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2014年3月23日日曜日

警察発表の交通事故死者数は、交通事故にあって24時間以内に死亡した人を「死者」と認定している。
人間社会には、本当の事を知って幸せになってゆく側と、本当の事を知られたら困る側とがある。

By 青木雄二(ナニワ金融道)
中国では、最近、日本の固定資産税に相当する「不動産税」が強化されたが、不動産バブルは衰えず、格差が広がる一方となっている

そこで、北京政府は、格差是正の大義名分で「相続税」を導入してよう考えている。
中国では相続税はなく、富裕層は必ず豪邸を建て、不動産を買いあさり、一度金持ちになると何代も続く。

中国人に、美智子皇后の実家の正田家が相続税の為に家を手放したことや、田中角栄首相の邸宅と土地も相続税の為に物納されたと言うと、ビックリする。
英国の歴史学者・政治学者シリル・ノースコート・パーキンソンは著作『パーキンソンの法則』で、英国の官僚制を幅広く観察した結果に基づく2つの法則を提唱している。

第1法則
仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する

第2法則
支出の額は、収入の額に達するまで膨張する

パーキンソンによると、「古代においては収入の10%を超えると、これを否定する運動が起こり、近代になると20%を超えた所で脱税が進行する。
25%を超えると、インフレーションが起こり、せっかく税収が上がっても貨幣価値は下がってしまう。
30%を超えると明らかに国力が落ちてきて、35%を超すと自由と安全に危機が生じる」とのことである。

「重税国家」日本は、「もう明らかに国力が落ちてきて、自由と安全に危機が生じる」段階にまで来ているようである。


『パーキンソンの法則』 (至誠堂選書) 
日本でも高額所得者の所得税を増税しても税収は対して増えない。
日本の給与所得者で所得が2000万円超なのは、全給与所得者のうちの0.2%と僅か8万1000人しかいない。

そしてこの層が収めている所得税は1兆円しかなく、最高税率を5%上げても500億円程の税収にしかならない。
ロシアでは2001年から累進課税を廃止し、一律13%のフラットタックスが導入された。

その結果、2001年の個人所得税の税収が47%上昇し、翌年も税収は増えた。

つまり、多くのロシア国民が「13%ぐらいなら、余計な節税対策をせずに払おう」と積極的に考えたのである。
アメリカには、「出国税」(国籍離脱税)という税金がある。
これは、アメリカ人が市民権を放棄した場合、その資産額に応じて課すという税金で、「国を出ていくなら、それなりの資産を置いていけ」というものである。

アメリカの出国税は、移民法の規定に基づいて課税される。
年々、国税が海外の税務当局に情報交換を要請した件数は増えている。

国税庁の報告書によると、2012年度に海外の税務当局に情報交換を要請したのは634件。
2007年度の271件に対して2倍となっている。

また、国税の情報交換の相手先は63の国・地域に広がり(前年度は51)、過去最多を記録している。
さらに、2014年2月時点で、租税条約を結んだ相手先も80の国・地域に拡大している。

他にも通常の文書のやりとりだけでなく、実際に職員が相手当局者と面会する「情報交換ミーティング」も57件と、前年度の25件から倍増している。

2013年4月からは、香港に国税庁の職員が常駐し、香港以外にもアメリカ、イギリス、フランス、中国、オーストラリア、シンガポールなどに国税庁の職員が派遣されている。
2013年9月末時点の全国の税理士は7万4309人と、この20年間で1.3倍となり、飽和状態となっている。

日本の企業のうち99%は中小企業で、そのうちの87%が税理士を使っているが、企業数自体が毎年減っている。

税理士顧問料も下降しており、10年間で2割減となっている。

弁護士法では、弁護士の使命は基本的な人権を擁護するとされているが、税理士法では、税理士の使命は納税者にも課税庁にも与しない、独立した立場を守ることとされている。

日本税理士会連合会の調べによると、勤務税理士の場合、年収700万円以上稼いでいる税理士は少なく、平均400~500万円くらいが多い。
試験組の開業税理士では年収300万円以下というケースもある。

税理士には年36時間の研修義務があるが、これを満たしている税理士は3割以下とのことである。
財務省では、以前から個人資産の直接課税する「資産課税」が検討されている。

資産課税は、土地、家屋だけでなく、預貯金、有価証券、生命保険、貴金属、書画・骨董品にいたるまで、あらゆる資産にかかる。
これらを徹底して補足できる仕組みとして、マイナンバー制が必要となる。

資産課税とは、個人資産の強制的な国家資産への転換であるため、万人から平等に取らねばならない。

資産課税は、日本において、第二次大戦後の1946年の「財産税」と、1950年の「富裕税」として、過去に2回実施されている

しかし、世界のマイナンバー制導入国の中で、高福祉国のスウェーデンは、かつて金融機関に預貯金残高情報を番号付きで税務当局に報告させて資産課税を行ってきたが、2008年に富裕税を廃止し、報告義務も廃止している。
固定資産税が、今後ベラボーの上がる可能性があるという。

固定資産税は、毎年1月1日現在の土地、家屋及び償却資産の所有者に対して課せられ、その資産がある市町村が課税する。

その標準税率は、「地方税法」の第350条で固定資産税評価額(課税標準額)の1.4%となっていて、従来はその1.5倍(2.1%)を超えることができなった。
しかし、地方税法の改正により、2004年度からは2.1%を超える税率を設定することが可能となっている。

今後、赤字自治体に不動産を持つことは大きなリスクとなる。

また、これ以外にも、既に固定資産税は「隠れ増税」が行われている。
2012年の税制改正で住宅用地の据置特例(住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例)が廃止された。
住宅用地については、税負担を軽減するために、固定資産の価格より低い値を課税標準額とする特例措置があったが、この特例が一部なくなっている。
国土交通省の「平成24年度民間住宅ローンの実態に関する調査」によると、金融機関が「固定期間10年超の住宅ローンのリスクヘッジの方法」について調査されている。

回答は「リスクヘッジは特に行っていない」が46.5%と最も多く、次いで「新規貸出金利の調整を行うことによりリスクヘッジする」が23.7%となっている。

この2つを合わせて7割を超えており、つまりリスク管理は行っておらず、損失が出たら新規債務者に押し付けるという事である。

アベノミクスにより、長期金利が上昇すれば、金融機関にとって固定金利の住宅ローンは逆ザヤとなり、収益は一気に悪化する。
全国の税務署と税務職員は、財務省の外局である「国税庁」の管轄下にある。
国税庁の一般職の在職者数は5万7000人(うち女性は1万人)で、財務省の全在職者数7万2000人の8割を占めている。

財務省は圧倒的に国税庁が多く、徴税権を握った上に財政権も握っていることで、国家権力の大半を手にしている事を意味している。
相続税を巡るトラブルが年々増加している。

相続で動く試算は年間50兆円とされるが、トラブルになると家庭裁判所に持ち込まれる。

2009年に家庭裁判所が扱った相続関係の相談は16万6000件となり、直近5年間で1.5倍に急増している。

また調停・審判の申立も急増し、1万3000件となっている。

特に、財産5000万円以下の相続争いが増加しており、財産5000万円以上の3倍に達している。
給料から所得税を源泉徴収されていることになっているサラリーマンは、よく考えてみると、実は税金を納めていない階層である。

サラリーマンの源泉徴収税は、実質的には企業が負担し、納税の義務を負う税金の一部である。

源泉所得税は、サラリーマンが稼ぎ出した所得の一部というより、その社員の雇用と賃金支払いに見合って課せられる企業に対しての「雇用税」である。
子供がいるサラリーマンにとって痛いのが、復活されると言われていた「年少素養控除」が廃止されたままになっている事である。

これは0~15歳の子供がいる世帯の所得税と住民税を減税する制度で、子供1人につき年38万円を所得から差し引けるというものだった。

民主党が「子供手当」を支給した時に「年少素養控除」は廃止され、自民党に政権交代後にこの控除が復活しないまま、「子供手当」だけが廃止された。
高年収のサラリーマンを的に絞った「給与所得控除」の縮小が行われている。

2013年1月より1500万円超の控除額が245万円で上限となり、サラリーマン全体の1.2%に当たる50万人が対象となった。

2016年1月からは、1200万円超の控除額が230万円まで引き下げ、2017年1月からは年収1000万円超の控除額が220万円となる。
この増税対象となる年収1000万円超サラリーマンは、全国で172万人。
法人性を下げても、その分だけ賃金が上がるという期待は薄い。
法人税は、賃金などの経費を控除した利益にかかるので、法人税が下がっても企業の収益力が上がるわけではない。

法人税を1%引き下げれば、4000億円の減収になる。
つまり5%引き下げれば2兆円の減税となり、消費税8%への引き上げで得られる6兆円の税収が目減りしてしまう。