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2018年6月17日日曜日

マラードは、1時間あたり50万回のネット通信の傍受を行なっているという。
その中で安全保障上のリスクとなる情報は1件のみで、防衛省のネットワークを攻撃するサイバー攻撃のメールだった。
つまり収集した情報の殆どは安全保障上は意味の無い情報なのである。
ジャパン・ファイルの2013年1月の記述には、日本が海底ケーブルではない別の場所でネット諜報に乗り出したと記されている。
「マラード」は民間の通信衛星からデータの収集を行ったとある。
コードネームのマラードとは、衛星を介したインターネット通信から大量の情報を収集するシステムである。
ジャパン・ファイルに、マラードはNSAとDFSの共同衛星傍受システムであると記載されている。
マラードによって日米諜報の一体化ぎ進んでいると思われる。
DFS太刀洗通信所にある11基のアンテナによって傍受できる通信衛星の数は200機あり、その中には日本の国内で使用されている無線インターネットのやり取りも含まれている。
諜報機関は電話の内容もメールも全てを収集し、人々の行動や会話を把握している。もはや私たちにプライバシーは存在しない。
ジャパン・ファイルには、1990年代から2000年代にかけて、米軍の諜報活動を日本が支えていた実態が記されている。
横田基地で通信傍受機器を製造するための3000平米の巨大な工場建設費660万ドルを日本政府が負担したという。
年間37万5000ドルの人件費も日本政府が支払ったと記載されている。
その施設で作られた通信傍受機器が米軍の戦闘で威力を発揮したと記載されている。
最も特筆すべきは日本の支援を受けて作った20の特別なアンテナで、アフガニスタンにおけるアルカイダ攻撃を支えたという。
日本は年間2000億円の思いやり予算をアメリカ軍に提供しているが、その一部がアメリカの諜報能力を高めるために使われていた事が明らかになった。
日本が独立を回復した1952年に内閣総理大臣官房調査室(現在の内閣情報調査室)が設立された際の極秘資料の中にアメリカ政府関係者からの英文の意見書が含まれていた。
現在の情勢下で鍵となるのは政府の統制下にある諜報機関の設置であると、日本政府に新たな諜報機関の設置を要請している。
それを受け日本側は、海外の諜報機関の組織を分析し、政府が表に出ずにメディアを使って世論を誘導する方法を探っている。
日本の諜報の戦後史は、アメリカの強い影響の下で始まっていた。
2013年にNSAの分析官だったエドワード・スノーデンが大量の機密情報ファイルを外部に持ち出したが、その中に日本の諜報活動について記したジャパン・ファイルがあった。
そこに、これまで歴史の表舞台に殆ど出ることが無かった日本の諜報機関が、前後にある事件によってその存在が世界に知られる事になったという記述があった。
1983年の大韓航空機007便撃墜事件で、日本の傍受した音声がソビエトの誤った行為を暴く決定的な証拠となったと書かれている。
事件当時、北海道稚内には防衛庁の通信傍受施設があり、ソビエトの戦闘機と地上との通信を傍受していたのである。
傍受した音声が1983年に国連安全保障理事会で公表され、ソ連は民間機撃墜の事実を認め、日本の諜報能力の高さを世界に知らしめた。
ところが、ジャパン・ファイルには、全く異なる事件の構図があった。
日本側の音声テープを公表したが、テープは2種類存在していたが、1だけを提出したと書かれていた。
アメリカのNSAも独自に傍受していたが、NSAの情報は最高機密なので公表しなかったのである。
その結果、ジャパン・ファイルには、「殆ど表に出ることが無かった日本の諜報機関の関与が公になった。将来に渡りその交信チャンネルが機能しない状況に追い込まれた」と書かれている。
日本の諜報機関は、ジャパン・ファイルの中では「DFS」という名称で繰り返し登場している。
DFSはNSAの日本における重要なパートナーで、その関係は50年以上にわたる、と書かれている。
DFSとは防衛省情報本部電波部を指す。
電波部は組織図さえ明らかにられておらず、所属している自衛隊隊員には厳しい守秘義務が課されている。
ジャパン・ファイルにはDFSと深い関係を持つ組織として、CIRO(内閣情報調査室)も頻繁に登場する。
DFSの傍受拠点は全国に6カ所あり、24時間体制で周辺国の軍事施設、軍艦、軍用機が発する電波を傍受している。
ミッシングワーカーというのは、アメリカの労働経済学の研究者の間で提唱されている概念である。
きっかけはリーマンショック以降、アメリカの経済がなかなか回復しなかった原因を探った事だった。
アメリカの失業者は、リーマンショック以降跳ね上がるが、その後徐々に下がっている。
本来なら失業率が下がれば景気回復に繋がるはずである。
景気が回復しない原因に、求職活動をしていないミッシングワーカーがいる事が判明した。
アメリカのミッシングワーカーは、2016年に392万5千人いる事が判明した。2015年の失業率は5.1%とされていたが、このミッシングワーカーを加えると本来の失業率は7.4%になる。
親の介護などで長期間働けなくなり仕事を諦めてしまう人達は、労働市場から消えたミッシングワーカーと呼ばれる。
40代50代の独身中高年は650万人いるが、そのうち6人に1人が働いていない。
こうした人の中には、長く仕事から遠ざかり、求職活動も諦める人が増えているという。
働き盛りの40代50代の労働市場の内訳は、正規労働者が1699万人、非正規労働者が795万人、失業者が72万人となっている。
非正規労働者の増加により、収入が不安定で些細な事で働けなくなるリスクを抱えている。
最大のリスクは親の介護であり、働けなくなる期間が延びると仕事を探す事さえ諦めてしまう事がある。
こうした人達は、失業者の数に入っていない。
失業者はとはハローワークに登録し、求職活動をしている人であるため、求職を諦めた人は、失業者の統計から消えてしまう。
40代50代のミッシングワーカーの数は、失業者数を上回る103万人にものぼる。