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2016年2月23日火曜日

会社の倒産において最も多い形態が「破産」で、2014年は8605件発生しており、法的整理全体に占める割合は93.7%ととなっている。
ちなみに民事再生法が3.2%、特別清算が3.1%、会社更生法が0.02%となっている。
日常的に使用される「倒産」という言葉は、法律用語ではない。
一般的に倒産は「企業経営が行き詰り、弁済しなければならない債務が弁済できなくなった状態」を指す。
具体的には、以下の6つのケースのいずれかに該当すると認められた場合を「倒産」と定められ、これが事実上の倒産の定義となっている。
1.銀行取引停止処分を受ける
2.内整理する(代表が倒産を認めた時)
3.裁判所に会社更生手続開始を申請する
4.裁判所に民事再生手続開始を申請する
5.裁判所に破産手続開始を申請する
6.裁判所に特別清算開始を申請する
このうち1と2が「任意整理」で3から6が「法的整理」と大別できる。
帝国データバンクが発行する「日刊帝国ニュース」は1964年6月8日に「日刊帝興情報」として創刊し、2014年6月に創刊50周年を迎えた。
創刊当時に、大蔵省銀行局から倒産情報提供についての協力要請に応える形で、帝国データバンク情報部が創設され創刊することとなった。
1981年3月に「日刊帝国情報」に名称変更し、1989年1月から現在の「日刊帝国ニュース」に変更された。
創刊から50年間で報じた総倒産件数は61万社を超え、蔬菜総額は255兆円に及んでいる。
倒産や債務整理の精度は変化している一方で、金融緩和から金融引き締め、円高から円安へ、人手不足から人員過剰へと経済が循環する中で、倒産は起こっており、「歴史は繰り返す」ことが倒産の世界にも当てはまることが分かる。
創業1368年と室町時代に創業された株式会社ういろう(小田原市)の先祖は、大陸からの渡来人で、もともとは元朝の役人だったが明朝に滅ぼされた時に、日本に亡命し、元朝での役職名の一部を取って外郎(ういろう)と名乗った。
渡来後、初めは京都で朝廷に使えていたが、室町時代末期に北条早雲に招かれ、小田原に移住してから500年以上経つ。
外郎家は、家伝薬の「ういろう」(透頂香・とうちんこう)と同名のお菓子を代々作り続けており、元々の本業は薬種業だが、その際に仕入れていた栄養剤の糖類を転用してお菓子にしたものが「ういろう」の起源であるという。
古来より糖類は大変高価で一般には手に入らないものだったが、薬種業だからこそできた独特のお菓子で、外国から朝廷に来られた賓客のもてなし用として創作されたものである。
豊臣秀吉が北条家を滅ぼした際に、北条氏一族は小田原城下に残さない方針だったが、外郎家は北条五代に軍師として仕えた身分にもかかわらず、特別に城下に残され、以来商人として医薬に専念することとなった。
現在の当主は、25代目である。

和菓子製造販売業の「虎屋」(年商188億円、2014年3月期)は、室町時代後期に京都で創業された。
後陽成天皇の在位中(1586~1611年)から御所の御用を勤めていたという記録が残っており、明治2年の東京遷都の時に、京都の店をそのままにして東京に出店した。
店主は代々、黒川家の人間が務め、現在で17代目となる。
黒川家の人間は、一代に一人しか虎屋に入らないという不文律があり、同じ代に京大、華族、親類縁者は誰もおらず、現在も店主の息子がいるだけである。
全国に和菓子屋は2万数千社あり、全国和菓子協会に加盟しているのが2200社で、現在は虎屋の店主が協会の会長をしている。

ギネスブックにも掲載された日本最古の企業は「金剛組」である。
聖徳太子が四天王寺建立のために、大陸から呼び寄せた大工の1人である金剛重光によって578年に創業されたと伝えられており、四天王寺の正大工職を39代まで継承し、現在まで続いている。
この1400年を超える長い歴史は、平坦な道のりではなかった。
1576年の石山寺の戦い、1614年の大阪冬の陣、1801年の雷火など多くの苦難を乗り越えてきた。
明治維新により廃仏稀釈運動で「禄」が廃止されるという公共工事の削減を経験し、また経営悪化に陥った金剛組を救ったのは38代女棟梁による再建だった。
平成に入っても再び苦難が訪れた時には、M&Aによる営業譲渡という手法で立て直しを図り、ギネス級の老舗企業には様々な英知が蓄積されている。

金剛組
現在の日本の社長の平均年齢は59歳であり、「社長の2017年問題」が指摘されている。
2017年には団塊の世代の社長が大量に70歳を迎えることによって、日本の中小企業の生産性や成長性が鈍化する可能性があるという。
日本の中小企業のうち、1年間に2万5000社が消滅しており、これは実に倒産件数の2.5倍である。
消滅とは、廃業や休業などが原因だが、その主な理由は社長の高齢化と事業承継問題であり、事態は益々深刻化してきている。
倒産が噂されて、帝国データバンクの調査員が社長に会いに行ったあと、実際に倒産した会社の社長の特徴を整理すると、5つの「弱い」と5つの「ない」にまとめることができる。
<5つの弱い>
・数字に弱い→赤字の理由が分からない、取引先の状況が分からない
・パソコンに弱い
・朝に弱い
・決断力が弱い→やめる決断ができない
・人情に弱い
<5つのない>
・計画性がない→ドンブリ勘定になっている
・情報がない→悪い情報が社長に伝わらない
・リーダーシップがない→人材育成ができない
・危機感がない
・人脈が無い→イザという時に相談できる相手がいない
会社の経営が厳しくなると粉飾する際に、最初に操作する可能性が高いのは在庫であり、架空在庫によって数字を操作している会社は実に多い。
本来、現金や借金の確認が、その会社の内情を判断するために効果があるが、モノとして見えにくく、かつては「銀行間照会」といって金融機関同士が信用や預金、借入金残高の確認を相互に行っていたが、2005年の個人情報保護法の施行以来、それができなくなってしまった。
つまり銀行にとっては、借入残高などの異なった情報をつかまされても把握できない状況となっている。
在庫は必ず見えるものだから、「実地調査」を行い、データと実態を突き合わせる事が可能である。
衆院選の翌年は倒産が増えるというジンクスがある。
帝国データバンクが、倒産集計を始めた1964年以降、16回の衆院選挙があったが、そのうち11回について選挙後に倒産が増加している。
選挙前に倒産が増えると政策の不手際を指摘する野党の追及が考えられるので、政府も金融界も緊張して企業倒産を出さないように慎重になるからと言われている。
もう一つ、倒産のジンクスがあり、昔は1年のうち12月が最も倒産が多い月となっていた。
第一次オイルショックの1973年以降は4年連続、バブル崩壊前後の1990年からは3年連続で12月の倒産件数が最多だった。
ところが、この10年間に限ると12月に倒産が最多だったのは、2006年だけで倒産時期は多様化してきている。
帝国データバンクの調査員が注目する会社の経営が危うい兆候の一つに、「手形割引」に関わる情報がある。
資金繰りの苦しい会社は従来より取引のある銀行や信用金庫では手形の割引をしてもらえなくなる。
手形割引とは、支払日が先の手形を金融機関に持ち込み、その期日前に現金化するという、融資のようなものである。
このような場合、市中の割引業者(市中金融)に手形を持ち込み、金融機関よりも悪い条件で手形を割り引いてもらい現金化しようとする。
手形割引業者は、過去の詳細な取引履歴を大量に持っており、また手形の成因にも注意を払う。
例えば、建設業者が食品会社と取引するような手形については、不審な点が無いか警戒する。
また、収入印紙の貼り方、チェックライターを使用せずに手書きで金額が書かれているとか、社判が斜めに押されているとか、詳細な変化からその手形が落ちるかどうかを見極めるプロの世界がある。
彼らは、手形の通し番号にも注目し、通し番号が大きくなっているということは、手形を多く切っており、その会社の資金繰りが苦しくなっている可能性を疑う。
持ち込んで手形の現金化を断られる「割止め」の情報は、商社や銀行も注目しており、帝国データバンクに照会が来ることになる。
企業の信用調査を行っている帝国データバンクは、全国の起業の150万社のデータを保有している。
販売した相手先の企業から確実に代金を回収できる「信用」を持っているか、つまり期日通りに支払うべき金額を確実に支払える力があるかを判断する情報を提供している。
全国にいる約1700人の調査員が、調査依頼のあった企業ほ直接訪問し、社長や経理部長と面会するとともに、社内の様子をチェックしている。
また財務諸表の分析、会社登記・不動産登記情報、取引先の評判などをまとめて「点数(評点)」をつけている。
満点は100点で、業績・業歴などの「定量評価」と経営者などの「定性評価」といった7項目に加点・原点を反映して、全9項目を総合的に評価している。
景気動向にもよるが、40点台の企業が最も多くなっている。
倒産関連情報を専門に扱う部門では、70~80名が倒産取材を行っている。
日本では、子供の頃から「お茶碗は手で持って食べなさい」と教えられるが、韓国では茶碗を持ち上げて食事をするのはマナー違反で、礼儀正しくない振る舞いとされる。
韓国では茶碗はテーブルに置いたまま、そこに箸を伸ばして食べるのが礼儀となっている。
同じ茶碗と箸を使う国でも、風習・習慣に違いがある。
大規模な油田が世界で最初に見つかったのは、アメリカだった。
1959年にペンシルベニア州で世界初の機会堀りによる原油掘削に成功し、最初の油田施設が作られた時に、石油を運搬するために酒樽に詰めた。
樽のことをバレルと呼ぶので、それ以来、石油の単位はバレルと呼ばれるようになった。
1バレルは、酒樽ひとつ分で、約159リットルである。
サハラ砂漠の「サハラ」という言葉は、もともと砂漠という意味である。
ヨーロッパの人が来て、ここは何というところかと聞いたら、現地人が「ここはサハラ(砂漠)です」と答えたので、サハラという地名と勘違いしてしまい、サハラ砂漠と名付けられたという。
だから「サハラ砂漠」というのは、砂漠砂漠と重複しておかしな意味になってしまう。
北朝鮮の世界地図には、日本とアメリカだけ色が塗られていない。
北朝鮮は、日本とアメリカとも国交を結んでいないからである。
国交を結んでいないということは、相手を国家として認めていないということであり、だから地図に色が塗られていないのである。
日本とアメリカの世界地図は、北朝鮮と国交を結んでいないが、そこに国家があるのは明らかなので、ちゃんと色が塗られている。
世界最長の国境線は、アメリカとカナダの間で、両国の国境線は直線的に引かれている。
これは、北緯49度で分けるという約束のもとに、ロッキー山脈上にひかれたと言われている。
居住者がいない山岳地域なので、直線にすることができたのである。
イランの世界地図には、イスラエルという国がなく、イスラエルがあるはずの場所には、ハレスチンと書かれている。
イランから見ると、もともとパレスチナという所に、大勢のユダヤ人が移り住んできてイスラエルという国を作ってしまった結果、もともパレスチナに住んでいた人達が祖国を追われて、難民となったということになるからである。
世界にはおよそ200の国があるが、200色に塗り分ける事はできない。
しかし、世界地図は4色あれば必ず隣同士を違う色に塗り分ける事ができる。
そのため、国境が隣接しない遠く離れた国は同じ色が使用される。
イギリスとアルゼンチンの両国と良い関係を保ちたい国の地図は、フォークランド諸島の色分けに悩むので、イギリスとアルゼンチンを同じ色にしている。
韓国の世界地図には、ハングルと英語が併記されている。
韓国で使われている文字のことを「ハングル文字」という人がいるが、これは間違いで、ハングルとは「偉大なる文字」という意味であり、そこには文字という意味まで含まれているのである。
地図は今でこそ北が上になっているが、12~13世紀頃に世界地図が作られるようになった頃には、東を上にして書かれていた。
理由はキリスト教で、東は聖なる方位とされているからである。
『旧約聖書』の「天地創造」で神がアダムとイブに与えた楽園は、東の果てにあり、楽園のある東方を地図の上に示し、基準としていたのである。
だから、境界も祭壇は東側につくられ、東の方向を指すことが正しい方向を教えることになっていた。
例えば、学校へ入学時にある説明会のことを「オリエンテーション」と言うが、オリエントとは「東方」を意味し、オリエントが転じて、方向づけることを意味している。
こっちが東(正しい方向)ですよ、という意味合いが残っているのである。

2016年2月19日金曜日

1兆円をイメージするのに分かりやすい例として、毎日100万円を使い続けるとしたら、1兆円を使い切るのに2700年かかる。
「ロサンゼルス・タイムズ」のウェブサイト上では、教員名を入力すると、その教員がどの学校のどの学年を担当していたかという情報が表示でいるようになっている。
さらにその教員が担当していた子供達の州標準テストの結果から算出された付加価値と、その教員がカリフォルニア州全体でどのくらいの一にいるかということまでもが表示される。
教員の質を測る指標として、米国では「付加価値」は既に一般化しており、どこの誰でも悪セセスできる情報として公開されているのである。
ハーバート大学のチェティ教授らは、全米の大都市圏の学校に通う100万人もの小・中学生のデータと納税者記録の過去30年分のデータを用いて、付加価値が教員の質の因果効果をとらえるのに、極めてバイアスの少ない方法であることを明らかにした。
質の高い教員は、ただ単に子供の学力を上昇させているだけでなく、10代で臨まない妊娠をする確率を下げ、大学進学率を高め、将来の収入も高めるということも明らかにした。
付加価値は短期的にも長期的にはーも、教員の質を計測する事に成功しているのである。
そして、チェティ教授らはね付加価値でみたときに下位5%に位置する教員を、平均的な教員に置き換えるだけで、子供の生涯収入の現在価値を、学級あたり2500万円も上昇させることができると推計している。
少人数学級によって教員の「量」を増加させるよりも、教員の「質」を高める政策の方が、教育効果や経済効果が高い可能性がある。
スタンフォード大学のハヌシュク教授が行った、教員の質に関する研究によると、もともとの学力の水準が同程度の子供たちに対して、能力の高い教員が教えた場合、子供たちは1年で1.5学年分の内容を習得できた。
それに対して、能力の低い教員が教えた場合は、0.5学年分しか習得できなかった。
1年間で丸1年分もの習得の差が生じることが明らかになったのである。
ハヌシュク教授は、この結果をもとに、能力の高い教員は、子供の遺伝や堅い資源の不利すらも帳消しにしてしまうほどの影響力を持つと結論づけている。
文部科学省が毎年実施している「全国学力・学習状況調査」(学力テスト)は、文部科学省やその関連機関に所属する研究者など、限られた人以外はアクセスできない。
なぜならば「全国学力・学習状況調査」は統計法で定められ、研究者ならばアクセス可能な「統計」ではなく、「意見・意識など、事実に該当しない項目を調査する世論調査など」の分類の扱いとなっており、研究者はこのデータを学術研究に用いることができない。
神戸大学の伊藤准教授らの研究によると、学校で平等を重視した教育の影響を受けた人は、他人を思いやり、親切にし合おうという気持ちに欠ける大人になってしまう事が明らかとなった。
平等主義的な教育は、「人間は生まれ名がに持つ能力に差がない」という考え方が基礎となっているので、都力次第で全員が良い成績を取れると考える。
しかし残念ながら、子供の学力には遺伝や家庭資源など、子供自信にはどうしようもない要因が大きく影響している。
平等主義的な教育のもとでは、こうした現実には目を向けることがないので、成功しないのは努力をせずに怠けているからだと考えるようになってしまい、不利な環境におかれている他人を思いやることのないイヤなタイプの人間を多く育ててしまっている。
文部科学省によると、義務教育を受ける子供のうち、就学援助制度の利用者率は年々増加しており、2012年度には16%に達している。
特に大都市圏で高くなっており、2012年度には東京が24.2%、大阪が28.1%と子供全体の3割近くを占めている。
貧困の世代間連鎖による子供の貧困は、明らかに広がっている。
文部科学省が毎年実施している「全国学力・学習状況調査」(学力テスト)は、私立校も参加してよい事になっているが、参加校が少なく、実質的には「日本の公立小・中学学生のが苦慮区テストの都道府県別順位」となっている。
<全国学力・学習状況調査(文部科学省)>(2010年度・小学6年生・算数A)  
1位  秋田県
2位  福井県
3位  京都府
4位  青森県
5位  広島県
6位  東京都
7位  鳥取県
8位  富山県
9位  石川県
10位 岩手県 
<全国統一小学生テスト(四谷大塚)>(2011年6月・上位3000番出現率)
1位  東京都
2位  神奈川県
3位  千葉県
4位  埼玉県
5位  奈良県
6位  福岡県
7位  広島県
8位  愛媛県
9位  茨城県
10位 熊本県 
新潟大学の北條准教授らの研究で、子供の学力の50%が家庭や子供本人の要因で無決定される事が分かった。
さらには、学力には遺伝の影響も大きいことが分かっており、九州大学の行動遺伝学が専門の山形准教授らの研究では、中学3年生時点の子供の学力の35%は遺伝によって説明できることが明らかとなった。
「どういう学校に行っているか」と同じくらい、「どういう親のもとに生まれ、育てられたか」ということが学力に与える影響は大きいのである。
文部科学省が毎年実施している「全国学力・学習状況調査」の県別順位は、単に子供の家庭資源の県別順位を表しているにすぎない可能性がある。
日本の文教予算は15年前の1998年の550億円と比較すると20%以上も減少し、2013年は400億円となっている。
日本の公的教育支出を現状の対GDP比3.5%から、先進国の平均である5%に上昇させるとすると7兆円の財源が必要となる。
これは消費税3%に相当する額である。
リクルートワークス研究所の戸田氏らは、日本のデータを用いて、中学・高校生に培われた勤勉性、協調性、リーダーシップなどの非認知能力が、学歴、雇用、年収に影響することを明らかにしている。
同様に明治学院大学の李専任講師らの研究でも、外向性や勤勉性といった非認知能力が、年収や昇進に影響を与えることが示された。
神戸大学の西村教授らは、「しつけ」の角度から研究を行い、4つの基本的なモラル(ウソをつかない、他人を大切にする、ルールを守る、勉強する)をしつけの一環として親から教わった人は、それらを全く教わらなかった人と比較すると、年収が86万円高いということを明らかにした。
人生のかなり長い期間にわたって、計り知れない価値を持つ非認知能力への投資は、子供の人生にとって非常に重要であることが、多くの研究で明らかになっている。
目の前の定期試験で点数を上げるために、部活や生徒会、社会貢献活動を辞めさせたりする事には慎重であるべきであり、長い目でみて子供達を助けてくれるであろう「非認知能力」を培う貴重な機会を奪ってしまうことになりかねない。
IQや学力テストで計測される認知能力よりも、非認知能力の形成は、将来の年収、学歴や就業形態などの労働市場における成果にも大きく影響することが明らかになっている。
<非認知能力>
自己意識:自分に対する自信がある、やり抜く力がある
意欲:やる気がある。意欲的である
忍耐力:忍耐強い、粘り強い、根気がある、気概がある
自制心:意志力が強い、精神力が強い、自制心がある
メタ認知スタラテジー:理解度を把握する、自分の状況を把握する
社会的適性:リーダーシップがある、社会性がある
回復力と対処能力:ずくに立ち直る、うまく対応する
創造性:創造性に富む、工夫する
性格的な特性:神経質、外交的、好奇心が強い、協調性がある、誠実
シカゴ大学のヘックマン教授は、米国の一般教育終了検定を分析した結果、高校に通わずに一般教育終了検定に合格した生徒は、高校を卒業した生徒に比べて、年収や就職率が低い傾向にあることが分かった。
ヘックマン教授は、学力テストでは計測することができない木認知能力が、人生の成功において極めて重要であることを強調している。
また、誠実さ、忍耐強さ、社交性、好奇心の強さなどの非認知能力は、人から学び、獲得するものであり、学校とは教員や同級生から勉強以外の多くの事を学び、「非認知能力」を培う場所なのである。
1992年にノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のベッカー教授が提唱した「人的資本論」という考え方があり、教育を経済活動としてとらえると、将来に向けた「投資」として解釈できるという。
収益率が最も高いのは、子供が小学校に入学する前の就学前教育(幼児教育)である。
つまり、人的資本への投資は、とにかく子どが小さいうちに行うべきなのである。
ご褒美が子供の学力にどのように因果効果を持つかについて、ハーバート大学のフライヤー教授が、シカゴ、ダラス、ヒューストン、ニューヨーク、ワシントンDCで実験を行った。
この実験は、94億円が使われ、250校の小学2年生から中学3年生まで3万6000人の子供が参加した大規模なものだった。
学力テストや通知表の成績を良くすることにご褒美を与える「アウトプット」、本を読んだり宿題を終えたことに褒美を与える「インプット」の実験を比較した結果、学力テストの結果が良くなったのはインプットにご褒美を与えられた子供達だった。
インプットは子供達が何をすべきか明確なのに対して、アウトプットは具体的な方法が示されていないので、子供達自身の行動が分からないからである。
アウトプットにご褒美を与える場合には、どうすれば成績を上げられるかという方法ほ教え、導いてくれる人が必要となる。
就学前教育への支出は、雇用や生活保護の受給、逮捕率などにも影響を及ぼすので、社会全体にとっても良い影響をもたらす。
こうした社会への好影響を「社会収益率」といい、就学前教育への支出は年率7~10%にも上るという。
社会収益率が7~10%になるということは、4歳の時に投資した100円が、65歳の時には6000円から3万円になって社会に還元されるということである。

2016年2月18日木曜日

経済学には「教育の収益率」という概念があり、「1年間追加で教育を受けたことによって、その子供の将来収入がどれくらい高くなるか」を数字で表す。
そして、教育投資への収益率は、株や債券などの金融資産への投資などと比べても高いことが、多くの研究で示されている。
文部科学省の調査によると、親の学歴や所得が高い方が、子供の学力が高いことが示されている。
また、「学生生活実態調査」(2012年)によると、東京大学では親世帯の平均年収は約1000万円となっており、世帯収入が950万円以上の学生の割合が57%を占めている。
「民間給与実態調査」(2012年)における給与所得者1人あたりの平均年収が408万円、「家計調査」(2012年)の2人以上勤労者世帯の平均年収が623万円だから、東大生の親の年収がいかに突出しているかが理解できる
著名な行動経済学者であるダン・アリエリーの著書『ずる』の中の「祖母たちの訃報」という章で、次のように述べられている。
「わたしは長年の教職経験から、いつも学期の終わりごになると、学生の親戚の訃報が相次ぐことに気づいた。しかもその殆どが、期末試験の1週間前と論文締め切り直前に集中する。
1学期あたりの平均では、私の学生の1割ほどが、だれかが-たいていは祖母が-亡くなったと言って、締め切りの延長を求めてくる」
そして、生物学の教授が「試験と祖母の急死の間の因果関係」を明らかにするための研究を行ったことも紹介されている。
その教授が過去の自分の授業で収集したデータを分析した結果、祖母が無くなる確率は中間試験の前で通常の10倍、期末試験の前には19倍になり、さらに成績が芳しくない学生の祖母が無くなる確率は50倍にも上ることが示されている。

ずる――噓とごまかしの行動経済学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

2016年2月17日水曜日

ヒトラーは、当時のワイマール憲法に定められれた真っ当な民主的手続きによって、ドイツ国民の絶大な支持をえて政権を与えられた。
ワイマール憲法は、当時の憲法としては進歩的で、20歳以上の男女による普通選挙が行われていた。
ヒトラーの演説に熱狂した国民の支持がなければ、ナチス政権は誕生しなかった。本当に怖いのは、異常な独裁者ではなく、それを支える国民の熱狂なのである。
戦後のドイツが作ったドイツ憲法の「ドイツ基本法」は、過去の教訓を活かす軌道修正が盛り込まれており、「国民投票」の規定がない。
国民が直接投票で意思決定を行うと、また国民の間に熱狂が広がった時に、間違いを犯すと考えられたのである。
他のどの国よりも「民主主義の危うさ」を知っているドイツならではの発想である。
米軍の呼び方は、CNNとFOXニュースで異なる。
CNNは「USアーミー」「USエアフォース」と呼ぶのに対して、FOXニュースは常に「アワ・アーミー」「アワ・エアホース」、つまり「わが軍」と呼び、中立的な客観報道ては言えない。
イギリスでは、1982年のフォークランド諸島の領有権をめぐる紛争で、BBCが「イギリス軍とアルゼンチン軍の戦い」と報じたところ、BBCの会長が議会に呼ばれ、「なぜ『わが軍』と呼ばないのか」と詰問された。
しかし、BBC会長は怯むことなく、「愛国心に関して、あなた方から説教を受ける筋合いはない」と毅然と答えた。
NHK(日本放送協会)は、テレビがなかった時代にラジオ局としてスタートした。
放送開始当時は、ラジオの受信機を持っている人は少なく、一気に増えたのは日中戦争がきっかけだった。
NHKのラジオ放送は、戦争報道のおかけで聴取者数が激増したのである。
また新聞も、一握りの知的エリートだけが読んでいたが、日中戦争をきっかけに購読者数が飛躍的に伸び、広く読まれるメディアになった。
フォード大統領時代に、CIAが過去に海外で行った暗殺計画が議会の公聴会で暴かれ、CIAは暗殺をしてはいけないという命令が出された。
その暗殺禁止の大統領命令は、その後も有効だったので、CIAは大統領の許可を得なければ暗殺ができなくなった。
クリントン大統領の時に、CIAがスーダンに潜伏中のオサマ・ビン・ラディンを発見し、殺害の許可を打診している間に行方が分からなくなり、暗殺に失敗している。
もし大統領の許可が下りていれば、2001年の同時多発テロは無かったかもしれない。
その反省から、ジョージ・ブッシュ・ジュニア大統領は、CIAに海外での暗殺を許可し、オバマ大統領もそれを取り消していないので、各地でドローンを使用したテロリストの暗殺が行われている。
ドローンは空軍の所有物で操縦も空軍が担当するが、暗殺命令は文官であるCIAが出す「文民統制」となっている。
アメリカがソ連や社会主義を警戒するきっかけとなったのは、第二次世界大戦後に書かれたある論文だった。
1947年に『フォーリン・アフェアーズ』という雑誌に掲載された「ソヴィエトの行動の源泉」という論文だった。
ちなみに『フォーリン・アフェアーズ』はアメリカの外交方針を決める上で大きな影響力を持っており、大きな方針転換がある時は、誰かがまず個人の責任で、この雑誌に論文を発表し、反応を見たあと、その内容が高く評価されると政策として具体化されるようなる。
この論文の著者は匿名の「X」とされており、「X論文」とも呼ばれている。
しかし当初から執筆者は知られており、アメリカ国務省の性格企画本部長のジョージ・F・ケナンによって書かれた論文だった。
ケナンは、何度もモスクワに赴任するソ連通だった。
1946年にモスクワから本国に送った長文の電報が、この「X論文」の原型で、その電報にはソ連という国が世界制覇を目指して膨張しており、徹底的な封じ込めが必要であると書かれていた。
これを受けてトルーマン大統領は、1823年にモンロー大統領が宣言した他国に干渉しない基本方針だった「モンロー・ドクトリン」を捨て、1947年に共産主義封じ込め政策「トルーマン・ドクトリン」を発表した。
世界の戦争史上で最大の捕虜数は1万人で、ベトナム民主共和国の独立を宣言したホーチミン率いるベトナム独立同盟と、かつての宗主国のフランスの間で行われた戦争だった。
1946年から8年間続き、フランスの敗北で終わったが、勝敗を決定づけた「ディエンビエンフーの戦い」で、基地をベトミンに取り囲まれたフランス軍が補給路を断たれ、1万人もの兵士が捕虜になった。
米軍の合理性は、バイロットの救出にも表れており、戦闘機や爆撃機を出動させる時に、撃ち落とされたバイロットの救出作戦も合わせて準備していた。
空軍のパイロットだったブッシュ・ジニア元大統領は、硫黄島近くで日本軍に撃墜されたたが、近くで待機していた潜水艦に救出されている。
戦争の途中で、日本軍のバイロットはあることに気づいた。
米軍の対空砲攻撃を受けた時に、弾が命中していないにもかかわらず見方の飛行機が次々と撃墜されてしまう。
高速で飛行する敵機に艦砲射撃を命中させるのは、名人芸のような高度な技術が求められるが、米軍は命中しなくても近くを飛ぶ敵機を電波で探知するだけで、爆発する「近接信管」と呼ばれる技術を開発した。
機体に命中しなくても、近くで爆発するたけで、機体に十分なダメージを与える事ができたのである。
日米の軍隊について面白いエピソードがある。
旧日本軍は、航空母艦や戦艦などの軍艦には、それぞれ所属部隊や艦長が決まっていて、それぞれ任期中は常にその人が艦長だったので、長期休暇がなかった。
戦艦大和には歴代で5人の艦長がいた。
これに対して、アメリカ海軍は一定の期間ごとに乗船するメンバーが入れ替わり、同じ艦船を複数の部隊が交代で使用していた。
艦長は、その艦船のトップではなく、その部隊のトップであり、部隊ごと交代で充分な休暇が取れる合理的なローテーションシステムを組んでいた。
また、戦時中、米軍が島に大きな貨物を上陸させているという情報が入り、日本軍が秘密兵器だと考え偵察隊を派遣したところ、その秘密兵器はアイスクリーム製造器だった。
偵察から帰ってきた日本兵は、戦後に「あれを見て日本はこの戦争に負けると思った」という記録がある。
韓国との戦争賠償金問題は1965年に締結した日韓基本条約で法的には解決している。
その時に日本は韓国に3億ドルを無償供与し、2億ドルの利率の低い長期融資で有償援助も行った。
加えて、日本の民間企業が3億ドルの資金協力もしている。
韓国はその資金と引き換えに、対日請求権を放棄した。
韓国の個人や団体が日本に賠償請求をしても、それに対して資金を渡すかどうかは韓国政府の判断となり、日本には支払義務はない。
しかし、それでも日本は1995年から2007年にかけて「女性のためのアジア平和国民基金」を設立して、元慰安婦に償い金を支払い善意を示してきた。
戦後の日本では、GHQから戦争に関連する言葉を公文書で使用することが禁じられた。
日本では「大東亜戦争」と呼んでいたが、GHQは軍国主義につながる言葉として、「大東亜戦争けの呼称を禁じ、「太平洋戦争けとした。
また「八紘一宇」もGHQは、日本のアジア侵略を正当化するためのスローガンになっていたと見なし、公文書での使用を禁じた。
「八紘一宇」もともとは「単価をひとつの家のようにする」という意味で、悪い言葉ではない。
東京裁判の対象となった戦争犯罪の中で「平和に対する罪」(A級戦犯)は、事後法によって裁かれたものだった。
平和に対する罪は、第二次世界大戦が終わってから決められたもので、それ以前は戦争阪大とする国際法はなく、後から作った法律を、過去の行為に適用したのである。
これは、その行為をした時点で違法でなかったならば、事後法で裁いてはならないという裁判の原則に反する。
ちなみに「A級旋盤」とは、その罪状が「a項」だったのでそう呼ばれたのであって、B級やC級より罪が重いという意味ではない。
b項は帆量の虐待などの通常の戦争犯罪、c項は人道に対する罪で、c項も事後法で、これは主にユダヤ人の絶滅を目指したナチスドイツの行為を想定したもので、東京裁判では適用されていない。
年金積立管理運用独立行政法人(GPIF)は、日本のGDPの4分の1の運用資産を持つ世界最大級の年金基金である。
その運用は、資金を複数の民間金融機関に運用委託して丸投げしているたけである。
カナダの所得比例年金(CPP)は14.6兆円の資金規模に対して、職員数は811人、スウェーデンの公的年金基金(AP基金)は12.2兆円の資産規模に対して職員数は243人となっている。
しかし、GPIFは123兆円の資金規模に対して、2010年4月の職員数数は75人しかいない。
もう一つの特徴は、積立金を株などで市場運用している点である。
アメリカでは、連邦老齢遺族障害保険(OASDI)は200兆円の積立金を持っているが、全て非市場性国債を引き受けており、株などで運用をしていない。
ちなみにカリフォルニア州の公務員退職年金基金「カルパース」は公務員の年金であり、ノルウェーの政府年金基金「グローバル」は石油収入を将来の年金財源にするために運用しているもので、一般国民から強制的に徴収した資金で財テクするGPIFとは異なる。
公務員宿舎は全国で20万1000戸あるが、公務員宿舎は国有財産の管理人が必要となり、公務員が管理している。
ちなみにG7で、公務員や国会議員が宿舎を与えられているのは日本だけで、G8でいえばロシアと日本だけに議員宿舎がある。
国立印刷局の本局と印刷工場は、霞が関に近い虎ノ門にある。
その他、JR東京駅から徒歩で5分ほどの一等地にも土地を所有しており、逓信総合博物館(2013年閉館)は、NTT東日本、NHK、日本郵政、KDDIの4社が印刷局から土地を借りて建てた建物で、年間賃料は25億円で、税金分を引いた利益は20億円と、印刷局の経常利益の4分の1を占めていた。
このような利益が積み重なり、2009年3月時点で、国立印刷局の剰余金は345億円となっている。
印刷局は他に都心に多数の官舎を持っており、保有地を合計すると簿価ベースで3700億円の価値がある。
日本国土の4分の1を国有地が占め、その多くは山林であるが、首都圏の一等地にある皇居、霞が関のビル群、国会議事堂、公務員宿舎とそれに付随する駐車場もある。
ちなみに、国有財産や公共用財産(道路や河川など)等の夕景固定資産は180.9
兆円となる。
国有地を管理しているのは、財務省理財局で、1000人以上の職員がいる。
2011年度の国の財務書類によると、東京大学には国からの出資金として1兆35億4900万円が継ぎこまれている。
大阪大学2684億4300万円、京都大学2445億2600万円、九州大学1462億5100万円、東北大学1802億2000万円、北海道大学1545億8300万円と比べると桁違いの額となっている。
財務省が所管する独立行政法人造幣局には、617億6570万円の税金が出資金として入っている。
近年、Suicaなどの電子マネーが急速に普及しており、硬貨発行量がピークの1974年の56億1000万枚に対して、2009年には10億枚を割り、毎年減少傾向となっている。
1円硬貨については、2011年には1968年以来43年ぶりに、一般流通用の製造がゼロとなっている。
霞が関が作った特殊法人や独立行政法人は4500あり、そこに2万5000人が天下りし、国費が12兆円も注ぎ込まれている。
他の先進国と比べて日本の国家公務員の数が少ないというのは、まやかしであり、こうした法人で働く人間も実質的には公務員なのである。
財務省は政権中枢にも深く入り込んでおり、政権の主要ポストは財務省の指定席になっている。
総理秘書官は、財務省、経産省、警察庁など各省庁から1人ずつ5人が出向することになっているが、筆頭秘書官は財務省の指定席となっている。
官邸の政策の司令塔で「政府内政府」である官房副長官補も、財務省の出向ポストとなっている。
官房長官によって官邸の指示が伝えられ、その下の官房副長官を経由して、官房副長官補が政策の骨子をまとめ、各省庁がこれに基づき法案を作成する。
官房長官は政治家だが、内閣法で定員3名と定められている官房副長官は2名が政治家で1名が官僚というのが慣例となっており、事務担当の官房副長官は歴代、旧内務省(警察庁、厚労省、総務省)の官僚から選ばれ、事務次官経験者が任命されてきた。
そして、政治家のポストである官房長官や官房副長官2名には、複数の秘書官が付くが、全ての人物に財務省出身者が張り付いている。
予算には必ず「人」と「人に関する権限」が付いているので、財務省は予算を通して霞が関全体の人事を掌握している。
各省庁には各々人事部門があり、人事異動は国省庁に一任されているが、国家公務員の人事全体を管理しているのは3つの部門となる。
1つは、財務省主計局給与共済課で、給与の額を管理している。
2つめは、人事院給与局給与第二課で、各省庁の人員を管理している。
3つめは、総務省人事・恩給局で、全体の国家公務員数を統括している。
この3つは組織上は別々の組織でが、全て財務省がポストを握っている。
人事院給与局給与第二課の課長は、代々、財務省からの出向者で、総務省人事・恩給局には、「管理官」の肩書で財務省の課長クラスが送り込まれる。
そして、財務省が予算を付けて、特殊法人や独立行政法人を新設する場合、所管省庁のOBと一緒に、必ず財務省OBが天下る。
会計と人事の管理が必須となるので、財務省の力を借りなければならないからである。
公的年金の徴収・給付方法には、税方式と社会保険方式がある。
税方式では、税財源を年金給付に充てる方式であり、保険料をいくら払ったかではなく、所得制限なく年金が支給される。
一方、社会保険方式は、社会保険料を納め、その額に応じて給付額が決められる。
世界の主要国で税方式を採用しているのは、ニュージーランドだけで、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本も含め、主な先進国では社会保険方式で運営されている。
社会保障は助け合いの精神による所得の再配分が基本であるため、給付と負担が明確な社会保険方式の方が優れていると考えられている。
日本の場合、現役世代が納付する保険料の9割が受給者の給付金に充てられている。
2011年6月2日の政府の「社会保険改革案」によると、消費税を社会保障目的税とし、消費税を社会保障に充てるとしている。
社会保険方式を踏襲したまま税財源を投入する事になると、給付と負担の関係が不明確となり、今以上に社会保障に対する国民の信頼が揺らぐことになる。
各人の保険料納付記録を持つ社会保険方式と、それがない税方式では、給付と負担の関係が全く制度が異なり、「社会保障と税の一体改革」というのはナンセンスなのである。
毎年、国債の発行額が報道されているが、実際に発行される額はその何倍にもなる。
報道されるのは、新規国債分のみで、実際にはこれに借換債が加わるのである。
道路やダムの建設の財源に充てる建設国債の中には、60年満期のものもあるが、半世紀以上経たないと償還しないというのては、誰もその国債を買いたいとは思わないので、10年ものや5年ものにし、満期が来るたびに償還債を発行して借り換える仕組みにしている。
この借換債の発効は毎年100兆円を超えるが、新たな借金てはないので、国債残高が増えるわけではない。
国際的には、財政赤字とは国債残高の増加分を指すので、減債制度によって上乗せされる国債償還金を新規国債発行額から引いた額が、純粋な財政赤字となる。
2011年度予算の場合、新規国債発行は44兆円、国債償還金は12兆円だから、新規国債発行は32兆円が純粋な赤字ということになる。
財務省は減債制度によって、財政赤字を12兆円多くみせ、財政のひっ迫をアピールし増税の必要性を主張しているのである。
日本では、財政赤字の対GDP比率が、他の国に比べて少し高めに出てしまう。
その原因は、他の国なはない減債制度という仕組みがあるからである。
一般会計の歳出に大きな比重を占める項目として「国債費」があり、2011根度予算でき21.5兆円となっている。
一般の国民は、国債費は全額、国債の利払いわ使われていると思うが、実は利払いには半額しか使用されていない。
予算項目には「債務償還費」という項目があり、国債整理基金特別会計に積み立てられる国債償還のための基金がある。
国債を償還できなくなるとマズイので、基金として積立をしており、これが「減債制度」と呼ばれるものである。
一般会計の多くが、国債発行によって国民からの借金で賄われており、その国債償還金は、その借金で賄われた一般会計から支出されている。
つまり、財務省は将来、国債を償還するために、国民から二重に借金をして、基金を積み立てているのである。
日本の財務省だけが、莫大な借金があるのに、将来の返済に備えて更に国民から借金をして積立をしているのである。
日本の国の資産のうち、大半は金融資産であり、しかもその多くが役人の天下り先である特殊法人等、国の子会社への資金提供に使用されている。
そして、国際マーケットは、日本の資産の大きさを織り込み済で、財務省が主張するように日本が財政破綻するとは思われていない。
これは、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の保証料を見れば分かる。
CDSは保険の一種で企業や国家が破綻した時に保険金を受け取れるという仕組みで、各国が発行する国債についてかけられ、この保険料率から国の破綻リスクを推測できる。
2013年4月1日時点の各国のCDS保証料率(5年もの)は、アメリカが0.27%、イギリスが0.45%、ドイツが0.37%、フランスが0.84%、イタリアが3.07%、そして日本は0.75%となっている。
つまり、世界のマーケットは日本の実際の赤字はさほど申告ではないと判断しており、財政破綻するとは想定されていない。
ギリシャの役人天国ぶりは、日本を遥かに凌いでいる。
公務員は雇用者の24%に上り、その所得は雇用所得全体の33%を占めている。
ギリシャの雇用者の4人に1人が公務員で、給与水準は日本の公務員の2倍以上と、民間雇用者よりも高給を得ているため、年金財政も破綻状態となっている。
現役時代の所得の何割を年金としてもらうかを所得代替率というが、OECDの調査によると、ギリシャは96%、日本は34%、日本を除くG7の平均は48%となっている。
またギリシャでは、日本の特殊法人や独立行政法人に当たる政府所有企業が7
4社あり、その企業価値は440億ユーロ、GDP比で18%を占めている。
ちなみに、日本の政府所有企業の価値はGDP比の10%程度である。
2011年のG7各国の金融資産の対GDP比は、アメリカ20%、イギリス32.6%、フランス37%、ドイツ35.5%、イタリア24.5%、カナダ51.1%に対して、日本は83.2%とずば抜けて高い。
G7政府の金融資産の額(2011年)
1位 日本   4兆9063億ドル
2位 アメリカ 3兆151億ドル
3位 ドイツ  1兆2806億ドル
4位 フランス 1兆279億ドル
5位 カナダ   9101億ドル
6位 イギリス  7927億ドル
7位 イタリア  5381億ドル
2014年3月末の「国の財務書類」のバランスシートには、負債合計1,171.8兆円、資産合計679.8兆円と記載されている。
資産の内訳として、現金・預金27.8兆円、有価証券139.5兆円、貸付金138.3兆円、運用寄託金103.7兆円、出資金70兆円と、金融資産の合計が479.3兆円もある。
有価証券は外国為替資金特別会計で為替介入した結果できた主にアメリカ国債を中心として資産で、貸付金と出資金は特殊法人等への資金提供である。
IMF(国際通貨基金)などの国際機関では、国の負債の大きさを言及する時には、負債から資産を引いた「ネット債務」で見るのが一般的である。
日本は1000兆円を超える債務があるが、680兆円の政府資産も存在する。
2011年のアメリカの政府資産は150兆円だったので、日本政府はGDPが3倍も大きいアメリカ政府の4倍以上もの巨大な資産を持っていることになる。

2016年2月13日土曜日

現在のアンコール・ワットは、密林の中に巨大な寺院がポツンと建っているだけである。
しかし、かつては寺院を中心に2800〜4000人の人が住む街があったという。
さらにアンコール・ワットを中心に東西25キロ、南北20キロの範囲に大きな物だけで60の寺院遺跡があり、その周辺にも街が築かれ、その広がりは東京23区よりも広い1000〜1500平方キロに75万〜100万人が住む巨大都市だった。
産業革命以前の1000年前に、世界最大の都市がアンコールに存在していたのである。

2016年2月5日金曜日

社会保険は、節税アイテムとしても非常に有効である。
健康保険、国民年金などは、支払った分だけ全額が所得から控除される。
また社会保険料は、家族の社会保険料でも、支払った人の所得から控除できる仕組みになっている。
だから所得税を払っていない家族の社会保険料を、所得控除に使用するのが節税効果が高くなるのである。
他にも社会保険料は、いつの分の保険料かを問わず、支払った年に全額を所得控除できるという仕組みになっている。
つまり、過去の分の社会保険料でも、支払った年に全額控除を受けられるのである。
例えば、儲かった年に過去に未払いとなっている社会保険料を全部支払うことで、節税に利用できる。
また、国民年金には前納という制度もあり、儲かった年に翌年度の分を前納すれば、これもまた絶税に利用できる。
国民年金は25年以上かけないと貰えず(2017年度からは10年)、25年未満だとそれまでかけた分は無駄になってしまう。
サラリーマン時代に12年間、厚生年金に加入していた人は、残り13年間、国民年金に加入すれば、国民年金をもらえる。
どうしても年金を払う余裕が内場合、減免制度を利用すべきである。
国民年金の減免制度は、その人の収入の段階によって、全額免除(年金換算は2分の1)、4分の3免除(年金換算は8分の5)、半額免除(年金換算は4分の3)、4分の1免除(年金換算は8分の7)があり、いずれの段階でも年金加入期間に換算される。
もし免除申請をせずに未納となっていれば、その期間は年金未加入となってしまう。
免除の割合は、前年の所得を基準にして決められるが、会社を退職した人の場合には特例がある。
手続きは市区町村役所で申請でき、必要書類は前年の収入が分かる書類、離職票などを持参すればよい。
サラリーマンが加入する健康保険であれば、どこに住んでいても徴収率は同じであるが、国民健康保険料は、住む自治体によって全く違ってくる。
一般的には都心部の国民健康保険料は高く、他方は安くなっているが、財政にゆとりがない自治体、高齢者の多い自治体では高くなっている。
国民健康保険料の計算は、所得割+資産割+均等割+世帯割で算出される。
所得割とは所得に応じて課せられるもので、資産割とは固定資産税の税額に応じて支払うもの、均等割とは加入者1人当たりが定額を支払うもの、世帯割とは1世帯当たり幾らというふうに支払うものである。
例えば、隣接する西東京市と練馬区の場合を比較すると、国民健康保険料は全く異なる。
30代で所得が300万円、固定資産税ゼロの人が、夫婦で国民健康保険に加入した場合、練馬区では26万1300円、西東京市では21万6700円と、年間で5万円も西東京市の方が安い。
〇所得300万円、固定資産税ゼロの30代夫婦の国民健康保険料
<西東京市>
所得割16万2300円+資産割0円+均等割4万5600円+世帯割8800円=21万6700円
<練馬区>
所得割19万3500円+資産割0円+均等割6万7800円+世帯割0円=26万1300円
本来、法人税率は30%だが、資本金1億円以下の場合は、利益が800万円までは税率22%である。
利益が800万円を超えれば、超えた分だけが税率30%ととなる。

2016年2月3日水曜日

年金や保険は加入する時に「予定利率」という運用利回りが決まっている。
その為、加入中に金利が上がても下がっても、契約時の利回りが最後まで適用される。
この運用利回りは、1993年3月までが5.5%、1993年4月から1994年3月までが4.75%、1994年4月から1996年3月までが3.75%、1996年4月から1999年3月までが2.75%、1999年4月からは2%、現在は1%前後となっている。
銀行預金には預金額に対して利息が付くが、保険商品は保険料から保険会社の経費が引かれ、死亡保障などの保証料が引かれ、その残金が運用されることになる。
運用利回りが高かった時代に入っていた人は、どんなに生保セールスに新保険への切り替えを勧められても、そのまま最後まで入り続けた方がよい。
信用金庫は、基本的にその地域に住んでいる人しか会員になれず、出資もできない。
信金中央金庫という信用金庫の元締めのような金融機関があり、優先出資という形で東京証券取引所に上場(8421)している。
2014年9月の東商一部上場の株課に対する配当利回りの平均は1.75%だったが、信金中央金庫は3%を超えていた。
最近は人気が高く株価が上がり利回りも低下しているものの2.7%程度となっている。
また3口以上持っていると、株主優待で3000円相当のグルメギフト券がもらえる。
株主は個人が9割り以上を占めており、M&Aの心配はない。
信用金庫は、金融機関ではあるが株式会社の銀行とは異なり、会員が出資し1人1票の議決権を持つ非営利法人である。
信用金庫を支えているのは、会員である地域の出資者で、誰でも預金はできるが、一定額以上の貸付や手形割引は、会員にならなければ利用できない仕組みになっている。
会員の出資金は、株式会社の株に相当するが、株と異なるのは、自由に売買ができず、預金のようにいつでも引き出すことはできない。
さらに預金であれば金融機関が破綻しても預金保険機構で1000万円と利息までは守られるが、信用金庫への出資金については対象外となっている。
しかし、信用金庫は非営利法人なので、利益が出たら地域経済や出資者に還元しなければならなので、この低金利時代でも3~5%と高い配当を出している信金も多い。
バブル時代には、10%近い配当をだしていた信金もあったという。
既に会員として出資している場合も、追加融資で出資金を増やす「増口」もできる。
デパートの友の会の積立は、12ヶ月積み立てれば13ヶ月分の利用券が貰えるのが一般的である。
月々1万円を12ヶ月積み立てて13万円の利用券が貰えるので、利率換算すると実質年率は15%を超える。
1年間預けるのは最初の1ヶ月目の1万円だけで、毎月預ける期間が短くなるので、最後の月は1ヶ月しか預けないので、単純に12万円が13万円になり利回りが8%という訳ではない。
つまり12万円を1年間フルに預けた時の利回り8%の倍の15%になるのである。
スルガ銀行では、インターネット支店「ドリームダイレクト支店」で扱う「ジャンボ宝くじ付き定期預金」に預金をすると、利息の他に当選日本一と言われる宝くじ売り場「西銀座チャンスセンター」で購入した宝くじを自宅に届けてくれる。
預入期間は3年で、100万円、300万円、600万円、900万円の4コースがあり、100万円預けると年間ドリームジャンボ5枚と年末ジャンボ5枚の10枚が、3年間で30枚もらえれる。
300万円だと90枚、600万円だと180枚、900万円だと270枚もらえる。
普通の宝くじを買うように連番でもバラでも選べるようになっている。
ちなみにこの宝くじは、福徳の神が祀られている静岡県三島市にある三嶋大社で発売当日に当選祈願をしており、1999年の取扱い開始以来、億万長者は11人、10万円以上の当選者は1305人もいるという。
100万円の当選本数だと、2014年は2おほん、2013年は18本、2012年は25本もいる。
当たり年だった2012年には、1等1億円が2本、1等前後賞500万円が4本もでている。

2016年2月2日火曜日

2014年のデータによると、後見人になった親族が判断能力が衰えた身内の高齢者から横領したお金は、全国で50億円という。
これは犯罪として捕まった事例の合計なので、氷山の一角でしかない。
最高裁判所の統計によると、2014年に成年後見人等(成年後見人、保佐人、補助人)に就任した人のうち、全体の35%が「親族後見人」で、本人の配偶者、親、兄弟姉妹及びその他の親族が就任している。
一方、第三者が成年後見人に仙人されたのは全体の65%で、親族後見人を上回り、弁護士、司法書士、社会福祉士などの第三者の「専門職後見人」が占める割合は、毎年増加傾向が続いている。
年金制度は、現在よりももっと厳しい状況の中でも生き残ってきた制度である。
年金制度は、戦前の恩給制度をルーツにしており、恩給制度は敗戦によって国家が破綻した時も守られた。
また戦時中に作られた厚生年金も、戦後も生き残っており、現在の年金受給者の中には、戦時中に軍需工場に徴用された時の年金をもらっている人も多い。
雑損控除の対象となるのは、災害、盗難、横領による損失だから、地震や火災、台風、水害などによる損失も対象となる。
雑損控除の対象となる資産は、生活に通常必要な資産で、税法上では「生活に必要とされる住宅、衣類、家具などの資産」とされている。
また損失額が大きくて、その年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後3年間の繰越控除が認められている。
なお、自然災害などで原状回復のための修繕は、災害の日から1年以内に修繕したものでなければならない。
他にも、シロアリ退治で5万円以上の費用を支払った場合、豪雪地帯の雪下ろしの費用が5万円以上かった場合も、5万円を超える部分も所得から控除できる。
確定申告は簡単で、災害関連支出の領収書を添付し、火災の場合には消防署が発行する「罹災証明書」、盗難の場合には警察署が発行する「被害証明書」が必要となる。
親に年金収入があっても、税法上の規定で扶養控除に入れられるケースもある。
公的年金収入者の場合、65歳以上の人なら、年金収入が158万円以下であれば扶養に入れることができる。
65歳未満の人の場合は108万円以下となる。
また両親のうち、どちらかが死去して、遺族年金をもらっている場合、遺族年金は税法上の所得としてカウントされないので、遺族年金はいくらもらっていても無収入扱いとなる。
法的に明確な根拠はないにもかかわらず、国税庁は個人事業主の福利厚生費を使えないという指導をしている。
「福利厚生費は家事消費に含まれ、事業の必要経費とは認められない」と主張しているが、所得税法では福利厚生の定義さえ明らかにされていない。
しかし、個人タクシーの福利厚生関係の会費を必要経費に含めてもよいという通知をしている。
また、国税不服審判所の裁決でも、個人事業附しの福利厚生費は否定されておらず、個別に社会通念に照らして妥当かどうかを判断されている。