沖縄に対する構造化された差別を固定・拡大するものである。
検察官は難関の司法試験に受かっているから、自分はエリートで自分達が国家の支配者だという思い込みを持っているという。
しかし、実は大したエリートではない。
司法試験合格者は、大まかに4つの層に分かれる。
一番のトップは裁判官になり、次の層はトップクラスの弁護士。
三番目の層が検察官、そして四番目が普通の弁護士になる。
司法研修性の聖蹟から見ると、検察官は3番目のクラスでしかないが、プラス度は高い。
そんな彼らと普通の国家公務員を比べると面白い違いがある。
要領のいいヤツは、検察官にはならずに、国家公務員になる。
司法試験というのは覚えないといけない事がもの凄く多いが、国家公務員のキャリア試験ならその3分の1程度、ノンキャリア試験だと6分の1で済む。
国家公務員試験は受験勉強期間は2年で瞬発力が必要となるので、限られた時間の中でどけだけできるかと言う能力が試される。
国家公務員は、その意味において、裁判官や検察官と比べて、はしっこくてズルい。
民主党の政治家に共通したことであるが、彼らは他の政治家を褒めない。
自分のライバルの政治家が失敗したという話を聞くと、本当に嬉しそうに語る。
反対に成功したという話をすると地獄の底を見たような顔をする。
この傾向は、最近の自民党の若手政治家にも当てはまり、私情を抑えることができず、非常に自己中心的になっている。
政治とカネの問題に関して、政治家が自ら政治資金を集めるのではなく、国から支払われる歳費のみら依存しているのは危険である。
歳費も政党助成金もその原資き国民から集めた税金である。
税金で政治家が自信の生活と政治活動を行うということは、この政治家は国家に完全に依拠することになってしまい、おのずと「親方日の丸」という意識が進んでしまう。
かつての自民党の政治家は1000万円は持って行かなくては話を聞いてくれなかったが、今では10万円でも頼みを聞いてくれるようになったしまった。
旧来の政治が持っていた再分配につきまとうカネとは明らかに質的な変化がある。
ハニートラップというのは、作家のル・カレが小説の中で作った彼の造語であり、ある種、神話のレベルの話だという。
確かにハ二―トラップが実際に使われる場合もある。
それは基本的に、困った状況に陥った者を助けてあげることから始まる。
人為的に対象者を困難な状況に陥れ、それを甘い言葉で別の者が助けるというマッチポンプを仕掛けるというものである。

2017年7月17日月曜日

議員運営委員長というのは、国会の中で議長、副議長に次ぐポストであり、国会に部屋がある。
委員会の中でも最右翼のポストで、自民党で議運委員長は出世コースとなる。
保利茂、金丸信、海部俊樹、森喜朗、三塚博らが就いている。
他にも自民党で将来名を成す政治家のコースには、内閣官房副長官を経験するか、党の総会局長をするかというのがポイントとなる。
総務局長で頭角を現したのは、野中広務、古賀誠、谷垣禎一である。
そして、この両方のポストを経験したのは、小沢一郎と鈴木宗男の二人だけである。
政府や官邸という権力の表と裏を見ることができるポストが内閣副官房長官となる。
内閣総理大臣が知る話で、霞が関から上がってくるものは全て、官房副長官を通り、報償金(機密費)も一部扱える。
一方、自民党の総務局長は、衆議院、参議院の選挙に関して全ての候補者の割り振りをするポストであり、後任するかしないかは、まず総務局長が判断し、選挙費用の割り振りも決定する。
立候補する政治家の身体検査もし、どんなスキャンダルを抱えているかについても把握する立場となる。
また、時には自民党に敵対する勢力の信用失墜のための裏工作などの汚れ仕事も加わり、非常に権力が集中するポジションとなる。
政治事件とか刑事事件で被疑者の自由を剥奪して長期勾留している例は、日本以外の先進国では珍しい。
また、自由刑でも先進国では禁錮が主流であり、懲役は珍しい。
懲役とは、つまり強制労働であり、奴隷労働である。
鈴木宗男氏はトータル365日で3万3000円支払われたので、日給で換算すると90円程度だった。

2017年7月9日日曜日

住宅ローン審査に通らない人の8割は「個人信用情報の事故歴」が原因である。
ここでいう事故とは、過去の延滞、代位弁済、任意整理、民事再生、自己破産などのことで、延滞のなかでも返済を2~3ヶ月できなかった事実は、個人信用情報のデータに「異動」というステータスでチォェックされ、問題があったと重く見られる。
なお、このような情報は延滞が解消してから、一般的に5~10年後に消去される。
最近多い事故は、携帯電話料金の支払い延滞となっている。
日本国内で個人信用情報を扱あ「指定信用機関」は3つある。
金融機関が会員となっている「全国銀行個人信用情報センター(KSC)」、クレジットカード会社の加盟からなる「CIC」、信販会社・消費者金融ゆ保証協会がお身に加盟する「日本信用情報機構(JICC)」で、いずれも情報は共有されている。
窓口に直接行かなくても、郵送かインターネットで自分の個人信用情報の開示手続きができる。
〇全国銀行個人信用情報センター
⇒開示方法は郵送
〇CIC
⇒開示方法は窓口、郵送、インターネット、携帯電話
〇日本信用情報機構
⇒開示方法は窓口、郵送、携帯電話
日本全国にある住宅ローン商品を効率よく調べるのに便利なサイトがある。

一般社団法人住宅金融普及協会が運営するサイトのコンテンツ「住宅ローン商品 金利情報」には、住宅ローンの商品数が最も多く掲載されている。
変動金利の住宅ローンが誕生した1983年から、2017年までの金利変動の幅をみると6.125%以上もある。
変動金利の最大値は1960年の8.5%、変動金利の最小値は2004年の2.375%。
その平均値は3.86%で、標準偏差は1.99%となっている。
ちなみに、固定金利の変動幅は4.6%で、平均値は3.71%、標準偏差は1.43%となっている。
変動金利の標準偏差が1.99%とということは、プラスマイナス1.99%の金利が前後する可能性があると考えねばならない。
つまり、現在の最低水準から少なくとも4%は金利が上昇するリスクシナリオを考えておくのが妥当と、統計学的には判断される。
金融機関は、住宅ローンの返済が滞りなく行われる事を重視するので、世帯内に収入がある人が2人いれば、1人の時よりも借入審査が通りやすくなる。
また、連帯債務の場合、2人の年収を足して審査を受けられるので、借り入れ額も増やすことができる。
夫婦間であれば、将来離婚することになっても、購入した住宅の一部に自分の権利が確保されるので、一方が勝手に処分する事態を防げる。
住宅ローンを借りた後から名義を共有名義に変更しようとすると、単独名義にしてから20年以内に所有権を移動させる(共有名義にする)と、贈与とみなされて贈与税が課税されてしまう。
ただし、婚姻関係が20年以上続いている夫婦ならば、「贈与税の配偶者控除」が適用され、単独債務のまま2110万円まで期課税で贈与が可能となる。
連帯債務の相手の条件は、仕事に就いていて収入がある人で、原則として同居する予定の配偶者、祖父母、両親、子、孫の中から1人となる。
ちなみに、親子で連帯債務にする場合、団体信用生命保険に加入できるのは、満70歳未満で、満80歳の誕生日までしか保障されない
金融機関にとって住宅ローンは、信用リスクが極端に低い手堅い商品となっおり、元金と利息を確実に回収できる優良商品である。
中小企業への貸付と比べると信用リスクは6分の1と低い。
住宅ローンが返済不能に陥る確率は1000分の4。
(日銀発表、2009年)
中小企業への貸付が返済不能に陥る確率は1000分の24.8。
(日本リスクデータ・パンク、「RDB企業デフォルト率2010年11月期」)
住宅ローンを扱っている主なネットバンクの経営指標(2016年)
      貸付残高  預金残高  経常利益  資本金
住信SBI   20,756億円 34,465億円 117億円  310億円
ソニー銀行 13,422億円 19,218億円 60億円    310億円
楽天銀行   4,751億円  15,012億円 157億円  260億円
じぶん銀行  1,304億円  7,470億円  13億円  350億円
セブン銀行   162億円 5,471億円  390億円   305億円
楽天銀行、じぶん銀行、セブン銀行は、住宅ローンを代理店として取り扱っているため、不良債権のリスクは少ない。
住宅ローンの融資を断られる人の8割以上は、他の債務の状況や返済履歴に問題があった人である。
カードローン、フリーローン、キャッシング、消費者金融などから借り入れの合計金額が年収の3分の1以上あると、そそもそも審査の土俵にすら上げてもらえない。
また、借入金やクレジットカードの支払などが、2~3ヶ月以上遅れた、1年以内に延滞をしている、延滞回数が通産で5回を超えているなども断られる可能性が高くなる。
3ヶ月以上の延滞経験があると、その後で完済していても5年間は借入を断られる。
さらに、延滞を解消できず、代位弁済、任意整理、民事再生、自己破産などの手続きが取られた場合は、その後5~10年間は住宅ローンの借入れはできなくなる。
本人に問題がなくても、まれに連帯債務の相手が引っかかるケースもある。
変動金利と全期間固定金利の過去のデータを比較すると、1983年以降は変動金利のほうが高い期間が長い。
それも33年11ヶ月中、20年9ヶ月も長い。
2017年3月時点で、全期間固定金利のフラット35の貴人金利は1.12%、変動金利は2.475%と、現在待全期間固定金利のほうが金利が低い。
住宅ローンには「店頭金利」や「基準金利」という表現があり、実際にはここから割り引かれた「適用金利」というものがある。
民間金融機関の「最優遇金利」(適用金利)を見ると、変動金利は0.447%となり、この割引の幅によって金利の低さは逆転する。
注意が必要なのは、当初の金利は低くても、金利優遇キャンペーン期間が終了して、しばらくすると元の店頭金利に戻る住宅ローン商品が多いという事である。

2017年7月7日金曜日

目標を首尾良く追求するのには自制のスキルが欠かせないが、私たちに方向性や動機付けを与えてくれるのは、目標である。
目標は、人生に対する満足感の重要な決定要素で、人生の初期に選んだ目標は、私たちが達成するのちの目標と、自分の人生について覚える満足感の両方に、驚くほどの影響を与える。
人生の物語を推し進める「目標」は、どのように形作られたかには関係なく、その目標を達成しようとするときに必要な「実行力」に劣らず重要となる。
誘惑に耐え、つらい情動を調整する能力がほかの人よりも優れている人達がいる。
こうした違いが就学前という早い時期から明らかになり、全員ではないにせよ、殆どの人で長年変わることがなく、その違いによって心理的、生物学的にどのような結果がもたらされるのかを障害に渡って十分に予想できる。
意志の力は生まれ持った特性で、十分に持っているか持っていないかのどちらかで、どうにもならないという従来の考え方は間違っている。
認知と情動の両面における自制のスキルは、必要な時にそれを自発的に活性化できるように、身に着けることも高めることも役立てることも可能である。
これを人よりたやすくできる人達がいる。
たとえ生まれつき自制するのが得意あるいは不得意だとしても、私達は自分の自制のスキルを磨くことができるし、子供達がそうするのを助けることもできる。
研究者のトマ・アステブロが、血気盛んなイノベーターが発表した1100近い新発明の運命を調べると、市場まで行き着いたのは、そのうち1割に満たず、しかも市場に出たものの6割が赤字になっていた。
これらのイノベーターの半数は、自分の発明が市場で間違いなく失敗に終わることを予想するネガティブな客観的批評を受けて発明を取り下げたが、残る半数のうち47%の人はそのまま突き進み、当初の損失が倍増した時点でようやく諦めた。
とはいえ、1100の発明のうち、6つが大成功を収め、1400%を超える利益をもたらした。
不屈の楽観主義者がひと山当てようとクジを買い続けるのも、この種の当たれば高額ではあるが極端に確率が低くて予測不能な見返りのせいである。
さらに楽観的な起業家やイノベーターに、次に億万長者になるのは自分だという希望を抱かせれば、何千時間となく働き続けさせることもできる。
〇西武信用金庫の業績(2017年3月期)
貸出金 1兆4470億円(前年比1970億円増) 全国264信金中2位(1位は城南信金)
預金  1兆7490億円(前年比1054億円増) 全国264信金中3位
預貸率  82.87% 信金平均は約50%
不良債権率 1.32%  信金平均は4.8%
当期準利益 61億75百万円
店舗数 75支店
ノーベル経済学賞受賞者で、心理学の分野のダニエル・カーネルマンは、「できると思う!」という楽観主義者が自分の人生や、彼らを他よりとしている人達の人生を台無しにするのが珍しくないという奇妙な事態を紹介する文献を精査した。
その結果、個人あるいは組織が重大な危険を進んで冒すときには必ず、楽観バイアスが一定の割合を果たしている。
危険を冒す人はたいてい、自分が直面する危険の確率を過小評価し、その確率を突き止めるために十分な努力を注ごうとしない、と指摘している。
さらに、楽観主義は今を目一杯生きることを熱望する熱狂的な投資家や精力的で勤勉で勇敢な起業家を生み出すものの、彼らの自信は妄想も育て、危険を軽視して多大な犠牲を払う羽目になる道を彼らに進ませもいるという、強力な証拠を示している。
「自社と同様の企業」が成功する確率を聞かれたアメリカの起業家の3分の1は、自分なら失敗する可能性はゼロだと答えた。
実際にはスタートアップビジネスがアメリカで5年間生き延びる可能性は、35%にすぎない。
楽観的な起業家は、過剰な危険を冒して不合理な賭けをする可能性が高いが、他人ではなく自分の資金を使う時であるのが、せめたもの救いと言える。
拒絶された体験を私達が身体的な苦痛のように感じる時、それはメタファーではなく、傷ついた心や情動的な苦痛は、本当に身体的なかたちで痛いのだという。
胸が張り裂けるうな悲しみをはじめ、拒絶や排除の数知れない形態に対処するのに、痛み止めの服用が役に立つという。
胸が張り裂けるような悲しみを味わったばかりの友人から深夜に寄せられた訴えに対し、つけない回答ではあるが、「アスピリンを2錠飲んで、朝に成ったら電話をしてくれ」というのは、研究にしっかり根差したベストアンサーとなる。
また、拒絶された痛みを感じている時には、自分がずっと変わらずにしっかりと愛着を抱いている人の事を考えるとよい。
自分が深い愛着を抱いている人、自分が愛しており、相手も自分を愛してくれている人について考えれば、痛みを克服しやすくできる。
ただし、この対処法は人生で既に他の人をしっかりと愛着を抱いている人々に最も有効だが、愛着ゆ緊密な関係を避ける人については、それほど上手くいかない。
成功に対してより大きな期待を抱く子供は、新しい課題を与えられても、既にそれで成功したことがあるかのように、自信を持って取り組む。
彼らはしくじるとは思っていないので、それに立ち向かうことを望み、進んで失敗の危険を冒す。
彼らの見通しは、ただの夢想以上のものであり、過去に積み重ねた成功体験に基づいている。
それまでの成功が彼らのポジティブな期待を膨らませ、それが今度は更なる成功の可能性を高める行動や態度を奨励する。
それらが全て合わさって、楽観主義者をなお一層微笑ませる結果を生むことになる。
自分の行動によって結果はコントロールできると考える度合いの大きい子供ほど、マシュマロ・テストで欲求充足を先延ばしにしたり、自分の衝動的な傾向をコントロールしたり、望んでいる結果に行きつくために自分の行動が役立つ妻妻な状況で粘り強く取り組んだりする可能性が高かった。
彼らは自分にはれができると信じており、実際にされをやってのけた。
自分はできる(努力できるし、粘り強く取り組めるし、ポジティブな結果を生み出す行為者たり得る)という子供の自己認識は、成功を助ける自制スキルによって育まれる。
幼い頃に、より効果的に待って、より多くのお菓子をもらうために頑張れるほど、また、そうした成功を可能にする認知的スキルや情動的スキルが優れているほど、「そう、私はできる!」という感覚を伸ばし、新たなより困難な課題に立ち向かう準備ができる。
やがて、自分には物事をやってのける力があると自覚する経験と、新たに身に着けるスキルそのものが報酬となり、その活動自体から満足が得られるようになる。
子供の自己効力感や主体性の感覚は、成功経験に根差したものとなり、現実に基づく楽観的な見通しと抱負につながり、一回成功するこどに詐欺の成功の可能性が高まる。
マシュマロ・テストで、未就学の時に欲求充足を長く先延ばしできた子供は、25~30歳くらいの時の自己申告によると、長期的目標の追及とたっせてが得意で、沽券な薬物はあまり使わず、既に高い教育水準に達し、肥満指数が大幅に低かった。
彼らはまた、対人関係の問題に取り組むにあたって、立ち直りが早く、適応性があり、緊密な関係を袂のが上手だった。
「マシュマロ・テスト」は、スタンフォード大学ビング保育園の「サプライズ・ルーム」で1960年に始まった。
研究費をまかなうための最初の補助金申請では、「キャンディ会社に申請してはどうか」という提案付きで連邦の担当機関に却下されたという。
研究方法は単純だが、研究者たちは信じられないほど長たらしい学術名称をつけた。
「先延ばしされたものの、より価値のある報酬のために、未就学児が自らに課した、即時の欲求従属の先延ばしパラダイム」
数十年後、あるコラムニストにこの研究を発見してもらえ、「マシュマロ公共政策」という題で『ニューヨーク・タイムズ』紙で取り上げられた事で、マスメディアから「マシュマロ・テスト」と名付けられ、この呼び名が定着したという。