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2016年7月28日木曜日

安保法案は11件の法律をまとめて提出されたが、それら個々には顔が無く、「架空の戦争」に備えた「架空の準備」の法律だった。
安保法制に出てきている個別のメニューには、今までやれなかった事がやれるようになるというだけで、その意味では議論として目新しいものは、実は殆どない。
カルヴァン派が理解できれば、アメリカという国がもっと見えてくる。
キリスト教は、16世紀のヨーロッパでの宗教改革によって、それまでのローマ・カトリックとは別にプロテスタントが生まれた。
カトリックでは日常生活で罪を犯すと、神父に懺悔することで、その罪が許されるとされている。
この発想を発展させ、ローマ法王レオ10世は、サン=ピエトロ大聖堂の新就く資金調達のために贖宥状(免罪符)を売り出し、教会に寄付をすれば、その功績により過去の罪がゆるされ、天国へ行けるとした。
これに対してもドイツのマルティン・ルターは、法王の方針を厳しく批判し、キリスト教の改革運動を始め、フランスのジャン・カルヴァンも独自の改革を進め、こうした改革運動がヨーロッパに広がり、イギリスにも伝わることとなる。
彼らは従来の権力に抗議する人(プロテスタント)と呼ばれ、やがて彼らプロテスタントが北アメリカに渡り、アメリカを建国するのである。
宗教改革の中で、カルヴァンの教えは「予定説」と呼ばれ、「神は全能であり個々の人間が救われるか救われないかも、あらかじめ決まっている」というものである。
カトリックでは善行を積めば死後に天国へ行けるとされるが、あらかじめ決まっているとなれば、信者たちは不安になり、そこで何とか天国に行ける「救いの確証」を自分自信で作ろうと努力するようになる。
全てを神が決めるなら、職業も神が与えたはずと考え、仕事に全力を尽くせば、自分は神から選ばれた「救われる人間」に選ばれている証だと考えるのである。
労働こそが救済の手段と考え、カルヴァン派の人々は怠惰な生活を戒め、仕事に全力を尽くすのである。
その結果、お金が貯まり、資本が蓄積され、資本主義が生まれるのである。
EUには、シェンゲン協定というのがあり、この協定を結んでいる国同士はパスポート検査などの国境管理を辞めるという取り決めである。
現在26カ国が締結しているが、EUに加盟していてもシェンゲン協定に入っていない国もあれば、EUに加盟していなのにシェンゲン協定を結んでいる国もある。
永世中立国のスイスは、EUにもユーロにも入っていないのに、シェンゲン協定には加わっており、周辺国との行き来が自由になっている。
2015年11月13日に起こったフランス同時多発テロ事件後に分かった事は、今回の容疑者の多くはフランス国籍で、シスラム国で作戦が立案され、実際の犯行計画はベルギーで練られ、武器もベルギーで調達し、フランスで実行されたという事である。
ベルギーはフランスとドイツの緩衝地帯としてあるような国で、ベルギー語というものはなく、北部はオランダ語、南部はフランス語、東部の一部はドイツ語が公用語となっている。
ヨーロッパの真ん中にあり、複数の公用語があるので、「ベルギーこそヨーロッパの縮図」と言われ、首都ブリュッセルにはEUの本部がある。
それぞれの言語ごとに連邦警察と地方警察があり、フランス語を話す警察官とオランダ語を話す警察官とでは、意思の疎通ができず情報共有ができないという。
EUにはシェンゲン協定があり、協定を結んでいる国同士は国境線を意識せずに往来が自由になっている。
ベルギーとフランスはシェンゲン協定で行き来が銃で、南部はフランス語圏なのでフランス国内を移動しているようなものであるにも関わらず、フランスで事件を起こした容疑者がベルギーに逃げ込めば、フランスの警察は捜査ができなくなる。
よって現在、ベルギーがヨーロッパのイスラム過激主義者たちが多く集まる拠点的存在となっている。
「ひとつのヨーロッパ」の理想が、思わぬ形で裏目にでてしまっているのである。
移民大国のフランスの統計機関による移民の定義は「外国で生まれ、生まれたときにフランス国籍を持っていなかった人」となっている。
フランスは、ヨーロッパ各国、旧植民地の北アフリカから移民を受け入れて発展してきた国である。
2008年の調査では、フランスに居住している移民の数は534万人で、人口の8.4%だった。
この数字には移民の二世、三世は含まれない。
このうちフランス国籍を取っているのは217万人で、残り317万人はフランス国籍を取得しないまま滞在していることになる。
さらに不法滞在している外国人が数十万人いると言われている。
フランスの移民政策は徹底的な同化政策であり、「フランスに移民してくるなら、よきフランス人になりなさい」と強制し、政教分離も徹底している。
フランスでは公立学校に宗教のシンボルの持ち込みが禁止されている。
一世は自分の意思でフランスに来たのだから、よきフランス人になろうとするが、二世、三世になると自分はフランスで生まれ、最初からフランス人だと思っているので、それなのにキリスト教社会で差別を受ける。
移民の中には就職できない人も多く、移民の失業率は16%にも上り、移民の二世、三世は自分のアイデンティティ、存在価値を悩む中で、イスラムへ回帰し、シリアへ向かう若者が出で来るのである。
今、フランスで起こってるのは、国内で生まれ育った若者がテロをする「ホームグロウン・テロリズム」である。
フランスの同化政策が「ホームグロウン・テロリズム」を生み出している。
ヨーロッパ諸国の植民地支配のやり方は、少数派を使って多数派を支配させ、自分達への反発が起きない仕組みを取った。
例えばフランスがインドシナを統治した際には、ベトナム人を使ってカンボジアを統治させた。
その結果、カンボジア人の植民地支配への怒りは、フランス人に向かわずにベトナム人に向かった。
その後のカンボジア内戦にベトナムが入り泥沼になるが、カンボジア人のベトナム人嫌いは現在も変わらない。
フランスは同様に、シリアの統治には、少数派のアラウィ派を重用し、多くのスンニ派住民を支配させた。
その結果、フランスが引き上げた後も、スンニ派が多数の国であるシリアを、少数派のアラウィ派のアサド家が支配する構造が残った。
ベルギーはルワンダを植民地支配した際に、少数派のツチ族を使って多数派のフツ族を統治させた。
その結果、ルワンダが独立した後、ツチ族とフツ族が対立し内戦となり、フツ族によるツチ族の大量虐殺が起こる。
ヨーロッパ諸国の植民地統治によって、それぞれの植民地に負の遺産である民族対立が残り、今、ヨーロッパ諸国はその過去の植民地支配に対する報復をテロという形で受けているのである。
サウジアラビアとは「サウド家のアラビア」という意味であり、国家という概念とは少し違い、サイド家が支配しているアラビアの敷地の中に国民を住まわせて養っているという発想である。
サウジアラビアは一夫多妻制の国で、初代国王に大勢の子供がいた。妻を4人まで持てるが、好きな女性ができると、4人の中から誰かと離婚し、別の女性と結婚して常に4人の上限をキープすれば良いのである。
延べにすると大変な数の女性と結婚し、たくさんの子供をもうけた結果、初代国王には王位継承権がある男子だけでも60数人いると言われている。
その60人がまた大勢の子供達をもうけており、サウジアラビアには国王の王位継承権を持っている王子が数千人いると言われている。
イランは国民が選挙で大統領を選ぶが、大統領の上に最高指導者が君臨している。
最高指導者はイスラム法学者が選出し、大統領も頭が上がらない。
最高指導者のアリー・ハメネイ師は黒いターバンを巻いており、ハサン・ロハウニ大統領は白いターバンを巻いている。
シーア派の世界で、黒いターバンを巻いているのは「ムハンマドやアリーの血筋を引いている者」を意味し、エリートなのである。
白いターバンを巻いている人は、エリートの血筋ではないが、一生懸命勉強することでイスラム法学者になれた人である。
つまり、白いターバンより黒いターバンを巻いた人の方が、位が高いのである。
ところが一方で、黒いターバンを巻いている人はムハンマドやアリーの血筋を引いており、アラブ人の血筋で最高指導者はアラブの血筋となる。
イランはペルシャ人の国だから、黒いターバンを巻いている人は新信仰上は尊敬されるが、白いターバンを巻いている人の方が、同じペルシャの血を引くイラン人として親近感が持てるのである。
イランは徴兵制の国で、国軍の兵士は一般庶民である。
国民の生活が困窮すれば、兵士は庶民の見方をするため、これによってイラン革命が成立したのである。
政権を取ったホメイニ師は、今度はいつイラン軍が自分達を裏切るか不安になり、イラン軍がクーデターを起こそうとしたら、それを叩き潰すために「イラン革命防衛隊」を創設した。
彼らは徹底的にシーア派の原理主義教育を受け、最高指導者のために命を投げ出すという強い思想を持ち、この部隊が国軍を監視する仕組みになっている。
革命防衛隊が最新の兵器を使い、非常に強い力を持っている。
この革命防衛隊の中には、海外で活動をするための特殊部隊「アルクッズ部隊」があり、彼らがあくまでもボランティアの「シーア派民兵」としてイラクとシリアに派遣され、イスラム国と戦っている。
イスラム国が支配している面積はイギリスほどの広さがあり、800万人とも1000万人とも言われる一般住民も暮らしている。
イスラム国は、これらの住民から行政のプロである元バース党の役人が、税金も徴収している。
テロ組織とされるが、これまでの過激派テロ組織とは決定的に違うのである。
イスラム国の支配地域には、キリスト教徒やユダヤ教徒も存在するが、イスラム教のコーランには「ユダヤ教もキリスト教も同じ教典の民」という言い方があるため、宗教はそのままでよいと認められている。
しかし、イスラム教のシーア派は認めていない。
彼らにとってシーア派は「イスラム教を捨てた背教者」であり、イスラム教をやめるということは神を捨てるということで、死刑に値するのである。
イスラム国を作ったのはアメリカである。
アメリカは2001年に発生した「9.11同時多発テロ」に対して、ジョージ・W・ブッシュは「テロとの戦い」と言い出し、オサマ・ビンラディンをかくまうアフガニスタンのタリバン政権を攻撃し、崩壊させた。
次にイラクのサダム・フセイン政権は大量破壊兵器を隠し持っていると言い出し、2003年3月にイラクを攻撃し崩壊させたが、イラクには大量破壊兵器は存在しなかった。
イラクのフセイン政権は「バース党」の一党独裁だった。
「バース」とは「復興」という意味で、正式には「アラブ社会主義復興党」であり、イラクはアラブに社会主義を衣目養というソ連寄りの政権だったのである。
イラクはバース党員にならなければ出世できない国だった。
地方も国も公務員、警察官、医者、教員、軍隊の将校も全てバース党員だったのである。
アメリカがフセイン政権を支えていたこのバース党員を全員、公職追放したため、役人が誰も出勤せず、一夜にしてイラクの統治機構は崩壊したのである。
フセインはスンニ派だったので、バース党員の多くがスンニ派であり、バース党員だった兵士達はいきなり解雇され、頭にきて武器や弾薬を盗んで逃走し、イスラム国の種がまかれるのである。
北朝鮮の金正恩は、自分の命令に従わない者を情け容赦なく処刑している。
叔父の張成沢の処刑には、高射砲を使用したという。
処刑する場所に立たせ、飛行機を墜落させる時に使用する高射砲を水平に発射し、身体をバラバラにしたというのである。
この残虐な処刑を政府高官らに見せ、誰も彼に逆らえなくなっている。
サウジアラビアは、イスラム教の中でも特に教えが厳格な「ワッハーブ派」で、広い意味では「スンニ派」に属する。
神様が人間に与えた「コーラン」が憲法であり、法律など人間が勝手に決めてはいけない、という考え方をする。
金曜日には、広場で公開処刑が行われ、イスラム国と同じ思想を持っている。
隣国のイエメンで、暫定政権と反政府勢力が内戦状態となっている。暫定政権はスンニ派、反政府勢力はシーア派の中の「フーシ派」であり、サウジアラビアはスンニ派の暫定政権の支援のため軍隊へ派遣している。
それに対して、反政府勢力のフーシ派にはイランが軍事支援している。
つまり、イエメンでは、サウジアラビアとイランの代理戦争が既に始まっているのである。
戦費がかさみ、サウジアラビアの2016年予算は10.5兆円の赤字となっている。
スンニ派の大国であるサウジアラビアと、シーア派の大国であるイランの国交断絶により、第5次中東戦争に発展する可能性が出てきている。
ちなみに、サウジアラビアはアラブ人、イランはペルシャ人の国である。
イラン人にすると「自分達はアラブよりずっと古い歴史を持っている。古代ペルシャ帝国はローマ帝国よりも先に世界を支配した。サウジアラビアなどは、砂漠の遊牧民でしかない」と考えている。
一方、サウジアラビアで、ムハンマドがイスラム教を始め、ムハンマドの生誕の地でありカーバ神殿がある「メッカ」と、ムハンマドの墓がある「メディナ」というイスラム教の二大聖地が存在する。
だからサウジアラビア人は「自分達こそがイスラム教の聖地を持つアラブの盟主だ」と考えている。
結局、ペルシャ人はイスラム人に負け、自分達の宗教を捨てて、イスラム教の国になったが、その時にイランはイスラム教の多数派「スンニ派」ではなく、少数派の「シーア派」に付き、これが対立の火種となる。
アラブ人は、歴史的にペルシャ人が広大な範囲を支配していた事を知っているので、ペルシャ人への恐怖心がある。
ちなみに、「市場」のことを何と呼ぶかで、昔ペルシャ帝国の文化圏だったかどうかが分かる。
アラブの国では、市場のことを「スーク」と呼ぶ。
ペルシャ語で市場は「バザール」であり、バザールと呼ぶ国は、かつてペルシャの支配下にあった事が分かる。
ドイツに大量の難民が押し寄せ、2014年に20万人、2015年だけで100万人超の難民を受け入れている。
2015年に多数のアラブ人がヨーロッパに押し寄せた。
シリア難民でけではなく、中央アジアのアフガニスタンやパキスタン、北アフリカのエリトリア、ナイジェリア、ソマリア、チュニジア、リビアからの流入しており、「21世紀の民族大移動」と呼んでもよい規模感となっており、2000年単位での民族の大移動が起きている。
世界史的には、かつてゲルマン民族の大移動があった。
4世紀に中央アジア方面にいてフン族が、ゴート族を押し出し、それによってゲルマン民族の大移動が起き、ローマ帝国領内に流入しもこれにより西ローマ帝国は476年に滅亡した。
このゲルマン民族が、今のヨーロッパの基礎を築いたのである。
アーリア人の大移動もあった、
中央アジアにいたアーリア人が南下する中で、一部が現在のイランあたりに住み着く。
イランとは「アーリア人の国」という意味であり、アラブ人とは民族が異なる。
先進国においては、金利の長期的低迷は必然である。
高度成長経済が続いた後に、同じことをそのままずっとやって、100年も経つと利益率はどんどん低減していく事を「利潤率逓減の法則」と言うが、先進国では殆ど利益が出なくなってしまう。
日本では100億円投資して、1年後に102億円(利益率2%)しかならないような業界が多くある。
だから、従業員の賃金カットでしか利益率を上げることができないのである。
そして、多くの先進国では賃金が下がり続け、経済全体が激しいデフレのまま、無理やり「期待インフレ率」という「物価上昇率が2%まで上がればよい」などという奇想天外な政策が流行っている。
ゴールドマン・サックス証券は、2015年8月に日本の防衛関連売上高の大きい20銘柄で構成する「日本防衛関連銘柄バスケット指数」を作成、投資家に向け保有を推奨している。
同指数には三菱重工業や川崎重工業、IHI、新明和工業、三菱電機、NEC、日本航空電子工業など既に市場で知られる代表的企業のほか、航空機器メーカーの島津製作所、宇宙・衛星事業を手掛けるスカパーJSATホールディングスなどが含まれる。
防衛省は、戦闘機など大型の防衛品は米国から調達しているが、艦船、システム、弾薬は日本企業からの調達という構図になっている。
コンピュータを使用した超高速取引であるロボット・トレーディングを「HFT(High Frequency Trading)」といい、今や100万分の1秒で取引を繰り返す事が可能である。
このHFTが株式市場だけでなく、国債市場にも入ってきている。
新発債券の売買は相対取引が基本なので、取引市場という意味での「債券市場」は既発債の売買が中心となる。
こうした特性から、債券市場ではシステム・トレーディングが株式市場に比べてこれまで未発達だった。
その結果、米国債が数分の間に40ベーシスポイントも動く変動を記録する事態が起こっている。
40ベーシスポイントとは0.4%で、このゼロ金利状態において0.4%の値動きとは、乱高下どころか、ハイ・ボラティリティである。
1日に40ベーシスポイントの値動きとは、正規分布を想定すると「30億年に1回の頻度でしか起こり得ない比率」となる。
しかし、この30億年に1回が現実に起こるようになっている。
ちなみに、為替市場では、全世界で1日に5兆ドルが取引されているが、そのうち60%がHFT取引となっている。