Amazon

2017年5月20日土曜日

2017年2月に日本銀行が発表した調査結果よると、全国の銀行における2016年の不動産業向け新規貸出額は、前年比15.2%増の12兆2806億円だった。
これは統計を開始した1997年以来、過去最高の数字である。
全体の新規貸出額は48兆3988億円だから、不動産向け融資が4分の1 を占めているということになる。
タワーマンションは高層階に行くほど高価になっている。
東京都心で5000万円から5億円で分譲されていた40階建ての某高級ターマンションの登記を調べると、全体で約600戸のうち最上階は7戸しかない。
そのうち5戸は株式会社の所有で、うち4戸は28階にも2戸を所有する同じ会社の名義になっていた。
そのうち最上階の150~170平米の3戸には2011年12月にそれぞれ2.3億円~2.9億円の抵当権が設定され、銀行が年利1.925%で貸した事が記されている。
それ以上の金額で購入したということである。
個人が所有する部屋は2戸しかなく、しかもその部屋に住所を置いているのは1人だけだった。
上から2番目のフロアには10戸あるが住所を置いているのは3戸だけだった。
あとはタックスヘイブンで有名な英領バージン諸島が住所になっている会社、台湾在住の個人、大阪府の会社などが所有者となっている。
この日本法人は、このマンションに計13戸も所有している。
このようにして1割りにあたる上層階62戸を調べたところ、住所を移している個人所有者は18戸のみだった。
また外国に住所がある個人は台湾人が7人、香港が3人、シンガポールが2人だった。
バージン諸島の会社はもう1社別に保有していた。
都心のタワマンが富裕層に人気なのは、投資対象として魅力だからというのではなく、相続制対策として合法的な節税ツールとして有効だからである。
日本は高度成長期からバブル期にかけて、「一億総中流」と言われるくらい、格差を意識する事が少ない社会だった。
しかし、バブル崩壊から20年余り経ち、再分配をした後の年間所得の世帯分布をみると、ボリュームゾーンは1990年は300~400万円台だったのが、2014年には200~300万円台に下がってしまっている。
こうした低所得層にとって、市区町村民税と都道府県民税を合わせた住民税の負担が重みを増している。
2007年度から所得がある人は一律に年間4000円かかり、2014年度から所得税の東日本大震災の復興特別税(2.1%)の上乗せとは別に、防災対策の財源として1000円が上乗せされ、合計5000円の増税となっている。
さらに、地球環境保護の財源として500円から1000円の負担を上乗せする構想が進められている。
住民税は所得に応じて5~13%の税率の違いがあったが、2007年度に所得が高い人も低い人も10%に統一された。
それと同時に、国が徴収する所得税は低所得層で5%に下がり、高所得層で3%上乗せされた。
国民が支払い所得税と住民税を合わせた負担は変わらないが、国と地方の取り分が変わり、高所得者の税金は国が多く取り、低所得層の税金は自治体が多く取ることになった。
国民としては低所得者の数の方が多いので、国から地方に移す「税源移譲」が行われたとされている。
地方自治体は国から補助金や地方交付税を受ける代わりに自分で税収を集める努力の必要性が増している。