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2017年2月23日木曜日

内閣府が作成した資料によると、2015年時点の労働力人口(15歳人口のうち、就業者と完全失業者を合わせた数)は6598万人で、そのうち744万人(11.3%)が65歳以上の高齢者である。
また労働政策研究・研修機構は、労働力人口における60歳以上の割合を、2020年には19.9%、2030年には22.7%に達すると推計している。
〇将来的な労働力人口の推移
(平成27年 労働力需給の推計)
      2014年   2020年   2030年
15~29歳  1106万人  1073万人  1027万人
30~59歳  4211万人  4205万人  3894万人
60歳以上  1268万人  1311万人  1441万人
60歳以上の割合 19.3%  19.9%    22.7%
総務省の調査によると、平成23年時点で、限界集落は全国に1万91集落あり、これは全集落の15.6%に及ぶという。
平成23年厚生労働省「生活保護受給者の自殺者数について」によると、生活保護を受けている世帯の自殺率は、受けていない世帯よりも2.2倍高いという。
全国健康保険協会の調査報告によると、傷病別で精神系疾患が全体に占める割合は、1995年度が4.45%だったのに対して、2011年度は26%を超え、6倍に増大している。
他にも、厚生労働省の「平成25年国民生活基本調査」によると、「うつ病やその他のこころの病気」で通院している人の割合は、男性は「40~44歳」、女性は「35~39歳」が最も多い。
2016年4月時点で、国民年金を満額収めた場合の年間受給額は、最も多かった1999年度に比べて2万4100円減っている。
また国民年金保険料と支給額の比率分析をすると、1999年度時点で納付額に対する支給額の割合が503%だったのに対して、2016年時点では400%と、100%下がっている。
つまり、ピーク時に比べて実質20万円近く年間受給額が減っているのである。
さらに将来不安を大きくさせる要因に「マクロ経済スライド」の採用がある。
元々は公的年金は、物価や賃金が上がれば、それに連動して受給額も引き上げられる仕組み「物価・賃金スライド」が採用されていた。
ところがマクロ経済スライド採用後は、物価や賃金の上昇から「スライド調整率」が差し引かれて年金受給額が計算され、インフレ率より抑制され、実質的には年金受給額が減ることになる。
OECDの「高齢者の就業率の国際比較」によと、平成25年時点で高齢者の就業率はフランスで2.2%、ドイツで5.4%、イギリスで9.5%、アメリカで17.7%となっている。
これに対して、日本は20.1%とフランスの9倍以上になっている。
前提として、社会保障が整備されていない国ほど、高齢者の就業率が上昇する傾向にある。
「平成28年版高齢社会白書」によると、平成27年時点で60~64歳の雇用者は438万人、65歳維持用の雇用者は458万人であり、65歳以上の雇用者数が60~64歳の年齢階級を初めて上回った。
65歳維持用の雇用者数は右肩上がりで、10年前の2005年時点と比べると230万人増と、2倍以上に増えている。
また年齢階級別の就業状況をみると男性有業者の場合、60~64歳で72.7%、65~69歳で49.0%、70~74歳で32.4%の高齢者が働いている。
一方、女性有業者も65~69歳で3割、70~74歳で2割の人が祝儀用している。
つまり、高齢者の3~4割は何らかの仕事についているのであり、現在の日本では高齢期になっても働くのが普通になっりつつある。
厚生労働省の「国民生活基礎調査」(2007年)によると、シングルマザーの平均年収は181万円で、半数維持用が非正規雇用であり、相対的貧困率は6割近くに達している。
原因は、子育てをしながら安定的に仕事を続けられる環境が、日本では整っていないということにある。
その結果、離婚後の多くのシングルマザーが実家の両親に金銭的援助を求めざるを得なくなっており、親子で共倒れてしまうケースも少なくない。
貧困は、世代を超えて相互に依存し合う、連鎖する性質があることを理解しておかねばならない。
少子高齢化によって逆ピラミッド型の人口動態になりつつある現在、高齢者の労働酸化は既に織り込み済みとなっている。
政府は「一億総活躍社会」のスローガンを掲げる裏で、その達成のためには「生涯現役社会」の実現、強化が必須であることを明言している。
要するに今後は高齢者が死ぬまで働き続けなければ、社会を維持できない時代に突入するということである。
内閣府の調査によると、今の暮らしに幸福を感じる高齢男性の割合は、女性に比べて半分しかない。
また、NPO法人老いの工学研究所の調査によると、「幸福度の高い単身高齢男性はわずか4%しかいない」という報告もある。
「平成28年版高齢社会白書」によると、高齢者の子供との同居率は1980年に7割あったものが、1999年には5割を切り、2014年には4割と大幅に減少している。
一方で一人暮らしまたは夫婦のみの高齢者は、ともに増加しており、1980年には合わせて3割弱であったものが、2004年には過半数を超え、2014年には55.4%に達している。
つまり大半の高齢者世帯は、独居状態か将来の一人暮らし予備軍となる夫婦のみ世帯になっている。
内閣府の「平成28年版高齢社会白書」によると、65歳以上の世帯の平均貯蓄額は2499万円で、全世帯平均の1.4倍の額を保有している。
(いずれも2人以上世帯)
これはあくまでも平均値であり、多額の貯蓄を持つ一部の富裕層が平均を引き上げている。
総務省の「家計調査年報」によると、世帯主が60歳以上の高齢者世帯(2人以上世帯)のうち、貯蓄額が600万円未満しかない世帯の割合は2003年が19.8%だったのに対し、2015年は25.3%と12年間で5.5%上昇している。
2015年の貯蓄保有世帯の中央値が1592万円であることから、その半分以下の貯蓄しかない低貯蓄高齢者世帯が4分の1以上いるということになる。
単身世帯も含めた高齢者世帯の場合は43.5%が500万円未満の貯蓄しかなく、うち16.8%は貯蓄なしの状態である。
2013年度末時点で、高齢者が受け取っている老齢年金の月額分布をみると、最も人数が多いのは「6万円~7万円」の間で、460万人となっている。
この額はちょうど国民年金の満額受給の月額と一致する。
これをピークに「5万円~6万円」が330万人、「7万円~8万円」が320万人になっており、全体の6~7割りの高齢者が月額10万円未満の年金しか受給できていない。
ちなみに総務省の「家計調査報告」の平成28年4~6月期平均速報によると、単身高齢者65歳以上の1ヶ月の平均支出額は14万円になっている。
厚生労働省被保険者調査(2014年7月末)
65歳以上の年金月額クラス別生活保護受給者数
年金月額     受給者数
なし      482,707人
1万円未満    27,322人
1万円台     41,798人
2万円台     59,781人
3万円台     74,370人
4万円台     56,771人
5万円台     44,944人
6万円台     48,760人
7万円台     33,922人
8万円台     23,869人
9万円台     13,015人
10万円台     7,982人
11万円台     4,567人
12万円台     5,171人
厚生労働省の発表によると、2016年6月調査時点で、生活保護対象の世帯数は162万5922世帯で、うち65歳以上の高齢者世帯は83万2525世帯で、全体の半分を占めている。
注意が必要なのは、これは「生活保護を受給できている高齢者世帯数」という事であり、その裏には貧困状態にありながら生活保護を受給できていない多く高齢者が存在する。
都留文化大学・名誉教授の後藤道夫氏の調査によると、「生活保護基準未満世帯における生活保護の捕捉率」は、単身の高齢者世帯で29.5%、2人以上の高齢者世帯では13.5%という結果が出ている。
つまり、生活保護よりも少ない収入で生活している高齢者の7~8割りは生活保護を受けられていないということになる。
この事実は、2016年に65歳以上の低所得年金受給者を対象に実施された「臨時給付金(年金生活者等支援臨時福祉給付金)」の支給対象者が約1100万人に達したことからも明らかである。
Yeo Inhyeok(ヨウ・インフョク)という元京大生のYou Tuberがいる。
学生時代にアカペラサークルに所属していた彼は、グラミー賞を受賞した楽曲の各パートを一人アカペラで録画・録音し、それを重ねた多重アカペラ作品をYou Tubeに公開している。
一人ゴスペラーズである。
作品の動画再生回数は300万回以上で、世界各国のテレビ番組で引っ張りだこの存在となっているという。


米国際無人機協会という団体によると、「ドローンの市場規模は2025年までに米国内で820億ドルに達し、それによって10万人以上の雇用を生み出す」と提唱している。
ドローンは今後、流通の重要なポイントとなる可能性が高い。
Googleのサービスは、1つのGmailアカウントに紐づいて、Googleが運営する各種サービスの情報を横断して連繋している。
例えば、Google Mapでは、マップ上で過去に行った事がある飲食店が表示されるが、自分で印をつける操作をしたわけではなく、過去にマップ上ないしGoogleの検索で飲食店を調べて、その飲食店を目的地として設定したり、Googleカレンダー上に飲食店の予約があることをコンピューターが勝手に判断してマップ上に自動的に表示しているという。
新しく開拓した飲食店が、実はよく通っている飲食店のすぐ近くにあるということも発見できたりするので、非常に便利である。
他にも、Gmailに航空会社からの予約メールが届けば、Googleカレンダーにフライト情報が掲載されたりする。
世の中の大多数の人々が所属している「会社」という仕組みでは「他人の時間」に縛られる事が多い。
やりたくもない仕事をさせられ、ただ給料を貰うため、生活するためだけに仕事をこなすことになる。
だから、誰もが会社と給料の交渉をすることはない。
自分の価値を他人が決める事に慣れてしまい、自分の価値すら分からなくなってしまう。
東京大学では、早い時点で学生の専門を特化させないために駒場の教養学部を作って、1、2年生を全員そこで勉強させている。
ただ教養学部の専門過程に上がろうとすると、法学部に上がるより高い内部進学点が必要になってくる。
これまでの人生で受験競争に勝ってきた人間の習性として、内部進学点が高いところにトライしたい気持ちになり、成績の良い学生は、なんとなく駒場の教養学部に残ろうとする。
そうすると奇妙な現象が起き、文学部で辰がくを研究する思想文化学科の哲学専修課程は、定員割れしそうなほど易しいのに、教養学部で哲学を研究する学際科学科や教養学科現代思想コースは、ものすごく内部進学点が高くて文Ⅰ出身者が多くなったりする。
霞が関ではノンキャリアは局を動かないので、実務に関してキャリアは経験を積んだノンキャリアに絶対に勝てない。
だから自ずと、キャリアは最初からマネジメントの方へ行くようになる。
出版社でもそういう傾向がある。
新潮社は比較的、配属された部門から動かない。
昔は週刊新潮へ配属されたら、そのまま20年とか、よくある話だったという。
文藝春秋は定期的にあちこちへ動かす。
新潮社も文藝春秋も作家に対して、「こういうふうにしたらどうでしょう」と提案ができるので、いざとなったら自分達でも書ける能力がある。
だから、新潮や文春の編集者から作家になる人は多くいる。
講談社は社風が全然異なり、殆ど自分達は書いたり提案したりはしない。
その代わりに、優れたフリーランスの編集者やライターを連れてきて、どういうふうに本を作るかというマネジメントの仕事を20代後半からしている。
世界で最初にイスラエルを承認したのはアメリカで、次はソビエトだった。
ソビエトはイギリス帝国主義に対抗するという観点からだった。
第一次中東戦争でアラブ連合国に対してイスラエルが勝利したのは、メッサーシュミット機Bf109というのを持っていたからだが、その訓練はソ連の指令を受けたチェコスロバキアの軍事顧問団がゃっていた。
だから第一次中東戦争(独立戦争)の時は、ソ連はイスラエル側だった。
それが第二次世界大戦後にソ連で反ユダヤキャンペーンが始まり、1953年にはその最大の事件である「白衣の医師団陰謀事件」が起きたのをきっかけに、ユダヤ人およびイスラエルとの関係が決定的に悪化した。
この事件は、ほぼユダヤ人で構成されたスターリンの顧問医師団をスターリンの暗殺を企てたという完全なでっち上げ容疑で粛清しようとした事件である。
それまでは、ソ連とイスラエルの関係は悪くなかったのである。
第二次世界大戦中、ドイツでは殆ど日本円が使えなかったが、大使館には日本円がたっぷりあり、それをスイスに持って行けばスイスフランに替えられたという。
なぜスイスで日本円が両替できたかというと、アメリカが対日工作をするのに日本円が必要で、アメリカがスバイに持たせるための日本円をスイスで調達していたのである。
だからヨーロッパの日本人は日本円をアメリカに買ってもらうことによって、生活していたことになる。
また、ソ連軍がドイツに入ってくる1945年4月まで、日本との間で国際電話が繋がっていた。
ベルリンから無線で飛ばしており、音質も良かったという。
しかし、当然その通話は盗聴されている。
だから鹿児島弁で話していたという。
ちなみに、アメリカも同じことをやっていて、最前線では先住ナバホ族に全部コミュニケーションさせていたのは有名な話である。
ロシアはアカデミズムのエリート、政治エリート、経済エリートをかなり早い段階から分けている。
もし理論経済学の分野ではなく、現実の経済界で実績を挙げたいならば、モスクワ国立大学経済学部へ行くのではなく、ソ連時代ならばプレハーノフ紀念モスクワ国民経済大学、現在では国立の江東経済大学に行くべきである。
一方、ロシアで政治エリートになる場合は、あまり高等教育は関係ない。
政治はいかがわしい人がやるものだと思われているので、むしろ高等教育終了資格を金で買うような、要領のよい人間が出世していく。
右翼、左翼ということが現代的な意味合いを持ってきたのは、フランス革命からである。
フランス革命の国民議会で議長席から見て右側に座っていた人々が右翼、左側に座っていた人が左翼と言われた。
左側にいる人達は理性を重視する。
理性というのは人類が共通して持っているわけだから、完全情報をみんなで共有して、偏見のないフラットな態度で議論をすれば結論は一つになるはずだと考える人達である。
そうなると、公式や法則に当てはめれば、答えを導きだせるというような、物理や科学に近い形で物事を考えていくことになる。
これに対して、右翼はこうした左翼の考えに対抗する形で後から生まれて来た。だから左翼に対する「反動」として出て来たので、
反動と呼ばれるようになる。
だから右翼とは理性に対して不信を持つ人々のことになる。
つまり、人間は理性よりも偏見のほうが大きい生き物で、いくら理性的に議論をしていると思っても、その背景には伝統的な価値観を含めた偏見や個人の利害・関心があるから、とてもフラットな議論は成立しないし。同じデータを見てもそれが人によってたがうように見える。だから結局のところ真理は一つに定まらないという立場になる。
ただ、この定義を適用すると、現在の右派とか保守派の人達は、殆どが左翼に定義されることになる。
なぜなら「唯一の正しい歴史」であるとか、憲法を改正せよとか、強い国家を構築しよう、といったことは非常に左翼的な発想である。
東西冷戦構造が崩れた現在、右翼と左翼の定義がよく分からなくなっている。
日本の感覚だと共産党は左翼と言われるが、今のロシアでは共産党が一番の右翼であり、共産党の方針を維持していくことが保守的と呼ばれる逆転状態が起きている。
中国でも左翼と言われる人達が強硬派だったり、保守派だったりする。
これからの若い世代の人は、「外国語力をつけておく」必要がある。
あるいは、将来において外国語力が必要になる局面が来ることを自覚しておかねばならない。
そして、もはや英語だけでは不十分であり、中国語が必要となる。
三菱商事は新入社員全員に、中国語を勉強させるか、研修させるか、中国関連部局に2、3年勤務させて、若いうちに中国語ができるようにしている。
彼らは、三菱商事イコール国家だと思っている。
2014年4月下旬に、オバマ大統領が国賓として来日したが、最初は国賓として遇するのは難しかった。
なぜならば、国賓は天皇主催の晩餐会や歓迎式典など一連の行事をこなす必要があるから、最低2泊3日の滞在が必要となる。
途中で韓国が横やりを入れてきて、滞在が1泊2日になりそうだったが、最後には盛り返して2泊3日に落ち着いた。
1914年にサラエボで二人のセルビア人の民族主義者がオーストリアの皇太子夫妻を暗殺したことが、なぜあんな世界戦争に繋がったのか、いまだに学術的にはよく分かっていないという。
第二次世界大戦の原因はナチス・ドイツにあったということで、殆どの学者の意見は一致している。
しかし、第一次世界大戦がどうして始まったのかは、いまだアカデミズムの世界で大きな議論になっていいて、結論はよく分からない。
当時、あの戦争が世界戦争に発展するとは誰も思っていなかった。
しかも、もし暗殺した側を加害者、暗殺された側を被害者とするならば、被害者の方が負けて国家を解体されてしまうという非常に不思議な結果になった。
だから戦争が起きるときの論理というのは、一般的な正義感や合理的な判断とは違うところにある。
サイバー・インテリジェンスに関しては、自衛隊のサイバー部門の責任者だった伊東寛氏の著書『「第5の戦場」サイバー戦の脅威』(祥伝社新書)を読めば、日本の水準が分かる。
結論から言うと、日本は結構水準が高い。
日本の課題は「専守防衛」で攻撃ができない事である。
サイバー戦では攻撃を仕掛けないと、相手の反撃の仕方も探ることができないからである。
サイバー戦で一番強いのは、コンピューターを使わないことであり、防衛に関しては北朝鮮が鉄壁である。
事実、「.KP」という北朝鮮に割り当てられるドメインはめったに見ることはない。
朝鮮コンピューターセンターが運営している「ネオラ」というサイトくらいで、それ以外にはない。
北朝鮮は政府も朝鮮労働党もホームページを持っていないし、労働新聞のホームぺジも中国のサイトからやっている。
日本版NSC(国家安全保障会議)は、戦争をするかしないかを決める機関である。
だから本当は特定秘密保護法について議論する意味はない。
特定秘密保護法はNSCができればセットでできるからである。
なぜかというと、戦争をする可能性があるわけで、国防秘密は当然守らないといけないからである。
だから、特定秘密保護法を戦前の日本に対応させるならば、1937年に抜本改正された軍機保護法、それから1941年にできた国防保安法の2つの法律に相当することになる。
軍機保護法は軍事技術の保護、国防保安法は国家意志に関する情報の保護。
その両方を合わせて行おうとしているのが、特的秘密保護法である。
これは基本的には外事犯を対象にしたスバイ防止法であって、治安維持法とは全く構成が異なる。
そして、NSCでは、こうした国防に関わる情報がある事を前提にして、戦争をするかしないかを決定する。
一般教養に力を入れるべきだと最も説得力がある説明をしているのは、アーネスト・げるなーというイギリスの社会人類学者である。
ゲルナーは高いレベルでの文化を支えるためには、専門教育のレベルが低くなってくるという。
専門教育を受けた人間は応用が利かないということで職業教育上、一段下に見られるようになる。
だから一般教養が必要だという。
リベラルアーツのリベラルとは、奴隷ではなく、自由人であるということである。
自由人が身に着けるべきものが教養であるなら、テクネー(技術)を持っているのは奴隷だということになる。
そうなると、公認会計士試験や司法試験、国家医師試験などは、世間的にはエリートを作りだすためのシステムと思われているが、それらはテクネーにすぎないという事になる。
そう世界が思い始めたことで、幅広い教養が必要なんだという考え方に回帰しているのかもしれない。
最近、色々な雑誌の特集で、これからは理系社長が多くなるとか、理系エリートの時代だと持てはやされているが、そこで取り上げられる人達は、理科系の仕事で大きな業績を残した人ではない。
むしろ大学教育までは理科系だったというだけで、その後は別の選択をした人達である。
どんなに理系エリートの時代になったと言われても、基本的に統治エリートは文系・人文系である事を間違えてはならない。
東京大学法学部では本当に優秀な学生は大学院へ上げない。
この人は将来の教授だと決めると、すぐに助手に採用する。
それも雑用をさせるような助手ではなく、きちんと博士論文を書いて、教授の講義の手伝いをしなさいという形で、レールを敷いてあげる。
一種のエリート育成法で、何年かに一人ぐらい、そういう例がある。
首都大学東京の木村草太・准教授、法政大学の山口二郎・教授が有名である。
現在の日本の大学院では、地道にキャリアを積んでいる人が報われず、下手をすると10年は当たり前に足踏みするのが当たり前になっていて、空気がよどんでいる。
その中で、東京大学は、こいつはちゃんと伸ばさないといけない人材については、余計なストレスを与えない配慮をしている。
特定秘密保護法が公布された際に、野党は特定秘密保護法は治安維持法の再来だと主張した。
治安維持法の目的は日本の社会体制を変革しようとする特定の団体を抑え込むことだった。
強いて言えば、現在の破壊活動防止法が近い。
一方で、特定秘密保護法は国家機密を官僚が独占するための法律だあり、戦前でいうと軍機保護法や国防保安法に近い。
適性評価というものがあり、適性評価を受けた人しか特定機密を扱うことができない。
しかも政治家は適性評価を受ける対象にならないので、法案成立に奔走した政治家自身が特定秘密から締め出されることになった。
反知性主義は必ず決断主義という形で表れてくる。
決断主義とは、実証性や客観性を無視して、とにかく決められる政治が強い政治なんだ、という発想である。
「つまり、細かいことはいいから、言う通りにやれ」というふうになる。
朝鮮通信使が日本に来ていたのは、朝鮮が日本に朝貢していたからだと、日本人は理解している。
しかし、朝鮮通信使は「巡察」という旗を掲げていた。
巡察とは辺境の様子を知るために見回ることである。
つまり、李氏朝鮮は自分達が中心で日本が辺境であると考えていたし、日本は自分達が中心で朝鮮が辺境だと考えた。
それを双方が翻訳しないままでも何とかなっていた。
しかし、近代になって翻訳の必要性が生じ、それによって色々な混乱も生じてくるようになった。
ロシアの最高難関大学はモスクワ国立大学(MGU)である。
この大学の経済学部は、もともとマルクス経済学の拠点だから、いわゆる新古典派的な経済学はあまり強くない。
そこでロシアは、ロンドンのビジネススクールとタイアップして。高等経済大学という国立大学を作った。
そこが今、ロシアで一番レベルが高い経済学をやっている教育機関になっている。