Amazon

2014年10月29日水曜日

新しい技術が登場した時、その経済的意義が過小評価される事がよくある。
電話が発明された19世紀後半は、電信が急速に発展しつつある時代であり、当時のアメリカでは既に8500の電信局と21万マイルを超える電信線があり、海底ケーブルで全世界が結ばれようとしていた。
電話の特許を取得した翌年の1877年に、発明者のグラハム・ベルと協働出資者は、電話に関する権利を当時アメリカ最大の電信会社だったウエスタンユニオン(WU)に売却しようとしたが、拒否されてしまった。
当時のWUのウイリアム・オートン社長は、「電話はあまりにも欠点が多いので、通信手段として真剣に検討するに値しない。この装置は我々にとって何の価値もない」と言い、ビジネスの可能性は多重電信にこそあると信じていたのである。
仕方なくベル達は1877年にベル電話会社を設立し、やがて電話の重要性に気付いて電話事業に参入したWUとの泥沼の裁判闘争の末、WUは電話ビジネスから撤退することとなり、WUはビジネス史に残る愚かな決定をしたのである。
その後、ベル社は、1900年にAT&Tとなり、その後1世紀にわたって電話産業に君臨し、第二次大戦後には、世界最大で歴史上最大の企業となっていた。
そして歴史は繰り返し、このAT&T自身が、「パケット通信ネットワークは、信頼のおける通信システムではない」と見なし、インターネットに関してWUと同じ過ちを犯すのである。
先進国間の貿易では、輸出には輸出国通貨が使われるのが普通である。(グラスマンの法則)
しかし、日本の場合、財務省の「貿易取引追加別比率」によると、2013年下半期において、円の比率は日本からの輸出で38.4%、輸入で22.9%となっており、対米輸出では円の比率は15%にすぎない。
韓国との間でも、円よりドルの比率が高くなっており、日本はグラスマンの法則の例外国と言われている。
円建て比率が低くなる理由は、円が国際決済通貨として認められていないからである。
IMFのデータ(COFER)によると、2013年第4四半期で世界の外貨準備に占める円の比率は3.9%でしかない。
これは世界のGDPにおける日本のGDP比率(2012年は8.9%)と比較して低すぎる。
つまり為替スプレッドの負担は、円が国債かしていないことのコストなのである。
日本銀行券は、支払い手段の一部を占めるにすぎない。
実際の経済活動では、支払の大部分は、銀行預金を用いて行われている。
日本銀行の定義によれば、「マネーストック」とは通貨量の残高であり、預金の種類や金融機関の範囲により、いくつかの指標がある。
MIは「現金通貨」と「預金通貨」の合計で、「現金通貨」は銀行券発行高と貨幣流通高の合計である。また、「預金通貨」は要求払預金から調査対象金融機関が保有する小切手・手形を控除した額となる。
M2は「現金通貨」と「国内銀行等に預けられた預金」の合計であり、預金の範囲がMiよりも広げられており、対象金融機関はM1とは異なる。
M3は「現金通貨」と「預金取扱機関に預けられた預金」の合計であり、対象金融機関の範囲がM2より広げられている。
2014年2月時のマネーストック平均残高は、現金通貨81.5兆円、預金通貨492.2兆円であり、現金預金は現金通貨の6倍となっている。
M1は573.7兆円、M2は861.3兆円、M3は1172.9兆円。
金融緩和が効果を持つためには、マネーストックが増加せねばならないが、その為には預金通貨が増加しなれればならない。
しかし、それは政策当局が直接にはコントロールできないものである。
ケニアでは携帯電話会社のサファリコムに出資したボーダーフォンが2007年に導入した、携帯電話のSMS(ショート・メッセージ・サービス)で送金する「エムペサ」というサービスがある。
このサービスは、「エムペサ」の代理店(ケニア国内に4万店)で現金を預けて、自分のエムペサ口座に入金してもらってから、送金相手にSMSを送り、メッセージを受け取った人は取次店でSMSと身分証明書を提示すると現金を受け取れる仕組みになっている。
2013年5月に、ケニアの成人人口の2/3以上に当たる1700万人がエムペサを利用しており、エムペサによる資金移動はケニアのGDPの25%に相当している。
他にもエムペサと同様のサービスが複数あり、成人人口の7割以上に当たる2300万人が携帯電話の決済システムを利用している。
しかし、額で見ると現金による決済が圧倒的に多く、ケニアの取引の99%は現金で決済されている。
エムペサの全口座残高の合計は、銀行預金残高の0.2%にしかすぎない。
理由は、エムペサの利用額には限度が設定されており、少額取引にしか利用されないからである。
アフリカでは銀行口座を持つ人の割合は、人口の1割以下だが、携帯電話の保有者は6割となっており、ケニアの携帯電話普及率は7割にも達している。
ケニアでは、安い中国製の携帯電話だと1500ケニアシリング(1500円)だが、ケニア人にとっては高額なので、個人ではSIMカードを持ち、10人くらいで携帯電話1台を共有利用している。
銀行サービスの利用が困難な新興国には25億人が暮らすが、このうち10億人以上が携帯電話を利用している。
2013年6月時点で、実際に利用されているエムペサ類似サービスの口座数は、全世界で6000万件を超えており、このうち52%がサハラ砂漠以南のアフリカ大陸のものである。
インターネットで通信するにはドメイン名が使用される。
ドメイン名の最後にある「.com」「.org」などは、「トップレベル・ドメイン」と呼ばれ、アメリカのICANNという団体が管理している。
同じ名前のドメイン名は登録できないので、場合によっては高額な値段で取引される事があり、これまでの最高記録は「PrivateJet.com」の3018万ドルと言われている。


CoinMarketCapで、各仮想通貨の時価総額を掲載されている。
2014年10月末時点で、時価総額が1億ドルを超えているのは3つとなっている。
Bitcoin 47.9億ドル
Ripple  1.4億ドル
Litecoin 1.3億ドル


2012年の電子マネーによる決済総額は2.5兆円。
これは同年の民間最終消費支出288兆円の0.9%でしかなく、決済システム全体としては殆ど影響を与えていない。
電子マネーが普及しない理由は、高い運営コストである。
店舗側が負担する手数料が高すぎ、運営者側の収入が少なすぎる。
Edyの店舗手数料は、基本料金が月額2000円で、それに利用額の4%が加わる。
Suicaの場合は、手数料は売上の2~4%の利用額となる。
ちなみにクレジットカードの手数料は、カード利用額の2~5%の手数料を店舗が負担している。
利用者の立場からすると、自分は利用コストを負担していないと思っているが、実際にはこれらの決済手数料は、長期的には何らかの形で利用者に転嫁されているのである。
仮想通貨が普及するには、利用コストが重要となる。
ビットコインの取引手数料は、0.01BTC以上の取引は無料である。
1BTCは460ドル程度なので、つまり5ドル以上の取引ならば無料になる。
それ以下の取引手数料は場合によって異なるが、一般的には0.0001BTC程度しかかからない。
これは0.5セント(5円)程度ということになる。
なお、ドルなどの現実通貨に両替する場合には、両替手数料が必要となる。
手数料は両替所によって異なるが、通常は1%程度である。
現在、多くの新聞の電子版では、記事の最初の部分は読めるが、さらに読み進めるには「ペイウォール」で会員登録を要求され、有料部分の記事はあまり読まれない。
しかし、「ニューヨーク・タイムズ」は、ペイウォール方式で年間1.5億ドルの収入を得ている。
2014年10月末現在、全世界でビットコインで決済を受け付けている実店舗は5672店舗ある。
うち日本は43店舗。
いつくかの都市ではATMも設置されている。