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2015年5月18日月曜日

イギリスのサッカー組織には、10協会がある。
「イングランドサッカー協会」「スコットランドサッカー協会」「ウェールズサッカー協会」「北アイルランドサッカー協会」のイギリス本土4協会に加え、「ケイマン諸島サッカー協会」「イギリス領バージン諸島サッカー協会」など海外領土の6協会がある。
国際サッカー連盟(FIFA)は、それぞれの協会代表チームが国際大会に参加することを認めており、ワールドカップ予選、本大会、欧州選手権などの試合に参加している。
サッカーの国債試合は最も素朴な形でナショナリズムが発揚する場である。
しかし、イギリスのサポーターは「ユニオンジャック」に対してアイデンティティを持っていない。
これがイギリスがネーションステート(国民国家)ではないことを物語っている。
イギリスの正式国名「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」にも、それが表れており、民族を示す言葉はどこにもない。
ちなみに、日本の外務省は「連合王国」と訳し、イギリスの日本大使館は「在連合王国日本大使館」と呼ぶ。
日本の高校の歴史教科書である「日本史B」と「世界史B」は、進学校向けの教科書で、重要な事項が網羅されていて大学受験のテキストとして高率よく得点を稼ぐという目的にはかなっている。
しかし、情報量に釣り合うだけのページ数が不足しているために、情報の羅列に終始しており、読み物としてはかなり退屈である。
その点、主に実業高校の授業で使用されている「日本史A」と「世界史A」は読み物として面白く、特に「日本史A」は日本の近代史を中心に日本が世界にどのようにつながってきたのかを重視して書かれており、基礎教養書として優れている。

このイギリスの教科書は、イギリスの歴史の中でも、16世紀から20世紀半ばにかけた、「アメリカへの植民」から「植民地インドかにの撤退」までの帝国主義国としてのイギリスに焦点を当てており、11歳から14歳までの中等教育を受ける生徒向けに書かれ、150ページ程度と薄い。
自国の帝国主義政策が現在のイギリス社会にどのような影響を及ばしているのかについて、将来を担う子供たちに自分の頭で考えさせるように編集されている。
この教科書は、徹頭徹尾、自分達の失敗の研究になっている。
大前提として、帝国主義による植民地支配は、世界中に災厄をもたらし、憎しみを残した。
つまり、成功例は何一つ無く、自分達のしてきたことは間違いだったという事が書かれている。
また、カンディーの非暴力抵抗運動の強さがクローズアップされており、イギリスにとってどれだけ脅威だったか、歴史が単一の物語ではなく、複数存在することを、この教科書で学ぶ生徒は、自然と気が付く事ができる。

イギリスの歴史【帝国の衝撃】―イギリス中学校歴史教科書― (世界の教科書シリーズ34) 

2015年1月20日に、後藤健二氏と湯川遥菜氏がイスラム国に拘束され、日本政府に対して、72時間以内に身代金2億ドル(236億円)を支払うように要求した。
イスラム国が、最初に要求してきた「72時間以内に2億ドル」というのは非現実的だった。
2億ドルを古い百ドル紙幣で用意するとすれば、百貨店の紙袋で400個分となり、重さは2トンとなってしまう。
金塊で用意したら5トンになってしまう。
人質事件の身代金は、銀行送金されることは、まず考えらない。
中国に対峙した日本人が戸惑うのが歴史感で、「事実」の定義が違う点である。
法律用語に「発生事実」と「決定事実」という言葉がある。
発生事実とは、物理的に物事が発生した、そのままの事実のこと。
決定事実とは、当事者が「これが事実である」と取り決めた人為的な「約束」のこと。
欧米と日本で重視されるのが、より客観的な「発生事実」であるのに対して、中国では「決定事実」でしか歴史を語らない。
その好例が、中国が南沙諸島の沖合に作っているヘリポートや発電所で、「我々の建造物がある場所だから、フィリピンが撤去しない限り、領有を認めたことになる」という理屈になっているのである。
1969年に東シナ海にガス田があるとする国連アジア極東経済委員会の報告書が発表され、その年のうちに日本企業が試掘申請を出し始めたのに、通産省は中国に文句を言われる事を恐れ、認可を全然出さなかった。
結局、申請から36年後の2005年に、帝国石油に試掘認可を出した。
その間に、中国側は20回も試掘しており、パイプラインを建設して、一部を上海まで運んでいる。
そこに融資しているのが、日本の国債協力銀行と、日本が出資しているアジア開発銀行である。
日本ば自国の産業の妨害をし、中国の開発を支援してきたのである。
尖閣問題に関する実に不思議な文書がある。
1997年、両国の排他的経済水域でのルールを定めた日中漁業協定が作成されたが、それにある書簡が附属している。
当時の小渕恵三外相が、中国の大使に宛てたもので、その書簡には「尖閣諸島周辺の排他的経済水域において中国国民に関してのみ、日本の関係法令を適用しない」と書かれている。
また、中国の大使から小渕外相宛てに、同様の趣旨が記された書簡が送られている。
しかし、異例なことに、双方が内容を確認する交換公文にはなっていない。
これが意味するところは、「日本は尖閣諸島の周辺で、中国漁船の活動を取り締まることができない」という事である。
さらに、中国から同趣旨の書簡を受け取るのは、尖閣における中国の主権を認めることになってしまう。
つまり、本当は受け取ってはいけない書簡なのである。
その点をはっきりさせる為に、交換公文ではなく書簡を交わした、一方的に送り付けられただけ、という形式にしているのである。
この書簡は、客観的にみると、日中間で尖閣諸島をめぐる係争が存在し、それを解決するための書簡である。
この書簡の存在により、日本政府の「尖閣に領土問題は存在しない」という立場は危うくなってしまうのである。
ちなみに、日中間の漁業協定のスタートは、まだ両国の国交が成立していない1955年に、中国政府と民間の漁業団体の間で結ばれたイレギュラーなものだった。
これは当時の鳩山一郎首相が、親米派の吉田茂に打撃を与える為に、アメリカの裏をかいて、正式な外交ルートではなく、裏ルートで結んでしまったものである。