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2016年6月21日火曜日

日本共産党は、東京・千駄ヶ谷にある「日本共産党中央委員会」を頂点に、都道府県委員会、地区委員会、支部委員会といった組織がピラミッド型に形成されている。
これらの組織は、いずれも「指導機関」と呼ばれ、以前は「細胞」と呼ばれた支部は各地の企業や官公庁、大学など2万近くが組織されている。
共産党の最高機関と位置づけられている党大会は、支部、地区、都道府県の順で会議を開き、最終的には都道府県委員会の代表者が代議員として出席する。
この代議員が中央委員を選出し、中央委員会が議長や委員長ら幹部を選出する。
一見、民主的な組織に見えるが、党員による直接投票による幹部の選出はない。
そもそも複数の委員長候補が名乗りを上げた党首選挙は、実施されたことが一度もなく、一部の幹部の話し合いで決めている。
党規約では派閥活動を禁止しており、支部同士の横の交流も承認制となっている。
これは横と横とが連絡を取って党の方針に異論が出るのを防ぐ目的と、公安当局にマークされた場合、党員同士をお互いに知らない方が組織を守れるという理屈もあるという。
地区委員や都道府県委員を選ぶ際には「選挙」という形をとっているが、既に作られた名簿に最高裁判所判事の国民審査と同様に〇×をつけるたけで、落選はまずない。
そして横のつながりが無いため、共産党には党内議論はない。
現在も日本共産党は、レーニンが主導し、中国共産党も取り入れている「民主集中制」という体制を敷いている。
「民主」という言葉はあるが、一部の指導者層が政治的決定を行い、下部組織に徹底させる中央集権体制である。
「民主集中制」はロシアで1920年に開催されたコミンテルン第2回大会で「プロレタリア革命における共産党の役割に関するテーゼ」として採択され、「党の上級団体の指令一切が絶対的に、かつ必然的に下級団体を拘束する」と定義され、上からの命令は絶対であることを徹底している。
こうした「上位下達」が浸透していたからこそ、コミンテルンの指令に各国の共産党が有無を言わずに従ったのである。
現在も、中国共産党も党規約の前文で「民主集中制を堅持すること」を党の原則として掲げている。
もちろん日本共産党も、2000年までに党規約は13回改定されているが、2000年11月に改定された現在の党規約の第3条で明確に、「党は、党員の自発的な意思によって結ばれた自由な結社であり、民主集中制を組織の原則とする」と書かれている。
民主集中制は、指導者層の絶対的な権力によって党内の反乱を防ぐためのものであり、明らかに組織防衛のための制度であり、一部の指導者層を頂点にした強固なピラミッド組織を形成している。
北朝鮮の拉致問題に関するきっかけを作ったのは日本共産党だった。
共産党と北朝鮮との関係が悪化していた頃の1988年3月26日の参議院予算委員会で、共産党の橋本敦が1978年夏に、福井、新潟、鹿児島で発生した若年男女の行方不明事件を取り上げた。
これに対して、国家公安委員長の梶山静六が北朝鮮による拉致の疑いが濃厚であるとの見方を示した。
これが、北朝鮮による日本人拉致問題の存在を日本政府が認めた初めての公式答弁であり、これを引き出したのが共産党だった。
しかし、その後、共産党は不思議な対応を取る。
共産党が、朝鮮総連との関係修復に動いていた2000年10月25日の党首討論で、不破哲三・委員長が森喜朗・首相に対して、日本拉致が「冤罪」かのような見立てで、日本政府の交渉態度を批判したのである。
そして1970年代に起こった事件で、20年経っても捜査が進まないならば、それが到達点だからと、拉致問題をあくまでも疑惑だとして、日本政府を追及した。
これに対して、森首相は、「わが国は北朝鮮に拉致問題について根拠を明確に説明している」と反論した。
この不破委員長の質疑の2年後、2002年9月17日に小泉純一郎・首相が北朝鮮を訪問し、金日正に拉致を認めさせた。

2016年6月17日金曜日

1873年に改定するまでの共産党綱領には「党は「万国の労働者団結せよ」の精神にしたがって、プロレタリアートの国際的団結をつよめるために努力する。ソ連を先頭とする社会主義陣営、全世界の共産主義者、すべての人民大衆が人類の進歩のためにおこなている闘争をあくまでも支持する」と明記されていた。
しかし、2004年1月に改訂された現在の綱領には、1991年のソ連崩壊と東欧諸国の崩壊について「社会主義の失敗ではなく、社会主義の道から離れ去った覇権主義と官僚主義・専制主義の破産であった」とし、あくまで゜ソ連の社会主義が間違っていたと切り捨て、自らに火の粉がかかるのを防いでいる。
他にも、1985年に改定するまでの共産党綱領には、「アメリカ帝国主義は朝鮮にたいする侵略戦争をおこない」と明記されていた。
朝鮮戦争は金日成が仕掛けた戦争であることは明らかであるのに、共産党は1980年代半ばまで、北朝鮮に寄り添う路線をとっていた。
共産党は国民の賛同が得られるとして、「国民連合政府構想」をアピールしているが、現時点で党綱領を変更した訳ではない。
共産党の綱領に明記されている「日米安保条約の廃棄」は、あくまでも「凍結」と棚上げして、その考えを捨てたわけではない。
実際に、共産党が政権を構成した場合、共産党が国民的大義と強調する安保関連法の廃止以外の他の政策の対応について、共産党が掲げる国民連合政府は決定的に欠けている。
共産党は現行の綱領でも、未だに米国を「アメリカ帝国主義」と敵視し、「いま、アメリカ帝国主義は、世界の平和と安全、諸国民の主権と独立にとって最大の脅威となっている」と明記しており、日米関係についても「きわめて異常な国家的な対米従属の状況にある」として、その打破を目指している。
このような理念を持つ政党が担う政権が、本当に現状維持の外交ができるとは思えない。
経済政策についても、綱領で「大企業・財界の横暴な支配の打破」を掲げる共産党が、まともな政策を出せるとは期待できない。
仮に共産党議員が入閣した場合、皇居で天皇陛下の認証式へ出席することになるが、天皇陛下をお迎えして行われる国会の開会式に2016年1月に69年ぶりに出席した共産党は、正式には皇室制度を認めていない。
共産党の広報を担うのが党中央委員会発行の機関紙「しんぶん赤旗」は、1928年の創刊で88年の歴史がある。
日刊紙(月額3497円)と日曜版(月額823円)があり、2014年1月の第26回党大会で公表した発行部数は124万1千部で、うち100万部を日曜版が占めている。
発行部数のピークは1980年の355万部で、この30年間で230万9千部も大幅に減少している。
志位委員長が、2015年1月の第3回中央委員会総会で2014年12月の衆院選時点の発行部数について、2012年12月の総選挙時比で、日刊紙読者は92.7%、日曜版土砂は92.5%と報告しており、現在の発行部数は更に減少していると思われる。
赤旗は共産党の宣伝を担う機関紙という役割だけではなく、政党助成制度に反対して各党が受け取っている政党交付金を受け取らず、企業献金も受け取らない共産党にとって、赤旗の購読料が党収入の柱となっている。
2015年に公表されている2014年分の政治資金収支報告書によると、共産党の党収入224億7729万円のうち、赤旗など「機関誌紙・書籍等」による収入は194億6228万円と党収入の86.6%を占めている。
2014年は12月の衆院選で共産党は8議席から21議席に躍進し、存在感が高まった時期にも関わらず、党収入の面では前年比より減少している。
共産党員の減少傾向も歯止めがきかず、2015年1月公表の党員数は30万5千人と、過去最多だった1987年の48万4千人から17万9千人も減少している。
教育基本法では、学校に政治的中立性を求めており、文科省と総務省が作成した主権者教育の高校生向け副教材でも、政治的中立性の確保に留意するよう強調されている。
教育に関して全日本教職員組合(全教)と呼ばれる組織があるが、これも民青と同じく、共産党の別動隊のような存在である。
全教は共産党系労組の全国労働組合総連合(全労連)の傘下にあり、1989年の日本労働組合総連合会(連合)発足に伴い、日本教職員組合(日教組)と分かれた教職員によって結成された。
その後、日本高等学校教職員組合と合流して1991年に全教が誕生した。
厚労省の調査によると、2015年現在の全教の組合員数は7万6千人となっている。
共産党の精神を体現した全教組合員の教職員が、実際に教育の現場で高校生の一部を含む240万人の新たな票田となる若者への主権者教育に携わっているのである。
SEALDsを取り込み、他の野党に「国民連合政府構想」を持ちかけた共産党の志位委員長は、野党再編のキーマンと持てはやされているが、2000年11月に共産党委員長に就任して以来、志位体制は国政選挙では連戦連敗で、8連敗である。
他の政党であれば、1回の国政選挙で大敗したらトップの責任問題が浮上するのは必至だが、共産党はそうはならない。
共産党の財政の柱である機関紙「しんぶん赤旗」の発行部数は志位が就任した当時の199万部から2016年現在は120万部まで減少している。
党員数も38万7千人から30万人まで減少している。
SEALDsとの関係性を指摘されているのが、日本民主青年同盟(民青)で、共産党の青年組織で別動隊である。
民青のOBは、現役の国会議員だけでも、副委員長の山下芳生、田村智子を始め、参議院幹事長・井上哲士など、参議院32人のうち15人が民青OBである。
民青の前進は、共産党が非合法組織として発足した翌年の1923年4月5日に創立された日本共産生年同盟(共青)で、同盟員になれるのは15歳から30歳までの日本の青年で、各都道府県に組織を持ち、年に1回、全国大会を開催している。
「同盟費」の負担も義務付けられ、隔週で「民青新聞」を発行しており、組織形態も共産党と同じである。
SEALDsの官邸デモに民青の幹部が参加したこともあり、「ママの会」の主要メンバーの一部にも元大学自治会の活動家がおり、決して一部のマスコミが伝えるような「子供たちを守るために普通のママさんたちが立ち上がった」わけではない事は明らかである。
少なくともSEALDsやママの会の活動を、「無党派」と位置づけて「純粋な大学生、主婦の叫び」と間違った認識をしてはならない。
森村誠一が、旧日本軍第731部隊の実情を明らかにしたと主張する小説『悪魔の飽食』シリーズは、1980年代に共産党機関紙「赤旗」で連載されたものである。

悪魔の飽食
税務署、国税局、国税庁、財務省の事務年度は毎年7月から始まり、6月に終わる。
だから7月上旬に内示があり定期異動が行われ、毎年3分の1から4分の1の職員が入れ替わる。
「ナナジュウニ」と呼ばれる7月から12月は、税務調査の最盛期で、調査官が最も落ち着いて税務調査に取り組める時期である。
「カクシンキ」(確申期)と呼ばれる1月から3月は、調査官も確定申告の納税サービスを担う公務員の役割に徹する時期となる。
「ヨンロク」と呼ばれる4月から6月は、3ヶ月しかなく1件あたりにかける日数も限られるので、短期決戦での調査が主となり、売上げが1000万円前後の調査を中心に、消費税の申告漏れに取り組む時期となる。
1円硬貨の原材料はアルミニウムだが、2015年時点で、材料費だけで1枚あたり0.7円、それに製造費用が加わり、1円玉の製造コストは1.6~2円になる。
ちなみに紙幣の製造費は、千円札が14.2円、五千円札が20.2円、1万円札は21.7円になる。
貧困問題に取り組む国際支援団体のオックスファムが2016年1月に発表したレポートによると、世界のわずか62人の富豪が最貧層35億人分と同じだけの富を所有しているという。
この62人の富豪の2015年の資産は1兆7600億ドル(180兆円)である。
日本でも富の集中と格差の拡大は確実に進んでいる。
国税庁の民間給与実態統計調査によと、年収200万円以下の給与所得者は1999年には803万7000人だったが、2014年には1139万2000人に増えている。
これにはフリーターやニートは含まれないので、低所得者層はさらに増えると考えられる。
一方で米ワールド・ウェルス・リポートによると、日本の億万長者は2004年には134万人だったが、2013年には273万人へ増えている。
日本では個人金融資産が1700兆円を超え、1人当り1300万円以上の金融資産を持っている計算になる。
しかし、2015年の「家計の金融行動に関する世論調査」によると中央値は400万円となっており、2人以上の世帯で金融資産を保有していない世帯の割合は30.9%と、3世帯に1世帯は将来に備えた貯蓄がゼロとなっている。
単身世帯に目を向けてみると金融資産を持っていない世帯は前年の38.9%から大幅に上がり全体の47.6%と、単身生活者の2人に1人が貯蓄なしで日々の生活を送っているのが実態なのである。
イギリスのGDPに占める金融業の割合は10%を超えており、先進国の中では最も高い。
ちなみに日本は6%程度である。
一方で、イギリスのGDPに占める製造業の割合は、1997年に20%だったが、現在は10%まで落ち込み、金融業と同程度となっている。
ちなみに日本の金融業は製造業の3分の1程度である。
しかしイギリスの銀行が製造業に融資している割合は3%にすぎず、生産目的の融資を殆ど行っていない。
イギリスの銀行融資の4分の3が不動産融資となっている。
イギリスの銀行は、イギリスの不動産を世界に売り出し、その資金を融資するビジネスで稼いでおり、その結果、イギリスの不動産価格はこの10年で2倍に跳ね上がっている。
パナマ文書で、ロンドンの高級不動産を世界各国の大富豪が項にゆうしている事が明らかとなった。
例えばアラブ首長国連邦のハリファ大統領が、イギリスで校にゆうした不動産は日本円で1兆8000億ドルである。
イギリスの最富裕層1000人は、2010年時点で3350億ポンド(50兆円)の資産を持っており、この10年で990億ボンド(15兆円)も増やしている。
またイギリスでは、人口の0.3%がイギリスの土地の3分の2を所有している。
スターバックスは、イギリスに700店舗も出していたが過去15年間に渡ってイギリスで税金を支払っていなかった。
スターバックスの税金逃れの手口は「移転価格」と呼ばれるもので、コーヒー豆をスイス子会社に輸入させ、それをイギリス子会社が書いとる仕組みにしていた。
この時、イギリス・スターバックスの豆の買取価格を高く設定しておき、税金の高いイギリスでは利益がでないようにし、税率が半分のスイス子会社に利益が出るようにしていた。
また税金が非常に安いオランダにスターバックスの知的所有権を管理する会社を置き、イギリス・スターバックスから高額のロイヤリティーを払わせていた。
スターバックスはイギリス上院決算委員会の聴聞会で追及され、年間2000万ポンド(30億円)の税金を払うことを了承した。
しかし、イギリス全土に700店舗を展開し、年商500億円の外食産業大手としては低い税金といえる。
他にもイギリスで逃税している多国籍企業は多い。
アップルは2011年にイギリスで67億ボンドを売上げ、22億ポンドの利益があり、本来5億7000万ポンドの税金を納めるところを、1440万ポンドしか支払っていない。
アマゾンは2006年にヨーロッパ本社をロンドンからルクセンブルクに移し、2010年から2011年の2年間はイギリスで納税しておらず、税務当局の調査を受けている。
フェイスブックはイギリスでの収入が1億7500万ポンドあり、本来ならば2100万ポンドの税を納めるところ、法人税はわずか23万ポンドに過ぎなかった。
フェイスブックはスターバックスと同様の手法で、アイルランドに子会社を作り、そこに利益を移転させていた。
グーグルはイギリス領のバミューダ諸島を利用することにより、本来は2億2400万ポンドかかるはずの税金を600万ポンドで済ませている。
リーマン・ブラザーズが破綻した大きな要因となった「レポ105」という取引は、イギリス子会社で行われていた。
「レポ105」というのは、決算期直前に手持ちの債権などを、後で買い戻すという条件のもとで一時的に現金に換えるという取引である。
決算期直前にこの取引をすれば、決算書上は現金を多く持っていることになり、健全な経理内容に見せることができる。
リーマ・ブラザーズは、この「レポ105」を大がかりにイギリス子会社でやって、アメリカの監督庁を騙していた。
イギリスでは、この取引について法律が緩く、監査法人は簡単にゴーサインを出す。
また多額のサブプライム・ローンを抱えて破綻したAIGも、ロンドン・オフィスがこのサブプライム・ローンの取引を中心になって推し進められていた。
リーマン・ショックの要因はこれだけではないが、イギリスの金融規制の緩さが大きな要因の一つであった事には間違いない。
ニューヨークのウォール街は金融取引量では世界一であるが、その大半は国内取引であり、アメリカの市場がされだけ大きいという事である。
マネーゲームの中心は現在もロンドンのシティであり、世界経済全体のシェアでみれば、ウォル街を圧倒している。
国際的な株取引の約半分、国際新規公開株の55%、国際通貨取引の35%はロンドンのシティが占めている。
イギリスの外国為替取扱量は1日あたり2兆7260億ドルであり、世界の全体の4割を占め、断トツの1位である。
2位のアメリカはイギリスの半分以下の1兆2630億ドルである。
ロンドンのシティが世界金融にこれ程影響力を持っている理由は、タックスヘイブンの総元締めだからである。
国際決済銀行(BIS)によると、イギリスとその海外領のオフショア銀行預金残高は推定3兆2000億ドルであり、世界のオフショア市場の55%を占めているという。
イギリス本国の経済力は、世界第5位でアメリカのGDPの6分の1に過ぎないが、イギリスが金融取引において世界最大のシェアを持っている。
ケイマン諸島のタックスヘイブン化は1960年代に始まった。
1966年にタックスヘイブンに関する制度が整えられ、為替管理禁止法も施行された。
1967年に、資産家が自分の資産を誰かに信託する時の手続きを定めた信託法が制定された。
この信託法では、財産に関する秘匿が定められており、スイスの銀行秘密法に似ている。
海外のイギリス領は、ポンドとリンクしているのが普通だが、ケイマン諸島をタックスヘイブンにする際に、イギリスはケイマン諸島が国際金融センターとなりポンドの流出の恐れがあったため、ポンド圏から離脱させた。
代わりに米ドルとリンクさせ、1974年に1ケイマン・ドルが1.2米ドルとされた。
このドル固定制度により、ケイマン諸島で米ドルが使用できるようになった事が、タックスヘイブンとして繁栄した要因の一つである。
1976年に銀行機密法が制定され、金融、銀行取引の情報を外部に漏らした者は罰金のほか禁固刑まで受けることとなった。
しかもこの法律では、情報を漏らした者だけではなく、情報を聞き出そうとした者も禁固刑に対象となっている。
つまり、ケイマン諸島の金融関係については、誰も追及できないのである。
ケイマン諸島は、西インド諸島西部のカリブ海にあり、主な産業はウミガメの養殖、観光、そしてタックスヘイブンである。
GDPに占める金融業の割合は50%以上と、ケイマン諸島はタックスヘイブンで成り立っている。
人口は2013年時点で5万5000人で、この40年間で倍以上に増えている。
ケイマン諸島は、独立国ではなくイギリスの海外領でありイギリスの統治下にあり、イギリス女王が国家元首で女王から任命された総督が行政を担当している。
ケイマン諸島の総督は、国防、治安、外交の権限を持ち、最終審の裁判所はロンドンの枢密院である。
ケイマン諸島は1670年のマドリッド条約によって、ジャマイカと共にイギリス領となり、1962年にジャマイカはイギリスから独立したが、ケイマン諸島はイギリス領のままとなっている。
1976年にはケイマン政府の収入増加により、イギリスからの開発援助が終了している。
ケイマン諸島では歴史上、一度も直接税が課税されたことがなく、間接税も消費税はなく、登録税と関税があるのみである。
法人税もなく、固定資産税もなく、法人の従業員に対する所得税、社会保険料もない。
ちなみにヴァージン諸島やバミューダ諸島では、法人税や配当への税、付加価値税はないが、法人従業員に対する所得税、社会保険料、不動産に対する固定資産税がある。
またケイマン諸島では為替管理もないので、どこの国の通貨も自由に持ち込み、自由に持ち出すことができる。
ケイマン諸島では、守秘義務が徹底しており、犯罪マネーに関する情報提供には応じるが、脱税での情報提供には応じていない。
ケイマン諸島では税金がかからないので、脱税は犯罪という認識が薄い。
1970~1980年代にかけて、中南米の麻薬マネーが大量にケイマン諸島に流れ込んだ際に、アメリカはケイマン諸島に対して情報開示を求めたが応じず、宗主国のイギリスと交渉した結果、1984年にアメリカとケイマン諸島との間で、金融情報提供の合意がなされた。
しかし、この合意内容は、麻薬などの犯罪マネーに関するものに限られ、脱税に関する情報は除外されている。
パナマ文書では、日本人や日本企業の名前はそれほど多く出てこなかった。
これは日本人や日本企業がタックスヘブンを利用していないということではなく、パナマ文書が流出した「モサック・フォンセカ法律事務所」がバージン諸島の法人設立を得意としていたからである。
日本人や日本企業は、ケイマン諸島を使う事が多い。
国際決済銀行(BIS)によると、2015年時点でケイマン諸島には、日本の資金が63兆円も投じられているとしている。

2016年6月16日木曜日

現在、日本の相続税の税収は1兆円ちょっとと、消費税の10%以下となっている。
日本には1700兆円もの莫大な個人資産があることを考えれば、これはいかにも少なすぎる。
現在、全国の相続資産に対する相続税の割合は2%に過ぎず、遺産の98%はそのまま遺族が手にするのである。
もちろん、それはタックスヘイブンを用いてである。
富裕層や大企業から直接税を取れないので、広く取れる消費税で賄おうとするのである。
パナマ文書により、セコムの創業者と親族に繋がる法人が1990年代にタックスヘイブンに設立され、当時の取引価格で700億円を超す大量のセコム株が管理されていたことが判明した。
セコムの創業者と親族は、日本と英国の弁護士、パナマの法律事務所もサック・フォンセカと逃税策を協議していたのである。
パナマ文書には、セコム株保有にかかわる各法人の役割を説明した書類や法人の定款、株主名簿があり、創業者の死後にセコム株を親族らに取り分けておくことなどが記されていた。
法人が設立された場所は英領ヴァージン諸島・ガーンジーで、セコム創業者の2人、飯田亮氏、故戸田壽一氏は、この法人を使ってセコム株を間接的に管理する仕組みを作っていたのである。
タックスヘイブンの法人には、自分達が所有しているセコム株を拠出し、名義上はタックスヘイブンの法人の所有にしたのである。
そして、このタックスヘイブン法人が所有していたセコム株を2002年に親族3人に無償譲渡したようである。
セコムの親族3人は、このセコム株無償譲渡を受け、それぞれが81億円、43億円、31億円の合計155億円の所得税を払っている。
セコム株700億円分を、普通に創業者から親族に贈与すれば、当時の贈与税の税率は70%だったので、500億円近い税金を払う必要があった。
もし贈与しないままにしておけば、創業者が死亡した際に相続税がかかり、こちらも500億円近い税金を払うことになる。
これをタックスヘイブン法人から無償譲渡されたという形を取ることで、155億円と3分の1に抑え込み、住民税を含めても半分以下に抑えたのである。
普通、個人から個人へ贈与された場合は、もらった側に贈与税がかかる。
しかし、法人から個人に贈与された場合は、もらった側に贈与税ではなく所得税がかかることになる。
そしてこの場合の所得税は、一時所得となり、普通の所得税の半額で済み、最高でも18.5%(当時の税率)にしかならなかったのである。
しかし日本の法人から個人が贈与された場合には、法人側に寄附金という扱いになり法人税がかかる。
そのため、税金の総額は、個人から個人に贈与した場合とさほど変わらなくなる。
セコムの場合、タックスヘイブンの法人なのでへ宇人勢が掛からなかった。
さらに当時は、所得税の高額納付者は公示する制度、いわゆる長者番付があったが、セコム創業者の親族は長者番付に載らなかった。
彼らは少し期限を遅らせて申告したのである。
親族3人は株の無償譲渡を受けた後、全てを一度に申告せずに、いったん少額の納税をした後、修正申告をするという形で、残りの大きな納税をしている。
当時のセコム広報は、「警備会社として慎重を期すために、申告が遅れた」とコメントしている。
パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」の最大の顧客は中国であり、実に顧客の3分の1は中国・本金の居住者だった。
クレディ・スイスの2015年の発表によると、中国のミリンネアの人口は133万人と、日本の213万人に対してまだ少ない事を考慮すると、中国人のタックスヘイブン利用は多すぎる。
総合商社はタックスヘイブンを利用した逃税がしやすい業態である。
2014年3月期の決算では、大手商社5社は連結ベースで2100~4450億円もの当期利益を計上しているが、税負担は極めて低い。
単独ベースでは大手5社がそろって営業赤字になっている。
総合商社は、グループ全体の利益を税金の安い海外子会社に移し、日本本社では利益が出ないようにしている。
そのため、総合商社の実質税負担は多くの場合10%を切っている。
アップルはネヴァダ州、アイルランド、オランダ、ヴァージン諸島などのタックスヘイブンを巧みに利用することで、グループ全体の実効税率を9.8%にまで下げている。
アメリカには、コストシェアリングという制度があり、アメリカの会社と外国の会社が、無形資産を共同開発した場合、アメリカでの権利はアメリカの会社、アメリカ外での権利は外国の会社が使用できることになっている。
アップルは研究開発を全てアメリカで行っているにも関わらず、アイルランド子会社が費用を負担しているということで共同開発という形を取っている。
これにより、アメリカ外でのアップルの使用料は、アイルランドの子会社が全て受け取れる事になっている。
アイルランドの法人税率は12.5%とアメリカの3分の1である。
2004年にはアップルは、世界売上の3分の1をアイルランド子会社に集中されていた。
タックスヘイブンのペーパーカンパニーが受けた配当には、税金がかからないが、ペーパーカンパニーからその株主に配当を出した場合には、本国で税金が課せられる。
タックスヘイブンを使っての脱税スキームで、税金を逃れるためには、お金をタックスヘイブンに置きっぱなしにせねばならない事になる。
しかし、実際には3つの方法で引き出す事ができる。
1つ目はタックスヘイブンのペーパーカンパニーに、別荘などを買わせる。ロンドンの高級住宅街の多くはタックスヘイブンのペーパーカンパニーが買い占めている。
2つ目はペーパーカンパニーからお金を借りる。
配当であれば、税金がかかるが借金であれば税金はかからない。
3つ目は母国が特別に一時的にタックスヘイブンからの送金を無税にする事があり、それを待つ。
アメリカなどではブッシュ大統領もオバマ大統領も、この特別措置を実施した。
このままアメリカ人の資産がタックスヘイブンに置きっぱなしになってしまうより、税金は取れなくてもアメリカ本国に戻した方が景気対策になるという判断である。
パナマ文書に載っていたアイスランドのシグムンドゥル・グンロイグソン前首相の脱税スキームは、富裕層のテックスヘイブン利用の典型的な例である。
前首相は、妻名義でバージン諸島のタックスヘイブン設立したペーパーカンパニーを通じて、アイスランドの銀行に投資していた。
殆どの先進国では、投資家の配当収入には税金がかかる。
しかし、タックスヘイブンでは配当収入には税金が課せられない。
つまりタックスヘイブンに会社をつくり、その会社がアイスランドの銀行に投資をしたことにすれば、配当金に税金はかからないのである。

2016年6月14日火曜日

アメリカのネヴァダ州、デラウェア州では州の法人税、所得税か゜かからないので、アメリカ企業の多くが本籍地を置いている。
しかしアメリカは収税には優遇措置があるが、連邦税は普通にかかるので、ネヴァダ州、デラウェア州でも連邦税は支払わねばならない。
だから本格的なタックスヘイブンと比べると、相当に見劣りしてしまう。
タックスヘイブンで、最も被害を受けているのはアメリカ政府である。
代表的なタックスヘイブンであるケイマン諸島には1万8857社が登記され、そのうち半分はアメリカの関連企業であり、このケイマン諸島でアメリカは年間1000億ドルの税収を失っているという。
また、現在、世界の銀行資産の半分以上、多国籍企業の海外投資の3分の1が、タックスヘイブンを経由していると言われている。
IMFの2010年の発表によると、南太平洋などの島々のタクッスヘイブンだけで、少なくとも18兆ドルの資金が集められているとしている。
18兆ドルというのは、世界総生産の3分の1に当たる巨額の資金である。
NGOの「税公正ネットワーク」は2010年末時点で、21~32兆ドルの金融資産がタックスヘイブンに保有されていると分析している。
同NGOによると、ヨーロッパ大手100社のうち99社がタックスヘイブンに子会社を持っていると報告している。
アメリカ会計検査院は、アメリカ大手100社のうち83社がタックスヘイブンに子会社を持っていると発表している。

2016年6月7日火曜日

先物市場を見ていると世界情勢が理解できるようになる。
例えば、マシンガンの弾は鉛が原料だが、鉛毒があるので人道的観点から銅を塗らないといけないことになっている。
そのため、戦争が始まるとなると、大量に弾に銅のコーティングが必要となるので、銅の価格が跳ね上がる。
また、戦争の準備段階では食糧の備蓄が始まる事から、小麦の相場に影響が出てくる。
先物市場の動向を見ていれば、戦争になりそうな局面かどうかが見えてくるのである。
金融資産5000万円から5億円ぐらいの人達が、これから国にドンドンむしり取られていくことになる。
今回の10%への消費税増税延期のように、既に消費税で広く取っていくのにも限界が来ているので、国は取れるところから取っていくことになり、一番取れるターゲットとなるのがこの階層である。
資産が30億円以上あるような国際基準でも超富裕層とされる階層は、税を逃れるノウハウを専門的なアドバイスを受けられるが、しがらみがあって日本から転籍できない金融資産5000万円から5億円程度の小金持ちにとっては、生きづらい世の中になる。
資本主義社会においては、金儲けを否定してはいけない。
「儲けたい」という事に関しては、考え方としてはむしろマルクス経済学の方が説得力がある。
マルクス経済学と近代経済学の一番の違いは、「分配論」にある。
マルクス経済学では、労働者の賃金を分配論では説けないと考え、生産論として考える。
一方、近代経済学では労働者の給与は、企業収益の「分配」だと考える。
マルクス経済学では、社会の構造から出てくる労働者の賃金というのは、3つの要因で決まると考えられている。
1つ目は、家を借りて食事をして服を買って、ちょっとしたレジャーもしてリフレッシュできて、来月も働けるようにするための生活に係るお金。
2つ目は、家族を持って子供に教育を受けさせて、子供も労働者にするという階級の再生産、世代の再生産のためにかかるお金。
3つ目は、技術革新に応じて、自己教育するたにかかるお金。
つまり、自分や家族の生命、生活の再生産に必要な3つのお金が賃金になるという考え方である。
そして、こうした再生産にかかる費用に応じて自分の労働力を売ることで賃金をいくらもらうかが決まってしまい、そこから大きく変動しないと考える。
だから会社がいくら業績を挙げても、労働者にはそれを分ける必要はなく、それが嫌ならば雇用契約をしなければ良いという事になる。
賃金は決まっているので、会社が内部留保するのは当然である。
だからベースアップ闘争が重要になるのである。
しかし、自己教育ができなくなるような底まで落ちてくると、システムの再生産ができなくなり、国は衰退してしまう。
そこで、そうならないように国家介入が起きてくると考えるのである。
つまり、労働者でいては金持ちにはなれないという事になる。
安倍政権で、重要な位置を占めているのはTTP、消費税増税、晋天間問題の3つだった。
これら全てが、民主党の菅直人政権で決定された事である。
TTP参加を打ち出したのも菅政権だし、消費税増税を言い出したのも菅政権、そして鳩山由紀夫政権で紛糾した普天間基地問題も辺野古を埋め立てて滑走路をV字にすると決定したの菅政権である。
菅政権で決定した計画を、安倍政権は遂行しているだけに過ぎない。
つまり民主党と自民党では政策的な違いの幅というのは、殆どないに等しいことになる。
2014年11月8日に『ロシアの声』(現在は『ラジオ・スプートニク』)というロシアの国営放送局のインターネットサイトの中で、北朝鮮中央通信の声明として、「人類初、北朝鮮 宇宙飛行士が太陽に着陸と発表」という記事が掲載された。
記事の中身は「17歳の宇宙飛行士ホン・イル・ゴンさんは、高温による有害な影響から自分を守るために深夜に出発した、ホンさんが必要とした時間は、合わせて36時間。ホンさんは、すでに祖国へ帰還し、英雄のように迎えられたという。また「人類で初めて太陽に着陸した人物』は、北朝鮮の金正恩第一書記と面会する予定だという」という内容だった。
ロシアの国営ラジオが報じたこの記事の意味が分かるのは、2016年1月6日に、北朝鮮が水爆実験に成功と発表した時にリンクした。
このロシア国営ラジオは、2014年11月の時点で、北朝鮮が核融合実験に成功したということを寓話という形で伝えていたのである。
太陽というのは、核融合で燃えており、その核融合の原理を応用した爆弾が水爆である。
ちなみに、原爆は核分裂。
つまり、「17歳の宇宙飛行士が太陽に着陸」というのは、核融合の基礎的な実験に成功するまでに17年間かかったたという事で、「深夜に出発し、飛行時間を36時間必要とした」というのは、水爆の基礎実験が深夜から始まり、実権の洋数時間が36時間だったという事なのである。
もしかしたら、宇宙飛行士の「ホン・イル・ゴン」という名前にも何か意味が隠されているかもしれない。
日本語放送の「ロシアの声」が、このニュースを取り上げたのは、「北朝鮮では核融合が始まって、危険な状態になっている事を、我々ロシアは分かっていますよ」と日本に知らせるためだったのである。

ロシアの声』(現在は『ラジオ・スプートニク』

2016年6月6日月曜日

GDP統計というのは、日本は四半期の3ヶ月が終わってから6週間半くらいして統計が発表される。
イギリスやアメリカは4週間で発表される。
しかし、中国のGDP統計はたった2週間で発表されるので、専門家の間では、本当に計算しているのか疑われている。
多くの専門家は、中国経済については、電力の消費量と鉄道貨物の輸送量と、銀行の貸出を見ており、李克強首相もそれらの指標をみていたという事が判明したので、今では「李克強インデックス」と呼ばれている。
2010年に中国のGDPが日本を追い越し、その後円安となったので、ドルベースで計った中国のGDPは、日本の既に2.3倍となり、アメリカの6割の水準に達している。
しかし、上海株式市場の時価総額の世界の中のたった2.3%に過ぎない。
かつて一橋大学には、杉本栄一という「近代経済学」という言葉を作った経済学者がいた。
現在は「マルクス経済学」に対する「近代経済学」という対比概念で語られる事が多いが、杉本栄一はマルクス掲載がくも含めて、近代の色々な経済学説というものを総合的に捉えていくという考えだった。
これが一橋大学の伝統であり学風となるのである。
現在、学生の2人に1人が借りている奨学金が、社会人になっても返済でず自己破産に追い詰められる人が1万件に上っているという。
自己破産を余儀なくされる人の多くが、非正規や正社員でも給与が少ない若者である。
本人が自己破産すると連帯保証人になっている親や親戚も影響を受け、一家が破産する連鎖となっていく。
近年、世帯年収が減り続け、親からの仕送りは1994年の12万4900円から下り続け、2015年には8万8700円と過去最低となっており、学生の2人に1人が奨学金に頼らざるを得ない状況となっている。
社会人になっても返済出来ず奨学金の滞納者は32万人を超えている。
日本育英会から奨学金事業を引き継いだ日本学生支援機構は、132万人の学生に1兆円以上の奨学金を貸し付けているが、最近、回収に力を入れているという。
返済予定日を過ぎると5%の延滞金が上乗せされ、延滞が3か月続くと個人信用情報機関に登録されクレジットカードの使用が制限さらてしまう。
さらに返済出来ない場合は、債権回収専門会社が催促を開始し会社に電話をかけたり自宅へ訪問が始まり、9か月後には裁判所から一括返済を求める督促通知が届く事になる。
2014年に裁判所から督促返済を求められた件数は8400件とこの10年で40倍に増えている。
かつて1970年代に「オイルショック」が起きて、トイレットペーパー買占め騒動や狂乱物価などのパニックが相次いだことがある。
あの時、実は日本の石油はわずか10%減っただけに過ぎなかったという。
金融広報中央委員会が毎年実施している「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯)」(2014年)によると、30代で貯蓄の平均値は415万円となっている。
以外に持っているように思えるが、これはあくまでも平均額であり、貯蓄の無い世帯は34.2%におよび、最も多い答えである中央値は130万円となっている。
世界通貨としてのドルを考えるてみると、第二次世界大戦後半の1944年7月にアメリカのニューハンプシャー州ブレトン・ウッズで開かれた連広告通貨金融会議「ブレトン・ウッズ会議」でIMFを設立することが決定し、その時に世界の通過をどうするかが問題となった。
この時に、イギリスのケインズ案とアメリカのハリー・ホワイト案が討議された。
ケインズ案は世界の中央銀行を作って、そこで経済成長に比例して通過料も増えていく「成長通貨」を供給していこうというものだった。
それに対して、ケインズ案ではアメリカの負担が非常に大きくなるので、当面はそうした中央銀行は作らないで、今あるドルを上手く使っていこうというのがホワイト案だった。
結局もドルを世界の基軸通貨とするアメリカ案に近いもので戦後の国際通貨制度が始まった。
ドルはどいうときに供給されるのかというと、アメリカの経常収支が赤字になった分、ドル資産を世界が持つことになった。
つまりアメリカの赤字分だけしかドルが供給されないのである。
当初はアメリカの経常収支の赤字分しかドルが供給されないのでは、成長通貨として不足すると、ドル不足が懸念されたが、結果としてアメリカの経常収支の赤字はものすごく続き、結果としてドルの世界への流動性が過剰になったのである。
日本には「移民法」が無く、不法移民を取り締まる法的基盤もない。
2014年だけで5000人が日本に難民申請していて、基準が明確にされないまま法務省・入国管理局の裁量に任されて、11人だけが難民と認められている。
ヨルダンは、アラビア半島の情勢が維持できるかどうかという事に関して、鍵を握っている国である。
ヨルダンの現在の王族はハーシム家で、これはクライシュ族に属するムハンマドの系統で、非常に位が高く、もともとはアラビア半島のもっと良い所に住んでいた。
しかし、現在のサウード家に追い出され、追い出されたところに住んでいるので少数派となっている。
そして19世紀半ばに、ロシアが来たコーカサスのチェチェンやチェルケス、イングーシ、ダゲスタンを支配した時に、その支配を潔しとせずに逃れたチェチェン系、チェルケス系など北コーカサス系の人達がトルコに150万人、アラブ諸国に100万人いて、ヨルダンにも多く流入している。
ヨルダンの国王親衛隊とか、2014年12月にシスラム国に戦闘機を撃墜されて身柄を拘束され、その後焼き殺されたヨルダン空軍の中尉も北コーカサス系で、ロシアから来た人達である。
アラブ諸国の中で、イスラエルと外交関係を持っているのは、エジプトとヨルダンだけで、2015年6月からはイスラエルとヨルダンが「空の共同防衛」を始め、ヨルダンの上空はイスラエルが警備している状態となっている。
過去と断絶する時に、文字改革が行われる。
中国は漢字を簡単な簡体字にして、古典から人民を遮断することに成功した。
ロシアもロシア革命の時に4つの文字を廃止したことによって、古い文書が読めなくなってしまった。
ドイツでは、ひげ文字、亀甲文字とも言われる「フラクトゥール」というドイツ独特の飾り文字を使っていたが、ナチス・ドイツは普通の英語と同じアルファベットにすることで、特にインテリ達との断絶を行った。
近代化のプロセスの一つに肉食がある。
肉食とパン食によって、エネルギーの消費量が飛躍的に伸びるのが近代化の特徴である。
『中世ヨーロッパの農村世界』(山川出版社)によると、ヨーロッパ中世の農村生活では、1人が1日に平均3500キロカロリーも摂っている。
しかし、1年間で摂るお肉の量は、たったの鶏1羽分だから、3500キロカロリーでも中世の生産力で十分やっていけたのである。
パンや肉の味を覚えてしまうと、人間は戻れなくなる。
新興国で近代化と同時に肉食が広がっていくと、味を覚えた人達は水準を落とす事ができなくなる。
「インテリジェンス」はラテン語の「インテル」と「レゲーレ」という言葉からきている。
インテルは「間」、レゲーレというのは「組み立てる」という意味で、おもちゃの「レゴー」はレゲーレの一人称多数形で、「私は組み立てる」という意味。
つまり、インテリジェンスとは、「組み立てる建物の間にあるものを見ていく」という意味になる。
またギリシャ語とラテン語は移動することがあり「レゴー」というのは、ギリシャ語だと「読む」という意味で、インテルくっつくと「行間を読む」という意味になる。

2016年6月3日金曜日

「個人での銀行融資の壁は2億円」と言われる事があるが、結論としてはウソである。
銀行は負債と資産のバランスを評価し、リスクが無いと判断すれば融資額に関係なく、融資を実行する。
「個人で2億円を超えてしまいますので・・・」と断られたら、それは銀行が融資を断る口実にすぎない。
「属性がちょっと・・・」「前のお借入れから期間が経っていないので・・・」も断る口実である。
「自己資金が少なすぎる」と正直に伝えてしまうと、「じぁ、あと1割多く用意するから貸してくれ」と言われると困るからである。
自己資金不足も含め、様々な要素を考慮して総合的に判断した結果が「NG」であって、後から自己資金不足を改善したからといって、借りられるという単純な話ではないからである。
一度決定した審査結果は、一部改善をしても覆せないのである。
ただ、融資を受けたい本人ではなく、代理人が間に入って相談する場合は、具体的なお断りの理由を知る事ができる事もある。
物件の評価方法は、動態的な評価の「収益還元法」と静態的な評価の「積算評価法(原価法)」の2つある。
収益還元法は、その物件が持つ収益力から物件を評価する方法で、家賃収入から割り戻して物件の評価をする。
取引事例法や原価法と比べ、合理性が高い方法と言え、不動産を長期間保有する場合の評価に適している。
計算方法は、一定期間(通常は1年間)の純収益を還元利回りで割って、100を掛けて収益還元価格を求めるが、その時に還元利回りが重要となる。
・不動産の収益価格=知ってい期間の収益÷還元利回り
一方、積算評価法は、物件価格を評価する方法で、家賃収入が変わっても評価額は変わらない。
計算方法は、対象の不動産をもう一度、建築・造成をした場合にいくらになるか再調達減価を割り出し、建築後の経過年数による価値の減価を割り引いて、現在の価格を推定評価する。
・建物の積算価格=総面積×単価÷耐用年数×残存年数(耐用年数-年数)
単価と耐用年数と残存年数は、建物の構造によって異なる。
区分所有の場合は、レンタブル比(貸室部分面積÷延床面積)で有効活用される面積割合を計算する必要がある。
現実には、木造在来工法で、平米20万円で建てる事は難しく、遮音ゆ機密性、高断熱を考慮すると工事単価は上がるが、銀行はの部分までは考慮してくれず、あくまでも平均値、平均的な評価を重視する。
<言ってみたいセリフ>
「やるか、やらないかを決めるのは我々であって、銀行じゃない」
by ドラマ『華麗なる一族』 
阪神特殊製鋼・専務 万俵 鉄平(木村拓也)
銀行から融資を受けられるかどうか分からないのに、社員の前で「2年後、当社にも新しい高炉が建つ」と宣言し、社員のモチベーションを上げた。
それを見た別の役員が、「まだ銀行の融資承認の返事も聞いていないのに」と非難した事を受けて、万俵が言ったセリフ。
銀行融資の際に、借地権は担保評価をしてもらえない場合が多い。
借地権は財産権の一つとして評価されるものではあるが、所有権とは異なり、土地に抵当権の設定ができないため、銀行によっては担保として評価しない場合が多い。
また、担保評価する銀行であっても、実際の借地権価格の50%程度が上限となっている。
銀行には、4つの検査がある。
1.金融庁検査
2.日銀検査
3.本部検査(年1回、検査部の抜き打ち検査)
4.定期検査(月1回、支店内部での定例検査)
この中で最も怖いのが、金融庁検査で、3年に1回のペースで金融庁からエリート官僚が来て、1ヶ月に渡り、銀行内部を調査していく。
検査期間中に、窓口でトラブルがあったり、致命的な事務ミスを犯した場合、支店長の経歴に傷がつき、支店の評価は下がり、場合によっては頭取名で始末書を提出する事となる。
ミスが顧客の不利益になると判断された場合、業務改善命令を受けることになってしまう。
「私は44です。
人生の折り返し地点はとっくに過ぎています。
ですが、残りの人生、自分に言い訳しながら生きていくには長すぎます。」
by『ハゲタカ』 
三葉銀行・資産流動対策室室長 芝野健夫(柴田恭兵)
所得税の予定納税制度は、年収が一定以上ある人に対して課せられ、来年分の所得税を概算が納税する制度である。
その趣旨は、一時に多額の納税額を納付することは、納税者にとって負担となるためという事のようである。
しかし、実際に予定納税が始まる初年度は、前年分を納税した後に、これまでは来年に払っていた税金を今年払うことになり、税額は倍近くなってしまい、納税の為の資金繰りが必要となってしまう。
納税の資金繰りがでず、予定納税を納税日までに払えなければ、延滞金が発生することになる。
2014年末に内閣府が実施した65歳以上の約1500人に対する意識調査によると、1人暮らしの高齢者の45%が「孤立死を身近に感じている」と答えている。
現在も、1人暮らしの高齢者は増え続けており、600万人と推計されている。
マニラ日本人会診療所の医師によると、「フィリピンで病院に救急車で運ばれると、まず最初に『いくらまで補償される医療保険に入っていますか?』と聞かれ、支払能力が十分でなければ初期治療のみとなり、保険に加入していても対応限度額分の治療までしか施されない」と言う。
これはフィリピンの医療システムが関係しており、有名な私立病院では、医師が病院側と診察室の賃貸契約を結んでおり、デパートのテナントの様な関係となっている。
賃貸契約の相場は、高い時で1ヶ月数十万ペソもかかり、収入が少ない医師は継続して診察室を借りる事ができず、病院から追い出されてしまう。
このため、医師が病院で診療を続けるためには、賃料を支払うための効率良く安定した収入が必要となり、これがフィリピンでの「医療のビジネス化」に繋がっているのである。
その結果、フィリピンでは検査費用や診察料は病院や医師によって異なり、自己負担が3割の日本よりも高額になる場合がある。
新興国に移住するという事は、医療環境も含めて現実を検討する必要がある。
快適な老後を過ごす為に好条件が全て揃っている国などは無い。
日本は物価が高く、老後の生活に対する不安は高くなるが、全国どこでも同じ世界水準の医療を、低負担で受けられる。
一方、フィリピンでは一年中、温暖な気候に恵まれ、物価も日本4分の1と安いが、その分、医療を含めて不便な事が多くなる。
マニラなどの大都市には日本語が通じて質の高い病院が揃っているが、更に物価が安い地方都市になる質の高い医療は望めない。
日本の住民票を抜いて海外に移住してしまうと、国民健康保険に加入できなくなる。
国民健康保険に加入していない人が、海外で大病をした場合、日本に帰国して再加入すれば良いと考えるかもしれないが、各航空会社から搭乗を拒否される恐れがある。
例えば全日空(ANA)の場合、エボラ出血熱、コレラ、腸チフスなどの感染症の人は搭乗を拒否される。
またインフルエンザ、風疹、百日咳などの感染症は旅行に適していないと判断され、更に急性心筋梗塞、不安定狭心症、重症心不全、脳卒中急性期などの病気を持つ人、出産予定日まで28日以内の妊婦は医師による搭乗適正の診断書が必要な場合がある。
つまり移住先で大病となった場合、帰国できない可能性があるため、医療保険に未加入であれば自己負担での治療を余儀なくされる事になる。
超高齢化社会に突入している日本にとって、孤立死(自宅で亡くなった単身世帯で自殺も含む)は深刻な問題となっている。
日本全国の統計は明らかになっていないが、東京都監察医務院の調査では、東京都23区では2012年に孤立死した人数は4472人に上る。
最も多い足立区では397人、順に板橋区が354人、大田区が341人と続く。
つまり、この3区では平均して1日に1人が孤立死しているという事になる。