Amazon

2014年9月10日水曜日

2009年の所得税の税収は、日本の12兆円に対して、アメリカは8659億ドル(77兆9310億円、90円換算)と、日本の6倍以上ある。
アメリカの経済規模は日本の2倍弱なので、経済規模からすると2倍の差となるはずである。
更に、2009年の所得税率の最高税率は、日本の40%に対して、アメリカは35%(現在は39.6%)と低いので、もっと日本の税収があってもよい。
所得税とは、先進国においては、その大半を高額所得者が負担する仕組みなのだが、日本の所得税における高額所得者の税負担率は低い。
いかに日本の高額所得者の税金に抜け穴があるかが分かる。
日本政府は、わざと格差社会を作ったとしか思えない。
国民全員に負担を強いる「消費税」や「社会保険料」の値上げを段階的に進める一方で、この20年間に高額所得者の税金は、ピーク時から比較して40%も減税されている。
所得が1億円の人の場合、所得税率は1980年に75%、1986年に70%、1987年に60%、1989年に50%、現在は40%にまで下げられた。
住民税の税率もピーク時の18%から現在は10%となっている。
このため最高時には26.7兆円あった所得税収は、2009年には12.9兆円まで減り、半減以下となってしまった。


一橋大学の高山憲之・名誉教授の調査によると、非正規雇用の半数以上は厚生年金に加入させてもらえていないという。
つまり現在の日本で、非正規雇用者1900万人の殆どが、まともに社会保険に加入できていない。
だから彼らが年金受給者となった時には、その年金額は生活保護以下になると想定される。
彼ら非正規雇用者が、将来的に生活保護受給者となるとすると、国民の3割が生活保護という事態も有りうる。
2014年6月末の生活保護受給者数は250万8841人だが、20年後には2000万人を突破する可能性があるかもしれない。
少子化の最大の原因は、経済問題である。
1990年代以降、日本では急速に非正規社員が増えた。
男性の場合、正社員の既婚率の4割に対して、非正規社員の既婚率は1割しかない。
現在、労働者の3人に1人に当たる1900万人が非正規雇用であり、そのうち男性は600万人以上となっている。
10年前よりも非正規雇用の男性が200万人増えている。
国立社会保障・人口問題研究所が、2014年4月に発表したデータによると、20年後には全世帯の4割以上が高齢者世帯になると予測されている。
あと20年後には、日本の社会システムは正常に機能しなくなるのである。
海外に物理的に資産を動かすと、為替差益を含めて、全ての利益が総合課税となるので、税制上は不利となる。
20%の申告分離課税(利子所得は源泉分離)の適用が受けられず、総合課税となり税率が高くなってしまう。
20%の申告分離課税の適用が受けられるのは、外資系・日系にかかわらず国内にある証券会社・銀行と取引した場合だけだからである。
米ドルのMMF(マネー・マネジメント・ファンド)は、日本の証券会社や銀行で購入できる。
これはドル預金の代替物だが、税制上有利な商品である。
ドル預金の為替差益は「雑所得」となり、給与所得者の場合、給与以外の所得が20万円以上ある場合は、確定申告をして給与所得と合算し、所得税と地方税を納めねばならない。
逆に為替差損が出ても、雑所得の損は雑所得の益でしか相殺できず、給与所得とは通算てきない。
翌年に為替差損の繰延べもできないので、損益によって税制は不均衡となっている。
つまり、高所得者は所得税と地方税で50%の税金を納めねばならない。
しかし、ドルのMMFは、「譲渡益(売買によって得た利益)」が非課税となる。
為替差益を含む譲渡益に関して、公社債投資信託では課税されないからである。
注意点としては、ドルの外貨預金は元本が保証されている(為替損は可能性有)が、ドルのMMFは元本保証されていない。
ただドルMMFは、短期米国債を含む公社債、各付けの高い社債で運用されているので、元本割れの可能性は低い。
現状は利回りがかなり低いので、為替差益を狙う商品と言える。
もう一つの注意点は、証券税制が変わるので、MMFの非課税扱いは2015年12月末までで、2016年1月からは20%の申告分離課税となる。
シェールガス革命の影響もあり、アメリカの財政収支の改善ぶりには、目覚ましいものがある。
<米国の財政赤字 対GDP比>
2009年 ▲10.1%
2010年 ▲9.0%
2011年 ▲8.7%
2012年 ▲7.0%
2013年 ▲4.1%
2014年 ▲3.7%
2015年(予算) ▲3.1%
一方、日本は原発事故以来、貿易赤字が増え「双子の赤字国」となる懸念が出てきている。
「双子の黒字国」になる可能性のあるアメリカと、「双子の赤字国」になる可能性のある日本。
「ドル高、円安」にならない理由がみつからない。
中国経済が過去21年間、実質経済成長率が平均10%の高度成長が続いてきた大きな要因は、人民元が1980年の1人民元=160円から、1人民元=16円に下落したからである。
人民元は1980年代から10分の1になっており、為替によって輸出競争力が付いたのである。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、厚生年金と国民年金の積立金128.6兆円のうち55%を国債購入に充てている。
ゆうちょ銀行は資産の65%を国債購入に充てている。
地方債、社債を含めると債権運用は85%となる。
日本銀行も資産の83%を国債購入に充てている。
2014年4月末の日銀のバランスシートを見ると資産規模は246兆円、2011年末は143兆円だったので2年4か月で2倍、1993年末は50.2兆円だったので20年で5倍に膨張している。
バランスシートが巨額化したのは、量的緩和により大量の国債を引き受けて来たからである。
2014年4月末の国債の保有残高は204兆円だが、2011年末には90.2兆円、2年4か月で2.3倍、1993年には31.3兆円だったので20年で6.5倍になっている。
国債を大量に購入した結果、日銀の資産に占める国債の割合は83%にまで増えている。1991年には48.7%だった。
発行銀行券(日銀発行券)残高より国債残高が大きくなっており、国債が日銀発行券を担保している状況となっている。
ここまで国債保有割合が高まると「日銀発行券への信用(円の信用)」は、「ニホン国債の信用」に依存する事になる。
平成25年度の歳出は92.6兆円で、そのうち厚生労働省関係予算は29.4兆円である。
厚労省予算の大半が社会保障費と考えると、一般会計予算における社会保障費の割合は32%となる。
また、国債費は過去の社会保障費の支出と関係があり、地方交付税の中で大きな割合を占める民生費とは社会保障費である。
よってこれらを合わせると一般会計歳出の4割(40兆円)が社会保障費となる。
財政学上では、社会保障費は所得の再分配とされる。
つまり、50兆円を国民(現役世代)から税金で集め、その8割に当たる40兆円を社会保障費として国民(高齢世代)に再分配しているのである。
そして、その他の防衛費や公共施設の維持費などは、赤字国債という形で、将来世代から現代世代への再分配となっている。