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2015年8月18日火曜日

アメリカが常に貿易赤字を続けられるのは、その反対側にアメリカに貿易黒字を提供して赤字の穴埋めをしてくれる国が存在するからである。
日本や中国を始めとするアジア諸国の貿易黒字は、アメリカの貿易赤字無には成立しない。
しかしドルが基軸通貨である以上、アメリカには貿易赤字が存在しないとも言える。なぜならば、貿易というのは国対国が行うもので、自国通貨ドルで全ての取引ができるアメリカは、貿易をしていないと同じだからである。
つまり、アメリカにとって貿易は、国内取引とお無゛なのである。
基軸通貨ドルは、世界を回り、アメリカに利益をもたらす構造になっている。
土地価格は、人の生産活動で生まれるものではないので、非生産資産とされ、GDPには含まれない。
ただし、土地取引にかかわる手数料や、家賃収入、潜在的な家賃収入(所有者がもし賃貸していれば得られたはずの家賃収入)はGDPに計上される。
その意味で、不動産価格が下落を続ければ、経済成長は鈍るし景気も良くならない。
日本の富裕層には2つの特徴がある。

1.超富裕層が少ない
日本の富裕層の資産分布は1億円近辺に偏っており、資産100~500万ドルが250万人で、資産500万ドル以上になると圧倒的に少なくなる。
ボストンコンサルティングの「ワールド・ウェルス・レポート2012」では、資産1億ドル以上を持つ層を「超富裕層」としており、第1位はアメリカの2928世帯、第2位はイギリスの1128世帯、日本は15位にも入らないランキング外となっている。
別の調査によると日本は200世帯と推定されている。

2.富裕層の大半が高齢者である
クレデイ・スイスが富裕層の定義としている資産100万ドル以上を持つ人口のうち、30歳以下の人口は僅か1%しかない。
急激な円安でドルベースで個人金融資産が激減した事により、日本人富裕層数も激減した。
クレディ・スイスの「グローバル・ウェルス・レポート」の2013年坂によると、2012年から2013年の1年間で、日本の富裕層数は130万人も減少し、その資産減額は5兆8350億ドルにも達しており、この額は全世界で失われた資産総額の9割以上を占めている。
「グローバル・ウェルス・レポート」では富裕層の定義を100万ドル以上の資産を持つ個人とし、負債を除いた純資産が100万ドル以上ある事としている。
但し、クレディ・スイスの富裕層の定義には、不動産が含まれており、金融資産だけで集計される他の富裕層レポートとは異なり、富裕層の数は多くなる。
クレデイ・スイスによると、富裕層数は世界全体で3168万人であり、2013年は前年から181万人増加している。
<世界の富裕層ランキング>(グローバル・ウェルス・レポート2013)
1位 アメリカ   1321万人(前年比+168万人)
2位 日本    265万人(前年比▲130万人)
3位 フランス  221万人(前年比+28万人)
4位 ドイツ   173万人(前年比+22万人)
5位 イギリス  153万人(前年比+11万人)
6位 イタリア  144万人(前年比+12万人)
7位 中国    112万人(前年比+9万人)
2014年末に個人金融資産が史上最高の1694兆円になったと言われるが、この時点のドル円レートは119円なので、ドル換算すると14兆2300億ドルとなる。
ちなみに前年の2013年末の個人金融資産1644兆円は、ドル円レートが103円だったので、15兆9600億ドルとなり、なんとドルベースでみると、1兆7300億ドルも減っているのである。
日本人の個人金融資産はこの1年間で170兆円も吹き飛んだのである。
歴代政権の中で、これだけ巨額の日本人の富を焼失させてしまった政権はない。

<個人金融資産の推移 円とドル比較>
     個人金融資産残高 ドル円レート  個人金融資産残高
2005年末  1572兆円     110円     14兆2900億ドル
2006年末  1586兆円     116円     13兆6700億ドル
2007年末  1545兆円     118円     13兆900億ドル
2008年末  1458兆円     103円     14兆1600億ドル
2009年末  1491兆円      94円      15兆8700億ドル
2010年末  1502兆円      88円      17兆600億ドル
2011年末  1500兆円      80円      18兆7500億ドル
2012年末  1571兆円      86円      18兆2700億ドル
2013年末  1644兆円     103円       15兆9600億ドル
2014年末  1694兆円     119円       14兆2300億ドル
アベノミクスが始まって以来、一般国民の給料が下がっている中、日本人の個人金融資産は増加している。
2015年3月18日に発表された日本銀行「資金循環統計」によると、2014年末の個人金融資産(資金循環統計の家計部門)は、前年末比3.0%増の1694兆円と過去最高になっている。
これを受けて、各メディアは「前年末を上回ったのは6年連続。2014年の賃上げを背景に現金・預金の増加が続き、円安・株高で株式と投資信託の時価評価額も膨らんだ」と報道した。
しかし、2014年末に発表された2013年度の国民経済計算確報では、家計貯蓄率は-1.3%となっている。
家計貯蓄率とは家計の可処分所得に対する貯蓄(可処分所得から最終消費支出を引いたもの)の割合のことで、貯蓄率がマイナスということは、家計は所得以上に消費しており、これまで貯蓄してきた金融資産を取り崩しているという事である。
貯蓄率がマイナスに転じた直接の要因は、2014年4月に実施された消費増税に伴う駆け込み消費により、家計の可処分所得は2012年度比で1.4兆円伸びたのに対して、最終消費支出はこれを上回る7.7兆円も増えたからである。
民間企業の給料が下がる一方で、国家公務員全員のボーナスは2ケタ増になっている。
国家公務員の2014年の冬のボーナスは、前年比で11%以上の大幅なアップを記録した。更に、国家公務員は2014年の4月の消費税引き上げと同時に、給与も8.4%もアップしている。
2012年度、2013年度と2年間にわたって実施されていた減額措置が終了した為で、それまで震災復興に対処する必要性により、給与減額支給措置が取られ、国家公務員の給与は平均7.8%、ボーナスは約10%が減額されており、それが2014年になって、次々に解除されたのである。
民間も震災復興のための財源を捻出する為として、所得税と法人税に「復興特別税」が25年間の継続処置として上乗せされた。
その後、法人税は解除されたが、所得税への上乗せは続いている。
所得税の上乗せ分は約3000億円であり、これと同額の3000億円が国家公務員の削減額の解除額とほぼ一致する。
公務員の給与アップの財源は、所得税の上乗せ分である「復興特別税」を、そのまま回したという結果になっている。
国民1人当りGDPランキングの推移
1999年 4位 3万5014ドル (小渕内閣)
2000年 3位 3万7303ドル (小渕内閣、森内閣)
2001年 5位 3万2711ドル (森内閣、小泉内閣)
2002年 7位 3万1241ドル (小泉内閣)
2003年 9位 3万3717ドル (小泉内閣)
2004年 11位 3万6444ドル (小泉内閣)
2005年 15位 3万5780ドル (小泉内閣)
2006年 18位 3万4076ドル (小泉内閣、第一次安倍内閣)
2007年 22位 3万4038ドル (第一次安倍内閣、福田内閣)
2008年 23位 3万3429ドル (福田内閣、麻生内閣)
2009年 16位 3万9321ドル (麻生内閣、鳩山内閣)
2010年 14位 4万2916ドル (鳩山内閣、菅内閣)
2011年 14位 4万6175ドル (菅内閣、野田内閣)
2012年 10位 4万6531ドル (野田内閣、第二次安倍内閣)
2013年 24位 3万8491ドル (第二次安倍内閣)
2014年 27位 3万6331ドル (第二次安倍内閣)
日本は1975年の16位から1985年の11位まで2桁順位を続けたが、1986年に7位に上昇して以来、2003年の9位まで18年間にわたって1桁台のランキングを維持し続けていた。
この間、1987年から2000年までは、1998年を除き、日本はアメリカよりも上位だった。