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2015年5月24日日曜日

韓国経済が1997年に破綻した時に、ハイパーインフレに襲われた。
その時に、まず株価と地価が暴落し、企業の約半分が倒産した。
住宅ローンの金利は30%に跳ね上がり、変動金利でローンを借りていた多くの人が家を手放さざるを得なかった。
この時、預金は全額保護され、30%の金利が付いた。
結果的に、最小の被害で済んだのは、預金をしている人達だった。
確定拠出年金と個人年金を比較した場合、節税効果は確定拠出年金の方が高い。
確定拠出年金の個人型の場合、掛金の全額が所得控除でるが、個人年金の場合は全額を控除できない。
個人年金で所得控除できるのは、支払った金額が「8万円超なら一律4万円」、住民税は「5.6万円超なら一律2.8万円」と、上限が設定されている。
これがどの程度の差を生むか、課税所得300万円(所得税率10%、住民税10%)の場合、下記の通りとなる。
〇個人年金の保険料を月1万円支払う場合
 控除額は所得税が4万円、住民税が2.8万円。
 節税額は所得税4000円(4万円×10%)、住民税2800円(2.8万円×10%)となり、
 合計6800円となる。
 保険料を倍額の月2万円にしても節税額は変わらず6800円である。
 つまり、所得控除額に上限があるので、保険料を増やしても節税効果は比例して増加する訳ではないのである。
〇個人型の確定拠出年金の掛け金を就き2万円支払う場合
 所得控除額は、所得税、住民税ともに全額の24万円となる。
 節税額は所得税2.4万円(24万円×10%)、住民税2.4万円(24万円×10%)となり、
 合計4.8万円となる。
つまり、毎月2万円の支払の場合、節税効果を比較すると個人年金は年6800円、個人型拠出年金は4.8万円となり、大きな差が出るのである。
掛金を長期間に渡って支払うと、差は更に広がることになる。
確定拠出年金に加入すると「支払う時」「運用中」「受け取る時」の3つのステージで大きな節税メリットがある。
個人型に加入した場合、「支払う時」は毎月の掛け金が全額所得控除される。
例えば所得税率5%の人(住民税は一律10%)が、毎月1万円の掛け金(年間12万円)を払うと、節税がくは1.8万円(1万円×15%)となる。
年に12万円を積み立てて、1.8万円の節税ということは、12万円を15%の利回りで運用した事と同じ事になる。
「運用時」は、収益の全てに対して税金がかからない。
通常は譲渡益の20%が課税されるが、確定拠出年金の商品にはそれが無い。
「受け取る時」は、企業型・個人型ともに60歳になると、それまで積み立てた資金を引き出せるが、3通りの受け取り方を選べる。
1.一時金で一度に受け取る
2.年金として何年かに渡って受け取る
3.一部を一時金で、残りを年金で受け取る
1の一時金で受け取る場合には、「退職所得控除」が使え、「勤続年数」を「掛金を払っていた機関」に読み替えて課税額が決まるのと、他の所得と一緒に計算しない「分離課税」となるので、節税効果が大きい。
2の年金として受け取る場合は、「公的年金控除」が適用されるため、税金が減額される。
なお、年金は雑所得扱いとなり、他の所得と合算して税金額が計算される。
仮に大卒の22歳から60歳まで38年間、毎月1万円の積立てを続け、その間に年利3%の安全性重視で運用したとして、運用益への非課税と複利のダブル効果で60歳時点で849万円の資産ができる。
年金受給開始を1年繰り下げる毎に8.4%増の年金額になる。
これが、「元本保証の年8.4%の高利回り金融商品」と呼ばれる理由である。
5年遅らせて70歳から受給すると42%増の年金がもらえる。
しかしこの場合、81歳まで生きて年金をもらわないと、65歳から年金支給を受けた人の年金受給総額を下回る事になる。
つまり、70歳まで繰り下げた場合、81歳が損益分岐点となる。
長生きするつもりはあっても、元を取れる自信が無いので、60歳から繰上げ受給している人が4割に対して、繰り下げ受給の人は1%しかいない。
1950年当時の厚生年金の支給開始年齢は55歳で、当時の平均寿命は男性58歳、女性61歳だった。
つまり、多くの年金受給者は、退職後3年以内に死亡していたのである。
年金制度の崩壊を防ぐ決定打は、年金支給開始年齢を平均寿命の80歳に引き上げる事である。
そうすれば正真正銘の「年金100年安心プラン」が実現する。
厚生年金保険料は月単位で納付し、日割り計算はしない。
例えば入社日が月末31日であっても、その月の保険料は給与から天引きれていしまう。
これは一見、損をしたように思えるが、たった1日でも厚生年金の加入期間は1ヶ月にカウントされるので、実は得になるのである。
日割り計算をしないのは、年金も同じで、月単位で支給されるので、1日に死亡しても31日に死亡しても1ヶ月分が支給される。
例えば1月31日の夜から死線をさまよい、午前0時を数分回って永眠した場合、1月分と2月分が支給される。
以前は年金は物価・賃金の上昇率に応じて年金額も同率でアップしていたので、インフレに対して目減りはしなかった。
しかし2004年に年金制度が変わり、「マクロ経済スライド」が導入された。
この制度は、年金給付を賃金・物価の伸びより低く抑えるための制度で、これによりインフレに弱い年金制度に変わった。
年金は物価上昇率から「0.9%」を差し引いた分しか上がらなくなった。
0.9%とは、現役世代の減少や平均余命の伸び率から算出された数字である。
この年金自動カット率は、2025年までは0.9%と決まっており、既に受給している場合も適用される。
この制度は、物価や賃金の下落時には実施しないルールになっているので、デフレ経済が続いた2014年度までは、一度も適用されなかった。
しかし、アベノミクスで物価が上昇し始めて、2015年4月から始動している。
厚労省は物価や賃金の上昇から年金額の伸び率を2.3%増とし、ここから0.9%と、過去の物価下落時に年金額を下げなかった「払い過ぎ」の解消分として0.5%をそれぞれ差し引いて、増額率を0.9%に抑えた。
年金は16年ぶりに増額されるが、物価上昇率に及ばないため、年金の実質価値は目減りすることになる。
ちなみに2014年度も「払い過ぎ」の特例措置が適用されており、公的年金は0.7%減額されていた。
2013年秋に阪急阪神ホテルズの偽装メニュー発覚を機に、祝品偽装問題が広がった。
ここまで広範囲に表示の偽装が通ってきたのは、この問題を所管する役所と法律に問題があるからである。
日本の食品の安全については、JAS法と景品表示法で定められている。
夫々の法律を運用・執行するのは、JAS法が農林水産省で、景品表示法は内閣府の消費者庁である。
JAS法は、一般消費者向けの全ての飲食料品が対象で、名称、原材料、原産地、賞味期限等の表示を義務付けている他、この法律が遵守されているかどうかを、農水省の「食品表示Gメン」が全国の小売店を調査して監視している。
このGメンは定員ベースで2000人いて、日夜、目を光らせている。
一方、景品表示法は全ての商品、サービスを対象とする法律で、外食産業のメニュー表示も含まれる。
表示方法について具体的な規定は無いが、実際より著しく優良であるとする「優良誤認表示」を禁止している。
消費者庁と公正取引委員会への情報提供に基づいて調査が開始される仕組みになっているが、消費者庁全体でも職員は425人(常勤262人、非常勤163人)しかいない。
この職員数で、景品表示法の他に、消費者安全法、特定商品取引法なども担当しており、全国の外食店舗を監視する事はできず、内部告発に頼っているため、実態はなかなか掴めていない。
逆に、今回の偽装問題が外食産業に偏っていて、食材そのそものの販売に及んでいないのは、食品Gメンが小売店舗を常時監視し、取締りを実施しているからである。