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2017年5月30日火曜日

給与所得者が「子ども・子育て拠出金」という税金を払わされている事を知っている国民はどれだけいるだろう。
この「子ども・子育て拠出金」というのは、元々は児童手当拠出金と言われていたが、2015年に「子ども・子育て支援法」という法律が施行され、この名称となった。
名称からいかにも「子育てのために必要なもの」という気がするが、内容は単なる税金で、日本全国の事業所で従業員に賃金を支払う場合に、その賃金の額に応じて従業員に子供がいようといまいと関係なく、事業所負担で拠出される。
事業所からみると、人を雇った時にかかる経費の一部であり、人件費として、給与から削られるので、実質的にサラリーマンが負担しているのと同じことになる。
しかし、形式的に事業者が負担することになるので、サラリーマンは自分がそういう費用を間接的に負担していることすら知らない。
「子ども・子育て拠出金」は、近年になって拠出率が急上昇している。
2012年3月以前に0.13%だったのが、2017年には0.23%と、わずか5年で2倍増になっている。
年収500万円の人は、年間1万円以上取られていることになる。
金融業界で働いている人は、積極的に投資信託を自身の資産形成に取り入れているという。
投資信託はインサイダー取引規制の対象となる「特定有価証券」に該当しないため、株式の売買に制約がある金融機関の社員でも取引しやすいためである。
米国のS&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズという「NYダウ」や「S&P500」を算出している有名な会社が、毎年、株式に投資する投資信託の運用成績を発表している。
2016年10月末のレポートに、アクティブ型の株式で運用する商品と株価指数を比較した部分があり、米国の場合、過去5年間でS&P500を上回ったアクティブ型株式の商品は、アクティブ型株式の商品全体の8.09%しかなかった。
つまり、米国においてはインデックス型の優位が益々強固になっている。
しかし、日本の株式市場の指数の一つである「S&P/TOPIX150」を上回っている日本株の株式で運用するアクティブ型の商品が、なんと43.43%もある。
さらに過去3年間では64.60%、過去1年間では78.41%と、指数を上回っているアクティブ型の比率は期間が転機かするにつれて上昇している。
日本においては、単純にインデックス型の商品が有利とは、言えない状況となっている。
現代の投資理論では、投資期間を長期化させても金融商品自体のリスクを減らすことはできない。
正確には、長くなればなるほど将来のリターンが大きくなる、という事と表裏一体の関係にある。
では、長期投資には意味がないのかというと、そうではない。
長期投資と積立投資を組み合わせることで、リスクとリターンを抑制できる。
つまり、長期投資でリスクを小さくできると述べる場合、「積立投資で長期投資をするとき」を付け加える必要がある。
投資信託の基準価額は日々変動する。
統計学的には、購入したファンドが値上がりするか値下がりするかは、いずれも50%の確率である。
つまり理屈では、売買のタイミングを研究してもしなくても、結果は変わらないことになる。
購入のタイミングは、早ければ早いほどよい。
理由は、購入が速ければ早いほど投資する期間が長くなり、長期投資が可能となるらである。
現在の主流の投資理論では、投資期間が長くなるほど将来のリターンが大きくなるとされている。
短期間では様々な原因によって、価格が上下するが、長期保有するほど、少なくとも最初の時点よりは価格が上がっている可能性が高まる。
インデックス型の多くの商品は「株式規模」の大きい銘柄、時価総額が大きい銘柄を中心に組入れられている。
しかし、時価総額が大きい銘柄が、必ずしも優良な企業とは限らない。
インデックス型は指数に連動する必要があるので、時価総額は大きいものの必ずしも優良とはいえない銘柄にも投資しなければならない。
インデックス型とアクティブ型を比較して、「インデックス型がベスト」というのは定説になっている。
その発端は1990年にノーベル経済学賞を受賞したハリー・マーコウィッツの「現代ポートフォリオ理論」で、投資においては分散投資が一番重要であり、保有する金融商品が十分に分散されたインデックス型の商品での運用が効率的であると述べられている。
この考え方が定説となり、「優れたアクティブ型の商品」がインデックス型の商品の陰に埋もれてしまうという事態になっている。
しかし、実際にはインデックス型の成績を大きく上回る、優秀なアクティブ型の商品が存在している。
新聞や雑誌の記事で「投資信託を100万円購入して毎年10%で運用すれば、複利効果で20年後に670万円になる」と紹介されている事がある。
もっともらしく聞こえるが、もそもそ「複利」とは投資信託に当てはまらない考え方である。
「複利」とは本来、投資で得られた収益を投資元本に加えて再投資して得られる利回りの事を指す。
元本が保証されており、あらかじめ利回りが決定しているという前提がある金融商品に適用される預貯金に適用される言葉である。
投資信託のように元本が保証されておらず、利回りも定まっていない金融商品に「複利」という概念を用いてはならない。
投資信託の価格を意味する基準価額は、様々な金融商品の価格を合成した数字なので、「割安」あるいは「割高」などの判断基準にはなりえない。
基準価額は、あくまでも運用の成果である純資産総額を、投資信託の保有者全体で割った結果にすぎない。
株価は買いが増えれば上昇するが、投資信託は買いが増えても、それに伴って口数も増えるので、基準価額は上がらない。
株価のように客観的に割安度を示す指標は投資信託には存在しない。
新聞や雑誌で、よく年代別にオススメの投資信託が紹介されている。
年代別に商品を推奨する記事の多くは「20代は投資期間を長くとれるので、大きなリスクを取れる」「60代は投資期間が短いので、リスクを小さくする」という投資期間の長さを判断基準にして商品を選んでいる。
しかし、現代の投資理論に従って厳密にいえば、「年代別のオススメ商品」は存在しない。
現代の投資理論では、「投資する期間」は金融商品の選択に大きな影響を及ぼさないとされている。
つまり、「投資する期間」によって、商品自体のリスクの大きさが変化することはない。
30代の人にとって「優れた商品」は、60代の人にとっても「優れた商品」になり、年齢によって「優れた商品」が異なることはない。
FXのスワップ金利は2営業日後が基準になっている。
月曜なら水曜の受け渡しを前提としてスワップ金利が計算される。
土日はFX会社が休みなので、木曜の2営業日後は月曜になる。
つまり、木曜には土曜、日曜、月曜の3日文のスワップ金利が付与される。
木曜の朝にポジションを持っていると、通常の3倍のスワップ金利になる。
よって、水曜の深夜から木曜の朝に向けて、3倍のスワップ金利を目当てに、金利の高い通貨が買われやすい傾向が出てくる。
バンガード本部は、90万平米(東京ドーム19個分)という広大な敷地に芝生が生い茂り、野生の鹿の姿も見られる場所にある。
バンガード本社は12ヶ所の建物は、いずれも英国艦船の名称が冠せられている。
従業員は乗組員を意味する「クルー」と呼ばれ、館内にはネルソン艦隊の戦艦の模型や海戦図などが、あちこちに掲げられているという。
1976年、バンガードは世界初の個人投資家向けインデックスファンド「ファースト・インデックス・インベストメント・トラスト(現バンガード500インデックス・ファンド」)を世に送り出した。
スタンダード&プアーズ(S&P)500指数を構成する全ての銘柄を時価総額加重で組入れ、指数と連動したリターンを目指すという設計だった。
分かり易く説明すれば、個別株を選ぶから、多くの投資家は失敗する。個別株の先を読む事はプロでも難しい。
それならば、「選ばない投資」、すなわち「全部買う」「指数を再現する」という新しい発想の運用法である。
全部買うがこそ、手数料を低く抑えられる仕組みである。
インデックスファンドは当初、市場では「ボーグルの愚行」と笑われたという。
さらにボーグルは、1977年2月の時点で「ノーロード」、つまり販売手数料が無料の販売システムの導入にも踏み切る。
バンガードのマーケティング戦略のモットーは「If you build it, he will come.」(それを作れば、彼はやって来る)だという。
時間はかかったが、投資家は確かにやってきた。
バンガードの創業者ジョン・C・ボーグルは、「ファンド自身によるファンドの統治」という極めて稀な会社の統治構造を作りだした。
会社の所有者を外部につくるからこそ、投資家ではなく所有者の利益を優先せざるを得なくなる。
結果的に顧客本位の経営を歪ませる利益相反を生んでしまう。
それならば、所有者と顧客を同質化させれば究極の顧客本位が成し遂げられると考え、この理念だけで本当に会社を作ってしまった。
パンガードは、実費以上に受け取った経費を投資家に還元し、経費率を引き下げるという前例のないビジネスモデルを考案してしまった。
株式会社ではあるが、外部株主は存在しない。
株主はバンガードの米国籍の各ファンドで、その運用残高に応じてバンガードの株式を所有し、ファンドごとの運営委員会が議決権を行使する仕組みである。
株主への配当もなく、余計な利害関係者が介在しないため、諸経費が発生せず、顧客への利益還元は益々高まることになる。
ちなみにこのビジネスモデルの仕組みのパテント(特許)も取っていない。
米ペンシルベニア州フィラデルフィア郊外の緑豊かな田舎町に、世界で初めて個人投資家向けのインデックス等親を開発し、インデックス投信のシェアで世界最大を誇るバンガードがある。
社名は英国のホレーショ・ネルソン提督が率いるイギリス艦隊の旗艦「Vanguard」に由来する。
2017年1月末時点で、バンガードの運用資産は4兆ドル。
投資調査会社モーニングスターによると、2016年12月末のバンガードを除く米国籍投信全体の平均経費率は0.62%なのに対して、バンガードは0.12%と圧倒的な経費率の低さを実現している。
米国の家計金融資産残高は1985年の10.89兆ドルから2015年に70.33兆ドルへと6.5倍に増大している。
ちなみに同時期の日本は、572兆円から1741兆円へと3倍の増加となっている。
米国の家計金融資産の伸び率を上回る急成長を遂げ、金融資産全体の増加を牽引したのが確定拠出年金制度(DC)の金融資産である。
個人型のIRA、職域型の401Kなどを合わせた総資産残高は、1985年の0.74兆ドルから14兆ドル超へと19倍も伸びている。
このうち半分の7兆ドル超が投信残高となる。
米国の投信残高は2016年9月末で18兆ドルを超え、投信資産だけで日本の家計金融資産とほぼ同額である。
ピーター・ドラッカーは1976年に著書『見えざる革命』の中で、米国の年金基金が全産業の株式の3分の1以上を所有すねようになった実態を捉えて、労働者が年金基金を通じて、実質的に米国企業の所有者になったという極めてユニークな見解を示した。
ドラッカーは、企業の支配者がいつの間にか、「資本家」から「労働者」になってしまったという。
ドラッカーが唱えた「見えざる革命」のドアを開けたのは、こともあろうか巨大自動車メーカーGMのチャールズ・ウィルソン会長だった。
ウィルソンは従業員向けの年金基金の創設を提唱した。
「大規模な年金は、米国経済そのもの、すなわた米国の生産と成長の能力に投資しなければならない」と信念を持っていた。
さらにウィルソンは、投資の何たるかを見抜いており、GM年金基金には決してGMの自社株を買わせなかった。
分散投資の大原則を理解していた思われる。
投資信託協会の調べによると、世界の投信残高は2016年6月末には40兆ドル規模に達している。
世界の投信残高は1985年から30年間で実に28倍にも膨れ上がったという。
中でも米国の投信残高は、18兆1300億ドルと世界の約半分を占め、1940年の投資会社法制定からの74年間で3万4600倍に達した。
一方で日本の投信残高は2016年6月末時点で1兆4750億ドルにようやく達した。
米国に次ぐのはルクセンブルク3兆8430億ドル、アイルランド2兆1280億ドル、ドイツ1兆9160億ドル、フランス1兆8660億ドル、オーストラリア1兆5970億ドル、英国1兆4910億ドル、そして日本、中国1兆1540億ドル、ブラジル9840億ドルと続く。
日本は1700兆円の個人金融資産を誇るが、資産運用先進国とはとても言えないレベルである。
投資信託には資産運用会社と信託銀行が信託契約を結び、信託された財産を運用して、その受益権を投資家が取得する「契約型」と、投資法人をつくり、その会社が発行する投資証券を投資家が取得する「会社型」がある。
日本か契約型が主流で、英国を参考に輸入したことに由来する。
一方、米国では会社型が主流である。
運用方針などに唐しかが積極的にかかわることができるガバナンスを重視する歴史的な経緯があるからである。
大恐慌前は、解約できないが市場で売買できるクローズド型が人気だったが、大恐慌で信頼は失墜し、いつでも解約できるオープンエンド型の会社型投信「ミューチャルファンド」が広がった。
日本でも1998年の法改正で会社型が解禁されたが、不動産投信信託(REIT)にしか活用されず、株式投信には広がらなかった。