Amazon

2015年12月26日土曜日

子供や孫との同居率は下がり続けており、現在は10%程度となっている。
国立社会保障・人口問題研究所によると2035年には、高齢者の38%が単身世帯となり、東京に限ると44%がひとり暮らしになると推計されている。
この家族形態の変化に、1961年にできた国民年金制度は追いつけていない。
日本の場合、少ない年金で暮らす高齢者であっても医療や介護の負担は原則的に1割とされるが、フランスでは収入が低い人が医療や介護の費用を支払った結果、ある水準の収入を下回ってしまう場合には費用を安くするという制度の調整を行う仕組みがある。
フランスには最低の生活水準は常に確保するという思想がある。
収入が少ないので病院に行くのを我慢したり、介護を受けれなかったりすると、症状が重くなってしまい、そちらの方が結果的に社会的コストは高くなるのである。
老後破産にならないような仕組みを作っておく方が、社会的コストは安上がりになる。
近年、親の介護を理由に仕事をやめる介護離職者の数は毎年10万人近くに上り、その多くが介護終了後に、50才を超えることもあり正規社員への復帰ができていない。
過去20年に渡って、働く世代の平均年収は下がり続け、1990年代には平均所得は1世帯当たり650万円を超えていたが、2012年には550万円を下回り、平均所得が300万円を下回る世帯は3割を超えている。
また、年収200万円未満の労働者、すなわちワーキングプアが1100万人を超えており、老後破産予備軍が膨張している。
こうしたワーキングプアの子供が親の年金を充てにして「共倒れ」するケースが増え続けているという。
親子がでうきょしている場合、親が老後破産に陥っても、すぐには生活保護を受けにくい。
介護のストレスから親に暴力をふるうなどの特別な場合に限り、親子を別居させて、それぞれに生活保護などの支援をすすめる「世帯分離」という手法が取られることもある。
高齢者が陥る老後破産の中には、厚生年金のトリックを知らずに、厚生年金を受け取る事ができなくなった人が少なくない。
昔は積み立てた厚生年金を退職時に一括で受け取る事が可能だった。
その為、長期間に渡って正社員として働いたにも関わらず、厚生年金を退職時に「一括前払い」で受け取る事ができる「厚生年金脱退手当金制度」をよく知らずに利用してしまい、厚生年金を受け取れず国民年金のみの支給となってしまったケースである。
当時、一括で貰ったとしても物価相場を考えると、それほど多い金額ではなく、一括受取りは、生涯に渡って支給されるよりも、大きな損をしてしまったことになる。
ひとり暮らしの高齢者が600万人に迫る中、年収120万円未満の生活保護水準を下回る人が半数を占めるという。
このうち生活保護を受けている人は70万人で、200万人を超える高齢者が生活保護を受けずに年金だけで、ギリギリの生活を続けている。
その多くが、ひとり暮らし世帯の高齢者で、病気になったり介護が必要になった時に、生活の破綻が決定してしまう。
どの程度の収入があれば、生活保護を受けれるのか、明確な分かり易い基準が示されていないために、多くの高齢者が自分に生活保護を受ける権利があるのかさえ分からないまま、我慢の日々を強いられている。