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2017年12月17日日曜日

消費者物価指数は為替に大きな影響を受ける。
円安ドル高になるほど、消費者物価指数は上がり、円高ドル安にやれば下がるという相関関係がある。
分かり易い例が、バブル期の消費者物価指数の推移で、あれほど景気が良く狂乱経済とまで言われた1986~1988年の消費者物価指数の上昇率は毎年0.5%と低くとどまっていた。
その理由こそが円高ドル安で、当時の為替相場は1984年末の1ドル=252円から急騰し、1987年には1ドル=122円まで円高ドル安が進んでいた。
ところが、1989年末になると、1ドル=143円と円安ドル高に振れ、消費者物価指数は年間3.0%へと上昇した。
ちなみに2016年11月にBOEは英国物価上昇率を2.0%から2.7%へ引き上げた。
BOEが示した理由は「EU離脱によるポンド安のせい」と示した。
BOEは自国通貨安が消費者物価指数を引き上げるという相関関係があることを理解している。
シムズ理論の「予算制約式」とは、次のような式で表される。
名目借金残高÷物価上昇率=将来にわたって起きる「通貨発行益+基礎的財政収支(PB)黒字」の合計
つまり、「現在ある借金は、将来の通貨発行益とプライマリーバランスの黒字で返済されなければならない」という予算制約式を前提とした議論なのである。
基礎的財政収支(プライマリーバランス)とは、国・地方の財政状況を示す指標の一つで、税収など本来の「収入」と政策実行にかかる「支出」を比べてプラスかマイナスかを表してものである。
左辺の分子である名目借金残高は、現在1071兆円と確定値である。
左辺を小さくするには、分子が1071兆円と決まっているので、分母を大きくする必要があるので、物価が上昇すれば左辺は小さくなる。
つまり、公共投資などの財政出動によってプライマリーバランスの黒字を小さくして右辺を小さくすれば、左辺の分母である物価を字幼少させる事が出来る、というのがシムズ理論である。
インフレが加速し始めると、日本銀行はインフレを抑えるために日銀の当座預金への「付利金利」を引き上げるしか手が無い。
付利金利を挙げれば上げるほど、通貨発行損が大きくなる。
通貨発行益の赤字幅が大きくなっても、右辺は小さくなるので、左辺の分母である物価もどんどん上昇することになる。
日銀がインフレを抑えようと付利金利を挙げるほど、物価の上昇は加速することになる。
シムズ理論によると、「日銀にはもうインフレを抑える手段はない」と宣言しているようなものである。
中央銀行のバランスシートの縮小には、大きく2つの方法がある。
1つは保有している国債を売却する「売りオペ」を行う。
もう1つは、保有国債の満期が来ても新しい国債を購入せず、バランスシートを縮小させていく「満期待ち」という方法である。
FRBがバランスシートの縮小の方法としてまず採用すると明言しているのは「満期待ち」の方である。
国債に関してはFRBは全体の10%しか購入していないが、それでも大口の買い手となっている。
その買い手が「国債を売却していく」と表明すると市場に衝撃が走るので、「満期待ち」という穏健な方法を選択せざるを得ないのである。
アメリカ国債の発行額とFRBの取得額
      米国債発行額     FRBの国債取得額
2013年   21,400億ドル     5,680億ドル
2014年   22,150億ドル     2,530億ドル
2015年   21,220億ドル       40億ドル
2016年   21,690億ドル     2,040億ドル
世界中の先進国では「財政ファイナンス」は禁止されている。
日本でも財政法第5条で禁止されている。
現在行われている「異次元の質的・量的金融緩和」でやっている事は、一度、入札で民間金融機関が購入した国債を、日本銀行が買い取っているので、厳密には財政ファイナンスや中央銀行による国債引き受けではないが、実質的には財政ファイナンスでしかない。
2016年3月から5月までの3ヶ月間で、7兆2000億円発行された第342回10年国債は2017年7月10日現在で日銀が6兆9759円と、97%も保有している。
2016年6月から8月に発行された343回債も、同じく7兆2000億円だったが、そのうち日銀は6兆8571億円と95%を保有している。
2016年9月から11月に発行された344回債も、同じく7兆2000億円だったが、そのうち日銀は5兆7970億円と81%を保有している。
1985年から2015年にかけての30年間で、日本のGDPは1.5倍にしか増えていない。
ちなみに他国は、アメリカは4.1倍、イギリスは4.9倍、韓国は17.8倍、オーストラリアは7.4倍、シンガポールは9.8倍、中国は75倍も名目GDPを伸ばしている。
中国が日本の名目GDPを超え、「日本の名目GDPは世界で3番目に落ちた」と大騒ぎなったのは2010年で、そこからの7年間で、中国の名目GDPは日本の2.5倍にもなっている。
中立組織の米議会予算局(CBO)は、2017年3月末に米政府の債務の長期見通しを発表した。
その中で、米国政府債務は今後30年で倍増し、GDP比に対する債務比率も2017年の77%から30年後には150%に膨らむ、と試算している。
政務債務が膨らむのは高齢者向けの社会保障費が増大するためで、国家の重大な危機が生じると警告を鳴らしている。
日本の借金はすでにGDP比232%に達しており、米国で30年後に来る大きな危機に、現時点でさらされている。
投資信託の純資産総額とは、投資信託に組入れられている株式や債券の時価を合計したもので、この数字が大きい投資信託ほど人気が高く、多くの資金が集まっていることになる。
また、多くの投資信託は純資産総額が30億円を下回ると、繰上償還条項によって、前もって決まっている償還期限の前でも、強制的に償還措置が取られる可能性が高まる。
従って、純資産総額は50億円以上ある投資信託の方が安心できる。
死亡・高度障害時に保険金500万円ば支払われるという生命保険のプランを前提にして計算すると、掛け捨て型の払込保険料額は30年間で76万2000円、月額2116円程度となる。
これに対して貯蓄型の場合は、30年間で376万3800円、月額1万455円となる。
貯蓄型の場合、保険期間が満了した時点で解約すると解約返戻金を受け取れるが、その額は400万1000円となる。
つまり純粋に運用できた利益は、30年間で23万7200円となり、年率では0.405%しかない。
毎月1万455円ずつ、30年間積み立てて、年平均3%で運用し続けた場合、最終的には610万5000円となる。
生命保険での運用との差は、210万円も出てしまう。
貯蓄型の生命保険というのは、全くムダな商品なのである。
厚生労働省の平成27年の人口動態統計によると、死亡率は20~24歳だと10万人に対して35.1人しか亡くなっていない。
60~64歳になっても1%にも満たない。
基本的には生命保険は、自分が病気や事故で亡くなった時に、経済的に困る人がいる場合に加入するものなので、無駄に保険料を払っている人が多い。
SMBC信託銀行プレスティアの口座管理手数料は、月額平均残高が50万円以上ないと、月2000円(税抜き)を自動的に口座から引き落とされてしまう。
現状では、銀行預金は法的に利率をマイナスにできないと言われているが、殆ど預金金利が付かないのに、毎月2000円もの口座維持手数料が引かれたら、実質的なマイナス金利と言ってもよい。
過去28年間におけるS&P500のリターンは、複利で年11%となる。
28年は1万227日だが、このうちデイリーベースで最も高い値上がりをした10日間を外して年平均リターンを計算すると、年8%に落ちてしまう。
更に最高の値上がりをした30日を外すと年平均リターンは6%未満になってしまう。
1万227日のうち10日間を捉えられる確率は1%にも満たない。
28年間のうち10日間の急上昇に載れないと、リターンは大幅に落ちてしまうのである。
相場の状況を見ながら、上昇と下落のタイミングを当てにいく投資法に「タイミング投資」という手法があるが、データで見る限り、タイミング投資で成功する確率は極めて低い。
唯一、この1%に満たない急上昇の10日を外さない方法は、長期間に渡って積立投資を継続することである。
長期に渡って積立投資を継続することが、資産形成の第一歩である。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(2015年版)」によると、60代の平均貯蓄額は、総金融資産額で、単身世帯が2311万円、ファミリー世帯が2515万円となっている。
65歳の時点で5000万円あった場合、年金不足分として、月々15万円、毎年180万円の貯金を取り崩して生活費に充てたとすると、27年10ヶ月で5000万円は無くなってしまう。
単純計算で、65歳から27年後になるので、92歳まで生活は維持できるが、「人生100年時代」の到来となると寿命が尽きる前に貯金を使い果たすことになる。
これを運用に回すだけで、状況は御大きく変わる。
65歳の時点で5000万円あれば、それを年平均3%で運用すれば、毎月25万円ずつ取り崩していっても、ゼロ円になるまでに59年10ヶ月となる。
ちなみに、男性の平均寿命の80.75歳の時点で、まだ手元に4300万円以上の資金が残っていることになる。
金融広報中央委員会が2014年に実施した「家計の金融行動に関する世論調査」によると、50歳代夫婦で貯蓄ゼロと言う世帯が、全体の29.5%もあった。
老後の資金を50歳から作ろうとすると、かなり無理をした運用が必要となる。
毎月5万円ずつ積み立てながら年平均3%で運用し、15年間積み立てた場合の合計金額は、1134万8634円になる。
毎月の積み立て金額を10万円にすると、年平均3%の運用でも15年後の資金は2269万7269円となり、毎月15万円だと3404万5903円になる。
年平均5%で運用すると、月々の積立金が5万円だと15年後の資金は1336万4447円、月々10万円積み立てると2672万8894円、15万円だと4009万3342円となる。
これが、30歳から65歳まで35年間、積立投資をした場合、年率3%の運用利回りでも、月々3万円の積み立てで35年後の総額は2224万6910円となり、月々5万円積み立てると3707万8183円になる。
生涯未婚率は上昇傾向となっている。
国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集」によると、2010年時点の生涯未婚率は男性が20.14%、女性が10.61%となっている。
1970年当時は男性が1.70%、女性が3.34%だったので、この40年間で急上昇していることが分かる。
「厚生労働白書(2015年版)」によると、生涯未婚率は2035年には男性が29.0%、女性が19.2%まで上昇すると推測されている。
日本の投資信託のコストは米国に比べて割高となっている。
金融庁の「金融レポート(2016年9月)」の「規模の大きい投資信託の日米比較(純資産額上位5銘柄)」によると、日本では上位5銘柄が全てアクティブファンドとなっている。
一方で米国は上位5銘柄の殆どがインデックスファンドとなっている。
購入手数料については、日本が平均3.20%に対して、米国は平均0.59%である。
運用管理費用(信託報酬)については、日本が平均年率1.53%に対して米国では平均年率0.28%なっている。
ちなみに、日本株式インデックスファンドの「eMAXIS Slim 国内株式インデックス」の信託報酬は年率0.18%だから、日本の一般的なアクティブファンドを買っていると、単純計算で8.5倍もの手数料が毎日、投資信託の信託財産の中から抜き取られているのである。
アクティブファンドがインデックスファンドに負けてしまう一番の理由が、手数料が高い事なのである。
世界最大の指数提供会社「S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズ」の2016年の調査によるし、米国株式クラスのアクティブファンドのインデックスに対する勝率は、1年で15%、5年で8%、10年で15%しかなく、全期間を通して10~15%の勝率しかない。
〇他の国々でのアクティブファンドの勝率
アメリカ   8.1%
オーストラリア 32.8%
カナダ     34.3%
ヨーロッパ   19.4%
インド     43.5%
ブラジル    43.4%
チリ      0.0%
メキシコ    18.4%
南アフリカ   25.5%