Amazon

2017年2月25日土曜日

国際社会調査プログラム(ISSP)が2006年に発表した「先進国における中間層の痛税感」の調査結果によるし、日本で税負担が「あまりに高すぎる」「高すぎる」と回答した人の割合は6割に及んでいる。
同じアンケートで、日本よりも税負担の大きいデンマークやイギリス、フィンランドなどが5割以下であったことからも、いかに日本人の租税抵抗が強いかが分かる。
日本人の政府や公務員に対する不信感は極めて強い。
世界価値観調査(WVS)では56ヵ国中43位、国際社会調査プログラム(ISSP)では35ヵ国中最下位になっている。
このような政治不信の背景には、はっきりとした原因があり、国民の税負担に対する「受益感」の乏しさである。
例えば、平成26年度に5%から8%に消費税が引き上げられた際に、増収分は全額社会保障の財源に充てるこどか公約として掲げられた。
しかし、実際には消費税増税で5兆円の増収があったうち、社会保障の拡充に充てられたのは5000億円と、たった1割に過ぎなかった。
民間の有識者で組織される「日本創生会議」の試算によると、団塊世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年には、全国で43万人もの高齢者が必要な介護サービスを受けられない「介護難民」となることが報告されている。
これは、現在の介護ベッド総数を「収容能力の限界」と仮定してうえでの、将来の不足ベッド数を表したもので、いわば量的な問題である。
さらに問題なのは、量的な範囲に留まらず、経済的、あるいは制度的な問題から、数百万人単位で介護難民が増える恐れがある。
深刻なのは、介護サービスの「商品化」が過度に進んだために、経済的に余裕のない高齢者が必要な介護を受けられなくなっていることである。
「平成28年度版自殺対策白書」によると、自殺の原因・動機として最も多いのは、「健康問題」で、その次が「経済・生活問題」である。
これは高齢者だけに限らないが、健康を害し、将来に悲観して自殺を図る人がいかに多いかがわかる。
厚生労働省の「平成27年簡易生命表」によると2015年時点の平均寿命は、男性80.79歳、女性87.05歳であり、30年前と比較すると、男性で6歳、女性で7歳も寿命が延びている。
寿命が延びたことと、健康に生きられる事はイコールではない。
厚労省の発表によると、2013年時点の「健康寿命」の平均は男性で71.19歳、女性で74.21歳となっている。
健康寿命とは、2000年にWHOが提唱した概念で、「日常的に医療や介護に依存せず、自らの力で生命を維持し、日常生活を送ることのできる期間」を指す。
同年の平均寿命と比較すると、男性で9歳、女性で12歳の差がある。
働くというと「就職する」ことばかり目が行くが、これまでの仕事を高齢期も「やり続ける」、「起業する」といった選択肢も考える必要がある。
その際には、生活保護制度の中の「生業扶助」の活用がある。
生業扶助とは、生活困窮世帯に対しいて、「生業(生活するための仕事)」の支援を行い、収入増加や自立を助けるための給付金のことである。
具体的には小規模事業を行うための資金を支給する「生業費」、生業に就くための技能や資格の習得費用を支給する「技能修得費」、高等学校などの就学に必要な費用を支給する「高等学校等就学費」、就職が確定して働く際に必要となる物品の洪に雄飛や交通費を支給する「就職支度費」の4つがある。