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2017年1月4日水曜日

トランプは選挙戦を通じて、自分達から職と暮らしと安全を奪った主犯達だとして、「メキシコ、イスラム教徒、日本」を名指しし、低所得層の白人が抱く「不安」を聴衆の前に並べてみせた。
今回の大統領選で可視化された、パワーエリートやエスタブリッシュメントから顧みられることのない人々の「不安」を背景に、トランプは、自分の国内政策が上手くいかなくなると、国内にアメリカの敵を探し始める可能性がある。
1950年代前半に、アメリカで吹き荒れた狂騒的な反共主義現象だった「マッカーシズム」のような歴史は繰り返す、という反復現象が起こるかもしれない。
アメリカは本来、尖閣諸島を日本領だとも中国領だとも認めていない。
オバマ政権時代にアメリカが尖閣諸島ほ日米共同防衛の対称にすると明言したのは、民衆党政権時の前原誠司外相が対米交渉で引き出したのである。
トランプが大統領に就任すると、日米同盟の見直しが、経済負担の面から語られる可能性がある。
安倍政権にとって、トランプ新政権の誕生は、沖縄の基地問題についてはマイナスに作用しそうである。
トランプ現象を読み解くキーワードとしてFBI(連邦捜査局)がある。
FBIは米国内で捜査を行い、国家の安全保障に関わる公安事件、連邦政府の汚職事件、広域事件などを扱う司法省が管轄する法執行機関である。
クリントンの私用メール問題がFBIとの関連で重要な意味を持つ。
<私用メール事件の概要>
2016年5月にクリントンが国務長官在任中に私的に設けたメールアカウントを経由して、公務のメールを送受信していた事について、国務省セキュリティー当局の慈善商人を受けていない事が明らかになった。
そもそも公務で私用メールを使うことが国務省の規制に違反していた。
既にFBIは機密漏えいの有無や極秘情報の取扱いに関して捜査に着手していた。
国務省はクリントンが私設アカウントを経由して送受信したメール約3万通のうち、7通を再興機密にあたる極秘扱いに指定した。
ちなみにオバマ政権で国防情報局長だったフリン氏が「私なら大統領選を辞退して恐らく監獄に入るだろう」と非難するくらい深刻な問題だった。
7月5日、FBIのコミー長官は、クリントンの国務長官在任時のメールの扱いについて「捜査の結果、訴追には値いない」と捜査終了宣言を行い、翌日にはリンチ司法長官が訴追しないことにしたと発表している。
ところが、10月28日に、FBIは新たなメールが見つかったとして捜査を再開し、そして大統領選投票日の前日の11月6日に、再度コミー長官が捜査終結宣言をした。
<事件の真相>
クリントンが大統領に就任すれば、私用メール問題に触れる事ができなくなるので、それまでに捜査を進めようとした所、オバマ政権から想定外の捜査妨害が入り恐怖を感じ、FBIはクリントン大統領からの報復を受ける前に、大統領になる芽を潰すために「全面戦争」に突入した。
そして、FBIはクリントンに最もダメージを与えるタイミングとなるよう、日本で言う指揮権発動がされたように国民が受け止める、大統領選挙投票日前日に捜査終結を宣言したのである。
結果的に、トランプを大統領に当選させた最大の立役者は、FBIだったということになる。
トランプ当選直後の2016年11月17日に、安倍総理はニューヨークのトランプを訪ねた対応は、極めて稚拙だったと言わざるを得ない。
なぜならば、2017年1月20日までは、オバマが大統領だからである。
安倍総理はロシアとの間で、北方領土交渉を前に進めたいと考えているが、オバマ大統領は2016年2月に訪ロしようとする安倍総理に対して、自粛を求めており、支持していない。
トランプが大統領選挙で当選を決めた途端に、ロシアはシリアにおける無差別爆撃を再開しており、オバマは人道上、ロシアの武力行使を問題視している。
この状況下で安倍総理がトランプに会うことが、日米同盟に与える影響を冷静に考える必要があった。
渡米前の11月16日に、安倍総理は公明党の山口那津男代表に「TTPが米国や国際社会、日本にとって大事だとトランプ氏に伝えたい」と話したという。
トランプが「大失敗の合意」と呼ぶTTP離脱は、選挙公約の大きな柱である。
11月17日の会談内容は非公表とされ、「安倍政権幹部によると、今回の会談はトランプ氏の本音ほ聞き、信頼関係をつくるのが目的だった。首相は日米関係や世界情勢をめぐり自分の考えを説明し、トランプ氏は聞き役に回る事がおおかったという」と報道された。
つまりトランプの本音を引き出すことはできず、成果らしい成果は得られなかったのである。
そして5日後に、トランプはビデオメッセージで「大統領就任初日に、TTP脱退を通告する」と述べるのである。
また、アメリカ国内では、安倍総理との会談の場に、長女のイバンカを同席させたことに対し、「政治の私物化」と批判を受けている。
つまり、日本に対しても公私混同を認める、その程度のいい加減な国だと受け止められてしまった。
戦後70年に渡って貫いてきたアメリカの介入主義を、トランプは大統領選中の演説で「米国は世界の警察官をやる余裕はない」と切って捨てた。
17世紀以来、ヨーロッパ大陸の宗教紛争や国家間の対立を逃れてアメリカに渡ってきたアメリカ人の精神の根底にあるのは、自分達の信仰とその自由を守ることである。
我々はヨーロッパ大陸のことに口出ししないから、我々の事はほっておいてくれ、というのがアメリカの原点である。
トランプが目指しているのは、アメリカを強くすること、アメリカ的な原理を復活させることのようである。
これは日本で言うと「復古維新思想」に通じ、建武の中興や明治維新に込められた精神と同じく、過去に真理を見出し、そこから未来を築いていく、一種の反復思想でもある。
現在、国際社会を席巻している新自由主義は、自由を極度に重視する。
グローバリズムの進展に伴い、限られた巨大多国籍企業が利潤を分け合っている。
世界人口の半分の富が62人の超富裕層に集中していることが話題になっているが、これも新自由主義の進展を表現しているに過ぎない。
自由を何よりも優先する人々にとって、優勝劣敗は当たり前であり、平等は無きに等しく、放置しておけば極端な格差社会が生まれることになる。
『21世紀の資本』でピケティが主張するように、税制や教育制度において、格差を是正するために普遍性を担保しようとするならば、国家の強い関与が必要となる。
マルクス主義の観点から「トランプ現象」を見ると興味深い。
「ルンペン・プロレタリアート」という言葉があるが、『広辞苑』には「資本主義社会の最下層に位置する浮浪的な極貧層」と書かれている。
マルクスは『共産党宣言』の中で、「旧社会の最下層にあるこの無気力な腐敗物」と呼び、『ルイ・ボンパルトのブリュメール18日』では「浮浪人、兵隊くずれ、前科者、監獄部屋からの逃亡人、さぎ師、大道芸人、どん底の貧乏人、すり、手品師、ばくち打ち、女郎の色男、女部屋の亭主、荷かつぎ人足、三もん文士、つまりフランス人がボヘミアンと呼んでいるような、つかまえどころのない、バラバラにされた、いわばあちこちに投げだされた人間の全体」と記している。
マルクスはルンペン・プロレタリアートを蔑んでいる事が分かる。
マルクスは組織化された労働者(プロレタリアート)しか関心を持っていなかった。
現在の日本においても、民進党で言えば「連合」がそれに当たり、マルクス主義に呪縛され、「つかまえどころのない、バラバラにされた、いわばあちこちに投げだされた人間の全体」に目を向けてこなかった。
組織化されていないがゆえに、エスタブリッシュメントや組織人の目には見えない人々を、いかにして味方につけることができるか、この能力が選挙の勝敗を決することになる。
つまり、トランプはマルクスの呪縛から自由だったのである。
「低学歴の人達ず大好きだ」と公言することで、ルンペン・プロレタリアートを結集したのである。
学歴が低いために収入も低い、現状が変われば自分達の未来が開けるかもしれない、と考えた人々が、自分達の望をトランプに托したのである。
評論家の副島隆彦氏は、2016年6月に刊行した『トランプ大東利用とアメリカの真実』で、「5月22日にトランプが大統領になると決断した」とトランプ当選を的中させている。
副島氏は2つの事実に注目している。
1つは2016年5月18日に、トランプがヘンリー・キッシンジャーを訪れた事であり、決定的に重要な事だったと指摘している。
キッシンジャーは1969年にニクソン政権で国家安全保障問題担当大統領補佐官に就任し、フォード政権では国務長官を務め、ベトナム和平を実現させ1973年にノーベル平和賞を受賞している。
今日までアメリカの外交、安全保障政策に多大な影響を及ぼしている大物であり、国家の政策決定を左右できる立場のパワーエリートである。
もし、トランプが本当にとんでもない人物であれば、キッシンジャーが会うはずはない。
キッシンジャーは、多くの知識人や主要メディアが「キワモノ」扱いをしているトランプに会うことによって、トランプが大統領に就任してもよいというメッセージを積極的に出したと見るべきと判断した。
2つ目はトランプとアメリカの仮装白人との呼応関係に注目した。
2016年2月23日に、ネバダ州での勝利演説で「I like people with lower educations.(私は低学歴の人達が好きだ)」というトランプの発言に、集会に参加していた数千人の聴衆が拍手と歓声で答えたていた。
この低学歴、ゆえに低所得層の白人大衆であるアメリカ下層国民の気持ちを掴み、今まで一度も投票に行った事が無い人々を、トランプは惹きつけたと判断した。
これまで一度も組織化されることが無かった層が、トランプに触発された動き始めたと確信したのである。
安倍総理は、米大統領選で外務省が読みを外した事に対して非常に怒っているという。
米大統領選の前日と前々日の日本時間11月7日、8日と連続して、外務省トップの杉山晋輔事務次官が首相官邸を訪れ、「ヒラリー・クリントンが逃げ切ります、大丈夫です」と総理に請け合ったという。
ところが、日本時間の9日に、開票が始まり、トランプ優勢が伝えられ始めた事を知った首相官邸は、「もう外務省の説明は聞きたくない、CNNとNHKを見て情勢を判断する」と言っていたという。
大統領選期間中に訪米した安倍総理は、クリントンには会ったが、トランプはスルーしている。
当然、トランプ当選を想定していなかった外務省の助言を受けた上での行動であった。
トランプは共和党候補指名受諾演説でこのような演説をしている。
「私達が毎晩目にするニュースや朝刊では編集され、報道されない事実をそのままお伝えしましょう。
アフリカ系アメリカ人の子供の10人に4人近くが貧困状態にあり、アフリカ系アメリが人の若者の58%が無職。
オバマ大統領が就任宣言を行った8年前に比べ、現在貧困状態にあるラテン系アメリカ人の数は200万人も増加しています。
また、新たに1400万人が労働市場から完全に外れました。
世帯収入は、16年前の2000年から4000ドル余りも下がっています。
我が国の製造業における貿易赤字は去年だけでおよそ8000億ドルに達しました。これを正さねばなりません。
予算も同様の状態です。
オバマ大統領は、国家の債務を約19兆ドル以上に倍増させ、その額は今も増え続けています。
しかし、その代わりに私達は何を得たというのでしょう。
道路や橋は崩壊寸前、空港は第三世界並み、4300万人のアメリカ人が食料配給券で暮らしています。」
民主主義にこだわる人の多くが、ポピュリズムを非難する。
大衆層が自分達の超えを聞かせようとして、ある候補を押し上げる行動を、ポピュリズムと言って済ませる事はできない。これは民主主義だからである。
人々の不安や意思の表明をポピュリズムと言って切り捨てるべきではない。
民主主義とは、大衆が権力を持つ仕組みであり、ポピュリズムを否定するエスタブリッシュメントではない。
アメリカ大統領には、クリントンではなくトランプが選ばれた。
つまり、民主主義の国とは、国民を経済面で保護する国でなければならないのである。
自由貿易を世界に押し付けて来た国で、自由貿易に異議を申し立てる候補が政権に就くという事実は、思想的に極めて大きな事なのである。
米国では3分の1が高等教育を修め、そして4分の1が高等教育を途中で辞めている。
さらに5分の1が中等教育だけしか受けていない。
この教育格差が階層を形成してきたのである。
米国社会が民主的に思考していた時代は、誰もが読み書きができたうえで、高等教育を受ける人が、ごく僅かだった時代である。
そこには、教育という面では平等な大衆がいた。
現在の米国社会には、教育という面で大きな不平等がある。
一方では誰もが読み書きはできる、しかし他方で誰もが恐ろしく多様化してしまった教育レベルで差別化され、そのことがもたらす緊張が問題となっている。
エリートの富裕層はクリントンを支持した。
他方で、高等教育を受けていても一流大学を卒業してない層は、多額な学費の借金を背負っており、経済的な環境は耐え難く苦しい状況となっている。
米国における経済変化、自由貿易の進展は、受けた教育水準にかかわらず大多数の人々を苦しめているのである。
米大統領選挙で、黒人が支持したヒラリーではなく、白人が支持したトランプが大統領に選ばれた。
しかし、トランプが保護主義的な政策を取れば、それによって恩恵を受ける収入の低い労働者の最初のグループは黒人たちとなる。
自由貿易は不平等を進める経済的な仕組みであり、それが製造業での雇用を破壊したが、黒人たちは特にその業界で働いていた。
つまり自由貿易は黒人のコミュニティーも破壊し、漂流する若者たちり巨大な孤立空間を作り出した。
今回の大統領選挙自体は、白人デモクラシーという従来の枠の中に終始したが、保護主義という考え方の勝利は、米国黒人の社会にとって利益となる効果をもたらす可能性がある。
米国の人種差別撤廃の当初は、民主党も共和党も賛同していたが、その後、民主党は黒人を守り、その有権者の支持を得る政党へと徐々になっていった。
他方で、共和党は黒人の支持わ拒み、白人の支持を呼びかけ、その有権者の支持を集めて来た結果、真の白人政党となった。
福祉国家に敵対的な白人の政党という性格を持つことができたのは、福祉は黒人のためのものと示してきたからである。
これは経済的新自由主義(ネオ・リベラリズム)が普及するために重要なことであり、だから減税もできた。
しかし、トランプは共和党の支持者を、この反黒人という位置づけから抜け出させ、人種のようなシンボルではなく、最優先事項を経済闘争に変化させた。
しかし、民主党は完全に米国政治を人種的なものにし、「私たちこそ少数派、黒人やヒスパニックを代表している」と選挙戦を繰り広げ、黒人であることはとても重要な意味を持つと、人種に重心を置いた方針を継続させた。
黒人がクリントンに投じた票は、オバマの時よりも少し減ったが、その8割以上が民主党を支持した。
今回の米大統領選挙を総括すると、本当に民主的な結果ではあったが、やはり現在も白人の民主主義だということになる。
米国の民主主義はその始まりから、人種的だった。
最初は米国人とは英国人のことだった。
英国人は、平等についてフランス人ほど強いこだわりを持っていない。
しかし、19世紀の米国で平等の概念が発展し、大きな影響を持つに至った。
米国で平等の概念が花開いたのは、その外部に不平等扱いする対象を固定していたからで、それは先住民や黒人である。
この外部の人達がいることで、白人同士は平等になったのである。
米国では白人の間での白人のための民主主義が発展するのである。
米国では、1960年代半ばの人種差別撤廃の後も、人種問題から抜け出せず、依然として白人の民主主義国なのである。
アメリカ人の生活水準は、この15年で下がっているという。
米国の白人の45歳から54歳の一部で死亡率が上っているのである。
米国の有権者の中で、白人は4分の3を占め、この層は不平等や停滞をもたらしたのは自由貿易であり、それが世界中の働いている人をグローバル競争の中に放り込んだ、と理解している。
この自由貿易と移民の自由を問題にする候補者のトランプが大統領に選ばれたという当然のことが起きたのである。
つまりアメリカの有権者は全体として、理にかなったふるまいをし、それを結果に反映させた米国は民主主義国だという事である。
2017年はEU崩壊の年と言われている。
今年いよいよイギリスのEU離脱交渉が開始されるが、交渉はイギリスにとって厳しいものとなる事が予想されている。
また、2017年は欧州各国で選挙イヤーとなっていて、3月にオランダで総選挙、4月から5月にかけてフランス大統領選挙、9月にはドイツで総選挙が予定されている。
2017年はEUが発足してから60周年にあたる。
EUの基盤となった欧州連合条約(ローマ条約)が締結されたのが1957年で、2007年に大々的に「EU50周年」紀念行事が行われた。
EUは1957年の丁酉(ひのととり)に誕生し、2017年の丁酉に崩壊の危機を迎えている。
丁酉(火の鳥)は「フェニックス」、つまり不死鳥はその身を火に溶かし燃え尽きるが、その灰の中から再びよみがえるという。
日本銀行は、国債買入れ以外に、ETFを年間3兆円、J-REITを年間900億円買入れている。
ブルームバーグ社の分析によれば、異次元緩和政策の下で、日本銀行がETFを買い進めた結果、日経平均株価を構成する9割の企業で、日本銀行が実質的な大株主になっているという。
既に日本銀行は、日本株ETF全体の55%を保有している。
厚生労働省が2016年2月に発表した2015年の毎月勤労統計(確報値)によると、物価変動の影響を除いた2015年通年の実質賃金は、前年から0.9%減っている。
速報値と同じで、マイナスは4年連続となっている。
名目賃金にあたる2015年の現金給与総額は0.1%増と2年連続でプラスとなっているが、物価の伸びを下回っている。
実額を見ると、正規労働者の現金給与総額が40万8422円に対して、パート労働者の給与水準は9万7803円しかない。
しかも労働者全体に占めるパート労働者の比率は年々上昇しており、2015年は前年比0/66ポイント上昇の30.48%となり、過去最高水準に達している。
「同一労働同一賃金」とは、どうやら非正規労働者の賃金水準に労働者全体を合わせていくという事のようである。
2016年1月に、安倍総理は年頭記者会見で「この3年間で雇用は110万人以上増え、17年ぶりに高い賃上げも実現し、経費は確実に回復軌道を歩んでいる」と語った・
しかし、実際には安倍政権発足時の2012年10月~12月期と2015年の10月~12月期を比べてみると、非正規雇用者が172万人増え、その一方で正規雇用者は23万人減少している。
有効求人倍率も、総数ベースの全国平均では2015年11月時点で1.25倍になっているが、正社員に限ってみると0.79倍しかない。
そもそも有効求人倍率は企業の求人数を求職者数で割った数値であり、数値が上っているからといって、求人数が増えていると即断してはならない。
例えば、地方で上昇する有効求人倍率は、高齢者福祉や建設関係を中心に求人が増えてはいるが、それらの職を求める人は減っているのが実体である。
求職者数が減っている原因は、条件のよい仕事のある大都市圏への若者の流出である。
高他県では、2014年まで14年連続で県外への転出が転入を上回っている。
県内の仕事は非正規の割合が高く、正社員のみの求人倍率は2015年11月は0.56倍と、全国では沖縄県についで低くなっている。
2014年4月に、安倍政権は「防衛装備移転三原則」を閣議決定し、審査を経て国際平和と日本の安全に寄与すると判断された場合には、日本が武器を輸出することが可能となった。
2014年6月には、パリで始まった兵器や災害対策設備の国債展示会「ユーロサトリ」に、日本は初めてブースを設け、防衛産業を担う13社が出展した。
2015年5月には、日本で戦後初めての防衛見本市が、パシフィコ横浜で開かれた。
英国民間企業が主催したこの展示会は、「MAST」と呼ばれ、海軍関係で世界最大規模の見本市だが、防衛省と経済産業省の後援を受け、三菱重工、川崎重工などの日本企業も出展している。
マイナス金利政策を受け現金の量が増えた結果、日本ではタンス預金のための金庫が売れ、百貨店友の会への加入者が激増している。
マイナス金利政策をいた早く導入したスイスでも、最高額の紙幣である千フラン札(12万円)の発行が急増する弊害が目立ってきているという。
2016年1月28、29日の日本銀行の金融政策決定会合で、マイナス金利政策が決定した。
これまでにマイナス金利政策を導入してきた国は以下の通り。
 
デンマーク  2012年7月~
欧州中央銀行 2014年6月~
スイス    2015年前半~
スウェーデン 2015年前半~
日本     2016年2月16日~
ハンガリー  2016年3月~
こうしてみると、マイナス金利政策は、今や突飛な政策とはいえなくなっている。
長引く超低金利にもかかわらず、銀行の預金産高が増え続けている。
年間10兆円増のペースで過去最高を更新しており、2015年11月末時点で677兆円に達している。
日本銀行の調べによると、預金残高はこの20年で230兆円増え、増加額の9割は個人の預金によるものである。
日本は人口減少時代に入っているが、1人あたりの預金は増えている。
直近の2009~2014年の世帯あたりの増減をみると、全体の半数を占める60歳以上の高齢世帯は平均1351万円で1%増と7万円増えた。
一方で、60歳未満の現役世代は625万円で2%減と10万円減っており、特に40代の減少幅が大きくなっている。