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2018年8月6日月曜日

中学受験の大手塾では、入塾後に定期的に学力テストが行われ、その結果によってクラス替えが行われる。
SAPIXの最大規模の自由が丘校では、「A~R」「α6~α1」まで全部で24クラスあり、同じ塾に通っていても成績によって別々の建物で学ぶことになる。
クラス決めの対象となるマンスリーテストの内容は全員共通だが、一方で塾授業はクラスに応じて扱われる問題レベルが異なる。
上位クラスの子は、マンスリーテストで問われる問題は全て授業で習っているが、それ以外のクラスの子は授業で扱われなかった応用レベルまで出題されるので、順位が低いクラスになれはなるほどテストに太刀打ちできなくなってしまう。
つまり、入塾テストでいかに上位クラスに入るがが重要となるのである。
そのためには3年生の秋頃から、入塾テストとなる国語と算数は、参考書を使った家庭学習を入塾対策として対応せねばならない。
2015年度の中学入試では、「サンデーショック」と言う現象が起こった。
例年2月1日に入試を実施しているプロテスタント校が、礼拝日らあたる日曜日の入試を避けるために、入試日を別の日に移行したのである。
この「サンデーショック」は、ほぼ6年に1度やってくる。
次回は、うるう年の関係で2026年となる。
サンデーショックで最も影響が出るのは、女子御三家の一つである女子学院の入試日が例年の2月1日から2月2日へと移行することである。
それに伴い、2015年の受験では、通常は入試日が同日の桜蔭と女子学院の併願が可能となった。
さらに女子学院の入試が2月2日に実施されたことで、中堅校にも大きな影響が起きた。
女子トップ校の桜蔭の受験者数は、2014年の501人から2015年は629人に増え、女子学院ぱ2014年の714人から2015年は873人に、いずれも受験者数を増やした。
これに対し、万か一に備えて人気が集中したのが、2月3日に十された豊島岡女子学園の第2回入試で、受験者数は2014年の562人から2015年は657人となった。
一方で、例年であれば2月2日に受験者数が多い同校の第1回入試は2014年の1065人から2015年は730人と激減した。
女子御三家の特徴を表すユニークなたとえがある。
もし道に空き缶が落ちてたら・・・
桜蔭生は「本を読むのに夢中で、缶が落ちていることに気付かない」
雙葉生は「そっと拾ってゴミ箱に捨てる」
女子学院生は「その空き缶で缶蹴りを始める」
中学受験の大手四大塾は各塾のオリジナルテキストを使用している。
四谷大塚の『予習シリーズ』はとてもよくできており、丁寧な解説だけでなく、なぜそうなるのかという事が書かれ、通信販売で市販もされており、このテキストを使用している塾も多い。
対照的なのが、SAPIXのテキストで、毎週1冊ずつ小冊子になっており、大手塾では珍しい。
これは、SAPIXの前身であるTAP進学塾の名残で、今では御三家をはじめとする難関校への合格実績数で有名になったが、昔は中規模な塾だった。
そのため大手のように学年毎にまとまったテキストを作る余裕がなく、その週に学習するための教材を講師が寝袋持参で手作りしていた。
このテキストを固定しないメリットは、いつでも気軽に改訂ができるので、常に新しい内容を提供できることである。
近年、中学受験の入試問題は、さらに難易度を増し、問題傾向も多様化しているが、これにいち早く対応できるのが、週毎に1冊の小冊子にまとめたSAPIXのテキストなのである。
アルコール依存症者の平均寿命は52.8歳。

2018年8月2日木曜日

銀行界では「バーゼル基準」という言葉が一般的であり、これが銀行再編の要因となりうる。
バーゼルとは、国際決済銀行(BIS)の本部がスイスのバーゼルにある事に起因する。
BISは1930年に設立され、もともとは第一次世界大戦に敗れたドイツから賠償金を取り立てるための機関だった。
これが第二次世界大戦後に、各国の中央銀行の間に立って利害調整を行う国際機関として機能している。
BISは、58か国の中央銀行が出資する株式会社である。
このバーゼルにはいくつかの委員会があり、そのうち「銀行の健全性」を監督してるのがバーゼル銀行監督委員会、通称「バーゼル委員会」である。
この委員会、あるいはBIS全体を指して、銀行界では「バーゼル」と読んでいる。
バーゼル委員会は、過去に2つの銀行監督基準を決議してきたが、現在は地銀にも関係する3つ目の基準が検討されている。
最も重要なのは「自己資本率」であり、国内のみで活動する銀行は、現時点では4%でよく、海外支店のある国際統一基準銀行は8%必要となっている。
現在検討中のバーゼルⅢでは、これを10.5%に引き上げる提案がされ、施行予定は2019年となっている。
地銀の自己資本率の平均は10%なので、どの地銀もこの基準を楽々クリアできると考えがちだが、バーゼルⅢの基準によると自己資本が減る可能性がある。
その最大の原因が銀行間の「株式持合」で、バーゼルⅢが採択されると他行が所有している自行株については自己資本から控除せねばならくなる。
しかし実際には、地銀は焦っておらず、当局がこの新基準を日本の銀行全てに当てはめる気がない事を知っているからである。
現在でも対象となるのは国際統一基準行のみであり、バーゼルⅢでは厳密に自己資本の充実を求められるのは世界で僅か30行、日本からは三菱UFJ、三井住友、みずほに加えて、野村ホールディングスだけとされているからである。
だが、このバーゼル基準は、そもそも欧州の銀行によって邦銀の力を弱めるために作られたものであり、自己資本が相殺されるというのも、日本の銀行間の株式持合を狙い撃ちしたのは明らかである。
そして、地方銀行間の株式持合が自己資本から相殺されるため、自己資本の絶対額を減らさないために、持合解消、合併により、銀行再編が進む可能性がある。
信金・信組が銀行に業態転換をして金融庁の検査を受けるのを拒むことで、地方金融機関の再編が進まない。
しかし、「金融機関の合併及び転換に関する法律」(1968年6月施行)では、信金・信組のままで銀行と合併することが可能なのである。
この法律は、度重なる改正を経て、現在も有効である。
この法律の「二章 合併」の「二節 銀行と共同組織金融機関との合併」では銀行と信金、銀行と信組合併につて説明されている。
更に「三節 共同組織金融機関と共同組織金融機関の合併」では、信金と信組の合併も想定して条文が書かれてる。
驚くことに、この法律では、信組が銀行を吸収合併する、信金が銀行を吸収合併することまで想定して条文が書かれている。
1968年当時から、強い信金・信組が銀行を買収することを予想していたのである。
実際に、信金・信組の方が、銀行より預金量が多い県がある。
こうした異業態間の合併があると相乗効果は高いと思われる。
信用組合から銀行に転換した事例として、過去に八千代銀行がある。
八千代銀行は、もともと信用組合だったが、1951年に信用金庫となり、1991年に第二地方銀行となった。
金融機関の合併はペストが減るので嫌うトップや役員は多い。
しかし、合併や経営統合ではない「業態転換」を避ける最大の理由は、金融検査にある。
信金・信組の件さ担当は金融庁ではく、地方財務局である。
地方財務局の検査は、金融庁の銀行に対するほど厳しい査問は行われない。
金融庁が進める銀行統合・再編が進まない理由の一つに、地方銀行、信用金庫、信用組合には強い受勲願望があるからである。
その証拠に、多くの地域金融機関のサイトには、誇らしげに理事長や会長の受勲歴が掲載されている。
この受勲への期待が地域銀行の再編を遅らせているのである。
また、地元政治家に頼る銀行の姿勢も上げられる。
日本は一票の格差が大きい異常な状況が改まらないため、地方政治家の数が無駄に多い。
彼らの活動の源泉である政治献金を最も多く出しているのは銀行界である。
関西アーバン銀行、みなと銀行、近畿大阪銀行は三井住友フィナンシャルグループが少数株主となり、りそなホールディングスが過半を出資する中間持株会社「関西みらいフィナンシャルグループ」の下にぶら下がる形で統合した。
関西みらいフィナンシャルグループの出資比率は、三井住友が20%前後、りそなが50%超となっており、実態は三井住友による傘下の二行の売却であることが分かる。
この関西みらいFGの三行統合パターンは、今後も繰り返される可能性がある。
りそなが拠点を持たないエリアの銀行を買収するという戦略が見えるからである。
りそなは首都圏と関西圏がメインであり、今後、全国各地の地銀を傘下に収めていく可能性がある。
銀行の統合・再編において、両行の勝敗を分ける基準は、銀行名が残る、本店が動かない、新銀行の頭取ポストを取る等、どれももっともな判定基準と思わるが、それらはそれほど重要なポイントではない。
重要なのは幹部行員の数と、どちらが銀行で最も重要なポストである「企画部門」と「人事部」を握るかである。
幹部とは次長以上の役職を指し、この数の配分を見れば、どちらが勝ったかハッキリと判る。
そして、どちらの銀行が企画部長と人事部長を取ったかで勝敗は明白となる。
過去、現在にわたり、人事部長と企画部長は銀行幹部の登竜門となる。
銀行員がエリートとみなされる時代は終わった。
今後、銀行の未来を担うバンカーとその他大勢のバンククラークにはっきりと分かれていく。
バンカーの定義は、欧米では支店長以上の銀行幹部のみを指し、支店長代理や調査役と言った職位の人は含まれない。
より厳格に定義すると役員のみと言ってもよい。
しかし、トップダウンではなくボトムアップ型が多い日本の組織では、部次長クラスもバンカーの範疇に含まれる考え方もある。
いずれにせよ、支店ではバンカーは1人だけ、本店でも数十人の単位しかいないのである。
バンカーが、銀行全体の5%しかいない銀行のリーダー層であるのに対し、それ以外は全てバンククラークと考えるべきである。

2018年7月31日火曜日

中学受験塾は小学校3年生の2月からスタートというのがスタンダードだという。
スタートが遅れれば、それだけでリカバリー大変になる、と塾の宣伝には書いている。
東京大学の合格者数が注目されるのは、他に汎用性の高いデータがあまりないからてある。
私立大学の場合、学部と学科によっ入試日が複数あるので、1人の生徒が同じ大学の複数の学部に合格する事が有り得るので、私大の合格者数には振れ幅が大きく、データとして参考にならない。
私大進学者数で比べると、東京大学に多数進学するような有名進学校ほど私大への進学事績が極端に少なくなてしまう。
東京大学の入試日は前期と後期の2回のみなので、入学手続きを取れば後期の受験資格はなくなり、合格者数でみてもダブりは生じない。
ちなみに、東大合格者のデータを見るときには「隔年現象」があることを知ってくべきである。
隔年現象とは、ある高校から大量の東大合格者が出た翌年は合格者が減り、合格者が少なかった翌年は合格者が多くなるという現象である。
つまり、浪人生がどれだけいるかによって、合格者数が変わってくる。
だから東大合格者数で高校を比較する場合は、単年ではなく少なくとも2年平均で見比べるべきである。
福澤諭吉は、『文明教育論』という論文の中で次のような主旨を述べている。
「世界万物についての知識を完全に教えることなどできないが、未知なる状況に接しても狼狽することなく、道理を見極めて対処する能力を発育することならできる。
学校はそれをすべきところであり、ものを教える場所ではない」
学校は、どんな状況になっても落ち着いて対処ができる知性を磨く場所であるべきなのである。

2018年7月29日日曜日

国立の中高一貫校は、公立中高一貫校よりも私立中高一貫校に近い存在である。
公立中高一貫校同様に学費き無料だが、地域の教育委員会の管理下ではなく、国立大学法人の管理下にあるので、独自色が強い。
明治時代から続く伝統ある学校が多く、その点でも私立名門校に肩を並べる。
子供は教えたようになるのではなく、教えた者のようになる。
中高一貫校では、後輩の目に余る行為に対して、教師の代わりに高校生がたしなめる事がよくあるという。
高校生の存在が、中学生のやんちゃに対する適度な抑止力になっているのて、学校の風紀が乱れにくいという。
未来の自分から注意を受け、過去の自分を指導できるようになってから卒業する、というのが思春期において自律を学ぶ、中高一貫校ならではの学校文化なのだという。

2018年7月28日土曜日

2020年度の大学入試改革により、今後、大学受験において益々、中高一貫校が有利になるという。
センター試験が廃止され、代わりに二段階の「到達度テスト」が実施される見込みとなっている。
国公立大学の二次試験において、「脱ペーパーテスト」へという青写真が描かれている。
センター試験に代わる「到達度テスト」は基礎編にあたる「高等学校基礎学力テスト」と発展編にあたる「大学入学希望者学力評価テスト」の二段階で行われるという。
つまり、全社は高校で学ぶべき基礎が身についているかの確認、校舎は大学に入学するために必要な学力が身についているかの確認である。
これらを降雨在学中に複数回受験できるようにして、自分の納得がいくスコアを大学に提出するという構想となている。
中高一貫校は、高校受験勉強に時間を取られない分、中学のうちに高校の履修内容に踏み込んで学習する場合が多く、学力の仕上がりが早い。
灘校では、高1の1月に、高校2年生用のセンター試験を受験する。
早めに「到達度テスト」をクリアしてしまえば、その分、各大学の個別選抜対策に時間をかけることができる。
日本も戦前まではヨーロッパ先進国のスタンダードに準じて、「中学校」と呼ばれた5年制の学校がそのまま中等教育を行う場だった。
現在の大学レベルの教育を行う学校を「高等学校」と呼んでいて、それが「旧制高校」である。
正確に言うと旧制高校は、大学で学ぶためのに必要な基礎教養を学ぶ場だった。
戦前に東京・駒場にあった「第一高等学校」、通称「一高」は、戦後になり東京大学の教養学部という位置づけとなり、現在の東大駒場キャンパスとなった。
せっかく欧米の中等教育に近い旧制中学の制度があったのに、戦後に学制を変更したのは、財政が原因だった。
戦後の財政難により、中等教育を無償義務教育化できず、前期中等教育までを無償義務教育にせざるを得なかったのである。
その結果、日本の中等教育は前期と後期で分断されてしまった。
「中高一貫校」は本来別々の中学と高校を無理矢理合体させた特殊な学校だと思っている人が多い。
しかし、日本の学校制度が「6・3・3制」になったのは戦後のことであり、戦前は「6・5制」が主流だった。
小学校を卒業した後の「5」の部分が、戦後に「3+3」に変化したのである。
「旧制中学」と言われるように、戦前の中学校は5年間だった。
開成にしても麻生にしても灘にしても、戦前からある「中高一貫校」はもともと1つの中学校だった。
つまり、もともと1つだった5年制の旧制中学校を、3年間の新制中学と3年間の新制高校に、無理矢理分離したのが、現在の「中高一貫校」なのである。
だから、開成のような戦前からある学校は「中高一貫校」と呼ぶよりは、中学と高校が別々になっている一般的な学校を「中高分離校」と呼ぶ方が経緯としては正しい。

2018年7月26日木曜日

霞ヶ関では、予算を獲得、消化する事が一義的であり、予算を残して利益として残すという発想は存在しない。
年度内に消化しなかった予算は、国庫に変換する事になるからである。
国富論の第5篇第3章では、「国債が累積した国は、貨幣の金銀の品位を落とすなどの詐欺的行為で、借金を踏み倒す」と述べられている。
現代のにおいて、国債が累積した国は、経済成長とインフレによって切り抜けるしかない。
しかし経済成長とインフレでは追いつかない程の国債を発行している国でよく採られるのが、通貨レートの切り下げである。
ドル円は、40年前までは1ドル360円だったが、アメリカの度重なるドル切り下げにより、現在は110円で取引されている。
ドルの対日本円の価値は、この40年で3分の1に下がっている。
つまり、米国債を買ってきた日本政府はこれで大損しているのである。
アベノミクスの円安容認政策は、通貨の切り下げ政策ともいえる。
現在の日本の不動産に関する税制は、富国論の提言に真っ向から反対する理屈で、固定資産税は用いられている。
日本の固定資産税は、住宅に関しては通常の6分の1になる減免制度がある。
これは貸家や賃貸アパートにも適用されており、その理由は「もし固定資産税を普通に課せば、その分が家賃に反映されてしまう」という理屈となっている。
しかし、アダム・スミスによれば、家賃税を課しても、それは建物の所有者の利潤が減るだけであり、家賃には反映されないはずなのである。
実際に、日本でも戦後の一時期、固定資産税を非常に高くしていた時期があった。
その時は不動産業者の多くが廃業し、貸家による儲けが減ったため、家の価格が非常に下がり、持ち家率が上昇している。
つまり、それなりの固定資産税を課すことは、家賃を上げることにはならず、貧富の差を解消する方向に向かうということが過去のデータからも分かっている。
それに関わらず、現在の日本の住宅固定資産税には大きな割引制度が設けられ、先進国の中では非常に低い税率となっている。
富国論では、導入すべき公平な税として「家賃税」が挙げられている。
これは家賃収入に対して一定の割合で課される税金のことである。
当時のイギリスでは、都心部の多くの土地を一部の貴族が所有しており、金持ちの多くが借家に住んでいた。
国富論発刊から100年後の1872年時点でも、イングランドとウェールズでは国土の7割を僅か1万数千世帯が所有していた。
イギリスの土地所有は、相続税が創設される1949年まで、そのような状態だった。
国富論では、生産性を上げることが国を豊かにする鍵だとし、生産性を上げるために国民の質を高めるのが最大の要素となると述べられている。
国富論は、いかに優秀な国民を育てるかということが、サブテーマといえるほど重視して書かれており、教育の重要性が繰り返し述べられている。
日本が明治維新以降に急成長できたのも教育制度を整えたからだといえる。
明治新政府は、わずか数年で義務教育制度を整え、明治中期には大半の子供が教育を受けることができた。
日露戦争当時、日本はロシアよりも遥かに識字率が高かった。
国富論の第4篇第3章で、貿易収支は二国間だけの収支でかんがえるべきではないと述べられている。
二国間の貿易収支の悪化を理由に、相手国からの輸入を制限することの不合理さを説いている。
「フランスからの輸入が多すぎるからと言って、フランス産のぶどう酒やフランス産の繊維製品の輸入を制限すると、質が悪く高額なポルトガル産のぶどう酒や繊維製品を輸入する羽目になりかねない」
「それはイギリスの国全体で、質がわねく安いものやめ、質が悪く高いものを買うということになる」
と具体的に述べられている。
現在の米国の中国への関税制裁は、1776年に国富論で否定されている対応なのである。
アダム・スミスと同じく、ケインズも後年、イギリスの植民地からの撤退を提言している。
イギリスと植民地の財政状況、貿易状況を分析し、植民地は異議留守本国の経済を疲弊させていると、植民地政策に反対している。
自由な経済活動を推奨したアダム・スミスと、不景気時には国の財政出動によって需要を作るべきというケインズは、正反対のような見方をされる。
しかし、両者とも国や国民を富ますためにどうすべきかを目的に掲げ、当時の経済商況を詳細に分析して方策を探りだしたという点で共通している。
時代が違ったため違う方策が導きだされたに過ぎなかった。
国富論の時代は工業化が進んでおらず、不景気による大量失業という現象は無かったので、ケインズのように「失業」はあまり重要ではなかった。
ちなみに、ケインズはアダム・スミスのことを敬愛しており、偶然にも誕生日が同じだったことを生涯誇りにしていたという。
アダム・スミスは1723年6月5日生まれ、ケインズは丁度160年後の1883年6月5日生まれだった。
国富論が出版された1776年は、アメリカ独立戦争の真っただ中だった。
当時、イギリスのアメリカ植民地ではイギリスの税金が課されていなかったにも関わらず、フランスの植民地と接していたので、小競り合いが絶えず、膨大な経費を使ってイギリスはアメリカの植民地を防衛していた。
アメリカの植民地にはイギリス議会の議員は配分されていなかったので、「代表なくして課税なし」という理屈で、アメリカの住民は課税を拒否していた。
そこで、イギリスはお茶を専売品とすることで、間接税を課そうとしたところ、アメリカの住民はそれを拒否し、フランスの支援を仰いで自靴戦争に踏み切った。
アダム・スミスは、この結末を見越したかのように、植民地からの撤退を提言していた。
国富論が発行されたのは、アメリカ独立戦争終結の7年も前だった。
「植民地を合併させる」というと支配を強めるといったネガティブなイメージが持たれがちだが、本質的には「その地域を自国と同じように扱う」ということである。
植民地とは「支配と搾取はするが統治に責任は持たない状態」であり、合併は「現地の人々の権利や安全を保障する」というとになる。
現在の日本では、戦前の朝鮮が日本の植民地たったと言われることがあるが、合併状態であり、日本人と朝鮮人は同様の権利を持っていた。
朝鮮人にも日本人と同様に参政権があり、昭和7年には朴春琴(パクュングム)氏が、東京4区(深川)から民族名のまま立候補し、当選している。
昭和20年には朝鮮半島にも衆議院の議席が22議席与えられている。(終戦により、この制度での選挙は一度も実施されなかった)
戦時中の朝鮮の就学率は6割に達しており、欧米の植民地と比べると驚異的に高かった。
イギリスの植民地だったインドでは、1947年の独立時には就学率は3~5%しかなく、当時のインド人にとってイギリス議会の参政権など想像もできない状態だった。
もちろん、日韓併合は朝鮮人が望んだものではなく、戦前も様々な差別はあったので、合併にも問題点があることは指摘されている。
アダム・スミスは、国富論の中で「植民地今のままにしておくべきではない。正式に合兵して本国と同じような責任を持った統治をしたうえで税を徴収せよ。それができないのであれば、潔く手を引け」と提言している。
アダム・スミスは、当時繁栄し始めていた来たアメリカについて、イギリス政府が建設したのではなく、イギリスでの迫害に耐えかねた清教徒やカトリック教徒が作ったのだと述べている。
アメリカに自由が与えられたは、当時の北アメリカが植民地して、それほど重要ではなかったからである。
18世紀までのアメリカは、金銀の鉱山があった南米、貴重な香料が採れた東アジアに比べて重要ではなかった。
アメリカでゴールドラッシュが起きたり、巨大な油田が発見されたのは、独立以降のことである。
もし来たアメリカで、早くから資源が発見されていれば、経済的な自由は与えられず、イギリス政府肝いりの独占貿易会社によって他の植民地と同様に支配されていたかもしれない。
イギリスは、他国への侵攻や植民地など非人道的な事を多々行ているが、自国民の自由や人権の保障につしては、間違いなく世界で最も早く制度を整えたといえる。
1215年にはマグナ・カルタにより「国王が勝手に課税できないこと」「国民は法か裁判によらなければ生命や財産を侵されないこと」「事業や交易の自由」などが完全ではないが認められている。
これはフランス革命に先立つこと約600年となる。
そして1628年の「権利の請願」、1688年の「名誉革命」を経て、国富論の時代には、国民の自由や人権の保障は、ほぼ現代に近い形で認めらていた。
それが、イギリスの経済的な成功の一番大きな理由であるとアダム・スミスは述べている。
つまり、自由や人権の大切さを経済的な面から解き明かしたのである。
国富論では、全編を通うじて、自由や人権の大切さか訴えられており、思想書でもある。
国富論で有名なフレーズである「神の見えざる手」と言う文書は、第4篇の第2章にあり、中盤にならないと出てこない。
つまり、本人はそれほど重要な言葉だと思って書いた訳ではないのである。
「個人が利益を追求することが即ち社会の利益にもつながる」
といったこの文章だけを読めば、「自分の利益を追求することが社会にとって一番いい」と解釈し、強欲的資本主義者の免罪符として用いられてしまった。
しかし、この文書が入っている第4篇第2章は、「独占貿易」「輸入規制」への批判がテーマとなっている。
この章で、アダム・スミスは、イギリス政府がやっている独占貿易と輸入規制を廃し、自由取引をしたほうが結果的に国のためになるという主旨で書かれており、その表現の一つとして、「神の見えざる手に導かれて」という言葉を使っている。
あまくまでも、政府が行っている独占と輸入規制を辞めさせるための論法の一つだったのである。
国富論の全編を通して読めば、「神の見えざる手」というのは、「人はただ自分の利益追求だけを考えればいい」という主旨でない事は明らかである。
国富論では「資本家は労働者よりも強い立場なのて、賃金の決定にも大きな力を持っている。しかし、資本家は労働者が家族を養えるだけの賃金は必ず払わなくてはならない。それは妻と子供2人を育てるだけの賃金である」と述べられている。
また「家の仕事がある妻は働き手として換算してはならない。そして、子供4人分程度(当時はイギリスに限らず子供の死亡率が高かった)の生活費は必要かもしれない」ともつなげている。
アダム・スミスの推奨する「自由な経済活動」というのは、最低限度のモラルが当然守られるという事を前提としている。
アダム・スミスの『国富論』の約100年後に、カール・マルクスの『資本論』が刊行される。
経済学を代表するこの2つは、お互いに正反対にあるかのように位置づけられることが多い。
しかし、アダム・スミスも、マルクスよりも100年早く、労働者は資本家よりも弱い立場にあることを明確に認識していた。
そして、資本家と労働者の決定的な対立を防ぐ方法として、労働者の生活費の保証を資本家に求めた。
この解決方法として、マルクスは「経済を全て共産主義政府の管理下に置く」という方法を主張し、アダム・スミスは「モラルのある経営」を求めた。
また、国富論では「政府が経済に関与することの害悪」も大きなテーマの一つとなっており、みかたによっては共産主義の破綻を見越していたともいえる。
国富論というと、「神の見えざる手」という言葉ばかりが独り歩きする。
この「神の見えざる手」という言葉は、「経済活動は全て自由にすれば、自然に調和が保てる」という意味で使用されがちであり、近年の強欲的な資本主義を肯定する言葉として使われている。
しかし、「神の見えざる手」という文言は、国富論の中の一部に出てくるだけで、国を豊かにする基本原則としては、「生産性の向上」と「適切な配分」が必要であり、その手段の一つして「自由な経済活動」を挙げているに過ぎない。
国富論では、経営者が労働者に払わねはならない賃金基準についても言及している。
また、それぞれの階層の人が公平だと感じる「適切な交換」とは何かを具体的に追究し、しかも、それは人として当然のモラルを守るということが前提とされている。
国富論では、2つのことがテーマとなっている。
1つは「生産性を上げるにはどうすればいいか」。
2つ目は「生産物がどうやったら上手く分配できるか」である。
そのため、国富論の冒頭では、「我々が原始人よりも遥かに豊かな生活を送れているのは、生産性の向上と適切な分配のお陰である」と述べられている。
「交換」は「技術革新」と同様に、人類の発展に欠かせなかった。
『国富論』の正式名称は「An Inquiry into the Nature and Causes of the Wealth of Nations」である。
直訳すると「国富の性質と原因の調査」となる。
国富論では全編に共通して「国民全体が豊かにならければ、国は豊かにはならない」といる原理原則がある。
これは理論というよりも、「最低限の常識」「当たり前の前提条件」として扱わている。
そして、国富論では「国民全体を豊かにするにはどうすればよいか」という主旨で書かれている。
アダム・スミスは経済を自由にすべきと述べている一方で、「課税負担は富裕層に多くなるのが自然である」とハッキリと明示している。
アダム・スミスは、1759年に商業的にも成功を収めた『道徳感情論』を出版している。
この道徳感情論は、人の感情が社会に及ぼす影響を分析した心理学の原型ともいえる内容である。
「共感や憐憫の情が安定した社会を作るための大事なスキームである」という考え方と、17年後に出版した『国富論』では「個人的利益を追求すれば社会は幸福になる」という考え方は、一対であり両方の大切さを訴えている。
『国富論』は『道徳感情論』よりも更に成功を収めたため、アダム・スミスの代名詞が『国富論』となってしまい、「個人的利益を追求すれば社会は幸福になる」だけが、拡大解釈されることになってしまった。
不動産投資で30年のローン返済がある場合、金利が高いスルガ銀行では最初の10年、他行では最初の15年の返済期間が経過すれば、銀行としては融資全体で得られる利息の半分近くの回収ができていることになる。
1億円の借入がある人が、20年返済して残債が4000万円まで減り、そのタイミングで破綻した場合、物件は任意売却となる。
例えば、この場合に、銀行が融資期間30年で1億円を融資し、全期間の合計利息が6000万円だったとすると、返済期間が20年経過すると全体の利息6000万円のうち、5500万円近くの利息を回収しており、ほぼ儲けを得ていることになる。
だから4000万円の抵当が残っていて、仮に物件が3000万円で任意売却となり1000万円の不良債権が出たとしても、それまでに回収した金利分と相殺して全体でプラスになっている。

2018年7月21日土曜日

米国では、預貯金が1万ドル未満しかない人が全国民の43%を占め、退職を先延ばしている労働者は25%、給料日から給料日へと食いつないでいるサラリーマンは全体の61%にも上るという。
米国ではペーパーアセットの形で積み立てた年金プランから、ベビーブーマー世代が生活費を引き出し始めている。
これを一つの引き金として、株式市場の暴落と老後の危機が起こるという。
これは年金改革の歴史に原因がある。
米国では1974年に、「従業員退職所得保障法」(エリサ法)の可決により年金法が改正され、企業は将来もらえる給付額が決まっている「確定給付年金」から、支払う掛金の額は決まっているが給付額は決まっていない「確定拠出年金(401K)」へ移行することとなった。
401Kとは1978年り米国内国歳入法の条項名にちなむ。
1974年までは、企業は年金を保証することで、従業員の長年にわたる忠誠と勤労に報いていたので、従業員は老後のために自分で蓄える必要がなかった。
だが、この年を境に、フィナンシャル教育を全く受けていないのに、従業員は稼ぎの一部を年金口座で運用する投資家になることを義務付けられた。
401kは年金とは名ばかりで、課税を繰り延べた貯蓄に過ぎない。
真の分散投資とは、ペーパーアセットだけではなく、次の4種類の全てに投資することである。
1.ビジネス
 キャッシュフローを生む自分のビジネスを持つ。
2.不動産
 キャッシュフーを生む投資物件を持つ。
3.ペーパーアセット
 市場が上昇しても下降しても儲かるテクニカル投資をする。
4.コモディティ
 金や銀、石油などの商品で投資のリスクヘッジをする。
そのうち1つか2つの資産については、投資に精通した専門家レベルに到達せねばならない。
ユタ州立大学の調査によると、夫婦喧嘩の最大の原因は「お金」だという。
また「お金に関するストレス」は非常に大きなものであり、1週間に一度はお金のことで口論する夫婦は、離婚する確率が30%上昇するという。

2018年7月20日金曜日

分散投資は、無知に対する防衛策だ。
by ウォーレン・バフェット

2018年7月19日木曜日

4000年の歴史の中で、日本が中国のGDPを上回っていたのは、この100年くらいで、あとは中国の10%程度の経済規模の国だった。
中国ではアリババは4.5億人、テンセントは8億人分のデータベースを持っているので、近いうちに銀行業に本格進出する可能性がある。
日本の銀行は簡単に買収されてしまう恐れがある。
アリババの金融子会社アント・フィナンシャルの余額宝(ユーイーパオ)と呼ばれるMMFは既に世界最大の20兆円規模になっており、4%を超す利回りを提供している。
アリババは銀行三大業務(預金、決済・送金、融資)の全てをAIの最新技術を使って提供しており、実質的に世界最大の銀行なのである。
アリババの金融部門であるアント・フィナンシャルは、個人の信用状況を数値化する芝麻信用(セサミ・クレジット)を開始している。
公共料金やネットショピング等の支払い状況にSNSでの言動や学歴、雇用履歴などを加味して、そのことのクレジット・スコアを算出するという。
スコアは自分で確認できるだけではなく、公開して第三者に自分の信用力をアピールすることもできる。
スコアが高い人は、シェアイクルや電気自動車レンタル補償金免除、住宅賃貸時の敷金減額など、各種特典やサービスが受けられる。
リクルートは1960年の創業以来、情報産業の先端を走り続けているが、この会社の特徴の一つに「38歳定年制」というのがある
辞めさせる際には、1000万円の退職金が支給されるので、多くの元リクルート社員は、その1000万円を元手に事業を起こすのである。
中にはリクルートがその事業に投資するケースもあるという。
リクルートの社員は、新卒入社後から15年間で自分で食える力をつけて、事業アイデアを考えねばならないので、必死で働き、新しいことに挑戦する。
だから、他社とは社員の成長の度合いが違ってくる。
優秀な人材に対しては、たとえ新卒でもそれに見合う報酬を払うのが、世界標準となっている。
例えばインドの理系大学トップのインド工科大学(IIT)の学生に対して、グーグルは年俸16万ドルを提示している。
月給160万円である。
ファーウェイの深圳本社では、新卒エンジニアの初任給は80万円である。
アマゾンは、シアトル本社が手狭になり、第二本社の建設場所を指しているが、平均年収が10万ドルの社員が5万人規模となるので、全米270の市町村が誘致活動をしているという。
働き方改革で、残業に60時間の上限を設けるという。
60時間を超える残業代を計算すると8.5兆円となり、これはGDPの1.6%に当たる額である。
つまり、残業の上限を60時間にしてしまうと、GDPが1.6%減ってしまうのである。
殆どの日本人が大学までの知識で一生食べていけると思っていて、社会人になってからもう一度、学び直すという発想がない。
先進国では社会に出ても50%の人が学校に戻るが、日本では2%に過ぎない。
日本政府はリカレント教育に、5000億円を投入するというが、定年間際の人達に20年前の成功体験を教えても意味はない。
2017年12月に、三越伊勢丹ホールディングスは、48歳以上の社員を対象に退職金に最大5000万円を加算する早期退職制度を新設すると発表した。
退職金と合わせれば、1人当たり約1億円となる。
日本の大企業で、正社員を辞めさせるのには、これくらい大変なことなのである。
企業トップは、自社の中堅社員を再教育しても使えないと諦めているので、1億円払っても消えてもらいたいのである。
日本の大企業では、既得権益を握った上層部が次の世代を処分するような事が平気で横行している。
中国の深圳は、昔は香港フラワーを作る香港の裏庭的な街でしかなかった。
しかし、現在は人口1300万人の大都市となり、GDPも香港を上回っている。
深圳には世界中から起業家とファンドが集まり、IPOの申請が年間1万社になっている。
深圳に本社を置く有名企業には、ファーウェイ、テンセント、DJI(ドローン)がある。
現在の中国にとって最大の課題は、非効率な産業をいかにして整理するかである。
鉄鋼、石炭、ガラス、コンクリート、アルミニウム、造船、太陽電池、風力発電、石油化学の9業種が、需要を遥かに上回る過剰な生産能力があると指摘されている。
例えば、中国の鉄鋼生産能力は8億トンだが、世界で必要とされている鉄鋼の量はわずか2~3億トンに過ぎない。
未だに過剰な生産能力を維持している理由は、国営企業だからである。
政府としては、雇用を生み出す新たな産業を用意しない限り、たとえ生産が過剰であっても、工場を稼働し続けるばならないのである。

2018年7月16日月曜日

プーチン大統領にとって極めて都合の悪いことがアメリカで起こった。
ロシア国営企業の不正を告白した弁護士が、拘束中に暴行を受けて死亡した事件である。
これを重大視したオバマ大統領が、ロシアで人権侵害にかかわっつた人間に対し、資産凍結等の制裁を科す「マグニツキー法」を2012年に整理させてしまったのである。
これにより、アメリカにおける自分の資産が動かせなくなったプーチン大統領は、何とかマグニツキー法を廃案に追い込むべく、2016年の米大統領選前に、極秘裏にアメリカに2万人の特殊工作員を送り込んだという。
このうちの何人かが、密かにトランプ陣営に潜り込んだのである。
工作員らは、マグニツキー法廃案と引き換えに、ヒラリー・クリントン陣営に対してサイバー攻撃を仕掛けるなどの不当な工作を引き受けたと言われている。
今後、捜査が進み、トランプ・ジュニアや娘婿のジャレット・クシュナーが黒となると、トランプ大統領への弾劾訴追は免れないため、政権を投げ出す可能性は高い。
結局、トランプ大統領にとって、大統領という仕事はファミリービジネスでしかなく、アメリカ大統領を務めたという事実をファミリーの歴史に書き込むことが最大の重要事項なのであり、既に実現してしまったのである。
米ハフィントンポストによれば、世界一のお金持ちは、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツではなく、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領て、保有する個人資産は20兆円だという。
パナマ文書には、2兆円を置いていたサンクトペテルブルクのシンフォニーオーケストラに所属する一介のチェロ奏者の名前があっが、この2兆円の本当の所有者はプーチン大統領だった。
彼はプーチン大統領の幼馴染みにして無二の親友であり、プーチン大統領は彼の名義を借りていたのである。
世界各国で、大衆の不安や不満を利用するポピュリズムの台頭が顕著であり、世界は明らかに右傾化、独裁化の傾向が強くなっている。
2017年に最も独裁の度合いが進んだのは、中国の習近平国家主席である。
習氏は自らを「核心」という最高位の呼称で呼ぶようになった。
つまり、自分は毛沢東と同じ終身独裁者になると内外に宣言したのである。
自分を忖度してくれる側近で回りを固めるのが独裁者の特徴だが、そういう意味では安倍首相も含まれる。
「この道しかない」と言いながら、肝心の「この道」の定義は曖昧なまま、それでいて勢いだけで選挙を圧勝するというのは、まさに独裁的なポピュリストの姿である。
米ニューズウィーク誌は、特集記事でトランプ大統領の就任1年目を「BAD」と一言で総括している。
2018年の見通しは「WORSE」、つまりさらに悪くなる。
その結果、トランプ大統領は3年もたずに失脚すると同誌は予測している。
2018年は7月にメキシコ、10月にブラジルで大統領選が行われるが、今のところ反アメリカを掲げる候補者が、いずれも優位に立っている。

2018年7月14日土曜日

日本の金融機関では毎年700億円を超える休眠口座がある。
口座を持っている本人が亡くなり、配偶者や子供がその口座の存在を知らなれば、休眠口座となる。
さらに所有者不明の土地も増加しており、2016年には総面積が410万ヘクタールと九州を上回る規模となっている。
このままだと2040年には、北海道本島(780万ヘクタール)の面積と等しくなるという算出結果もある。
アクサ生命保険の調査によると30代と40代の8割が、自分や家族の将来について不安を感じているという。
だから30代から消費を控え、老後に備えて貯金に励む。
他国ならは、フラット35のような年1%台の35年長期固定金利を利用できる住宅ローンがあれば応募が殺到するだろう。
中国では数字の1が4つ並ぶ11月11日は「独身の日」と呼ばれ、主だったECサイトが一斉にバーゲンセールを行う。
2016年の独身の日にトップの売上を達成したのは、アリババのTmallで、1日に1207億元(1兆8830億円)だった。
2017年もTmallが1位を更新し、1682億元(2兆8590億円)だった。2位の京東集団のJD.comは1271億元(2兆1700億円)と一年前のTmallの売上を上回った。
このように中国のEコマースは急拡大をしており、現在では年間500兆円という日本のGDPに匹敵する額の取引がネットを通じて行われている。
アメリカでは、2018年から法人税率が35%から21%に引き下げられる。
さらにアメリカ企業が海外子会社に貯めている資金をアメリカ国内に還流させる場合は非課税とし、逆に海外に置いている資金への課税を強化するという。
これによって海外からアメリカに2.5兆ドルのお金が戻ってくると試算されている。
高金利が引き寄せる世界のお金と、自己企業が海外に逃がしているお金の還流のダブル効果によって、この先アメリカは空前の好景気に見舞われる可能性がある。
現在、世界の運用資産は100兆ドルを超えている。
2025年には145兆ドルと、現在の世界のGDPの2倍にまで膨らむ見込みとなっている。
欧米先進国の賃金がここ20年で2倍になっている中、日本だけが5%近くマイナスとなっている。
しかも一人当たりGDPはOECD平均を下回り、ギリシャよりも低くなってしまった。
この間のデフレで物価か上がらず何とか生活ができてきたのと、体制に逆らわないよう国民に教育を徹底してきた文部科学省の素晴らしい教育行政のおかげで、政策の失敗や糾弾するデモや暴動が起こっていない。
川崎市中原の武蔵小杉エリアが発展する最大の契機となったJR横須賀線武蔵小杉駅の新設は、受益者負担のあり方という点で非常に興味深い。
同駅は地元川崎市がJR東日本に駅の新設を頼んで実現した「請願駅」といわれるもので、頼んだ側が設置費用を負担せねばならなかった。
新設する横須賀線ホームや駅前ひろばの整備は川崎市、南武線との接続通路はJR東日本の負担となっていて、川崎市の国庫補助を除く実質負担分は120億円程度と、川崎市民一人当たり8500円の負担となった。
しかし、川崎市民船体が均等に負担した一方で、街が便利になって地価が上がり利益を受けたのは、このエアリに住む一部の州民だけである。
武蔵小杉エリアの再開地区の地権者は、高騰必至のタワーマンションの部屋があてがわれている。
また、川崎市は一部のマンション開発業者に新駅設置費用について負担を求め、このエリアでマンション開発を行っていた大手不動産ディベロッパーとゼネコンが応じ、実質的に20億円を負担している。
もちろんこの負担額は分譲マンションの価格に当然転嫁されている。
近年、日本郵政の合理化策により消印を押す郵便局の集約が進んだ結果、ポストに投函した場所とは異なる地域の郵便局名で消印が押されるケースが増えている。
例えば、横浜市港南区・磯子区は全域で、港南区の一部でポストに投函すると「川崎東」の消印が押されてしまう。
イメージのよい横浜市に住んでいて、そこから投函しているのに、消印が川崎になってしまうと横浜市民のアイデンティティが奪われ、生活圏が川崎と思われたくないという、横浜市民がいるという。
ある自治体が全国平均からみて財政が豊かで余裕があるからといって、他の自治体よりも住民税が安くなることはない。
なぜならば、住民税は国税である所得税にのように一人ひとりの所得額を基準に算出され、原則として全国一理となっているからである。
ただし、名古屋市のように自治体か独自に減税条例を定めて独自に住民税を下げることは可能である。
東京競馬場(府中市)や中山競馬場(船橋市)など、中央競馬を運営しているのは、日本中央競馬会(JRA)であり、競馬場が立地する自治体に落ちるのは、施設にかかる個性資産税と地元の環境整備のための寄付金・交付金にすぎない。
面白いことに、府中市は市内に立地する東京競馬場と多摩川競艇場の運営には無関係なに、大田区にある平和島競艇場を運営して収入を得ている。
日本最大の市である横浜市は、市立病院を3つ(直営2つ、指定管理者運営1つ)運営しているが、医業収益では賄えず、2016年には一般会計繰入金として38.2億円を補填している。
横浜市の人口は373万人だから、市民一人1000円の赤字補てんとなる。
他に横浜市には、地方独立行政法人として横浜市立病院があり、医学部付属の医療施設が2つあり、運営交付金として2016年には36.6億円が投入されている。
川崎市は2013年に市長選挙の公約にして当選した市長によって、中学校の完全給食が実施された。
市内に3つの給食センターをPFI事業で新設し、各中学校に配送する方式を選んだ。
学校給食は国の法律によって、食材費程度しか受益者負担をさせられないので、市が多額の建設・運営コストを負担することになった。
30年間運営した場合の総コストは640億円で、供給能力が1日3.1万食、年間190日として、一食当たりコストは362円という計画で、2017年に稼働した。
実質的な稼働期間は14年半で、3給食センターの総事業費は343億円となった。
川崎市は年間20億円以上かけて給食センターを維持している。
多くの市民は、小児医療費助成制度が拡大された結果、最も恩恵を受けているのは子育て世帯だと思っているが、皮肉なことにこの制度によって最も得をしているのは、小児科医をはじめとする地域の開業医である。
限られた予算の中、タダだから際限なく医者にかかっても良いという制度を充実させすぎるのは、見直すべきである。
子育て世帯に優しいという名目で、医療といる故郷事業に税金が過剰に投入され、別の施策に取りく予算が不足している自治体が、本当に住みやすい街なのかどうか、考え直す必要がある。
横浜市の場合、小児医療助成制度の対象年齢を1歳上げる毎に必要な予算は8億~9億円とされている。
子供の医療費がタダになる小児医療助成制度は一見すると良いことずくめで、なるべく対象年齢が広い自治体に住んだ方がお得かのように思える。
しかし、子供の医療費というのは厚生労働省の統計によると下記の通りである。
年齢階層 1人当たり年間医療費 医療費助成無の自己負担額
0~4歳    227千円     45400円
5~9歳    123千円     36900円
10~14歳    92千円     27600円
15~19歳    72千円     21600円
20~24歳    74千円     22200円
つまり、小学校高学年から扶養家族を外れるまでの10年程が一番医療がかからない時期なのである。
自己負担3割だと、年間の負担額は3万円かからない。

2018年7月13日金曜日

銀行から貸し渋り・貸しはがしに遭ったり、融資条件に無理難題を言われ行き詰まったら、最後の手段として、金融庁の「金融円滑化ホットライン」を知っておいて損はない。
「本ホットラインに寄せられた情報等は金融機関にフィードバックするなど、検査・監督に活用させていただきます。」と心強いメッセージが書かれている。
返済見込みが立たなくなりそうと銀行が判断すると、プロパー融資を保証協会付融資に付け替えようとする。
これは「旧債振替」と言い、銀行の融資を保証協会が肩代わりすることになり、保証協会と銀行の間での契約違反になる。
保証協会にバレると銀子うはまずいことになる。
しかし、このことをこちらが知らないと、銀行は素知らぬ顔ですすめてくる。
「これは旧債振替で、保証協会に知られるとヤバイですよね」とチクリと言って、牽制すべきである。
返済見込みが立たなくなりそうと銀行が判断すると、定期預金の一定額積み増しを進めてくる。
これは「両建て預金」といい、独占禁止法の「優越的地位の濫用」に当たるとされる。
預金金利よりも高い利息を払って借り入れたお金を「預金」に回す合理性はどこにもない。
保険、投資信託、外貨預金などを融資条件にした場合、当然「優越的地位の濫用」に当たり、金融庁からの指導の対象となる。
とにかく銀行は「交渉しない人、情報のない人」には何でもありなので、「この経営者には下手なことはできない」と印象づけることが大切である。
決算書を何期か並べて、長期借入金が減って短期借入金が増えてくると、長期の証書貸付から短期の手形貸付に移行していると取られ、この企業は他行も警戒している勘ぐられてしまう。
だから、毎月返済が大変だからと敬遠しして決済期限が1年以内の手形貸付を受けてしまうのではなく、少なくとも最終返済期日が1年を超える契約形態を選ぶことが財務内容をよく見せるためのポイントとなり、実際に資金繰りも安定する。
ただし、証書貸付でも短期契約のものがある。
契約が終わり次第、銀行がその状況次第でいつでも貸しはがしできる形式になっている。
例えば、600万円の融資に対して毎月の返済を10万円とし、11回支払ったあと12回目に残高の490万円を一括返済するとい契約で、その後さらにまいつき10万円ずつの返済の形で再契約するという口約束となっているケースがある。
これは癖がわねく、実質は長期返済と同じなので返済予定表をよく見ないと短期で契約されていることが分からない。
この場合も、手形貸付と同じで銀行がハシゴを外しやすい状態で契約をしているといえる。
一般的に銀行が「この企業には貸しすぎだな」と考えている場合は「手形貸付」をすすめてくる。
返済期間が長期にわたる証書貸付では行内稟議が下りにくいが、短期で回収できる手形貸付だと行内稟議が下りやすいためである。
さらに短期の返済を渋る経営者を安心させるために「手形貸付にすれば毎月返さなくてもいいですよ」と言ってくる。
確かに業績が安定しているうちは、3ヶ月毎に折り返しで融資してくれるので、分割返済の証書貸付のように毎月返済の必要はない。
しかし、一旦業績が悪くなると減額されたり、場合によっては折り返しをしないと言われてしまうことがある。
これがいわゆる「貸しはがし」である。
手形貸付は、銀行にとって「ハシゴを外しやすい」貸付なのである。
銀行に提出る経営計画書の書式は、公認会計士協会のサイトに用意されているエクセルシートを使用するのがよい。

https://jicpa.or.jp/specialized_field/post_314.html
平成20年4月に導入されたリース会計を使うことで、営業キャッシュ・フローが大きくなる場合がある。
銀行交渉には営業キャッシュ・フローが大きいほうが有利なので、リース債務を使った処理が有利ということになる。
中小企業の場合、処理が面倒とか簿外負債を顕在化することで負債が大きく見えてしまうといった理由から、リース取引の処理を「賃貸借処理」(PLに支払いリース料勘定があれはこの処理)することが多い。
この場合、リース料は営業キャッシュ・フローの減少要因になる。
しかし、リース会計を使うと、購入時に「リース債務」という負債科目で処理され、これが返済された時には「財務キャッシュ・フロー」で処理されることになり、営業キャッシュ・フローが減ることはない。
賃貸借処理をすると、支払いが同じなのに会計処理の違いで、営業キャッシュ・フローが小さくなってしまう。
負債が多く計上されてしまう分不利とはいえ、銀行にリース未払い残高の提出を求められればそれまでのこことだし、透明性を高める意味でも「リース債務」を使った処理が適切である。
リースはリース期間の定額で経費になり、借入箱手資産の耐用年数て減価償却を通じて経費になる。
リースは税務上の耐用年数より短い期間で組んでも、支払ったリース料が経費として認められるので、早めに経費化できる場合がある。
税務上の耐用年数を5年とすると、定率法の償却率は40%となる。
これに対して、同じ資産を耐用年数の80%である4年リースを組んでもリース資産の場合、定額法で償却すことになってしまうで、償却率は20%となってしまう。
つまり100万円の資産ほ「購入」した場合は40万円が経費となり、「リース」の場合は20万円しか経費にならないので、借入して購入した方が圧倒的に有利となる。
銀行担当者との打合せの時間は、できれば火曜日から木曜日の午前中がよい。
特に「5日、10日の午後2時」は迷惑になるので、控えるべきである。
「5日、10日の午後2時」は、手形の決済があるので、融資先の残高不足で手形事故が良そうされる場合、その企業に連絡を取ったりと銀行員は最も忙しい。

2018年7月12日木曜日

政府系金融機関には「特利」と呼ばれる政策的な超低金利融資がある。
特利を受けるには、政府の指定す特定業種・事業に当てはまるか、「中小企業新事業活動促進法」の適用を受ける等、っていの条件に当てはまる必要がある。
また、多くの自治体では利息または保証料に対して補助してくれる「利子補給制度」や、「無利息貸付制度」というのがある。
特利や無利息融資を使って平均利子率を下げると、銀行は決算書の「支払利息÷借入金」で平均利子率を計算して、他行の利率を推測しているので、一般の銀行が進めてくる金利も自然と下がってくる効果が期待できる。
保証協会付融資には、当座貸越契約を使った「事業者ローン」という枠を決めていつでも借りられる商品がある。
この事業者ローンは利息が元本に自動組み入れされ複利となるので、非常に高金利となる。
これを長期の保証協会付融資に借り換えるだけで、金利が2%近く下がることもある。
これは金利交渉というよりも、知識として知っているかどうかの問題である。
銀行との金利交渉には「取引によるトータルの利益」がものを言う。
保険、投資信託、外貨預金などの取引から銀行に手数料が発生するので、金利引き下げの要素となる。
また、実質利率、つまり「借入マイナス預金」の差額に対する利率を使って交渉することもできる。
具体的には「この口座の売上金口座に対して平常時の平均残高でいくら残す」と言うと、銀行にしてみれば、例えば1000万円を貸し付けて金利1.5%(利息年15万円)にしても、預金残高が700万円あれば実質的に300万円の貸出に対して年利15万円を受け取っていることになるので、実質5%の利息を取っているのと同じことになる。
つまり、借入額と預金残高の差が小さいほど、預金残高が多いほど、銀行としては利益率が高くなるのである。
銀行によっては、「個人の預金」や「取り立て依頼に出した受取手形」を実質的な預金とみてくれる銀行もある。
最近の銀行は、決算の3月よりも9月の中間決算のタイミングでの融資を重視している。
融資額だけではなく、利子収入が今期の成績に入るからである。
可能であれば、銀行に試算表を出すのは、一番現金が多いとき、例えば繁忙期の代金回収が済んだタイミングが交渉に有利である。
保証協会付融資を受ける際に、保証協会が抵当を条件に保証することがある。
具体的には、何かあって銀行が押さえている根抵当権を行使した場合に、保証協会付の融資から優先して充当するいう条件をつける形になる。
これを「協会優先充当」というが、保証協会と銀行の両方に担保を取られるのと同じような状態となる。
根抵当権の解除には、その銀行の全てのプロパ融資と、他行を含めた保証協会付融資の全額返済が必要となってしまう。
つまり、一括で別の銀行が借入を引き受けてくれない限り、他行への借り換えができないことになってしまい身動きがとれなくなる。
従来根抵当権を設定していて、新たに保証協会付融資を受ける場合には、「優先充当にはしないで頂きたい」と一言確認が必要である。
抵当権はこちらから「外してくれ」と言わない限り、住宅ローンでもない限り、銀行から積極的に外してくれることは無いので注意が必要である。