戦後のアメリカ軍の占領政策では『菊と刀』が原本だったが、沖縄に対する占領政策にもベースとなった本があった。
イエール大学の社会学者のグループが第二次世界大戦中の1944年に沖縄戦に備えてまとめたもので2つある。
1つは『民事ハンドブック(Civil affairs handbook)』で、沖縄の各島の地形から、資源、住民、売春事情、男女の関係、日本人に対する感覚、日本と沖縄の歴史の中で差別がどのようになっていたかという事を調査しており、『菊と刀』の1.5倍の分量があった。
もう1つは『琉球列島の沖縄人(The Okinawas of the Loo Choo islands : a Japanese minority group)』で、外国人が何人いるか、宗教がどうなっているか、詳細に調べられている。
そして、もっと露骨に、沖縄には構造化された徹底的な日本からの差別があり、これを活かして琉球人を味方につけて戦争を有利にするべきと書かれている。
ここは日本の南部の広域植民地で、17世紀からずっと植民政策が行われていて、その矛盾が一番集中しているので、この民衆は日本人から分断が可能と書かれている。
1944年に出版されており、占領政策はこれに基づいて進められ、分断政策は沖縄占領前からグランドデザインとして最初から描かれていた。
この2冊は、1995年と96年に刊行された『沖縄県史』の資料編の1巻と2巻、沖縄戦のところで、原文と翻訳が記載されている。