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2014年12月27日土曜日

減税しないのは日本の特徴である。
リーマン・ショック後に、どの国もGDPの3~4%分の緊急経済対策を打ったが、アメリカは政策のうち半分が減税だった。
OECD加盟各の経済対策で、減税系と支出系の比率を調べると、日本以外は半分以上が減税なのに対して、日本だけが減税の割合が突出して低かった。
減税は、個人・企業の税負担が減って、使えるお金が増えるので、短期的にプラスの影響がでる。
また、補助金は成果を出していない人にもメリットがあるが、減税は頑張って利益を出している人にメリットがある。
ホワイトカラー・エグゼプションの話になると、マスコミは「残業代ゼロ」と騒ぎ出す。
しかし、本来は「労働基準法の適用除外にする」ということで、残業代がゼロになるかどうかとは別の話なのである。
国家公務員は法的には、ホワイトカラー・エグゼプションで、何時間残業しても労働基準監督署が来ることは無い。
なぜならば、国家公務員は労働基準法の適用除外だからである。
しかし、残業代に相当する手当は支給されている。
仕事をした時間で決めるのではなく、仕事の量と質で評価するという先進国で導入されている制度なのである。
規制改革会議の報告書を見ると、目玉は農業ということが理解できる。
日本の農業における規制は象徴的で、東京の大手町には、、経団連と日本経済新聞とJA(全国農業協同組合中央会)の3つの高層ビルが並んで入る中で、一番高いビルがJAビルなのである。
JAが最も立派なビルを建てれるという、日本の産業構造から考えると、不思議な事になっている。
規制改革会議には面白いエピソードがある。
この会議は規制改革を議論する目的で設置され、忙しい委員はネット会議での参加も可能ということなっていた。
しかし、2013年から新しい議長が「ネット参加は認めない」と言いだして、会議のやり方を規制してしまった。
消費税3%を導入した1989年当時は、経済成長もしていたし物品税廃止と引き換えだったので実質的に減税だった。
1997年に消費税を5%に増税した当時も先行所得税減税があったので、税収入的には中立だった。
しかし、今回2014年の消費税8%は実質的な増税であり、各種の統計でも増税の悪影響が明らかになっている。
確かに2014年5月の失業率は3.5%で過去16年で最も良かったが、失業率は「遅行指標」であり、実際の景気の状況との間では、かなりのタイムラグがある。
消費の統計が落ち込み始めると、需要が下がらないように価格を下げる動きが出てきて、物価指数が下がる。
すると企業の業績が落ちるので、失業率が高くなる。
つまり、消費の低下に比べて物価の低下は少し遅れ、失業率の増加は更に遅れる。
最もタイムラグが少ない消費動向である「家計調査」は、2014年5月、6月と2ヶ月連続のマイナスとなっており、過去33年分のデータの中で最も悪い数字となっていた。
経済成長を巡るエピソードとしては、アルゼンチンの話が興味深い。
1950年のアルゼンチンの一人当たりGDPは、フランスよりも高かった。
『母を訪ねて三千里』は、イタリアのジェノバに住んでいるマルコ少年が、母親に会う為に、アルゼンチンのブエノスアイレスを訪ねる物語である。
その頃、アルゼンチンの一人当たりGDPは、フランスやイタリアよりも高かったので、マルコ少年の母親はブエノスアイレスにダ稼ぎに行っていたのである。
ところが、現在、フランスの一人当たりGDPは、アルゼンチンの2.4倍になっている。
これはフランスの方が、アルゼンチンより経済成長率が高かったということになるが、フランスが極端な高成長を続けてきたわけではなく、平均して両国の経済成長率の差は、1.5から1.6%しかなかった。
僅かな成長率の差が、長期に渡ると大きな経済格差となるのである。
日経平均株価が1万円を超えたのは1984年で、30年後の2014年末時点で1.8倍になった。
日経平均は225社で、ダウ平均は競争力が特に高い30社という違いはあるが、この間にアメリカのダウ平均は13倍になっている。
GDPを比較しても、1990年代の日本の名目GDPは450~500兆円で、同時期のアメリカは6~7兆ドルだった。
日本のGDPが横這いに対して、アメリカは16兆ドルと倍以上になっている。
都心のタワーマンションの場合、北向きの住戸の方が値上がりする確率が高い。
2006年から2010年に都区部で分譲されたタワーマンションの北向き住戸の中古売り出し価格を新築分譲時の価格と比較したところ、中央区、港区、江東区では、2割程度上昇していた。
タワーマンションの場合、購入者が最も重視する条件が眺望であり、中央区、港区、江東区は、北方面に丸の内、汐留、東京タワー、スカイツリーが見えるので、人気が高くなる。
北向きという事で、分譲時の割安な価格設定と中古になってからの人気の高さで値上がりしたのである。
一方、墨田区、足立区、葛飾区のタワーマンションの北向き住戸は、北側に見るべき眺望がなく、新築時から15%以上の下落となっている。
新築マンションの平均価格が上がると、新規供給戸数は減っていく、という相関関係がある。
平均価格と供給戸数を掛け合わせたのが新築マンションの市場規模となる。
首都圏の新築マンション市場については、リーマンショック前には3兆円規模だったが、2013年には2.5兆円となっている。
マンションの価格が上がれば、買える人が少なくなり、供給戸数が減るという構造になっている。
1バレル1ドルの原油安がもたらす企業業績への影響
ANA    +28億円(営業利益)
JAL     +23億円(営業利益)
日本郵船 +1億5000万円(経常利益)
商船三井 +4000万円(経常利益)
川崎汽船 +6500万円(経常利益)
JXHD   ▲75億円(経常利益)
出光興産   ▲37億円(営業利益)
OECDによる実質GDP成長率の見通し
         2013年  2014年  2015年   2016年
OECD全体         1.4%   1.8%    2.3%    2.6%
米国       2.2%   2.2%    3.1%    3.0%
ユーロ圏      ▲0.4%   0.8%    1.1%              1.7%
日本       1.5%   0.4%    0.8%    1.0% 
飲食店の開業費用の内訳(日本政策金融公庫)
(不動産を購入した場合を除く)

〇開業費用の内訳 平均883万円
改装費用  41.7%
備品費用  21.1%
運転資金  19.1%
テナント賃貸費用 18.1%

〇開業資金の調達先  平均1,066万円
金融機関融資  55.4%
自己資金    32.8%
親族等     11.8%
アベノミクスの評価
             2012年12月末(政権発足時)   2014年11月末
実質国内総生産       514兆円(6.03兆ドル)    522兆円(4.44兆ドル)
雇用者数            5490万人         5626万人
実質個人消費          307兆円          306兆円
消費者物価指数         ▲0.2%           1.0%
実質賃金            ▲1.6%           ▲3.0%
日銀の長期国債保有残高     89.1兆円         179.8兆円
日経平均株価          1万230円         1万7357円
ドル円              85.3円          117.5円
国の債務残高          997兆円          1038兆円
10都市の百貨店売上高       ▲0.4%           ▲0.2%
地方都市の百貨店売上高      ▲3.0%           ▲1.8%
GDPは円安により、30%縮小してしまった。
自国通貨が弱くなって自慢する国は、韓国と日本だけである。