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2015年6月20日土曜日

財務省本省のキャリア官僚は500人程度で、全職員の95%はノンキャリアで占められている。
国家公務員全体の90%は三等級から五等級で退職している。
三等級とは本省の課長補佐、五等級は係長・主任クラスとなる。
一等級にあたる本省の課長以上は、全体の0.9%であり、これはキャリア官僚で独占されている。
ノンキャリアの最高ポストは、通常であれば本省の課長補佐、例外的に本省の課長もしくは地方部局の部長クラスとなっている。
日本の国家公務員数は50万5000人。
これに公社、公団、政府系企業を含めると160万6000人になる。
この国家公務員50万5000人のうち、キャリア官僚と呼ばれる総合職は2万人強であり、わずか4%しかいない。
さらに法律、経済、行政と主要な区分に絞ると5000人程度となる。
この限られたキャリア官僚は、各中央省庁に入省すると当初10年は能力差に関係なく平等に扱われ、出世に差がつかない。
差が付くのは30歳代から40歳代で課長補佐から課長に昇進するタイミングになる。
財務省に理財局という部署がある。
理財局は国債、財政投融資、国有財産の管理を主な業務にしている。
「理財」という言葉は現在ではあまり使われないが、かつては頻繁に使われていた。
「理財」とは、儒学の重要の書である「五経」の一つ「易経」に登場する古い言葉で、日本では古代に中国文明を移入して以来、今でいう「経済」と同じような意味で使われていた。
例えば1879(明治12)年に、東京大学文学部の科を「哲学政治学及び理財学科」と改称し、経済学の講義を「理財学」の名称で行っていた。
その後、福沢諭吉と蘭学者の神田孝平が「Political Economy」の翻訳語として「経済」という言葉を使って以来、「理財」という言葉は経済に置き換えられ、あまり使われなくなってしまった。
ちなみに慶應義塾に大学部を設置した1890(明治23)年に、文学科、法律科、理財科が設置され、その後1929(大正9)年になると経済学部が発足し、理財科は消滅した。
大蔵省ができたのは1869(明治2)年だが、理財局が設けられたのは1897(明治30)年で、理財という言葉は財務省理財局くらいしか残っていない。
税の中でも外国からの輸入品に課す「関税」を扱うのが、財務省・関税局で、関税は明治時代には最も大きな国の収入源だった。
近年はGATT、WTOなどの努力によって課税率が引き下げられ、関税は歳入減としては小さくなってしまった。
このような時代背景もあり、現在の関税局の仕事は、全国9つの税関に対する監督・調整が主となっており、財務省の中ではマイナーな局である。
関税局長は、主計局長や主税局長とは違い、キャリア官僚として最終的なポストになることが多い。
しかし20人前後いる同期入省の中で、局長になれるのは4~5人しかいないので、関税局長はなかなかの出世といえる。
財務省・主計局が歳出についての司令塔であるのに対して、主税局は歳入についての司令塔である。
主計局は歳出先となる各省庁が自らの傘下ではないが、主税局は財務省の外局である国税庁を通じて、全国11国税局、1国税事務所、524税務署を傘下に収めている。
主税局は、局長の下に次長クラスの大臣官房審議官(主税局担当)、その下に総務課長、調査課長、税制第一課長、税制第二課長、税制第三課長および参事官(国際租税担当)が並んでいる。
中でも税制第一課長(直接税)、税制第二課長(間接税)、税制第三課長(法人税)は、主税局のエリートコースとなっており、歴代の主税局長はこの3つの課長のうち2つの課長を歴任している。
主税局長は事務次官になれなくても、殆どが国税庁長官に就任している。
財務省の最重要ポストである主計局長は、他局の局長より各上となっている。
局長クラス以上の財務官や事務次官は、国家公務員の中でも特別の給料表を適用される「指定職」となっているが、主計局長は財務官と同等の扱いとなっている。
主計局長は次官級ポストである財務官と同じ「九号俸」なのに対して、他局の局長は「七号俸」となっており、主計局長の方が二号も各上なのである。
予算成立の流れ
5月 各省庁で予算要求額を検討
6月 各省庁からの予算要求額のリミットを示す概算要求基準を閣議決定
9月 各省庁が予算要求額を財務省に提出
   →財務省による予算編成
12月 財務省原案(最初の予算原案)発表
   →復活折衝
   →12月24 日 政府予算案の決定
1月 予算案を衆議院に提出
   →予算案が衆議院で可決
   →予算案が参議院で可決
3月 予算成立
官庁のエリートコースである財務省・主計局の主計官、主査の担当の中でも、農林水産担当は花形ポストであり、エリート中のエリートコースとなっている。
農林水産担当の他にも、厚生労働、公共事業統括の各担当も花形ポストとされている。
主計局長はほぼ間違いなく財務省事務次官になるが、主税局長、国税庁長官、旧銀行局長から事務次官になるコースもある。
いずれにしても主計局は、主税局や旧銀行局と比べて一つ各上の局となっている。