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2014年2月11日火曜日

イギリスという国が、インテリジェンス文化の発祥の地となったのは、王位の継承をめぐる暗躍の産物からである。

そもそもイギリス国教会が生まれたのは、16世紀にヘンリー8世が妃と離婚したいと考え、それを認めないカトリック教会と袂を分けたのがきっかけ。

イギリス国教会にも、二つの系譜があり、カトリックに近いのがハイチャーチで、プロテスタントに近いのがローチャーチで、それらを統括できている。

それを可能にしている唯一の結節点が女王陛下の存在であり、イギリスのインテリジェンス機関は女王に忠誠を誓う組織として、女王のもとにインテリジェンスも統括されている。
日本版NSCがお手本にしている米国NSC(National Security Council・国家安全保障会議)は、米ソ冷戦が現実のものとなりつつあった1947年に創設された。
その役割は、大統領が軍事力の行使を命じるか否か、その重大な決断を補佐して誤りなきを期するのが責務である。
イギリスでは、戦前にファシズム運動が起こったが、第二次大戦が始まると、イギリスを裏切ってドイツのスパイになる恐れがあると、潜在的スパイとされた9万人もの人々が、英仏海峡に浮かぶマン島に強制収容された。

そうした疑わしい連中は「第五列」と呼ばれ、労働党のかなりの上質な部分がファシストになると考えられ、その社会的影響力を恐れて隔離した。

アメリカでも日系アメリカ市民の強制収容キャンプ送りがあったが、ファシズムにつながる危険性があるとして、ごく一般のイギリス市民を強制移住させた、イギリスでのこの事実は、殆ど知られていない。
イギリスという国は、独自の民族と言語によって成立している「ネーション・ステート」ではない。
正式な国名は「グレート・ブリテン及び北アイルランド連合王国」であり、ここには民族を示唆する言葉ば一つも入っていない。

グレート・ブリテン人という民族も北アイルランド人という民族も存在しない。