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2018年5月29日火曜日

イギリスはEU離脱後に、EUとFTA(自由貿易協定)を締結できなければ、EUに輸出する自動車には10%の関税が発生することになる。
またEUからの補助金が途絶えるのも離脱のデメリットとなる。
イギリス畜産業は年間2500億円の補助金をもらっているが、EU離脱後にイギリス政府が肩代わりできない。
他にもイギリスの大学や研究開発機関は高度な気休がなためEUから助成金が分配されているが、これもゼロとなる。
また離脱に向けて国内法の整備が問題となる。
EU加盟国ではEU法と国内法が齟齬をきたした場合、EU法を優先するルールになっており、イギリスは様々な国内法にEU法を適用してきた。
EU離脱となれば、EU法に代わって新たに作らねばならない法律が1万2000もあるいう。
残り2年間でそれだけの法律を作るのは非現実的である。
政権与党の保守党から「EU法をコピペすればよい」という意見も出ているが、EU法をコピペするなら離脱の意味がそもそもなくなる。
ちなみに、牛の育て方、搾乳の仕方など、いちいちEU法の基準があり、それ厳守しないとEUへの輸出はできない。
トランプ大統領は、中国がアメリカの雇用を奪っていると主張している。
アメリカの中国からの輸入額は50兆円、対中輸出が10兆円なので、40兆円程度の貿易不均衡は確かにある。
しかしその内実は、米国企業が中国で安く調達したモノを輸入しているケースが非常に多い。
ウォルマートやコストコのような流通大手が中国に巨大な購買部門を置き、安くて良い商品を大規模に調達している。
中国にはホンダやソニーのように、自力でアメリカに売りまくる力を持つ企業はまだ出てきていない。
つまりアメリカの雇用を奪っているのは、中国企業ではなく、中国でビジネスを展開する米国企業なのである。
そもそもアメリカの失業率は5%を切っており完全雇用に近く、人手不足でレストラン経営が成り立たなくなってきている。
仕事にあぶれているのは、中西部のプア・ホワイトで、彼らは中国との競争に敗れた人々ではなく、アメリカの国内の競争に敗れた人たちである。
世の中の進化に対して勉強し直したり、新しいスキルを身に着ける努力をしなかった人たちがゴーストタウンになったしまった街に滞留している。
トランプ大統領を熱狂的に支持したのは、そういう人たちだから、いくら中国やメキシコを叩いて新しい雇用を生み出しても彼らは救えない。
エストニアは各行政機関がバラバラに持っていたデータベースを連携させる「X-Road」というシステムをクラウド上に構築し、一元管理の国民データベースを確立した。
国民はICチップが入ったIDカードを所持することで、国民データベースから全ての暁星サービスを受けられる。
世界中どこにいても1週間前からオンラインで選挙の投票ができるし、政治化の資産台帳も自由に閲覧できる。
IDカードで公共交通機関にも乗れる。
クレジットカード決済よりも、銀行が発行するデビットカードによる決済が圧倒的に多いが、驚くべきことにエストニアの国民データベースは、そうした決済内容、銀行口座の出入りまで把握しており、銀行口座から家計簿が自動的に作成される仕組みとなっている。
したがって、税金は自動計算され、個人も企業も納税申告する必要がない。
そのため、税理士や会計士が不要となり、それらの職業は今やエストニアから消滅してしまった。
キャッシュレス社会を実現させた先進国は北欧で、スウェーデン、ノルウェー、デンマークではいずれもGDPに対する現金の使用比率が5%を下回る。
スウェーデンに至っては現金使用率が2%と、決済現場では殆ど現金が使われていない。
現金では鉄道やバスにも乗れず、銀行はもはや現金を置かないキャッシュレス店舗が大半を占めている。
咸臨丸の渡航を許可したのは大老・井伊直弼だった。
遣米使節団や咸臨丸の乗員を選んだのも井伊であった。
井伊が選抜した福沢諭吉や勝海舟ら俊才たちは帰国後、明治維新や明治新政府で大活躍する。
日本に不利な日米修好通商条約を締結し、安政の大獄を断行した井伊直弼は、日本史では悪役扱いをされることが多いが、日本近代化にとっては究極の功労者であった。
日本の真夏の殺人的な暑さを考慮すれば、1964年の東京オリンピックと同様に、秋に開催すべきである。
それができないのは、アメリカの放映権を握っているNBCの意向が効いているからである。
アメリカの秋はスポーツイベントが目白押しだから、イベントがない夏にしろ、と言われると、NBCから巨額な放映権をもらっているIOCは逆らえない構図となっている。
1964年の東京オリンピックの総事業費は1兆円だった。
当時の日本の国家予算は3兆円だったので、国家予算の3割をオリンピックに投じたこととなる。
2008年の北京オリンピックは4兆円、2014年ソチ冬季オリンピックでは5兆円規模の事業費が費やされいる。
2020年の東京オリンピックでの事業予算は3兆円が想定されている。
招致段階の2013年には、総額7340億円という予算見積もりだったが、4倍以上に膨れ上がってしまった。
日本国内の原発の建設状況は、原子炉の数でいえば建設中が3基、計画中が8基ある。
建設中は青森県の大間原発1号炉(電源開発)と東通原発1号炉(東京電力)、島根県の島根原発3号炉(中国電力)がほぼ完成している。
工事が凍結している原発については、原子力規制委員会が工事再開を許可しても、住民の厳しい公聴会や住民訴訟を乗り切っ竣工にたどり着ける事は、まずありえない。
これから先は、地元にカネをばらまく予算もつかないし、計画中の原発は全く前に進む可能性はない。
国内の原発ビジネスの先細りは避けられない。
日立はかろうじて踏みとどまれるかもしれないが、東芝と三菱重工が原子力事業に傾注することは、もはや株主が許さない。
ただ、廃炉・使用済み核燃料の最終処分というニーズは残されているので、ある意味では長期成長産業とも言える。
原発の新設はできないが、すでに国内に存在する58基の原子炉の廃炉を30年から50年かけて手掛けていけば、東芝も三菱重工も収益事業にはなる。
日本で一番日照時間が長い山梨県北杜市付近でも、太陽光の稼働率は13%程度である。
40円/kWhの買取価格でFITがスタートした時に、日本各地のゴルフ場や墓地や空き地にソーラーパネルが設置されたが、年平均13%しか稼働しない事か分かっていた業者は殆どいなかったと思われる。
稼働率13%だと、いくら40円で買い取ってもらったとしても、それほど儲からない。
申請はしたものの儲からない事が分かり、投げ出してしまった業者が多い理由が、この実稼働率なのである。
日本の航空行政は400年前の江戸時代の幕藩体制を引きずっている。
例えば、福岡県には交通アクセス抜群の福岡空港があるのに、近隣の北九州や佐賀にも空港がある。
これは、筑前、肥前、豊前という藩の枠組みが根強く残っているからである。
東北では、秋田県には大舘能代空港と秋田空港、山形県には庄内空港と山形空港、青森県には津軽藩の青森空港と南部藩の三沢空港という具合に、人口の少ない県でも2つ空港があり、日本国内で100を超える空港が存在するという、世界でも異常な状況となっている。
伊丹空港が、2滑走路のため発着数に限界があったのと騒音問題を抱え、それに代わる新空港建設計画が持ち上がった当初、建設予定地は南港沖、現在のUSJの外側当たりだった。
これに対し、自前の空港を念願していた神戸が反対した結果、泉南沖を1兆5000億円かけて埋め立て、現在の関西国際空港が完成した。
しかし、地盤調査が不十分だったため第1滑走路の完成直後から地盤沈下て発覚した。
横風対策でT字にする予定だった第2滑走路を平行滑走路にするなど、沈降対策でさらに1兆3000億円をかけてしまい、損益分岐点は未来永劫に来なくなってしまった。
それだけの巨費を投じたにも関わらず、廃止が決まっていた伊丹空港の存続運動が起こり、工事欲しさに新空港建設を推進していた関西財界人までが乗ってしまい、伊丹空港は存続、神戸空港もできてしまい関空の存在理由は低下した。
国内線は伊丹空港、国際線は関空と言う住み分けはあるが、3時間以上の乗り換え時間が必要であり機能していない。
西日本に住む人は、長距離便の場合、成田か仁川で乗り換えることになってしまった。
関空は、近年のインバウンド需要で、着陸料を大幅にさげてLCCを呼び込むことで利用指数を増やしてはいるが、自前で投資回収を諦め、空港運営を民間(オリックスとフランス空港運営大手ヴァンシ・エアポートの企業連合)に買い取ってもらった。

2018年5月28日月曜日

JAバンクの中央機関である農林中央金庫は、もともと農業など1次産業のためのティベロップメントバンクだった。
今やJAバンクの預金残高は90兆円でメカバンクに匹敵するが、そこから農業に融資される金額は数%かない。
JAバンクに預金するのも、住宅ローンなどの融資を受けるのも、今や半分以上が非農業者(準組合員)となっている。
JAバンクが集めた預金を世界中で運用しているのがの農林中央金庫であり、日本最大のヘッジファンドと目されている。
宅急便の受取人不在によって再配達されるケースは約2割といわれている。
国土交通省が2014年のデータベースを試算したところ、再配達のために費やされる走行距離は全体の25%に及び、再配達によるCO2の年間排出量は42トンと、スギの木1億7400万本が1年間に吸収できるCO2量に匹敵する。
また再配達にかかる労働力は年間9万人(1.8億時間)に相当するという。
このラストワンマイルへの取り組みが宅配ビジネスの大きな課題であり、逆にAmazonは自動化した物流システムを自前で構築しながら、きついラストワンマイルだけは手を出さずに、宅配業者に仕事を丸投げして賢く稼いでいる。
日本では他人を乗せて料金をとるのには二種免許が必要となるが、この日本独特の認可制度を盾に、タクシー業界が一丸となってUberの撃退に成功した。
オーストラリアでは、350ドル払えば客を乗せて料金を取って良いという認可か得られるので、ここ数年で街角からタクシーが消えてしまった。
自動車産業でもデジタル・ディスラプション(デジタル化による破壊)の波が押し寄せており、強烈な3つの事が同時進行している。
1つ目は車を所有しないというオプションの拡大。
カーシェアリングが更に普及していくと、車を持たなくなるひとが3分の1はいると言われている。
2つ目は車を保有している人が貸し出す動きの拡大。
ベンツはUberをやりたい人のために、その収入を担保に頭金なしで販売するというスキームを始めると言われいる。車がキャッシュフローを生み出す動産となる。
3つ目は電気自動車の普及拡大。
内燃機関の車の部品点数は3万点だが、電気自動車の部品点数は3千点で済み、車の価格が一気に安くなる。
オランダでは2025年までに電気自動車以外の車の販売を禁じる法案を検討している。

2018年5月27日日曜日

かつてゴールドマンサックスが得意としていたディストレストアセットという手法がある。
経営が行き詰った倒産間近の会社を破格の安さで買取るのだが、買われた側は破格とはいえ、それで十分助かる。
買った側は会社をさっさと潰して、会社が持っている土地、デスク、椅子、照明、灰皿、建物を解体した時に出てくる木材、タイル、ドアノブ、窓などを小分けにして売ってしまう。
その売上が、倒産寸前の会社の購入費用を上回れば小商いの成立という訳である。
会社を会社のまま売ろうととしても、買い手はつかないが、パーツにバラす面倒な作業を加える事で、マネタイズが可能になる。

2018年5月17日木曜日

労働経済学者のエジワード・ラジアーの研究によると、起業するのは30代がベストだという。
イノベーティブな考え方は若ければ若いほど良いが、ビジネススキルとかファイナンスに関しては多少年数が必要となる。
そのベストミックスが30代だというのである。
若者人口が減っていく日本ではイノベーティな人たちが減っていく中で、さらに深刻なのは高齢化で管理職ポストに高齢者がしがみついて占めてしまうと、若者が管理的な技能を身に付けることが難しくなる。
シュンペーターは「資本主義の力の源泉はイノベーションだ」としたが、シュンペーターの議論で面白いのは、「確かにイノベーターは重要だが、リスクの最後の引き受け手は銀行家(フィナンシエ)だ」と言っている点である。
大航海時代にキリスト教世界の白人として初めてアメリカ大陸に到達したコロンブスに出資したのは、スペインのイサベル女王であり、リスクを引き受けたのである。
つまりリスクの引き受け手がいる中で、イノベーションが生まれ、それが資本主義のダイナミズムだというのがシュンペーターの議論である。
J・A・シュンペーターの主要な著書は非常に難解なドイツ語で書かれているが、幸いにして殆ど日本語訳がある。
それは東畑精一と中山伊知郎がボン大学でシュンペーターの教え子だったからである。
シュンペーターの著書『資本主義・社会主義・民主主義』の手書き原稿とタイプ原稿が、実は日本に存在し、三重県立図書館にあるという。
東畑精一が三重県出身で、シュンペーターの死後、夫人から形見として贈られたものを三重県立図書館に寄贈したコレクションの一つだという。
新古典派経済学は学んだ本人にとってあまり得にならない学問である。
理由は、新古典派経済学は合理的に計算できる人たちを前提にしているからである。
世の中の人はみな賢いのだから放っておけばよく、唯一介入が必要なのは市場の失敗がある時で、その時にもっと賢い政府が介入すればよいという考え方なので、経済学を学んでも自分の行動が変わることはない。
一方て、行動経済学は学ぶことによって人間の経済行動や考え方も変わるということを前提にしている。
極端な新古典派経済学では、人間は生まれた時から好みはハッキリしていて、生涯そのまま変わらないかせ、その好みの人たち全てが最も幸せになるような政策をどうしたらいいかを政府が考えるというものだった。
学ぶ側からすると、行動経済学は学びがいのある学問である。
こうすると売上が上がるとか、消費者もより幸福になれるというのが分かるようになる。
行動経済学の研究で「寄付をすると幸福になる」というのがある。
ある金額を実験参加者に渡して、半分には「そのお金を人のために使って下さい」と伝え、もう半分には「そのお金を自分のために使ってください」と伝える。
その日の夜に、幸福度を聞くと、人のためにお金を使った方が幸福になったという結果がでたという。
経験で人は変わっていくという事を前提にすると、経済学は楽しい学問になっていく。
「反競争的教育」は日本で少し昔から現在も時々行われている。
例えば、運動会の徒競走で順位をつけないとか、手をつないでゴールするといった事を学校でやっている。
そういう教育を受けた人たちは、実は助け合い精神が希薄になる。
皮肉な話だが、人を蹴落とすような気持ちを抑えて、みんな一緒にという事を教えようとした結果、全く逆のタイプの人間が育ってしまう。
みんな同じなのだから、助ける必要を感じないということになる。
当時の日教組は、生まれ持った素質や能力はみな同じであり、成績が悪い子がいたとしてら、それは教育環境が悪かっただけだという思想で、順位をつけないということにしたようだが、予想外に「だから助け会わなくていい」というロジックに子供は捉えてまった。
色々な能力を持った人がいて、助け合った方がいい、という感覚を身に付けることが大事である。
ただ、互恵性を身に付けた人たちは、所得についてそれほど高くな訳ではないが、健康になって幸福度が高いという研究結果がある。
2014年9月にサンフランシスコに開校したミネルバ大学が、今、世界的に注目されている。
全寮制で、学生たちは半年毎に世界の7都市に移り住むことになっていて、通常の授業は全てオンラインで行われる。
ここでは典型的なアクティブ・ラーニングを行っており、「クティカルシンキング」「クリエイティブシンキング」「エフェクティブコミュニケーション」を身につける事がモットーとなっている。
ITが発達し、記憶力や計算力などの定型的な仕事のかなりの部分はITに代替されていき、ITが苦手な事が人間の仕事の中心になっていく。
だから人間はそういうITが苦手な面を伸ばしていく事が重要になってくる。
現在、世界人口の70億人のうち、移民として海外で済んでいる人は3%(2億人)だが、潜在的需要はその10倍あると言われている。
アメリカの世論調査会社のギャラップ社によると、どこに住みたいかというアンケート調査の結果をそのまま反映させると、オーストラリアとニュージーランド、シンガポールの人口は2倍となり、アメリカの人口は6割増えるという。
どれだけ今を我慢して将来を大事にするかと言う忍耐度とか時間割引率を見ると、若者は高いという結果が出ている。
時間割引率が高いということは、今のことを大事にするということで、我慢ができない。
ライフサイクル的に見ると、30代から40代にかけて我慢できるようになり、高齢者になるとまた我慢できなくなる。
我慢しても将来が無い人にとっては、今しかないからである。
若者に対しては、将来の返済負担を強調するような貸し付けの工夫をしないと、借りすぎてしまう。
返済する目処もないのに、奨学金の枠を全部使い切ってしまう若者には将来の返済について、貸す側がしっかりとした説明をすべきである。
大学教育の収益率は高く、日本でも平均6~7%あると見られている。
高卒と大卒の生涯所得を比べて、内部収益率で計算すると、だいたいそういう数字となる。
現在、6%を超える金融資産は国内では殆どないので、そういう意味では退学教育の収益率が高いことは確かである。
ただ問題は、高い収益率を得られる人もいるし、低い収益率しか得られず、奨学金の負債を抱えてマイナスの人もいるという、ばらつが大きい点も存在する。
このような結果の違いが、真面目に勉強しなかったからなのか、大学教育の質が低かったのか、大学教育に向かない人が大学進学をしたのか、識別が難しい。
また、ヘドニックプライスという経済学の考え方もあり、賃金とは違う喜びを得ていて、それを金銭に換算すれば十分に恵まれていると考えることもできる。
教育投資のばらつきを、どう考えるかは重要である。
第二次世界大戦が終わった直後、日本に住んでいる韓国人の方がソウルにいる韓国人より多かったという事実がある。
ソウルは当時100万都市で、8割が韓国人、2割が日本人だった。
在日韓国人の定義にもよるが、80万人以上の韓国人が日本にいたのである。
労働問題で難しいのは、労働政策審議会という仕組みがあり、これがネックになっているからである。
労政審の基礎には「フィラデルフィア宣言」の原則があり、そこでは「労働者および使用者の代表者が、政府の代表者と同等の地位において」決めなければならないとされている。
労働側が参加しなければならないと国際的な条約として決めれており、これを盾にとって労政審では労働者の代表として連合の幹部が出席するので、何も決まらない。
フィラデルフィア宣言は解釈の問題で、労働者の代表に決定権があるというのではなく、政策論議に参加してもらえば良いのてある。
しかし、厚労省は「労政審で決める」と言い、一種の責任放棄に使っている。
退職金は非常に不透明な部分がある。
勤続期間中に額が決まっていくが、勤続中には支給は確定しない。
懲戒解雇になれば退職金は減額され、最悪支給されないこともある。
つまり、いつでも剥奪される可能性がある権利であり、労働者にとっては曖昧なものである。
雇用慣習において世界の常識と日本の常識が大きく異なる点として、金銭解雇がある。
金銭解雇のルールが無いのは、OECDでは日本と韓国だけと言われている。
その結果、日本では大企業の製造業のように労働組合が強い会社では解雇される人は何千万円かの退職金を貰えるが、中小企業では「ないカネは払えない」と何ももらえず解雇されて泣き寝入りすることになる。
この不平等は、制度が不備なために起こっている現実である。
雇用の契約でもめたら、最後はカネで片を付けるしかない。
「雨の日にどうしてタクシーがつかまらないのか」という経済学の研究がある。
この研究によると、タクシーの運転手は1日の売上目標額を決めており、雨の日は沢山の客が利用するので、早めに1日の目標額を達成してしまう。
そのためタクシー運転手は、仕事をやめて帰ってしまう。
経済学的には、儲かる時にたくさん働いて、客がいない時には休むというのが、賢い働き方であって、多くのタクシー運転手が経済的に非効率な行動をとっているから、雨の日にはタクシーがいなくなるという内容の論文である。
ところが、ウ―バーが出てきて、この現象が起こらなくなった。
ウ―バーは運賃が変動制であり、需要が高い時には高くなる仕組みなので、雨が降って客が多くなると料金が上がり、運転手は競って働くようになった。
ウ―バーの出現で、タクシー問題は大きく様変わりした。
時間帯によって、どんどん運賃が変わり、客は注文の段階で行先を伝え、料金が確定するので安心して乗ることができる。
テクノロジーが需給調整をうまくやるようになった典型的な事例である。
GDPに対する現金の比率を見ると、日本では20年前に8%だったのが、現在は20%に上がっているという。
日本はデフレなので、現金手資産を持ちたいという特殊な理由もあるが、殆どゼロ金利の北欧では、現金比率は下がっている。
インドは2016年11月9日に、モディシ首相が突然テレビ演説で、「午前0時から現行の500ルピー紙幣(800円)と1000ルピー紙幣の高額紙幣が無効」となる旨を発表した。
偽造紙幣や不正資金の洗浄の根絶が理由だと言われるが、インドの代表的なIT企業インフォシス創業者のナンダン・ニレカニ氏がアドバイザーとなり、前シン政権時代から現金依存型社会から早期脱退を図るシステムを構築していた。
インドのマイナンバーは、顔画像と指紋と虹採の3つが登録されるが、現在、総人口12億人のうち11億人が登録されている。
銀行に口座を持つというフィクションを作って、通信会社が口座を持つというシステムと連動し、あっと言う間に世界が変わった。
新興国で通常の金融サービスを受けられない人々がアクセスできるようになるファイナンシャル・インクルージョン政策と、高額紙幣の廃止が重なった結果、先進国のインフラを飛び越えるものすごい事が起こっている。
所得格差拡大の多くは高齢化で説明でき、実質的な所得格差の拡大はあまりない。
橘木俊詔氏が、日本の所得格差はアメリカより大きいと指摘した際に使われた統計は『所得再分配調査』てあり、そこでの所得の定義では、年金の受け取り額は所得に入っていなかった。
つまり、引退した高齢者の所得に占める年金給付額の割合は大きいので、高齢化で年金受給者が増えてくると所得が低い人が増えるように見えてしまう。
『所得再分配調査』は、公的年金、生活保護、公的医療給付などの再分配政策の効果を測ることを目的として統計なので、再分配前の所得には公的年金の給付額は含まれない。
しかし、所得格差を測るのは、生活水準の格差を測るためだから、再分配後の所得格差で測った方が正解とる。
再分配前の所得格差が拡大したから格差社会になったというのは違う。
格差社会になったかどうかを議論する際に、『所得再分配調査』の再分配前の所得をもとにした指標を使うのはおかしい。
国立大学は不動産を含めて莫大な資産を持っているが、規定でこれらの資産を教育と研究以外の目的に使ってはいけないことになっている。
国立大学の金融資産は基本的に国債とそれに準ずるものしか運用できないし、土地を貸し出して収益を得ることも難しい。
例えば、アメリカの大学では、キャンパスの有効利用を兼ねて民間企業に貸し、キャンパス内に老人ホームを建設した大学もある。
その収入を研究費に充てている。
タイの国立チュラーロンコーン大学は、国王から譲り受けた繁華街の土地をショッピングモールとホテルに貸し出して収益を上げており、これが大学の収入の3分の1にもなっている。
アメリカのコロンビア大学は、マンハッタンで2番目の地主(1位は教会)であり、されを様々な目的で資産活用をしている。
アメリカの経済学者ゲーリー・ベッカー(1992年ノーベル経済学賞受賞)は、イラクに侵攻してサダム・フセイン政権を倒した後、アメリカはイラクの民主化政策を進めたが、それは間違いだと言っている。
長期的にみると経済が発展すれば民主化は進むというエビデンスはあるが、民主化すれば経済が発展するいうエビデンスはない。
だから、民主化を進めるのではなく、経済を立て直すことから始めるべきだという。
アメリカで2001年と2003年に消費刺激のために行われた「ブッシュ減税」の効果は無かった事を実験で明らかにした研究がある。
効果が無かった理由としては、「戻し税」という名前を付けたからだという。
「戻し税」と言われると、本来払わなくても良かったものを払ってて、損をしてたものが戻ってきただけと感じてしまう。
そして、所得が実質的に増えていないと思い、税金が戻ってお金が増えても使う気にならない。
この還付金を「ボーナス」と言えば、特別に入ってきたボーナスとして所得が増えたように感じ、喜んで消費に使うだろうというのである。
この研究から、日本の政策の失敗も説明できる。
2015年9月に財務省は消費税10%になった時の軽減税率の代わりに、マイナン派―を使った「還付金」という案を出して、世間から大きな批判を浴びた。
この時、名称を「還付金」ではなく、「ボーナスポイト」とすれば、良かったかもしれない。
民間企業では「還付」という名前のカードはなく、全て還付されるお金を「ポイント」として付加されるカードを発行している。

2018年5月13日日曜日

英語の「オーソリティ」は、日本語では「当局」とか「権威」と訳されるが、語源は「オーサー」で、「ものを書く人けという意味である。
つまり法律の案文を書く人が重要となり、たとえ政治家や議会の議長が大きな方向を決めたとしても、最終的に法案を書く官僚が大きな力を持つことになる。
「〇〇する」と「〇〇のために努力する」とでは、全く意味が違うことになる。
日本では、政策審議の場で国民の意見を聞くべきだと言われるが、国民の意見を聞くのはヒアリングで行うべきである。
政策審議は国民全体のために、どういう政策が良いかを議論する場であって、国民の声を反映する場としては国会がある。
政策審議会を本来の意味での「政策を専門家が議論する場」にしないと、委員には所属団体の立場で言いたい事だけ言わせて、あとは役所が与党とで調整してまとめるという、現在の多くの政策審議会がそうでるように「隠れ蓑」となってしまう。
社会保障と税の一体改革とは、本来、厚生労働省と財務省の一体改革だったわけだが、縦割り組織では実現できなかった。
また、財務省は積極的に給付付き税額控除を推進しているは思えず、財務省は徴税機能は持つが「給付」を行っていないからである。
給付付き税額控除となると厚生労働省の仕事になっていまうのである。
「税」と「給付」を一体にするインセンティブは各省庁には全くないので、霞が関ではなく永田町のリーダーシップが必須なのである。
トランプ大統領は、フォードモーターに圧力をかけて工場のメキシコ移転を阻止し、これで800人程度の地域の雇用が守られたと誇らしげに言っている。
しかし、アメリカの労働市場では1日平均7.5万人がリストラされ、新しい職場に移っていく。
その中で800人の雇用維持にどれだけの意味があるのか疑問である。
不満を持つ貧しい人たちはトランプ大統領に投票したけれども、この人たちの生活はもっと貧しくなる。
by クルーグマン(ニューヨーク一律大学院センター教授)
2008年ノーベル経済学賞受賞
俗に「1万時間の法則」というのがある。誰でも1万時間学べば、その分野の一流になれるという法則である。
サラリーマンの仕事を勉強と据えてみると、会社で9時から6時まで勤務する毎日9時間。年間の出勤時間が260日とすると、
勤務時間9時間×260日=2340時間
1万時間まで4.3年必要となり、大学卒業して26歳か27歳で1万時間に達する。
早ければ、主任クラスにとり、後輩を指導できるような立場になっている。
また、サラリーマンをしながら別のことを勉強した場合、1日に4時間、週末も含めて365日を勉強に充てたとしても、1年で1460時間しかならず、1万時間まで7年弱かかる計算となる。

2018年5月11日金曜日

スウェーデンでは、少子化対策を推し進めており、不妊を病気として扱い、38歳以下だと不妊治療は公的保険が適用され実質無料化にしている。
事実婚や独身女性でも不妊治療に保険が適用される。
その為、世界に先駆けて子宮移植手術を実現できた。
今、日本では夫婦の5組に1組が不妊治療をしているという。
日本では体外受精だけで、年間42万件を超えている。
不妊治療は、体外受精、卵子凍結、代理出産(代理出産は日本では認められていない)など、選択肢が増えているが、新たな治療として、子宮移植による出産が成功している。
母や姉から子宮を移植するという臓器移植である。
世界10カ国で40例以上の子宮移植が行われており、世界で11の新たな命が誕生している。

2018年5月8日火曜日

団塊世代が後期高齢者になる2024年以降は、多死社会・大量相続時代が到来する。
2030年には、年間死亡者数は160万人を超えると予測されている。

2018年5月6日日曜日

金利上昇という規定路線のシナリオに対して、住宅ローンは固定金利で借り入れない方がよい。
10年後に多少の金利上昇で支払いが増えたとしても、現在の長期固定金利ほどの金利(20年固定で1.4%)まで急上昇するとは考えにくいからである。
2018年5月現在の一般的な住宅ローンの変動金利は、0.5%を切っており歴史的な低金利となっている。
そこから計算すれば、現在、変動金利で返済を始めれば10年後には残債が当初の7割まで減っていることになる。
残債が大幅に減っていれば、金利上昇に耐性ができることは、あまり知られていないが、事実である。
固定金利という高すぎる保険料を支払うよりも、歴史的な低金利を最大限に利用して、早く借入元本を減らすことが賢明である。
結婚関係になくても家庭裁判所に調停を申し立て、DNA鑑定で相手男性と「親子」だと分かれば、認知手続きをすることが可能である。
しかし、この制度には落とし穴があり、男性がDNA鑑定に応じない場合は、強制的に血液等を提出させることができない。
1721年(享保6年)の人口調査によると、当時の江戸の人口の男女比は、男性100に対して女性55と、圧倒的な男性過多社会だった。
これは、生活水準の低下を恐れて、女児を中心に間引きが行わていたのと、男性が田舎から単身で奉公や出稼ぎに来ていたからだと推測される。
こうした男余り現象の中、江戸の男性(18~60歳)の未婚率は、実に5割に達していた。
年収と恋愛意欲の関係を調査したデータはないが、年収とセックスの頻度やパートナーへの愛情の相関を示す調査はいくつかある。
2008年に、生保と金融サービス専門家が組織するMDRT日本会が30~40代のサラリーマン夫婦に実施した調査では、「結婚相手を愛しているか」の問いに、年収300万円明の夫婦は48%が「愛している」と回答したが、年収800~1000万円では35%しかいなかった。
また毎日キスをしている夫婦の割合やセックスの回数も、年収が低くなればなるほど多くなる傾向があった。
総務省の調査によると、未婚女性は35歳を過ぎると、その後に結婚できる確率は1割あるかないかである。
これがかつて、勝間和代氏が唱えた「35歳独身限界説」である。
近年、アメリカの研究で、「女性に限っては、18歳ころまでに性行為をしてしまうと、高校中退や大学未進学の確立が2倍に高まる」ことが分かったという。
望まぬ妊娠をするせいもあるが、それだけではなく、本来、家庭の形成を前提とすべきセックス自体の快楽に溺れ、正常な判断力を失ってしまうという。
「草食系男子」は英語で「Grass Eating Boys」と言うが、米国ても草食系男子が増えている。
米国で29歳まで未婚男性は、1970年には16%だったのが、2010年には55%にまで急増している。
近年、コンドームの出荷数が減少傾向にある。
減少は1999年からで、2013年の国内出荷数は260万グロス(1グロス=144個)と、この10年で2割減っている。
コンドーム出荷数の目立った減少時期(1999年、2005年)は、実はPCのインターネット普及(1998年~2000年)と、ケータイのネット環境整備(2003年~2005年)の時期と一致する。
当初、コンドーム出荷数の顕著な減少は、1999年に日本で発売された低用量ピルが原因だと言われたが、ピルは発売段階ではまだ目立って普及していなかった。
2011年のたった1年間に流れた情報の量は、人類がそれまて書いた全書籍量合計の1921万倍にあたる。
2014年リクルートマーケティングパート―ナーズの調査によると、現在、交際相手のいない20代は、女性で60%、男性で76%にも及ぶ。
2015年のオーネットの調査でも、「20歳」時点だけで切り取るとさらに少なく、女性7割強、男性8割弱が、現在、彼氏・彼女がいない。
また、2014年の明治生活福祉研究所の調査では、「過去に一度も交際経験がない20代」が、女性で23%、男性では41%にも上っている。
2015年に発表された内閣府の「少子化社会対策白書」では、未婚で恋人がいない20代男女の約4割が「恋人は欲しくない」と回答している。
そのうち男女とも45%前後は「恋愛が面倒」だと答えている。
2015年のオーネットの調査でも、「恋人は別に欲しくない」と答える20歳の女性が4割、男性が35%と過去最低の数字となっている。

2018年5月5日土曜日

日経平均の主な急落日
急落日       イベント    前日比の下落率
1987年10月20日  ブラックマンデー   14.90%
2008年10月16日  リーマンショック   11.41%
2011年3月15日  東日本大震災     10.55%
1953年3月5日   スターリン暴落    10.00%
1970年4月30日  海外投信会社の破綻  8.69%
2016年6月24日  ブレグジット     7.92%
都心の容積率緩和は、住宅供給にプラスに働く。
現在、東京23区の容積率は136%、山手線の内側の容積率は236%と平均2~3階である。
山手線内に匹敵するパリの都心部の平均は6階で、これはルイ14世の時代から変わらない。
つまり、パリ並みの街並みを目指せば、山手線内の建物は、まだ倍以上の高さにできることになる。
中国国務院が発表した2018年度予算案で、国防費が前年度比8.1%増の18兆3700億円となった。
これは日本の2018年度予算の防衛費の3.5倍である。
軍事大国を目指している中国だが、それ以上に重視しているのが、国内の治安維持の強化である。
2018年度予算案でも治安維持費は国防費を2割上回る20兆9000億円も計上している。
治安維持費には、警察、武装警察、検察、裁判所、刑務所の費用が含まれる。
中国では土地の収奪を巡って、年間20万件以上の暴動が起きており、ここに治安部隊が投入されている。
米国企業が海外に保有する資金を換算(1ドル100円)すると、アップル24兆円、ファイザー20兆円、マイクロソフト14兆円など、全体で230兆円規模になると推定されている。
2018年度の税制改正大綱により、2020年1月から、年収850万円超えるサラリーマンと年収1000万円を超える年金受給者が増税されることが決まった。
政府・与党による年収850万円超の会社員は430万人で、子育てをしている190万人と介護をしている10万人を除く230万人が対象となり、この増税によって税収増は900億円となる見込みだという。
2017年の新卒採用市場では、中国の通信機器大手ファーウェイ社が、日本で大卒エンジニアを「初任給40万円」で募集して話題を集めた。
ちなみに厚生労働省の調査によると2017年の日本卒初任給の平均は20万円である。
ファーウェイは世界170か国以上に進出しており、従業員数は18万人以上、現在もその半分以上がエンジニアである。
ファーエェイ本社(深圳)の初任給は、日本円で月額83万円と日本て日本人新卒を募集した初任給の倍である。
つまり、今やエンジニアの人件費は、中国よりも日本の方が圧倒的に格安なのである。
今や、インドの優秀なエンジニアの初任給は年俸1500万円であり、最高峰のインド工科大学の優秀な学生は15万ドルでgoogleやFacebookに採用されている。
シリコンバレーでは、中堅エンジニアなら年収25万~30万ドル、プロジェクトマネジメントができるエンジニアは50万ドル、4~5億円のプロジェクトを回せるエンジニアは、100万ドル超えの年俸で引き抜かれるという。