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2016年3月30日水曜日

イスラエル国民よりも、アメリカに住むユダヤ人の方が人数は多い。
イスラエル人口800万人のうちユダヤ人は600万人ぐらいで、アメリカにはユダヤ系は2000万人ぐらいいる。
ヒラリーの名前は、ヒラリー・ロッダム・クリントンで、ロッダム家というオランダ系のユダヤ人の家系であり、ヒラリーはイスラエル保守派とガッチリ組んでいる。
イランには、イラン正規軍よりも強く対テロ訓練を受けた「イスラム革命防衛隊」という部隊がある。
彼らは普段は聖職者だが、迷彩服に着替えて機関銃やミサイルを手にすると、地上戦でイスラム国の戦闘員を一人一殺で仕留めることができるという。
イランの核開発の合意は、アメリカとしてはイランをイスラム国との戦いに参戦させる意図がある。
イランラジオは、インテリジェンス的にレベルの高い情報が多く、充実している。
現在、日本とイランとの間で、インテリジェンス情報の共有ができていないので、イランラジオが日本語放送で中東の情勢を伝えてくるからである。
日本人は中東情報を拾えないだろうからと、わざわざ日本語にして発信してくれている。

パリの「シャルリー・エブト」紙を襲撃した実行犯たちは、これまでのイスラ過激派とは異なり、重武装であり、確実に一人ずつ撃ち殺せる訓練を受けたプロの手口だった。
細胞方式で、どこに司令塔があるのかよく分からない1920年代のコミンテルンに対する恐怖感と似ている。
かつてのコミンテルンも横の連絡を断ってしたので、連絡員は何重もの形で存在しており、明確な指示は無く、細胞という形で組織がネットワーク化されていた。
そのコミンテルン型のシステムに、インターネットというテクノロジーが加わったのがイスラム国であり、従来の民族国家とは別の形の「国家を超える組織」が作られようとしている。
イスラム国は、これまでのアルカイーダとは異なり、ちゃんとビジネスとして誘拐や人殺しをやっていて、石油の採掘で活動費を捻出しており、自立した経済基盤を持っている。
彼らは複式簿記を付けていて、ビジネスとしてテロをやっているという。

日本は既にイスラム国との戦争に参戦している。
安倍総理は、2015年1月18火のイスラエルのテルアデブでネタニヤフ首相との会談後の記者会見で、中東への支援金2億ドルは人道支援が目的だと強調したが、そう説明すればするほど「イスラム国」からは「中立ではない」と判断される。
今回のアメリカ側の作戦には、ドローンによるテロリストへの攻撃と、イスラム国の支配地域の周辺に良民たちが逃げ出せる安全な場所を作ることである。
イスラム国の領域に800万人が暮らしており、うち200万人が周辺地域に逃げ出せば、イスラム国は崩壊する恐れがあるので、「イスラム国への攻撃」と「逃げでした良民の受け入れ」というのは、パッケージになっている。
日本はその周辺地域に人道支援をしており、だから日本はもうすでにイスラム国との戦争に参加しているのである。
2015年1月19日にシリアで「イスラム国」による日本人2名の人質事件が発生し、日本政府はヨルダンを窓口にして交渉しているとずっと言っていた。
しかし、実際は何もしていない。
それは簡単な話で、交渉相手のシスラム国側に交渉の意思が無かったからである。
例えば、ヨルダン軍バイロットの火あぶり動画が出たが、あれは1月3日だっとヨルダン政府は言っている。
つまり、そもそも人質交換する空いてが火あぶりに遭っているわけだから、イスラム国側に交渉する気などないのである。
1月20日午後に2人の日本人が座らされている動画が出て、2億ドルの身代金を要求してきた。
しかし、2億ドルをデパートの紙袋に入れると、1袋に500万ドルなので400袋となり、重さは2トンとなる。
国外でナンバーが連番でない100ドル札を72時間以内に400袋分を集める事は絶対に無理である。
金塊にしたら、5トンになる。
この身代金の2億ドルというのは、1月17日に、安倍総理がイスラム国対策のために、人道支援という名目で2億ドルを拠出すると公表した事に対して、シスラム国がイヤミで同額を要求したのである。
尖閣諸島は1894年の日清戦争の時に、翌1895年の下関条約で正式に日本が清朝から割譲させた。
その後、第二次世界大戦中の1943年にカイロ会談で、日本の領土は大きな島4つだけとなり、それ以外は全て連合諸国が取り決めることとなり、それを引き継いだヤルタ=ポツダム宣言を日本は承認し、サンフランシスコ講和条約で確定した。
つまり、ヤルタ=ポツダム会談で日本から尖閣諸島は取り上げられ、日本はそれを認めた、という事が重要である。
それに対して、「昔から網小屋があった」程度の根拠で、「尖閣は固有の領土」と自国領というのは無理がある。
そもそも日本に最初から100%の自信があるのならば、尖閣諸島に港や灯台をとっくに建造しているはずである。
つまり、何もないということは、外交的に見れば何かいわく付きの土地だということになる。
更にマスコミは隠しているが、尖閣諸島の一部はまだアメリカの領土で、ここ20年ほどは使用していないが久場島と大正島は米軍の射爆撃場となっていて、まだ日本に返還していない。
尖閣諸島問題は、日本が必要もないのに国内的な事情から人為的に緊張を作り出している、というのが国際社会の見方である。
金融資産だけで1億円以上の日本の富裕層の数は80万人だが、彼らはおそらくこの10倍の不動産資産を持っている。
そして、ここには法人に資産を持たせている人は入らない。
トマ・ピケティの『21世紀の資本』は優れた本であるが、この本の怖い所は、資本税という形で「正しい解決策は資本に対する年次累進課税である」「これにより果てしない不平等スパイラルを避けつつ、一時蓄積の新しい機会がつくられる」という結論つげている点である。
つまり、国家が富裕層から税金を取り立てて、資本を蓄積するという国家資本主義ということである。
もう一点、この本で面白いのが、富裕層に関する統計が整っていない点で、富裕層の統計に関しては『フォーブス』誌の長者番付とハーバード大学などの大学の投資基金が公開しているデータから類推しているだけである。
逆に富裕層の部分に関する統計的な実態は明らかになっていない、という事がハッキリしているという点に意味がある。

2016年3月29日火曜日

国連は国際的な強制執行活動の機関であり、言う事をきかないと共同軍事力で「平和維持活動」という強制執行を行う。
平和維持というのは、違法状態を現状に復帰させるという意味で、軍事力による強制力の行使なのである。
だから、集団的自衛権とは違い、集団安全保障であり、自衛でなくてもやれるということである。
PKOで出動した各国軍隊は、強制執行をする警察であり、警察となると国際法が適用されず、警察活動の方が一段上なので怖い。
戦争ならば、よほどの戦争犯罪をやっていなければ、人を殺しても責任は問われないが、警察活動であれば、どんな理由があっても人を殺したら責任を問われる。
各国のそれぞれの刑法によって犯罪者は処罰されることになる。
米軍の無人戦闘機の操縦は、ワシントン郊外のラングレーのCIA本部でやっているという。
一昔前までは、電波の距離の制限があり、アフガニスタン戦争の時はドイツで操作をしていらしいが、ドイツからクレームがあり、ワシントンに移したという。
安倍政権は2014年5月30日に、内閣人事局というのを官邸に創設し、全省の本省課長以上の幹部公務員600人の人事権を握り、彼らから天下り先の決定権を奪い取ってしまった。
各省庁の大臣の人事権は、建前上は各省の事務官や技官全員に及ぶ。
肩書の名称に「官」というのが付くのは全員、大臣が人事権を握っているので、辞令は大臣名義でもらう。
以前は事務次官以上の人事に政治家は、殆ど触れなかった。
外務省でいうと事務次官から外務審議官、ナンバー2か3までの人事には政治家は関与できなかった。
ところが、15年位前に、局長以上の人事は、総理、官房長官、官房副長官のところで申し合わせがないと執行できないようになったが、官僚はまだ安心していた。
官僚で本当に、実権があるのは課長であり、実働部隊を持っているのは課長までだからである。
だから、各課長の人事にまで政治家が手を突っ込むということになると、霞が関にしてみると相当人事に手を突っ込まれた感がある。
前回の総選挙の自民党の選挙ポスターのコピーは「景気回復、この道しかない」というものだった。
「この道しかない」というのは、1989年のソビエト連邦のゴルバチョフ政権のスローガンと同じである。
ソ連時代、ペレストロイカが上手くいかなくなった時に、「この道しかない」と言う言葉をゴルバチョフ政権が考えて、マスコミにわめきたて、1年くらい「この道しかない」とキャンペーンを張った。
しかし、全然効果はなく、最終的にその3年後にソ連は崩壊した。
そもそも「この道しかない」などという言葉は、民主主義国のスローガンとして有り得ない。
「この道しかない」とは、それ以外の選択肢はない、というとであり、それでは全体主義国である。
100年ほど前にも国際共産主義運動というイスラム国とよく似た運動があった。
マルクス主義に基づいて、1917年ににロシアで社会主義革命が起きた。
マルクスは「プロレタリアート(労働者階級)に祖国はない」と言い、国家を廃絶し、プロレタリアートによる単一の共産主義社会を形成するのがマルクス主義の目標だった。
マルクスは、社会主義革命は進んだ資本主義国で起きると考えていたが、実際に革命が起きたのは後発資本主義国のロシアだった。
その後、ロシう革命に続いてドイツとハンガリーで革命が起きたが、当局によって直ちに鎮圧されてしまい、ロシアの共産主義者は戦略を変更した。
ソビエト・ロシア国家(1922年からソ連)は、国際法を遵守して他の資本主義諸国と安定した関係を構築する一方で、1919年にコミンテルン(共産主義インターナショナル)を結成し、資本主義体制を転覆し、世界革命を実現するというシナリオを持った。
コミンテルンは本部をモスクワに置いたが、ソ連とは無関係とされ、コミンテルンの公用語はロシア語ではなく、ドイツ語だった。
当初、レーニンやトロツキーは、コミンテルンを通じて本気で世界革命を起こそうとしていたが、1930年代にスターリンが権力を掌握すると、世界革命の実現よりも、ソ連国家の強化に力を入れる一国社会主義路線を取るようになった。

2016年3月26日土曜日

PKO(Peacekeeping Operations)は「平和維持活動」と訳される。
しかし、通常はOperationdは「作戦」と訳すべきであり、本当は「平和維持作戦」と訳すのが正しい。
だが、「作戦」という言葉が入っていると、軍事作戦でもやるのかと受け取られて自衛隊が海外で戦闘をするイメージを与えるので、外務省は「作戦」とは訳さずに「活動」と訳したのである。
安倍政権は、内閣法制局長官に集団的的自衛権を容認する小松一郎氏を据えるに当てって、山本庸幸という長官を追い出している。
集団的自衛権の行使は違憲だと言っている人を追い出す形になるとまずいので、最高裁判所の裁判官が1人、定年で辞めるのに合わせて、その後任に置くという人事を行っている。
その結果、集団的自衛権を認めるのは憲法違反だと考える人が、最高裁判所の裁判官に入ってしまったのである。
最高裁判所の裁判官は、長官以外は内閣が任命する。
長官は仲居くの指名に基づいて天皇が任命する。
定年は70歳で、15名いる裁判官のうち定年を迎えるたびに、集団的自衛権の行使を合意だと考える人を、最高裁判所に送り込んでおけば、違憲訴訟が起きても回避できる。
憲法学者の圧倒的多数が安保関連法案は、憲法違反と考えており、違憲訴訟を起こす動きがある。
憲法裁判所がある国では、憲法違反の疑いがある法律ができると直ちに憲法裁判所に訴えることができ、違憲・合憲の判断が下される。
しかし、日本には憲法裁判所はない。
その為、誰かが「これは憲法違反の法律だから廃止してほしい」と裁判所に訴えても、訴えの利益がないとして却下されてしまう。
訴える人が法律によって具体的な損害を受けたときに、初めて訴訟として受理される仕組みになっているのである。
可能性として有り得るのは、南スーダンに派遣されている自衛隊員が負傷したり死亡した場合、その家族や遺族が訴訟を起こした場合、裁判所として審理に入る可能性がある。
2016年夏の参議院選挙より、18歳と19歳の有権者が投票できるようになり、新たに240万人の有権者が誕生する。
投票日までに18歳になっていれば、投票が可能となる。
安保関連法案には、ネタ本があって『日米同盟-アジアの安定をつなぎとめる』という報告書、通称『アーミテージ・ナイ報告書』と呼ばれている。
安保関連法案の主要部分の殆どが、この『アーミテージ・ナイ報告書』の対日要求に沿ったものなのである。
息子ブッシュ政権時代に国務副長官を務めたリチャード・アーミテージ、民主党のカーター政権時代に国務副次官、クリントン政権時代に国防次官補を務めたジョセフ・ナイの二人が超党派で、2000年、2007年、2012年と3回に渡って対日政策提言書である。
二人はあくまでも民間人として、この報告書を発表しているので、その内容が直接的に、安倍政権を拘束することはないはずだが、今回の安保関連法案の施行で、全部その通りとなっている。
安倍政権がやっている事は、全てアメリカから出された宿題に応えているだけである。
2012年の時点で、この報告書の中には、安全保障に限らないテーマが他にも盛り込まれており、「エネルギー安全保障」では日本の原子力発電所の稼働再開を求め、「経済と貿易」ではTPP締結を迫っている。
さらに「近隣諸国との関係」では韓国との歴史問題の解決に努力するように求めている。



2015年9月19日に成立した安保関連法案は、9月30日に公布され、2016年3月29日に施行が決定した。
安保関連法案は、大きく2種類からなっており、1つは既にある法律を改正したり名称を変えたりした10本の法律と、もう1つは新法として制定された国際平和支援法である。
それぞれの法律はかなり性格が異なるにも関わらず、政府与党は計11本もの法律をひとまとめにして国会に提出し、強行に成立させてしまった。
<改正または名称変更>
1.自衛隊法
→米軍の部隊の武器等の防護、在外邦人の警護・救出が可能に
2.国際平和協力法
→武器使用基準を緩和し、安全確保業務(治安維持)や駆けつけ警護が可能に。国連以外の期間の要請でも参加可能に
3.重要影響事態法
→周辺事態法を名称変更。「我が国周辺の地域における」という地理的限定を撤廃。後方支援で弾薬の提供、戦闘のため発信準備中の他国軍機に給油・整備ができる
4.船舶検査法
→外国領域における活動の実施も可能に
5.武力攻撃事態法
→日本が直接攻撃を受けた時の武力攻撃事態に加えて、存立危機事態でも武力行使ができる(集団的自衛権の行使を容認)
6.米軍等行動円滑化法
→「米軍」を「米軍等」に変更。存立危機事態における外国軍隊への支援を追加
7.特定公共施設利用法
→米軍以外の軍隊も港湾、飛行機などを利用できる。
8.開錠総規制法
→存立危機事態にも適用
9.捕虜取扱い法
→存立危機事態にも適用
10.国家安全保障会議(NSC)設置法
→審議事項に存立危機事態を加える
<新法制定>
11.国際平和支援法
→国連決議の下、国際社会の平和・安全のため共同して対処する諸外国軍隊への後方支援を行う
法制局には衆議院法制局、参議院法制局、そして内閣法制局の3つがある。
国会議員が法律を作る時に、両議院の法制局が相談に乗ってくれ、細かなルールや決まりを教えてもらえる。
内閣法制局は、内閣が提案する法律案に関して、健忘に違反していないかどうか、他の法律と矛盾することがないかどうかを、事前に徹底的にチェックする組織である。
内閣法制局には、生え抜きのキャリア官僚は存在せず、財務省、法務省、経済産業省などの省庁のキャリア官僚が出向してキャリアを積んでいく。
トップ人事に関しては、他省庁から移ってきたキャリア官僚を内部昇格させて法制局長にするというのがこれまでの慣例だったが、安倍政権は2013年8月にこの慣例を破って、外務省出身で集団的自衛権の行使を容認する小松一郎氏を突然、内閣法制局長官に任命した。
そして、集団的自衛権の行使は認められるという方針に変えさせたのである。
憲法9条改正論者の安倍総理は、憲法改正には衆議院と参議院の両方で3分の2以上の賛成が必要であって初めて憲法改正の発議ができ、国民投票で過半数の賛成を得られたら改正ができる仕組みになっているので、まずは96条を改正すると言っていた。
国民投票に関しては、憲法に規定はあるものの、それをどのような手段で実施するかについては、長い間に渡り法律がなかった。
そもそも、これまで憲法改正について現実味が無かったので、法律を作る動きが無かった。
そこで、第一次安倍政権で、国民投票法を2007年に成立させた。
憲法には「過半数の賛成を必要とする」としかなく、この過半数とは有権者全体の過半数なのか、投票をした人の過半数なのか、それとも有効投票の過半数なのかはっきりしていなかった。
国民投票法により、有効投票総数の過半数にすることが決定した。
第二ステップとして、憲法改正を進めようとしところ、憲法96条で、衆議院と参議院共に3分の2以上の賛成でと決まっているので、これを過半数の賛成で発議できるようにしようと考えたのである。
安倍政権が「集団的自衛権を行使できるケース」として例にしてきたものは、限りなく個別的自衛権で対応できるケースであり、あえて集団的自衛権を行使する必要はないのではないか、という疑問が出てくるが、政府の説明があいまいなので、多くの国民はよく分からないままであろう。
日本国憲法をめぐる国民的議論が遠ざかっていしまったのは、憲法9条の条文を変えなくても、憲法解釈を変えたことで目的を達してしまったのである。
解釈変更によって実質的に憲法を変えたのと同じ効果が得られてしまった。
この解釈改憲によって、憲法改正の動きはむしろ遠ざかるのではないか、という指摘もある。
2015年11月の秋の叙勲名簿に、外国人で旭日大綬章を受けた人物にリチャード・リー・アーミテージの名前があった。
アメリカの息子ブッシュ政権時代の国務副長官で、安倍政権の安保関連法の改正を前に、その内容について、早くから提言、というよりは命令をしていた人物である。
彼らの提言に基づいて、集団的自衛権の容認に動いたことは明白である。
他にドナルド・ラムズフェルドの名前もあり、同じく息子ブッシュ政権時代の国防長官で、イラク攻撃を推進した責任者の一人で、フセイン政権を打倒した後、イラク国内は内戦状態となってしまった。
ラムズフェルドは、イラク攻撃の計画立案に当たり、多数の兵士が必要だと進言した陸軍長官を更迭し、精鋭部隊だけで攻撃するという戦法を採用し、戦後の治安維持ができなくなった結果、本人までもが更迭されてしまった。
このような人物に与えられるのが、日本の勲章である。
歴史を遡ると、太平洋戦争の東京大空襲で一晩に10万人の一般市民を殺害する計画を立てたアメリカ空軍のカーチス・ルメイは、戦後に航空自衛隊の育成に尽力したという理由で、1964年に旭日大綬章を授与されている。
財務省の諮問機関である財政制度等審議会の財政制度分科会が試算した「我が国の財政に関する長期推計」(2014年4月28日)のポイントは次の2点となっている。
・2020年度の日本国政府・地方の借金総額は1500兆円
・2060年度の日本国政府・地方の借金総額は1京1400兆円
この楽観的な試算によると、2020年の東京オリンピックの時に、国の財政を持たせるためには消費税を30%にするか、社会保障費を大幅に削るしかないという事のようである。
そして半世紀後の2060年の日本の借金は、名目GDP2053兆円に対して、対GDP比5.5倍の1京1400兆円になるという。
報告書の試算では、名目成長率を3.0%(実質2.0%)としており、日本は半世紀にわたって3.0%の成長を続け、長期金利が3.7%とい前提になっている。
単純に現在の国の借金1000兆円に金利3.7%を掛けると、国債の利払い費は年間で37兆円になり、これに国債の元本償却費20兆円を足すと57兆円となる。
つまり税収の全てを借金返済に回すという事になり、この長期金利が今、実現してしまえば日本は破綻してしまう。
一般的に、長期金利を成長率より高く設定するば、借金国家は必ず破綻する運命となる。

日本のタクシー運転手やバス運転手の高齢化率は高く、厚生労働者の調べによると、2013年の全国のタクシー運転手(男性)の平均年齢は58.4歳で、全産業の42.8歳を大きく上回っている。
その結果、東京でタクシーが起こした事故件数の全自動車の事故件数に占める割合が、1989年の5.8%から2013年には9.9%へ増加している。
アベノミクスの第2ステージで、日本は「GDP600兆円」を目指すことになったが、これは物価を1.2倍にすれば、現在のGDPが500兆円なので、簡単に達成が可能となる。
量的緩和を続け、株価も地価も物価も上げ続ければ、目標は達成できる。
しかし、生産や消費で使われた金額が20%増加しても、物価が20%増加してしまえば、消費者が買えるモノの総量は変わらないので、実質的には経済は成長せず、実質値のGDP成長率は0%になる。
日本のバブル経済が真っ盛りの頃、全世界の僅か0.3%の面積しかない日本の土地価格の合計は、全世界の土地価格の6割をしめていた。
そして計算上では、東京23区内のと地価価格だけで、アメリカ全土が買えた。
1988年の日本の土地資産総額は1842兆円に達し、当時のGDPの5倍になっていた。
そして日本企業の株価は、この土地の値段を企業価値として算出されていたので、日本企業の時価総額は、全世界の企業の時価総額の4割に達していた。
2014年頃から日本において、「人手不足」が深刻化しており、飲食店や工事現場では働き手が集まらなくなっている。
メディアの多くが「景気がいいから」と報道しているが、本当は真逆で、景気が悪いから人手不足が起こったのである。
給料はコストであり、中小零細企業の経営状況を考えると人件費を上げられないので、「低賃金労働者」がいなくなってしまった結果、人手不足が起こったのである。
その結果、多くの小売業が店舗の縮小・閉店に追い込まれた。
ヤマダ電機は2015年5月に46店舗を閉店したが、その後も11店舗の追加閉店に追い込まれた。
マクドナルドは2015年4月に全国で131店舗を閉鎖、ワタミも2016年3月までに85店舗を閉鎖すると発表した。
日本の失業率の定義は、次のようになっている。
失業率=完全失業率÷(就業者数+完全失業者数)×100
この「完全失業率」とは、次の3つの条件を満たす者とされている。
1.仕事がなくて調査期間中に少しも仕事をしなかった(就業者ではない)
2.仕事があればすぐに就くことができる(選り好みは許されない)
3.調査期間中に、仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた(過去の求職活動の結果を待っている場合を含む)
つまり、日本における完全失業率とは、働く能力と意思があり、しかも本人がハローワークに通い求職活動をしているにもかかわらず、就業の機会が社会的に与えられていない失業者という事になる。
仕事探しを諦めてハローワークに行かない人はカウントされない。
さらて、下記の項目に該当する事は厚生労働省が定義する失業者にはならない。
・1週間のうち1日でも働いて賃金を得た者
・家事手伝いを行っている者
・求職意欲を失い、仕事に就くのを諦めた者(ニートなど)
・雇用調整助成金で企業内失業となっている者
・不労所得が充分にあっては働く意志・必要がない者
日本企業は2000年代に入ってからは生産拠点を海外に移すようになり、2013年度時点で海外現地法人は2万3000社を超えた。
しかし、海外現地法人と日本国内の企業との取引は殆ど増えておらず、現地で調達・生産・販売が完結している。
その結果、国内では空洞化が進み法人税収入が減り、日経企業は海外で550万人を雇用しているが、彼らの所得税は日本の税収にはならない。
しかも、2009年より始まった海外現子会社配当益金不算入制度によって5%課税されるだけになっている。
これは進出国の税制に従って納税されるので、二重課税を避けるために設けられた。
そのうえ、日本から輸出している企業には消費税がかからない制度がある。
例えばトヨタは日本国内で14兆円の売上があるが、このうち6兆円が輸出となっており、この6兆円分の輸出自動車の原材料購入時の消費税は還付される。
トヨタがある名古屋国税局豊田税務署では、毎年、消費税の還付金が納税額を超えている。

2016年3月24日木曜日

FXのように単なる通貨の売買を行う取引は、長期投資に不向きである。
FXは2国間の通過の交換比率を示しているだけに過ぎず、資産事態の価格が上がることはないからである。
相手国があって為替レートが決まるということを考えると、成長する国の通過が必ず上昇するとは限らない。
つまり、通貨そのものを売買して利益を上げるという投資手法は、長期投資には向いていないといえる。
為替市場おける取引高の通過別シェア(2013年)
米ドル    43.5%
ユーロ    16.7%
日本円    11.5%
英ポンド    5.9%
豪ドル     4.3%
スイスフラン 2.6%
カナダドル  2.3%
その他    13.2%
金利がほぼ0%という一方で物価が毎年2%ずつ上昇した場合、1000万円が20年後には、実質的に672万円へ目減りする。
物価が毎年4%ずつ上昇した場合、1000万円が20年後には、実質的に456万円へ目減りする。
物価が毎年6%ずつ上昇した場合、1000万円が20年後には、実質的に312万円へ目減りする。

2016年3月22日火曜日

IMFは2013年8月に、日本経済の分析や政策提言をまとめた年次審査報告書を公表したが、それによると「アベノミクスが成功するためには、より具体的な成長戦略と信頼できる中期の財政再建策が不可欠」とし、日本政府に対して増税を勧告している。
IMFは日本の消費税を15%まで引き上げるべきと、かねてより韓国しており、その勧告を踏襲した。
IMFには日本の財務省から出向者が出ている事を考えると、IMF勧告はある意味では、財務省の意向なのである。
消費税によって増える歳入が本当に社会福祉目的に使用されるという保証はない。
アダム・スミスは、国債を将来的には国民が負担するので、「税金手形」であると述べている。
現在の日本の国債利払費は10兆円であり、消費税に換算すると5%に相当する。
つまり、日本国民は既に消費税を13%(8%+5%)も払っているのと同じ状況になっている。
欧州諸国の付加価値税(VAT)と同じく20%まで引き上げると、年収300万円以下の世帯では年間40万円、年収500万円の世帯では年間60万円の負担増になると試算され、国民の生活は崩壊することになる。
消費税は逆進性が強く、年収が低い世帯ほど負担が増える。
増税前に第一生命経済研究所が試算したところによると、2015年の負担増は日本人の平均年収である年収450万円~500万円世帯で、年間21.6万円(年収比4.8~4.3%)、年収1250万円~1500万円世帯では37.6万円(年収比3.0~2.5%)となっていた。
消費税が5%から8%へ、3%の増税となったが、倍率で見れば1.6倍であり、増税率は160%だったのである。
消費税を10万円払っていたのが、16万円払わねばならなくなったのである。
また国税庁が公表した2014年度の税金の滞納状況によると、消費税の新たな滞納額は3294億円と、前年度比で17%増となっている。
所得税や法人税の滞納額は逆に減っているので、いかに消費税の影響が大きかったかが理解できる。
消費税の滞納者の多くが中小・零細企業の小売店やメーカーなどの下請け事業者であり、増税分を転嫁できないので、自腹納税額が増える結果となったのである。
次の8%から10%への消費税増税は、増税率「125%増」であり、5%の時からすると増税率「200%増」になる。
日本の新聞の発行部数は毎年下降を続けており、どこまで落ちるか予測が付かない状況となっている。
新聞の部数は一般社団法人日本ABC協会が毎月発表しており、2015年8月の主要新聞の発行部数は次の通りになっている。
朝日新聞 678万3437 (前年同月比▲40万8840)
読売新聞 910万1798 (前年同月比▲13万2046)
毎日新聞 324万8393 (前年同月比▲5万5430)
日経新聞 272万6561 (前年同月比▲3万7422)
産経新聞 159万9127 (前年同月比▲1865)
この中には販売店に配送されるが実際には破棄される新聞である「押し紙」が3割に上ると言われるが、カウントされていない。
その点でABC協会の部数は、実売部数とは言えないが、中央紙(朝日、読売、毎日、日経、産経)と地方紙を合わせて4000万部もあり、それでも部数から見た日本の新聞の影響力は大きい。
いずれにしても、消費税の増税は、新聞社の経営を圧迫する。
ちなみに「押し紙」に対しても消費税はかかるために、その負担は大きなダメージとなる。
ジャーナリストの河内孝が『新聞社』(新潮選書、2007年)で試みた試算によると、消費税の2%アップにより、読売新聞は109億円、朝日新聞は90億円の負担増となったという。
だから新聞社は消費税の増税に対して政府批判をせずに、自分達だけ軽減税率の措置を受けようとするのである。
2015年4月15日に発表されたアメリカ財務省の国際資本統計で、日本が米国債保有で中国に代わって再びトップになった事が判明した。
2015年2月末時点で、日本の米国債保有額は1兆2244億ドル、中国が1兆2237億ドルとなった。
アメリカ財務省が2014年9月に発表した2014年7月末時点の日本の米国債保有数が1兆1354億ドルだったので、半年間で日本は900億ドルも米国債を買い増したことになる。
2014年は消費税が8%へ増税された年であり、消費税の1%アップは2兆円の税収増となるので、日本国民は6兆円を政府に納税した。
しかし、この引き揚げた消費税分の6兆円よりも多くの米国債を日本政府は購入しているのである。
日本は米国債を売却できない事になっており、さらには購入した米国債が満期を迎えるたびに、償還されたドルで再び米国債を購入することになっているので、アメリカは日本におカネを返さなくてもよい。
実際に日本がどれだけ米国債を抱えているのか明らかにされていない。
日銀のWebサイトでも、米国債の保有残高が公開されているが、それは米国債のうち為替介入に購入された短期物に限った数字となっており、長期物の保有額は公表されていない。
「貨幣数量説」には有名なアービング・フィッシャーの交換方程式があり、世の中に流通している貨幣の総量とその流通速度が物価の水準を決めるとされる。
M(流通量)×V(貨幣流通速度)=P(物価)×Q(総支出量)
Mは中央銀行が市中に供給するマネーストックであり、Vは貨幣の流通速度、Pは物価、Qはモノの取引量である。
つまり、中央銀行がMを増やせば、VとQが一定ならばPが上昇すると考える。
しかし、不況期にはV(貨幣流通速度)は落ち、おカネの巡りが悪くなっているので、いくら中央銀行がマネーストックを拡大しててもVまでには影響を及ぼすことはできない。
単純にMを増やしただけではPは上がらないし、Mの中でも中央銀行が操作できるのはマネタリーベースだけであり、マネーストックも増えると考えるのは短絡的すぎる。
経済記事に「日銀はこれまで大量の円を刷って市場に供給してきた」とか「量的緩和により市中はおカネでジャブジャブになった」と書かれてきた。
そして、市中に大量に供給された円により、株価が上がり、企業の設備投資も増え、景気が回復してきたと解説されてきた。
しかし、メディアが報道してきた「量的金融緩和」によって市中のおカネの総量は増えていない事は、日銀のバランスシートを見れば分かる。
バランスシートは「資産」と「負債」を示すが、異次元緩和で資産とされる「国債」を日銀は増やしてきた。
日銀の国債保有残高は異次元緩和が始まる以前の2013年3月末には125兆円だったが、2015年3月には200兆円を上回り、2015年8月には306兆円に達している。
「負債」の方は、現金は100兆円で殆ど増えておらず、「日銀当座預金」が大幅に増え、2013年3月末の58兆円から2015年8月には231兆円となっている。
懲罰的なマイナス金利が実施されるまでは、日銀当座預金の超過準備部分に対して0.1%の金利を付けていたので、金融機関は日銀にブタ積みされてままで、いくらマネタリーベースを増大させてもマネーストックは殆ど増えなかったのである。
資金需要が無いのに、異次元緩和をしてもおカネの行き先は無かったのである。
日本のデフレ不況が人口構成の変化から生じており、構造的な要因であると指摘した『デフレの正体 経済は「人口の波」で動く』(藻谷浩介)というベストセラーがある。
藻谷氏は、デフレと不況を同義にしてしまい、デフレの原因を人口減と高齢化による需要不足としてしまった。
人口減と高齢化は不況の原因となるが、デフレの原因ではない。
モノに対する需要不足がデフレを招くという考え方は、現在の経済学では否定されている。
しかし、日本経済の衰退、不況の原因は、人口動態を見れば説明ができる。
国際決済銀行(BIS)が2015年3月18日に公表した調査報告書によると、デフレと経済成長率の関連性は薄い事く、経済成長率は資産価格デフレとの関連性の方が強いとしている。
38の経済を1870年までさかのぼって調査した結果、デフレは全期間の18%で発生していたが、経済成長率が大きく低下したのは1930年代初頭に米国で起こった大恐慌の時だけだったという。
そして、デフレが債務問題の悪化につながったという証拠はないと指摘している。
多くの中央銀行が利下げを正当化するために、デフレが景気に深刻な打撃を与えるとの主張を展開しているが、このような見解に疑問を投げかけている。
報告書ではデフレが続いた日本経済について、人口の伸び悩みと急速な高齢化が経済成長の重しとなったと分析しており、デフレと経済成長の関係を分析するには、人口要因を綱領する必要があるとしている。
アメリカでは1789年から1913年まで100年以上に渡ってデフレが続いたが、このデフレの下でアメリカ経済は成長を続け、ついにイギリスを凌駕し、世界の覇権を奪ってしまった。
2004年にミネアポリス連邦準備銀行のアンドリュー・アトキンソンとパトリック・J・キホーが発表した論文「デフレと布教は実証的に関連するのか?」によると、歴史的にはデフレの時の方が好況だったという。
この論文では、世界恐慌時の5年間を除いた1820年~2000年に渡る世界の主な17カ国の各5年間の平均実質経済成長率とインフレ率を調べた結果、全595例のうちデフレの事例は73例あったが、デフレと不況を同時に経験したのは僅か8例に過ぎなかった。
また、不況の事例は29例あったが、そのうちデフレであったのは8例しかなく、インフレであったのは21例もあった。
つまり、デフレと不況の関連性は全くなく、デフレ期の9割近くは好況と重なっており、経済成長していたという。

2016年3月21日月曜日

日本の相続税は税率が高いばかりか、制度的にも欠陥があり、配偶者までもが相続人となってしまう。
アメリカでは夫婦が共同で築いた財産は相続財産とはみなされないので、夫が先に死亡した場合、妻はその財産をそのまま引き継ぐことができる。
日本でも妻が専業主婦でも住宅などの資産は共同財産とされ、離婚時には住宅を売却し、財産を分割して分け合う事になる。
しかし、相続時にはこの共同財産という考え方は適用されず、住宅の名義が夫名義になっていれば、夫の相続財産とみなされ、遺産分割協議が必要となったり相続税は発生し、夫の死後に残された妻が自宅に住めなくなるケースも発生する。
相続税は、その課税根拠が希薄な税金である。
それは個人の財産権を侵すものであり、日本国憲法の第29条に「財産権はこれを侵してはならない」と規定されている事もあり、憲法違反という指摘もある。
所得税を納めているにも関わらず、私有財産にまで課税するのは、税制基本原則で禁止されている「二重課税」という考え方もある。
実際にアメリカの共和党は常に「相続税廃止論」を訴えており、スウェーデン、シンガポールなどのように相続税を廃止した国もある。
スイス、カナダ、デンマーク、オーストラリア、ニュージーランド、中国、香港など、世界で経済成長している国には相続税そのものがない。
日本のメディアは政府与党から、「公平中立な番組作成」を要請する文書を出されると簡単に懐柔されてしまう。
その理由はメディアの成立基盤が広告収入という事が大きい。
安倍政権になったからの政府広報予算は、膨れ上がっている。
2015年度の政府広報予算額は83億400万円で、前年2014年度の65億300万円から3割増加している。
この予算額は2012年度の野田政権時代の40億6900万円に対して2倍以上になっている。
ちなみに、2014年度の予算の増額は、政府広報室によると「消費税への国民の理解を深めるため」という理由となっている。
東日本大震災の際に、エレベーターの閉じ込め事故は全国で257件発生したとされる。
東京都が2012年4月に発表した首都直下自身の被害想定では、エレベーターの閉じ込めは7000基を超えると予測されている。
全ての人を救出できるまでには、数日を要することが十分考えられる。
「新耐震基準のマンションならば大丈夫」というのは、都市伝説だと考えるべきである。
東京カンテイが2012年に公表した数字によると、阪神・淡路大震災では新耐震基準によって建てられた兵庫県内のマンション10棟が大破している。
東日本大震災では、新耐震基準で建てられた宮城県のマンションには大破はなかったものの、中破、小破などの被害状況を見ると、新耐震基準の建物と旧耐震基準の建物で、有意義な差が認められなかったという。
マンション管理会社は、自社が管理業務の委託を受けているマンションに等級を付けている。
会社によって付け方に差はあるが、一般的にはABCDと分けられている。
分類にはマンションの規模や築年数には関係なく、その基準は「管理組合に、どの程度手間ひまがかかるか」である。
理事会から管理会社に対して高度な要求ょしてくる管理組合はAクラスとされ、管理会社はエースクラスの社員を担当として付けている。
逆に、なんでも管理会社の言いなりで進められる管理組合はDクラスとして、新人や無能な社員を担当に付ける。
管理会社に仕事ができない担当を付けられたマンションは、低レベルのサービスしか受けられないにも関わらず、高い業務委託量や修繕工事費を負担させられ続けることになる。
今後、資産価値が低いマンションほど、廃墟化の危険性が高くなる。
資産価値が低下しすぎると、わざわざ訴訟を起こして管理費の滞納を回収する意味がなくなるからである。
その分岐点は資産価値が300万円~400万円あたりとなる。
滞納された管理費などを回収するための最終的な手段は、弁護士に依頼して競売訴訟を起こすことであり、このコストとしては競売申し立てだけで予納金が60万円かかり、別に弁護士報酬が必要となる。
資産価値が500万円のマンションで発生した管理費等の滞納が400万円程度であれば、最低入札価格は50万円程度に設定され、競落者は滞納された管理費等を支払わねばならない。
仮に対象のマンションが100万円で競落された場合、競落者は10万円の他に管理費の滞納額400万円を支払うことになる。
つまりマンションの資産価値が400万円を下回ると、裁判費用は管理組合の持ち出しとなり、競売による滞納金の回収は困難となる。
さらにマンションの住宅ローンが完済されていない場合は、競売になっても住宅ローンの抵当権が優先されるために、訴訟を提起した管理組合側への配当が支払われないと見込まれると、「無剰余取消」として裁判所から訴訟を取り消される可能性が出てくる。
その場合、予納金を放棄してまでも抵当権者の合意を得て形式競売を進めるかどうか難しい判断を迫られることになる。
近年、「資産価値30輪万円」のマンションが大都市圏の郊外に現れ始めており、やがて近郊に達することになる。
誰も住まなくなり、放置され廃墟化したマンションが増えてくる事が予測されるが、行政に対しては固定資産税を支払う義務は継続し、所有するだけでマイナスが生じてしまう「負動産」となる。
マンションの管理費滞納は5年で時効になる。
例えば、7年間も管理費と修繕積立金を滞納している区分所有者がいた場合、管理組合がその区分所有者に請求できるのは過去5年分だけとなり、6年前と7年前の管理費き請求できない。
従って、5年を超えないうちに何らかの手を打つ必要がある。
2014年の国土交通省の資料「老朽化マンションの建替え等の促進について」によると、全国て゜これまでに建替えが決定したマンションは、準備中も含めて230物件しかない。
ところが2018年には築50年超のマンションが全国で5万件に達し、震度7の地震に耐えられるとされる現在の耐震基準が定められる以前に建築された「旧耐震マンション」は全国に106万件存在する。
マンションの建替えを実現するには管理組合総会で5分の4の賛成可決が必要であると共に、敷地の容積が2倍以上余っている事と、その敷地が建替えにふさわしい利便性の良い立地である、という高いハードルがある。

日本のマンションの寿命は、しっかりとした施工がなされていれば100年は持つと言われているが、ヨーロッパにある石やレンガでできた住宅のように200年や300年という寿命は期待できない。
理由は躯体コンクリートの内部の鉄が錆びるからである。
鉄筋コンクリートは、鉄とコンクリートの組み合わせで、この2つの素材は膨張率が同じという奇跡的な組み合わせとなっている。
さらに、圧縮に強いコンクリートと、引っ張りに強い鉄筋が一緒になって、無敵の構造体となる理想的な組み合わせと言える。
しかし、同時に宿命的な寿命が与えられてしまう。
そもそもアルカリ性であるコンクリートが中性化していくことにより、躯体内の鉄筋が詐欺てしまい、その錆びの進行速度が鉄筋コンクリートの寿命を決めてしまう。
通常は、躯体の中の鉄が錆びて使い物にならなくなるまでに65年と言われてきたが、現在は施工技術の進化により、100年までは伸ばせると言われている。
しかし、実験によって証明されたわけではない。
高層階に居住することが子供や母親にとって不健康な影響をもたらすという科学的な調査データが存在する。
東海大学医学部公衆衛生学(逢坂文夫・講師)が1995年~1998年にかけて厚生省の依頼による調査は衝撃的な結果となった。
この調査は横浜市内の3ヶ所の保育所で、第一子に4ヶ月健診を受信させた母親へアンケート用紙を配布し、2344人の有効回答を得た調査である。
調査によると、小学生のアレルギー陽性反応は戸建住宅が27%なのに対して、マシンションは46%、アレルギー疾患は階層が高くなるほど増える傾向にあった。
また、1995年に横浜在住の母親1600人に行ったアンケート調査では、年齢を問わず10階以上の高層に住んでいる女性の38.9%で流産を経験しているにも関わらず、1~2階は6.88%、3~5階は5.6%だった。
つまり、10階以上の高層階に住んだ場合、5階以下に住む場合と比べて流産の可能性は5~7倍高くなるということになる。
更に「33歳以上で10階以上」に居住の場合は、「27歳以下で1~2階」の居住に比べて、流産率は12倍以上という結果となっている。
2019年は賃貸市場にとって、注目すべき年となる。
2014年の総務省調査による「空き家率13.5%」の発表は、不動産業界に激震を与えたが、この調査は5年おきに実施されるので、次回の発表は2019年となる。
また、2019年からいよいよ日本全体の世帯数が減少し始めるとされている。
世帯数は住宅に対する需要数となるので、核家族化による世帯数の増加で、これまで年間100万戸近くの新築住宅が市場に供給されてきたが、世帯数が減少し始めると、住宅の余剰感はいよいよ鮮明になってくる。
2013年の総務省統計局「平成25年住宅・土地統計調査」によると、1970年代には既に住宅は余っており、それが抒情に増えて現在は820万戸の空き家が存在している。
日本全体の空き家率は13.5%で、日本全国の住宅の7戸に1戸が空き家なのであり、東京でさえ11%以上が空き家となっている。
野村総研の予測では、2033年の空き家率は30%を超え、3戸に1戸が空き家になるという社会が到来する。
この総務省の調査は5年毎に実施されるので、次回2019年の発表でも空き家率は確実に増えるであろう。

不動産価格は、2つの法則性に基づいて変動する。
1つは「需要と供給の関係」で、需要が供給を上回れば価格は上昇する。
もう1つは「経済成長」であり、経済が成長しているエリアの不動産価格は上昇している。
つまり、近未来的に日本全体で不動産価格が急落する日がやってくる可能性は高い。
日本の不動産の特徴的な脆弱性の一つに、賃貸市場の強い余剰感があり、賃貸住宅はかなりの供給過多状態にある。
不動産ポータルサイトの「ホームズ」が公表している賃貸住宅の空室率(2016年2月)を見ると、東京都の千代田区が36%、中央区が27%、目黒区が28%と高い数字となっている。
マンションは新築・中古ともによく売れているのに、賃貸市場が低迷している理由は、賃貸市場には自分が住む為にしか借りないという実需しか存在しないからである。
新築・中古マンションのように、投資目的で買っておくという需要がなく、住む世帯数しか需要が生まれないので、それ以上の供給があると物件は余るしかないのである。
2014年3月の日銀による質的量的緩和の開始、2014年10月の黒田バズーカー第2弾、さらには2016年1月のマイナス金利導入により、市中銀行は不動産市場への融資先をより一層模索している。
こうした「お金が余って仕方ない」という状況は、1991年に崩壊した平成バブルとよく似ており、平成バブルでは余剰資金が向かった先は日本全国各地の不動産だった。
しかし大きく違う点は、今回は「地域限定」だという点である。
2013年~2015年にかけて不動産価格が上昇したのは、東京都心と神奈川県の一部、仙台市全域、京都市の一部、福岡市の一部など地域が限られており、面積比でいえば日本全体の2%にも満たないエリアで起こった「地域限定バブル」なのである。
逆に、他の98%以上のエリアでは、住宅価格は下落し続けている。
日本のマンション史上における過去最大の欠陥マンション事件は、多摩ニュータウンの「ベルコリーヌ南大沢」という団地で、46棟(919戸)全てが欠陥マンションだった。
分譲されたのは1889年~1993年にかけたバブル絶頂期で、当時の分譲価格は5000万円~7000万円だった。
さらに80倍という抽選に当たった幸運な住民が、入居したら雨漏りに結露、手で触っただけでコンクリートが崩れるという欠陥物件だったのである。
分譲したのは当時の住宅・都市整備公団で、最初は「設計図書は紛失した」という不誠実な対応をしていたが2002年に大問題となり、国会でも取り上げられた。
住民らは粘り強く交渉を重ね、46棟中20棟が立て直しが決定し、その後現在では全ての立て直しが完了している。
しかし、この間の交渉で疲れた3分の1以上の住民が、諦めて去っていったという。
この欠陥具合は姉歯事件の耐震偽装を上回るレベルで、あるべき耐震基準の58%しかなかったという。
この団地の対応で、住宅ろ都市整備公団が最終的に対応に投じた費用は600億円とも言われている。
迅速な対応をしていれば、普通に919戸を建替えたとして、当時の建築費相場にすと140億円程度で、引っ越しや仮住まいの費用を負担しても200億円で済んだと言われている。
財閥系ゼネコンが売主の物件だからといって、誠実な対応をしてもらえるとは言えない。
三井不動産が千葉県浦安市で開発・分譲した戸建て住宅が、東日本大震災による液状化で傾斜してしまったケースがある。
30年前以上に分譲されたが、道路1本隔てた公団の分譲地は液状化していないのに、三井不動産の分譲地だけが液状化して家が傾いてしまい、更には液状化で埋め立てに使ったとみられるごみが地表に出てきてしまった。
隣接地を開発した公団は液状化を予測して、サンドコンパクション・パイル工法による地盤改良工事を行っていたが、三井不動産は地盤改良工事をやっていなかった。
住民は三井不動産に補償を迫ったが、芳しい回答を得られず、次々と訴訟を起こした。
三井不動産はそれら全ての訴訟を受けて立ち、優秀な弁護士団を結成して「分譲当時は液状化を予想しえなかったし、当時は地盤改良は義務化されていなかった」と主張を展開し、20014年から2015年にかけて一審、二審の判決でいずれも住民側が敗訴し、見事に三井不動産は責任を逃れている。
住んでから発覚する新築分譲マンションの申告な欠陥といえば、雨漏りと傾斜である。
これらの欠陥は住んでいれば誰でも分かるので、すぐに管理組合で大問題となり、その後、管理会社を通じて親会社である売主のディベロッパーに報告される。
補修工事費は全てゼネコンの持ち出しになるので、何かと理由をつけて工事負担を逃れようとしたり、ミスを認めず有償工事に持ち込もうとする。
ゼネコンが施工ミスを認めなければ、無償の補修工事にはならない。
そして、紛糾した結果、管理会社から管理組合の理事会に必殺の決めゼリフが言い渡される。
「あまり問題を大きくすると、マンションで欠陥工事があったという噂が世間に広まり、資産価値に影響が出ますよ」
と言われれば、泣き寝入りして自己負担による補修工事に同意せざるを得なくなる。
このように欠陥工事であるにもかかわらず、世間に知られることなく生息するマンションが無数に存在するが、統計データは一切ない。
新築マンション100物件のうち1~2件は欠陥工事が発生しているという。
2015年10月に発覚した「パークシティLaLa横浜」の傾斜問題では、2007年に完成した全4棟705戸の建物の杭が支持基盤に達していなかった。
4棟のうち1棟が、下の建物と比べて手すりの結合部分にズレが生じていることを不審に思った住民かせ、売主の三井不動産レジデンシャルに調査を数年前に求めていたが、「東日本大震災の影響」としてうやむやに済まそうとしていたという。
2.4センチ程度の傾斜は、1999年に定められた「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)を元に作られた建設省通知による「技術的基準」の許容範囲であり、通常の生活には殆ど影響しないレベルとされている。

2016年3月20日日曜日

金持ちの消費がいずれ貧しい者へもしたたりおちる「トリクルダウン」という考え方に基づく政策は、日本に先行して、1980年代のイギリスのサッチャー政権、アメリカのレーガン政権で行われた。
しかし、両者のやり方は経済全体に恩恵をもたらすことはなく、もっぱら格差拡大という形で経済の不均衡を深化させてしまった。
そもそも、トリクルダウンという言葉は、「したたり落ちるなんて、そのような考え方はけしからん」というニュアンスで使われた言葉である。
1930年代のアメリカで、ウィル・ロジャースというコメディアンで反体制活動家が、政府を批判して「今の政府がやっていることは、下々はトリクルダウンをあてにしろと言っているようでけしからん」と言った。
そこで、トリクルダウンという言葉が初めて市民権を得て、広まっていったのである。

2016年3月18日金曜日

大和住銀投信投資顧問の「大和住銀日本小型株ファンド」は、日経新聞グループの格付け会社「格付投資情報センター(R&I)」が実施している「R&Iファンド大賞」の国内中小小型株式部門で、2012年から2015年にかけて2位、1位、1位、2て位と、いつも上位になっている。
このファンドは苦瓜達郎氏という驚異的なファンドマネジャーが圧倒的な調査量に基づく運用が強さの秘訣となっている。
会社訪問社数は年間300社を超え、おそらく日本一と言われている。
このファンドは残念ながら運用機関が2019年6月10日までとなっているが、運よぇ成績も人気も良好なので、運用期間が延長される可能性もある。
投資信託の成績を評価する指標として「シャープレシオ」が優れている。
シャープレシオは、「リターン÷リスク」で計算される指標で、高い数値ほど優秀と言える。
高いリスクで高リターンを上げている投資信託よりも、低リスクで中リターンを上げている投資信託の方が優れていると言える。
この指標の計算で使用されるリスクとは、リターンのばらつきから計算される。
介護ビジネスは、少子高齢化の流れの中で拡大し続けており、今後も間違いなく需要は拡大していく。
富士経済の予測によると、介護サービスの市場規模は2014年の1.1兆円に対して、2和不破念には2.1兆円まで拡大するとしている。
2025には団塊の世代が75歳の後期高齢者を超えることから、2020ルン以降も介護サービスの市場規模は一段と大きくなると考えられる。
しかし、この需要拡大の一方で、介護サービスの支払いは国から支払われる介護報酬で支えられており、介護報酬財源が減少する中、介護関連企業の多くは収益面で苦戦している。
日本の人口は2008年の1億2809万人をピークに減少しており、2015年4月には1億2691万人に減少しており、今後も減少は加速し、2030年には1億1662万人、2050年には9708万人になる見通しである。
経済にとって最も重要な生産年齢人口(15~64歳)は、2010年の8103万人から2030年には6773万人、2050年には5001万人へと劇的に減少してしまう。
三浦展氏の『日本の地価が3分の1になる!』では、人口動態と地価の関係が詳細に研究されている。
経済活動や地価の価格は現役世代負担率(生産年齢人口に対する高齢者人口の割合)によって大きく影響を受け、これが大きく上昇する日本では地価が2010年から2040年にかけて62%下落する可能性があると指摘されている。
ROEは8%を目指す必要がある。
理由は、世界の投資家の間では資本コストは平均して7%と考えられており、ROEがそれより1%高い8%ならば、世界の投資家の9割が納得できる水準と判断できるからである。
資本コストとは、株主から提供された資本に対して要求されるリターンで、銀行が融資をする際の金利に相当するものである。
投資家が期待するリターンのことを「資本コスト」と呼ぶのである。
7%というのは10年で2倍になるリターンだが、世界の主要株式市場の歴史多岐な平均リターンは7%であり、歴史的にもデータ的にも裏付けられる水準であり、株式投資の世界で同意されている水準である。
企業の収益性を測る重要な指標として「ROE」がある。
ROEは「純利益÷自己資本」という式で計算できる指標で、その会社が株主から預かった資本をどのくらい効率よく運用して純利益を生み出しているかを見る利回りである。
そして、長期的に見ると株主にもたらされる収益率はROEの水準へと収斂していく傾向が理論的にはもデータ的にも知られている。
欧州の主要企業のROEの平均は15%(中央値は6~8%)で、米国が24%(中央値は8%)であるのに対して、日本の主要企業の平均ROEは8%程度まで上がってきているが、まだかなり低い水準である。
原子力安全委員会の資料によると、ミリシーベルトとは、放射能の被ばくに伴う癌死亡者の割合を示す数字となっている。
1ミリシーベルトは、1万人が被ばくして、そのうち癌で死ぬ人が0.5人となっている。
つまり、がんで死ぬ人が1万人のうち1人以下になるので、基本的に1ミリシーベルトまでは許容されるという理解となっている。
福島県には、放射線量が年間50ミリシーベルトを超え、政府が立ち入りを禁止している「帰宅困難区域」があり、そこは当然、除染作業を行っていない。
除染実施地域でも、住民帰宅の目安とされている年間20ミリシーベルトを超える地域がまだ多くあるという。
2014年末に、年間20ミリシーベルト基準による避難解除が行われ、政府は住民の帰宅を進めているが、この判断は果たして正しいのだろうか。
2014年12月14日の総選挙で、安倍政権与党は衆議院475議席の68.4%にあたる圧倒的多数の325議席を獲得した。
ところが、比例代表選挙でみると安倍政権与党に投票した人は24.7%にしか過ぎない。自民党単独ではたった17.4%なのである。
比例代表の得票率を見ると、自公の与党勢力の得票率46.8%に対して、野党勢力の得票率は53.2%と、得票率では野党勢力が野党勢力を上回っている。
それにも関わらず、議席数では与党が68.4%、野党が31.6%だった。
このねじれを生み出しているのが「小選挙区制度の特徴」である。
4分の1の民意で圧倒的な権力が創出されてしまう理由には2つある。
1つは選挙投票率が著しく低下した事であり、2014年12月の総選挙では52.66%しかなく、有権者の半分しか選挙に行っていない。
そしてもう1つは、自公勢力に対峙する勢力が、分散してしまっているということである。