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2016年10月25日火曜日

不動産投資を拡大していく過程で、同じようなスペックの物件ばかりを続けて購入すると、同じタイミングでデッドクロスを迎えることになり、資金繰りで苦労することになる恐れがある。
だから、物件を購入する時には、ポートフォリオ全体のバランスを考慮することが必要となる。
具体的には、エリア、構造、築年数、間取り、残債、残債利回り等が偏ってしまわないように注意すべきである。
特に注意すべきは、ポートフォリオ全体の平均残存耐用年数であり、これは長ければ長いほどよい。
ちなみに、りそな銀行は、この物件全体の平均残存耐用年数を非常に気にするという。
ドンドン物件を増やしていっても、借入比率が高くて残債が減らない状態だと、決算書のバランスは悪くなる。
サラリーマンの属性に対して全国の物件に不動産ローンを融資してくれる有名な銀行に、スルガ銀行がある。
金利が4.5%と高めだが、他の金融機関では融資が通りにくい物件に対しても積算評価以上、法定耐用年数以上の融資をしてくれ、更に審査期間も短いため人気がある。
不動産仲介会社の中には、スルガ銀行で融資がつく物件を、スルガの融資とセットでパッケージにして売っている所がある。
スルガ銀行からの融資を使って、以前は年収700万円程度のサラリーマンでも1億円を超える物件のオーナーになれた。
彼らが買う物件は、利回り9~10%の中途半端な地方にある土地の広い中古RCか鉄骨マンションというのが典型的なパターンである。
スルガ銀行は法定耐用年数以上の長いローンが組めるので、一見、キャッシュフローが多く出るように見えるが、返済を延ばすことで元金の返済が薄くなり、そのキャッシュフローは将来の利益を先取りしているだけである。
金利4.5%で25年とか30年の長期ローンを組んだら、元金はいつまで経っても減らない。
5年後に入居率が下がってきて、そろそろ売りたいと思っても、殆ど元金が減っていないため、売却価格を下げることができず、売りたい価格で買える人が誰もいない悲劇となる。
融資期間を長くとるということには、確かに手元のキャッシュフローを厚くでき大きなメリットがあるように思えるが、将来の大きなデメリットと引き換えとなる覚悟が必要となる。
最悪なのは、2015年からスルガ銀行は、スルガ銀行で融資を受けた物件を買った人が物件を売る時に、次の買主に融資を出さなくなった。
つまり、買える人の数が減り、出口が閉ざされることになっているのである。
5年後、10年後にスルガ銀行スキームで物件を買った多くの中流サラリーマンが、損切り覚悟で投げ売りすることになる可能性もある。
他の一般的な銀行の融資基準では回らないが、スルガ銀行スキームに乗せることで、キャッシュフローが出る物件が、現在の日本には多く流通している。
もし、スルガ銀行の融資姿勢が変わり、普通の銀行と同様に積算評価の7掛けの融資額しかつかず、融資期間も耐用年数までしか融資しなくなれば、誰も買えない物件が日本中に溢れることになる。
スルガ銀行の融資の門が閉まったタイミングが、買い手の激減による物件価格下落の引き金となる可能性もある。

2016年10月21日金曜日

地積測量図と建物図面・各階平面図が法務局に備え付けられるようになったのは、昭和35年~40年頃のことである。
そのため、それよりも古い時期に登記された物件だと、どちらも存在しない可能性がある。
また、地積測量図は土地の表題登記や文筆登記などの添付資料であり、建物図面は物件の表題登記や表示変更登記などの添付資料なので、全ての物件で作られているわけではない。
建物の建築が可能な「有効宅地」の部分と、指導の部分とがある土地では、私道に人の通行があり、道路として認められている場所は注意が必要である。
有効宅地部分と私道部分が分筆されておらず、併せて1筆になっていると、私道部分にも固定資産税、都市計画税が課税されてしまうことがある。
私道部分を非課税にするには、分筆するか、あるいは有効宅地部分と私道(道路)部分とを明確にする資料として、測量図を携えて、自治体の課税担当部署(東京都は都税事務所)を訪問し、手続きをする必要がある。
一般的な不動産会社では、自宅購入予算は次の手順で計算される。
1.税込の年収額をたずねる。
2.それを7.5倍にした金額を出す。
3.用意できる頭金をたずねて、2の金額に加える。
この合計金額が、35年返済で金融機関から住宅ローンを融資してもらえる最高額となる。
また、年収に対する返済額の負担の程度を示す数値を「返済負担率」といい、一般的には次のような判断がされる。
20%  理想的な数値
25%  融資可能
30%  無理すれば融資OK
35%  かなり無理
40%  全く無理
インターネットで調査できる不動産情報
・相続税路線価
国税庁の「財産評価基準書」のサイトに路線価図が掲載されている。
・公示価格
国土交通省の「土地総合情報システム」のサイトで、地価公示(標準地の価格)と都道府県地価調査(基準値の価格)が閲覧できる。
・犯罪情報マップ
東京都の場合、警視庁の「犯罪情報マップ」「交通事故発生マップ」のサイトで、防犯情報、交通事故防止情報が把握できる。
・洪水ハザードマップ
東京都の場合、都市型水害対策連絡会が作成した「浸水予想区域図」に基づき、各区市より洪水ハザードマップが公開され、各自治体のサイトで閲覧できる。

2016年10月17日月曜日

外壁洗浄の目安価格(1平米当り)
アパート  3~5万円
マンション(20戸以下) 5~10万円
マンション(20戸以上) 10~20万円
外壁を高圧洗浄するたけでもイメージは大きく変わる。
不動産を高値掴みしない為に、その価格が投資対象として適正化どうかを検討する際に、目安となる計算式がある。
収益物件の適正価格=路線価×土地面積+(収益物件から得られる年間想定家賃収入×5)
例えば、販売価格が1億円で、土地面積が100平米、土地の路線価が1平米当り50万円の収益物件の年間想定家賃収入が600万円だとする。
この場合、土地価格は100平米×50万円で5000万円。
これに年間家賃収入の5倍(600万円×5)の3000万円を足すと、8000万円になる。
つまり、2000万円程度、割高と考えられる。
不動産の土地価格には4つあり「一物四価」と呼ばれている。
1.時価(実勢価格) 110
不動産市場で実際に取引されている価格。
2.公示地価(公示価格)  100
不動産鑑定士の鑑定をもとに国土交通省が発表する価格。
3.相続税評価額(路線価) 80
土地に面している道に価格が付いており、相続税や贈与税の土地評価の基礎となる価格。
4.固定資産税評価額 70
毎年かかる固定資産税を納税するときの基礎となる価格。
一般的に公示価格の価格水準を100とした場合、路線価は80、固定資産税評価額は70、時価は110とされる。
2016年4月に起きた熊本地震では、建物が倒壊して死亡者が発見された家屋とアパート計34棟のうち、23棟が建築基準法の新耐震基準(1981年6月)以前に建てられた物件だったという。
つまり、新耐震基準以降(1982年以降)に建築された物件に住む事を心掛けるべきだが、今回の熊本地震のように数回大きな揺れが重なると、新耐震基準以降に建てられた物件でも倒壊している。
<震災と耐震基準法の変遷>
1920年 市街地建築物法
1923年 関東大震災
1924年 市街地建築物法改正
1948年 福井地震
1950年 建築基準法改正
1964年 新潟地震
1970年 建築基準法改正
1978年 宮城県沖地震
1981年 建築基準法施行令大改正(新耐震)
1995年 阪神・淡路大地震
1955年 建物の耐震改修に関する法律制定
    (新耐震以前の建物に関する規制)
2000年 建築基準及び同施行令改正
2011年 東日本大震災

2016年10月15日土曜日

厚労省が「60%を回復した」と発表している国民年金の納付率は大ウソである。カラクリは保険料納付の免除者(384万人)や学生などの猶予者(222万人)を国策で増やして「納付すべき人(分母)」から除外することで、見かけの納付率をアップさせるというものである。
河野太郎氏が2014年に厚労省から入手した資料で「真の年金納付率」が約40%にすぎないことが判明し、さらに年齢層ごとの「真の年金納付率」は衝撃的なものだった。
 
●20~24歳:21.4%
●25~29歳:31.7%
●30~34歳:38.2%
●35~39歳:42.1%
●40~44歳:43.0%
●45~49歳:42.9%
●50~54歳:47.5%
●55~59歳:53.7%
 
若い世代は特に納付率が低く、学生は猶予制度があるが、20代前半では2割しか国民年金保険料を払っていないのである。
社会の高齢化は、これから超本格化していき、60歳以上を高齢者とすると、2020年で35%、2040年で43.4%になってしまう。
医療行政は破綻し、医療費を払えない高齢者の治療をどこまでやるかという問題に直面する事になる。
1970年には、たった3.5兆円だった社会保障費は、2015年には116.8兆円に膨らみ、これが2025年には150兆円にまで膨れ上がると予想されている。
今後も経済成長は期待できず、増税にも限界があるため、想像を絶するようなヒドイ社会となる可能性もある。
いずれ公務員も削減され、市民へのサービスは最低限となり、財政が破綻した自治体はサービスの民営化ができなくなり、最悪の場合、各地で高齢者が道端で行き倒れている、インドのような光景を覚悟しておく必要もある。
多くの高齢者は気づいていないが、日本には極端な世代間格差が生まれてしまい、若者達によるオレオレ詐欺が大流行している。
オレオレ詐欺に手を染めるのは、現実認識のある能力が高めの若者達が多いという。
どれだけ対策を取っても特殊詐欺が止まらない現象は、これから始まる悲劇の序章にすぎない。
かつての日本社会では、階級格差の壁を超える手段が勉強と進学だったが、現在は大学卒の若者の貧困が溢れ、大卒どころか弁護士や歯科医師の資格を取っても貧困の可能性が有り得る時代になっている。
特殊詐欺犯罪の始まりは、オレオレ詐欺が激増した2003年頃で、当時の現場を担っていたのは、それまで闇金業界隈で生きていた若い不良の子達だった。
それが、詐欺組織が会社組織化していく中で、2008年位になって未公開株とか社債詐欺のような複雑なシナリオになってきた事で、大卒や大学中退とかが、詐欺の現場に入ってくるようになったという。
このような組織の人材が変遷していく中で、組織の上層部は詐欺のテクニックだけではなく、「詐欺をする理由」の正当化を、洗脳的な研修で現場の若者に植え付けているという。
「日本の金融資産の過半数が高齢者に手中していて、その上、年金の受給額は、お前ら20代の給与より高い。しかし老人はそれを使い切らずに死んでいく、そこからお前ら若者が少しくらい分けてもらうのは、犯罪ではないだろう」という洗脳をしているという。
オレオレ詐欺の若者達は、世代間格差の不条理を感じて、怒りを持ってやっている。
自宅に預金がある老人の名簿が出回っていて、電話を介してうまくいかなかったら、自宅に侵入して金庫を持って行くケースが、実際に起き始めている。
彼らは窃盗と強盗だと罪が重くなるから、侵入盗をやっているのである。
子供の貧困という言葉が、国会に出始めたのが、2008年頃で、そこから一気に、子どもの貧困対策法まで進んできた。
これは評価できる事ではあるが、学力向上や、教育費免除、給食支援をしたところで、それが本当に子供の貧困の世代間連鎖を止めるのかと言えば、そうでもないようである。
大学奨学金問題や、Fランク大学では投資回収ができない現状を見ると、貧困対策としては物足りない。
そもそも再貧困の子供達は、勉強とか進学以前の問題であり、勉強ができない子供は、セーフティネットには引っかからない。
彼らに一定の所得を約束できる支援でないと、有効な政策とは言えない
都内全体で、リアルタイムに長期間の家出をしている未成年が100人程度いるという。
その多くが、親からの虐待から逃げ出し、地元の児童相談所でも何度も補導され、行き場を失って東京に逃げ延びて、新宿や池袋に辿り着いた子供達だという。
つまり日本中の地方の自治体で、行くところまで行った子供達で、彼女らを歌舞伎町で補導・保護したら、そのままストレートに住民票の地元の児童相談所に送致しても、スタート地点の地獄に戻るだけでしかなく、何も解決になっていない。
特養老人ホーム1施設分の人数の子供達が、目の前の危機に直面しているのである。
高齢者が安心して死ねるための特養老人ホームを新たに1施設作るよりも、同じ予算で家出少女の保護施設を作れば、子供の命を救う事ができる。
保護した子供を、それぞれの親権者と対峙して、落ち着くまで地元に戻さない、短期施設型のケアがあってしかるべきである。
予算が限られている福祉は、今後益々、高齢者と子供のどちらを選択すべきか、立ち止まって冷静に判断せねばならない時代となっている。
労働基準法というのはよくできていて、「週40時間」プラス「三六協定」の月45時間の残業を超えたあたりから、精神を壊す人がだんだん出てくるという。
しかし、労働基準法を遵守すると、最低賃金を稼げない層が出てくることになり、正論をゴリ押ししてブラック企業を潰す所までやってしまうと、結果的に生活が破綻し、ホームレスが増える可能性もある。
労働集約型で人手不足の業界でしか雇用されない人達は、貧困問題に陥り、労働組合が労働者の権利を主張しすぎると、雇用が失われてしまう恐れがある。
一方で、ブラック企業は「家族」とか、「社員の幸せ」とか「感動」とか、感情的な概念を持ち込み、社員の人生や感情にまで首を突っ込んできて、社員に強い洗脳をし、経営者は好き放題に働かせ社員は壊れてしまう。
2004年に高等教育予算の削減のために、日本学生支援機構という独立行政法人を作り、大学奨学金を金融事業化し、融資の原資を財政投融資に切り換えて、取り立ても厳格になった。
親の世帯収入が低いと審査で認められたら、有利子で貸付を受けられるという、有り得ない制度で、何も持っていない子供達が、社会に出る前に300万円~800万円という巨額の負債を背負わされることをやった。
同じ財政投融資を原資にしている住宅ローンは住宅を担保にできるので、返済できなければ住宅を手放せば相殺できるが、奨学金は教育費だから、担保はなく、子供が返せなくなったら、融資審査で収入が低いと分かっているはずの連帯保証人している親に返済義務が行くことになる。
そもそも日本の大学教育を受けて得られるものに、有利子奨学金の負債を負ってまでの価値があるかどうかを、考える必要がある。
貧困家庭の子供に、高校教員は当たり前のように有利子奨学金で進学することを進めているが、彼ら高校教員に奨学金破綻問題の責任追及が行かないのが不思議である。
1600年9月15日の「関ケ原の戦い」の勝敗を左右したのは手紙による水面下での東西両軍の勧誘合戦だった。
この情報戦を制した徳川家康は、出陣前の1ヶ月の間に122通もの手紙を出している。
その手紙の内容は簡潔で、領地を約束する同じ形式の文書が各地に送られている。
その中でも、関ケ原の戦い直前に西軍の上杉景勝から同盟の誘いが来て、家臣団が分かれていた伊達正宗には、領土を「御家老衆中」にと他の書状にはない言葉が入っており、領土を餌に家臣団をまとめよ、という含みを持たせていた。
手紙が正宗だけでなく、家老にも読まれることを、計算して書かれている。
手紙というものは、どう読まれるかということを計算して書かねばならない。
自分の言いたい事だけを書いてもダメで、読み手が嬉しく読んでくれるのか、腹を立てて読んでくれるのか、という事を考えて書かないと、効果はない。
相手が何を希望しているかをよく考えて、その相手の希望に合うように、こちらの情報を与えていく事が大事である。
それができるかどうかで、同じ手紙を書いても、意味がある手紙になるか、効果のない手紙になるかが、決まってくる。

2016年10月14日金曜日

「三国志」には、歴史としての「三国志」と、小説としての「三国志」の2つがある。
歴史の方は、陳寿の『三国志』によって魏が正統であるという立場をとり、小説の方は羅漢中の『三国志演義』によって蜀が正統という立場を取っている。
ちなみに、『三国志演義』の「演義」とは、「義を押し広める」という意味で、南宋の朱子が体系化した朱子学の影響を受けている。
朱子は諸葛亮を信奉しており、蜀を「季漢」と呼んでいた。
だから、文学部に入って、歴史としての三国志を学びたい場合は、史学科で陳寿の『三国志』を勉強し、小説としての三国志を学びたい場合は、中国文学科で『三国志演義」を勉強することになる。
西晋の歴史家である陳寿が、「三国時代の魏こそが後漢を受け継ぎ、魏から正統を受け継ぎ、それが正しいから西晋も正統である」ということを訴える目的で歴史を書いたのが、『三国志』である。
一方、蜀の劉備玄徳は、「中山靖王劉勝の子孫」と称していたが、実際にはどこの馬の骨が分からない人物だった。
なぜならば、中山靖王劉勝には息子が120人存在し、随分世代を重ねており、劉備くらいの血の濃さを持つ子孫は、30万人くらいいることになり、漢王室の一族でも何でもなかったからである。
それを、「漢王室の一族と称せ」とアドバイスし、前漢・後漢という国家を継承させ、「季漢(季は末っ子の意味)」と名乗らせたのが、諸葛亮孔明だった。
しかし、歴史には「季漢」という国家名は残っていない。
それは、陳寿が魏を正統とした『三国志』が正史となった為で、陳寿はあえて地域名である「蜀」とし、「魏書・呉書・蜀書」として『三国志』を書いたからである。

2016年10月11日火曜日

厚生労働省が2015年11月に公表した「平成26年就業形態の多様化に関する総合実態調査」によると、全労働者に占める非正規労働者の割合は4割となっている。
また、総務省の労働力調査をベースに厚労省が作成した「非正規雇用の現状と課題」によると、バブル期に2割だった非正規雇用労働者の割合は、バブル崩壊と1996年の派遣法改正を期に急増していることが分かる。
中でも35歳~54歳は働き盛りであるにもかかわらず非正規労働者が年々増加を続け、2015年には780万人となっている。
一方で、非正規労働者は78.2%が月収20万円未満で、10万円未満も36.7%となっている。
社会保障制度の適用割合も、雇用保険67.7%、健康保険54.7%、厚生年金52%、賞与支給31%、退職金9.6%と労働条件は極めて悪い。
2015年12月に日本財団が発表した「子どもの貧困の社会的損失推計」というレポートがある。
レポートでは、今の日本の子どもの貧困を放置した場合と、しかるべき対策をした場合、それぞれ将来的にどういう経済的影響があるかを推計している。
現在、日本では高等教育への進学率が8割(大学50%、専門学校30%)だが、貧困層になると3割しか大学・専門学校に進学できていない。
しかし、貧困層の進学率を全体の進学率並みになるまで、進学支援をすることで、結果的に社会全体の生産性を高め、2.9兆円の経済効果があるという。
さらにその分の社会保障の支出が減るので、国の財政負担が1.1兆円分軽くなり、合計で4兆円が経済的にプラスになるという。
また、これは現在15歳の若年貧困層(120万人)のみを対象にしての試算なので、15歳に限らず18歳までの全ての子供の貧困対策を行えば、もの凄い経済効果があることになる。
つまり、日本には貧困対策をすることで、まだまだ経済のバイを増やす余地があるのである。

日本では、特別会計も含めれば社会保障費のうち100兆円が高齢者福祉に費やされている。
ところが、その同じ日本で、預貯金が毎年30兆円ずつ増加しているという現実もある。
年金を貰っても使わない高齢者が多く存在するという一面も預金増加の理由となっている。
日本では若者を中心にワーキングプアが定着しているが、韓国の若者も状況は酷い。
2010年以降、恋愛・結婚・出産を諦めた「3放世代」という言葉が流行ったが、最近は諦めの対称に、マイホーム・人間関係を加えた「5放世代」、さらに夢・希望まで追加した「7放世代」という言葉まで出てきている。
欧米先進国では生活保護の捕捉率は8割から9割なのに対して、日本では本来だったら生活保護を受けられるはずなのに、役所の「水際作戦」で追い返されるなどもあり、受給できていない人が非常に多く、日本の捕捉率は2割程度となっている。
しかし、2割しか受けていない現在でさえ、国庫で3兆円くらい使っているのに、残りの8割が全員、生活保護を受給したら20兆円必要となり、財政はパンクしてしまう。
「差別はよくない」と主張する人達は、同時に「外国人や弱者を守るべきだ」とも主張するが、弱者を救うにしても多文化共生を進めるにしても、結局はお金がかかる。
リベラルが力を弱めてしまったのは正にそこにあり、リベラル的な政策は大きな予算を要求するが、国家予算のパイは限られてきている。
つまり財源を無視して、弱者にやさしくする主張が顧みられにくくなっている。
団塊ジュニア世代が直面しつつある問題に「2015年問題」がある。
団塊ジュニア世代(1971年~1974年生まれ)の親である団塊世代(1947年~1949年生まれ)が、このタイミングでついて全員が75歳以上の「後期高齢者」になり、「親の介護問題」が発生するのである。
第一次ベビーブーム世代が生まれた時の出生数は毎年260万人を超えており、この世代が全員75歳以上になるのである。
高齢者間の経済格差は非常に大きくが、全体としては高齢者の貧困は改善傾向にある。
一方で30歳~49歳の貧困率、50~64歳の貧困率は悪化している。
つまり、現役世代の方が高齢者よりも経済的に辛い状況になりつつある。
      2000年   2012年
30歳未満  27.8%   27.8%
30~49歳  11.8%   14.4%
50~64歳  12.9%   14.2%
65歳以上  20.9%   18.0%
全体    15.3%   16.1%
厚生労働省「相対的貧困率に関する調査分析結果」(2015年12月)

2016年10月10日月曜日

個人で銀行融資を受けて収益不動産を購入する場合には、団体信用生命保険を付ける事になるが、この利用限度額が3億円と言われている。
つまり、属性の良いサラリーマンが不動産投資ローンを利用する場合、3億円までならスムーズに融資が出る事が多い。
逆に言うと、一般個人に対しては、銀行としての融資限度額が決められており、その範囲でしか融資を受ける事は出来ない。
火災保険や地震保険は、保険代理店から言われるままに対ものの時価で保険を掛ける事が多い。
しかし、実は建物の新価で掛けることができる。
建物は、古い物件になると時価が低くなってしまい、一般的にその時点での評価額までしか保険を掛けることができない。
でから、もし災害に遭っても、貰える保険金が少ないので損害を補填することができない可能性が高い。
しかし、たてものの親価実損払いの保険を掛けていれば、新築に必要な金額が補填され、もし災害に遭っても、新築と同様の建物を建てる事が可能てなる。

2016年10月9日日曜日

亀田製菓の「柿ピー」の黄金比は、柿の種:ピーナッツ=6:4

2016年10月7日金曜日

ふるさと納税で、特産品の還元率が最も高い商品と言われているのが、和歌山県田辺市の「紀州田辺産 南高梅の白干し梅樽(7kg)」で、1万円の寄付で1万4000円相当の梅干しを貰う事が出来る。
田辺市は、この梅樽をPRとして位置付けているという。

ふるさの納税は、自治体毎に特産品の還元率が異なる。
還元率を比較する際に基準となるのは、江戸時代の石高制のごとく「お米」である。
ちなみに、山形県河北町では1万円の寄付で、「平成28年山形県河北町産『はえぬき』20kg(5kg×4袋)」がもらえる。
参考まで、AMAZONで「山形県産 白米 はえぬき 20kg 平成28年産」は8760円で販売されているので、還元率は87%と考えることもできる。


ふるさと納税の市場規模
2014年 390億円
2015年 1600億円
2016年 3000億円(予測)
現時点では1割程度しか、ふるさと納税をやっていないという。
年金の繰上げ受給は、国民年金に加入している夫が亡くなった場合、妻に支払われる「寡婦年金」を貰う経理も失ってしまう。
寡婦年金を貰うための条件は、夫の国民年金加入期間が25年以上あり、婚姻期間が10年以上、妻が65歳未満であること等となっていて、夫が年金を貰わずに亡くなると、夫が貰うはずだった基礎年金額の4分の3が妻に支給される。
例えば、自営業の夫婦で、60歳になった妻だけが繰上げ受給していた場合、夫が年金を貰う前に亡くなったとしても、寡婦年金は貰えない。
もう1点注意が必要なのは、「65歳になる前に重度の障害になっても障害年金がもらえない」という事である。
障害基礎年金を受けるには「20歳未満で第一級または二級の障害の状態になり、20歳に達した場合」「年金の被保険者期間中、または60歳以上65歳未満の人が障害等級の第一級または二級の生涯の状態になった場合」という2つの要件がある。
一級障害の場合は、基礎年金の満額の1.25倍にあたる年額97万5125円が支給され、さらに18歳までの子供がいる場合は第一子と第二子は年額22万4500円、第三子以降は年額7万4800円が加算される。
二級障害の場合は基礎年金の満額と同じ年額78万100円及び一級と同額の子供の加算額がある。
厚生労働省の調査によれば、平成26年度の障害年金受給者は、厚生年金で全体の1.2%、国民年金で全体の5%を占めている。
しかし、これらには加入期間中に障害を負い、受給している人も含まれているので、60~64歳の間に障害年金の受給の対象になる確率は極めて低いと推測できる。
年金の繰上げ受給は、65歳から年金を受け取る場合と比べて、貰える額が少なくなる以外に、次のデメリットがある。
・一度繰上げ請求をすると、取消や変更ができない。
・特別支給の構成年金(退職共済年金)の定額部分がもらえない。
・障害者の特例措置および長期加入者の特例措置がうけられない。
・寡婦年金がもらえなくなる。
・65歳前に重度の障害になっても、障害基礎年金がもらえない。
夫婦の年齢が近い場合、夫婦どちらかだけが繰上げ受給をし、様子を見るのが賢い方法かもしれない。
また、厚生年金(退職共済年金)では、支給開始年齢を65歳に引き上げた経過措置として、男性は昭和36年4月2日生まれ以前、女性は昭和41年4月2日生まれ以前に該当する場合は、60代前半に「特別支給の老齢厚生年金」が支給される。
一方、障害者及び長期加入者(厚生年金の加入歴が44年以上)の場合は、60歳からの満額の厚生年金が受給できる。
繰上げ受給の手続きをすると、これらの権利を失うので、該当する人は注意が必要である。
「NISA」より、「確定拠出年金」の方が、節税メリットが圧倒的に大きい。
確定拠出年金は掛金が全額所得控除とされるが、NISAはあくまでも、運用益に税金がかからなくなるという仕組みであり、運用成績がマイナスだった場合は、節税メリットは全くない。
利用価値の高い確定拠出年金だが、加入者数は2016年1月時点で25万人と知名度はイマイチである。
生命保険会社の個人年金の加入者が2000万人以上であることを考えると、どれだけ確定拠出年金が普及していないかが分かる。
確定拠出年金の利用者が少ない理由は簡単で、確定拠出年金で扱う投資信託は信託報酬が安く、金融機関にとって儲からないからである。
全く儲からない商品を、広告宣伝費をかけて普及させるインセンティブが、金融機関には無いからである。
売る側にとって儲からない確定拠出年金は、利用する側にとっては、メリットのある投資商品ということになる。
確定拠出年金のデメリットとしては、「60歳までお金を引き出せない」という点があるが、年金6割時代への備えと考えると、容易に解約できない事はメリットと考えることもできる。
年金4割減への対抗策として、今取り得る現実的な手段は「年金は60歳から繰上げ受給する」という方法である。
2016年現在、年金の支給開始年齢は65歳だが、本人が希望すれは最大5年間まで支給開始時期を繰り上げ、早めに受給する事ができる。
但し、1ヶ月早める毎に年金額が0.5%減額されるため、1年で6%、5年で30%もらえる額が減ることになる。
一方で、年金をもらう時期を遅らせる「繰り下げ受給」の場合、1ヶ月遅らせる毎に年金額が0.7%増えるため、1年で8.4%、5年で42%貰える額が増える。
繰上げ受給を選択した場合、60歳から貰い始めた人と65歳から貰い始めた人の年金累計額が同じになるのは76歳となる。
日本人の平均寿命が男性80歳、女性86歳だと考えると、76歳まで生き残ることを想定し、年金は65歳から貰った方が特に見える。
しかし、今後は年金支給開始年齢が70歳へと繰延べされる可能性がある事を考えると、既に年金を受給している人の年金を停止するというのは政治的に難しいため、年金の繰上げ支給を受けておけば、年金支給開始年齢繰延べのリスクから逃れることができる。
実際に平成26年度の基礎年金の繰上げ受給者は老齢年金を受給する権利を持つ772万人のうち、286万人と全体の37.1%を占めている。
また平成26年度に新たに年金を受給することになった人のうち、12.4%が繰上げ支給を希望しており、繰下げ受給の希望者は全体の1.3%しかおらず、毎年ほぼ変わらない。
楽天市場では、「ふるさと納税」も通常の買い物と同じ扱いとなっており、ポイントの対称になるし、キャンペーン期間中の購入店舗としてもカウントされる。
年収500万円の世帯であれば、年間のふるさと納税の限度額は5万円程度なので、楽天カードや楽天モバイルの利用で条件をクリアして、ポイント15倍になっていれば、5万円×15%=7500ポイントがもらえる。
つまり、2000円の自己負担で、お礼の特産品をもらった上に、7500円相当のポイントも手に入る。
国税庁が発表した2016年の路線価で、一番高い地価がついたのは、銀座4丁目の鳩居堂前だった。
この場所の地価は前年は19%も上昇し、坪当たり1億560万円となった。
これはバブルで地価のピークだった1992年の1億2000万円に迫る価格となっている。
大阪中心部でも40%近い地価上昇になった地点もあり、地価高騰の原因はオリンピックではなく、金融緩和で生まれた大量の資金が、都心部の不動産投機に向かっているのである。
都心の土地バブルは暴落リスクに晒される恐れがあるが、郊外の地価は殆ど上がっておらず、今後も地価上昇は期待できないが、その代わりにバブル崩壊の影響は受けにくい。
金融広報中央委員会の「家計の金融高度に関する世論調査[二人以上世帯調査]2015年」によると、40代の19.2%、50代の23.0%が「貯蓄しなかった」と回答している。
また40代の8.5%、50代の9.7%が貯蓄はしたが年収の「5%未満」と答えている。
つまり40~50代の3割は、殆ど貯金ができていないことが分かる。
更に、40代の35.7%、50代の29.1%が金融資産を「保有していない」と回答しており、老後が目前に迫る40~50代ですら貯蓄ゼロという人は珍しくない。
総務省統計局「家計調査」によると、平成27年の高齢夫婦無職世帯の平均的な生活費は27万5000円、高齢単身世帯では15万6000円である。
日本人の平均寿命は男性が82歳、女性が86歳であるので、夫が60歳で定年退職した後、夫の平均寿命である80歳まで夫婦二人で暮らすと仮定すると、この期間に必要な生活費は6600万円となる。
その後、1人暮らしとなった妻が平均寿命の86歳まで暮らすのに必要な生活費は1123万円で、合わせて生活費だけで7723万円かかる計算となる。
これはあくまでも平均の話であり、長生きリスクを考慮する必要がある。
65歳を迎えた女性が100歳まで生き残る確率は、現在の生命表だと6%もある。統計学では確率5%は「有り得る」として考えるのが常識だから、妻が100歳まで生き残るとして生活費を計算する必要がある。
そうなると更に2621万円膨らみ、老後の生活費は1億344万円となる。
これに対して妻が100歳まで生きた時にもらえる公的年金は、現在の厚生年金支給額の6割になると仮定すると、4234万円となり、差し引き6110万円も生活費が不足することになる。
また、厚生労働省「平成25年就労条件総合調査結果の概況」によると、平成24年の大卒(勤続35年以上)の退職金の平均がくは2156万円と、平成20年から335万円も減っている。
ちなみに退職給付制度がある企業は75.5%である。
高齢化の進展で厳しさを増す年金財政を救う方法は次の3つしかない。
1.年金保険料の値上げ
2.給付水準の引き下げ
3.保険料納付期間の延長及び支給開始年齢の繰延べ
1の「保険料の値上げ」は既に2004年の年金制度改革で実施され、厚生年金は毎年0.354%ずつ引き上げられ、2017年度に18.3%にしたところで頭打ちになる事が決まっている。
2の「給付水準の引き下げ」についても、給付カットはもう始まっている。年金の支給水準は前年の物価水準上昇率に基づいて改善されることになっており、2013年から2015年の物価上昇率は0.4%、2.7%、0.8%だが、2014年度から2016年度の年金額の改定率はマイナス0.7%、0.9%、0.0%だった。
つまり実質の年金は、1.1%カット、1.8%カット、0.8%カットというのが最近4年間の実績となっている。
日本の年金制度は、年金支給に必要な財源を、その時々の保険料収入から用意する「賦課方式」であり、少子高齢化により、年金を納める若い世代が減っているのに対して、年金をもらう高齢者どんどん増えていくので、年金の給付水準が下がるのは避けられない。

2016年10月6日木曜日

今後、公的年金はどれくらい減るのだろうか。
厚生労働省は2014年6月に、5年に一度実施する年金制度の「財政検証」の結果を発表している。
財政検証とは、公的年金の長期にわたる財政の健全性を定期的にチェックするもので、今回の財政検証では経済成長の前提が異なる8バターンの将来推計が出されている。
この財政検証で注目すべきは、高齢男性の大半を70歳まで働かせないと「公正年金の所得代替率50%以上」という目標を達成できなくなるという事実である。
所得代替率とは「年金支給額が現役世代の手取り収入の何パーセントに相当するか」を示す数字であり、厚生労働省は年金保険料を40年払い続ければ、現役時代の5割以上の年金を支払うと主張してきた。
ところが、今回の財政検証では「所得代替率50%以上」の達成が極めて困難だということが明らかになった。
現在65~69歳男性の労働力率は49%だが、今回の財政検証のA~Eのケースでは高齢者の67%が働く前提になっている。
もし70歳まで働かなければ、厚生労働省の推計によると、所得代替率は最悪35%~37%まで低下する可能性があるとする。
つまり、もらえる年金金額は現在の6割になってしまうのである。
現在の厚生年金のモデル年金は月22万3000円で、所得代替率が62.3%だが、高齢者が70歳まで働かない場合の厚生年金は月12万9000円まで下がってしまう。
一方、70歳まで働いたとしても年金の給付水準は月18万2000円まで下がる。
つまり、「70歳まで頑張って働いて月18万円もらう」か「65歳まで働いて13万円もらう」という二者択一の選択肢しか残されていないのである。
以上はサラリーマンの年金の話だが、自営業の国民年金加入者はもっと悲惨である。
国民年金も厚生年金と同じペースで支給額は減っていき、現在月6万5000円が3万9000円になる。
夫婦で合わせて月7万8000円しかもらえないのである。
現在、生活保護を受給している人は220万人もおり、世帯類型別に見ると、その半分が高齢者世帯となっている。
生活保護を受けているということは、老後破綻しているということである。
しかし、実際には生活保護以下の収入しかない人は多く存在する。
例えば、現在の厚生年金のモデル年金は夫婦で月22万円となっているが、実際の支給額の平均は月14万円と生活保護基準以下となっている。
40年間、フルに年金保険料を支払っている人は多くないからである。
つまり、現時点でも年金だけで暮らしている老人の大部分が老後破綻しているのである。
国連海洋法条約は、全17部320条という膨大な条文と、9つの附属文書で構成されている。
領土・領海にかかわる定義などが細かく規定される一方で、あいまいな部分が多く含まれることも事実である。
しかし、全ての当事者は利益に対する公正性が担保されるべきだという鉄則がある。
国連海洋法条約が全文に掲げた「平和の維持、正義」「すべての国の主権に妥当な考慮を払いつつ、国際交通を促進し、海洋の平和的利用、海洋資源の衡平かつ効果的な利用」「公正かつ衡平な国際経済秩序の実現」という理念は、南シナ海問題をめぐる外交交渉の土台となるべきである。
オバマ政権のリバランス戦略を検証した米戦略国際問題研究所(CSIS)が2016年1月に発表した報告書では、南シナ海の今後について2030年までに事実上中国の湖になる」と記されている。
中国軍の戦力に対する評価は様々だが、米ランド研究所が2016年1月に公表した尖閣諸島をめぐる日中の軍事衝突に関する戦闘シミュレーションでは、米国が限定的に軍事介入(潜水艦による対艦攻撃)した場合でも、状況発生から5日で海上自衛隊は戦力の5分の1を失って敗北し、尖閣を中国に奪われるとの結果が出ている。
このシミュレーションを統括したデーヴィッド・シュラパク上級研究員は、「米軍が尖閣をめぐる戦闘に介入することは最大級の戦略的な失敗だ」とまで言い切っている。
米国防総省が公表している南シナ海の諸島で、中国の人工島の造成面積は、2016年前半時点で約13平方キロに達している。
〇南沙(スプラトリー)諸島(中国は7つの岩礁で人工島を建設)
・永暑(ファイアリークロス)礁=3000メートル級滑走路、灯台
・渚碧(スビ)礁=3000メートル級滑走路、灯台、農園
・美済(ミスチーフ)礁=3000メートル級滑走路、灯台
・華陽(クアテロン)礁=レーダー施設、灯台、ビル、港湾
・赤瓜(ジョンソン南)礁=レーダー施設、灯台、自走砲を揚陸
・南馨(ガベン)礁=レーダー施設
・西門(ケナン)礁/東門(コューズ)礁=レーダー施設
〇西沙(パラセル)諸島(中国が全域を実効支配)
・永興(ウッディー)島=2600メートル滑走路に戦闘機、戦闘爆撃機、地対空ミサイル、大型無人機を配備
〇中沙諸島(マックレスフィールド岩礁群)
・黄岩島(スカボロー礁)=中国がフィリピンを排除して実効支配、人工島建設の懸念あり
南沙諸島での人工施設は、1988年に中国が一部の岩礁を支配して以来、小規模な施設が次第に建設されていった。
1988年には西沙諸島のウッディー島に初めて2600メートルの滑走路が建設された。
2012年の中国共産党第18回大会ほ経て、誕生した習近平政権が、最初に手を付けた海洋分野の改革は「国家海洋局」の再編だった。
国家海洋局は、従来から北京の復興門外にある庁舎にあったが、習近平は総書記就任直後から尖閣諸島問題への対応を念頭に、バラバラだった海上での法律執行機関を新たに「国家海洋局」の下に一本化した。
それまで艦艇を援用して領海警備や漁業監視を担う中国の司法・行政機関は、下記の5つに分かれていた。
1.旧国家海洋局の「中国海監」
2.農業省漁業局の「中国漁政」
3.交通省海事局の「中国海巡」
4.公安省辺防管理局の「中国海警」
5.中国税関総署の「中国海関」
米海軍では、「五匹の龍」と呼んで海洋権益確保に対するそれぞれの役割を分析していた。
「中国海監」は海洋局直轄の「総隊」の下に地域別の「支隊」が編制される大組織であり、船艇には海軍艦艇を改装したものもあり、南シナ海南部でインドネシアとの間で起きた洋上摩擦では、多連装機関銃を装備した艦艇が目撃されている。
新たな国家海洋局の下には、交通省の「中国海巡」を除く「四匹の龍」を統合した海洋警察機関として「中国海警」が2013年に成立された。
尖閣周辺の接続水域や領海で活動するのは、この「中国海警」が担い、機関砲を搭載して尖閣周辺に現れた公舩も、「中国海警けの所属である。
中国では2015年末に陸軍が独立した軍種となるまで、人民解放軍に陸軍司令というポストは存在しなかった。
それほど陸軍の比重が大きかったのである。
また人民解放軍は、すつての国民革命軍が中国国民党の配下にあったのと同じく、今もなお「中国共産党の軍隊」と位置付けられている。
中国は1991年以降、南シナ海問題で多国間協議に応じる方針転換をみせた一方で、1992年2月には「中華人民共和国領海および隣接水域法」(領海法)を施行している。
全文わずか17条のこの法律は、南沙諸島など南シナ海の四諸島、そして台湾の「附属島嶼」として尖閣諸島(釣魚島)の中国帰属を第二条に列記している。
この法律では、異なる政権統治下で2300万人の人々が暮らす台湾までも当然のように中華人民共和国の領土として明記されている。
ちなみに2012年9月に、日本政府が尖閣諸島を「国有化」した事に対して「日本は中国の主権と領土を侵害する誤った言動を直ちにやめるべきだ」(習近平国家副主席)として猛反発したが、中国は既に1992年の領海法で「国有化」しているのである。
今日、東・南シナ海近隣諸国が直面している中国との領海問題は、全てこの領海法が中国側の法的根拠となっている事を考慮すると、1992年に領海法が施行された時点で、中国に対してASEAN諸国、米国を巻き込み、徹底的に抗議すべきだった。
米エネルギー情報局(EIA)によると、現在、南シナ海全体の石油埋蔵量は約110億バレル、天然ガスは190兆立方フィートとみられ、1968年に国連アジア経済委員会の調査により、この海域に豊富な石油資源が埋蔵されている可能性を報告して以来、半世紀を経て石油価格が低迷する中でも、洋上での資源開発が活発に行われている。
特に米国の影響下にあった戦時下の南ベトナムは、1970年に鉱区設定と試掘に必要な法整備を終え、国際入札によるベトナム沖大陸棚の石油開発に着手した。
その後、統一後のベトナムは1980年代後半から「ドイモイ政策」の下で石油の開発・探索を進め、2012年1月時点で、アジア太平洋地域3医となる44億バレルの石油埋蔵量が確認されている。
重慶で対日抗戦を指導していた中華民国の蒋介石は、米フーバー研究しよに保管している自筆の日記によれば、日本のポツダム宣言受諾とほぼ同時に、日本軍の占領から離れた香港を英国から取り戻すことを画策し、英国東洋艦隊の香港到着より先に占領部隊をなんかさせようと動き始めている。
結果的には思いは果たせなかったものの、蒋介石は「欧米と対等の連合国指導者」という自負の下で、失われた中国領土の回復を目指した。
1945年末に西沙(パラセル)諸島の接収に着手した中華民国は、翌年には南沙(スプラトリー)諸島をはじめとする南シナ海全域の島嶼接収に乗り出している。
今日、中華人民共和国が南シナ海全域を支配権といる上で境界線と主張している「九段線」は、一般には1947年に中華民国内政部(内務省)が南京で制定したものが原形とされている。
島嶼は、南シナ海をU字形に囲む9本の破線のほか、トンキン湾に2本の線が引かれていたことで、「十一段線」だったが、これを引き継いだ中華人民共和国が、北ベトナムとの当時良好だった近隣関係に配慮して、現在の「九段線」に改めた。
国の経済活動を考える上で重要なのは、「現役世代負担率」である。
これは、老年人口(65歳以上)を生産年齢人口(20~64歳)で割ったもので、つまり一人の働き手がどれくらいの数の老人を支えねばならないかを示している。
そして、住宅価格は、この現役世代負担率と密接な関係があることが、理論的にも明らかになっている。
老年人口が増えて生産年齢人口が減れば、地下は下がるのである。
現在の経済水準と地価を維持するためには、現役世代負担率を抑える必要があり、そのためにできる選択肢は限られている。
1.定義を変え、老人を65歳から75歳以上にして、生産年齢を20~74歳にすれば、現役世代負担率は維持できる。
2.移民を受け入れる。
3.女性が働きやすい環境をつくる。
最近、人口が都心に回帰しているとよく言われる。
しかし、都心への転入人口は、それほど増えてはいない。
一方で、都心から転出していく人口がへっており、その結果、都心の人口が増え、都心回帰しているように見えるのである。
正確には、「都心滞留」と言った方が正しい。
都心から人口が転出しなくなって理由は、子供が生まれないからで、子供が生まれたら家族が増え、広い家を求めて郊外に住む必要が出てくる。
それが嫌だから、子供を産まない人が増え、結果的に転出が減ったのである。
そもそも子供を産む気がない人が、都心に転入している可能性もある。

2016年10月4日火曜日

吉祥寺は「住みたい街ナンバーワン」だと長い期間に渡って言われており、若い一人暮らしや新婚カップルに人気の高い街と思われているが、意外にも若い世代の人口は減っている。
吉祥寺駅周辺の吉祥寺本町、東町、南町、北町、御殿山の20~39歳の人口は、2005年に2万1326人だったが、2014年には1万7683人と17%も減っている。
特に20代は1万1262人から7435人と3分の2に減少しており、逆に吉祥寺周辺の65歳以上は1万303人から1万2773人に増えている。
若者が「住みたい街」は実は「住めない街」となっていて、老人の町になっている。
20~39歳の同時期の人口を比較すると、立川市は8%減、練馬区は7%減、杉並区は6%減、世田谷区は10%減、23区全体では3%増であることを考慮すると、吉祥寺における若い世代の減少ぶりは顕著となっている。
かつて中央線の荻窪は将官(大将、中将、少将)の町で、阿佐ヶ谷は佐官(大佐、中佐、少佐)の町、高円寺は尉官(大尉、中尉、少尉)の町だったという。
確かに荻窪には、近衛文麿の家があった。
税理士業界で話題になっている話題の一つに、一般社団法人を活用した相続税対策がある。
一般社団法人は、世間的には公益活動を行う法人の一つと見られているが、相続税対策を考える上で非常に都合のよい法人である。
一般社団法人の特色は、株式等の「持分」がない点である。
よって、原則として、法人には相続税がかからないので、相続税対策を考える上で一般社団法人に相続財産を買い取らせると、永久に相続税の負担から解放されることになる。
さらに、この一般社団法人は登記だけで設立でき、低下コストで作れるので、今後は一般社団法人が相続税対策の主流になると考えられる。

2016年10月3日月曜日

税務署の人間にとっては、「是認」=「恥」という文化があるという。
税務調査の手順は、次のようになる。
まず法人税を見る。
法人税で問題がなければ、消費税を見る。
消費税も問題がなけば、源泉徴収税を見る。
源泉徴収税でも問題がなければ、印紙税を見る。
それでも問題が無ければ、最悪、是認した訳ではないとして、
ケチをつける。
マイナンバー制度はそもそも、税と社会保障の一体改革の柱として、納税と社会保障の給付を一体で考える「給付付き税額控除」の導入を見越して民主党政権で法制化を目指した制度である。
自民党に政権交代するにあたり、国民にもメリットがある給付付き税額控除の導入は消えてしまい、行政にとってメリットが大きい徴税の部分だけが法制化されてしまった。
このような経緯を考慮すると、マイナンバー制度は国民の信頼を得ることが極めて困難な制度と言わざるを得ないものといえる。
マイナンバーによって国な所得財産が全て丸裸にされるという事態は、現状では想定しがたい。
なぜならば、対象となる資料は、従来から税務署や社会保険事務所に提出が求められていた書類であり、マイナンバー導入前でも内容を完全に精査できていれば、判別が可能であったはずである。
マイナンバーで取扱いが大きく変わるのは、税務署と社会保険事務所で各々別の番号で管理しているため、従来までは名寄せが困難であったのが、マイナンバーの導入で紐付けが用意となる。
よって、確実に増えると想定されるのは、複数の会社から給与をもらう場合の社会保険料の徴収漏れに対する是正である。