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2015年7月28日火曜日

国税局で課税実務に関わる部署は、調査部、査察部、課税部であり、税務署では対処できないような案件を扱う。
調査部は資本金1億円以上が対象なので、全法人の2%にも満たない。
東京国税局管内の法人数は96万社だが、調査部のターゲットとなるのは上場企業をはじめとする1万数社程度であり、源泉所得税を除いて、これらに税務署が関わることはない。
査察部は刑事責任を追及する部署なので、行政手続き上の資料を持ち出すのは違法になる恐れがあり、課税部が保有する資料情報を使うことはできない。
従い、査察部内で独自に内偵を行い、事件の企画をする必要がある。
東京国税局では年間100件ほどを扱っている。
課税部は国税局内で担当する案件の他に、東京国税局管内の全84税務署が行う調査の指導・監督をする部署である。
全国12の国税局の中で、法人数・税収とも圧倒的に多い東京は格別で、東京国税局は東京都、神奈川県、千葉県、山梨県を所管しており、3000人の職員が配置されている。
税務署も合わせた総職員数は1万5500人にのぼり、約2割が東京国税局に配属されていることになる。
国税局内にも部署による序列があり、総務課、人事課、法人課税課や個人課税課などの主管課がエリートコースとされている。
出世する為には、若いうちに財務省、国税庁、国税局といった上級官庁に滑り込む必要がある。
1億円の大きさは、横38センチ、縦32センチ、高さ10センチになる。
ちなみに重さは10キロ。
国税局査察部は、国税犯則取締法に基づく調査で、裁判所の令状をもって強制捜査を行う部署である。
目的は脱税者を検察庁に告発することであり、マルサの調査は徹底した内偵により、脱税した所得の証拠(タマリ)で、裏付けとなる資産を把握できた事件が対象となる。
マルサと違い、一般にはあまり知られていない部署に「コメ」という隠語で呼ばれる国税局資料調査課がある。
資料の「料」と調査課の「調」をとって「リョウチョウ」とも呼ばれていたが、税務業界では知れ渡ってしまった為、隠語としての価値が無くなり、「料」のヘンを指して「コメ」と呼ばれるようになった。
コメはマルサとは違いタマリが無くても、蓄積されたデータをもとに調査対象を選定し、令状なしで調査を実行する。
コメはマルサが調査できない、あるいは調査しない複雑困難な事案や証拠不十分な事案に従事している。
1987年に公開された映画『マルサの女』で、それまでは国税の隠語で一般には知られていなかった「マルサ=国税局査察部」が認知された。
国税の隠語には、名詞の前に「マル」をつける習慣がある。
代表者を指すときには「マルダイ」、対象者は「マルタイ」、だから査察は「マルサ」となる。
マルサが知られるよになり、現在の隠語は「6階」(東京国税局旧庁舎の6階に査察部があった)、または「旧6階」とか「3階」(東京国税局現庁舎の3階に査察部はある)と呼ばれている。
国税職員の定期人事異動は、毎年7月10日。
この日には、異動日恒例行事として、事務室内での飲み会がある。